特許第5876671号(P5876671)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ メタウォーター株式会社の特許一覧 ▶ 国立大学法人京都大学の特許一覧

<>
  • 特許5876671-下水処理方法及び下水処理装置 図000002
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5876671
(24)【登録日】2016年1月29日
(45)【発行日】2016年3月2日
(54)【発明の名称】下水処理方法及び下水処理装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 3/12 20060101AFI20160218BHJP
【FI】
   C02F3/12 H
   C02F3/12 S
【請求項の数】4
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2011-118281(P2011-118281)
(22)【出願日】2011年5月26日
(65)【公開番号】特開2012-245457(P2012-245457A)
(43)【公開日】2012年12月13日
【審査請求日】2014年1月16日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】507214083
【氏名又は名称】メタウォーター株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】古屋 勇治
(72)【発明者】
【氏名】中田 典秀
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏明
(72)【発明者】
【氏名】山下 尚之
【審査官】 片山 真紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−237958(JP,A)
【文献】 特開2008−310682(JP,A)
【文献】 特開2007−61703(JP,A)
【文献】 特開2007−16551(JP,A)
【文献】 特開2007−144277(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/00−3/34
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
雨水と汚水とが合流する合流式下水道の下水を処理する下水処理方法において、
下水流入量が計画最大流入量を超過することを予想する予想ステップと、
前記予想ステップにおいて下水流入量が計画最大流入量を超過すると予想された場合、活性汚泥混合液を分離液と活性汚泥濃縮液とに濃縮分離する濃縮装置に生物反応槽内の活性汚泥混合液の一部あらかじめ供給することによって、前記生物反応槽内の活性汚泥混合液の水位を所定値以下に低下させるステップと、
を含むことを特徴とする下水処理方法。
【請求項2】
前記予想ステップにおいて下水流入量が計画最大流入量を超過すると予想された場合、前記濃縮装置に前記生物反応槽内の活性汚泥混合液の一部あらかじめ供給することによって、最終沈殿池内の活性汚泥混合液の水位を所定値以下に低下させるステップと、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の下水処理方法。
【請求項3】
雨水と汚水とが合流する合流式下水道の下水を処理する下水処理装置において、
下水流入量が計画最大流入量を超過することを予想する判別手段と、
前記判別手段によって下水流入量が計画最大流入量を超過すると予想された場合、活性汚泥混合液を分離液と活性汚泥濃縮液とに濃縮分離する濃縮装置に生物反応槽内の活性汚泥混合液の一部あらかじめ供給することによって、前記生物反応槽内の活性汚泥混合液の水位を所定値以下に低下させる制御手段と、を備える
ことを特徴とする下水処理装置。
【請求項4】
前記判別手段によって下水流入量が計画最大流入量を超過すると予想された場合、前記濃縮装置に生物反応槽内の活性汚泥混合液の一部、あらかじめ供給することによって、最終沈殿池内の活性汚泥混合液の水位を所定値以下に低下させる制御手段をさらに備えることを特徴とする請求項3に記載の下水処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物反応を用いて下水を処理する下水処理方法及び下水処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、雨水と汚水とが合流する合流式下水道においては(特許文献1参照)、下水流入量が計画最大流入量に対して一定割合を超過しない場合、流入下水の全量に対し、最初沈殿池,生物反応槽,及び最終沈殿池での沈澱及び生物による二次処理まで行った後、消毒槽にて消毒を行い公共用水域へと放流している。一方、雨天時の増水等によって下水流入量が計画最大流入量に対して一定の割合を超過する場合には、超過量以下の流入下水については二次処理まで行い放流し、超過量以上の流入下水については最初沈殿池で一次処理した後に消毒槽にて消毒する。さらに流入水量が増加した場合は、最初沈殿池を通さずにきょう雑物を除去した後に消毒槽へ流入させて消毒のみを行い、放流する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−218991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の下水処理方法では、雨天時には流入下水の水質によっては有機物,生物化学的酸素要求量(Biochemical Oxide Demand:BOD),窒素分等が放流水質基準値を超過することがあり、河川や海等に放流することによって、放流先の水質に影響が生じるおそれがあった。このような問題を解決するために、雨水貯留管や雨水貯留槽等の雨水貯留設備を設置し、下水流入量が計画最大流入量を超過する場合に一時的に雨水を貯留し、晴天時に雨水貯留設備内に貯留されている雨水の全量を生物反応槽において処理する方法が考えられている。しかしながら、このような方法では、雨水貯留設備の建設のために多額の費用を要する上に雨水貯留設備の稼働率が低いために、コスト面に問題がある。
【0005】
一方、生物反応槽では、設備の老朽化に伴い散気装置の改造等の補修作業を行う必要があり、補修作業を行う場合には、一時的に1池や1系列の生物反応槽を停止することがあり、その間、他の池では計画最大流入量以上の下水を処理する必要がある。このため、下水流入量が計画最大流入量を超過しないように、補修作業は年間を通じて下水の水量が比較的少ない冬季等に実施され、特に合流式下水道からの下水を処理する処理場では補修時期が限定されてしまう。このような背景から、雨天時の増水や生物反応槽の補修等によって下水流入量が計画最大流入量を超過する場合であっても下水を効率的に処理可能な技術の提供が期待されていた。
【0006】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであって、その目的は、下水流入量が計画最大流入量を超過する場合であっても下水を効率的に処理可能な下水処理方法及び下水処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る下水処理方法は、雨水と汚水とが合流する合流式下水道の下水を処理する下水処理方法において、下水流入量が計画最大流入量を超過することを予想する予想ステップと、前記予想ステップにおいて下水流入量が計画最大流入量を超過すると予想された場合、活性汚泥混合液を分離液と活性汚泥濃縮液とに濃縮分離する濃縮装置に生物反応槽内の活性汚泥混合液の一部あらかじめ供給することによって、前記生物反応槽内の活性汚泥混合液の水位を所定値以下に低下させるステップと、を含むことを特徴とする
【0008】
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る下水処理装置は、雨水と汚水とが合流する合流式下水道の下水を処理する下水処理装置において、下水流入量が計画最大流入量を超過することを予想する判別手段と、前記判別手段によって下水流入量が計画最大流入量を超過すると予想された場合、活性汚泥混合液を分離液と活性汚泥濃縮液とに濃縮分離する濃縮装置に生物反応槽内の活性汚泥混合液の一部あらかじめ供給することによって、前記生物反応槽内の活性汚泥混合液の水位を所定値以下に低下させる制御手段と、を備えることを特徴とする
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る下水処理方法及び下水処理装置によれば、下水流入量が計画最大流入量を超過する場合であっても、生物反応槽内の活性汚泥混合液の水位が所定値以下に制御されているので、下水を効率的に処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の一実施形態である下水処理装置の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態である下水処理システムの構成及びその動作について説明する。
【0012】
〔下水処理装置の構成〕
図1は、本発明の一実施形態である下水処理装置の構成を示す模式図である。図1に示すように、本発明の一実施形態である下水処理装置は、生物反応槽1と、最終沈殿池2と、活性汚泥濃縮装置3と、制御装置4とを主な構成要素として備えている。
【0013】
生物反応槽1は、槽内に滞留する活性汚泥に含まれる微生物の作用によって下水を脱窒処理、脱リン処理するものである。生物反応槽1としては、アンモニア酸化菌や亜硝酸酸化菌等の好気性微生物を含む曝気槽、亜硝酸酸化菌等の好気性微生物と脱窒菌等の嫌気性微生物とを含む間欠曝気槽等を用いることができる。生物反応槽1には、図示しない最初沈殿池等の下水供給源から伸びた流路L1と、最終沈殿池2から伸びた流路L2と、活性汚泥濃縮装置3から伸びた流路L3とが接続されている。生物反応槽1には、流路L4を介して最終沈殿池2が接続されている。生物反応槽1には、流路L5を介して活性汚泥濃縮装置3が接続されている。
【0014】
最終沈殿池2は、流路L4を介して生物反応槽1から供給された処理水を分離液と汚泥とに沈降分離するものである。沈降分離後の分離液は、流路L6を介して最終沈殿池2から系外に放流される。沈降分離後の汚泥は、流路L2,L7を介して最終沈殿池2から系外又は生物反応槽1に引き抜くことができる。
【0015】
活性汚泥濃縮装置3は、流路L5を介して生物反応槽1から供給された処理水を分離液と活性汚泥濃縮液とに濃縮分離するものである。活性汚泥濃縮装置3としては、精密ろ過膜(MF膜),限外ろ過膜(UF膜),ナノろ過膜(NF膜)等のろ過膜を備えた中空糸膜モジュール,平膜型モジュール,スパイラル型モジュール,管型モジュール等の形態の膜モジュールを例示することができる。濃縮分離後の分離液は、流路L8を介して活性汚泥濃縮装置3から系外に放流される。濃縮分離後の活性汚泥濃縮液は、流路L3を介して活性汚泥濃縮装置3から生物反応槽1に引き抜くことができる。
【0016】
制御装置4は、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置によって構成されている。制御装置4は、下水流入量が計画最大流入量を超過することが予想される場合、流路L5に設けられた開閉バルブBの開度を調整することによって、生物反応槽1内の活性汚泥混合液の一部を活性汚泥濃縮装置3に供給することにより、生物反応槽1及び最終沈殿池2内の活性汚泥混合液の水位を所定値以下に低下させるものである。下水流入量が計画最大流入量を超過するか否かは、制御装置4に対するオペレータの入力操作や天気予報に基づいて判断することができる。制御装置4は、本発明に係る判別手段及び制御手段として機能する。
【0017】
〔下水処理方法〕
次に、この下水処理装置を利用した本発明の一実施形態である下水処理方法について説明する。
【0018】
下水流入量が計画最大流入量以下の場合においては、流路L1から流入された下水は、生物反応槽1にて槽内の微生物の作用によって脱窒処理、脱リン処理されて、下水内の有機物,窒素成分,リン成分が低減乃至除去される。次に、生物反応槽1内の流入下水に相当する水量と生物反応槽1に返送された汚泥量に相当する水量の処理液とが流路L4から最終沈殿池2に送られて沈降分離される。最終沈殿池2では、ポリ塩化アルミニウム(PAC),塩化第二鉄(FeCl),硫酸バンド,ポリ硫酸第二鉄,重合珪酸―鉄塩(PSI),ポリアクリルアミド系高分子,カチオン系高分子,アルギン酸ナトリウム等の凝集剤を注入して、処理液を沈降分離させやすくしてもよい。そして、最終沈殿池2から汚泥の一部又は全部を流路L2から引き抜き、好ましくは、生物反応槽1への返送量が一定量となるように流路L2から引き抜いて返送し、その残部を流路L7から引き抜いて余剰汚泥として排出する。分離液は、流路L6から系外に放流される。
【0019】
一方、生物反応槽1への下水流入量が計画最大流入量を超過すると判断された場合においては、制御装置4が、流路L5に設けられた開閉バルブBの開度を調整することによって、生物反応槽1内の活性汚泥混合液の一部を活性汚泥濃縮装置3に供給することにより、生物反応槽1及び最終沈殿池2内の活性汚泥混合液の水位を所定値以下に低下させる。そして、生物反応槽1及び最終沈殿池2内の活性汚泥混合液は、生物反応槽1への下水流入量が計画最大流入量以下の場合と同様に処理される。また、活性汚泥濃縮装置3は、流路L5を介して導入された処理液を分離液と活性汚泥濃縮液とに濃縮分離する。
【0020】
以上の説明から明らかなように、本発明の一実施形態である下水処理方法では、生物反応槽1への下水流入量が計画最大流入量を超過する場合、制御装置4が、流路L5に設けられた開閉バルブBの開度を調整することによって、生物反応槽1内の活性汚泥混合液を活性汚泥濃縮装置3に供給することにより、生物反応槽1及び最終沈殿池2内の活性汚泥混合液の水位を所定値以下に低下させるので、下水流入量が計画最大流入量を超過する場合であっても下水を効率的に処理することができる。
【0021】
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施の形態について説明したが、本実施形態による本発明の開示の一部をなす記述及び図面により本発明は限定されることはない。すなわち、本実施形態に基づいて当業者などによりなされる他の実施の形態、実施例及び運用技術などは全て本発明の範疇に含まれる。
【符号の説明】
【0022】
1 生物反応槽
2 最終沈殿池
3 活性汚泥濃縮装置
4 制御装置
B 開閉バルブ
L1,L2,L3,L4,L5,L6,L7,L8 流路
図1