特許第5876685号(P5876685)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5876685
(24)【登録日】2016年1月29日
(45)【発行日】2016年3月2日
(54)【発明の名称】3点支持方式用ブッシュ型油圧マウント
(51)【国際特許分類】
   F16F 13/14 20060101AFI20160218BHJP
【FI】
   F16F13/14 Z
   F16F13/14 A
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2011-173865(P2011-173865)
(22)【出願日】2011年8月9日
(65)【公開番号】特開2012-72897(P2012-72897A)
(43)【公開日】2012年4月12日
【審査請求日】2014年8月6日
(31)【優先権主張番号】10-2010-0093745
(32)【優先日】2010年9月28日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
(73)【特許権者】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】KIA MOTORS CORPORATION
(73)【特許権者】
【識別番号】511194500
【氏名又は名称】デフン アールアンドティー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム ヒョ ソク
(72)【発明者】
【氏名】ソン ヒョン チョル
【審査官】 長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−182645(JP,A)
【文献】 特開平07−259921(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 13/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車に用いられる油圧マウントにおいて、
ボビン形状の外パイプの内側にゴム加硫方式で形成されたダイヤフラムを有したダイヤフラム部と、
前記ダイヤフラム部に圧入されるボビン形状のサドルステッチ部の内側にゴム加硫方式で形成された内パイプと主液室を形成した主ゴム部と、
前記主液室と前記ダイヤフラムとの間に付着され、前記ダイヤフラムを保護し、流体を流動させるオリフィスを形成するダイヤフラムカバーと、を含んで構成され、
前記サドルステッチ部の一側には、第1貫通孔が形成され、他側面から底部までは第2貫通孔が形成され、前記第1貫通孔と第2貫通孔は、お互い離隔して分離されており、第1貫通孔には、ゴム充填空間が形成され、第2貫通孔には、オリフィスが形成され、
前記オリフィスは、サドルステッチ部、ダイヤフラムカバー及び外パイプで構成された3つの部品により形成され、
前記オリフィスは、車両の前方側のみに偏心配置され、前期オリフィスは、入口と出口は同一線上に配置されることを特徴とする3点支持方式用ブッシュ型油圧マウント。
【請求項2】
前記主液室の上部の内パイプの両側空間部に車両加減速時の緩衝の役割ができるようにゴムを充填することを特徴とする請求項1に記載の3点支持方式用ブッシュ型油圧マウント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3点支持方式用ブッシュ型油圧マウントに係り、より詳しくは、内パイプが車両フレームの左右方向に配置された状態で構成された自動車のエンジン、パワートレイン、トランスミッションなどのような駆動要素の振動を吸収し緩和させる3点支持方式用ブッシュ型油圧マウントに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、自動車の懸架部品とは、エンジンとトランスミッションを含むパワープラントの変位規制および防振作用をする部品を言う。
自動車の振動現象には、エンジン始動時および停止時の車体揺動、アイドリング時の車体振動、エンジン高回転時の車体振動、凹凸による振動、高負荷作用時の車体揺動、発進時や変速時に従う急激な変化作用時の衝撃、過大変位による干渉および破損などがある。
【0003】
このような振動の震源には、低周波数領域(30Hz以下)である場合には、エンジンの低速回転時のトルク変動、エンジン低回転時のクランク軸回転運動による慣性力および偶力によるパワープラント振動、駆動系ジョイント角による偶力およびスラスト力によるパワープラント振動がある。
【0004】
また、高周波数領域(30Hz以上)である場合には、エンジン高回転時のクランク軸回転運動による慣性力、偶力によるパワープラント振動、変速機内のギアの噛み合い振動、燃焼時のシリンダーブロック振動、エンジンの動バルブ系振動、クランク軸の曲げ、ねじれ振動、パワープラントの曲げなどの原因がある。
【0005】
このような振動は騒音を誘発し、騒音が車体を経由して車両の室内にまで伝達され、乗車感の低下を招く主な原因となっている。
したがって、エンジン、パワートレイン、トランスミッションなどのような駆動要素をエンジンルーム内に搭載する時、その重さに耐えながらもこれらを支持できることは勿論、最小限の振動が車体に伝達されるように振動を吸収し緩和できるマウント(Mount)が取り付けられる。
【0006】
前記マウントは、駆動要素の振動を緩和/吸収すると同時に駆動要素の負荷重量に耐える能力がなければならないため、マウントの取り付け位置、個数、構造などは、駆動要素の重量、構造、シャーシ、ボディーの構造などを考慮して設計する。
【0007】
上記のようなマウントは、エンジンを支持するものをエンジンマウント、パワートレインを支持するものをパワートレインマウント、トランスミッション(transmission)を支持するものをトランスミッションマウントといい、このようなマウントにより、トランスミッションを含む自動車のエンジンは車体の下部および側部のフレームに連結される。
【0008】
マウントの構造はラバーマウント(ゴムマウント)や油圧マウントに分けられる。
ラバーマウントは上プレートと下プレートとの間に弾性体ゴムを介在させた構造であり、弾性体ゴムによって振動および騒音を減衰させる。
油圧マウントは液室部とダイヤフラムの空間部を備え、液室部の液室が加圧され、流体がオリフィスを通してダイヤフラムに貯蔵されるようにした構造であり、流体を介して振動および騒音を減衰させる。
【0009】
このようなマウントの中で、特にトランスミッションに用いられるマウントは4点慣性支持方式または3点慣性支持方式で車体に取り付けられる。4点慣性支持方式で取り付けられるマウントはマウントの内パイプの取り付け方向が車両の前後方向になっている反面、図1(a)および(b)の従来の慣性3点用マウントの概要図、図2の従来の慣性3点用マウントの斜視図に示す通り、車両フレーム100に3点慣性支持方式で取り付けられるマウント101は、車両の加速時の騒音振動を改善し、前後方向のゴム量を増大させるために、内パイプ102の方向が車両フレーム100の左右方向になっている。
【0010】
したがって、このような3点用マウントの場合、4占用マウントに比べて取り付け箇所が1点不足するため、トランスミッションの動きがより大きくなって乗車感が相対的に不利な短所を改善するために、3点用トランスミッションマウントの構造を油圧マウント構造として設計する必要がある。
【0011】
しかし、油圧マウントの内パイプの方向を車両の左右方向に設計すると、内パイプが車両の前後方向の過度な入力に耐えることができないため、マウントに備えられた硬度の低い薄い膜からなるダイヤフラムが耐久力不足で破損し、油圧マウントの機能を喪失する恐れがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平06−294372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上述従来の問題点を解消するためになされたものであって、内パイプが車両フレームの左右方向に配置された状態からなる3点慣性支持方式用ブッシュ型油圧マウントの構成を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
技術的課題を達成するための本発明に係る3点支持方式用ブッシュ型油圧マウントの構成は、
自動車に用いられる油圧マウントにおいて、
ボビン形状の外パイプの内側にゴム加硫方式で形成されたダイヤフラムを有したダイヤフラム部と、
前記ダイヤフラム部に圧入されるボビン形状のサドルステッチ部の内側にゴム加硫方式で形成された内パイプと主液室を形成した主ゴム部と、
前記主液室と前記ダイヤフラムとの間に付着され、前記ダイヤフラムを保護し、流体を流動させるオリフィスを形成するダイヤフラムカバーと、を含んで構成され、
前記サドルステッチ部の一側には、第1貫通孔が形成され、他側面から底部までは第2貫通孔が形成され、前記第1貫通孔と第2貫通孔は、お互い離隔して分離されており、第1貫通孔には、ゴム充填空間が形成され、第2貫通孔には、オリフィスが形成され、
前記オリフィスは、サドルステッチ部、ダイヤフラムカバー及び外パイプで構成された3つの部品により形成され、
前記オリフィスは、車両の前方側のみに偏心配置され、前期オリフィスは、入口と出口は同一線上に配置されることを特徴とする。
【0015】
前記主液室の上部の内パイプの両側空間部に車両加減速時の緩衝の役割ができるようにゴムを充填することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、
第1に、本発明による油圧マウントの流体貯蔵所であるダイヤフラムを主液室の下部に位置させ、主液室の下部とダイヤフラムとの間にはダイヤフラムカバーが介在されることにより、ダイヤフラムカバーによって主ゴム部の大変位制御のストッパー機能を提供することは勿論、従来の問題点として指摘された前後方向の荷重による油圧マウントのダイヤフラムの破損可能性を顕著に減少させてダイヤフラムを保護する効果がある。
第2に、本発明による油圧マウントは、主液室の上部の両側空間部にゴムを充填させることにより、車両の加減速時の加速透過騒音とショック/ジャークを低減させる効果がある。
第3に、本発明による油圧マウントのダイヤフラムカバーによって形成されるオリフィスを車両の前方側に偏心配置することにより、加速大変位発生の多い車両の後方部にはゴム量を増加できる空間を確保して振動減衰効果をより向上させる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】(a)、(b)は、従来の3点支持方式のマウント取り付け時の状態を示す図である。
図2】従来の3点支持方式に用いられるマウントの斜視図である。
図3】本発明による3点支持方式用ブッシュ型油圧マウントの分解斜視図である。
図4】本発明による3点支持方式用ブッシュ型油圧マウントの底面斜視図である。
図5】本発明による3点支持方式用ブッシュ型油圧マウントの断面図である。
図6】本発明による3点支持方式用ブッシュ型油圧マウントのサドルステッチ部の斜視図である。
図7】本発明による3点支持方式用ブッシュ型油圧マウントの一部切開図である。
図8】本発明による3点支持方式用ブッシュ型油圧マウントの車両上下方向のダンピング性能の比較グラフである。
図9】本発明による3点支持方式用ブッシュ型油圧マウントの車両前後方向の静的バネ特性の比較グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面に基づいて、本発明による3点支持方式用ブッシュ型油圧マウントの構成を詳細に説明する。
図3は本発明による3点支持方式用ブッシュ型油圧マウントの分解斜視図であり、図4は本発明による3点支持方式用ブッシュ型油圧マウントの組み立て状態の底面斜視図である。
図3および図4に示す通り、本発明による油圧マウント1は、上部および下部が開口された円筒形状であるボビン形状の外パイプ11の内側にゴム加硫方式で形成されたダイヤフラム12を有したダイヤフラム部10と、ボビン形状のサドルステッチ部21の内側にゴム加硫方式で形成された内パイプ22を有した主ゴム部20とから構成される。
【0020】
このような本発明による油圧マウントの構成は、従来の油圧マウントの、外パイプにゴムが加硫されず、ダイヤフラムが主ゴム部と一体に加硫され、主ゴム部と同一の硬度と材質を有するという点とは相異なる。
また、本発明による油圧マウントは、サドルステッチ部21の下側と前記ダイヤフラム12との間に付着され、ダイヤフラム12を保護すると同時に流体を流動させるオリフィスを形成するダイヤフラムカバー30を備える。
【0021】
本発明による油圧マウントの組み立ては、前記ダイヤフラム部10と主ゴム部20を各々製作した後、ダイヤフラムカバー30を前記主ゴム部20の下部に付着させて流体を満たした後、主ゴム部20をダイヤフラム部10に圧入して組み立てる。この時、流体の漏れや耐久性の増加などの性能向上のために、組み立て後、スエージング(swaging)工程を実施することができる。
この時、ダイヤフラム部10と主ゴム部20に用いられるゴムの材質と硬度を相異なるようにすることが好ましい。
【0022】
図5は本発明による油圧マウントの断面図である。図5に示すように、本発明による油圧マウントは従来の油圧マウントとはその構造が異なる。
すなわち、従来の油圧マウントは、主液室がブッシュの下部に存在し、ダイヤフラムの位置はブッシュ上部の左右2ケ所に存在する反面、本発明による油圧マウントは、従来の油圧マウントの下部主液室を2つのチャンバー(chamber)に分け、その上部を主液室部としての機能を果たすようにし、中間部分に耐久力向上のための主ゴム部の大変位制御のストッパー機能とダイヤフラムを保護する機能とオリフィスを構成する機能を有したダイヤフラムカバー30を備えたものである。
【0023】
本発明による3点支持方式の油圧マウントの主ゴム部20は、前記内パイプ22の下部にゴム加硫方式で形成された主液室40を有する。したがって、本発明による油圧マウントは、従来の内パイプの左右上端にあったダイヤフラム12を主液室40の下部に位置させたものであり、主液室40とダイヤフラム12との間に所定長さのオリフィスを提供する。
また、主液室40の上部の内パイプ22の両側空間部(50、50’)に車両加減速時の緩衝役割をするようにゴムを充填して加速透過騒音を改善し、ショック/ジャークを低減させる。
【0024】
図6は本発明による油圧マウントのサドルステッチ部21の斜視図であり、図7は本発明による3点支持方式用ブッシュ型油圧マウントの一部切開図である。
図に示す通り、サドルステッチ部21はボビン形状であり、一側面に形成された第1貫通孔21aと他側面から底部に至るまで形成された第2貫通孔21bとを有し、第1貫通孔21aはゴム充填空間を形成して、加速区間における振動減衰および吸収の効率を向上させる。
【0025】
また、図7に示すように、前記第2貫通孔21bの下部にダイヤフラムカバー30を付着して、主液室40とダイヤフラム12との間に流体の流路を形成するオリフィス60が提供される。
この時、前記オリフィスは車両の前方側に偏心配置され、これは、車両の運行時に多く現れる運動方向が車両の後方方向に変位が大きく入力される点とそれによるショックおよび加速透過音が発生する点を考慮したものであり、主に車両の後方部分にゴムを充填させる構造を反映するためにオリフィスを車両の前方方向に偏心配置したものである。
【0026】
図8は本発明による3点支持方式用ブッシュ型油圧マウントの車両上下方向のダンピング性能の比較グラフであり、図9は本発明による3点支持方式用ブッシュ型油圧マウントの車両前後方向の静的バネ特性の比較グラフである。
図8のグラフに示すように、本発明による油圧マウントの車両上下方向のダンピング性能を従来のラバーマウントと比較する時、マウントの減衰力を示すtanδの値が共振地点(P1)において従来のラバーマウントは約0.1である反面、本発明による油圧マウントは約0.44を示しており、本発明による油圧マウントの減衰特性が従来のラバーマウントより約4倍程度より高い値を示し、このような高い減衰特性は本発明による油圧マウントが車軸共振における振動を抑制して走行乗車感を向上させるということを示す。
【0027】
また、図9のグラフに示すように、本発明による油圧マウントの車両前後方向の静的バネ特性を従来のラバーマウントと比較する時、本発明による油圧マウントは、負荷量(グラフの縦軸)が同一である場合に変位量(グラフの横軸)がより小さく、例えば、負荷量が120Kgfである場合、本発明による油圧マウントの変位量は、Q1地点の6mmであるが、従来のラバーマウントの変位量はQ2地点の7mmであって、本発明による油圧マウントの変位量が同一の負荷量である場合により小さいので振動抑制効果がより大きく、従来の問題点として指摘された前後方向の荷重による油圧マウントのダイヤフラムの破損可能性が顕著に減少することが分かる。
【0028】
以上、本発明に関する好ましい実施形態を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の属する技術範囲を逸脱しない範囲での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0029】
1 ・・・本発明による油圧マウント
10 ・・・ダイヤフラム部
11 ・・・外パイプ
12 ・・・ダイヤフラム
20 ・・・主ゴム部
21 ・・・サドルステッチ部
21a ・・・第1貫通孔
21b ・・・第2貫通孔
22 ・・・内パイプ
30 ・・・ダイヤフラムカバー
40 ・・・主液室
50、50’ ・・・空間部
60 ・・・オリフィス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9