【実施例1】
【0015】
以下、本発明の時間測定器閾値電圧調整アダプタの実施例について図面を参照して説明する。
本発明の時間測定器閾値電圧調整アダプタは、リレー動作電圧Vに混入するサージ電圧はトリップ信号電圧(+110V)に比べて小さい(
図5参照)ことから、時間測定器110の時間測定カウンタ115をストップさせるための実質的閾値電圧V
P’をトリップ信号電圧の約90%(約+100V)程度に設定できれば、時間測定器100がサージ電圧により誤動作する確率を大幅に下げることができる点に着目し、複数個のツェナーダイオードを直列接続するとともに複数個のツェナーダイオードの各々に閾値電圧切換用スイッチを並列接続し、時間測定器閾値電圧調整アダプタの出力電圧値を電圧センサで監視しながら各閾値電圧切換用スイッチをオン/オフ制御して、実質的閾値電圧V
P’を101.5V(時間測定器110の閾値電圧V
P+最終的に閾値電圧切換用スイッチがオフにされたツェナーダイオードの降伏電圧の合計値)にすることを特徴とする。
【0016】
そのため、本発明の一実施例による時間測定器閾値電圧調整アダプタ10(以下、「閾値電圧調整アダプタ10」と称する。)は、
図1に示すように、入力端子11と、出力端子12と、アース端子13と、アノードが入力端子11に接続された逆起電力防止ダイオード14と、直列接続された第1乃至第4のツェナーダイオード15
1〜15
4と、第1乃至第4のツェナーダイオード15
1〜15
4とそれぞれ並列接続された第1乃至第4の閾値電圧切換用スイッチ16
1〜16
4と、電圧センサ用スイッチ17と、電圧センサ18と、スイッチ制御回路19とを具備する。
【0017】
ここで、第1のツェナーダイオード15
1は降伏電圧(ツェナー電圧)が10Vのものであり、そのカソードは逆起電力防止ダイオード14のカソードに接続されている。
第2のツェナーダイオード15
2は降伏電圧が20Vのものであり、そのカソードは第1のツェナーダイオード15
1のアノードに接続されている。
第3のツェナーダイオード15
3は降伏電圧が40Vのものであり、そのカソードは第2のツェナーダイオード15
2のアノードに接続されている。
第4のツェナーダイオード15
4は降伏電圧が80Vのものであり、そのカソードは第3のツェナーダイオード15
3のアノードに接続されており、そのアノードは出力端子12に接続されている。
【0018】
電圧センサ用スイッチ17は、一端が第4のツェナーダイオード15
4のアノードと出力端子12とを接続する接続線に接続されており、他端が電圧センサ18の入力端子に接続されている。
【0019】
電圧センサ18は、電圧センサ18に接続されたアース端子13を遮断器の0V端子に接続した状態で電圧センサ用スイッチ17を閉じたときに入力端子を介して入力される閾値電圧調整アダプタ10の出力電圧(出力端子12とアース端子13との間の電圧)の電圧値を測定し、測定した電圧値が時間測定器110の閾値電圧V
P(+1.5V)よりも初めて大きくなったか否か(すなわち、閾値電圧V
Pを横切ったか否か)を検出し、測定した電圧値が閾値電圧V
Pよりも初めて大きくなったことを検出するとハイレベルの検出信号S
Dをスイッチ制御回路19に出力する。
【0020】
スイッチ制御回路19は、第1乃至第4のスイッチ切換制御信号S
1〜S
4を第1乃至第4の閾値電圧切換用スイッチ16
1〜16
4にそれぞれ出力して、ハイレベルの検出信号S
Dが電圧センサ18から入力されるまで第1乃至第4の閾値電圧切換用スイッチ16
1〜16
4のオン/オフを制御して、第1乃至第4の閾値電圧切換用スイッチ16
1〜16
4のオン/オフ状態をハイレベルの検出信号S
Dが入力されたときの状態に保持する。
【0021】
このとき、スイッチ制御回路19は、第1乃至第4の閾値電圧切換用スイッチ16
1〜16
4がオフにされた第1乃至第4のツェナーダイオード15
1〜15
4の降伏電圧の合計値が10Vステップで順に小さくなるように、以下に示す第1のスイッチ切換制御手順に従って第1乃至第4の閾値電圧切換用スイッチ16
1〜16
4のオン/オフを制御する。
(初期設定)第1乃至第4の閾値電圧切換用スイッチ16
1〜16
2をすべてオフ状態にする。
(手順1)第1の閾値電圧切換用スイッチ16
1のみをオン状態にする(降伏電圧の合計値=20V+40V+80V=140V)。
(手順2)第2の閾値電圧切換用スイッチ16
2のみをオン状態にする(降伏電圧の合計値=10V+40V+80V=130V)。
(手順3)第1および第2の閾値電圧切換用スイッチ16
1,16
2のみをオン状態にする(降伏電圧の合計値=40V+80V=120V)。
(手順4)第3の閾値電圧切換用スイッチ16
3のみをオン状態にする(降伏電圧の合計値=10V+20V+80V=110V)。
(手順5)第1および第3の閾値電圧切換用スイッチ16
1,16
3のみをオン状態にする(降伏電圧の合計値=20V+80V=100V)。
(手順6)第2および第3の閾値電圧切換用スイッチ16
2,16
3のみをオン状態にする(降伏電圧の合計値=10V+80V=90V)。
(手順7)第1乃至第3の閾値電圧切換用スイッチ16
1〜16
3のみをオン状態にする(降伏電圧の合計値=80V)。
(手順8)第4の閾値電圧切換用スイッチ16
4のみをオン状態にする(降伏電圧の合計値=10V+20V+40V=70V)。
(手順9)第1および第4の閾値電圧切換用スイッチ16
1,16
4のみをオン状態にする(降伏電圧の合計値=30V+40V=60V)。
(手順10)第2および第4の閾値電圧切換用スイッチ16
2,16
4のみをオン状態にする(降伏電圧の合計値=10V+40V=50V)。
(手順11)第1、第2および第4の閾値電圧切換用スイッチ16
1,16
2,16
4のみをオン状態にする(降伏電圧の合計値=40V)。
(手順12)第3および第4の閾値電圧切換用スイッチ16
3,16
4のみをオン状態にする(降伏電圧の合計値=30V)。
(手順13)第1、第3および第4の閾値電圧切換用スイッチ16
1,16
3,16
4のみをオン状態にする(降伏電圧の合計値=20V)。
(手順14)第2、第3および第4の閾値電圧切換用スイッチ16
2,16
3,16
4のみをオン状態にする(降伏電圧の合計値=10V)。
(手順15)第1乃至第4の閾値電圧切換用スイッチ16
1〜16
4をすべてオン状態にする(降伏電圧の合計値=0V)。
なお、手順15で第1乃至第4の閾値電圧切換用スイッチ16
1〜16
4をすべてオン状態にしてもハイレベルの検出信号S
Dが電圧センサ18から入力されない場合には、スイッチ制御回路19は、調整不能ランプ(不図示)を点灯させるなどして、調整不能である旨を外部に表示する。
【0022】
また、スイッチ制御回路19は、第5のスイッチ切換制御信号S
5を電圧センサ用スイッチ17に出力して、電圧センサ用スイッチ17のオン/オフを制御する。
【0023】
次に、閾値電圧調整アダプタ10の使用方法について、
図4に示したように保護継電装置の総合動作試験を行う際に時間測定器110を用いてリレー動作時間を測定する場合を例として、
図2(a),(b)および
図3(a),(b)を参照して説明する。
【0024】
作業員は、
図2(a)に示すように、時間測定器110の第1および第2のスタート端子111
1,111
2を総合動作試験器120の故障検出信号出力端子に接続し、時間測定器110の第2のストップ端子112
2および閾値電圧調整アダプタ10のアース端子13を遮断器の0V端子に接続したのち、閾値電圧調整アダプタ10の入力端子11を保護継電装置の電源線(+110V)に接続し、閾値電圧調整アダプタ10の出力端子12を時間測定器110の第1のストップ端子112
1に接続する。
【0025】
その後、作業員は、閾値電圧調整アダプタ10の調整開始ボタン(不図示)を押して、閾値電圧調整アダプタ10のスイッチ制御回路19(図面の簡単のため、
図2(a),(b)および
図3(a),(b)には不図示)を動作開始させる。
【0026】
スイッチ制御回路19は、調整開始ボタンが押されると、上述した第1のスイッチ切換制御手順の初期設定に従って第1乃至第4の閾値電圧切換用スイッチ16
1〜16
4をすべてオフ状態にするために、第1乃至第4の閾値電圧切換用スイッチ16
1〜16
4をすべてオフさせる第1乃至第4のスイッチ切換制御信号S
1〜S
4を第1乃至第4の閾値電圧切換用スイッチ16
1〜16
4にそれぞれ出力したのち、電圧センサ用スイッチ17をオンさせる第5のスイッチ切換制御信号S
5を電圧センサ用スイッチ17に出力する。
これにより、
図2(a)に示すように第1乃至第4の閾値電圧切換用スイッチ16
1〜16
4がすべてオフにされた状態で電圧センサ18による閾値電圧調整アダプタ10の出力電圧の電圧値の測定が開始される。
【0027】
このとき、第1乃至第4の閾値電圧切換用スイッチ16
1〜16
4はすべてオフ状態になっているため、出力端子12が−40Vよりも小さいマイナス電源線に接続されている場合には電圧センサ18によって測定される電圧値は−40V(=+110V−150V(第1乃至第4のツェナーダイオード15
1〜15
4の降伏電圧の合計値))になるが、出力端子12は第1のストップ端子112
1、ストップ入力回路114および第2のストップ端子112
2を介して0V端子に接続されているので、電圧センサ18によって測定される電圧値は0Vになる。
このとき測定される電圧値=0Vは時間測定器110の閾値電圧V
P(+1.5V)よりも小さいため、電圧センサ18から出力される検出信号S
Dはローレベルのままである。
【0028】
その結果、スイッチ制御回路19は、第1のスイッチ切換制御手順の手順1に従って第1の閾値電圧切換用スイッチ16
1のみをオン状態にするために、オフ状態の第1の閾値電圧切換用スイッチ16
1をオンさせる第1のスイッチ切換制御信号S
1を第1の閾値電圧切換用スイッチ16
1に出力する。
これにより、
図2(b)に示すように第1の閾値電圧切換用スイッチ16
1のみがオン状態になるため、出力端子12が上記のマイナス電源線に接続されている場合には電圧センサ18によって測定される電圧値は−30V(=+110V−140V(第2乃至第4のツェナーダイオード15
2〜15
4の降伏電圧の合計値))になるが、出力端子12は0V端子に接続されているので、電圧センサ18によって測定される電圧値は0Vになる。
このとき測定される電圧値=0Vは時間測定器110の閾値電圧V
P(+1.5V)よりも小さいため、電圧センサ18から出力される検出信号S
Dはローレベルのままである。
【0029】
その結果、スイッチ制御回路19は、第1のスイッチ切換制御手順の手順2に従って第2の閾値電圧切換用スイッチ16
2のみをオン状態にするために、オン状態の第1の閾値電圧切換用スイッチ16
1をオフさせる第1のスイッチ切換制御信号S
1を第1の閾値電圧切換用スイッチ16
1に出力するとともに、オフ状態の第2の閾値電圧切換用スイッチ16
2をオンさせる第2のスイッチ切換制御信号S
2を第2の閾値電圧切換用スイッチ16
2に出力する。
これにより、第2の閾値電圧切換用スイッチ16
2のみがオン状態になるため、出力端子12が上記のマイナス電源線に接続されている場合には電圧センサ18によって測定される電圧値は−20V(=+110V−130V(第1、第3および第4のツェナーダイオード15
1,15
3,15
4の降伏電圧の合計値))になるが、出力端子12は0V端子に接続されているので、電圧センサ18によって測定される電圧値は0Vになる。
このとき測定される電圧値=0Vは時間測定器110の閾値電圧V
P(+1.5V)よりも小さいため、電圧センサ18から出力される検出信号S
Dはローレベルのままである。
【0030】
その結果、スイッチ制御回路19は、第1のスイッチ切換制御手順の手順3に従って第1および第2の閾値電圧切換用スイッチ16
1,16
2のみをオン状態にするために、オフ状態の第1の閾値電圧切換用スイッチ16
1をオンさせる第1のスイッチ切換制御信号S
1を第1の閾値電圧切換用スイッチ16
1に出力する。
これにより、第1および第2の閾値電圧切換用スイッチ16
1,16
2のみがオン状態になるため、出力端子12が上記のマイナス電源線に接続されている場合には電圧センサ18によって測定される電圧値は−10V(=+110V−120V(第3および第4のツェナーダイオード15
3,15
4の降伏電圧の合計値))になるが、出力端子12は0V端子に接続されているので、電圧センサ18によって測定される電圧値は0Vになる。
このとき測定される電圧値=0Vは時間測定器110の閾値電圧V
P(+1.5V)よりも小さいため、電圧センサ18から出力される検出信号S
Dはローレベルのままである。
【0031】
その結果、スイッチ制御回路19は、第1のスイッチ切換制御手順の手順4に従って第3の閾値電圧切換用スイッチ16
3のみをオン状態にするために、オン状態の第1および第2の閾値電圧切換用スイッチ16
1,16
2をオフさせる第1および第2のスイッチ切換制御信号S
1,S
2を第1および第2の閾値電圧切換用スイッチ16
1,16
2に出力するとともに、オフ状態の第3の閾値電圧切換用スイッチ16
3をオンさせる第3のスイッチ切換制御信号S
3を第3の閾値電圧切換用スイッチ16
3に出力する。
これにより、第3の閾値電圧切換用スイッチ16
3のみがオン状態になるため、電圧センサ18によって測定される電圧値は0V(=+110V−110V(第1、第2および第4のツェナーダイオード15
1,15
2,15
4の降伏電圧の合計値))になる。
このとき測定される電圧値=0Vは時間測定器110の閾値電圧V
P(+1.5V)よりも小さいため、電圧センサ18から出力される検出信号S
Dはローレベルのままである。
【0032】
その結果、スイッチ制御回路19は、第1のスイッチ切換制御手順の手順5に従って第1および第3の閾値電圧切換用スイッチ16
1,16
3のみをオン状態にするために、オフ状態の第1の閾値電圧切換用スイッチ16
1をオンさせる第1のスイッチ切換制御信号S
1を第1の閾値電圧切換用スイッチ16
1に出力する。
これにより、
図3(a)に示すように第1および第3の閾値電圧切換用スイッチ16
1,16
3のみがオン状態になるため、電圧センサ18によって測定される電圧値は+10V(=+110V−100V(第2および第4のツェナーダイオード15
2,15
4の降伏電圧の合計値))になる。
このとき測定される電圧値=10Vは時間測定器110の閾値電圧V
P(+1.5V)よりも初めて大きくなった(すなわち、閾値電圧V
Pを横切った)ため、電圧センサ18から出力される検出信号S
Dはローレベルからハイレベルになる。
【0033】
スイッチ制御回路19は、ハイレベルの検出信号S
Dが入力されると、このときの第1乃至第4の閾値電圧切換用スイッチ16
1〜16
4のオン/オフ状態(すなわち、第1および第3の閾値電圧切換用スイッチ16
1,16
3のみがオン状態)を保持するとともに、たとえば調整終了ランプ(不図示)を点灯させて調整終了を作業員に知らせる。
【0034】
作業員は、調整終了ランプが点灯すると、閾値電圧調整アダプタ10の入力端子11と保護継電装置の電源線とを接続している接続線の一端を保護継電装置の電源線から外したのち、接続線の外した一端を遮断器トリップロック端子132に接続して、
図3(b)に示すように閾値電圧調整アダプタ10の入力端子11を遮断器トリップロック端子132に接続する。
【0035】
これにより、リレー動作電圧Vの電圧値が101.5V以上のときにしか閾値電圧調整アダプタ10の出力電圧の電圧値が閾値電圧調整アダプタ10の閾値電圧V
P=1.5V以上にならないため、時間測定カウンタ115をストップさせるための実質的閾値電圧V
P’を101.5Vにすることができる。
その結果、
図5に示したようにリレー動作電圧Vにサージ電圧が混入していても、時間測定カウンタ115はサージ電圧によってストップすることはないため、リレー動作時間を正確に測定することができる。
【0036】
なお、閾値電圧調整アダプタ10を接続することによる遅れ時間については、閾値電圧調整アダプタ10の入力端子11から出力端子12までの遅れ時間を実測した結果、遅れ時間はほとんど0.0msであり、時間測定器110によるリレー動作時間の測定に影響しないことを確認した。
【0037】
以上の説明では、スイッチ制御回路19は、第1乃至第4の閾値電圧切換用スイッチ16
1〜16
4がオフにされた第1乃至第4のツェナーダイオード15
1〜15
4の降伏電圧の合計値が10Vステップで順に小さくなるように第1乃至第4の閾値電圧切換用スイッチ16
1〜16
4のオン/オフを制御したが、第1乃至第4の閾値電圧切換用スイッチ16
1〜16
4がオフにされた第1乃至第4のツェナーダイオード15
1〜15
4の降伏電圧の合計値が10Vステップで順に大きくなるように第1乃至第4の閾値電圧切換用スイッチ16
1〜16
4のオン/オフを制御してもよい。
【0038】
この場合には、スイッチ制御回路19は、以下に示す第2のスイッチ切換制御手順に従って第1乃至第4の閾値電圧切換用スイッチ16
1〜16
4のオン/オフを制御する。
(初期設定)第1乃至第4の閾値電圧切換用スイッチ16
1〜16
4をすべてオン状態にする。
(手順1)第1の閾値電圧切換用スイッチ16
1のみをオフ状態にする(降伏電圧の合計値=10V)。
(手順2)第2の閾値電圧切換用スイッチ16
2のみをオフ状態にする(降伏電圧の合計値=20V)。
(手順3)第1および第2の閾値電圧切換用スイッチ16
1,16
2のみをオフ状態にする(降伏電圧の合計値=10V+20V=30V)。
(手順4)第3の閾値電圧切換用スイッチ16
3のみをオフ状態にする(降伏電圧の合計値=40V)。
(手順5)第1および第3の閾値電圧切換用スイッチ16
1,16
3のみをオフ状態にする(降伏電圧の合計値=10V+40V=50V)。
(手順6)第2および第3の閾値電圧切換用スイッチ16
2,16
3のみをオフ状態にする(降伏電圧の合計値=20V+40V=60V)。
(手順7)第1乃至第3の閾値電圧切換用スイッチ16
1〜16
3のみをオフ状態にする(降伏電圧の合計値=10V+20V+40V=70V)。
(手順8)第4の閾値電圧切換用スイッチ16
4のみをオフ状態にする(降伏電圧の合計値=80V)。
(手順9)第1および第4の閾値電圧切換用スイッチ16
1,16
4のみをオフ状態にする(降伏電圧の合計値=10V+80V=90V)。
(手順10)第2および第4の閾値電圧切換用スイッチ16
2,16
4のみをオフ状態にする(降伏電圧の合計値=20V+80V=100V)。
(手順11)第1、第2および第4の閾値電圧切換用スイッチ16
1,16
2,16
4のみをオフ状態にする(降伏電圧の合計値=10V+20V+80V=110V)。
(手順12)第3および第4の閾値電圧切換用スイッチ16
3,16
4のみをオフ状態にする(降伏電圧の合計値=40V+80V=120V)。
(手順13)第1、第3および第4の閾値電圧切換用スイッチ16
1,16
3,16
4のみをオフ状態にする(降伏電圧の合計値=10V+40V+80V=130V)。
(手順14)第2、第3および第4の閾値電圧切換用スイッチ16
2,16
3,16
4のみをオフ状態にする(降伏電圧の合計値=20V+40V+80V=140V)。
(手順15)第1乃至第4の閾値電圧切換用スイッチ16
1〜16
4をすべてオフ状態にする(降伏電圧の合計値=10V+20V+40V+80V=150V)。
【0039】
電圧センサ18は、測定した電圧値が時間測定器110の閾値電圧V
P(+1.5V)よりも初めて小さくなったか否か(すなわち、閾値電圧V
Pを横切ったか否か)を検出し、測定した電圧値が閾値電圧V
Pよりも初めて小さくなったことを検出するとハイレベルの検出信号S
Dをスイッチ制御回路19に出力する。
【0040】
スイッチ制御回路19は、ハイレベルの検出信号S
Dが電圧センサ18から入力されると、第1乃至第4の閾値電圧切換用スイッチ16
1〜16
4のオン/オフ状態をハイレベルの検出信号S
Dが入力される直前の状態に保持する。
すなわち、上述した第2のスイッチ切換制御手順に従って手順11において第1、第2および第4の閾値電圧切換用スイッチ16
1,16
2,16
4のみがスイッチ制御回路19によってオフ状態にされると、電圧センサ18によって測定される電圧値は+110Vから第1、第2および第4のツェナーダイオード15
1,15
2,15
4の降伏電圧の合計値110Vを引いた0Vになり時間測定器110の閾値電圧V
P(+1.5V)よりも初めて小さくなる(すなわち、閾値電圧V
Pを横切る)結果、電圧センサ18から出力される検出信号S
Dはローレベルからハイレベルになる。
そこで、スイッチ制御回路19は、ハイレベルの検出信号S
Dが入力されると、検出信号S
Dがローレベルからハイレベルになった直前の状態(すなわち、
図3(a)に示すように第2および第4の閾値電圧切換用スイッチ16
2,16
4のみがオフになった状態)に第1乃至第4の閾値電圧切換用スイッチ16
1〜16
4のオン/オフ状態を戻して保持するために、第1の閾値電圧切換用スイッチ16
1をオンさせる第1のスイッチ切換制御信号S
1を第1の閾値電圧切換用スイッチ16
1に出力する。
これにより、時間測定カウンタ115をストップさせるための実質的閾値電圧V
P’を101.5Vにすることができる。
【0041】
以上では、保護継電装置の総合動作試験を行う際に時間測定器110を用いてリレー動作時間を測定する場合を例として説明したが、保護継電装置の制御回路からトリップ用補助リレー131(
図4参照)に出力される動作指令信号の試験を行う際に時間測定器110を用いて制御回路における処理時間を測定する場合にも閾値電圧調整アダプタ10を使用することができる。
この場合には、閾値電圧調整アダプタ10の入力端子11を保護継電装置の制御回路の電源線端子に接続して第1乃至第4の閾値電圧切換用スイッチ16
1〜16
4のオン/オフ状態を調整したのち、入力端子11を保護継電装置の制御回路の測定用外部出力端子(動作指令信号の出力端子)に接続して制御回路における処理時間を測定する。
また、保護継電装置の制御回路の電源は5V、12V、24Vまたは48Vであるため、スイッチ制御回路19は、時間測定カウンタ115をストップさせるための実質的閾値電圧V
P’が1.5V、11.5V、21.5Vまたは41.5Vになるように第1乃至第4の閾値電圧切換用スイッチ16
1〜16
4のオン/オフを制御する。
すなわち、スイッチ制御回路19は、上述した第1または第2のスイッチ切換制御手順に従って第1乃至第4の閾値電圧切換用スイッチ16
1〜16
4のオン/オフを制御し、制御回路の電源が5Vである場合には第1乃至第4の閾値電圧切換用スイッチ16
1〜16
4をすべてオン状態にし、制御回路の電源が12Vである場合には第1の閾値電圧切換用スイッチ16
1のみをオフ状態にし、制御回路の電源が24Vである場合には第2の閾値電圧切換用スイッチ16
2のみをオフ状態にし、制御回路の電源が48Vである場合には第3の閾値電圧切換用スイッチ16
3のみをオフ状態にする。
【0042】
以上では、閾値電圧調整アダプタ10を直流回路に使用する場合を例として説明したが、直列接続された第1乃至第4の他のツェナーダイオードと、第1乃至第4の他のツェナーダイオードとそれぞれ並列接続された第1乃至第4の他の閾値電圧切換用スイッチとをさらに具備させて、第1乃至第4の他の閾値電圧切換用スイッチがそれぞれ並列接続された第1乃至第4の他のツェナーダイオードを第1乃至第4のツェナーダイオード15
1〜15
4と逆方向に逆起電力防止ダイオード14と出力端子12との間に接続して、スイッチ制御回路19によって第1乃至第4の閾値電圧切換用スイッチ16
1〜16
4と同様にして第1乃至第4の他の閾値電圧切換用スイッチのオン/オフを制御することにより、閾値電圧調整アダプタ10を交流回路にも使用することができるようにしてもよい。