(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記各戸袋ユニットは、前記連結装置の前記駆動手段により前記連結位置に配置されている前記連結部材を前記連結解除位置側へ移動させるように操作するための解除操作部材を有する、請求項1又は2に記載の可動柵。
前記解除操作部材は、前記連結位置にある前記連結部材を動かすことなく待機する待機位置と、前記連結部材が前記連結解除位置側へ移動するようにその連結部材を押動する解除動作位置との間で移動可能となるように設けられており、
前記各戸袋ユニットは、前記解除操作部材を前記解除動作位置側から前記待機位置側へ付勢する付勢部材を有する、請求項3又は4に記載の可動柵。
前記連結部材は、前記第1扉の進退方向に対して直交する水平軸回りに回動可能となるように前記第1扉の戸先部の内部で支持され、前記連結位置では、前記第1扉の戸先部のうち前記隣の戸袋ユニットの前記第2扉側を向く端面に形成された開口部を通じてその隣の戸袋ユニットの第2扉側へ突出し、前記連結位置から前記連結解除位置へ向かうときには、前記連結位置から下向きに回動して前記開口部を通じて前記第1扉の戸先部内に退避する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の可動柵。
前記各戸袋ユニットは、前記戸袋を前記軌道側の縁部に沿って移動させるための戸袋駆動装置と、前記第1扉を進退移動させるための第1扉駆動装置と、前記第2扉を進退移動させるための第2扉駆動装置とを有し、
前記戸袋駆動装置は、駆動源としての戸袋用モータと、その戸袋用モータの動力を前記戸袋に伝達して当該戸袋を移動させる戸袋動力伝達機構とを有し、
前記第1扉駆動装置は、駆動源としての第1扉用モータと、その第1扉用モータの動力を前記第1扉に伝達して当該第1扉を進退移動させる第1扉動力伝達機構とを有し、
前記第2扉駆動装置は、駆動源としての第2扉用モータと、その第2扉用モータの動力を前記第2扉に伝達して当該第2扉を進退移動させる第2扉動力伝達機構とを有し、
前記各戸袋ユニットは、前記駆動手段、前記戸袋用モータ、前記第1扉用モータ及び前記第2扉用モータの動作を制御する制御装置を有し、
前記制御装置は、前記軌道側の縁部に沿った前記各戸袋ユニットの前記戸袋の配列を変更するときに、前記駆動手段を通電状態にするとともに前記第1扉用モータ及び前記第2扉用モータをフリー状態にし、前記戸袋用モータを作動させることにより前記戸袋を前記軌道側の縁部に沿って移動させる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の可動柵。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記のような従来の可動柵の構成では、停電時に施錠装置による扉の連結が解除されず、扉を開くことができないという問題点がある。
【0010】
具体的には、前記ボールネジは、電動モータによって駆動されるため、停電によりその電動モータに電力が供給されなくなるとボールネジが作動しなくなる。このため、そのボールネジの進退動作を利用する回動作動片を回動させることができなくなり、その結果、回動係止片を係止解除側へ回動させることができなくなる。このため、扉同士の連結状態を解除できなくなる.。
【0011】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、停電時に、隣り合う戸袋ユニットの扉同士の連結状態を解除して扉を開くことが可能な可動柵を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明による可動柵は、プラットホームに設けられる可動柵であって、前記プラットホームの軌道側の縁部に沿って並ぶように配置された複数の戸袋ユニットを備え、前記各戸袋ユニットは、前記軌道側の縁部に沿って移動するように設置された戸袋と、前記戸袋の移動方向に沿う方向において当該戸袋から一方側に進退自在となるように設けられた第1扉と、前記戸袋の移動方向に沿う方向において当該戸袋の前記一方側と反対側に進退自在となるように設けられた第2扉と、前記第1扉の戸先部に設けられ、当該第1扉が前記戸袋から進出したときにその戸先部と隣の前記戸袋ユニットの前記第2扉の戸先部とを近接状態
又は接触状態で連結するための連結装置とを有し、前記連結装置は、前記隣の戸袋ユニットの前記第2扉の戸先部に係止してその戸先部と当該連結装置が設けられた前記第1扉の戸先部とを連結する連結位置と、前記第1扉の戸先部と前記隣の戸袋ユニットの前記第2扉の戸先部との連結を解除する連結解除位置との間で移動可能となるように前記第1扉の戸先部に設けられた連結部材と、前記連結部材を前記連結解除位置から前記連結位置へ駆動するための駆動手段とを有し、前記駆動手段は、通電時には、前記連結部材が前記連結位置に配置されるように前記連結部材を駆動し、非通電時には、前記連結位置側への前記連結部材の駆動を停止して前記連結部材の自重による前記連結解除位置側への移動を許容する。なお、連結部材の移動とは、連結部材の回動と連結部材全体の変位の両方の形態を含む概念である。
【0013】
この可動柵では、停電により駆動手段が非通電状態になると連結部材が自重により連結解除位置へ移動する。このため、停電時には、隣り合う戸袋ユニットの第1扉と第2扉の戸先部同士の連結が自動的に解除され、それら両扉を開くことが可能となる。
【0014】
上記可動柵において、前記連結装置は、前記プラットホームよりも上側の位置に配置されていることが好ましい。
【0015】
この構成によれば、連結装置に動作不良や故障が生じたときに連結装置のメンテナンスを容易に行うことができる。具体的には、仮にプラットホームの床面の下側(プラットホームの内部)に連結装置が配置されている場合には、連結装置のメンテナンスを行うためにプラットホームの床をはがす必要があり、非常に煩雑な作業になる。これに対して、本構成であれば、プラットホームの床をはがすことなく連結装置にアクセスすることができるので、連結装置のメンテナンスが容易になる。
【0016】
上記可動柵において、前記各戸袋ユニットは、前記連結装置の前記駆動手段により前記連結位置に配置されている前記連結部材を前記連結解除位置側へ移動させるように操作するための解除操作部材を有することが好ましい。
【0017】
この構成によれば、駆動手段が通電状態になっていてその駆動手段により連結部材が連結位置に配置されているときに解除操作部材を用いて連結部材を強制的に連結解除位置へ移動させることができる。このため、例えばアクシデントが発生して、閉じている扉を開く必要が生じた非常時に、連結装置による第1扉と第2扉との連結を強制的に解除してそれらの扉を開くことが可能となる。
【0018】
この場合において、前記解除操作部材は、前記第1扉の戸先部から軌道側へ突出するようにその第1扉の戸先部に設けられていることが好ましい。
【0019】
この構成によれば、軌道側から解除操作部材を操作して連結部材を連結解除位置へ移動させることができるので、軌道上の列車内から乗客が非常時に第1扉と第2扉の連結状態を解除して扉を開くことができる。
【0020】
上記各戸袋ユニットが解除操作部材を有する構成において、前記解除操作部材は、前記連結位置にある前記連結部材を動かすことなく待機する待機位置と、前記連結部材が前記連結解除位置側へ移動するようにその連結部材を押動する解除動作位置との間で移動可能となるように設けられており、前記各戸袋ユニットは、前記解除操作部材を前記解除動作位置側から前記待機位置側へ付勢する付勢部材を有することが好ましい。
【0021】
この構成によれば、解除操作部材を待機位置から解除動作位置へ操作して連結部材による扉同士の連結を解除した後、解除操作部材が付勢部材の付勢力により自動的に待機位置へ戻される。このため、解除操作部材を待機位置へ戻すための手間を削減することができるとともに、待機位置への解除操作部材の戻し忘れを防ぐことができる。
【0022】
上記可動柵において、前記連結部材は、前記第1扉の進退方向に対して直交する水平軸回りに回動可能となるように前記第1扉の戸先部の内部で支持され、前記連結位置では、前記第1扉の戸先部のうち前記隣の戸袋ユニットの前記第2扉側を向く端面に形成された開口部を通じてその隣の戸袋ユニットの第2扉側へ突出し、前記連結位置から前記連結解除位置へ向かうときには、前記連結位置から下向きに回動して前記開口部を通じて前記第1扉の戸先部内に退避することが好ましい。
【0023】
この構成によれば、連結部材が連結解除位置に配置されて扉が開かれるときには、連結部材は第1扉の戸先部内に退避しているので、乗降客が列車に乗降するときに連結部材に引っ掛かるのを防ぐことができる。
【0024】
上記可動柵において、前記各戸袋ユニットは、前記戸袋を前記軌道側の縁部に沿って移動させるための戸袋駆動装置と、前記第1扉を進退移動させるための第1扉駆動装置と、前記第2扉を進退移動させるための第2扉駆動装置とを有し、前記戸袋駆動装置は、駆動源としての戸袋用モータと、その戸袋用モータの動力を前記戸袋に伝達して当該戸袋を移動させる戸袋動力伝達機構とを有し、前記第1扉駆動装置は、駆動源としての第1扉用モータと、その第1扉用モータの動力を前記第1扉に伝達して当該第1扉を進退移動させる第1扉動力伝達機構とを有し、前記第2扉駆動装置は、駆動源としての第2扉用モータと、その第2扉用モータの動力を前記第2扉に伝達して当該第2扉を進退移動させる第2扉動力伝達機構とを有し、前記各戸袋ユニットは、前記駆動手段、前記戸袋用モータ、前記第1扉用モータ及び前記第2扉用モータの動作を制御する制御装置を有し、前記制御装置は、前記軌道側の縁部に沿った前記各戸袋ユニットの前記戸袋の配列を変更するときに、前記駆動手段を通電状態にするとともに前記第1扉用モータ及び前記第2扉用モータをフリー状態にし、前記戸袋用モータを作動させることにより前記戸袋を前記軌道側の縁部に沿って移動させることが好ましい。
【0025】
この構成によれば、モータによる消費電力の削減及びモータの制御の簡略化を図りつつ、隣り合う扉同士の閉状態を維持しながら各戸袋ユニットの戸袋の配列の変更を実施することができる。具体的には、この構成では、プラットホームの軌道側の縁部に沿った各戸袋ユニットの戸袋の配列の変更時に、第1扉用モータ及び第2扉用モータをフリー状態にし、戸袋用モータを作動させることによって戸袋を移動させるので、第1及び第2扉用モータも作動させる場合に比べてモータによる消費電力を削減できる。また、仮に、戸袋用モータに加えて第1及び第2扉用モータも作動させる場合には、それら全てのモータの同期制御が必要になり、モータの制御が複雑になるが、本構成では、戸袋用モータだけを作動させるので、第1及び第2扉用モータも作動させる場合に比べてモータの制御を簡略化することができる。しかも、本構成では、戸袋の配列の変更時に、連結装置の駆動手段を通電状態にするため、隣り合う戸袋ユニットの第1扉と第2扉が連結装置によって連結状態にされる。このため、上記のように戸袋用モータだけを作動させて戸袋だけを移動させたとしても、隣り合う扉同士は閉じた状態で維持される。このため、隣り合う扉同士の閉状態を維持しながら各戸袋ユニットの戸袋の配列の変更を実施することができる。
【発明の効果】
【0026】
以上説明したように、本発明によれば、停電時に、隣り合う戸袋ユニットの扉同士の連結状態を解除して扉を開くことが可能な可動柵を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0029】
(第1実施形態)
まず、
図1〜
図10を参照して、本発明の第1実施形態による可動柵1の構成について説明する。
【0030】
この第1実施形態による可動柵1は、
図1に示すように駅のプラットホーム100の軌道側の縁部に沿って設置されて、プラットホーム100からの人の転落や列車との接触等を防止するためのものである。なお、
図1は、可動柵1の概略的な構成を示しており、各部の詳細な構成については図示を省略している。プラットホーム100の床面のうち軌道側の縁部から少し内側(軌道と反対側)に入った位置には、前記軌道側の縁部に沿って延びる溝部101が形成されており、プラットホーム100の床面の下側(プラットホーム100の内部)には、溝部101に連通し、前記軌道側の縁部に沿って延びる空間である走行路102が形成されている。走行路102内の床面には、前記軌道側の縁部に沿って延びるレール103(
図2参照)が設置されている。
【0031】
可動柵1は、複数の戸袋ユニット2と、総合制御装置3(
図8参照)とを備えている。
【0032】
複数の戸袋ユニット2は、プラットホーム100の軌道側の縁部に沿って並ぶように配置され、その軌道側の縁部に沿って移動可能となるように設けられている。
【0033】
各戸袋ユニット2は、
図2に示すように、戸袋4と、戸袋駆動装置6と、第1扉8と、第2扉10と、第1扉駆動装置12と、第2扉駆動装置14と、連結装置16(
図5参照)と、解除操作部材18(
図5参照)と、付勢部材20(
図5参照)と、個別制御装置22(
図8参照)とを有する。
【0034】
戸袋4は、第1扉8及び第2扉10を収容するとともに、それ自体がプラットホーム100の外側の空間(軌道上の空間)と内側の空間(プラットホーム100上の空間)とを仕切る役割を担う。戸袋4は、プラットホーム100に設けられた溝部101に沿って、換言すればプラットホーム100の軌道側の縁部に沿って移動するようにプラットホーム100に設置されている。そして、隣り合う戸袋ユニット2の戸袋4が間隔をあけて配置されることによって、それらの戸袋4同士の間に乗降用開口が形成されるようになっている。戸袋4は、戸袋本体24と、一対の戸袋ローラ支持部26と、複数の戸袋走行用ローラ28とを有する(
図2参照)。
【0035】
戸袋本体24は、プラットホーム100の溝部101上に配置されている。戸袋本体24は、第1扉8と第2扉10を収容可能な中空状に形成されている。戸袋本体24のうち戸袋4の移動方向における一方側(軌道側に向かって左側)の端面を構成する側板には、第1扉8が通る開口が形成され、戸袋本体24のうち前記一方側と反対側(軌道側に向かって右側)の端面を構成する側板には、第2扉10が通る開口が形成されている。
【0036】
各戸袋ローラ支持部26は、戸袋走行用ローラ28を支持するものであり、
図2に示すように、戸袋本体24の底部からプラットホーム100の溝部101を通って走行路102内に延びている。各戸袋ローラ支持部26は、走行路102内でそれぞれ戸袋走行用ローラ28を回転可能となるように支持している。
【0037】
戸袋走行用ローラ28は、レール103上を転動可能となるようにそのレール103上に載せられている。これにより、戸袋4は、レール103に案内されながらそのレール103に沿って移動可能となっている。
【0038】
戸袋駆動装置6は、戸袋4をプラットホーム100の軌道側の縁部及び溝部101に沿って移動させるためのものである。戸袋駆動装置6は、駆動源としての戸袋用モータ32と、その戸袋用モータ32の動力を戸袋4に伝達して戸袋4を移動させる戸袋動力伝達機構34とを有する。
【0039】
戸袋用モータ32は、走行路102内の床面に設置されている。戸袋動力伝達機構34は、戸袋用モータ32の駆動軸に取り付けられた駆動プーリ35と、走行路102内で戸袋4の移動方向において戸袋用モータ32及び駆動プーリ35から離間した位置に設けられた従動プーリ36と、駆動プーリ35及び従動プーリ36に巻き掛けられた駆動ベルト37とを有する。駆動ベルト37は、レール103に沿って、すなわちプラットホーム100の軌道側の縁部に沿って延びるように設けられている。戸袋4の戸袋ローラ支持部26には、駆動ベルト37のうち駆動プーリ35と従動プーリ36との間に位置する部分に固定されるベルト固定部26aが設けられている。戸袋用モータ32が作動すると、その動力が駆動プーリ35に伝達されて駆動プーリ35が回転し、それに伴って駆動ベルト37が周回移動する。これにより、駆動ベルト37にベルト固定部26a及び戸袋ローラ支持部26を介して取り付けられた戸袋本体24がレール103に沿って移動するようになっている。
【0040】
第1扉8と第2扉10は、隣り合う戸袋ユニット2の戸袋4間に形成される乗降用開口を開閉するためのものである。
図2に示すように、第1扉8は、戸袋4の移動方向に沿う方向において戸袋本体24から一方側(軌道側に向かって左側)に進退自在となるように戸袋本体24によって支持されており、第2扉10は、戸袋4の移動方向に沿う方向において戸袋本体24から第1扉8と反対側(軌道側に向かって右側)に進退自在となるように戸袋本体24によって支持されている。第1扉8と第2扉10は、入れ子状に構成されており、それらが両方とも戸袋本体24内に退避するときには、第2扉10の内側に第1扉8が入り込むようになっている。
【0041】
第1扉8は、第1扉フレーム42(
図4参照)と、当該第1扉8の軌道側と反対側の側面を構成する第1遮蔽板44(
図1参照)と、当該第1扉8の戸先側の端面を構成するように第1扉フレーム42に取り付けられた第1戸先側端板46(
図3参照)と、当該第1扉8の下部の軌道側の側面を構成するように第1扉フレーム42に取り付けられた第1軌道側板48(
図3参照)とを有する。第1遮蔽板44は、鉄板又はガラス板等の各種板材によって形成されている。第1戸先側端板46の下部のうち軌道側の端縁近傍の位置には、縦長のスリット状の第1連結用開口46aが形成されている。この第1連結用開口46aは、本発明の開口部の概念に含まれるものである。第1軌道側板48のうち第1扉8の戸先側の端縁近傍の位置には、縦長のスリット状の解除用開口48aが形成されている。
【0042】
第2扉10は、図略の第2扉フレームと、当該第2扉10の軌道側と反対側の側面を構成する第2遮蔽板54(
図1参照)と、当該第2扉10の戸先側の端面を構成するように第2扉フレームに取り付けられた第2戸先側端板56(
図1参照)と、当該第2扉10の下部の軌道側の側面を構成するように第2扉フレームに取り付けられた図略の第2軌道側板とを有する。第2遮蔽板54は、第1遮蔽板44と同様のものである。第2戸先側端板56の下部のうち軌道側の端縁近傍の位置には、縦長のスリット状の第2連結用開口56aが形成されている。第2連結用開口56aは、それが形成された第2戸先側端板56と隣りの戸袋ユニット2の第1扉8の第1戸先側端板46とが接触したときにその第1戸先側端板46に形成された第1連結用開口46aと位置が一致するような位置に配設されている。
【0043】
第1扉駆動装置12は、第1扉8を戸袋4から進退移動させるためのものである。この第1扉駆動装置12は、駆動源としての第1扉用モータ62と、その第1扉用モータ62の動力を第1扉8に伝達して第1扉8を進退移動させる第1扉動力伝達機構63とを有する(
図2参照)。第2扉駆動装置14は、第2扉10を戸袋4から進退移動させるためのものである。この第2扉駆動装置14は、上記第1扉駆動装置12と同様に構成されており、駆動源としての第2扉用モータ72と、その第2扉用モータ72の動力を第2扉10に伝達して第2扉10を進退移動させる第2扉動力伝達機構73とを有する。第2扉用モータ72は、第1扉用モータ62と同様に構成されており、第2扉動力伝達機構73は、第1扉動力伝達機構63と同様に構成されている。なお、扉動力伝達機構63,73としては、扉用モータ62,72の動力が伝達されるボールネジと、そのボールネジに螺合するとともに対応する扉8,10に接続されたボールナットとを用いた機構や、扉用モータ62,72の動力をプーリと駆動ベルトを用いて対応する扉8,10に伝達する機構などの公知の動力伝達機構が適用される。
【0044】
連結装置16は、第1扉8の戸先部に設けられており、プラットホーム100の上側に配置されている。この連結装置16は、隣り合う戸袋ユニット2において、一方の戸袋4から第1扉8が進出するとともに他方の戸袋4から第2扉10が進出したときにその両扉8,10の戸先部同士を近接状態又は接触状態で連結するためのものである。各戸袋ユニット2が所定位置で停止しているときにこの連結装置16によって隣り合う戸袋ユニット2の第1扉8と第2扉10の戸先部同士が連結されることによってその隣り合う戸袋ユニット2間に形成される乗降用開口が両扉8,10で閉じられた状態が保持される。また、各戸袋ユニット2の戸袋4の配列を変更するためにプラットホーム100の軌道側の縁部に沿って戸袋4を移動させるときも、同様に、連結装置16による隣り合う戸袋ユニット2の第1扉8と第2扉10の戸先部同士の連結が行われる。
【0045】
連結装置16は、
図5に示すように、連結装置本体74と、連結部材75と、ソレノイド76とを有する。
【0046】
連結装置本体74は、連結装置16のベースとなるものである。連結装置本体74は、
図4に示すように、第1扉8の戸先部の内部に設けられており、第1扉フレーム42に固定されている。連結装置本体74は、連結部材75を支持するための軸受77を有している。
【0047】
連結部材75は、当該連結部材75が設けられた戸袋ユニット2の第1扉8に隣り合う戸袋ユニット2の第2扉10に係止して両扉8,10同士を連結するものである。第2扉10は、その戸先部の内部に設けられた略円柱状の被係止部60(
図5及び
図6参照)を有している。この被係止部60は、前記第2連結用開口56aの近傍の位置に配置されて前記図略の第2扉フレームに固定されている。被係止部60は、第2扉10の進退方向に直交する水平方向に延びている。連結部材75は、
図6に示すように、隣の戸袋ユニット2の第2扉10の戸先部内の被係止部60に係止してその戸先部と当該連結部材75が設けられた第1扉8の戸先部とを連結する連結位置P1と、当該連結部材75が設けられた第1扉8の戸先部と隣の戸袋ユニット2の第2扉10の戸先部との連結を解除する連結解除位置P2との間で回動可能となるように第1扉8の戸先部に設けられている。
【0048】
連結部材75は、細長い板状の掛け金である連結部材本体78と、当該連結部材75の回動軸となる軸部79とを有する。
【0049】
連結部材本体78は、その板厚方向が第1扉8の進退方向に直交する水平方向に一致するように配置されている。連結部材本体78の先端部には、第2扉10の被係止部60に係止するための係止部78aが設けられている。この係止部78aは、被係止部60に下側から係止可能な形状を有する。具体的には、係止部78aは、連結部材本体78が第1扉8から隣の戸袋ユニット2の第2扉10側へ延びる略水平姿勢をとったときにその連結部材本体78の上縁となる側において開口するように形成された切欠部を有しており、この切欠部に被係止部60が嵌まり込むことによって係止部78aが被係止部60に係止するようになっている。
【0050】
軸部79は、連結部材本体78の重心の位置よりも先端部と反対側の基端部寄りの位置に設けられている。軸部79は、第1扉8の進退方向に直交する水平方向に延びており、回動自在となるように連結装置本体74の軸受77によって軸支されている。これにより、連結部材75は、この軸部79を中心として回動可能となっている。すなわち、連結部材75は、第1扉8の進退方向に直交する水平軸回りに回動可能となっている。
【0051】
前記連結位置P1は、連結部材本体78が、第1扉8の戸先部内から第1連結用開口46a(
図3参照)を通じて隣の戸袋ユニット2の第2扉10側へ略水平に延び、第2連結用開口56aを通じてその第2扉10の戸先部内に入り、被係止部60に当該連結部材本体78の係止部78aが下側から係止するように配置される位置である。また、前記連結解除位置P2は、連結位置P1において被係止部60に係止していた係止部78aが降下して被係止部60から外れるように連結部材本体78が連結位置P1から下向きに回動した位置である。本実施形態では、連結部材本体78は、連結位置P1から連結解除位置P2へ回動する過程で第2連結用開口56a及び第1連結用開口46aを通じて第1扉8の戸先部内に退避し、連結解除位置P2では第1扉8の戸先から突出しないようにその第1扉8の戸先部内に配置される。
【0052】
ソレノイド76は、連結部材75を連結解除位置P2から連結位置P1へ駆動するための駆動装置であり、本発明の駆動手段の一例である。各戸袋ユニット2のソレノイド76には、図略の電源から総合制御装置3及び個別制御装置22を介して電力が供給されるようになっている。ソレノイド76は、通電時には、連結部材75が連結位置P1に配置されるように連結部材75を駆動し、非通電時には、連結位置P1側への連結部材75の駆動を停止して連結部材75の自重による連結解除位置P2側への回動を許容する。
【0053】
具体的には、ソレノイド76は、
図5に示すように、連結装置本体74に上下方向に延びる姿勢で取り付けられたソレノイド本体76aと、そのソレノイド本体76aの下部から突出するように設けられたプランジャ76bとを備えている。プランジャ76bは、ソレノイド本体76aから進退自在となるようにソレノイド本体76aに支持されている。プランジャ76bの下端部は、連結部材本体78のうち軸部79が設けられた位置から連結部材本体78の先端部側(係止部78a側)へ少し離れた位置で連結部材本体78に接続されている。ソレノイド76が通電状態にあるときには、ソレノイド本体76aがプランジャ76bを上方へ退避させ、それによってプランジャ76bが連結部材本体78を連結位置P1へ引き上げる。これにより、連結部材75が連結位置P1に配置される。一方、ソレノイド76が非通電状態にあるときには、ソレノイド本体76aがプランジャ76bを上方へ退避させるのを停止し、そのプランジャ76bが下方へ進出するのを許容する。その結果、連結部材75は、連結部材本体78の軸部79よりも先端側の部分の自重により下向きに回動して連結解除位置P2に配置される。
【0054】
解除操作部材18は、連結装置16のソレノイド76によって連結位置P1に配置されている連結部材75を強制的に連結解除位置P2側へ回動させるように操作するためのものである。解除操作部材18は、連結部材本体78の上を跨ぐように配置され、連結部材本体78に対して略直交する方向に延びている。解除操作部材18の基端部は、連結部材本体78に対して軌道と反対側に配置されており、連結部材75の軸部79が延びる方向と直交し且つ水平方向に延びる軸回りに回動可能となるように連結装置本体74に取り付けられている。これにより、解除操作部材18は、その基端部を中心として回動可能となっている。そして、解除操作部材18は、連結位置P1にある連結部材75を押動することなく待機する待機位置(
図5参照)と、連結部材75が連結位置P1から連結解除位置P2側へ移動するようにその連結部材75を下向きに押動する解除動作位置(
図7参照)との間で回動可能となっている。解除操作部材18は、待機位置では、軌道側からプラットホーム100の内側へ向かって略水平に延びる姿勢で配置され、解除動作位置では、その基端部から先端部側へ向かうにつれて下方へ向かうように斜めに延びる姿勢で配置される。解除操作部材18の先端部は、乗客等によって操作される操作部18aになっている。解除操作部材18の先端部側は、
図3及び
図4に示すように、解除用開口48aを通じて第1扉8の戸先部内から外部へ突出しており、当該解除操作部材18の操作部18aは、軌道側へ突出している。これにより、軌道側から解除操作部材18を操作可能となっている。
【0055】
付勢部材20(
図5参照)は、解除操作部材18を解除動作位置側から待機位置側へ付勢するものである。具体的には、付勢部材20は、引張コイルバネからなり、その一端が解除操作部材18の基端部と先端部の間の中間部に接続され、他端がその中間部の上側に位置する連結装置本体74の上部に取り付けられている。これにより、付勢部材20は、解除操作部材18が解除動作位置(
図7参照)側へ押し下げられたときにその解除操作部材18の基端部と先端部の間の中間部を引き上げ、それによって解除操作部材18を待機位置(
図5参照)側へ付勢する。
【0056】
個別制御装置22(
図8参照)は、当該個別制御装置22が設けられた戸袋ユニット2の連結装置16のソレノイド76、戸袋用モータ32、第1扉用モータ62及び第2扉用モータ72を制御するものである。個別制御装置22は、戸袋本体24内に設けられている。各戸袋ユニット2の個別制御装置22は、ソレノイド76の通電状態を切り換えるとともに、戸袋用モータ32、第1扉用モータ62及び第2扉用モータ72に制御信号を送り、それによってソレノイド76、戸袋用モータ32、第1扉用モータ62及び第2扉用モータ72の動作を制御する。
【0057】
総合制御装置3は、各戸袋ユニット2の個別制御装置22へ指令信号を送ることにより、各戸袋ユニット2の個別制御装置22にその戸袋ユニット2のソレノイド76、戸袋用モータ32、第1扉用モータ62及び第2扉用モータ72の動作の制御を実行させるものである。
【0058】
また、可動柵1は、総合制御装置3へプラットホーム100に到着する列車の情報を送る情報伝送装置80を備えている。総合制御装置3は、情報伝送装置80からの列車の情報に基づいてその列車に応じた乗降用開口の形成位置を導出し、現在の乗降用開口の形成位置がその導出した乗降用開口の形成位置と異なっている場合には、実際の乗降用開口の形成位置をその導出した乗降用開口の形成位置に合わせるように戸袋4の配列の変更を指示するための指令信号を各戸袋ユニット2の個別制御装置22へ送る。また、プラットホーム100には、列車の停止位置を検出する停止位置検出装置82が設けられており、総合制御装置3には、この停止位置検出装置82から列車の停止位置の情報が送られる。総合制御装置3は、停止位置検出装置82からの列車の停止位置の情報に基づいて、その列車の停止位置が正規の停止位置からずれているか否かを判断し、ずれている場合には、そのずれ量を導出して当該ずれ量をなくすように戸袋4の配列の変更を指示するための指令信号を各戸袋ユニット2の個別制御装置22へ送る。
【0059】
次に、本発明の第1実施形態による可動柵1の動作について説明する。
【0060】
総合制御装置3は、プラットホーム100に列車が到着すると、各戸袋ユニット2の個別制御装置22へ指令信号を送る。乗降用開口を閉じている第1扉8又は第2扉10を有する戸袋ユニット2の個別制御装置22は、総合制御装置3からの指令信号に応じてその戸袋ユニット2の連結装置16のソレノイド76を非通電状態にする。それにより、ソレノイド76は、連結部材75を連結位置P1側へ駆動するのを停止し、連結部材75が連結解除位置P2側へ回動するのを許容する。このため、連結部材75は、その先端部側が自重により降下して係止部78aが被係止部60から外れるように回動し、第1扉8の戸先部内に退避して連結解除位置P2に配置される。その結果、連結部材75による第1扉8と隣の戸袋ユニット2の第2扉10との連結が解除される。その後、個別制御装置22は、総合制御装置3からの指令信号に応じて、対応する第1扉8が戸袋4側へ退避するように第1扉用モータ62を作動させる。また、同時に、その第1扉8の隣の戸袋ユニット2の個別制御装置22は、総合制御装置3からの指令信号に応じて、対応する第2扉10がその戸袋ユニット2の戸袋4側へ退避するように第2扉用モータ72を作動させる。このようにして、隣り合う戸袋ユニット2の第1扉8と第2扉10によって閉じられていた乗降用開口が開かれ、この乗降用開口と列車の乗降口を通じて列車への乗客の乗降が行われる。
【0061】
乗客の乗降が完了すると、総合制御装置3は、各戸袋ユニット2の個別制御装置22へ第1扉8と第2扉10の閉動作を指示するための指令信号を送る。乗降用開口を形成している隣り合う戸袋ユニット2の各個別制御装置22は、その乗降用開口を閉じる第1扉8と第2扉10が各々の戸袋4から進出するように扉用モータ62,72を作動させる。これにより、乗降用開口が第1扉8と第2扉10によって閉じられる。その後、個別制御装置22は、連結装置16のソレノイド76を通電状態にする。それにより、ソレノイド76は、連結部材75を連結位置P1へ回動させ、その結果、連結部材75の係止部78aが第2扉10の被係止部60に係止して第1扉8と第2扉10が連結部材75によって連結される。
【0062】
ところで、駅のプラットホーム100には、異なった種類の列車が入線することが一般的であり、それらの列車の中には、乗降口の設けられている位置が異なるものがある。また、列車が正規の停止位置を越えて行き過ぎたり、正規の停止位置の手前で停止したりして、列車の乗降口の停止位置がずれることもある。これらの場合に、本実施形態では、停止した列車の各乗降口の位置に合わせて可動柵1の各乗降用開口を形成する位置を変更するようになっており、そのためにプラットホーム100の軌道側の縁部に沿った各戸袋ユニット2の戸袋4の配列を変更する。以下、この戸袋4の配列の変更時における可動柵1の動作について説明する。
【0063】
総合制御装置3には、プラットホーム100に到着する列車の情報が情報伝送装置80から送られる。総合制御装置3は、この情報伝送装置80から送られる列車の情報に応じて、その列車の乗降口に対応した可動柵1の乗降用開口の形成位置を導出し、現在の乗降用開口の位置がその導出した乗降用開口の形成位置から外れている場合には、戸袋4の配列を変更して乗降用開口の形成位置を変更することを決定する。また、列車の停止位置が規定の停止位置からずれた場合には、総合制御装置3は、停止位置検出装置82によって検出された列車の停止位置の情報に基づいて正規の停止位置に対する実際の列車の停止位置のずれ量を導出し、そのずれが解消されるように戸袋4の配列を変更して乗降用開口の形成位置を変更することを決定する。
【0064】
総合制御装置3は、プラットホーム100の縁部に沿った戸袋4の配列を変更するときには、各戸袋ユニット2の個別制御装置22にソレノイド76、第1扉用モータ62、第2扉用モータ72及び戸袋用モータ32の動作の制御のための指令信号を送る。各戸袋ユニット2の個別制御装置22は、総合制御装置3からの指令信号に応じて、その戸袋ユニット2の連結装置16のソレノイド76を通電状態に維持して連結部材75を連結位置P1に保持するとともに、その戸袋ユニット2の第1扉用モータ62及び第2扉用モータ72をフリー状態にする。なお、第1扉用モータ62及び第2扉用モータ72をフリー状態にするとは、第1扉用モータ62及び第2扉用モータ72に電力を供給しない状態にすることであり、この状態では、両モータ62,72の駆動軸は、正逆両方向に回転力を付与されない状態で回転自在となる。そして、戸袋4の配列変更のために移動対象となる戸袋4が属する戸袋ユニット2の個別制御装置22は、総合制御装置3からの指令信号に応じて、その戸袋ユニット2の戸袋4が配列変更後の新たな位置へ移動するように対応する戸袋用モータ32を作動させる。これにより、連結部材75によって隣り合う戸袋ユニット2の第1扉8と第2扉10が連結された状態で、移動対象の戸袋4がプラットホーム100の軌道側の縁部に沿って移動する。
【0065】
具体的には、例えば
図9に示すように各戸袋ユニット2の戸袋4が配列された状態から
図10に示す状態へ戸袋4の配列を変更する場合には、
図9におけるB2、B3、B6及びB7の戸袋4が移動対象であり、B2及びB3の戸袋4が共に左側へ移動するとともにB6及びB7の戸袋4が共に右側へ移動し、その結果、
図10に示すように戸袋4が再配列される。なお、このとき、B1、B4、B5及びB8の戸袋4は、停止したままであり、各戸袋ユニット2の第1扉8及び第2扉10も停止したままである。
【0066】
また、列車の停止位置が正規の停止位置からずれた場合には、各戸袋ユニット2の戸袋4同士の相対的な位置関係は保ったまま、それらの戸袋4全体をプラットホーム100の軌道側の縁部に沿って移動させる場合がある。この場合には、全ての戸袋4が移動対象であり、その移動距離が大きい場合には、移動する戸袋4に引きつられて第1扉8及び第2扉10が移動する。
【0067】
以上のようにして戸袋4の配列が変更され、その結果、乗降用開口の形成位置が列車の乗降口の停止位置に合った位置に変更される。
【0068】
次に、この第1実施形態の可動柵1によって得られる効果について説明する。
【0069】
この第1実施形態では、停電により連結装置16のソレノイド76が非通電状態になると連結部材75がその先端側の自重により連結解除位置P2へ回動する。このため、停電時には、隣り合う戸袋ユニット2の第1扉8と第2扉10の戸先部同士の連結が自動的に解除され、それら各扉8,10を対応する戸袋4側へ退避させて乗降用開口を開くことが可能となる。
【0070】
また、第1実施形態では、連結装置16がプラットホーム100よりも上側の位置に配置されているので、連結装置16に動作不良や故障が生じたときに連結装置16のメンテナンスを容易に行うことができる。具体的には、仮に、プラットホーム100の床面の下側(プラットホームの内部)に連結装置が配置されている場合には、連結装置のメンテナンスを行うためにプラットホーム100の床をはがす必要があり、非常に煩雑な作業になる。これに対して、この第1実施形態では、プラットホーム100の床をはがすことなくプラットホーム100上から例えば第1扉8の第1戸先側端板46を取り外すことによってその第1扉8の戸先部内の連結装置16にアクセスすることができるので、連結装置16のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0071】
また、第1実施形態では、連結装置16のソレノイド76が通電状態になっていてそのソレノイド76により連結部材75が連結位置P1に配置されているときに、解除操作部材18を用いて連結部材75を強制的に連結解除位置P2へ回動させることができる。このため、例えばアクシデントが発生して乗降用開口を閉じている第1扉8及び第2扉10を開く必要が生じた非常時に、連結装置16による第1扉8と第2扉10との連結を強制的に解除してそれらの扉8,10を開くことができる。
【0072】
しかも、この第1実施形態では、解除操作部材18の操作部18aは、第1扉8の戸先部から軌道側へ突出しているので、軌道側から解除操作部材18を操作して連結部材75を連結解除位置P2へ移動させることができる。このため、軌道上の列車内から乗客が非常時に第1扉8と第2扉10の連結状態を解除してそれらの扉8,10を開くことができる。
【0073】
また、この第1実施形態では、解除操作部材18を待機位置から解除動作位置へ操作して連結部材75による扉8,10同士の連結を解除した後、解除操作部材18が付勢部材20の付勢力により自動的に待機位置へ戻される。このため、解除操作部材18を待機位置へ戻すための手間を削減することができるとともに、待機位置への解除操作部材18の戻し忘れを防ぐことができる。
【0074】
また、第1実施形態では、連結部材75が、連結位置P1から連結解除位置P2へ向かうときに下向きに回動して第2連結用開口56a及び第1連結用開口46aを通じて第1扉8の戸先部内に退避するので、乗降用開口を閉じている第1扉8と第2扉10が開かれるときには、連結部材75は第1扉8の戸先部内に退避している。このため、乗降客が乗降用開口を通じて列車に乗降するときに連結部材75に引っ掛かるのを防ぐことができる。
【0075】
また、第1実施形態では、プラットホーム100の軌道側の縁部に沿った各戸袋ユニット2の戸袋4の配列の変更時に、第1扉用モータ62及び第2扉用モータ72をフリー状態にし、戸袋用モータ32を作動させることによって戸袋4を移動させるので、第1及び第2扉用モータ62,72も作動させる場合に比べてモータ32,62,72による消費電力を削減できる。
【0076】
また、仮に、戸袋用モータ32に加えて第1及び第2扉用モータ62,72も作動させる場合には、それら全てのモータ32,62,72の同期制御が必要になり、モータ32,62,72の制御が複雑になるが、当該第1実施形態では、戸袋用モータ32だけを作動させるので、第1及び第2扉用モータ62,72も作動させる場合に比べてモータ32,62,72の制御を簡略化することができる。
【0077】
しかも、この第1実施形態では、戸袋4の配列の変更時に、連結装置16のソレノイド76を通電状態にするため、隣り合う戸袋ユニット2の第1扉8と第2扉10が連結装置16によって連結状態にされる。このため、上記のように戸袋用モータ32だけを作動させて戸袋4だけを移動させたとしても、隣り合う戸袋ユニット2の第1扉8と第2扉10は閉じた状態で維持される。このため、第1扉8と2扉10の閉状態を維持しながら各戸袋ユニット2の戸袋4の配列の変更を実施することができる。
【0078】
(第2実施形態)
次に、
図11及び
図12を参照して、本発明の第2実施形態による可動柵1の構成について説明する。
【0079】
この第2実施形態では、連結装置16の連結部材75がプラットホーム100の床面の下側に配置されているとともに、ソレノイド76が通電時に連結部材75の基端部を押し下げることによって連結部材75を連結位置P1へ駆動するようになっている。
【0080】
具体的には、この第2実施形態では、連結部材75は、走行路102内に配置されている。第1扉8は、第1扉フレーム42の底部に取り付けられた2つの第1扉ローラ支持部84と、その各第1扉ローラ支持部84によって回転自在となるように支持された第1扉用ローラ86とを有している。2つの第1扉ローラ支持部84は、第1扉8の戸先部に相当する位置と第1扉8の戸尻部に相当する位置とに分かれて配置されており、その各位置で第1扉フレーム42の底部に取り付けられている。各第1扉ローラ支持部84は、プラットホーム100上から溝部101を通じて走行路102内に延びている。連結部材75は、第1扉8の戸先部に相当する位置に配置された第1扉ローラ支持部84に取り付けられることによって走行路102内に配置されている。第1扉用ローラ86は、走行路102内でレール103上に載せられており、そのレール103上を転動可能となっている。
【0081】
連結部材75の軸部79は、連結部材本体78の重心の位置よりも基端部寄りの位置に設けられており、第1扉8の進退方向に直交する水平方向に延びている。この軸部79は、回動自在となるように第1扉8の戸先部側の第1扉ローラ支持部84によって支持されている。連結部材75のうち基端部と先端部との間の略中央部から先端部にかけての部分は、第1扉ローラ支持部84の戸先側の端縁から隣りの戸袋ユニット2の第2扉10側へ突出するように配置されている。
【0082】
また、第2扉10は、第2扉フレーム52の底部に取り付けられた2つの第2扉ローラ支持部88と、その各第2扉ローラ支持部88によって回転自在となるように支持された第2扉用ローラ90とを有している。第2扉10における2つの第2扉ローラ支持部88の構成は、第1扉8における2つの第2扉ローラ支持部84の構成と同様であり、第2扉10における第2扉用ローラ90の構成は、第1扉8における第1扉用ローラ86の構成と同様である。この第2実施形態では、2つの第2扉ローラ支持部88のうち第2扉10の戸先側の第2扉ローラ支持部88に被係止部60が設けられている。
【0083】
また、この第2実施形態では、連結装置16は、ソレノイド76のプランジャ76bの動作を連結部材75に伝達するための動作伝達部92を備えている。連結装置本体74は、第1扉フレーム42の内側でその第1扉フレーム42の下部に取り付けられており、その連結装置本体74にソレノイド76が上下方向に延びる姿勢で取り付けられている。動作伝達部92は、細長い板状の部材であり、ソレノイド76の下側で上下方向に延びるように配置されている。動作伝達部92の上端部は、ソレノイド76のプランジャ76bの下端に接続されており、動作伝達部92の下端部は、連結部材本体78の基端部に接続されている。動作伝達部92は、第1扉8の戸先部側の第1扉ローラ支持部84の上面に設けられた支持部94によって上下方向に移動可能となるように支持されている。
【0084】
ソレノイド76は、通電時には、プランジャ76bを下方へ進出させる。それにより、プランジャ76bが動作伝達部92を介して連結部材本体78の基端部を押し下げ、連結部材75を連結位置P1(
図11参照)へ回動させる。一方、ソレノイド76は、非通電時には、プランジャ76bを下方へ進出させるのを停止し、そのプランジャ76bが上側(ソレノイド本体76a側)へ退避するのを許容する。これにより、連結部材75は、連結部材本体78の先端側の自重により下向きに回動し、連結解除位置P2(
図12参照)に配置される。
【0085】
この第2実施形態による可動柵の上記以外の構成は、上記第1実施形態による可動柵の構成と同様である。
【0086】
この第2実施形態では、上記第1実施形態と同様、停電により連結装置16のソレノイド76が非通電状態になると連結部材75が先端側の自重により連結解除位置P2へ自動的に回動するので、停電時に、隣り合う戸袋ユニット2間の乗降用開口を閉じている第1扉8と第2扉10の戸先部同士の連結を解除して乗降用開口を開くことができる。
【0087】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0088】
例えば、上記実施形態では、連結部材は、連結位置と連結解除位置との間で回動するように設けられているが、例えば、連結部材は、連結位置及び連結解除位置の両方で水平姿勢をとり、その連結位置と連結解除位置との間で水平姿勢を保ったまま上下に移動するようにしてもよい。具体的には、連結部材が連結位置に配置された状態の水平姿勢を保ったまま降下し得るように連結装置本体に支持され、ソレノイドは、通電時にその連結部材全体を連結位置に引き上げる一方、非通電時に連結部全体が連結位置に降下するのを許容するようにしてもよい。
【0089】
また、上記実施形態では、本発明の駆動手段の一例としてソレノイドを用いたが、駆動手段としてソレノイド以外の装置を用いて連結部材を駆動してもよい。例えば、モータやエアシリンダー等を、連結部材を駆動するための駆動手段として用いてもよい。
【0090】
また、各戸袋ユニットの扉の戸先部に連結装置が複数ずつ設けられていてもよい。
【0091】
また、上記実施形態では、軌道側に向かって左側に進出する扉を第1扉とし、軌道側に向かって右側に進出する扉を第2扉としたが、第1扉と第2扉は互いに逆であってもよい。すなわち、軌道側に向かって右側に進出する扉を第1扉とし、軌道側に向かって左側に進出する扉を第2扉としてもよい。この場合には、軌道側に向かって右側に進出する第1扉の戸先部に連結装置を設け、軌道側に向かって左側に進出する第2扉の戸先部に被係止部を設ければよい。
【0092】
また、上記第1実施形態では、第1扉と第2扉が両方とも戸袋本体内に退避するときには、第1扉が第2扉の内側に入り込むようにしたが、それらの関係は逆であってもよい。
【0093】
また、連結部材が連結解除位置に配置された状態で、連結部材本体の先端部側は、第1扉の戸先部から突出してもよい。
【0094】
また、上記実施形態では、戸袋用モータの動力をプーリと駆動ベルトを用いて戸袋に伝達する戸袋動力伝達機構を採用したが、これに限定されるものではない。例えば、戸袋用モータの動力が伝達されてその軸回りに回転するボールネジと、そのボールネジに螺合するとともに戸袋に接続され、ボールネジの回転に応じてボールネジの軸方向に移動するスライダ(ボールナット)とを用いた戸袋動力伝達機構を採用してもよい。