特許第5876903号(P5876903)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5876903
(24)【登録日】2016年1月29日
(45)【発行日】2016年3月2日
(54)【発明の名称】ハウジング壁へ取付けるグロメット
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/00 20060101AFI20160218BHJP
【FI】
   H05K7/00 L
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-155110(P2014-155110)
(22)【出願日】2014年7月30日
(65)【公開番号】特開2015-32832(P2015-32832A)
(43)【公開日】2015年2月16日
【審査請求日】2014年8月6日
(31)【優先権主張番号】13401085.9
(32)【優先日】2013年8月5日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】599060799
【氏名又は名称】コニンフェールス ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100066061
【弁理士】
【氏名又は名称】丹羽 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100177437
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 英子
(74)【代理人】
【識別番号】100143340
【弁理士】
【氏名又は名称】西尾 美良
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンデル,ヒーベル
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン,ザーム
【審査官】 飯星 潤耶
(56)【参考文献】
【文献】 実開平07−014583(JP,U)
【文献】 特開2003−197314(JP,A)
【文献】 特開2008−198594(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/02,7/00
H01R 13/74
H02G 15/013
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気装置のハウジングの壁(18)に装着するグロメット(1)であって、
コンタクトを有するプラグ部(26)が挿入される、フランジ状の突合わせ部(6)を有する取付けスリーブ(2)と、取付けスリーブ(2)の少なくとも一部に外側から噛み合うテンション部材(3′)とを含んで構成され、
プラグ部(26)は、取付けスリーブ(2)にねじ込まれるねじ込みスリーブ(28)を有するソケットと連結されるように構成され、
突合わせ部(6)は、取付けスリーブ(2)を挿入する壁(18)の開口部(21)を封止する弾性環状シール(5)を備え、
テンション部材(3′)が取付けスリーブ(2)と噛み合うことにより、取付けスリーブ(2)の突合わせ部(6)が環状シール(5)と共に壁(18)に押圧される方向に力が働き、
テンション部材(3′)は、取付けスリーブ(2)の外側に形成された被係止手段(12)と噛み合う、内方に突出する少なくとも1つの係止手段(17)を有する円筒状のテンションスリーブ(3)であり、
取付けスリーブ(2)は、プリント基板に半田付けされプラグ部(26)が挿入されるように形成され、ねじ込みスリーブ(28)の外ネジ(29)と螺合する内ネジ(10)を有し、且つ空隙(8)により分割された軸方向に伸長する複数のスリーブ片(7)を有し、
テンションスリーブ(3)は、取付けスリーブ(2)の空隙(8)を通って取付けスリーブ(2)の内側へと突出する、側方に伸長する側方ウェブ(14)を内側に有し、且つねじ込みスリーブ(28)を取付けスリーブ(2)にねじ込むことにより、テンションスリーブ(3)が突合わせ部(6)の方向に動かされて、ねじ込みスリーブ(28)がテンションスリーブ(3)の側方ウェブ(14)を押圧することを特徴とする電気装置のハウジングの壁に装着するグロメット。
【請求項2】
取付けスリーブ(2)の内ネジ(10)はスリーブ片(7)の内壁(9)に形成され、取付けスリーブ(2)の被係止手段(12)がスリーブ片(7)の外壁(11)に形成されることを特徴とする請求項1に記載の電気装置のハウジングの壁に装着するグロメット。
【請求項3】
テンションスリーブ(3)はその内側に、プラグ部(26)の差込み部分(25)が挿入される円筒状の案内スリーブ(13)を有し、案内スリーブ(13)は側方ウェブ(14)に一体的に形成され、テンションスリーブ(3)と案内スリーブ(13)との間に環状空隙(31)が形成されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電気装置のハウジングの壁に装着するグロメット。
【請求項4】
可撓テンションリング(4)が、突合わせ部(6)とテンションスリーブ(3)との間に装着されていることを特徴とする請求項1に記載の電気装置のハウジングの壁に装着するグロメット。
【請求項5】
取付けスリーブ(2)が挿入される壁(18)の開口部(21)の径は、取付けスリーブ(2)の径よりも大きく形成され、
弾性環状シール(5)はシール効果を有し、且つ取付けスリーブ(2)が横方向に可動であるように、テンションスリーブ(3)が取付けスリーブ(2)を壁(18)に対して予備的に押圧する第一の係止位置に設定されることを特徴とする請求項1に記載の電気装置のハウジングの壁に装着するグロメット。
【請求項6】
ねじ込みスリーブ(28)を取付けスリーブ(2)にねじ込むことにより、前記第一の係止位置が解除されることを特徴とする請求項5に記載の電気装置のハウジングの壁に装着するグロメット。
【請求項7】
ねじ込みスリーブ(28)を取付けスリーブ(2)にねじ込むことにより、取付けスリーブ(2)が壁(18)を封止するように壁(18)に押圧されることを特徴とする請求項1に記載の電気装置のハウジングの壁に装着するグロメット。
【請求項8】
テンションスリーブ(3)が樹脂材料から形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電気装置のハウジングの壁に装着するグロメット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウジング壁へ取付けるグロメットに関する。グロメットは、コンタクトを有するプラグ部が挿入される、フランジ状の突合わせ部を有する取付けスリーブと、その取付けスリーブの少なくとも一部に外側から螺合するテンション部材とを含んで構成される。前記プラグ部は、前記取付けスリーブにねじ込まれるねじ込みスリーブを有するソケットと連結されるように構成され、前記突合わせ部は、前記取付けスリーブを挿入する壁の開口部を封止する弾性環状シールを備え、前記テンション部材が前記取付けスリーブと螺合することにより、前記取付けスリーブの突合わせ部が環状シールと共に前記壁に押圧される方向に力が働き、前記テンション部材は、前記取付けスリーブの外側に形成された被係止部材と噛み合う、内方に突出する少なくとも1つの係止手段を有する円筒状のテンションスリーブとして形成されている。
【背景技術】
【0002】
電気及び電子装置は、一部をハウジングの外側に出して導線との連結をし易くした差込み式コネクターを備えることもある。この目的のために、組み上がった状態において、壁に固定して壁を貫通するグロメットが知られている。このようなグロメットは、周囲に環状のカラーを備え、壁にねじ込む方式の壁との間にシールを備えた環状取付けスリーブとして設計されることがある。この取付けスリーブは、例えばピン状及び/又はブッシュ状のプラグを有する絶縁体のような、コンタクトを備えたプラグ部が挿入されるように構成されている。プラグ部は、結線を介してプリント基板に連結するか又は直接に半田付けしてもよい。プラグ部が半田付けされたプリント基板は、直接にハウジング壁に固定するか、又はプラグ部が差込み分部分と共に取付けスリーブ内に突出するように、ハウジング壁に近接した位置に配置される。突合せ部として使われる取付けスリーブの環状カラーは、装置の壁の内側又は壁の外側に在ってもよい。既存のグロメットの取付けスリーブは、プリント基板がハウジングに装着される前に壁にネジ止めされることが多い。
【0003】
製造工程では、プリント基板の固定部材及びハウジングの取付けスリーブの開口の位置、並びにプリント基板のプラグ部の位置は、プラグ部の取付けスリーブの中心軸からずれの許容差に支配される。プラグ部の位置が、設計と合わないと、プリント基板に装着した差込み部分を取付けスリーブへの嵌合させる際に、問題が生ずる。ずれの程度によっては、プラグ部が取付けスリーブに挿入できないか、又は偏心してしか挿入できないので、同心状に整列するには取付けスリーブの径方向の再調整が必要となる。複数のプラグ部がプリント基板に装着され、それぞれに取付けスリーブが割り当てられている場合に、この問題が生ずる可能性が高い。
【0004】
特許文献1は、パネル状の物体に取付けるグロメットとしての差込み式コネクター用のソケットを開示している。該ソケットは、コンタクトが配置された絶縁体を備え、絶縁体の両側から差込み式コネンクターが差込まれるように構成されている。ソケットは、絶縁体が装着され固定スリーブを備え、固定スリーブの外部にほぼ同心となるように、環状カラーを備え、環状カラーを介して係止部材が固定スリーブを動かないように固定するように構成されている。係止部材は、一体的に形成された多数の空隙を有する係止リング及び内側に突出する複数の係止突起を有している。封止及びずれを補償するために、封止リングが固定スリーブの環状前面と壁の間に装着され、係止部材が固定スリーブを係止すると押圧される。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のグロメットは、係止機構が多数の部品から成り複雑な構造となり、パネルなどへの取付けに手間が掛ること並びにグロメットを径方向へ動かして偏心の無いように調整することが難しいとの問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国実用新案第20315666号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の従来技術の問題に鑑み、本発明では、寸法が変化しても問題無く、壁に仮装着した取付けスリーブに、プリント基板に半田付けされたプラグ部を正確に挿入できるグロメットを提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、以下の(1)〜()のいずれかの構成により解決される。
【0009】
(1)電気装置のハウジングの壁に装着するグロメットであって、コンタクトを有するプラグ部が挿入される、フランジ状の突合わせ部を有する取付けスリーブと、前記取付けスリーブの少なくとも一部に外側から噛み合うテンション部材とを含んで構成され、前記プラグ部は、前記取付けスリーブにねじ込まれるねじ込みスリーブを有するソケットと連結されるように構成され、前記突合わせ部は、前記取付けスリーブを挿入する前記壁の開口部を封止する弾性環状シールを備え、前記テンション部材が前記取付けスリーブと噛み合うことにより、前記取付けスリーブの突合わせ部が前記環状シールと共に前記壁に押圧される方向に力が働き、前記テンション部材は、前記取付けスリーブの外側に形成された被係止手段と噛み合う、内方に突出する少なくとも1つの係止手段を有する円筒状のテンションスリーブであり、前記取付けスリーブは、プリント基板に半田付けされ前記プラグ部が挿入されるように形成され、前記ねじ込みスリーブの外ネジと螺合する内ネジを有し、且つ空隙により分割された軸方向に伸長する複数のスリーブ片を有し、前記テンションスリーブは、前記取付けスリーブの空隙を通って前記取付けスリーブの内側へと突出する、側方に伸長する側方ウェブを内側に有し、且つ前記ねじ込みスリーブを前記取付けスリーブにねじ込むことにより、前記テンションスリーブが前記突合わせ部の方向に動かされて、前記ねじ込みスリーブが前記テンションスリーブの側方ウェブを押圧することを特徴とする電気装置のハウジングの壁に装着するグロメット。
【0010】
(2)前記取付けスリーブの内ネジは前記スリーブ片の内壁に形成され、前記取付けスリーブの被係止手段が前記スリーブ片の外壁に形成されることを特徴とする前記(1)に記載の電気装置のハウジングの壁に装着するグロメット。
【0011】
(3)前記テンションスリーブはその内側に、前記プラグ部の差込み部分が挿入される円筒状の案内スリーブを有し、前記案内スリーブは前記側方ウェブに一体的に形成され、前記テンションスリーブと前記案内スリーブとの間に環状空隙が形成されることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の電気装置のハウジングの壁に装着するグロメット。
【0012】
(4)可撓テンションリングが、前記突合わせ部と前記テンションスリーブとの間に装着されていることを特徴とする前記(1)に記載の電気装置のハウジングの壁に装着するグロメット。
【0013】
(5)前記取付けスリーブが挿入される前記壁の開口部の径は、前記取付けスリーブの径よりも大きく形成され、前記弾性環状シールはシール効果を有し、且つ前記取付けスリーブが横方向に可動であるように、前記テンションスリーブが前記取付けスリーブを前記壁に対して予備的に押圧する第一の係止位置に設定されることを特徴とする前記(1)に記載の電気装置のハウジングの壁に装着するグロメット。
【0014】
(6)前記ねじ込みスリーブを前記取付けスリーブにねじ込むことにより、前記第一の係止位置が解除されることを特徴とする前記(5)に記載の電気装置のハウジングの壁に装着するグロメット。
【0015】
(7)前記ねじ込みスリーブを取付け前記スリーブにねじ込むことにより、前記取付けスリーブが前記壁を封止するように前記壁に押圧されることを特徴とする前記(1)に記載の電気装置のハウジングの壁に装着するグロメット。
【0017】
)前記テンションスリーブが樹脂材料から形成されていることを特徴とする前記(1)に記載の電気装置のハウジングの壁に装着するグロメット。
【発明の効果】
【0018】
本発明により、ソケットが無くても、壁を封止して側方に可動な状態に予備的に装着でき、且つ工具を使わずに壁に装着できるグロメットの提供が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1a】本発明によるグロメットの一例の組み上がった状態を示す側面図
図1b図1aに示すグロメットの分解斜視図
図2図1に示すグロメットのハウジングの壁への取付け方を説明する斜視図
図3a】取付けスリーブの拡大斜視図
図3b】取付けスリーブの拡大平面図
図4a】テンションスリーブの上方からの斜視図
図4b】テンションスリーブの下方からの斜視図
図5a】本発明によるグロメットがハウジングの壁に装着された状態を示す断面図
図5b図5aのグロメットのプラグ部にソケット部がねじ込まれた状態を示す断面図
図6図5bのグロメットがハウジングの壁に固定された状態を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明によるグロメットの基本的な考え方は、取付けスリーブの外径を、壁の開口部よりやや小さくして、グロメットが壁を封止し、横方向に可動に壁に予め付勢されており、一旦プラグ部が挿入されると、動かないように固定されるグロメットを提供することにある。環状であり取付けスリーブの周りに伸長する突合わせ部は、壁の内側に配置され、取付けスリーブの周りに装着されるテンション部材は、壁の外側に配置される。
【0021】
本発明のグロメットのテンション部材は、円筒状のテンションスリーブとして形成されている。テンションスリーブは、取付けスリーブの外側に形成された少なくとも1つの被係止手段と噛み合う少なくとも1つ内方に突出した係止手段を有している。係止手段と被係止手段は、ハウジングの壁に仮止めされた取付けスリーブが横方向に可動であるように、形成され配置されている。壁の内側の突合わせ部内に環状シールが装着され、取付けスリーブが側方へ変位できる程度に、突合わせ部と共に壁を押圧しており、必要に応じて僅かな力により、取付けスリーブとプラグ部の差込み部分が適合するように調整できる。当然のことながら、突合わせ部及び環状シールの径は、壁の開口部の径よりも十分に大きく選定する。一旦差込み部分が取付けスリーブに挿入されると、取付けスリーブ又はテンションスリーブに一体的に形成された固定手段により、取付けスリーブをハウジングの壁に動かないように固定できる。グロメットの一部ではない固定手段を、例えば装置の壁又はソケット部に形成してもよい。ソケット部に形成された固定手段は、引抜きできないようにグロメットに連結される。この場合、固定手段は、直接に壁に保持されるか、テンションスリーブを介して壁に保持されて、取付けスリーブに力が加えられて壁の方向に動き、終には突合わせ部が壁に固く押圧される。テンションスリーブは、金属又は樹脂製であり、横方向に少なくとも1部が可撓性であることが好ましい。
【0022】
本発明の取付けスリーブは、ソケット部のねじ込みスリーブの外ネジに対応する内ネジを有している。取付けスリーブは、軸方向に伸長する空隙により分割された複数のスリーブ片を備えるように形成される。横方向に伸長する側方ウェブが、テンションスリーブの内側に形成され、取付けスリーブの空隙を経て取付けスリーブの内側に突出する。このような構成により、ねじ込みスリーブを取付けスリーブへとねじ込むことにより、テンションスリーブは突合わせ部の方向へ動かされ、ねじ込みスリーブは、テンションスリーブの側方ウェブを押す。本発明のグロメットは、プリント基板に半田付けされ配置されたプラグ部が挿入できるように設計されている。
【0023】
取付けスリーブは、ねじ込みスリーブの外ネジに対応する内ネジを有している。この構成は、プラグ部の差込み部分と内壁の間に環状の空間が形成され、その空間にねじ込みスリーブの外ネジを有するねじ込み部分が挿入できることを意味する。このようにして、ねじ込みスリーブにより、ソケットの引き抜きが防止される。ソケット部のねじ込みスリーブが、取付けスリーブにねじ込まれるにつれて、ねじ込みスリーブのねじ込み部分はその前面が、テンションスリーブの側方ウェブに保持されて、テンションスリーブは取付けスリーブの突合わせ部の方向に動く。このようにして、ねじ込みスリーブのねじ込み部分は、突合わせ部を壁に押圧する固定手段として作動する。このようにして、テンションスリーブは、可撓性テンションリングを介してか又は直接に外側から壁に支えられる。ねじ込みスリーブが、取付けスリーブにねじ込まれるにつれて可撓性テンションリングはより付勢される。テンションスリーブが軸方向に変位するため、壁の内側のシール対する圧力が増大して、封止効果が増すと共に、取付けスリーブは壁に開口部に対して側方に動けないように固定される。取付けスリーブ及びテンションスリーブの設計により、ソケット部がグロメットから外されても、シールに対する圧力は保持される。
【0024】
一実施態様では、テンションスリーブの内側に、プラグ部の差込み部分用の円筒状の案内スリーブを有している。該案内スリーブは、側方ウェブに一体的に形成され、側方ウェブに保持され、テンションスリーブと案内スリーブの間の環状の空間を制限している。案内スリーブの外側は、プラグ部の差込み部分を側方から支えるように差込み部に接することが好ましい。このようにして、プラグ部の差込み部分と取付けスリーブとの配列が安定化する。
【0025】
本発明の特徴は、突合わせ部とテンションスリーブの間に可撓性テンションリングを配置したことであり、テンションスリーブが取付けスリーブに係止されると、所定の低い圧力により、必要に応じて取付けスリーブがまだ横方向に動かせる程度に、弾性のあるシールを壁に押圧する。
【0026】
好適な一実施態様では、テンションスリーブが取付けスリーブを予備付勢して壁に押圧してシール効果はあるが、取付けスリーブが横方向に可動な第1の係止位置が設定される。取付けスリーブは、取付けスリーブよりも大きな径の開口部に取付けられ、取付けスリーブと開口部の縁の間に環状空隙が形成されて、取付けスリーブを側方へ変位させて、プラグ部との配列の調整ができる。この空隙は、許容差に基づいて算出される。
【0027】
ねじ込みスリーブを取付けスリーブにねじ込むことにより、テンションスリーブと取付けスリーブとの第1の係止位置が解除される。ねじ込みスリーブが取付けスリーブにねじ込まれるにつれて、ねじ込みスリーブのねじ込み部分は、係止を解除するのに十分な力をテンションスリーブの係止手段及び/又は取付けスリーブの被係止手段に伝達する。係止手段又は被係止手段を損傷することなく係止が解除されるので、以後においても、テンションスリーブと取付けスリーブを第1の係止位置で保持することが可能である。
【0028】
他の実施態様では、テンションスリーブと取付けスリーブの第2の係止位置を設定できる。第2の係止位置は、第1の係止位置よりも突合わせ部に近く、ねじ込みスリーブがグロメットから外されると、テンションスリーブは取付けスリーブに対して軸方向に動けないように固定される。この場合、第2の係止位置は、解除できないか、又は工具を用いた場合にのみ解除できることが好ましい。
【0029】
本発明の特徴は、ソケットが無くても、壁を封止して側方に可動な状態にグロメットを予備的に装着できることにある。更に、工具を使わずに装着ができることも特徴である。本発明によるグロメットは、壁の厚さが変わっても直接に使用できるか、又は簡単に適合できる。
【0030】
以下、図面を用いて本発明による実施例の特徴及び長所を説明する。
【実施例】
【0031】
図1aは、フランジ状の取付けスリーブ2、テンション部材3′としての筒状のテンションスリーブ3、可撓性テンションリング4及び弾性の環状シール5から成るグロメット1の一例を示す。図1aは、組み上がった状態のハウジング取り付型のグロメット1の側面図であり、図1bは、分解斜視図である。図1aに図示されている環状シール5は、図1bでは、取付けスリーブ2に連結されてその周囲に拡がる突合わせ部6に隠れている。取付けスリーブ2は、空隙8により2つのスリーブ片7に分割されている。スリーブ片7はその内壁9に内ネジ10が形成され、外壁11に環状溝として形成された被係止手段12を備えている。テンションスリーブ3は、複数の側方ウェブ14を介してテンションスリーブ3に連結されて一体的に形成された案内スリーブ13を備えている。テンションスリーブ3の案内スリーブ13から離れた端は分割された形状となっている。テンションスリーブ3は、縦方向のスロット16により分割された2つの可撓性脚部15を有する。脚部15の自由端には、内側へと突出する係止手段17(図4a参照)が形成され、取付けスリーブ2の外側に形成された被係止手段12と噛合うように構成されている。
【0032】
図2は、図1のグロメット1のハウジング(不図示)の壁18への取付け方を示す。壁18は内側19及び外側20を有する。壁18の内側19は(不図示の)装置の内部である。壁18は取付けスリーブ2を受容する開口部21を有する。開口部21は、円筒状の取付けスリーブ2に対応した円形である。突合わせ部6に装着された環状シール5を備えた取付けスリーブ2を壁の内側19から開口部21に挿入し、環状シール5が内側19に押圧されるまで押し込んで、グロメット1を壁18に装着する。次いで可撓性テンションリング4を外側20から取付けスリーブ2に嵌め込んで、テンションスリーブ3を取付けスリーブ2の外側と噛み合うように組み込む。組み込みの際には、テンションスリーブ3の側方ウェブ14が、取付けスリーブ2の空隙8に合うように配置する。
【0033】
図3aは、取付けスリーブ2の拡大斜視図で、図3bは拡大平面図である。図3aから、取付けスリーブ2の空隙8は、突合わせ部6の近くまで伸長していることがわかる。図3aには、環状シール5を示さずに、突合わせ部6が、環状シール5を受ける環状凹部22を備えていることを示している。取付けスリーブ2の突合わせ部6から離れた端部に、テンションスリーブ3の係止手段17に噛み合うスリーブ片7の被係止手段12が示されている。被係止手段12は、取付けスリーブ2の周方向に伸長する溝として形成されている。図3bは、スリーブ片7及び空隙8を備えた取付けスリーブ2を上から見た図であり、突合わせ部6及び凹部22に装着された環状シール5も示されている。
【0034】
図4aは、テンションスリーブ3を上方から見た斜視図であり、可撓性脚部15が示され、その自由端には取付けスリーブ2の被係止手段12と噛み合う係止手段17を備えている。軸方向に伸長するスロット16により、脚部15がテンションスリーブ3の固定脚部23から分離されている。2つの固定脚部23の内側に突出した案内ウェブ24が軸方向に伸長し、案内スリーブ13を保持する側方ウェブ14と連結している。図4bは、テンションスリーブ3を下方から見た斜視図である。図4bでは、側方ウェブ14及び案内スリーブ13が図4aよりもよく見える。この図では、テンションスリーブ3と案内スリーブ13の間の環状空隙31が見える。この環状空隙31は、組立の際に、スリーブ片7を受けるように構成されている。
【0035】
図5aは、グロメット1が壁18に装着され、プラグ部26の差込み部分25が挿入された状態の断面図であり、差込み部分25に嵌合するソケット部を省略してある。プラグ部26は、プリント基板27に装着されている。突合わせ部6は、環状リング5と共に壁18に押圧され、取付けスリーブ2が壁18の外側に突出している。取付けスリーブ2は、その被係止手段12がテンションスリーブ3の係止手段17と噛み合うことにより、テンションスリーブ3を第1の係止位置に保持する。可撓性テンションリング4が、壁18とテンションスリーブ3の間に配置されている。テンションスリーブ3は、可撓性テンションリング4を予め付勢して突合わせ部6を壁18の内側に押圧する。被係止手段12と係止手段17は、テンションスリーブ3が壁18の外側20を押圧するまで、軸方向に突合わせ部6の方向に変位できるように構成されている。
【0036】
図5bは、図5aのグロメット1のプラグ部26にソケット部のねじ込みスリーブ28をねじ込んだ状態を示す。ねじ込みスリーブ28が取付けスリーブ2へとねじ込まれるにつれて、テンションスリーブ3は突合わせ部6の方向に動かされる。このため、ねじ込みスリーブ28の先端部分の外側に、取付けスリーブ2の内ネジ10に適合する外ネジ29が形成されている。図では、外ネジ29が形成されたねじ込みスリーブ28の先端部30は、シールリング32を介してその前面が側方ウェブ14及び案内スリーブ13を押圧して、テンションスリーブ3が突合わせ部6の方向へ動かされる。可撓性テンションリング4は、テンションスリーブ3により押圧されて平らになる。
【0037】
図6は、プラグ部26の差し込み部分25が取付けスリーブ2に挿入されて、グロメット1が壁18に固定された状態を示す側面図である。突合わせ部6は環状シール5と共に壁18に押圧される。このため、ねじ込みスリーブ28が取付けスリーブ2へねじ込まれてテンションスリーブ3の前面が壁18を押圧する。この図から、テンションスリーブ3は、取付けスリーブ2に対して第1の係止位置から突合わせ部6の方向へ変位していることがわかる。この図及び図5から、テンションスリーブ3の係止手段17は、取付けスリーブ2の被係止手段とは噛み合っていないことがわかる。
【符号の説明】
【0038】
1 グロメット
2 取付けスリーブ
3 テンションスリーブ
4 可撓性テンションリング
5 環状シール
6 突合わせ部
7 スリーブ片
8 空隙
9 (スリーブ片の)内壁
10 (内壁の)内ネジ
11 (スリーブ片の)外壁
12 被係止手段
13 案内スリーブ
14 側方ウェブ
15 可撓性脚部
16 スロット
17 係止手段
18 (ハウジングの)壁
19 (壁の)内側
20 (壁の)外側
21 開口部
22 環状凹部
23 固定脚部
24 案内ウェブ
25 差し込み部分
26 プラグ部
27 プリント基板
28 ねじ込みスリーブ
29 (ねじ込みスリーブの)外ネジ
30 (ねじ込みスリーブの)先端部
32 シールリング
図1a
図1b
図2
図3a
図3b
図4a
図4b
図5a
図5b
図6