【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明により、可撓性の医療用微小電極、微小電極の束、及び微小電極若しくは微小電極束のアレーであって、薬物及び/又は遺伝子ベクターを、該電極、該束又は該アレーが挿入された組織に放出する手段を含むものが開示される。以下に、用語「薬物」は「遺伝子ベクター」をも含むことが意図される。本発明の微小電極は、単一電極であるか又は本発明の電極束若しくは電極束アレーに含まれるかに関係なく、導電性電極本体、及び、組織に挿入する間、該電極本体を安定化する非導電性電極マトリックス要素を含む。該電極マトリックス要素は、組織中で、即ち体液中で、溶解性及び/又は分解性の材料から成るか又は該材料を含む。薬物及び/又は遺伝子ベクターを放出する該手段は、本発明のマトリックスであるか、又は該マトリックスに含まれ、例えば本発明のマトリックス中に分散された粒子、又はマトリックスの溶解若しくは分解中に体液に接触すると該薬物の水溶液を形成することができる該マトリックスの部分、に含まれる。該粒子は薬物粒子又は該薬物を含む担体粒子であり得、例えば該薬物を含むミクロカプセル又は多孔性若しくは層状の微小球であり得る。該薬物が本発明のマトリックスに結合しているか、又は体液に接触すると開裂する、特に酵素の作用により加水分解して開裂する、結合剤により本発明のマトリックス中に分散された粒子に結合するのも、本発明の範囲内である。該薬物又は薬物含有粒子は、該マトリックス要素全体に分散していても、又は該マトリックス要素の部分、特に電極先端を囲むマトリックス要素部分、に分散していてもよい。それらの分散は均一であるか、又は濃度勾配を形成するようであってもよい。
【0016】
本発明の微小電極本体は、尖った又は丸まった先端、或いは球状の先端を含む遠位電極先端セクション、該先端セクションから近位方向に延びる主本体セクション、及び任意に、該主本体セクションから近位方向に延びる近位カップリングセクションを含む。「遠位」又は「第1」又は「近位」又は「第2」とは、電極先端を最も先にして該電極を組織に挿入する方向に関連する。本発明の微小電極を、そのまま又は電極束又は電極若しくは電極束のアレーとして組織に挿入し、そして電極マトリックス要素が体液により溶解又は分解すると、そして電極束又は電極若しくは電極束のアレーの場合、体液による該電極束若しくはアレーのマトリックスが(追加して)溶解すると、本発明の電極は軟質組織に配置された微小電極に変換する。該電極本体、特にその先端セクション、は、電極本体を組織内に固定する手段、例えばフック、を含むのが好ましい。
【0017】
該電極本体のセクションは絶縁されているのが好ましい。特に好ましいのは、主本体セクション又はその主要部分が絶縁され、一方先端セクションは絶縁されていない絶縁スキームである。
【0018】
該電極本体の直径、特にその主要部分の直径は、約10
−7〜約10
−4mであるのが好ましい。該電極本体から横に延びる要素、例えば組織内に固定するためのフック、を除いて、電極主本体セクションは均一な直径を有するのが好ましい。特に、該主本体セクションは横断部が円形である。該主本体セクションは円筒状か、又は(円筒状)金属ワイアを曲げて製造するのが好ましい。或いは、該主本体セクションは好ましくは平らで、横断面が矩形である。平らな薄い本体セクションを有する電極は、例えば、電気絶縁性支持体への金属薄層に適用されるリトグラフエッチング技術により製造できる。或いは、1つ又はそれ以上の電導性層と1つ又はそれ以上の電気絶縁層から成り得る平らな薄い本体セクションは、例えばレーザーカッティングにより、対応する層状シート材料から切り取ることができる。かかる層の各層を、導電性部分と電気絶縁部分から構成することも可能である。しかしながら、これらの前述の幾何学的構造(geometries)以外の他の構造は本発明から除かれない。
【0019】
本発明の好ましい側面によると、微小電極は近位カップリングセクションを欠き、電極本体と電極制御ユニット(装置)との間に電気的接続を確立するために、主本体セクションは導電体と一体である。好ましくは、電極本体と導電体とは同じ材料であり、例えば良導電体の薄い金属ワイアである。近位カップリングセクションがないと、本発明の電極本体の公称長さは電極マトリックス内のその埋め込まれた長さである。近位カップリングセクションがない態様では、電極本体の近位末端はマトリックスの近位末端により規定される。
【0020】
使用に際して、本発明の電極は、単一電極として使用されるか又は電極束又は電極若しくは電極束のアレーから構成されるかに関係なく、制御ユニットに電気的に接続される。本発明の制御ユニットは電流を電極に供給し、そして/又は、電極が挿入された組織内に生じる、電流又は該電極により伝達される電位を検出する。本発明の制御ユニットは、マイクロプロセッサーと、該マイクロプロセッサーの記憶装置に貯蔵された制御ソフトウェアとを含む。
【0021】
本発明の制御ユニットは、本発明の電極、電極束又は電極若しくは電極束のアレーを備えた人又は動物の内側又は外側に配置できる。それは本発明の電極と、導電性リード線により導電的に接触するか、又はそれは放射性手段により接触することができる。該制御ユニットは本発明の電極と、電極本体、電極束又は電極若しくは電極束のアレーの近位部分に配置された小型マイクロプロセッサーの形態で、一体化することも可能である。該マイクロプロセッサーは電極先端に近い軟質組織に生じる電流又は電位を記録し、そして該記録を記憶装置に貯蔵し得、その記録は、例えば組織から取り出した後、読み取ることができる。
【0022】
本発明は更に、組織保護薬物を、挿入された電極を取り囲む組織に投与することが電極の使用に有利であり得るとの考察に基づく。
【0023】
更に本発明は、組織保護薬物以外の薬物を、挿入された電極を取り囲む組織に投与することが電極の使用に有利であり得るとの考察に基づく。
【0024】
本発明の電極を介した薬物投与は1種の薬物に限定されない。2種又はそれ以上の薬物を同時に又は連続的に投与することも可能である。該2種又はそれ以上の薬物は単一電極マトリックス要素に位置しても、又は電極マトリックス要素の色々な区分(コンパートメント)又は部分に位置してもよい。ここで該コンパートメントは、単一マトリックス材料により構成されているか、又は種々のマトリックス材料で構成されている。本発明のマトリックス要素が2つ又はそれ以上のコンパートメントを含む場合、該コンパートメントは電極本体若しくはその一部分に沿って延びる回転対称的層内に配置するか、又はそれぞれが電極本体の一部分に沿って延びる、隣接するマトリックスセクションに配置するのが有利である。単一電極、電極束及び電極若しくは電極束のアレーを、体液に溶解性又は分解性の固体電極マトリックスに埋め込むことにより、非常に繊細な電極本体、例えばミクロメートル又はナノメートル範囲の電極本体、を良好な状態で組織に挿入できる。従って、本発明の電極マトリックス要素を配置する一つの目的は、本発明の電極、電極束及び電極若しくは電極束のアレーを組織に挿入することに備え、一方電極本体と先端、そしてもし存在する場合は、該電極先端又は本体から延びる組織保持要素、例えばフック、の一体性を保護することである。挿入を容易にするために、該電極マトリックス要素は遠位方向に狭くなるのが好ましい。その遠位末端で、電極マトリックス要素は丸い又は尖った先端の形態を有するのが好ましい。該先端は円錐形又はほぼ円錐形であり得るが、平らであってもよい。対照的に、本発明の多数の電極又は電極束を封じ込めて電極又は電極束のアレーを形成するマトリックスは、アレーマトリックス要素と呼ばれ、ここで、該電極又は該電極束は1種又はそれ以上の電極マトリックス要素を含みそして既にそれに埋め込まれている。
【0025】
電極及び/又は電極マトリックス、電極束及び/又は電極束マトリックス、電極アレー又は電極束アレー及び/又は対応するマトリックスの好ましい軸長、即ち、電極を組織に挿入しようとする方向の長さ、は100mm若しくはそれ未満、又は50mm若しくはそれ未満、又は15mm若しくはそれ未満である。例外的に、該電極、電極アレー、電極束及び/又は対応するマトリックスのいずれかの軸長は100mmを越える。
【0026】
最も重要なのは、本発明の電極マトリックス要素は、電極本体上の薄い被膜ではなく、先端を含めて電極本体、及び存在する場合は組織保持要素を、組織への挿入中にそして挿入後に所望の時間、物理的に安定化する要素であることである。電極及び電極束を封鎖しそして安定化する本発明の電極マトリックス要素は、好ましくは回転対称性である。好ましい形状は、尖った先端と平らな後部ベースとを有する非常に小さい発射体の形状である。電極マトリックス要素は、電極又は電極束に対して回転対称的に、その長手軸を電極本体又は電極束の長手軸と共有して配置されるのが好ましい。従って、本発明の電極マトリックス要素は好ましくは、その長手軸を横断する断面が円形又は楕円形である。本発明によると、本発明の電極マトリックスの横断直径又は短い楕円形直径が、それに封鎖される電極本体の直径よりも実質的に大きい、例えば2倍、5倍、10倍及び25倍又はそれ以上大きいのが好ましい。
【0027】
本発明によると、a)電極、電極束、又は電極若しくは電極束のアレーと、b)1種又は数種のマトリックス要素との組み合わせは、軟質組織に一般に真っすぐな経路に沿って挿入するのを可能にする十分な物理的安定性又は硬さを有するのが重要である。該経路は、組織上のそれぞれの先端の作用により開かれる。従って該先端は組織内に切り込む。本発明の電極、電極束、又は電極若しくは電極束のアレーを軟質組織内の所望の位置に置くこの方法は、手術により経路を開くことが必要であろうインプラント形成と実質的に異なる。電極、電極束、又は電極若しくは電極束のアレーは、マトリックス要素で支持されていないと、その不十分な硬さにより組織に挿入することができず、挿入する器具を曲げ、それにより所望の挿入経路から逸れさせる。
【0028】
本発明の好ましい側面によると、マトリックスの表面は、挿入を容易にする材料、例えば軟質組織と接触して低摩擦の材料、の層を備える。他方、挿入容易化層は、挿入すると容易に溶解そして/又は分解しなければならない。好ましい挿入容易化層は、挿入しようとする組織の温度よりも数度高い融点、例えば40℃〜43℃の融点、を有する脂質を含む又は該脂質から成り得る。更に又はそれに代えて、マトリックス表面上の層は、該マトリックスの溶解及び/又は分解を実質的に遅らすように、例えば1分又は10分又はそれ以上遅らすように、設計してもよい。この種の適当な層は、約pH7〜7.5の水性環境での遅延放出のために薬剤工業において錠剤被覆に使用されるポリマーで形成することができる。
【0029】
本発明の別の好ましい側面によると、該電極本体は、電極マトリックス要素に、その近位端を除いて、完全に封入され、電極先端は該電極マトリックスの先端から近位方向にある距離で配置される。
【0030】
本発明の別の好ましい側面によると、本発明の電極本体は、一旦インプラントされる(埋め込まれる)と、単一電極に関係するか、又は電極束若しくは電極束アレーで構成される電極かに関係なく、横方向だけでなく、縦方向にもその一部分が運動の自由度を有するのが望ましい。これにより、電極本体上の周囲組織の不均一な運動の負の影響、特に、電極本体を変位させる傾向及び/又は該電極本体を周囲の組織を損傷するように動かせる傾向の影響、が避けられる。本願で電極本体の運動の自由度について云うことは、電極マトリックスが溶解及び/又は分解した時、即ち、電極本体がその運動を電極マトリックス要素によりもはや拘束されなくなる時、の電極本体に関する。特に、本発明は、かかる電極本体が互いに相対的に動くことができる部分を含んで、電極に沿ったそれらの距離を増加又は減少させることができるのが有利である、との見識に基づく。本発明はまた、インプラント形成する又は挿入するには、特に所望の構造で埋め込む又は挿入するには、本発明の電極本体は、電極束、又は電極束のアレー、又は単一電極のアレー及び電極束のアレーに関係するか否かにかかわりなく、構造的安定化を必要とする。本願で「構造(configuration)」は、本発明の電極がとることができる、又はその可撓性によりとるように強制される三次元の形状又は状態に関する。本発明によると、構造安定化は、電極を電極マトリックス要素中に少なくとも部分的に埋め込むことにより与えられ、該マトリックス要素は、該電極が一旦軟質組織の所望の位置に配置されると、体液中への溶解又は分解により除去される。このように、電極マトリックス又は電極支持材料は、体液中で、即ち水性環境中で、しかし電極が脂肪組織に挿入される場合は、脂肪に富む環境中でも、溶解性又は分解性である材料である。溶解又は分解後、電極マトリックス材料又はその分解生成物はそれぞれ、挿入部位から、生きた組織に作動する溶質輸送メカニズムにより一掃されそして/又は代謝される。本発明の電極マトリックス要素は、分解されて体液中で溶解性になる又はその溶解性が向上するような材料から成り得る;かかる分解は、生きた組織及び/又は電極に含まれる補助剤、例えば酵素、により働くメカニズムにより行われる。
【0031】
従って、本発明により、軟質組織に挿入するための医療用微小電極であって、第1の近位末端及び第2の遠位末端を有する導電性の長い電極本体を含み、該電極本体はその遠位末端から延びる先端セクション、該先端セクションから近位方向に延びる主本体セクション、及び、場合によっては、該主本体セクションから近位方向に延びるカップリングセクションを含み、ここで、該先端セクション、該主本体セクション、及び、場合によっては、該カップリングセクションが第1電極マトリックス要素に埋め込まれ、該第1電極マトリックス要素は実質的に硬く、生体適合性で、そして体液中で溶解性又は生体分解性であり、該微小電極は更に、下記の1つ又は両方を含む医療用微小電極が開示される:該第1電極マトリックス要素上の溶解遅延層;第2電極マトリックス要素であって、場合によっては該第1電極マトリックス要素と該電極との間に配置された2つ又はそれ以上のセクションを含み得る第2電極マトリックス要素。ここで、該第1電極マトリックス要素の溶解又は生体分解により放出される薬物が、該第1電極マトリックス要素又は第2電極マトリックス要素に含まれる。該薬物は、該マトリックス内に分散若しくは溶解さるか、又はマイクロカプセルの形態で該マトリックスに含ませるか、又は生体分解性材料若しくは体液に溶解性の材料のロッドに含ませることができる。
【0032】
好ましい態様においては、該微小電極は先端セクションに配置された固定(anchoring)手段を含む。
【0033】
別の好ましい態様において、該電極本体は、非伝導性コア、該コア上の1つ又はそれ以上の電導性層、該1つ又はそれ以上の電導性層上の絶縁層、及び場合によっては、該コアを該電導性層と電気的に接続するための、該コアに垂直な、該絶縁層を通過する1つ又はそれ以上の通路(passages)を含む。
【0034】
該先端セクション、該主本体セクション、及び、存在する場合は固定手段は、第1電極マトリックス要素に完全に埋め込まれているのが好ましい。
【0035】
本発明の好ましい側面では、該第1電極マトリックス要素は溶解速度又は分解速度が異なる2種又はそれ以上のセクションを含む。
【0036】
該電極本体の好ましい直径は、約10
−7m〜約10
−4mである。
【0037】
本発明の別の好ましい側面によると、該主本体セクションは、該第1電極マトリックス要素が溶解又は分解すると互いに動くことができる(複数の)部分を含み、従って該電極本体に沿った距離を増加又は減少させる。
【0038】
本発明の更なる好ましい側面によると、該第1電極マトリックス要素は第1薬物を含み、そして該第2電極マトリックスは第2薬物を含む。
【0039】
更に、本発明によると、本発明の電極を2つ又はそれ以上含み、それらの電極本体が実質的に平行に配置され、そして該第1電極マトリックス要素を共有するか、又は該第1マトリックス要素を封入する束マトリックス要素を含む、医療用微小電極束が開示される。本発明の好ましい側面によると、該微小電極束は、共有された第1電極マトリックス要素又は該束マトリックス要素上に溶解遅延被膜を含む。該束の2つ又はそれ以上の電極の近位端は、実質的に同じ平面内に配置されるのが好ましい。本発明の別の好ましい側面によると、該微小電極束は、該共有された第1電極マトリックス要素又は該束マトリックス要素に加えて、該電極の近位端に又はその近くに配置された束ね手段を含み、該束ね手段は溶解性又は分解性マトリックスを含まない。本発明の微小電極束は、1種又はそれ以上の光ファイバーを含んでもよい。本発明の更なる好ましい側面によると、微小電極束の2つ又はそれ以上の第1又は第2電極マトリックス要素は、異なる量の薬物を含むか、又は薬物放出性において異なる。本発明の微小電極束の軟質組織への挿入は、ロッドのような束挿入要素の使用により容易にされる。かかる使用のために、本発明の微小電極束は取り外し可能なカップリング手段を備える。
【0040】
更に、本発明によると、医療用微小電極若しくは微小電極束のアレーであって、本発明の微小電極を2つ若しくはそれ以上、又は本発明の微小電極束を2つ若しくはそれ以上含み、該2つ若しくはそれ以上の微小電極、又は該2つ若しくはそれ以上の微小電極束が固体支持体の面上に間隔を置いて配置された上記アレーが開示される。該アレーの該2つ若しくはそれ以上の微小電極、又は該2つ若しくはそれ以上の微小電極束は、実質的に硬い生体適合性アレーマトリックス要素に埋め込まれ、該アレーマトリックス要素は体液中で溶解性又は生体分解性であるのが好ましい。好ましくは、該アレーマトリックス要素の該体液中での溶解速度又は分解速度は、該第1電極マトリックス要素又は束マトリックス要素の溶解又は分解速度よりも高い。該アレーマトリックス要素は更に、該アレーマトリックス要素上に溶解遅延被膜又は分解遅延被膜を含んでもよい。
【0041】
単一電極
好ましくは断面がほぼ円形又は楕円形である微小電極本体は、電導性若しくは非電導性のコア、該コアが非電導性である場合は該コア上の電導性層、及び該電導性層若しくは該コア上の絶縁層を含む。しかしながら、他の断面、例えば矩形又は多角形の断面、を有する他の電極本体も使用し得る。或いは、該電極本体は、電導性材料を充填した非電導性ポリマーチューブを含むか又は該チューブから成る。非電導性コアは、好ましくは天然、半合成又は合成のポリマーフィラメント、例えばシルク、綿、人工シルク(セルロースアセテート)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド等のフィラメント、である。電導性コアは、例えば金、白金、チタン、イリジウム、前記の金属を含む合金又は他の金属の薄い金属ワイア、又はステンレス鋼又は電導性ポリマー繊維である。非電導性コア上の電導性層は、該コア上に、例えばイオンスパッターリング又は蒸着技術により配置された高電導度の金属、例えば銀、金及び/又は適当な金属合金、例えば白金−イリジウム、から成るか又は該金属を含む。金層の場合、該コア上への付着は、該金層と該コアとの間にクロム又はタングステンを介在させることにより改良することができる。かかる介在は他の金属層を用いた場合でも可能である。配置された金属電導性層の厚さは、0.1μm〜約100μmである。或いは、電導性層は電導性ポリマーから成るか又は該ポリマーを含んでもよい。該絶縁層は、非電導性ポリマーから成るか又は該ポリマーを含む。殆どの適用で、電極本体の直径は約10
−7〜約10
−4m、好ましくは約2.5・10
−5m未満である。しかしながら、いくつかの適用では、電極本体はもっと大きい直径、特に電極が軟質組織の損傷を生じさせることを意図する場合、もっと大きい直径を有してもよい。
【0042】
電極本体の絶縁層は、好ましくは該本体の近位端から該本体の遠位端に延びる。即ち、電極本体全体が絶縁される。絶縁に適した材料の例は、ガラス、ポリビニルホルマル(polyvinyl formal)、エポキシ樹脂、ポリ(p-キシレン)、ポリアミド、シリコーンゴム、又は耐水性ラッカーである。しかしながら、電極本体に沿って、該絶縁層を通って電導性コアまでの通路(passages)、特に該コアにほぼ垂直に配置された通路を設けることも可能である。
【0043】
より大きい容積の組織の電気的刺激を意図する場合、標的組織に挿入しようとする電極本体の部分を絶縁しないのが好ましいかもしれない。或いは、電極本体は絶縁しない領域を含んで、組織内の多数の部位の刺激/記録を可能にしてもよい。
【0044】
組織への挿入を容易にするために、本発明の電極本体は、少なくとも1部は電極マトリックス要素と呼ばれる、生体適合性マトリックス材料の硬い若しくは実質的に硬い要素若しくは本体に埋め込まれる。該電極マトリックス材料は、好ましくは肉眼的に均一である。該埋め込みは、電極本体の少なくとも一部、更に好ましくは電極先端及び該先端から延びる電極本体の一部を含む。「実質的に硬い」は、該本体が僅かだけ弾性的に可撓性であってもよいことを示す。該電極マトリックス要素若しくはマトリックス本体は、体液中、特に水性体液中、或いは脂肪に富む体液中でも、溶解性若しくは生体分解性の固体マトリックス材料を含むか又は該材料から成る。マトリックス本体に電極を含めることは、該電極を組織へ挿入又はインプラント形成させ、そしてその中に所望の配置で置くばかりでなく、所望の構造(configuration)で置くことを可能にする。電極本体又は少なくともその一部は、電極マトリックス要素内に構造的(configurationally)に閉じ込められ(locked)ていてもよい。該電極マトリックス要素の溶解又は分解後に、該電極本体はその初期の構造を組織内で保持するか、又は第2の構造若しくは制限されない数の構造を取る若しくは取るようにされてもよい。「初期の構造」とは、電極若しくは電極本体若しくは電極に埋め込まれた電極本体のセクションの構造を意味する。電極の曲線的又は非直線的形状(shape)は電極の組織内の固定を改良する。何故なら、組織細胞は該本体に近接して生長するであろうからである。直線的電極本体と対照的に、曲線的又は非直線的形の電極は、本発明の電極が、該電極が埋め込まれる若しくは挿入される組織の非均一な運動と調和して動く能力を、変位することなく、改良する。本発明の重要な側面によると、マトリックス本体は、電極のインプラントで体液、特に水性体液、に放出できる薬物又は遺伝子ベクターを含む。該薬物はその溶解又は分解前に、特に少なくとも部分的に、マトリックス本体から放出され得る。該薬物は、例えば、開放構造のマトリックス、例えば開放微小チャンネルを備えたマトリックス、に含まれ得る。該薬物は該マトリックスから、該マトリックスの溶解又は分解と同時に放出され得る。該薬物は該マトリックス中に、分散した又は溶解した状態、即ち、多孔性マトリックスの孔壁に吸収された状態で、及び該マトリックスに共有結合により結合されたプロドラッグとしてでも、存在することができる。或いは、該薬物は該マトリックス中に、微小封入された形態、又は体液に溶解する本体若しくは人組織内で生体分解性する本体に含まれることができる。例外的に、該薬物は、電極マトリックス要素とは別個の本体に含まれることができ、該本体は体液に溶解性であるか溶解性でなく、又は生体分解性であるか生体分解性でないことができる。該薬物は、好ましくは、電極が挿入される組織の損傷を保護しそして/又は損傷した組織の回復を助ける薬物である。それとは独立して、本発明の薬物は、挿入された電極に隣接した組織、特に神経組織、最も特に脳及び脊髄の細胞核(nuclei)若しくは白質の組織に薬理学的影響を及ぼす薬物である。
【0045】
電極本体の態様、従って、本発明の電極であって、一旦人又は動物の組織に挿入されると、その近位端からその遠位端への距離が増加及び/又は減少するのを許す構造(configuration)を有する電極の態様において、該電極本体による第2の構造の採用は、幾つかの手段により与えることができる。該電極本体が弾性的に可撓性であるか、又は弾性的に可撓性の部分を含む場合は、圧縮した又は引っ張った状態で電極マトリックス要素に埋め込んで、組織内に該電極をインプラント形成した後に該電極マトリックス要素が溶解すると、該電極本体はそれぞれ膨張又は収縮し得る。
【0046】
電極本体は、その初期の構造で一般には実質的に一方向に延びているが、真っすぐであるか、又は規則的若しくは不規則の、屈曲部、螺旋、ループ、ジグザグセクション等を含み得る。言い換えると、その初期の構造で、電極本体の長さはその近位端と遠位端との間の距離よりも実質的に長くてもよい。実質的に長いとは、その第1電極端と第2電極端との間の距離の2%又はそれ以上だけ、特に5%又はそれ以上だけ、あるいは20%又はそれ以上だけ、50%又はそれ以上までだけ長いことを意味する。しかしながら、第2の遠位端から延びる電極先端セクションは、好ましくは真っすぐな又は僅かだけ曲がった構造を有する。
【0047】
絶縁されていない、電極の遠位端又は先端セクションは、いかなる適当な形状(shape)であってもよい。電極が記録の目的に意図されている場合は、尖った先端が特に有利である。電極が刺激に使用するように意図されている場合は、電極先端セクションは尖った縁部(エッジ)を含まず、先端セクションの侵食を低減するためにむしろ滑らかな輪郭を有するのが好ましい。場合によっては、電極先端セクションの表面積を粗くすることにより拡大して、周りの細胞との接触を増加させ、そして該電極の抵抗(インピーダンス)を減少させてもよい。粗い表面は、例えば電極を白金黒で被覆するか又はエッチングにより、得ることができる。
【0048】
電極本体は、その近位端で、絶縁された可撓性電線を介して電子的設備と電導的に接触している。
【0049】
本発明の電極の先端セクション及び/又は主本体セクションは、固定手段、例えば粗い表面部分、又は周囲の組織への接着を促進する表面部分、を備えることができる。隣接する組織に接着することができる電極本体セクションは、例えばチタン若しくは酸化チタンで被覆された部分を有するもので、組織接着若しくは組織内での伸長を可能にする種類のものであってさえもよい。先端セクションに取り付けられた薄い横方向に延びるフィラメントであって、挿入手順中は近位方向に配置され、次ぎに電極を短距離退却させると展開する該フィラメントは知られている(WO2007/040442)。本発明の電極は、人又は動物の組織に固定するために、かかるフィラメントを備えてもよい。これらの薄い横方向に延びるフィラメントは、電極本体の直径と等しいか又は好ましくは該直径よりも小さい直径を有し、そして/又は該フィラメントが該電極から適当な距離、例えば50μmまで又はそれ以上、そして100μmまで又はそれ以上でさえある距離、横方向に突き出るのを可能にする長さのものであるのが好ましい。横方向に延びるフィラメントは、更に電極としての機能を有するのが好ましく、この場合、少なくともそれらの先端は絶縁されていない。また、横方向に延びるフィラメントは、電極の導電性材料を含むか該材料から成り、該材料は電極本体の材料と一体化されるのが好ましい。しかしながら、横方向に延びるフィラメントが電極の材料とは異なる材料のものであるのも本発明の範囲内である。マトリックス埋め込み電極は電極マトリックスにより封入されているため、横方向に延びるフィラメントは、該マトリックス埋め込み電極を組織に挿入するのを妨害しないので、該フィラメントは該電極からあらゆる方向、例えば遠位方向、半径方向又は近位方向、に延び得る。電極は横方向に延びるフィラメントの多数個を含むこと、そしてこれらのフィラメントが該電極から1方向又は幾つかの方向に延びることも可能である。同様に、電極のコア又は支持チューブは先端セクションの材料と同じ材料であり、そして該先端セクションの材料と一体化されているのが好ましい。電極の先端セクションに突出要素を備えた電極において、かかる退却は該突出要素を組織内に固定されるようにし、そして該電極を退却に抵抗させ得る。適当な先端デザイン、例えば電極の第1端と第2端とを結ぶ直線により規定される電極本体の長軸から曲がった又は傾いた先端、を有する電極を更に組織内に押し込めると、その先端部分を電極の長軸の方向から脇に逸れさせ得る。
【0050】
本発明の電極は、軟質の生きた組織、特に脳及び脊髄組織、に挿入するだけでなく、肝臓、腎臓、骨格筋肉、心臓筋肉、血管筋肉、及び結合組織に挿入するように意図される。本発明の電極は記録及び/又は神経刺激用に使用できる。記録用に使用された場合、本発明の電極ワイアは小型予備増幅器を備えることができる。該増幅器は該先端から短距離に、例えば本体と先端セクションの接合部に配置して、シグナル対ノイズ比を改良するのが好ましい。
【0051】
軟質組織への挿入を容易にするために、極微操作装置ロッド又は類似物を、該マトリックスに取り付けるか、又は該マトリックス内に、その近位端の近く若しくは該近位端に埋め込むのが好ましい。或いは、該極微操作装置の取り外し可能な取り付けを、電極の近位カップリングセクションに含まれる結合(docking)手段により与えてもよい。
【0052】
電極束
ある適用には、複数の適当に配置された、前に開示した種類の電極を使用するのが有利である。
【0053】
共通の又は共有のマトリックス本体中の本発明の2つ又はそれ以上の電極を電極束と名付ける。共有のマトリックスは電極束マトリックス要素を形成する。それは体液中で溶解性又は生体分解性である。本発明の電極束の重要な特徴は、該束に含まれる少なくとも2つの電極が互いに電気的に絶縁されていなければならないことである。該束の全て又は実質的に全ての電極は、互いに電気的に絶縁されているのが好ましい。束マトリックス要素は硬い又は実質的に硬い。該束マトリックス要素の目的は、電極束に物理的安定性を付与して、それが組織内に実質的に直線経路に沿って挿入されるようにすることである。このことは、複数の電極が所望の軟質組織領域に配置されるのを可能にする。電極束に、少なくとも部分的にマトリックス本体に配置された、慣用の直線状電極ワイア、光学ワイア、収縮性ポリマー、又は電極及び/若しくはエレクトロニクスを含む堅い電極チップを設けることもまた、本発明の範囲内である。場合によっては、該電極又は束マトリックス要素は、水性環境内で溶解速度が異なる2種又はそれ以上のマトリックス材料のセクションを含む。本発明の電極束のセクション化マトリックス要素は、その特徴について、上記の本発明の電極マトリックス要素に相当する。本発明の共有された電極束マトリックス要素に加えて、該束の1つ又はそれ以上の電極、特に該束の全ての電極は、本発明の電極マトリックス要素を備えてもよく、かかる場合、該電極束マトリックス要素は、該束の1つ又はそれ以上の電極マトリックス要素を結合するか又は封入してさえもよい。
【0054】
本発明の電極束に含まれる電極本体は、いろいろな長さであり、そして電極束マトリックス要素若しくは本体が回転対称形、例えば円筒形、である場合は、その中心軸に関して対称的に配置するのが好ましい。最も長い電極本体を中心軸から短距離に配置し、そして短い電極本体を中心軸からより長い距離に配置して、それらの先端の全体がマトリックス先端の形を反映するようにするのが好ましい。それらの近位端は、回転軸を横断する面内又は該面の近くに配置するのが好ましい。しかしながら、電極本体を、一横方向に傾斜するか、そうでなければ対称的でない電極端先端を形成するように配置するのも本発明の範囲内である。このように、電極束マトリックス要素は遠位方向に先細で、例えば円錐形又は平らな三角形の末端遠位部分を形成してもよい。電極束マトリックス要素の末端遠位部分は丸まった形状を有して、該電極束を軟質組織に挿入する間の血管破れの危険性を最小にしてもよい。
【0055】
本発明の別の好ましい側面によると、組織又はその成分の放射線刺激を可能にし、そして/又は取り囲む組織から発生する放射線を記録するために、該電極束は1つ又はそれ以上の光ファイバーを含む。電極本体の態様に対応する態様で、該1つ又はそれ以上の光ファイバーは電極束内の選択位置に、電極束マトリックス要素により維持される。
【0056】
本発明の更なる好ましい側面によると、本発明のマトリックス埋め込み電極束内の2つ又はそれ以上の電極本体は、例えばセラミック又はポリマー材料の、ベースプレートにより、それらの第1端で又はその近くで結合することができる。このようにして結合した(複数の)電極は、同じ長さでも又は異なる長さでもよい。該ベースプレートは増幅器のような電子部品を備え、そして刺激及び記録の目的でケーブルを介して又は遠隔計測的に組織の外側のエレクトロニクスに接続してもよい。該プレートは、極微操作装置を受納するための手段を設けるためにも使用し得る。
【0057】
本発明の更なる好ましい側面によると、該電極束は、電流が通った時に形状を変化させることができる、例えば曲がることができる、1種若しくはそれ以上の収縮性バイメタル要素を含む。かかる収縮性要素は、マトリックス埋め込み電極束の挿入経路を制御するために使用できる。
【0058】
本発明の電極束の軟質組織への挿入のために、電極アレーの近位端部分に極微操作装置(micromanipulator)を取り付けるか又は取り付けることができ、該電極アレーから該電極束は近位方向に延びる。
【0059】
電極束が共有する電極マトリックスにより与えられる本発明の電極束の堅さは、それが組織に挿入されるのを容易にする。挿入すると、該電極マトリックスは迅速に又はゆっくり溶解又は分解し得る。所望の溶解又は分解速度は、適当なマトリックス材料を使用することにより選択することができる。これにより、電極本体は隣の電極本体に対して横方向に変位できるようになる。
【0060】
電極及び/又は電極束のアレー
本発明によると、2つ又はそれ以上のマトリックス埋め込み電極及び/又は平行に若しくはほぼ平行に配置された電極束は、体液のような水性媒体中に若しくは該媒体により溶解する若しくは分解されるだけでなく、神経組織のような脂肪に富む体液中に若しくは該体液により溶解する若しくは分解される、実質的に固体のアレーマトリックス若しくはのり(glue)により結合することができる。該アレーマトリックスは生体適合性でなければならない。適した材料は、炭水化物又はタンパク質ベースののり、例えばアルキル化及び/又はカルボキシル化セルロース誘導体、アミロース、及びゼラチン、を含むが、異なる性質のもの、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、及びポリアクリル酸のアルカリ塩、であることもできる。このようにして、電極及び/又は電極束は、インプラント形成に適した所望の幾何学的パターンでアレーに配置できる。これにより、インプラント形成に必要な時間は、個々の電極及び/又は電極束のインプラント形成により得られる同じ幾何学的パターンに必要な時間に比べて、かなり短縮される。このようなアレー中の本発明の1つ又はそれ以上のマトリックス埋め込み電極本体及び/又は電極束は、一時的又は恒久的に、互いに固定された関係で固定されて保たれた本発明の2つ又はそれ以上のマトリックス埋め込み電極本体により置き換えることができる。これらを固定された関係に保つための手段は、本発明のマトリックス材料の1種若しくはそれ以上、又はそれからは独立したものを含むか、それらから成り得る。それから独立したものである場合、該手段は、マトリックス埋め込み電極束の他のマトリックス材料よりも水性環境中でさらにゆっくり溶解及び/又は崩壊する材料、又は恒久的手段、例えばWO2007/040442の電極束を固定関係に保つ手段、であることができる。同様に、本発明の電極アレー中の1つ又はそれ以上の電極束は、1つ又はそれ以上のWO2007/040442の電極束で置き換えることができる。本発明の電極束アレー中の(複数の)電極束の間の適当な距離は、50μm〜500μm又はそれ以上である。1つの態様では、本発明の電極束の個々のマトリックス埋め込み電極本体は、近位端を、水性体液中に溶解性のベースプレートに固定して、間隔を設けた構造で設けられる。この配置は、電極束又は2つ若しくはそれ以上のかかる束を含むアレーの組織への挿入を容易にする。
【0061】
本発明の、マトリックス埋め込み電極束のアレー、又はマトリックス埋め込み電極とマトリックス埋め込み電極束との組み合わせのアレーは、長期間持続する刺激、電気的ニューロン活性、レドックス反応の測定による伝達物質及び他の生物活性分子のレベルのマルチチャンネル記録、及び科学的、医学的及び動物介護の目的で、組織の正確な損傷に適する。
【0062】
本発明によると、薬物放出のための好ましい手段は、マトリックス要素である。薬物は、溶解、分散、生体分解性結合剤(リンカー)を介して又は他の適当な方法による結合により、マトリックス内に埋め込まれる。
【0063】
薬物放出のための別の好ましい手段は、微小球又はマトリックスに分散された他の微粒子のようなコンパートメントである。
【0064】
薬物放出のための更なる好ましい手段は、該薬物を含む電極被膜であり、該電極被膜は該マトリックスに封入されている。
【0065】
本発明の薬物は、本発明の電極、電極束又は電極束アレーが挿入される組織において、生理学的及び/又は病理学的過程に影響を及ぼす薬剤を含むが、該薬剤に限定されない。
【0066】
本発明のアレーマトリックス要素又は本体は、体液のような水性環境で溶解する生体適合性材料から成る。溶解前に、それは膨張してもしなくてもよい。該アレーマトリックス要素は、好ましくは遠位方向に長い形状(oblong)である、即ち、組織に最初に導入されるマトリックス埋め込み電極の前線の部分を形成する。それは、例えば、その初期の構造における電極の第1端と第2端との間の距離に少なくとも等しい長さのバーとして形成することができる。該アレーマトリックス要素は、好ましくはその遠位端の方向に先細る。その遠位端セクションは、軟質組織への挿入を容易にするために、好ましくはほぼ円錐である。その遠位先端は尖った又は丸まった形状を有し得る。丸まった形状は挿入中の血管破れの危険性を最小にし、一方、尖った先端は挿入に対する組織の抵抗を減少させるであろう。該アレーマトリックス要素の形状は、電極を軟質組織に深く挿入するときに、真っすぐな挿入軌跡ラインに従うのを許し、これにより、使用者が該アレーの電極を組織内に正確に置くのを可能にする。湿ったマトリックスもまた、組織内での緊張力を最小にする滑りやすい表面を構成するであろう。
【0067】
動物の研究において、有効な薬物濃度の迅速なスクリーニング又は有効な薬物放出時間過程のスクリーニングを可能にするために、それぞれ電極若しくは電極束のアレーの個々の電極若しくは電極束を、1種の薬物を1種の濃度で含む1つの同じマトリックス要素内に埋め込むことができる。或いは、かかる個々の電極若しくは電極束の2つ又はそれ以上を、それぞれ2つ又はそれ以上のマトリックス要素に埋め込むことができる。該マトリックスは該1種の薬物の対応する数の濃度を含むか、又は対応する数の異なる薬物を同じ濃度で若しくは異なる濃度で含む。この処置により、1種若しくは数種の薬物の異なる濃度のスクリーニングを、この種の1つのアレーの使用により実施できる。アレーに含めようとする2つ又はそれ以上の電極若しくは電極束のマトリックスを、湿度に対するバリア(障壁)性において異なる、対応する数の被膜で被覆することもまた、可能であり、これにより、幾分、保護されたマトリックスの分解又は溶解を遅らせることができる。
【0068】
本発明の好ましい態様によると、2つ又はそれ以上のセクションを含むマトリックス要素において、該セクションを、本発明の電極が埋め込まれる1つ又はそれ以上の内側セクションを完全に又は部分的に封入する1つの外側セクションがあるように、配置し得る。放出するように意図された薬物は、内側セクションにのみ含まれる。内側マトリックス要素セクションは、好ましくは電極先端を封入せず、一方外側セクションは該先端及び内側セクションを封入する。このように、外側セクションは主として、電極を組織挿入中に物理的一体性を保護するように意図され、そして内側セクションとは実質的に異なる溶解又は分解プロフィールを有する。即ち、外側セクションは内側マトリックスセクションよりも実質的により容易に、例えば5、10又は100倍も容易に、溶解及び/又は分解される。
【0069】
本発明の更なる好ましい態様によると、電極束中の、又は電極束のアレー中の電極の、該電極を封入するマトリックスの溶解又は分解後の先端/遠位端の間の距離は、少なくとも200μm又はそれ以上、好ましくは500μm又はそれ以上でなければならない。この最終インプラント形成距離は、束中の電極を、電極束の中央に配置された水膨潤性ポリマー材料の栓により広げることにより得られる。即ち、該束の電極は、該栓を囲む。或いは、又は更に、最終インプラント形成距離は、電極を、マトリックスに含められた主本体を軸方向に圧縮したそして/又は半径方向に曲げた状態で使用することにより得られる。該マトリックスが分解及び/又は溶解すると、それらは元の圧縮されない及び/又は曲げられない状態に戻る。
【0070】
マトリックス
マトリックスを形成するために使用できるポリマーは、医療器具上で溶解しそして硬化若しくは重合できるポリマー、又は治療薬剤とブレンドできる比較的低融点を有するポリマーを含む。当業界で知られたかかる生体適合性ポリマーは下記を含むが、それらに限定されない:ゼラチン、コラーゲン、アラビヤゴム、ポリグリコール酸、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシメチル、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、プルラン、ポリビニルピロリドン、カラヤゴム、ペクチン、キサンタンゴム、トラガカント、アルギン酸、ポリカーボネート、ポリオキシメチレン、ポリイミド、ポリエーテル、セルロース、酢酸セルロース、酪酸セルロース、セルロース65アセテーロブチレート、硝酸セルロース、プロピオン酸セルロース、セルロースエーテル、カルボキシメチルセルロースコラーゲン、キチン、ポリ乳酸(laetic acid)、ポリグリコール酸、及びポリ乳酸(laetic acid)−ポリエチレンオキシドコポリマー、ポリアミド、ポリオルトエステル、ポリ酸無水物(PAN)、ポリカプロラクトン(PCL)、無水マレイン酸コポリマー、ポリヒドロキシブチラートコポリマー、並びにそれらの混合物及びブレンド物。上記の例は下記を含むが、それらに限定されない:ポリ1,3−(ビス(p−カルボフェノキシ)プロパン無水物(PCPP)芳香族ポリ無水物)、PCPPとセバシン酸との共重合から形成されたポリマー(即ち、芳香族二価酸と脂肪族二価酸とのコポリマー)及びポリテレフタル酸(即ち、無水ポリテレフタル酸及び芳香族酸無水物)、ポリ(L−ラクチド)(PLLA)、ポリ(D,L−ラクチド)、(PLA)、ポリグリコリド(PGA)、ポリ(L−ラクチド−コ−D,L−ラクチド)(PLLAJPLA)、ポリ(L−ラクチド−コ−グリコリド)(PLLNPGA)、ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)(PLAJPGA)、ポリ(グリコリドコ−トリメチレンカーボネート)(PGNPTMC)、ポリエチレンオキシド(PEG)、ポリジオキサノン(PDS)、ポリプロピレンフマレート、ポリ(グルタミン酸エチル−コグルタミン酸)、ポリ(tert−ブチルオキシ−カルボニルメチルグルタメート)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリカプロラクトン コ−ブチルアクリレート)、ポリヒドロキシブチラート(PHBT)、及びポリヒドロキシブチラート、ポリ(ホスファゼン)、ポリ(D,L−ラクチド−コ−カプロラクトン)(PLNPCL)、ポリ(グリコリド−コ−カプロラクトン)(PGAJPCL)、ポリ(リン酸エステル)、ポリ(アミノ酸)及びポリ(ヒドロキシブチラート)のコポリマー、ポリデプシドペプチド、無水マレイン酸コポリマー、ポリホスファゼン、ポリイミノカーボネート、ポリ[97.5%ジメチル−トリメチレンカーボネート)−コ−(2.5%トリメチレンカーボネート)]、シアンアクリレート、ポリエチレンオキシド、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、多糖類、例えばヒアルロン酸、キトサン及び再生セルロース、ポリ(エチレン−コ−酢酸ビニル)(EVA);イソブチレンと少なくとも1種の他の繰り返し単位(例えば、アクリル酸ブチル、メタアクリル酸ブチル、置換スチレン(例えば、アミノスチレン、ヒドロキシスチレン、カルボキシスチレン、スルホン酸化スチレン等))とのイソブチレン系コポリマー、ポリビニルアルコールのホモポリマー、ポリビニルアルコールと少なくとも1種の他の繰り返し単位(例えば、ビニルシクロヘキシルエーテル、ヒドロキシメチルメタアクリレート、ヒドロキシ若しくはアミン末端ポリエチレングリコール等)とのコポリマー、アクリル系コポリマー(例えば、メタアクリル酸、メタアクリルアミド、ヒドロキシメチルメタアクリレート等)、エチレンビニルアルコールコポリマー、アリール若しくはアルキルシロキサンと少なくとも1種の繰り返し単位(例えば、アクリル酸ブチル)とのシリコーン系コポリマー、ブチルポリマー(例えば、メタアクリル酸ブチルとPEGとのコポリマー)(米国出願2005/0187146A1)。
【0071】
好ましい材料は、適用の種類により変わり得るが、例は、本発明の種々の態様を記載した章(セクション)に挙げる。
【0072】
生物活性且つ生体適合性ポリマーは、非共有結合的に組合わさって、ポリマーブレンド物を形成し得、そして共有結合的に組合わさって相互貫入ポリマーネットワーク、コポリマー及びグラフトポリマーを形成し得る。生物活性且つ生体適合性ポリマーの好ましい組合わせは下記を含むが、それらに限定されない:ポリウレタン、ヘパランスルフェート及びRGDペプチド、ポリエチレンオキシド、コンドロイチンスルフェート及びYIGSRペプチド、シリコーンポリマー、ケラタンスルフェート及びVEGF生体模倣ペプチド、SIBS、エルレカン(perlecan)及びIKVAVペプチド及びN−ブチルメタアクリレート、ヘパリン及びフィブリンフラグメント。
【0073】
場合によっては、本発明の電極又はアレーのマトリックスは、水性環境内で溶解速度が異なる2つ又はそれ以上のマトリックス材料を含む。例えば、ある種の適用において、該マトリックスは2つのセクション、即ち近位セクションと遠位セクション、を含むか該2つのセクションから成り、ここで、該遠位セクションの溶解時間が1〜10分だけ短くなるように、該遠位セクションの材料の溶解速度は該近位セクションの材料の溶解速度よりも実質的に高い。この設計は、両マトリックスセクションを損なわずに本発明の電極が標的組織に接近して挿入されるのを可能にする。電極本体の遠位若しくは第2部分及び/又は先端セクションが埋め込まれた、遠位セクションのマトリックス材料が溶解すると、該電極は短距離だけ組織内で後退するか又は組織内に更に短距離だけ押され得る。
【0074】
本発明のマトリックスが溶解向上手段、例えば体液により侵入することができるチャンネル、を含むことは、本発明の範囲内である。従って、マトリックス本体又はその一部分は、非多孔性又は多孔性構造であることができる。
【0075】
マトリックスに溶解を遅延する手段を与えることもまた、本発明の範囲内である。マトリックス材料の溶解の遅延は、マトリックス本体又はそのセクション上に、溶解遅延被膜の1つ又はそれ以上の層を配置することにより、達成することができる。該マトリックス溶解遅延被膜は、水性環境内で、それにより保護されるマトリックス本体若しくはマトリックス本体セクションよりも実質的に遅い速度で溶解する材料から成る。
【0076】
該マトリックス溶解遅延被膜は、水性環境内で容易に溶解しないが分解性の被膜、例えばポリエステル被膜、例えばポリグリコレート、ポリアセテート、ポリ(グリコレート、ラクテート)、又はポリカーボネート被膜又はペプチド被膜、例えばコラーゲンの被膜、であってもよい。
【0077】
本発明の別の好ましい側面によると、インプラント形成中に組織に対して摩擦を低減する材料の外側層を設けるのが好ましい。低摩擦材料の外側層若しくは被膜は、インプラント形成手順により引き起こされる損傷を低減し得る。それは、電極インプラント中に、細胞、例えば髄膜線維芽細胞、を表面組織からより深い組織にそれと共に運ぶ危険性をも低減し得る。適した被膜材料は、ポリビニルアルコール、コラーゲン、キチン、寒天、ヒアルロン酸を含む(参照用に本願に含める米国特許出願第2008234790A1を参照)。
【0078】
薬物
本発明によると、興味あるいかなる薬物又は薬物の組合わせも、本発明の電極及び/又はアレーマトリックスを介して軟質組織に投与し得る。本発明による好ましい薬物には、出血、感染及び炎症の治療用の薬物が含まれる。傷跡形成によるカプセル化を低減若しくは阻止しそして細胞死を阻止する薬物もまた好ましい。本発明によると、該薬物は電極本体に隣接する組織内に放出される。本発明の好ましい側面によると、該薬物は、電極又は電極束の1つ若しくは幾つかの電極本体上に被膜を形成する、別の生体適合性材料中に埋め込まれる。該電極又はアレーマトリックスに、1つ又は幾つかの層を適用し得る。例えば、幾つかの層の1つだけが薬物を含むか、又は被膜の2つ若しくは幾つかの層が種々の薬物を含んでもよい。このようにして被覆した電極を電極束又は電極束のアレーに設けることにより、種々の薬物を本発明の選択した電極の近くに放出し得る。薬物はまた、マトリックスに埋め込まれた微小球又は他のタイプの微粒子に含まれてもよく、そしてマトリックスが溶解すると、同時に又は引き続き、該微小球及び該微粒子から放出され得る。
【0079】
本発明の好ましい側面によると、種々の薬物がマトリックスから時間制御された方法で放出される。例えば、出血、感染及び/又はアポトーシスの危険性を最少化するように設計された生物活性成分は、インプラント形成後の初期の段階で放出されるのが好ましいかもしれない。この場合、マトリックスは埋め込まれた成分の放出がインプラント形成中又は直後に始まるように設計することができる。長期間作用する薬物の場合、該薬物は何日又は何週間にわたってゆっくり放出されるのが好ましい。長期間持続効果を達成するために、遺伝子ベクターを薬物の代わりに使用するか、又は薬物に加えてマトリックスに含めてもよい。種々の放出メカニズムを組み合わせることにより、電極又はプローブのマトリックスに埋め込まれた生物活性成分の遅延及び放出速度を制御することができる。該マトリックスを生理学的環境に導入すると、活性成分は、拡散、拡散後の膨潤又は分解のような種々のメカニズムにより、取り巻く体液に放出される。本願で受動的(passive)放出メカニズムと名付けられるこれらのメカニズムのいずれか又は全てを使用し得る。活性成分の受動的放出の速度は、マトリックスの構造及びその生理学的パラメータ、例えば温度、pH、イオン強度、酵素濃度、に対する反応に依存する。遅延して放出されるべき薬物は、別個のコンパートメントに、例えば電極、電極束又はアレーと平行に挿入された微細カプセル又はロッドの形態で含ませてもよい。微小球及び微小ロッド若しくは微小バーは、マトリックスよりも遅く溶解する材料を含み得る。好ましくはないが、インプラント形成後に溶解せず、従って例えば孔を通って薬物が放出された後に組織内に留まる材料を使用することも可能である。
【0080】
本発明の薬物は、電極本体を被覆するための別のマトリックス生体適合性材料中に埋め込んでもよい。各層が異なる薬物又は異なる薬物組み合わせを含むマトリックス材料の幾つかの層の配置もまた、本発明の範囲内である。これにより、外側マトリックス層に含まれる薬物を、内側マトリックス層に含まれる薬物の前に放出することができる。ある種の適用においては、1カ月そして数カ月にもわたる薬物の持続放出を与えることが必要である。ゆっくり及び/又は遅延した放出は、向上した組織−電極相互作用及び癒しのための栄養的組織刺激を促進する物質の放出に特に適するであろう。かかる事例では、マトリックス材料の最内側部分は、好ましくは体液に低溶解性であるが生物分解性の材料である必要がある。被覆材料の分解は、薬物をゆっくり接近可能にさせることができる。ゆっくりした溶解性又は分解性マトリックス材料は徐々に薬物を放出するであろう。ゆっくりした放出のために、薬物は、マトリックス材料に化学的に結合するか、又は膨潤したマトリックスを通しての拡散から立体的に阻止されてもよい。本発明の薬物はポリマーマトリックス材料の一部であって、該ポリマーが分解すると生物活性モノマーとして接近可能になるものでもよい。
【0081】
本発明の別の好ましい側面によると、電極マトリックス又はアレーマトリックスは、薬物、例えば挿入手順により起こり得る急性の有害な影響、例えば出血又は微生物の混入、に対抗する薬物、を含む薄い被膜で覆われており、該被膜は該電極を組織に挿入した後の短時間内に放出される。
【0082】
本発明の更なる態様では、充填した生物活性成分は、積極的(active)放出、例えば電極の内側コアと別の電極及び/又は取り巻く組織との間に電圧をかけることによる積極的放出、により接近可能にすることができる。これは、電極の被膜内に含まれる充填した成分の電気泳動に導くであろう。これはまた、充填した層と組合わさって、所望により徐々の移動を容易にすることができる(米国特許第6,316,018号)。或いは、該放出は、超音波又は電場/磁場のような外側から適用した刺激の使用により制御できる。充填されない生物活性成分はまた、電圧をかけることにより被膜の表面に移動されることがことができる溶解性の充填マイクロカプセルに封入することができる。
【0083】
組織の加熱又は焼却(例えば、組織、腫瘍の切除、血管の連結のため)中に放出されるように設計された薬物には、(体温で放出されるのと比べて)著しく高い温度閾値を使用できる。温度の増加は被膜の物性を変えて、生物活性成分を隣接する組織に拡散させる。かかる性質を有する材料の例は、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド−コ−アクリルアミド)コポリマーである。N−イソプロピルアクリルアミドとアクリルアミドの割合は温度閾値を決定するであろう。(Fundueanu, Acta Biomaterialia, 5巻、 第1版、2009年1月、363-373頁)。
【0084】
生物活性成分の時間制御放出は、マトリックスのある部分の特定的開裂又は酵素的分解によっても制御し得る。これは、生物活性成分を封入する薄い酵素的分解性層を加えるか(Itoh外、2008年)、又は生物活性成分を、放出用に開裂を必要とする他の分子に接合することにより得ることができる。この設計の一つの態様では、生物活性分子は、それ自体がマトリックスポリマーの一部であるので、該マトリックスの生物学的に制御された開裂/分解により放出される。
【0085】
或いは/加えて、マトリックスに埋め込まれた薬剤は、初めは生物活性でないが、しかし活性化の過程、例えば加水分解的開裂又は酵素的分解、を通して生物活性になることができるものであってもよい。これにより、薬剤は種々の細胞又は組織型で、そして時間差制御された方法で選択的に接近可能にされ得る。長期間治療効果のためには、遺伝子導入が薬理学的治療よりも効率的であると信じられており、従ってインプラントを取り巻く組織の抗炎症/抗不快(scaring)状態調整のために選択する治療であろう。炎症組織反応を最小化するのに加えて、遺伝子治療は取り巻くニューロンの性質を実験的に変更する可能性をも提供し、これにより分子レベルで実験的操作を可能にする。遺伝子発現の変化の誘発は、インプラントされた電極を利用した電気生理学的刺激パラダイムと組合わさった場合、更に興味ある実験的応用を提供する。
【0086】
薬物を長期間にわたり正確な量で投与するのが望ましい場合、薬物伝達システムに取り付けたカテーテルを更に、インプラントを受け入れる組織内に薬物を伝達するために更に使用し得る。この場合、該カテーテルはマトリックスに埋め込まれているのが好ましい。該カテーテルは1つ又はそれ以上の穴を有することができ、該穴を通して、薬物溶液は組織内に入ることができる。インプラント形成可能な小型ポンプ(鞘内ポンプ:米国特許第5,820,589号、米国特許第6,375,655号、米国特許第7,229,477号;CNSポンプ:米国特許第7,351,239号;浸透圧ポンプ:米国特許第6,471,688号、米国特許第6,632,217号)として、又は外部ポンプ(経皮ポンプ:米国特許第7,471,689号、米国特許第6,632,217号)として操業する幾つかの薬物伝達システムが当業界で知られている。該カテーテルは、ゆっくり溶解する材料又は非溶解性の材料のいずれかから作ることができる。電極と微小透析法(microdialysis)、又は電極とボルタンメトリーとを組合わせて、電気刺激又は天然組織活性の結果として、組織内に放出された生物活性分子、例えば小分子神経伝達物質のような神経伝達物質(例えば、アセチルコリン、ドーパミン、セロトニン、ヒスタミン、ノルエピネフィリン及びエピネフィリン)、アミノ酸(例えばGABA、グリシン及びグルタメート)、神経活性ペプチド(例えば、ブラジキニン、物質P、ニューロテンシン、エンドルフィン、エンケファリン、ダイノルフィン、ニューロペプチドY、ソマトスタチン、コレシストキニン)及び溶解性ガス(例えば一酸化窒素)、を測定することもまた、本発明の範囲内である。
【0087】
電極挿入手順で誘発される少しの出血を止める薬物、例えば凝固因子、もまた好ましい。最も好ましいのは、因子VIII又はその機能的誘導体である。他の好ましい凝固刺激薬物は、因子IX,II,VII及びXの組合わせ;因子IX;フォン・ヴィレブランド因子と因子VIIとの組合わせ;因子VIIa又はヒトフィブリノゲンである。
【0088】
血管収縮を抑制する薬物、例えばNO生成を促進する薬物、特に硝酸グリセリル又はその機能的誘導体、もまた好ましい。局部的血管収縮が、侵された血管の閉塞により脳梗塞を導き得る危険性がある場合、トロンボサイト凝固に対抗する薬物、例えばキオピドグレル、チキオピジン、アセチルサリチル酸、ジピラミドール、イロプロスト、アブシキマブ、エプチフィバチド、チロフィバン、を使用できる。局部的血管収縮はまた、末梢血管拡張を誘発する薬物、例えばエルゴロイドメシレート、により治療し得る。
【0089】
局部的感染を防止又は撲滅するために、電極又はアレーのマトリックスに含まれる薬物は、抗生物質の群から選択される。適正な抗生物質の選択に際して、戦うべき細菌株の種類及びその抵抗パターンを考慮しなければならない。有用な抗生物質の例は、ドキシサイクリン;リメサイクリン;オキシテトラサイクリン、テトラサイクリン;チゲサイクリン;クロラムフェニコール;アンピシリン;アモキシサイクリン;ピブメシリナム;メシリナム;ベンシルペニシリン;フェノキシメチルペニシリン;ジクロキサシリン;クロキサシリン;フルクロキサシリン;酵素遮断薬と組合わさったアモキシシリン;酵素遮断薬と組合わさったピペラシリン;セファレキシン;セファドロキシル;セファロキシム;ロラカルベフ;セフォタキシム;セフタジジム;セフトリアキソン;セフチブテン;セフェピム;アズトレイナム;メロペネム;アルタペネム;酵素遮断薬と組合わさったイミペネム;トリメトプリム;スルファメトキサゾール及びトリメトプリム;エリトロマイシン;ロキシトロマイシン;クラリトロマイシン;アジトロマイシン;テリトロマイシン;クリンダマイシン;トブラマイシン;ゲンタマイシン;アミカシン;ネチルマイシン;オフロキサシン;シプロフロキサシン;ノルフロキサシン;レボフロキサシン;モキシフロキサシン;バンコマイシン;テイコプラニン;フシジン酸;メトロニダゾール;チニダゾール;ニトロフラントイン;メテナミン;リネゾリド;ダプトマイシンである。
【0090】
星状細胞反応及び小グリア反応を制御するための本発明による薬物は、インターロイキン、ニューロキニン、トランスフォーミング成長因子、表皮成長因子、エストロゲン、ニューロペプチド、キャナビノイド及び神経栄養因子、及びそれらの組合わせから選ばれる天然薬剤を含む。人工的に誘導される薬剤、例えばミノサイクリン、もまた使用し得る。インターロイキン及び成長因子拮抗薬もまた、本発明の電極、電極束又は電極束のアレーを中枢神経組織に挿入した後にグリア反応を制御できる範囲で、含まれる。
【0091】
本発明による更なる薬物は、NSAIDs、グルココルチコイド、プロスタグランジン、及び細胞接着を促進する薬剤を含む。更に、抗炎症性及び免疫抑制薬物が含まれ、これらはグリア反応を抑制するために使用でき、例えば天然及び合成グルココルチコイド類、例えばデキサメタソン、及びある種のNSAIDs、例えばインドメタシン、が含まれる。
【0092】
ニューロンの生存を促進する薬物、例えばニューロトロフィン類及びそれらの組合わせもまた本発明に含まれる。特に興味のあるニューロトロフィンには、神経成長因子、脳誘導ニューロトロフィン因子、塩基性フィブロブラスト成長因子、グリア誘導ニューロトロフィン因子、ニューロトロフィン−3、ニューロトロフィン−4/5、ニューロトロフィン6、インスリン様成長因子、表皮成長因子、及びニュウルツリン(neurturin)が含まれる。ラザロイド類、超酸化物ジスムターゼ、カスパーゼ阻害剤、アポトーシスタンパク質の阻害剤(IAPs)、Bcl−2(B−細胞リンパ腫2)族部員及びフルナリジンも含まれ、それらは細胞生存を促進するか、又は細胞死、アポトーシス及び/又は腫瘍若しくは虚血後のニューロンの壊死を阻害し得る。更に、テトラサイクリンを、神経保護作用及び抗炎症効果の両方を有する薬物として使用できる。更に有用な薬剤には、ECMタンパク質(エキストラ細胞マトリックスタンパク質、主としてプロテオグリカン類)、テナスシン類、ヒアルロン酸及びラミニンが含まれ、それらはニューロトロフィン支持及び生存を促進することができる(参照用に本願に含める米国特許出願第2007/0198063号及び米国特許第5,202,120号を参照)。
【0093】
本発明の薬物は更に、結合組織の形成を阻止しそして血管形成を促進する薬剤、例えば血管活性腸管ペプチド(VIP)及び血管内皮成長因子(VEGF)、を含む。
【0094】
本発明の別の態様では、本発明の電極、電極束又は電極束のアレーを取り囲む組織内の細胞は、遺伝子発現の修正及びある種のタンパク質の翻訳を起こす遺伝子ベクターの伝達を通して操作される(Lowenstein外、2007年;Storek外、2008年)。遺伝子材料は取り囲む細胞に、被膜材料に埋め込まれた又はそこに配置された微小球に封入されたウィルスベクターにより伝達されるのが好ましい。アデノ随伴ウィルスベクター系は当業界で知られ、それは脳に注入されると、隣接するニューロン内で挿入された遺伝子を少なくとも10カ月発現させるであろう(参照用に本願に含める米国特許第6,436,708号)。他のウィルスベクター系、例えば、ニューロン及び/又はグリア細胞への局部的遺伝子伝達に効率的であることが知られた、単純ヘルペスウィルス(HSV)、アデノウィルス又はレンチウィルス(lentivirus)を基材とする系、もまた本発明の範囲内である。特に好ましいのではないが、場合によってはレトロウィルスベクターを、マトリックスに固定した他の細胞により生成してもよい(米国特許第6,027,721号参照)。
【0095】
ある種の適用には、非ウィルスベクター系が遺伝子伝達に好ましい手段である。かかる系には、例えば、プラスミドリポソーム複合体又はカチオン性脂質系が含まれる。プラスミドを周囲の細胞に、非ウィルストランスフェクション系を使用して輸送するのを容易にするために、パルス又は電流を本発明の電極に通して血漿膜の電気穿孔を行い、局在化しそして制御された遺伝子トランスフェクションを行ってもよい(Jaroszeski外、1999年)。
【0096】
上述の薬物タイプは、軟質組織が異物に対して反応することにより起こる悪い反応及び合併症を低減するのに役立つが、他の性質を有する薬物もまた、個々の電極のマトリックス及び/又は被膜に含められてもよい。本発明の一態様では、薬物の候補と考えられる生物活性分子が記録電極のマトリックス又は被膜に埋め込まれる。電極束の電極の被膜にこの種の種々の生物活性分子を埋め込むと、種々のニューロンからの電気的信号を記録し、従って、多数の薬物候補を同時にスクリーニングするのを可能にする。
【0097】
本発明の別の態様では、記録を行ったニューロンを染色又は同定するのに使用されたマーカーを、種々の電極の被膜に埋め込む。かかるマーカーには、電圧及びカルシウム感受性分子(例えば、カルシウム濃度を測定するのに使用できるFluo3)を含めた蛍光プローブが含まれ、該分子は電極先端に近いニューロン又はグリアにより摂取される。電極から容易に取り外せない蛍光プローブは、電極の同定に使用し得る。蛍光プローブはニューロン染色剤として役立つだけでなく、例えば細胞内の細胞内カルシウム濃度又はニューロン膜の電位を測定するのにも使用し得る。焦点共有顕微鏡又は2−フォトン顕微鏡と本発明の個々の電極による記録/刺激及び/又は埋め込まれた光ファイバーによる光学的刺激との組合わせを使用して、どのニューロンがマルチチャンネル電極中のどの電極により記録/刺激されたかを確認することが可能となる。
【0098】
本発明の好ましい態様では、本発明のマトリックスに混入するための薬物は、微小球内に封入される。かかる微小球はサイズが数ナノメートルから10分の1(a tenth)ミリメートルの範囲にわたることができる。例えば、下記のマイクロカプセル化技術が、本発明の薬物の封入に使用できる:噴霧乾燥、噴霧冷却、回転テーブル微粒化、流体床被覆、静止ノズル共押出し成形、遠心ヘッド共押出し成形、沈水ノズル共押出し成形、パンコーティング、相分離、溶媒蒸発、溶媒抽出、界面重合、単純若しくは複合の共群生化、自然(in-situ)重合、リポソーム技術、ナノカプセル化。例えば、下記の材料はマイクロカプセルの殻形成材料として使用できる:タンパク質、多糖類、澱粉、ワックス、脂肪、及び他の天然及び合成ポリマー。封入された薬物の最適放出速度は、球の構成に使用された材料、該球のサイズ、埋め込まれた薬物のタイプ及び量、及び該球に混入された添加剤の適正な選択により達成できる。微小球の放出速度は普通、一次である(of first order)。しかしながら、ゼロ次放出速度は、種々のサイズの粒子の最適割合及び持続層(depot layer)技術を提供するなどの別の方法を使用することにより、達成できる。本発明の微小球はそれ自体、薬物が埋め込まれたより小さい球を含み得る。微小球は溶解性であるが取り囲むマトリックスよりも遅い速度で溶解性であるように設計できる。或いは、微小球は不溶性に設計できる。例えば、生体適合性合成ポリマー、例えばポリウレタン(ポリカーボネートウレタンを含む)、イソブチレン、ポリスチレン−イソブチレン−ポリスチレン、シリコーン(例えばポリシロキサン及び置換ポリシロキサン)、熱可塑性エラストマー、エチレン酢酸ビニルコポリマー、ポリオレフィンエラストマー、エチレン プロピレン ジエンM−クラスゴム、ポリアミドエラストマー、ヒドロゲル、又はそれらの組合わせをこの目的に使用できる。かかヒドロゲルポリマーは下記を含むが、これらに限定されない:2−ヒドロキシエチルメタクリレートの誘導体、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリウレタンヒドロゲル、天然ヒドロゲル、例えばゼラチン、ヒアルロン酸、架橋結合アルブミン等、又はこれらの組合わせ。
【0099】
製造方法
本発明により、マトリックスに埋め込まれた電極本体の製造方法もまた開示される。該方法は、電極本体を固定する固定手段、及び場合によっては、該固定手段に所望の構造で埋め込むべき追加の要素、例えば光ファイバー、収縮性要素等、を提供し、このようにして固定した電極本体及び付属物を、その近位カップリングセクションを除いて覆う鞘(sheath)を適用し、第1マトリックス材料の溶液又は懸濁液を該電極に、埋め込もうとする電極の部分を覆うように塗布し、該マトリックス溶液又は懸濁液のそれぞれ溶媒/分散体を蒸発又は硬化させ、該鞘を除き、そして該電極を該固定手段から取り外すことを含む。電極を2種のマトリックス材料に埋め込んで、それぞれが電極の部分を封入する対応するマトリックスコンパートメントを形成するために、上記の固定手段により固定した電極本体の適当な部分を第1マトリックス材料の溶液又は懸濁液で被覆し、その溶媒/分散体は実質的に蒸発させ、次いで被覆されるために残った電極本体の部分を第2マトリックス材料の溶液又は懸濁液で被覆し、引き続き該第2マトリックス材料の該溶媒/分散体を蒸発させ、そして該電極を該固定手段から取り外す。該方法で、該電極本体は、ポリフルオル化炭化水素ポリマー又はシリコンゴムのような低湿潤性の滑らかな材料の鞘内に配置し、そしてその中に固定するのが好ましい。溶媒蒸発を容易にするために、該鞘の材料は多孔性、特に微孔性であるのが有利である。該マトリックス材料の適用及び乾燥後、該電極を鞘から取り出す。
【0100】
本発明の電極本体を2種のマトリックス材料に埋め込んで、区別されるマトリックスコンパートメントを形成する代替の方法は、電極本体全体を第1マトリックス材料に埋め込み、該第1マトリックス材料の一部、好ましくは遠位端から延びる遠位部分、を溶解し、該電極本体の今や埋め込まれていない遠位部分を、例えば該埋め込まれていない遠位部分に鞘の適用を行使することにより、第2マトリックス材料で覆い、該溶媒を蒸発させて該第2マトリックス材料を乾燥/硬化させ、そして該鞘を除去することを含む。
【0101】
本発明の電極本体は、単一被覆(single coating)技術又は被覆技術の組み合わせ、例えば浸漬被覆、吹付け塗り(spray coating)、押出し、圧縮成形及び射出成形を含む溶融工程、又は種々の技術の組み合わせ、を用いて被覆することができる。
【0102】
段階的手順の代表的例で、電極本体をまず、適正は溶媒に溶解した適当な再吸収性ポリマー又はポリマーブレンド物、特にコラーゲン、ゼラチン、ポリビニルアルコール及び澱粉、で浸漬被覆する。他のポリマーもまた使用できる。ポリマー層の厚さは当業者に知られた方法で制御される。次ぎに被膜は乾燥段階に付される。浸漬被覆段階及び乾燥段階は、最終被膜の要求される厚さに依存して、1回行うか又は繰り返すことができる。次の段階で、該ポリマーに薬物を充填する。該電極を該薬物を含む溶液に沈める。使用される溶媒は、該ポリマーが膨潤しそして該薬物が溶解する溶媒でなければならない。適当な接触時間後、例えば1秒から5分又はそれ以上の後、該電極を該溶液から取り出し、そしてマトリックスを、多分減圧下で、溶媒の蒸発により乾燥させる。
【0103】
ワンポット手順においては、該電極本体を、所望の被膜厚さ及び所望の薬物充填に最適な濃度のポリマー及び選択した薬物の溶液に沈める。次ぎに該電極を該溶液から取り出し、そして該溶媒を多分減圧下で蒸発させる。
【0104】
或いは、被膜を吹付塗りにより生成させ、該吹付塗りでは、適当な溶媒中のポリマー/薬物溶液を電極本体に吹き付ける。被膜の厚さは、吹付け及び乾燥(蒸発)サイクルの回数及び該溶液中のポリマー及び薬物の量により制御することができる。
【0105】
本発明にまた含まれるのは、部分的に加水分解された水溶性ポリマー、例えばポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、及びポリアクリル酸の誘導体、例えばポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、のヒドロゲル被膜である。温度が上昇するとこれらのヒドロゲルを収縮させ、これにより該薬物を被膜から押し出す。或いは、温度感受性ヒドロゲルはポリ(アクリルアミド)及びポリ(アクリル酸)の相互侵入性ヒドロゲルネットワークであり、温度の上昇は該ヒドロゲルを膨潤させ、これにより該薬物をゲルから拡散して出させる。
【0106】
本発明にまた含まれるのは、電気的に引き起こされる放出のためのポリマー又はポリマーブレンド物、例えばポリビニルアルコール/キトサン、の使用である。
【0107】
インプラント形成(implantation)方法
本発明により、本発明の電極、電極束、並びに電極及び電極束のアレーを軟質組織へ挿入又はインプラント形成する方法もまた開示される。
【0108】
本発明の可撓性医療用微小電極を組織に所望の構造で挿入又はインプラント形成する方法は:体液に放出できる薬物を含む、実質的に硬い生体適合性の水溶性若しくは生物分解性マトリックスに少なくとも部分的に埋め込んだ電極を所望の構造で提供し;該マトリックスに埋め込んだ電極を組織内に挿入又はインプラント形成し;該マトリックスをその場で溶解又は分解させることを含む。該マトリックスは、より低い溶解若しくは分解速度の近位セクションと、より高い溶解若しくは分解速度の遠位セクションとを含むのが好ましい。
【0109】
本発明の可撓性医学的微小電極束を組織に所望の構造で挿入又はインプラント形成する方法は:体液中で溶解性若しくは生物分解性の実質的に硬い生体適合性共有電極マトリックスであって、体液に放出できる薬物を含む該共有電極マトリックスに埋め込んだ、所望の構造の電極束を提供し;該マトリックスに埋め込んだ電極束を組織内に挿入又はインプラント形成し;該共有電極マトリックスをその場で溶解又は分解させることを含む。該共有電極マトリックスは、より低い溶解若しくは分解速度の近位セクションと、より高い溶解若しくは分解速度の遠位セクションとを含むのが好ましい。
【0110】
共通のアレーマトリックスに埋め込んだ、本発明の電極マトリックス埋め込み医療用微小電極若しくは微小電極束のアレーを組織に所望の構造で挿入又はインプラント形成する方法は:体液中で溶解性若しくは生物分解性の実質的に硬いアレーマトリックスであって、体液に放出できる薬物を含む該アレーマトリックスに埋め込んだ、所望の構造の微小電極若しくは微小電極束のアレーを提供し;該マトリックス埋め込み微小電極若しくは微小電極束アレーを組織内に挿入又はインプラント形成し;該電極/共有電極マトリックス及び該アレーマトリックスをその場で溶解又は分解させることを含む。
【0111】
使用
本発明はまた、該マトリックス埋め込み電極、該マトリックス埋め込み電極束又は該マトリックス埋め込み電極束のアレーを、長期持続神経刺激、レドックス反応の測定を介しての電気的ニューロン活性及び伝達物質のレベルのマルチチャンネル記録、及び科学的、医療的及び動物介護の目的での組織の損傷に使用することに関する。
【0112】
本発明の好ましい側面によると、本発明の微小電極、微小電極束、及び微小電極若しくは微小電極束のアレーは、患者又は動物において、下記のために使用される:脳及び/又は脊髄の損傷後に残るニューロンからのシグナルの記録;失われた機能を補償するためにニューロンの刺激;無感覚脳幹中心の刺激による痛み緩和の提供;パーキンソン病における腫瘍及び他の運動症状の緩和又は減少の提供;大脳基底核又は関連する核内の刺激による、舞踏病性及び他の自発的でない運動の緩和又は減少;アルツハイマー病又は他の変性疾患の場合、コリン作動性及び/又はモノアミン作動性核の刺激による記憶の向上;大脳辺縁系又は他の脳領域の刺激による、気分、攻撃性、不安、恐怖症、情動、性的過活動、インポーテンツ、摂食障害の制御;脳卒中又は脳及び/脊髄の損傷後の、大脳皮質中の残った連結部又は下降した神経路の刺激によるレハビリテーションの提供;脊髄損傷後の、膀胱及び腸管空虚(emptying)のような脊髄機能の、脊髄関連部分の刺激による制御の再創設の提供;阻害的棘上下降中心又は適当な小脳領域の刺激による痙縮の制御の提供;脊髄及び脳中の関連する細胞核の刺激による体知覚、聴覚、視覚、嗅覚の再創設の提供。
【0113】
本発明の別の好ましい側面によると、本発明の微小電極、微小電極束、及び微小電極若しくは微小電極束のアレーは、患者又は動物において、組合わさった監視及び刺激、特に下記のために使用される:抗てんかん薬若しくは電気パルスの伝達のためにシステムに結合した、てんかん病巣に埋め込んだ電極により、てんかん発作を監視する;運動系における失われた連結部を、中心運動指令を記録し、次いで該運動系の損傷から遠い実行部を刺激することにより補償する;ホルモン放出を制御するために、血糖値を記録する。
【0114】
本発明の更なる好ましい側面によると、本発明の微小電極、微小電極束、及び微小電極若しくは微小電極束のアレーは、患者又は動物において、組織、特に腫瘍又は異常に活性な若しくはてんかん誘発性神経組織、を、充分な強度の電流を該電極、該電極束又は該電極束のアレーを介して通すことにより、局部的に損傷するために使用される。
【0115】
生物医学的研究において、本発明の微小電極、微小電極束、及び微小電極若しくは微小電極束のアレーは、脳及び脊髄の正常及び病理学的機能を特に長時間にわたって研究するために使用できる。
【0116】
神経機能代替器具を有する患者において、本発明の微小電極、微小電極束、及び微小電極若しくは微小電極束のアレーは、神経と該器具の接触面を形成するのに使用できる。
【0117】
患者又は動物において、本発明の微小電極、微小電極束、及び微小電極若しくは微小電極束のアレーは、内分泌又は外分泌器官の機能の制御のために、例えばホルモン分泌の制御において使用できる。
【0118】
患者又は動物において、本発明の微小電極、微小電極束、及び微小電極若しくは微小電極束のアレーは、1つ又はそれ以上の骨格筋肉又は心臓筋肉の機能を制御するために使用できる。
【0119】
本発明を、ノンスケールの多くの図面を含む概略図面に示される好ましい態様の番号を参照して、更に詳細に説明する。