特許第5876905号(P5876905)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ニューロナノ アーベーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5876905
(24)【登録日】2016年1月29日
(45)【発行日】2016年3月2日
(54)【発明の名称】微小電極
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/05 20060101AFI20160218BHJP
【FI】
   A61N1/05
【請求項の数】16
【全頁数】61
(21)【出願番号】特願2014-161350(P2014-161350)
(22)【出願日】2014年8月7日
(62)【分割の表示】特願2012-514915(P2012-514915)の分割
【原出願日】2010年6月3日
(65)【公開番号】特開2014-221423(P2014-221423A)
(43)【公開日】2014年11月27日
【審査請求日】2014年9月4日
(31)【優先権主張番号】0900789-9
(32)【優先日】2009年6月9日
(33)【優先権主張国】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】508194652
【氏名又は名称】ニューロナノ アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100065651
【弁理士】
【氏名又は名称】小沢 慶之輔
(72)【発明者】
【氏名】イーケイ,フレデリク
(72)【発明者】
【氏名】ダニエルソン,ニルス
(72)【発明者】
【氏名】エリクソン リンスマイアー,イエニー
(72)【発明者】
【氏名】ペーターソン,ペール
(72)【発明者】
【氏名】ショウエンボルグ,イエンス
【審査官】 木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/091197(WO,A1)
【文献】 国際公開第2008/043439(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/0478
A61M 37/00
A61N 1/00 ― 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軟質組織に挿入するための、医療用微小電極を2個又はそれ以上含む微小電極束であって、該医療用微小電極の各々は、第1の近位端と、先端セクションを有する第2の遠位端と、該先端セクションから近位方向に延びる主本体セクションとを有する単一の電導性の長い電極本体を含み、ここで該先端セクション及び該主本体セクションは、外側電極マトリックス要素に埋め込まれており、該外側電極マトリックス要素は硬く、生体適合性で且つ体液中で溶解性又は生物分解性であり、更に、該外側マトリックス要素及び該電極本体の間に配置された内側電極マトリックス要素を含み;該外側電極マトリックス要素が溶解又は生物分解すると、放出されることができる薬物が該外側電極マトリックス要素又は該内側電極マトリックス要素に含まれ、
該電極束は更に、上記医療用微小電極の各々の上記外側電極マトリックス要素を封入する束マトリックス要素を含む、上記の微小電極束。
【請求項2】
上記束マトリックス要素上に溶解遅延被膜を含む、請求項1記載の微小電極束。
【請求項3】
上記電極の近位端に又はその近くに配置された束ね手段を含む、請求項1又は2に記載の微小電極束。
【請求項4】
上記微小電極束がインプラントされた上記組織に光源からの放射線を送るか、又は該組織から発せられる放射線を送るための光ファイバーを含む、請求項1〜3のいずれか1項記載の微小電極束。
【請求項5】
束挿入要素のための取り外し可能なカップリング手段を備える、請求項1〜4のいずれか1項記載の微小電極束。
【請求項6】
2個又はそれ以上の上記電極がいろいろな長さであり、上記束マトリックス要素が回転対称形であり、そして上記束が上記束マトリックス要素の中心軸に対して対称的に配置されている請求項1〜5のいずれか1項記載の微小電極束。
【請求項7】
上記電極が一つの横方向に傾斜するように配置される請求項1〜5のいずれか1項記載の微小電極束。
【請求項8】
上記束マトリックス要素が、水性環境内で溶解速度が異なる2種又はそれ以上のマトリックス材料のセクションを含む請求項1〜7のいずれか1項記載の微小電極束。
【請求項9】
上記2つ又はそれ以上の電極の近位端が同じ平面上に配置されている、請求項1〜のいずれか1項に記載の微小電極束。
【請求項10】
上記束ね手段が、ポリマー又はセラミック材料のベースプレートを含む、請求項に記載の微小電極束。
【請求項11】
上記ベースプレートが、増幅器を備えそして上記微小電極束がインプラントされた上記組織の刺激及び記録のためにエレクトロニクスに接続されるか、又は該微小電極束の該組織への挿入のための極微操作装置を受納するための手段を設けるために使用される、請求項10に記載の微小電極束。
【請求項12】
電流が通った時に形状を変化させることができる1種若しくはそれ以上の収縮性バイメタル要素を含む、請求項1〜11のいずれか1項記載の微小電極束。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項記載の微小電極束を2つ若しくはそれ以上含む、医療用微小電極束のアレーであって、該2つ若しくはそれ以上の微小電極束が、固体支持体の面上に空間を置いて配置されている、上記のアレー。
【請求項14】
上記2つ若しくはそれ以上の該微小電極束が、硬い生体適合性アレーマトリックス要素に埋め込まれており、該要素は体液中で溶解性又は生物分解性である、請求項13記載のアレー。
【請求項15】
上記アレーマトリックス要素の体液中での溶解又は分解速度が、上記束マトリックス要素の溶解又は分解速度よりも高い、請求項14記載のアレー。
【請求項16】
上記アレーマトリックス要素上に溶解又は分解遅延被膜を含む、請求項14又は15記載のアレー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用微小電極(microelectrode)及び多数の医療用微小電極に関する。特に、本発明は医療用微小電極、微小電極の束、及び微小電極のアレー及び/又は微小電極束のアレーに関する。本発明の微小電極、微小電極束、及び微小電極若しくは微小電極束のアレーは、軟質組織、例えば脳、脊髄、内分泌腺器官、筋肉、及び結合組織、に挿入するように意図される。
【背景技術】
【0002】
中枢神経系(CNS)に長期間埋め込むことができる微小電極(microelectrodes)は広範囲の応用分野を有する。本発明で、用語「電極」とは、微小電極を云う。原則として、全ての脳核はかかる電極から記録するか又は該電極により刺激することができ、そしてそれらの機能は監視できる。特に重要なのは、脳核刺激にマルチチャンネル設計を使用することである。かかる設計において、電極群又は個々の電極さえも別々にアドレスできる。このことは使用者に、電極の刺激が、非選択的刺激と比べて改良された治療効果を生じるような電極を選択するのを可能にする。脳又は脊髄の刺激は、脳核が退化又は損傷した状況で、特に価値がある。ある種の状況で、制御された電気的刺激と局部的遺伝子導入を組み合わせることができることも有用であろう。マルチチャンネル設計もまた、使用者に、全身的又は局部的薬物投与又は遺伝子導入の後の多数のニューロンと他の細胞への効果を効果的に測定することを可能にし得る。特に興味あるのは、多数の薬物候補のニューロン機能への効果を同時に測定する能力である。埋め込んだ電極による脳活性の監視は、薬物供給を局部的に又は全身的に制御するために使用された場合、又は他の治療方法、例えば脳核の電気的刺激、に使用された場合もまた、有用になり得る。マルチチャンネル電極もまた、異常な衝撃(インパルス)活性が電極からの記録により又はfMRI若しくはPETのような画像形成で検出された後、組織の特定の且つ制限された部位を損傷するために使用し得る。
【0003】
脳構造を記録しそして刺激するために、種々の形態のインプラント形成(implantation,埋め込み)可能な電極が開発された(特許文献1〜21)。しかしながら、インプラント形成手順により引き起こされる損傷及び合併症に殆ど注意が払われていなかった。これらの結果はインプラントの損傷機能を引き起こすだけでなく、電極を埋め込んだ個人をも傷つける。埋め込んだ電極の機能及びインプラントを導入した組織の機能は、1)出血及び組織の梗塞形成を含む組織の急性損傷、2)感染、3)埋め込み手順により引き起こされる炎症及びグリアの活性化を含む組織の反応、4)グリア活性化及びインプラントを引き離す傷跡形成を含む、長期間続く組織反応、及び/又は5)電極と組織の間の動きのいずれかにより損傷され得る。これらの結果は通常、インプラント形成の間又は後にいろいろな時間間隔中に起こる。
【0004】
1)微小電極を中枢神経組織に埋め込む時、開腹手術の一般的危険のほかに、出血及び/また組織の梗塞のような局部的危険がある。これは出血及び血管収縮を引き起こし得る。中枢組織に漏れた血液細胞及びタンパク質に対する強い炎症反応が引き起こされ得、そして組織に長期間影響を及ぼし得る。これは次ぎに、影響を及ぼされた体内の管により供給された領域内で細胞死を誘発し得る。電極の機能の結果として、インプラントは損傷され得る。
【0005】
2)一般的手術及び人工器具の特定のインプラント形成もまた、感染の危険性を増加させる。手術領域は手術時又は手術後の早期回復段階内で感染され得る。体材料異物(インプラント自体)の存在は、電極を囲む組織における感染を創設するための抵抗減弱部として機能し得る。インプラントの周りの組織感染は一般に、他の組織の感染よりも抗生物質での治療が難しい。インプラント形成された(埋め込まれた)電極に近い感染は、組織の機能を損傷するほかに、インプラント形成された電極の機能をも危険にさらし、そして極端な事例では、感染を治癒するために該器具の除去が必要になる。
【0006】
全身的に投与された抗生物質の一般的保護に加えて、インプラント形成された電極に近い感染を局部的に治療できると有利であろう。
【0007】
電極の中枢神経組織への埋め込みは、負わされた傷により、常に急性炎症を引き起こすであろう(非特許文献1及び2)。これは正常な生理的反応であり、治癒プロセスに必要である。組織に永久的に固定される材料の場合、体材料異物は更に、慢性炎症を誘発し得、それは最も悪い事例では、インプラント及び組織の機能を危険にさらし得る。従って、該器具に関する材料及び手順は、慢性炎症を最小にしなければならない。向ける必要がある別の合併症はグリア細胞、特に星状細胞及び小膠細胞、の反応である。中枢神経組織まで穿孔損傷する場合、星状細胞は増殖しそして星状膠細胞様(astroglial)傷跡を形成するであろう(非特許文献3及び4)。かかる傷跡はインプラント形成された電極を囲むカプセル状構造を形成し得、それにより該電極を中枢神経組織の残部から絶縁するであろう。大きい星状膠細胞様カプセルの場合、電極の機能を損傷し得る。従って、星状膠細胞反応を制御する必要がある。しかしながら、全体的に防止するのではない。何故なら、星状細胞の包含が欠如すると、実際に拡がった炎症と、シナリオを悪化させる組織反応とを引き起こすであろうからである(非特許文献5及び6)。小膠細胞もまたインプラント形成後に増殖し得る。これらの細胞は貪食能を有し、そして慢性型炎症を引き起こすことができる多くの物質を放出する。小膠細胞を制御することにより、星状細胞カプセルの形成を減少させ得る。健康に危険である外に、種々のタイプのグリア細胞により引き起こされる組織反応は、インプラントした電極の機能を損傷し得る。例えば、ニューロンを欠いたゾーンが電極の周りに生成した場合、又は傷跡が創設された場合、生きたニューロンを活性化するのにずっと多くの電流が必要であろう。ある距離にあるニューロンを刺激するために必要な増加した電流は次ぎに、熱減衰により及び/又は不可逆的酸化還元反応の誘発により、更なる組織損傷を引き起こし得る(特許文献22も参照されたい)。
【0008】
4)マルチチャンネル電極の設計自体もまた、インプラント形成後に、電極インプラントと組織との間での運動により、少なくとも部分的に、遅れたそして長く続く組織反応を引き起こし得る。特に重要なのは、呼吸により及び心臓鼓動により引き起こされる内因性運動である。その結果の脈動運動は通常、組織内で均一ではない。例えば、心臓鼓動により引き起こされる主動脈の周りの運動は、組織を通して不均一に伝搬する。インプラントと組織の間の運動は、該インプラントが硬いと、又は電極が埋め込まれた軟質組織と共に動かない硬い構造体に取り付けられていると、生じる。従って、インプラント形成後に、頭蓋骨若しくは骨格でなく該組織に固定され、そして該組織の運動に従うことができる可撓性の電極を使用し、それにより、電極と組織の間の摩擦を避けるのが有利であろう。そうでないと、電極と組織の間に摩擦が起き、そして組織反応を引き起こし得る。電極と組織の間の運動は不安定な記録/刺激の状況を生じ得、それによりインプラントの損傷された機能を生じ得る。かかる内因性運動により引き起こされる個々の電極とそれに隣接する組織の間の運動を減少させるために、電極は組織の運動に全方向に従うことができなければならない。
【0009】
研究に使用されるマルチチャンネル電極、特に数多くの電極から構成されるマルチチャンネル電極を用いた更なる厄介な問題は、個々の電極で記録される/刺激されるニューロン又は細胞を確認するのが通常難しいか又は不可能であることである。これは、結果の解釈を妨害する。何故なら、記録されたシグナルを細胞型若しくは細胞形態学に関連させることが可能でないからである。このことはまた、刺激の効果の解釈において問題を生じる。何故なら、どの細胞が刺激されたか不明確であるからである。
従って、上述の厄介な問題を避けるか、又は少なくとも緩和できたなら、実質的に有利であろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第6,253,110号B1
【特許文献2】米国特許第5,957,958号
【特許文献3】米国特許第4,573,481号
【特許文献4】米国特許第7,146,221号B2
【特許文献5】米国特許第5,741,319号
【特許文献6】米国特許第4,920,979号
【特許文献7】米国特許第5,215,008号
【特許文献8】米国特許第5,031,621号
【特許文献9】米国特許第6,993,392号B2
【特許文献10】米国特許第6,032,062号
【特許文献11】米国特許第4,852,573号
【特許文献12】米国特許第3,995,560号
【特許文献13】米国特許第7,041,492号
【特許文献14】米国特許第6,421,566号B1
【特許文献15】米国特許第4,379,462号
【特許文献16】米国特許第5,417,719号
【特許文献17】米国特許第3,822,708号
【特許文献18】米国特許第5,501,703号
【特許文献19】米国特許第7,099,718号B1
【特許文献20】米国特許第3,724,467号
【特許文献21】米国2007/0197892号A1
【特許文献22】米国特許第6,316,018号
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Ghirnikar, R S外,Neurochemical Research 1988,23(3);329-340
【非特許文献2】Norton,WT,Neurochemical Research 1999,24(2):213-218
【非特許文献3】Eng,F E外, Neurochemical Research 2000,25:1439-1451
【非特許文献4】Polikov, V S外,2005, J Neuroscience Methods 148;1-18
【非特許文献5】Eng,F E外, Neurochemical Research 2000,25:1439-1451
【非特許文献6】Sofroniew,M V外, Neuroscientist 2005 11(5):400-407
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、医療用微小電極、微小電極の束、又は微小電極のアレー若しくは微小電極束のアレーであって、当業界で知られた微小電極、微小電極束、又は微小電極束のアレーの1つ又はそれ以上の欠点がないものを提供することである。
【0013】
本発明の別の目的は、種々の濃度の薬物若しくは生きた組織、特に脳のような神経組織、に対する薬理学的効果を研究する方法を提供することである。
【0014】
本発明の更なる目的は、下記の本発明の概要、図面に示された多くの好ましい態様、及び添付の特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明により、可撓性の医療用微小電極、微小電極の束、及び微小電極若しくは微小電極束のアレーであって、薬物及び/又は遺伝子ベクターを、該電極、該束又は該アレーが挿入された組織に放出する手段を含むものが開示される。以下に、用語「薬物」は「遺伝子ベクター」をも含むことが意図される。本発明の微小電極は、単一電極であるか又は本発明の電極束若しくは電極束アレーに含まれるかに関係なく、導電性電極本体、及び、組織に挿入する間、該電極本体を安定化する非導電性電極マトリックス要素を含む。該電極マトリックス要素は、組織中で、即ち体液中で、溶解性及び/又は分解性の材料から成るか又は該材料を含む。薬物及び/又は遺伝子ベクターを放出する該手段は、本発明のマトリックスであるか、又は該マトリックスに含まれ、例えば本発明のマトリックス中に分散された粒子、又はマトリックスの溶解若しくは分解中に体液に接触すると該薬物の水溶液を形成することができる該マトリックスの部分、に含まれる。該粒子は薬物粒子又は該薬物を含む担体粒子であり得、例えば該薬物を含むミクロカプセル又は多孔性若しくは層状の微小球であり得る。該薬物が本発明のマトリックスに結合しているか、又は体液に接触すると開裂する、特に酵素の作用により加水分解して開裂する、結合剤により本発明のマトリックス中に分散された粒子に結合するのも、本発明の範囲内である。該薬物又は薬物含有粒子は、該マトリックス要素全体に分散していても、又は該マトリックス要素の部分、特に電極先端を囲むマトリックス要素部分、に分散していてもよい。それらの分散は均一であるか、又は濃度勾配を形成するようであってもよい。
【0016】
本発明の微小電極本体は、尖った又は丸まった先端、或いは球状の先端を含む遠位電極先端セクション、該先端セクションから近位方向に延びる主本体セクション、及び任意に、該主本体セクションから近位方向に延びる近位カップリングセクションを含む。「遠位」又は「第1」又は「近位」又は「第2」とは、電極先端を最も先にして該電極を組織に挿入する方向に関連する。本発明の微小電極を、そのまま又は電極束又は電極若しくは電極束のアレーとして組織に挿入し、そして電極マトリックス要素が体液により溶解又は分解すると、そして電極束又は電極若しくは電極束のアレーの場合、体液による該電極束若しくはアレーのマトリックスが(追加して)溶解すると、本発明の電極は軟質組織に配置された微小電極に変換する。該電極本体、特にその先端セクション、は、電極本体を組織内に固定する手段、例えばフック、を含むのが好ましい。
【0017】
該電極本体のセクションは絶縁されているのが好ましい。特に好ましいのは、主本体セクション又はその主要部分が絶縁され、一方先端セクションは絶縁されていない絶縁スキームである。
【0018】
該電極本体の直径、特にその主要部分の直径は、約10−7〜約10−4mであるのが好ましい。該電極本体から横に延びる要素、例えば組織内に固定するためのフック、を除いて、電極主本体セクションは均一な直径を有するのが好ましい。特に、該主本体セクションは横断部が円形である。該主本体セクションは円筒状か、又は(円筒状)金属ワイアを曲げて製造するのが好ましい。或いは、該主本体セクションは好ましくは平らで、横断面が矩形である。平らな薄い本体セクションを有する電極は、例えば、電気絶縁性支持体への金属薄層に適用されるリトグラフエッチング技術により製造できる。或いは、1つ又はそれ以上の電導性層と1つ又はそれ以上の電気絶縁層から成り得る平らな薄い本体セクションは、例えばレーザーカッティングにより、対応する層状シート材料から切り取ることができる。かかる層の各層を、導電性部分と電気絶縁部分から構成することも可能である。しかしながら、これらの前述の幾何学的構造(geometries)以外の他の構造は本発明から除かれない。
【0019】
本発明の好ましい側面によると、微小電極は近位カップリングセクションを欠き、電極本体と電極制御ユニット(装置)との間に電気的接続を確立するために、主本体セクションは導電体と一体である。好ましくは、電極本体と導電体とは同じ材料であり、例えば良導電体の薄い金属ワイアである。近位カップリングセクションがないと、本発明の電極本体の公称長さは電極マトリックス内のその埋め込まれた長さである。近位カップリングセクションがない態様では、電極本体の近位末端はマトリックスの近位末端により規定される。
【0020】
使用に際して、本発明の電極は、単一電極として使用されるか又は電極束又は電極若しくは電極束のアレーから構成されるかに関係なく、制御ユニットに電気的に接続される。本発明の制御ユニットは電流を電極に供給し、そして/又は、電極が挿入された組織内に生じる、電流又は該電極により伝達される電位を検出する。本発明の制御ユニットは、マイクロプロセッサーと、該マイクロプロセッサーの記憶装置に貯蔵された制御ソフトウェアとを含む。
【0021】
本発明の制御ユニットは、本発明の電極、電極束又は電極若しくは電極束のアレーを備えた人又は動物の内側又は外側に配置できる。それは本発明の電極と、導電性リード線により導電的に接触するか、又はそれは放射性手段により接触することができる。該制御ユニットは本発明の電極と、電極本体、電極束又は電極若しくは電極束のアレーの近位部分に配置された小型マイクロプロセッサーの形態で、一体化することも可能である。該マイクロプロセッサーは電極先端に近い軟質組織に生じる電流又は電位を記録し、そして該記録を記憶装置に貯蔵し得、その記録は、例えば組織から取り出した後、読み取ることができる。
【0022】
本発明は更に、組織保護薬物を、挿入された電極を取り囲む組織に投与することが電極の使用に有利であり得るとの考察に基づく。
【0023】
更に本発明は、組織保護薬物以外の薬物を、挿入された電極を取り囲む組織に投与することが電極の使用に有利であり得るとの考察に基づく。
【0024】
本発明の電極を介した薬物投与は1種の薬物に限定されない。2種又はそれ以上の薬物を同時に又は連続的に投与することも可能である。該2種又はそれ以上の薬物は単一電極マトリックス要素に位置しても、又は電極マトリックス要素の色々な区分(コンパートメント)又は部分に位置してもよい。ここで該コンパートメントは、単一マトリックス材料により構成されているか、又は種々のマトリックス材料で構成されている。本発明のマトリックス要素が2つ又はそれ以上のコンパートメントを含む場合、該コンパートメントは電極本体若しくはその一部分に沿って延びる回転対称的層内に配置するか、又はそれぞれが電極本体の一部分に沿って延びる、隣接するマトリックスセクションに配置するのが有利である。単一電極、電極束及び電極若しくは電極束のアレーを、体液に溶解性又は分解性の固体電極マトリックスに埋め込むことにより、非常に繊細な電極本体、例えばミクロメートル又はナノメートル範囲の電極本体、を良好な状態で組織に挿入できる。従って、本発明の電極マトリックス要素を配置する一つの目的は、本発明の電極、電極束及び電極若しくは電極束のアレーを組織に挿入することに備え、一方電極本体と先端、そしてもし存在する場合は、該電極先端又は本体から延びる組織保持要素、例えばフック、の一体性を保護することである。挿入を容易にするために、該電極マトリックス要素は遠位方向に狭くなるのが好ましい。その遠位末端で、電極マトリックス要素は丸い又は尖った先端の形態を有するのが好ましい。該先端は円錐形又はほぼ円錐形であり得るが、平らであってもよい。対照的に、本発明の多数の電極又は電極束を封じ込めて電極又は電極束のアレーを形成するマトリックスは、アレーマトリックス要素と呼ばれ、ここで、該電極又は該電極束は1種又はそれ以上の電極マトリックス要素を含みそして既にそれに埋め込まれている。
【0025】
電極及び/又は電極マトリックス、電極束及び/又は電極束マトリックス、電極アレー又は電極束アレー及び/又は対応するマトリックスの好ましい軸長、即ち、電極を組織に挿入しようとする方向の長さ、は100mm若しくはそれ未満、又は50mm若しくはそれ未満、又は15mm若しくはそれ未満である。例外的に、該電極、電極アレー、電極束及び/又は対応するマトリックスのいずれかの軸長は100mmを越える。
【0026】
最も重要なのは、本発明の電極マトリックス要素は、電極本体上の薄い被膜ではなく、先端を含めて電極本体、及び存在する場合は組織保持要素を、組織への挿入中にそして挿入後に所望の時間、物理的に安定化する要素であることである。電極及び電極束を封鎖しそして安定化する本発明の電極マトリックス要素は、好ましくは回転対称性である。好ましい形状は、尖った先端と平らな後部ベースとを有する非常に小さい発射体の形状である。電極マトリックス要素は、電極又は電極束に対して回転対称的に、その長手軸を電極本体又は電極束の長手軸と共有して配置されるのが好ましい。従って、本発明の電極マトリックス要素は好ましくは、その長手軸を横断する断面が円形又は楕円形である。本発明によると、本発明の電極マトリックスの横断直径又は短い楕円形直径が、それに封鎖される電極本体の直径よりも実質的に大きい、例えば2倍、5倍、10倍及び25倍又はそれ以上大きいのが好ましい。
【0027】
本発明によると、a)電極、電極束、又は電極若しくは電極束のアレーと、b)1種又は数種のマトリックス要素との組み合わせは、軟質組織に一般に真っすぐな経路に沿って挿入するのを可能にする十分な物理的安定性又は硬さを有するのが重要である。該経路は、組織上のそれぞれの先端の作用により開かれる。従って該先端は組織内に切り込む。本発明の電極、電極束、又は電極若しくは電極束のアレーを軟質組織内の所望の位置に置くこの方法は、手術により経路を開くことが必要であろうインプラント形成と実質的に異なる。電極、電極束、又は電極若しくは電極束のアレーは、マトリックス要素で支持されていないと、その不十分な硬さにより組織に挿入することができず、挿入する器具を曲げ、それにより所望の挿入経路から逸れさせる。
【0028】
本発明の好ましい側面によると、マトリックスの表面は、挿入を容易にする材料、例えば軟質組織と接触して低摩擦の材料、の層を備える。他方、挿入容易化層は、挿入すると容易に溶解そして/又は分解しなければならない。好ましい挿入容易化層は、挿入しようとする組織の温度よりも数度高い融点、例えば40℃〜43℃の融点、を有する脂質を含む又は該脂質から成り得る。更に又はそれに代えて、マトリックス表面上の層は、該マトリックスの溶解及び/又は分解を実質的に遅らすように、例えば1分又は10分又はそれ以上遅らすように、設計してもよい。この種の適当な層は、約pH7〜7.5の水性環境での遅延放出のために薬剤工業において錠剤被覆に使用されるポリマーで形成することができる。
【0029】
本発明の別の好ましい側面によると、該電極本体は、電極マトリックス要素に、その近位端を除いて、完全に封入され、電極先端は該電極マトリックスの先端から近位方向にある距離で配置される。
【0030】
本発明の別の好ましい側面によると、本発明の電極本体は、一旦インプラントされる(埋め込まれる)と、単一電極に関係するか、又は電極束若しくは電極束アレーで構成される電極かに関係なく、横方向だけでなく、縦方向にもその一部分が運動の自由度を有するのが望ましい。これにより、電極本体上の周囲組織の不均一な運動の負の影響、特に、電極本体を変位させる傾向及び/又は該電極本体を周囲の組織を損傷するように動かせる傾向の影響、が避けられる。本願で電極本体の運動の自由度について云うことは、電極マトリックスが溶解及び/又は分解した時、即ち、電極本体がその運動を電極マトリックス要素によりもはや拘束されなくなる時、の電極本体に関する。特に、本発明は、かかる電極本体が互いに相対的に動くことができる部分を含んで、電極に沿ったそれらの距離を増加又は減少させることができるのが有利である、との見識に基づく。本発明はまた、インプラント形成する又は挿入するには、特に所望の構造で埋め込む又は挿入するには、本発明の電極本体は、電極束、又は電極束のアレー、又は単一電極のアレー及び電極束のアレーに関係するか否かにかかわりなく、構造的安定化を必要とする。本願で「構造(configuration)」は、本発明の電極がとることができる、又はその可撓性によりとるように強制される三次元の形状又は状態に関する。本発明によると、構造安定化は、電極を電極マトリックス要素中に少なくとも部分的に埋め込むことにより与えられ、該マトリックス要素は、該電極が一旦軟質組織の所望の位置に配置されると、体液中への溶解又は分解により除去される。このように、電極マトリックス又は電極支持材料は、体液中で、即ち水性環境中で、しかし電極が脂肪組織に挿入される場合は、脂肪に富む環境中でも、溶解性又は分解性である材料である。溶解又は分解後、電極マトリックス材料又はその分解生成物はそれぞれ、挿入部位から、生きた組織に作動する溶質輸送メカニズムにより一掃されそして/又は代謝される。本発明の電極マトリックス要素は、分解されて体液中で溶解性になる又はその溶解性が向上するような材料から成り得る;かかる分解は、生きた組織及び/又は電極に含まれる補助剤、例えば酵素、により働くメカニズムにより行われる。
【0031】
従って、本発明により、軟質組織に挿入するための医療用微小電極であって、第1の近位末端及び第2の遠位末端を有する導電性の長い電極本体を含み、該電極本体はその遠位末端から延びる先端セクション、該先端セクションから近位方向に延びる主本体セクション、及び、場合によっては、該主本体セクションから近位方向に延びるカップリングセクションを含み、ここで、該先端セクション、該主本体セクション、及び、場合によっては、該カップリングセクションが第1電極マトリックス要素に埋め込まれ、該第1電極マトリックス要素は実質的に硬く、生体適合性で、そして体液中で溶解性又は生体分解性であり、該微小電極は更に、下記の1つ又は両方を含む医療用微小電極が開示される:該第1電極マトリックス要素上の溶解遅延層;第2電極マトリックス要素であって、場合によっては該第1電極マトリックス要素と該電極との間に配置された2つ又はそれ以上のセクションを含み得る第2電極マトリックス要素。ここで、該第1電極マトリックス要素の溶解又は生体分解により放出される薬物が、該第1電極マトリックス要素又は第2電極マトリックス要素に含まれる。該薬物は、該マトリックス内に分散若しくは溶解さるか、又はマイクロカプセルの形態で該マトリックスに含ませるか、又は生体分解性材料若しくは体液に溶解性の材料のロッドに含ませることができる。
【0032】
好ましい態様においては、該微小電極は先端セクションに配置された固定(anchoring)手段を含む。
【0033】
別の好ましい態様において、該電極本体は、非伝導性コア、該コア上の1つ又はそれ以上の電導性層、該1つ又はそれ以上の電導性層上の絶縁層、及び場合によっては、該コアを該電導性層と電気的に接続するための、該コアに垂直な、該絶縁層を通過する1つ又はそれ以上の通路(passages)を含む。
【0034】
該先端セクション、該主本体セクション、及び、存在する場合は固定手段は、第1電極マトリックス要素に完全に埋め込まれているのが好ましい。
【0035】
本発明の好ましい側面では、該第1電極マトリックス要素は溶解速度又は分解速度が異なる2種又はそれ以上のセクションを含む。
【0036】
該電極本体の好ましい直径は、約10−7m〜約10−4mである。
【0037】
本発明の別の好ましい側面によると、該主本体セクションは、該第1電極マトリックス要素が溶解又は分解すると互いに動くことができる(複数の)部分を含み、従って該電極本体に沿った距離を増加又は減少させる。
【0038】
本発明の更なる好ましい側面によると、該第1電極マトリックス要素は第1薬物を含み、そして該第2電極マトリックスは第2薬物を含む。
【0039】
更に、本発明によると、本発明の電極を2つ又はそれ以上含み、それらの電極本体が実質的に平行に配置され、そして該第1電極マトリックス要素を共有するか、又は該第1マトリックス要素を封入する束マトリックス要素を含む、医療用微小電極束が開示される。本発明の好ましい側面によると、該微小電極束は、共有された第1電極マトリックス要素又は該束マトリックス要素上に溶解遅延被膜を含む。該束の2つ又はそれ以上の電極の近位端は、実質的に同じ平面内に配置されるのが好ましい。本発明の別の好ましい側面によると、該微小電極束は、該共有された第1電極マトリックス要素又は該束マトリックス要素に加えて、該電極の近位端に又はその近くに配置された束ね手段を含み、該束ね手段は溶解性又は分解性マトリックスを含まない。本発明の微小電極束は、1種又はそれ以上の光ファイバーを含んでもよい。本発明の更なる好ましい側面によると、微小電極束の2つ又はそれ以上の第1又は第2電極マトリックス要素は、異なる量の薬物を含むか、又は薬物放出性において異なる。本発明の微小電極束の軟質組織への挿入は、ロッドのような束挿入要素の使用により容易にされる。かかる使用のために、本発明の微小電極束は取り外し可能なカップリング手段を備える。
【0040】
更に、本発明によると、医療用微小電極若しくは微小電極束のアレーであって、本発明の微小電極を2つ若しくはそれ以上、又は本発明の微小電極束を2つ若しくはそれ以上含み、該2つ若しくはそれ以上の微小電極、又は該2つ若しくはそれ以上の微小電極束が固体支持体の面上に間隔を置いて配置された上記アレーが開示される。該アレーの該2つ若しくはそれ以上の微小電極、又は該2つ若しくはそれ以上の微小電極束は、実質的に硬い生体適合性アレーマトリックス要素に埋め込まれ、該アレーマトリックス要素は体液中で溶解性又は生体分解性であるのが好ましい。好ましくは、該アレーマトリックス要素の該体液中での溶解速度又は分解速度は、該第1電極マトリックス要素又は束マトリックス要素の溶解又は分解速度よりも高い。該アレーマトリックス要素は更に、該アレーマトリックス要素上に溶解遅延被膜又は分解遅延被膜を含んでもよい。
【0041】
単一電極
好ましくは断面がほぼ円形又は楕円形である微小電極本体は、電導性若しくは非電導性のコア、該コアが非電導性である場合は該コア上の電導性層、及び該電導性層若しくは該コア上の絶縁層を含む。しかしながら、他の断面、例えば矩形又は多角形の断面、を有する他の電極本体も使用し得る。或いは、該電極本体は、電導性材料を充填した非電導性ポリマーチューブを含むか又は該チューブから成る。非電導性コアは、好ましくは天然、半合成又は合成のポリマーフィラメント、例えばシルク、綿、人工シルク(セルロースアセテート)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド等のフィラメント、である。電導性コアは、例えば金、白金、チタン、イリジウム、前記の金属を含む合金又は他の金属の薄い金属ワイア、又はステンレス鋼又は電導性ポリマー繊維である。非電導性コア上の電導性層は、該コア上に、例えばイオンスパッターリング又は蒸着技術により配置された高電導度の金属、例えば銀、金及び/又は適当な金属合金、例えば白金−イリジウム、から成るか又は該金属を含む。金層の場合、該コア上への付着は、該金層と該コアとの間にクロム又はタングステンを介在させることにより改良することができる。かかる介在は他の金属層を用いた場合でも可能である。配置された金属電導性層の厚さは、0.1μm〜約100μmである。或いは、電導性層は電導性ポリマーから成るか又は該ポリマーを含んでもよい。該絶縁層は、非電導性ポリマーから成るか又は該ポリマーを含む。殆どの適用で、電極本体の直径は約10−7〜約10−4m、好ましくは約2.5・10−5m未満である。しかしながら、いくつかの適用では、電極本体はもっと大きい直径、特に電極が軟質組織の損傷を生じさせることを意図する場合、もっと大きい直径を有してもよい。
【0042】
電極本体の絶縁層は、好ましくは該本体の近位端から該本体の遠位端に延びる。即ち、電極本体全体が絶縁される。絶縁に適した材料の例は、ガラス、ポリビニルホルマル(polyvinyl formal)、エポキシ樹脂、ポリ(p-キシレン)、ポリアミド、シリコーンゴム、又は耐水性ラッカーである。しかしながら、電極本体に沿って、該絶縁層を通って電導性コアまでの通路(passages)、特に該コアにほぼ垂直に配置された通路を設けることも可能である。
【0043】
より大きい容積の組織の電気的刺激を意図する場合、標的組織に挿入しようとする電極本体の部分を絶縁しないのが好ましいかもしれない。或いは、電極本体は絶縁しない領域を含んで、組織内の多数の部位の刺激/記録を可能にしてもよい。
【0044】
組織への挿入を容易にするために、本発明の電極本体は、少なくとも1部は電極マトリックス要素と呼ばれる、生体適合性マトリックス材料の硬い若しくは実質的に硬い要素若しくは本体に埋め込まれる。該電極マトリックス材料は、好ましくは肉眼的に均一である。該埋め込みは、電極本体の少なくとも一部、更に好ましくは電極先端及び該先端から延びる電極本体の一部を含む。「実質的に硬い」は、該本体が僅かだけ弾性的に可撓性であってもよいことを示す。該電極マトリックス要素若しくはマトリックス本体は、体液中、特に水性体液中、或いは脂肪に富む体液中でも、溶解性若しくは生体分解性の固体マトリックス材料を含むか又は該材料から成る。マトリックス本体に電極を含めることは、該電極を組織へ挿入又はインプラント形成させ、そしてその中に所望の配置で置くばかりでなく、所望の構造(configuration)で置くことを可能にする。電極本体又は少なくともその一部は、電極マトリックス要素内に構造的(configurationally)に閉じ込められ(locked)ていてもよい。該電極マトリックス要素の溶解又は分解後に、該電極本体はその初期の構造を組織内で保持するか、又は第2の構造若しくは制限されない数の構造を取る若しくは取るようにされてもよい。「初期の構造」とは、電極若しくは電極本体若しくは電極に埋め込まれた電極本体のセクションの構造を意味する。電極の曲線的又は非直線的形状(shape)は電極の組織内の固定を改良する。何故なら、組織細胞は該本体に近接して生長するであろうからである。直線的電極本体と対照的に、曲線的又は非直線的形の電極は、本発明の電極が、該電極が埋め込まれる若しくは挿入される組織の非均一な運動と調和して動く能力を、変位することなく、改良する。本発明の重要な側面によると、マトリックス本体は、電極のインプラントで体液、特に水性体液、に放出できる薬物又は遺伝子ベクターを含む。該薬物はその溶解又は分解前に、特に少なくとも部分的に、マトリックス本体から放出され得る。該薬物は、例えば、開放構造のマトリックス、例えば開放微小チャンネルを備えたマトリックス、に含まれ得る。該薬物は該マトリックスから、該マトリックスの溶解又は分解と同時に放出され得る。該薬物は該マトリックス中に、分散した又は溶解した状態、即ち、多孔性マトリックスの孔壁に吸収された状態で、及び該マトリックスに共有結合により結合されたプロドラッグとしてでも、存在することができる。或いは、該薬物は該マトリックス中に、微小封入された形態、又は体液に溶解する本体若しくは人組織内で生体分解性する本体に含まれることができる。例外的に、該薬物は、電極マトリックス要素とは別個の本体に含まれることができ、該本体は体液に溶解性であるか溶解性でなく、又は生体分解性であるか生体分解性でないことができる。該薬物は、好ましくは、電極が挿入される組織の損傷を保護しそして/又は損傷した組織の回復を助ける薬物である。それとは独立して、本発明の薬物は、挿入された電極に隣接した組織、特に神経組織、最も特に脳及び脊髄の細胞核(nuclei)若しくは白質の組織に薬理学的影響を及ぼす薬物である。
【0045】
電極本体の態様、従って、本発明の電極であって、一旦人又は動物の組織に挿入されると、その近位端からその遠位端への距離が増加及び/又は減少するのを許す構造(configuration)を有する電極の態様において、該電極本体による第2の構造の採用は、幾つかの手段により与えることができる。該電極本体が弾性的に可撓性であるか、又は弾性的に可撓性の部分を含む場合は、圧縮した又は引っ張った状態で電極マトリックス要素に埋め込んで、組織内に該電極をインプラント形成した後に該電極マトリックス要素が溶解すると、該電極本体はそれぞれ膨張又は収縮し得る。
【0046】
電極本体は、その初期の構造で一般には実質的に一方向に延びているが、真っすぐであるか、又は規則的若しくは不規則の、屈曲部、螺旋、ループ、ジグザグセクション等を含み得る。言い換えると、その初期の構造で、電極本体の長さはその近位端と遠位端との間の距離よりも実質的に長くてもよい。実質的に長いとは、その第1電極端と第2電極端との間の距離の2%又はそれ以上だけ、特に5%又はそれ以上だけ、あるいは20%又はそれ以上だけ、50%又はそれ以上までだけ長いことを意味する。しかしながら、第2の遠位端から延びる電極先端セクションは、好ましくは真っすぐな又は僅かだけ曲がった構造を有する。
【0047】
絶縁されていない、電極の遠位端又は先端セクションは、いかなる適当な形状(shape)であってもよい。電極が記録の目的に意図されている場合は、尖った先端が特に有利である。電極が刺激に使用するように意図されている場合は、電極先端セクションは尖った縁部(エッジ)を含まず、先端セクションの侵食を低減するためにむしろ滑らかな輪郭を有するのが好ましい。場合によっては、電極先端セクションの表面積を粗くすることにより拡大して、周りの細胞との接触を増加させ、そして該電極の抵抗(インピーダンス)を減少させてもよい。粗い表面は、例えば電極を白金黒で被覆するか又はエッチングにより、得ることができる。
【0048】
電極本体は、その近位端で、絶縁された可撓性電線を介して電子的設備と電導的に接触している。
【0049】
本発明の電極の先端セクション及び/又は主本体セクションは、固定手段、例えば粗い表面部分、又は周囲の組織への接着を促進する表面部分、を備えることができる。隣接する組織に接着することができる電極本体セクションは、例えばチタン若しくは酸化チタンで被覆された部分を有するもので、組織接着若しくは組織内での伸長を可能にする種類のものであってさえもよい。先端セクションに取り付けられた薄い横方向に延びるフィラメントであって、挿入手順中は近位方向に配置され、次ぎに電極を短距離退却させると展開する該フィラメントは知られている(WO2007/040442)。本発明の電極は、人又は動物の組織に固定するために、かかるフィラメントを備えてもよい。これらの薄い横方向に延びるフィラメントは、電極本体の直径と等しいか又は好ましくは該直径よりも小さい直径を有し、そして/又は該フィラメントが該電極から適当な距離、例えば50μmまで又はそれ以上、そして100μmまで又はそれ以上でさえある距離、横方向に突き出るのを可能にする長さのものであるのが好ましい。横方向に延びるフィラメントは、更に電極としての機能を有するのが好ましく、この場合、少なくともそれらの先端は絶縁されていない。また、横方向に延びるフィラメントは、電極の導電性材料を含むか該材料から成り、該材料は電極本体の材料と一体化されるのが好ましい。しかしながら、横方向に延びるフィラメントが電極の材料とは異なる材料のものであるのも本発明の範囲内である。マトリックス埋め込み電極は電極マトリックスにより封入されているため、横方向に延びるフィラメントは、該マトリックス埋め込み電極を組織に挿入するのを妨害しないので、該フィラメントは該電極からあらゆる方向、例えば遠位方向、半径方向又は近位方向、に延び得る。電極は横方向に延びるフィラメントの多数個を含むこと、そしてこれらのフィラメントが該電極から1方向又は幾つかの方向に延びることも可能である。同様に、電極のコア又は支持チューブは先端セクションの材料と同じ材料であり、そして該先端セクションの材料と一体化されているのが好ましい。電極の先端セクションに突出要素を備えた電極において、かかる退却は該突出要素を組織内に固定されるようにし、そして該電極を退却に抵抗させ得る。適当な先端デザイン、例えば電極の第1端と第2端とを結ぶ直線により規定される電極本体の長軸から曲がった又は傾いた先端、を有する電極を更に組織内に押し込めると、その先端部分を電極の長軸の方向から脇に逸れさせ得る。
【0050】
本発明の電極は、軟質の生きた組織、特に脳及び脊髄組織、に挿入するだけでなく、肝臓、腎臓、骨格筋肉、心臓筋肉、血管筋肉、及び結合組織に挿入するように意図される。本発明の電極は記録及び/又は神経刺激用に使用できる。記録用に使用された場合、本発明の電極ワイアは小型予備増幅器を備えることができる。該増幅器は該先端から短距離に、例えば本体と先端セクションの接合部に配置して、シグナル対ノイズ比を改良するのが好ましい。
【0051】
軟質組織への挿入を容易にするために、極微操作装置ロッド又は類似物を、該マトリックスに取り付けるか、又は該マトリックス内に、その近位端の近く若しくは該近位端に埋め込むのが好ましい。或いは、該極微操作装置の取り外し可能な取り付けを、電極の近位カップリングセクションに含まれる結合(docking)手段により与えてもよい。
【0052】
電極束
ある適用には、複数の適当に配置された、前に開示した種類の電極を使用するのが有利である。
【0053】
共通の又は共有のマトリックス本体中の本発明の2つ又はそれ以上の電極を電極束と名付ける。共有のマトリックスは電極束マトリックス要素を形成する。それは体液中で溶解性又は生体分解性である。本発明の電極束の重要な特徴は、該束に含まれる少なくとも2つの電極が互いに電気的に絶縁されていなければならないことである。該束の全て又は実質的に全ての電極は、互いに電気的に絶縁されているのが好ましい。束マトリックス要素は硬い又は実質的に硬い。該束マトリックス要素の目的は、電極束に物理的安定性を付与して、それが組織内に実質的に直線経路に沿って挿入されるようにすることである。このことは、複数の電極が所望の軟質組織領域に配置されるのを可能にする。電極束に、少なくとも部分的にマトリックス本体に配置された、慣用の直線状電極ワイア、光学ワイア、収縮性ポリマー、又は電極及び/若しくはエレクトロニクスを含む堅い電極チップを設けることもまた、本発明の範囲内である。場合によっては、該電極又は束マトリックス要素は、水性環境内で溶解速度が異なる2種又はそれ以上のマトリックス材料のセクションを含む。本発明の電極束のセクション化マトリックス要素は、その特徴について、上記の本発明の電極マトリックス要素に相当する。本発明の共有された電極束マトリックス要素に加えて、該束の1つ又はそれ以上の電極、特に該束の全ての電極は、本発明の電極マトリックス要素を備えてもよく、かかる場合、該電極束マトリックス要素は、該束の1つ又はそれ以上の電極マトリックス要素を結合するか又は封入してさえもよい。
【0054】
本発明の電極束に含まれる電極本体は、いろいろな長さであり、そして電極束マトリックス要素若しくは本体が回転対称形、例えば円筒形、である場合は、その中心軸に関して対称的に配置するのが好ましい。最も長い電極本体を中心軸から短距離に配置し、そして短い電極本体を中心軸からより長い距離に配置して、それらの先端の全体がマトリックス先端の形を反映するようにするのが好ましい。それらの近位端は、回転軸を横断する面内又は該面の近くに配置するのが好ましい。しかしながら、電極本体を、一横方向に傾斜するか、そうでなければ対称的でない電極端先端を形成するように配置するのも本発明の範囲内である。このように、電極束マトリックス要素は遠位方向に先細で、例えば円錐形又は平らな三角形の末端遠位部分を形成してもよい。電極束マトリックス要素の末端遠位部分は丸まった形状を有して、該電極束を軟質組織に挿入する間の血管破れの危険性を最小にしてもよい。
【0055】
本発明の別の好ましい側面によると、組織又はその成分の放射線刺激を可能にし、そして/又は取り囲む組織から発生する放射線を記録するために、該電極束は1つ又はそれ以上の光ファイバーを含む。電極本体の態様に対応する態様で、該1つ又はそれ以上の光ファイバーは電極束内の選択位置に、電極束マトリックス要素により維持される。
【0056】
本発明の更なる好ましい側面によると、本発明のマトリックス埋め込み電極束内の2つ又はそれ以上の電極本体は、例えばセラミック又はポリマー材料の、ベースプレートにより、それらの第1端で又はその近くで結合することができる。このようにして結合した(複数の)電極は、同じ長さでも又は異なる長さでもよい。該ベースプレートは増幅器のような電子部品を備え、そして刺激及び記録の目的でケーブルを介して又は遠隔計測的に組織の外側のエレクトロニクスに接続してもよい。該プレートは、極微操作装置を受納するための手段を設けるためにも使用し得る。
【0057】
本発明の更なる好ましい側面によると、該電極束は、電流が通った時に形状を変化させることができる、例えば曲がることができる、1種若しくはそれ以上の収縮性バイメタル要素を含む。かかる収縮性要素は、マトリックス埋め込み電極束の挿入経路を制御するために使用できる。
【0058】
本発明の電極束の軟質組織への挿入のために、電極アレーの近位端部分に極微操作装置(micromanipulator)を取り付けるか又は取り付けることができ、該電極アレーから該電極束は近位方向に延びる。
【0059】
電極束が共有する電極マトリックスにより与えられる本発明の電極束の堅さは、それが組織に挿入されるのを容易にする。挿入すると、該電極マトリックスは迅速に又はゆっくり溶解又は分解し得る。所望の溶解又は分解速度は、適当なマトリックス材料を使用することにより選択することができる。これにより、電極本体は隣の電極本体に対して横方向に変位できるようになる。
【0060】
電極及び/又は電極束のアレー
本発明によると、2つ又はそれ以上のマトリックス埋め込み電極及び/又は平行に若しくはほぼ平行に配置された電極束は、体液のような水性媒体中に若しくは該媒体により溶解する若しくは分解されるだけでなく、神経組織のような脂肪に富む体液中に若しくは該体液により溶解する若しくは分解される、実質的に固体のアレーマトリックス若しくはのり(glue)により結合することができる。該アレーマトリックスは生体適合性でなければならない。適した材料は、炭水化物又はタンパク質ベースののり、例えばアルキル化及び/又はカルボキシル化セルロース誘導体、アミロース、及びゼラチン、を含むが、異なる性質のもの、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、及びポリアクリル酸のアルカリ塩、であることもできる。このようにして、電極及び/又は電極束は、インプラント形成に適した所望の幾何学的パターンでアレーに配置できる。これにより、インプラント形成に必要な時間は、個々の電極及び/又は電極束のインプラント形成により得られる同じ幾何学的パターンに必要な時間に比べて、かなり短縮される。このようなアレー中の本発明の1つ又はそれ以上のマトリックス埋め込み電極本体及び/又は電極束は、一時的又は恒久的に、互いに固定された関係で固定されて保たれた本発明の2つ又はそれ以上のマトリックス埋め込み電極本体により置き換えることができる。これらを固定された関係に保つための手段は、本発明のマトリックス材料の1種若しくはそれ以上、又はそれからは独立したものを含むか、それらから成り得る。それから独立したものである場合、該手段は、マトリックス埋め込み電極束の他のマトリックス材料よりも水性環境中でさらにゆっくり溶解及び/又は崩壊する材料、又は恒久的手段、例えばWO2007/040442の電極束を固定関係に保つ手段、であることができる。同様に、本発明の電極アレー中の1つ又はそれ以上の電極束は、1つ又はそれ以上のWO2007/040442の電極束で置き換えることができる。本発明の電極束アレー中の(複数の)電極束の間の適当な距離は、50μm〜500μm又はそれ以上である。1つの態様では、本発明の電極束の個々のマトリックス埋め込み電極本体は、近位端を、水性体液中に溶解性のベースプレートに固定して、間隔を設けた構造で設けられる。この配置は、電極束又は2つ若しくはそれ以上のかかる束を含むアレーの組織への挿入を容易にする。
【0061】
本発明の、マトリックス埋め込み電極束のアレー、又はマトリックス埋め込み電極とマトリックス埋め込み電極束との組み合わせのアレーは、長期間持続する刺激、電気的ニューロン活性、レドックス反応の測定による伝達物質及び他の生物活性分子のレベルのマルチチャンネル記録、及び科学的、医学的及び動物介護の目的で、組織の正確な損傷に適する。
【0062】
本発明によると、薬物放出のための好ましい手段は、マトリックス要素である。薬物は、溶解、分散、生体分解性結合剤(リンカー)を介して又は他の適当な方法による結合により、マトリックス内に埋め込まれる。
【0063】
薬物放出のための別の好ましい手段は、微小球又はマトリックスに分散された他の微粒子のようなコンパートメントである。
【0064】
薬物放出のための更なる好ましい手段は、該薬物を含む電極被膜であり、該電極被膜は該マトリックスに封入されている。
【0065】
本発明の薬物は、本発明の電極、電極束又は電極束アレーが挿入される組織において、生理学的及び/又は病理学的過程に影響を及ぼす薬剤を含むが、該薬剤に限定されない。
【0066】
本発明のアレーマトリックス要素又は本体は、体液のような水性環境で溶解する生体適合性材料から成る。溶解前に、それは膨張してもしなくてもよい。該アレーマトリックス要素は、好ましくは遠位方向に長い形状(oblong)である、即ち、組織に最初に導入されるマトリックス埋め込み電極の前線の部分を形成する。それは、例えば、その初期の構造における電極の第1端と第2端との間の距離に少なくとも等しい長さのバーとして形成することができる。該アレーマトリックス要素は、好ましくはその遠位端の方向に先細る。その遠位端セクションは、軟質組織への挿入を容易にするために、好ましくはほぼ円錐である。その遠位先端は尖った又は丸まった形状を有し得る。丸まった形状は挿入中の血管破れの危険性を最小にし、一方、尖った先端は挿入に対する組織の抵抗を減少させるであろう。該アレーマトリックス要素の形状は、電極を軟質組織に深く挿入するときに、真っすぐな挿入軌跡ラインに従うのを許し、これにより、使用者が該アレーの電極を組織内に正確に置くのを可能にする。湿ったマトリックスもまた、組織内での緊張力を最小にする滑りやすい表面を構成するであろう。
【0067】
動物の研究において、有効な薬物濃度の迅速なスクリーニング又は有効な薬物放出時間過程のスクリーニングを可能にするために、それぞれ電極若しくは電極束のアレーの個々の電極若しくは電極束を、1種の薬物を1種の濃度で含む1つの同じマトリックス要素内に埋め込むことができる。或いは、かかる個々の電極若しくは電極束の2つ又はそれ以上を、それぞれ2つ又はそれ以上のマトリックス要素に埋め込むことができる。該マトリックスは該1種の薬物の対応する数の濃度を含むか、又は対応する数の異なる薬物を同じ濃度で若しくは異なる濃度で含む。この処置により、1種若しくは数種の薬物の異なる濃度のスクリーニングを、この種の1つのアレーの使用により実施できる。アレーに含めようとする2つ又はそれ以上の電極若しくは電極束のマトリックスを、湿度に対するバリア(障壁)性において異なる、対応する数の被膜で被覆することもまた、可能であり、これにより、幾分、保護されたマトリックスの分解又は溶解を遅らせることができる。
【0068】
本発明の好ましい態様によると、2つ又はそれ以上のセクションを含むマトリックス要素において、該セクションを、本発明の電極が埋め込まれる1つ又はそれ以上の内側セクションを完全に又は部分的に封入する1つの外側セクションがあるように、配置し得る。放出するように意図された薬物は、内側セクションにのみ含まれる。内側マトリックス要素セクションは、好ましくは電極先端を封入せず、一方外側セクションは該先端及び内側セクションを封入する。このように、外側セクションは主として、電極を組織挿入中に物理的一体性を保護するように意図され、そして内側セクションとは実質的に異なる溶解又は分解プロフィールを有する。即ち、外側セクションは内側マトリックスセクションよりも実質的により容易に、例えば5、10又は100倍も容易に、溶解及び/又は分解される。
【0069】
本発明の更なる好ましい態様によると、電極束中の、又は電極束のアレー中の電極の、該電極を封入するマトリックスの溶解又は分解後の先端/遠位端の間の距離は、少なくとも200μm又はそれ以上、好ましくは500μm又はそれ以上でなければならない。この最終インプラント形成距離は、束中の電極を、電極束の中央に配置された水膨潤性ポリマー材料の栓により広げることにより得られる。即ち、該束の電極は、該栓を囲む。或いは、又は更に、最終インプラント形成距離は、電極を、マトリックスに含められた主本体を軸方向に圧縮したそして/又は半径方向に曲げた状態で使用することにより得られる。該マトリックスが分解及び/又は溶解すると、それらは元の圧縮されない及び/又は曲げられない状態に戻る。
【0070】
マトリックス
マトリックスを形成するために使用できるポリマーは、医療器具上で溶解しそして硬化若しくは重合できるポリマー、又は治療薬剤とブレンドできる比較的低融点を有するポリマーを含む。当業界で知られたかかる生体適合性ポリマーは下記を含むが、それらに限定されない:ゼラチン、コラーゲン、アラビヤゴム、ポリグリコール酸、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシメチル、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、プルラン、ポリビニルピロリドン、カラヤゴム、ペクチン、キサンタンゴム、トラガカント、アルギン酸、ポリカーボネート、ポリオキシメチレン、ポリイミド、ポリエーテル、セルロース、酢酸セルロース、酪酸セルロース、セルロース65アセテーロブチレート、硝酸セルロース、プロピオン酸セルロース、セルロースエーテル、カルボキシメチルセルロースコラーゲン、キチン、ポリ乳酸(laetic acid)、ポリグリコール酸、及びポリ乳酸(laetic acid)−ポリエチレンオキシドコポリマー、ポリアミド、ポリオルトエステル、ポリ酸無水物(PAN)、ポリカプロラクトン(PCL)、無水マレイン酸コポリマー、ポリヒドロキシブチラートコポリマー、並びにそれらの混合物及びブレンド物。上記の例は下記を含むが、それらに限定されない:ポリ1,3−(ビス(p−カルボフェノキシ)プロパン無水物(PCPP)芳香族ポリ無水物)、PCPPとセバシン酸との共重合から形成されたポリマー(即ち、芳香族二価酸と脂肪族二価酸とのコポリマー)及びポリテレフタル酸(即ち、無水ポリテレフタル酸及び芳香族酸無水物)、ポリ(L−ラクチド)(PLLA)、ポリ(D,L−ラクチド)、(PLA)、ポリグリコリド(PGA)、ポリ(L−ラクチド−コ−D,L−ラクチド)(PLLAJPLA)、ポリ(L−ラクチド−コ−グリコリド)(PLLNPGA)、ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)(PLAJPGA)、ポリ(グリコリドコ−トリメチレンカーボネート)(PGNPTMC)、ポリエチレンオキシド(PEG)、ポリジオキサノン(PDS)、ポリプロピレンフマレート、ポリ(グルタミン酸エチル−コグルタミン酸)、ポリ(tert−ブチルオキシ−カルボニルメチルグルタメート)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリカプロラクトン コ−ブチルアクリレート)、ポリヒドロキシブチラート(PHBT)、及びポリヒドロキシブチラート、ポリ(ホスファゼン)、ポリ(D,L−ラクチド−コ−カプロラクトン)(PLNPCL)、ポリ(グリコリド−コ−カプロラクトン)(PGAJPCL)、ポリ(リン酸エステル)、ポリ(アミノ酸)及びポリ(ヒドロキシブチラート)のコポリマー、ポリデプシドペプチド、無水マレイン酸コポリマー、ポリホスファゼン、ポリイミノカーボネート、ポリ[97.5%ジメチル−トリメチレンカーボネート)−コ−(2.5%トリメチレンカーボネート)]、シアンアクリレート、ポリエチレンオキシド、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、多糖類、例えばヒアルロン酸、キトサン及び再生セルロース、ポリ(エチレン−コ−酢酸ビニル)(EVA);イソブチレンと少なくとも1種の他の繰り返し単位(例えば、アクリル酸ブチル、メタアクリル酸ブチル、置換スチレン(例えば、アミノスチレン、ヒドロキシスチレン、カルボキシスチレン、スルホン酸化スチレン等))とのイソブチレン系コポリマー、ポリビニルアルコールのホモポリマー、ポリビニルアルコールと少なくとも1種の他の繰り返し単位(例えば、ビニルシクロヘキシルエーテル、ヒドロキシメチルメタアクリレート、ヒドロキシ若しくはアミン末端ポリエチレングリコール等)とのコポリマー、アクリル系コポリマー(例えば、メタアクリル酸、メタアクリルアミド、ヒドロキシメチルメタアクリレート等)、エチレンビニルアルコールコポリマー、アリール若しくはアルキルシロキサンと少なくとも1種の繰り返し単位(例えば、アクリル酸ブチル)とのシリコーン系コポリマー、ブチルポリマー(例えば、メタアクリル酸ブチルとPEGとのコポリマー)(米国出願2005/0187146A1)。
【0071】
好ましい材料は、適用の種類により変わり得るが、例は、本発明の種々の態様を記載した章(セクション)に挙げる。
【0072】
生物活性且つ生体適合性ポリマーは、非共有結合的に組合わさって、ポリマーブレンド物を形成し得、そして共有結合的に組合わさって相互貫入ポリマーネットワーク、コポリマー及びグラフトポリマーを形成し得る。生物活性且つ生体適合性ポリマーの好ましい組合わせは下記を含むが、それらに限定されない:ポリウレタン、ヘパランスルフェート及びRGDペプチド、ポリエチレンオキシド、コンドロイチンスルフェート及びYIGSRペプチド、シリコーンポリマー、ケラタンスルフェート及びVEGF生体模倣ペプチド、SIBS、エルレカン(perlecan)及びIKVAVペプチド及びN−ブチルメタアクリレート、ヘパリン及びフィブリンフラグメント。
【0073】
場合によっては、本発明の電極又はアレーのマトリックスは、水性環境内で溶解速度が異なる2つ又はそれ以上のマトリックス材料を含む。例えば、ある種の適用において、該マトリックスは2つのセクション、即ち近位セクションと遠位セクション、を含むか該2つのセクションから成り、ここで、該遠位セクションの溶解時間が1〜10分だけ短くなるように、該遠位セクションの材料の溶解速度は該近位セクションの材料の溶解速度よりも実質的に高い。この設計は、両マトリックスセクションを損なわずに本発明の電極が標的組織に接近して挿入されるのを可能にする。電極本体の遠位若しくは第2部分及び/又は先端セクションが埋め込まれた、遠位セクションのマトリックス材料が溶解すると、該電極は短距離だけ組織内で後退するか又は組織内に更に短距離だけ押され得る。
【0074】
本発明のマトリックスが溶解向上手段、例えば体液により侵入することができるチャンネル、を含むことは、本発明の範囲内である。従って、マトリックス本体又はその一部分は、非多孔性又は多孔性構造であることができる。
【0075】
マトリックスに溶解を遅延する手段を与えることもまた、本発明の範囲内である。マトリックス材料の溶解の遅延は、マトリックス本体又はそのセクション上に、溶解遅延被膜の1つ又はそれ以上の層を配置することにより、達成することができる。該マトリックス溶解遅延被膜は、水性環境内で、それにより保護されるマトリックス本体若しくはマトリックス本体セクションよりも実質的に遅い速度で溶解する材料から成る。
【0076】
該マトリックス溶解遅延被膜は、水性環境内で容易に溶解しないが分解性の被膜、例えばポリエステル被膜、例えばポリグリコレート、ポリアセテート、ポリ(グリコレート、ラクテート)、又はポリカーボネート被膜又はペプチド被膜、例えばコラーゲンの被膜、であってもよい。
【0077】
本発明の別の好ましい側面によると、インプラント形成中に組織に対して摩擦を低減する材料の外側層を設けるのが好ましい。低摩擦材料の外側層若しくは被膜は、インプラント形成手順により引き起こされる損傷を低減し得る。それは、電極インプラント中に、細胞、例えば髄膜線維芽細胞、を表面組織からより深い組織にそれと共に運ぶ危険性をも低減し得る。適した被膜材料は、ポリビニルアルコール、コラーゲン、キチン、寒天、ヒアルロン酸を含む(参照用に本願に含める米国特許出願第2008234790A1を参照)。
【0078】
薬物
本発明によると、興味あるいかなる薬物又は薬物の組合わせも、本発明の電極及び/又はアレーマトリックスを介して軟質組織に投与し得る。本発明による好ましい薬物には、出血、感染及び炎症の治療用の薬物が含まれる。傷跡形成によるカプセル化を低減若しくは阻止しそして細胞死を阻止する薬物もまた好ましい。本発明によると、該薬物は電極本体に隣接する組織内に放出される。本発明の好ましい側面によると、該薬物は、電極又は電極束の1つ若しくは幾つかの電極本体上に被膜を形成する、別の生体適合性材料中に埋め込まれる。該電極又はアレーマトリックスに、1つ又は幾つかの層を適用し得る。例えば、幾つかの層の1つだけが薬物を含むか、又は被膜の2つ若しくは幾つかの層が種々の薬物を含んでもよい。このようにして被覆した電極を電極束又は電極束のアレーに設けることにより、種々の薬物を本発明の選択した電極の近くに放出し得る。薬物はまた、マトリックスに埋め込まれた微小球又は他のタイプの微粒子に含まれてもよく、そしてマトリックスが溶解すると、同時に又は引き続き、該微小球及び該微粒子から放出され得る。
【0079】
本発明の好ましい側面によると、種々の薬物がマトリックスから時間制御された方法で放出される。例えば、出血、感染及び/又はアポトーシスの危険性を最少化するように設計された生物活性成分は、インプラント形成後の初期の段階で放出されるのが好ましいかもしれない。この場合、マトリックスは埋め込まれた成分の放出がインプラント形成中又は直後に始まるように設計することができる。長期間作用する薬物の場合、該薬物は何日又は何週間にわたってゆっくり放出されるのが好ましい。長期間持続効果を達成するために、遺伝子ベクターを薬物の代わりに使用するか、又は薬物に加えてマトリックスに含めてもよい。種々の放出メカニズムを組み合わせることにより、電極又はプローブのマトリックスに埋め込まれた生物活性成分の遅延及び放出速度を制御することができる。該マトリックスを生理学的環境に導入すると、活性成分は、拡散、拡散後の膨潤又は分解のような種々のメカニズムにより、取り巻く体液に放出される。本願で受動的(passive)放出メカニズムと名付けられるこれらのメカニズムのいずれか又は全てを使用し得る。活性成分の受動的放出の速度は、マトリックスの構造及びその生理学的パラメータ、例えば温度、pH、イオン強度、酵素濃度、に対する反応に依存する。遅延して放出されるべき薬物は、別個のコンパートメントに、例えば電極、電極束又はアレーと平行に挿入された微細カプセル又はロッドの形態で含ませてもよい。微小球及び微小ロッド若しくは微小バーは、マトリックスよりも遅く溶解する材料を含み得る。好ましくはないが、インプラント形成後に溶解せず、従って例えば孔を通って薬物が放出された後に組織内に留まる材料を使用することも可能である。
【0080】
本発明の薬物は、電極本体を被覆するための別のマトリックス生体適合性材料中に埋め込んでもよい。各層が異なる薬物又は異なる薬物組み合わせを含むマトリックス材料の幾つかの層の配置もまた、本発明の範囲内である。これにより、外側マトリックス層に含まれる薬物を、内側マトリックス層に含まれる薬物の前に放出することができる。ある種の適用においては、1カ月そして数カ月にもわたる薬物の持続放出を与えることが必要である。ゆっくり及び/又は遅延した放出は、向上した組織−電極相互作用及び癒しのための栄養的組織刺激を促進する物質の放出に特に適するであろう。かかる事例では、マトリックス材料の最内側部分は、好ましくは体液に低溶解性であるが生物分解性の材料である必要がある。被覆材料の分解は、薬物をゆっくり接近可能にさせることができる。ゆっくりした溶解性又は分解性マトリックス材料は徐々に薬物を放出するであろう。ゆっくりした放出のために、薬物は、マトリックス材料に化学的に結合するか、又は膨潤したマトリックスを通しての拡散から立体的に阻止されてもよい。本発明の薬物はポリマーマトリックス材料の一部であって、該ポリマーが分解すると生物活性モノマーとして接近可能になるものでもよい。
【0081】
本発明の別の好ましい側面によると、電極マトリックス又はアレーマトリックスは、薬物、例えば挿入手順により起こり得る急性の有害な影響、例えば出血又は微生物の混入、に対抗する薬物、を含む薄い被膜で覆われており、該被膜は該電極を組織に挿入した後の短時間内に放出される。
【0082】
本発明の更なる態様では、充填した生物活性成分は、積極的(active)放出、例えば電極の内側コアと別の電極及び/又は取り巻く組織との間に電圧をかけることによる積極的放出、により接近可能にすることができる。これは、電極の被膜内に含まれる充填した成分の電気泳動に導くであろう。これはまた、充填した層と組合わさって、所望により徐々の移動を容易にすることができる(米国特許第6,316,018号)。或いは、該放出は、超音波又は電場/磁場のような外側から適用した刺激の使用により制御できる。充填されない生物活性成分はまた、電圧をかけることにより被膜の表面に移動されることがことができる溶解性の充填マイクロカプセルに封入することができる。
【0083】
組織の加熱又は焼却(例えば、組織、腫瘍の切除、血管の連結のため)中に放出されるように設計された薬物には、(体温で放出されるのと比べて)著しく高い温度閾値を使用できる。温度の増加は被膜の物性を変えて、生物活性成分を隣接する組織に拡散させる。かかる性質を有する材料の例は、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド−コ−アクリルアミド)コポリマーである。N−イソプロピルアクリルアミドとアクリルアミドの割合は温度閾値を決定するであろう。(Fundueanu, Acta Biomaterialia, 5巻、 第1版、2009年1月、363-373頁)。
【0084】
生物活性成分の時間制御放出は、マトリックスのある部分の特定的開裂又は酵素的分解によっても制御し得る。これは、生物活性成分を封入する薄い酵素的分解性層を加えるか(Itoh外、2008年)、又は生物活性成分を、放出用に開裂を必要とする他の分子に接合することにより得ることができる。この設計の一つの態様では、生物活性分子は、それ自体がマトリックスポリマーの一部であるので、該マトリックスの生物学的に制御された開裂/分解により放出される。
【0085】
或いは/加えて、マトリックスに埋め込まれた薬剤は、初めは生物活性でないが、しかし活性化の過程、例えば加水分解的開裂又は酵素的分解、を通して生物活性になることができるものであってもよい。これにより、薬剤は種々の細胞又は組織型で、そして時間差制御された方法で選択的に接近可能にされ得る。長期間治療効果のためには、遺伝子導入が薬理学的治療よりも効率的であると信じられており、従ってインプラントを取り巻く組織の抗炎症/抗不快(scaring)状態調整のために選択する治療であろう。炎症組織反応を最小化するのに加えて、遺伝子治療は取り巻くニューロンの性質を実験的に変更する可能性をも提供し、これにより分子レベルで実験的操作を可能にする。遺伝子発現の変化の誘発は、インプラントされた電極を利用した電気生理学的刺激パラダイムと組合わさった場合、更に興味ある実験的応用を提供する。
【0086】
薬物を長期間にわたり正確な量で投与するのが望ましい場合、薬物伝達システムに取り付けたカテーテルを更に、インプラントを受け入れる組織内に薬物を伝達するために更に使用し得る。この場合、該カテーテルはマトリックスに埋め込まれているのが好ましい。該カテーテルは1つ又はそれ以上の穴を有することができ、該穴を通して、薬物溶液は組織内に入ることができる。インプラント形成可能な小型ポンプ(鞘内ポンプ:米国特許第5,820,589号、米国特許第6,375,655号、米国特許第7,229,477号;CNSポンプ:米国特許第7,351,239号;浸透圧ポンプ:米国特許第6,471,688号、米国特許第6,632,217号)として、又は外部ポンプ(経皮ポンプ:米国特許第7,471,689号、米国特許第6,632,217号)として操業する幾つかの薬物伝達システムが当業界で知られている。該カテーテルは、ゆっくり溶解する材料又は非溶解性の材料のいずれかから作ることができる。電極と微小透析法(microdialysis)、又は電極とボルタンメトリーとを組合わせて、電気刺激又は天然組織活性の結果として、組織内に放出された生物活性分子、例えば小分子神経伝達物質のような神経伝達物質(例えば、アセチルコリン、ドーパミン、セロトニン、ヒスタミン、ノルエピネフィリン及びエピネフィリン)、アミノ酸(例えばGABA、グリシン及びグルタメート)、神経活性ペプチド(例えば、ブラジキニン、物質P、ニューロテンシン、エンドルフィン、エンケファリン、ダイノルフィン、ニューロペプチドY、ソマトスタチン、コレシストキニン)及び溶解性ガス(例えば一酸化窒素)、を測定することもまた、本発明の範囲内である。
【0087】
電極挿入手順で誘発される少しの出血を止める薬物、例えば凝固因子、もまた好ましい。最も好ましいのは、因子VIII又はその機能的誘導体である。他の好ましい凝固刺激薬物は、因子IX,II,VII及びXの組合わせ;因子IX;フォン・ヴィレブランド因子と因子VIIとの組合わせ;因子VIIa又はヒトフィブリノゲンである。
【0088】
血管収縮を抑制する薬物、例えばNO生成を促進する薬物、特に硝酸グリセリル又はその機能的誘導体、もまた好ましい。局部的血管収縮が、侵された血管の閉塞により脳梗塞を導き得る危険性がある場合、トロンボサイト凝固に対抗する薬物、例えばキオピドグレル、チキオピジン、アセチルサリチル酸、ジピラミドール、イロプロスト、アブシキマブ、エプチフィバチド、チロフィバン、を使用できる。局部的血管収縮はまた、末梢血管拡張を誘発する薬物、例えばエルゴロイドメシレート、により治療し得る。
【0089】
局部的感染を防止又は撲滅するために、電極又はアレーのマトリックスに含まれる薬物は、抗生物質の群から選択される。適正な抗生物質の選択に際して、戦うべき細菌株の種類及びその抵抗パターンを考慮しなければならない。有用な抗生物質の例は、ドキシサイクリン;リメサイクリン;オキシテトラサイクリン、テトラサイクリン;チゲサイクリン;クロラムフェニコール;アンピシリン;アモキシサイクリン;ピブメシリナム;メシリナム;ベンシルペニシリン;フェノキシメチルペニシリン;ジクロキサシリン;クロキサシリン;フルクロキサシリン;酵素遮断薬と組合わさったアモキシシリン;酵素遮断薬と組合わさったピペラシリン;セファレキシン;セファドロキシル;セファロキシム;ロラカルベフ;セフォタキシム;セフタジジム;セフトリアキソン;セフチブテン;セフェピム;アズトレイナム;メロペネム;アルタペネム;酵素遮断薬と組合わさったイミペネム;トリメトプリム;スルファメトキサゾール及びトリメトプリム;エリトロマイシン;ロキシトロマイシン;クラリトロマイシン;アジトロマイシン;テリトロマイシン;クリンダマイシン;トブラマイシン;ゲンタマイシン;アミカシン;ネチルマイシン;オフロキサシン;シプロフロキサシン;ノルフロキサシン;レボフロキサシン;モキシフロキサシン;バンコマイシン;テイコプラニン;フシジン酸;メトロニダゾール;チニダゾール;ニトロフラントイン;メテナミン;リネゾリド;ダプトマイシンである。
【0090】
星状細胞反応及び小グリア反応を制御するための本発明による薬物は、インターロイキン、ニューロキニン、トランスフォーミング成長因子、表皮成長因子、エストロゲン、ニューロペプチド、キャナビノイド及び神経栄養因子、及びそれらの組合わせから選ばれる天然薬剤を含む。人工的に誘導される薬剤、例えばミノサイクリン、もまた使用し得る。インターロイキン及び成長因子拮抗薬もまた、本発明の電極、電極束又は電極束のアレーを中枢神経組織に挿入した後にグリア反応を制御できる範囲で、含まれる。
【0091】
本発明による更なる薬物は、NSAIDs、グルココルチコイド、プロスタグランジン、及び細胞接着を促進する薬剤を含む。更に、抗炎症性及び免疫抑制薬物が含まれ、これらはグリア反応を抑制するために使用でき、例えば天然及び合成グルココルチコイド類、例えばデキサメタソン、及びある種のNSAIDs、例えばインドメタシン、が含まれる。
【0092】
ニューロンの生存を促進する薬物、例えばニューロトロフィン類及びそれらの組合わせもまた本発明に含まれる。特に興味のあるニューロトロフィンには、神経成長因子、脳誘導ニューロトロフィン因子、塩基性フィブロブラスト成長因子、グリア誘導ニューロトロフィン因子、ニューロトロフィン−3、ニューロトロフィン−4/5、ニューロトロフィン6、インスリン様成長因子、表皮成長因子、及びニュウルツリン(neurturin)が含まれる。ラザロイド類、超酸化物ジスムターゼ、カスパーゼ阻害剤、アポトーシスタンパク質の阻害剤(IAPs)、Bcl−2(B−細胞リンパ腫2)族部員及びフルナリジンも含まれ、それらは細胞生存を促進するか、又は細胞死、アポトーシス及び/又は腫瘍若しくは虚血後のニューロンの壊死を阻害し得る。更に、テトラサイクリンを、神経保護作用及び抗炎症効果の両方を有する薬物として使用できる。更に有用な薬剤には、ECMタンパク質(エキストラ細胞マトリックスタンパク質、主としてプロテオグリカン類)、テナスシン類、ヒアルロン酸及びラミニンが含まれ、それらはニューロトロフィン支持及び生存を促進することができる(参照用に本願に含める米国特許出願第2007/0198063号及び米国特許第5,202,120号を参照)。
【0093】
本発明の薬物は更に、結合組織の形成を阻止しそして血管形成を促進する薬剤、例えば血管活性腸管ペプチド(VIP)及び血管内皮成長因子(VEGF)、を含む。
【0094】
本発明の別の態様では、本発明の電極、電極束又は電極束のアレーを取り囲む組織内の細胞は、遺伝子発現の修正及びある種のタンパク質の翻訳を起こす遺伝子ベクターの伝達を通して操作される(Lowenstein外、2007年;Storek外、2008年)。遺伝子材料は取り囲む細胞に、被膜材料に埋め込まれた又はそこに配置された微小球に封入されたウィルスベクターにより伝達されるのが好ましい。アデノ随伴ウィルスベクター系は当業界で知られ、それは脳に注入されると、隣接するニューロン内で挿入された遺伝子を少なくとも10カ月発現させるであろう(参照用に本願に含める米国特許第6,436,708号)。他のウィルスベクター系、例えば、ニューロン及び/又はグリア細胞への局部的遺伝子伝達に効率的であることが知られた、単純ヘルペスウィルス(HSV)、アデノウィルス又はレンチウィルス(lentivirus)を基材とする系、もまた本発明の範囲内である。特に好ましいのではないが、場合によってはレトロウィルスベクターを、マトリックスに固定した他の細胞により生成してもよい(米国特許第6,027,721号参照)。
【0095】
ある種の適用には、非ウィルスベクター系が遺伝子伝達に好ましい手段である。かかる系には、例えば、プラスミドリポソーム複合体又はカチオン性脂質系が含まれる。プラスミドを周囲の細胞に、非ウィルストランスフェクション系を使用して輸送するのを容易にするために、パルス又は電流を本発明の電極に通して血漿膜の電気穿孔を行い、局在化しそして制御された遺伝子トランスフェクションを行ってもよい(Jaroszeski外、1999年)。
【0096】
上述の薬物タイプは、軟質組織が異物に対して反応することにより起こる悪い反応及び合併症を低減するのに役立つが、他の性質を有する薬物もまた、個々の電極のマトリックス及び/又は被膜に含められてもよい。本発明の一態様では、薬物の候補と考えられる生物活性分子が記録電極のマトリックス又は被膜に埋め込まれる。電極束の電極の被膜にこの種の種々の生物活性分子を埋め込むと、種々のニューロンからの電気的信号を記録し、従って、多数の薬物候補を同時にスクリーニングするのを可能にする。
【0097】
本発明の別の態様では、記録を行ったニューロンを染色又は同定するのに使用されたマーカーを、種々の電極の被膜に埋め込む。かかるマーカーには、電圧及びカルシウム感受性分子(例えば、カルシウム濃度を測定するのに使用できるFluo3)を含めた蛍光プローブが含まれ、該分子は電極先端に近いニューロン又はグリアにより摂取される。電極から容易に取り外せない蛍光プローブは、電極の同定に使用し得る。蛍光プローブはニューロン染色剤として役立つだけでなく、例えば細胞内の細胞内カルシウム濃度又はニューロン膜の電位を測定するのにも使用し得る。焦点共有顕微鏡又は2−フォトン顕微鏡と本発明の個々の電極による記録/刺激及び/又は埋め込まれた光ファイバーによる光学的刺激との組合わせを使用して、どのニューロンがマルチチャンネル電極中のどの電極により記録/刺激されたかを確認することが可能となる。
【0098】
本発明の好ましい態様では、本発明のマトリックスに混入するための薬物は、微小球内に封入される。かかる微小球はサイズが数ナノメートルから10分の1(a tenth)ミリメートルの範囲にわたることができる。例えば、下記のマイクロカプセル化技術が、本発明の薬物の封入に使用できる:噴霧乾燥、噴霧冷却、回転テーブル微粒化、流体床被覆、静止ノズル共押出し成形、遠心ヘッド共押出し成形、沈水ノズル共押出し成形、パンコーティング、相分離、溶媒蒸発、溶媒抽出、界面重合、単純若しくは複合の共群生化、自然(in-situ)重合、リポソーム技術、ナノカプセル化。例えば、下記の材料はマイクロカプセルの殻形成材料として使用できる:タンパク質、多糖類、澱粉、ワックス、脂肪、及び他の天然及び合成ポリマー。封入された薬物の最適放出速度は、球の構成に使用された材料、該球のサイズ、埋め込まれた薬物のタイプ及び量、及び該球に混入された添加剤の適正な選択により達成できる。微小球の放出速度は普通、一次である(of first order)。しかしながら、ゼロ次放出速度は、種々のサイズの粒子の最適割合及び持続層(depot layer)技術を提供するなどの別の方法を使用することにより、達成できる。本発明の微小球はそれ自体、薬物が埋め込まれたより小さい球を含み得る。微小球は溶解性であるが取り囲むマトリックスよりも遅い速度で溶解性であるように設計できる。或いは、微小球は不溶性に設計できる。例えば、生体適合性合成ポリマー、例えばポリウレタン(ポリカーボネートウレタンを含む)、イソブチレン、ポリスチレン−イソブチレン−ポリスチレン、シリコーン(例えばポリシロキサン及び置換ポリシロキサン)、熱可塑性エラストマー、エチレン酢酸ビニルコポリマー、ポリオレフィンエラストマー、エチレン プロピレン ジエンM−クラスゴム、ポリアミドエラストマー、ヒドロゲル、又はそれらの組合わせをこの目的に使用できる。かかヒドロゲルポリマーは下記を含むが、これらに限定されない:2−ヒドロキシエチルメタクリレートの誘導体、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリウレタンヒドロゲル、天然ヒドロゲル、例えばゼラチン、ヒアルロン酸、架橋結合アルブミン等、又はこれらの組合わせ。
【0099】
製造方法
本発明により、マトリックスに埋め込まれた電極本体の製造方法もまた開示される。該方法は、電極本体を固定する固定手段、及び場合によっては、該固定手段に所望の構造で埋め込むべき追加の要素、例えば光ファイバー、収縮性要素等、を提供し、このようにして固定した電極本体及び付属物を、その近位カップリングセクションを除いて覆う鞘(sheath)を適用し、第1マトリックス材料の溶液又は懸濁液を該電極に、埋め込もうとする電極の部分を覆うように塗布し、該マトリックス溶液又は懸濁液のそれぞれ溶媒/分散体を蒸発又は硬化させ、該鞘を除き、そして該電極を該固定手段から取り外すことを含む。電極を2種のマトリックス材料に埋め込んで、それぞれが電極の部分を封入する対応するマトリックスコンパートメントを形成するために、上記の固定手段により固定した電極本体の適当な部分を第1マトリックス材料の溶液又は懸濁液で被覆し、その溶媒/分散体は実質的に蒸発させ、次いで被覆されるために残った電極本体の部分を第2マトリックス材料の溶液又は懸濁液で被覆し、引き続き該第2マトリックス材料の該溶媒/分散体を蒸発させ、そして該電極を該固定手段から取り外す。該方法で、該電極本体は、ポリフルオル化炭化水素ポリマー又はシリコンゴムのような低湿潤性の滑らかな材料の鞘内に配置し、そしてその中に固定するのが好ましい。溶媒蒸発を容易にするために、該鞘の材料は多孔性、特に微孔性であるのが有利である。該マトリックス材料の適用及び乾燥後、該電極を鞘から取り出す。
【0100】
本発明の電極本体を2種のマトリックス材料に埋め込んで、区別されるマトリックスコンパートメントを形成する代替の方法は、電極本体全体を第1マトリックス材料に埋め込み、該第1マトリックス材料の一部、好ましくは遠位端から延びる遠位部分、を溶解し、該電極本体の今や埋め込まれていない遠位部分を、例えば該埋め込まれていない遠位部分に鞘の適用を行使することにより、第2マトリックス材料で覆い、該溶媒を蒸発させて該第2マトリックス材料を乾燥/硬化させ、そして該鞘を除去することを含む。
【0101】
本発明の電極本体は、単一被覆(single coating)技術又は被覆技術の組み合わせ、例えば浸漬被覆、吹付け塗り(spray coating)、押出し、圧縮成形及び射出成形を含む溶融工程、又は種々の技術の組み合わせ、を用いて被覆することができる。
【0102】
段階的手順の代表的例で、電極本体をまず、適正は溶媒に溶解した適当な再吸収性ポリマー又はポリマーブレンド物、特にコラーゲン、ゼラチン、ポリビニルアルコール及び澱粉、で浸漬被覆する。他のポリマーもまた使用できる。ポリマー層の厚さは当業者に知られた方法で制御される。次ぎに被膜は乾燥段階に付される。浸漬被覆段階及び乾燥段階は、最終被膜の要求される厚さに依存して、1回行うか又は繰り返すことができる。次の段階で、該ポリマーに薬物を充填する。該電極を該薬物を含む溶液に沈める。使用される溶媒は、該ポリマーが膨潤しそして該薬物が溶解する溶媒でなければならない。適当な接触時間後、例えば1秒から5分又はそれ以上の後、該電極を該溶液から取り出し、そしてマトリックスを、多分減圧下で、溶媒の蒸発により乾燥させる。
【0103】
ワンポット手順においては、該電極本体を、所望の被膜厚さ及び所望の薬物充填に最適な濃度のポリマー及び選択した薬物の溶液に沈める。次ぎに該電極を該溶液から取り出し、そして該溶媒を多分減圧下で蒸発させる。
【0104】
或いは、被膜を吹付塗りにより生成させ、該吹付塗りでは、適当な溶媒中のポリマー/薬物溶液を電極本体に吹き付ける。被膜の厚さは、吹付け及び乾燥(蒸発)サイクルの回数及び該溶液中のポリマー及び薬物の量により制御することができる。
【0105】
本発明にまた含まれるのは、部分的に加水分解された水溶性ポリマー、例えばポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、及びポリアクリル酸の誘導体、例えばポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、のヒドロゲル被膜である。温度が上昇するとこれらのヒドロゲルを収縮させ、これにより該薬物を被膜から押し出す。或いは、温度感受性ヒドロゲルはポリ(アクリルアミド)及びポリ(アクリル酸)の相互侵入性ヒドロゲルネットワークであり、温度の上昇は該ヒドロゲルを膨潤させ、これにより該薬物をゲルから拡散して出させる。
【0106】
本発明にまた含まれるのは、電気的に引き起こされる放出のためのポリマー又はポリマーブレンド物、例えばポリビニルアルコール/キトサン、の使用である。
【0107】
インプラント形成(implantation)方法
本発明により、本発明の電極、電極束、並びに電極及び電極束のアレーを軟質組織へ挿入又はインプラント形成する方法もまた開示される。
【0108】
本発明の可撓性医療用微小電極を組織に所望の構造で挿入又はインプラント形成する方法は:体液に放出できる薬物を含む、実質的に硬い生体適合性の水溶性若しくは生物分解性マトリックスに少なくとも部分的に埋め込んだ電極を所望の構造で提供し;該マトリックスに埋め込んだ電極を組織内に挿入又はインプラント形成し;該マトリックスをその場で溶解又は分解させることを含む。該マトリックスは、より低い溶解若しくは分解速度の近位セクションと、より高い溶解若しくは分解速度の遠位セクションとを含むのが好ましい。
【0109】
本発明の可撓性医学的微小電極束を組織に所望の構造で挿入又はインプラント形成する方法は:体液中で溶解性若しくは生物分解性の実質的に硬い生体適合性共有電極マトリックスであって、体液に放出できる薬物を含む該共有電極マトリックスに埋め込んだ、所望の構造の電極束を提供し;該マトリックスに埋め込んだ電極束を組織内に挿入又はインプラント形成し;該共有電極マトリックスをその場で溶解又は分解させることを含む。該共有電極マトリックスは、より低い溶解若しくは分解速度の近位セクションと、より高い溶解若しくは分解速度の遠位セクションとを含むのが好ましい。
【0110】
共通のアレーマトリックスに埋め込んだ、本発明の電極マトリックス埋め込み医療用微小電極若しくは微小電極束のアレーを組織に所望の構造で挿入又はインプラント形成する方法は:体液中で溶解性若しくは生物分解性の実質的に硬いアレーマトリックスであって、体液に放出できる薬物を含む該アレーマトリックスに埋め込んだ、所望の構造の微小電極若しくは微小電極束のアレーを提供し;該マトリックス埋め込み微小電極若しくは微小電極束アレーを組織内に挿入又はインプラント形成し;該電極/共有電極マトリックス及び該アレーマトリックスをその場で溶解又は分解させることを含む。
【0111】
使用
本発明はまた、該マトリックス埋め込み電極、該マトリックス埋め込み電極束又は該マトリックス埋め込み電極束のアレーを、長期持続神経刺激、レドックス反応の測定を介しての電気的ニューロン活性及び伝達物質のレベルのマルチチャンネル記録、及び科学的、医療的及び動物介護の目的での組織の損傷に使用することに関する。
【0112】
本発明の好ましい側面によると、本発明の微小電極、微小電極束、及び微小電極若しくは微小電極束のアレーは、患者又は動物において、下記のために使用される:脳及び/又は脊髄の損傷後に残るニューロンからのシグナルの記録;失われた機能を補償するためにニューロンの刺激;無感覚脳幹中心の刺激による痛み緩和の提供;パーキンソン病における腫瘍及び他の運動症状の緩和又は減少の提供;大脳基底核又は関連する核内の刺激による、舞踏病性及び他の自発的でない運動の緩和又は減少;アルツハイマー病又は他の変性疾患の場合、コリン作動性及び/又はモノアミン作動性核の刺激による記憶の向上;大脳辺縁系又は他の脳領域の刺激による、気分、攻撃性、不安、恐怖症、情動、性的過活動、インポーテンツ、摂食障害の制御;脳卒中又は脳及び/脊髄の損傷後の、大脳皮質中の残った連結部又は下降した神経路の刺激によるレハビリテーションの提供;脊髄損傷後の、膀胱及び腸管空虚(emptying)のような脊髄機能の、脊髄関連部分の刺激による制御の再創設の提供;阻害的棘上下降中心又は適当な小脳領域の刺激による痙縮の制御の提供;脊髄及び脳中の関連する細胞核の刺激による体知覚、聴覚、視覚、嗅覚の再創設の提供。
【0113】
本発明の別の好ましい側面によると、本発明の微小電極、微小電極束、及び微小電極若しくは微小電極束のアレーは、患者又は動物において、組合わさった監視及び刺激、特に下記のために使用される:抗てんかん薬若しくは電気パルスの伝達のためにシステムに結合した、てんかん病巣に埋め込んだ電極により、てんかん発作を監視する;運動系における失われた連結部を、中心運動指令を記録し、次いで該運動系の損傷から遠い実行部を刺激することにより補償する;ホルモン放出を制御するために、血糖値を記録する。
【0114】
本発明の更なる好ましい側面によると、本発明の微小電極、微小電極束、及び微小電極若しくは微小電極束のアレーは、患者又は動物において、組織、特に腫瘍又は異常に活性な若しくはてんかん誘発性神経組織、を、充分な強度の電流を該電極、該電極束又は該電極束のアレーを介して通すことにより、局部的に損傷するために使用される。
【0115】
生物医学的研究において、本発明の微小電極、微小電極束、及び微小電極若しくは微小電極束のアレーは、脳及び脊髄の正常及び病理学的機能を特に長時間にわたって研究するために使用できる。
【0116】
神経機能代替器具を有する患者において、本発明の微小電極、微小電極束、及び微小電極若しくは微小電極束のアレーは、神経と該器具の接触面を形成するのに使用できる。
【0117】
患者又は動物において、本発明の微小電極、微小電極束、及び微小電極若しくは微小電極束のアレーは、内分泌又は外分泌器官の機能の制御のために、例えばホルモン分泌の制御において使用できる。
【0118】
患者又は動物において、本発明の微小電極、微小電極束、及び微小電極若しくは微小電極束のアレーは、1つ又はそれ以上の骨格筋肉又は心臓筋肉の機能を制御するために使用できる。
【0119】
本発明を、ノンスケールの多くの図面を含む概略図面に示される好ましい態様の番号を参照して、更に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0120】
図1a】先端セクション及び、銀若しくは金で被覆された非伝導性シルクコアの主セクション、該主セクション上の絶縁性被膜ポリマーを含む電極本体、を含む本発明の電極の第1態様の縦断面図であり、該主セクションは波状形状を有し、該マトリックスは示されていない。
図1b図1の電極のA−A断面図であり、該マトリックス要素は示されていない。
図1c図1の電極のB−B断面図であり、該マトリックス要素は示されていない。
図1d】マトリックスが体液に溶解したときの拡大状態にある図1aの態様の図である。
図2a図1aの態様の断面図に対応する状態の、本発明の電極の第2態様の縦断面図であり、マトリックスは示されていない。
図2b図2aの電極の先端の拡大部分図であり、マトリックス要素は示されていない。
図3a図1aの態様の断面図に対応する状態の、本発明の電極の第3態様の縦断面図であり、マトリックスは示されていない。
図3b図3aの電極の先端の拡大部分図であり、マトリックス要素は示されていない。
図4a】溶解可能なマトリックスに埋め込まれた本発明の電極の第4態様の縦断面図である。
図4b】軟質組織に挿入後で且つマトリックスに溶解した後の本発明の電極の第4態様の縦断面図である。
図4c】該軟質組織中で延びた状態の本発明の電極の第4態様の縦断面図である。
図5a】本発明の電極束の第1態様の縦断面図である。
図5b図5aの態様のC−C横断面図である。
図6】溶解可能なマトリックスの組み合わせに埋め込まれた本発明の電極束の第2態様の縦断面図であり、図5aの電極束の図に対応する図である。
図7a図5a,5bの態様の電極束を4個含む、本発明の電極束アレーの第1態様の縦断面図である。
図7b図7aの態様のD−D横断面図である。
図8】溶解可能なマトリックスの組み合わせに埋め込まれそして膨潤手段を含む、本発明の電極束アレーの第2態様のF−F(図8a)縦断面図である。
図8a図8の電極束アレーのE−E(図8)横断面図である。
図8b】軟質組織に挿入された、図8、8aのアレーの溶解可能なマトリックスの連続的溶解過程を示す、図8と同じ図面である。
図8c】軟質組織に挿入された、図8、8aのアレーの溶解可能なマトリックスの連続的溶解過程を示す、図8と同じ図面である。
図8d】軟質組織に挿入された、図8、8aのアレーの溶解可能なマトリックスの連続的溶解過程を示す、図8と同じ図面である。
図8e】軟質組織に挿入された、図8、8aのアレーの溶解可能なマトリックスの連続的溶解過程を示す、図8と同じ図面である。
図8f】軟質組織に挿入された、図8、8aのアレーの溶解可能なマトリックスの連続的溶解過程を示す、図8と同じ図面である。
図9】光ファイバーを含む本発明の電極束アレーの第3態様の、図8の図面に対応する縦断面図である。
図10】本発明の電極の第4態様の、図1aの態様に対応する図面であり、マトリックス要素は示されていない。
図11】本発明の電極の第5態様の、図1aの態様に対応する図面であり、マトリックス要素は示されていない。
図12】本発明の電極の第6態様のG−G(図12a)縦断面図であって、図1aの態様に対応する図面であり、マトリックス要素は示されていない。
図12a図12の電極の近位方向への拡大平面図であり、マトリックス要素は示されていない。
図13】本発明の電極束の第3態様の縦断面図であって、該電極がそれらの近位端で電極ホルダーディスクにより結合された、図5aに示す電極束の図面に対応する図面である。
図14】アレーホルダーディスクに設けられた図13に示す種類の電極束を4個含む本発明の電極束アレーの第4態様の縦断面図であり、図7の電極束アレーの図面に対応する図面であるが、遠位末端セクションは省略されている。
図15a】生体分解性の持続放出性薬物ロッドを含む本発明の電極束の第4態様の、図5aに示す電極束の図面に対応する図面である。
図15b】生体分解性の持続放出性薬物ロッドを含む本発明の電極束の第4態様の、図5bに示す電極束の図面に対応する図面(H−H横断面図)である。
図16a】水性体液に溶解可能なベースに設けられた本発明の電極アレーの態様の、図5aに示す電極束の図面に対応する図面である。
図16b】水性体液に溶解可能なベースに設けられた本発明の電極アレーの態様の、図5bに示す電極束の図面に対応する図面である。
図17a】本発明の電極の更なる態様の軸方向断面図である。
図17b】本発明の電極の更なる態様の横(K−K)断面図である。
図17c】本発明の電極の更なる態様の横(L−L)断面図である。
図18】本発明の電極の更なる態様の軸方向断面図であり、図17aの態様の図面と同じ図面である。
図19】電極本体の制御ユニットへの電気的接続をも与える単一金属ワイアから作られた電極本体を含む本発明の電極の追加の態様の軸方向M−M(図19a)断面図である。該電極は組織挿入器具上に設けられて示されている。
図19a図19の組織挿入器具の、近位方向の平面図である。
図20】本発明の電極アレーの、ベースプレートよりも僅かに上の高さでのほぼ軸方向断面図であるが、該ベースプレートを示した。
【発明を実施するための形態】
【0121】
図1a−1cの発明の電極の第1態様1は、波方形の主セクション2を含む一般に長い電極本体(2,3,4)を含み、該セクション2はその第1の近位端で近位カップリングセクション4に結合し、そしてその第2の遠位端で先端セクション3に結合し、該先端セクションは、尖っても又は丸まってもよいポイント又は先端5を備える。丸まった先端5は、血管に富んだ組織に配置された場合に血管の損傷を避ける利点を有する。近位カップリングセクション4は、電極本体(2,3,4)をその近位端で、電極本体(2,3,4)を電気的装置10に電気的に接続するための薄い絶縁導電体と結合する真珠色のハンダ(pearl of solder)ある。電気的装置10は種々の種類であることができ、例えば電流を電極に供給する及び/又は該電極からの電気シグナルを受信するためのものであることができる。電極2,3,4は可撓性であるが実質的に弾力性ではない。図1cの拡大横断面図に示されるように、それはコア7、中間層8及び被膜9から成る。コア7は絹糸であり、その上にクロムの中間層8がイオンスパッタリングにより配置されている。中間層8はポリビニルホルマルの被膜9で覆われている。主セクション2とは対照的に、先端セクション3は絶縁されていない、即ち、被膜9を欠く(図1b)。電極本体2,3,4の反対側端に僅かな力を加えてそれを離すように引くと、図1dに示される電極本体の延長された実質的に真っすぐな構造が生じる。
【0122】
図2a,2bに示される本発明の電極の第2態様101は、その本体主セクション102の波形パターンが第1態様と異なる。参照番号103、104は、それぞれ、尖ったポイント105で終わる先端セクション及び電極近位カップリングセクションを示す。
【0123】
図3a,3bに示される本発明の電極の第3態様201は、丸まった先端205から波状電極本体主セクション202及び電極近位カップリングセクション204の方向に延びる先端セクション203の粗くした表面部分210が第1態様と異なる。粗面化はインプラント形成部位での保持を改良し、そして電極とその周りの細胞との接触面積を増加させ、それにより該電極と該細胞との間の電気抵抗を下げる。
【0124】
図4aに本発明の電極の第4態様321が示され、その先端セクション303及びその本体主セクション302は水溶性材料のマトリックス殻312内に、尖った電極先端305が丸まったマトリックス殻先端313と同じ方向を指すように、埋め込まれている。先端305からある距離に、バーブ(棘)314が先端セクション303からねじ近位方向に延びる。近位カップリングセクション304を有する伝導体リード線306を除いて、電極主セクション及び先端セクション202、203はマトリックス殻312に完全に埋め込まれている。埋め込まれた電極本体主セクション302はジグザク構造を有する。一方では電極先端302と主セクション301との組み合わせ321、他方では電極先端302とマトリックス殻312の組み合わせ321は、構造的に安定化された電極である。この安定化された形状321において、電極は、その本体主セクション203のジグザク構造を保持しながら、軟質組織に挿入することができる。挿入から短時間内に、マトリックス殻312は体液により溶解される(図4b)。電極主セクション203は、マトリックス殻312に埋め込まれていたそして該組織に挿入されたジグザク構造を実質的に保持する。バーブ314により、電極先端及び主セクション202、203を含む組み合わせ301は、特にそれを取り出そうとする力に抗して、該組織内に固定される。近位カップリングセクション304に取り出す力を加えることにより、電極本体主セクション302は真っすぐにされる、即ち、延ばされて、図4cに示される真っすぐな構造302をとる。本発明の例示的態様において、マトリックス殻312は、分散されたセロトニン拮抗薬(5−HT3拮抗薬)オンダンセトロン(ondansetron)(12重量%)を含むヒアルロン酸ナトリウムである。
【0125】
本発明の4つの電極本体のマトリックス埋め込み束411の第1態様が図5a,5bに示される。図2a,2bの電極本体101と同じ種類の電極本体402a,403a;402c,403cは、平行にそして束411の回転軸Sから等距離に、オンダンセトロン、セロトニン(5−HT3)拮抗薬、の0.05%(w/w)固体溶液を含むヒアルロン酸ナトリウムの溶解性マトリックス本体412に配置されている。第1電極の電極本体402aに対して、他の電極の電極本体402b,402c,402dはそれぞれ90゜、180゜及び240゜の角度で配置されている。図5aにおいて、第1及び第3電極のそれぞれ先端セクション403a,403c及び近位カップリングセクション404a,404cもまた示される。全体的に円筒状の先細マトリックス本体412は、遠位方向に向かって先細に、初めは僅かに先細り、しかしその遠位方向に指した端413では更に大きく先細る。
【0126】
図6に示される本発明の4つの電極本体のマトリックス埋め込み束511の第2態様は、図2a、2bに開示された種類の電極本体502a,502bを4つ含み、回転軸Sに関して図5a,5bのマトリックス埋め込み束411と同じに配置されている。図5a,5bの態様とは対照的に、該マトリックス本体は2つのセクション、即ち、電極本体の主セクション502a,502c等を封じ込める近位セクション512’、及び先端セクション503a,503cを封じ込める遠位セクション512”、を含む。近位マトリックス本体セクション512’の溶解速度は、遠位マトリックス本体セクション512”の溶解速度よりも遅い。これは、例えば、マトリックス埋め込み束511の全体を軟質組織の所望の第1深さ又はレベルに挿入し、そして遠位セクション512”が溶解すると、遠位セクション512”を失った束511を更に第2の深さ又はレベルに挿入するのを可能にし、その間、マトリックスに埋め込まれた先端セクション503a,503cはもはや、例えば中心軸S’から離れるように、屈曲しない。本発明の例示的態様において、近位マトリックス本体セクション512’はゼラチン/ラクトース(9:1,w/w)から成り、一方、遠位本体セクション512”は5重量%のゼラチン及び0.01重量%の因子VIIIを含むマンノースから成る。
【0127】
本発明の電極束の遠位方向を指す631アレー620は、本発明のアレー軸Rから等距離に且つ回転対称的に(4重回転対称)配置された4つのマトリックス埋め込み電極束を含む(図7a,7b)。アレー620は、図5a,5bに例示された種類の電極束を4つ含み、4つの該電極束で、第1束の主本体セクション602a−602dのみが参照番号で確認されている。電極束は、10重量%のメトプロロールスクシネート(metoprolol succinate)が分散されたポリグリコール酸微小球619を含む、それぞれ同じ種類の固体溶解性電極マトリックス612a−612dに埋め込まれている。4つのマトリックス埋め込み電極束は、マトリックス先端613a,613cを同じ遠位方向を指して、平行に配置されている。該マトリックス埋め込み電極束は、水性環境中で溶解性の、ガラクトースとアガロースの2:1(w/w)混合物のアレーマトリックス630により結合されている。該アレーマトリックス630は、好ましくは、電極マトリックス612a−612dの材料と、組成及び溶解若しくは膨潤速度が異なる。埋め込み用マトリックスの材料、即ち、電極及びアレーマトリックス、は1種で同じものであってもよいが、それらの1つ又はそれ以上について、異なる溶解若しくは膨潤速度を有する材料を使用することもあり得る。アレー620はアレーマトリックス630の中心にその近位の平らな端面に配置されたフィメール(雌)カップリング部材640を備える。該カップリング部材640はアレー620を組織に挿入するための操作ロッド641を取り外し可能に受容するように設計される。
【0128】
図7a,7bのアレーと同じ対称性の、本発明の別の発射体に形成された先の尖った731電極束アレーを、図8、8aに示す。アレー720の電極束を結合する水溶性アレーマトリックス730に加えて、該アレーは、アレー軸Tに関して中心に配置されそしてそこから、d,l−ポリ乳酸微小球719中に2重量%のブロムペリドール(bromperidol)を含むポリビニルピロリドンのマトリックス本体712a−dの最内部壁セクションに向かって半径方向に延びる膨潤性プラグ750を含み、該マトリックス本体712a−dの各々は更に、各々が4つの電極を有するマトリックス埋め込み電極束を含み、該電極のそれぞれは延長可能な電極本体702a−d等を有し、一方、軸方向に、プラグ750の近位面及び遠位面はアレーマトリックス又はのり730と接し、該アレーマトリックス又はのり730により4つのマトリックス埋め込み電極束は所定の位置に保たれる。挿入ロッド741がアレーマトリックス730の中心近位部分に埋め込まれている。図8b−8fは、アレー720の、軟質組織760に挿入後の運命を示す。図8bは、アレー720の組織760への挿入直後の状況を示す。アレー720はまだ変わっていない。図8bは挿入から2分の状況を示し、その期間内に、マトリックスアレー730は組織760の水性環境中に溶解した。参照番号760は、軟質組織、及びのり730の溶解により形成された流体の両方を表す。マトリックス本体712a−dは今は、アガロースの膨潤性プラグ750への起こり得る接着を除いて、分離している。次ぎに、今は組織流体と接触している膨潤性プラグ750は膨潤し始める。プラグ750がかなり膨潤した後の状況を図8dに示す。膨潤性プラグ750は、まず膨潤し、そして後に水性体液と接触して溶解する材料から成る。それは例えばアガロース又はゼラチンから作られる。該プラグの膨潤は、マトリックス埋め込み電極束を半径方向に離れるように動かし、その結果を図8eに示す。最後に、マトリックス本体712a−712dは体液にゆっくり溶解し、その結果、図8fに示すように、第1電極束の電極本体の主本体セクション702a,702c、第3電極束の電極本体の主本体セクション702a”,702c”、及び他の電極束の電極本体の主本体セクションは組織内に配置されるようになる。体液との接触は、微小球719が、該電極の近くのニューロン(図示なし)に作用するように意図されたブロムペリドールの水溶液を漏れさせる。各マトリックス712a−712d中に色々な数の微小球719を含めることにより、それぞれのマトリックス本体に付随する微小球719からそれぞれの電極束に漏れる水性ブロムペリドールの量を制御できる。これは種々の濃度の物質のニューロンへの影響を1回の実験で研究するために使用できる。本質的に類似の効果を得るために、同じ重量であるがブロムペリドールの含量が異なる微小球バッチをマトリックス721a−dの各々に混入することができる。或いは、マトリックス712a−dの各々に、同じ種類及び量の微小球に含まれる異なる薬物を混入することができる。これは、種々の薬物のニューロンへの効果の比較を1回の実験で可能にするであろう。
【0129】
図13に示された本発明の電極束の第3の態様は、近位カップリングセクション804a,804cに取り付けれた4つの縦方向に延長可能な電極主本体セクション802a,802cを含む。該束は遠位先端813に向かって狭くなる溶解性マトリックス812に埋め込まれている。近位カップリングセクション804a,804cは電極ホルダーディスク807内に成形され、該ディスクから、伝導体806a,806cを備えた後部部分が延びる。電極ホルダーディスク807は非導電性ポリマー材料から作られる。この態様は、電極主本体セクションの近位部分を互いに所望の距離に保ち、それらの遠位部分は互いについて自由に動くことができる。アガロースのマトリックス本体812は、それに分散された10重量%の微粒子状レボドーパ(levodopa)819を含む。
【0130】
本発明の電極束アレーの第3の態様を図9に示す。電極束アレー920は4つのマトリックス埋め込み電極束を含み、その2つだけが示されている。それは図7a,7bの電極束アレー620と、色々な長さの先端セクション903a,903cと同じ長さの電極本体主セクション902a,902cを有する本発明の電極が、第1電極束マトリックス本体912a内に埋め込まれた第1電極束に含まれ、一方、第3電極束マトリックス本体912c内に埋め込まれた第3電極束が、電極主本体セクション902c”及び該電極に平行に配置された光ファイバー970を含む点で異なる。アガロース電極マトリックス本体912a、902cは、約2重量%のロイブロリドを含む持続放出性ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)マイクロカプセル919を含む(米国特許第4,954,298号)。該アレーの電極本体主セクション912a、902c、902c”は、薄い可撓性伝導体906a,906c,906c”を介して制御装置960に接続され、該制御装置により、電力を与えられるか、又はそれらは該装置に電気的神経シグナルを伝達する。光ファイバー970は中央装置に接続されて示され、該装置は該ファイバーを通して組織に放射線を送るための光源を含み、該組織にファイバー970がインプラントされているか、又は該組織は、該組織から発せられ、ファイバー970を経て受け取られる放射線を検出する手段を含み得る。
【0131】
図10−12は、変更した先端セクションを有する本発明の電極本体の更なる好ましい態様を示す。
【0132】
図10の電極本体1001は延長可能な長い電極本体主セクション1002と先端セクション1003を含み、該先端セクションから短いタグ1011−1011”’が半径方向/遠位方向にそして先端セクション1003に沿って間隔を置いて延びる。
【0133】
図11の電極本体1101は延長可能な長い電極本体主セクション1102と先端セクション1103を含み、該先端セクションから二重に曲がったタグ1111−1111””がほぼ半径方向にそして先端セクション1103に沿って間隔を置いて延びる。
【0134】
図12、12aの電極本体1201は延長可能でない真っすぐな電極本体主セクション1202と先端セクション1203を含み、その半径方向の面から24個の後方に曲がったタグが延び、その1番目及び12番目のタグ1211−01、1211−13のみが傘様の構造で延びる。
【0135】
図14の本発明の電極束アレー1320は、図13に示した種類の電極束を4つ含む。図14の断面で、それらの2つだけが見える。マトリックス本体1312a,1312c及び電極ホルダーディスク1307、1307”を除いて、4つの電極本体を含む第1束の要素のみが参照番号を与えられている。第1束の電極の2つのみが図面で見え、第1電極は電極本体主セクション1302aを含み、第3電極は電極本体主セクション1302cを含む。電極本体は、遠位先端に向かって狭くなる溶解性の実質的に円錐形のアレーマトリックス1312aに埋め込まれている。それらの電極近位カップリングセクション1304a、1304cは非伝導性ポリマー材料の電極ホルダーディスク1307内に成形されている。ホルダーディスク1307、1307”はアレーホルダーディスク1335に、それらの近位面をアレーホルダーディスク1335の遠位面と接して接着して設けられている(図示なし)。電極のリード線1306a,1306cがアレーホルダーディスク1335を通過できるように、該ディスクは、電極近位カップリングセクション1304a,1304cに面する貫通穴1337a,1337cを備える。該電極束は、アレーの長軸(図示なし)に対して対称的にそして該長軸から等距離離れて配置されている。それらの空間は、アレーホルダーディスク1335の遠位面から遠位方向に延びる中央円筒状部分1336をそれらの間に配置するのを可能にする。円筒状部分1336の近位面内の中央穴は、操作ロッド1341を取り外し可能に保持するために設けられ、該ロッドによりアレー1320を軟質組織に挿入できる。電極束間の残りの間隙は、水性環境で溶解性の生体適合性マトリックスのり1330が充填されている。マトリックス本体1312a,1312cは、8重量%のユードラギット(Eudragi)S100/インスリン微小球を含むキサンタンから成る(Jain D外、Eudragit S100 entrapped insulin microspheres for oral delivery.AAPS Pharm Sci Tech 6(2005) E100-E107)。
【0136】
図15a,15bに示される本発明の電極束アレーの第4態様1411は、近位カップリングセクション1404a,1404cに取り付けられた4つの電極本体1402a,1403a;1402c,1403cを含む。該電極本体は、遠位先端1413に向かって狭くなる溶解性のマトリックス本体1412に埋め込まれている。アルギン酸塩のマトリックス本体1412の中央に、軸方向に電極先端1403a,1403cよりも幾分先に延びる、5重量%のクエン酸フェンタニルを含むカラギーナンのロッド1419が配置されている。電極近位カップリングセクション1404a,1404cは電極ホルダーディスク内に成形され、該ディスクから、伝導体を備える後部分が延びる。マトリックス本体1412が溶解すると、ロッド1419は体液に接触し、その結果、電極先端領域はフェンタニル溶液に浸漬される。
【0137】
図16a−16bに示される本発明の4つの電極のアレー1511は、水性体液に溶解性の近位の平らなベース1507を含む。4つの電極(電極本体1502a−d;電極マトリックス本体1512a−d)はベース1507に設けられる。近位カップリングセクション1502a−dはベース1507を貫通して、それらの制御装置(図示なし)への電気的接続を後部(近位)面で、可撓性伝導体を介して可能にし、一方、4つの電極マトリックス本体はベース1507の遠位面から遠位方向に延び、そして体液に溶解性のアレーマトリックス要素1530内に封じ込められる。微粒子状シクロスポリン(ciclosporin)1519(電極当たり0.1mg,2〜5μm(95%))がカルボキシメチルセルロース(分子量20,000〜40,000)/アルブミン9:1(w/w)の各電極マトリックス1512a−dに均一に分配されている。
【0138】
本発明の電極の更なる態様81が図17a−cに示される。その長さの殆どにわたって、金の薄い被膜88に覆われた銅87の真っすぐな非延長性電極本体82がラッカー89で絶縁されている。尖った電極先端85を含む遠位末端部分83のみが絶縁されていない。近位端に配置されたハンダ点84において、電極本体83は薄い可撓性銅線86を介して制御装置10に接続される。電極本体83は、ハンダ点84以外は、微粒子状ニフェジピン(nifedipine)(電極当たり0.05mg,5〜10μm(90%))が均一に分配されたグルコース/ヒアルロン酸ナトリウムゼラチンマトリックス要素90(95:5、w/w)に封入されている。
【0139】
本発明の電極の更なる態様1681が図18に示される。その長さの殆どにわたって、白金の薄い被膜1688に覆われた銅の真っすぐな非延長性電極本体1682がポリアミドの薄い被膜1689で絶縁されている。使用された他の材料以外は、電極本体1682の設計は図17a−17cの設計に対応する。再び、尖った電極先端1685を含む遠位末端部分1683のみが絶縁されていない。近位端に配置されたハンダ点1684において、電極本体1683は薄い可撓性銅線1686を介して制御装置10に接続される。電極本体1683は、ハンダ点1684以外は、微粒子状ニフェジピン(nifedipine)(電極当たり0.05mg,5〜10μm(90%))が均一に分配された第1のグルコース/ヒアルロン酸ナトリウムマトリックス本体1690(95:5、w/w)に封入されている。第1グルコース/ゼラチンマトリックス1690は次ぎに、ニフェジピンの代わりに0.1mgのヒトヘパリンを含む以外は同じ組成の第2のグルコース/ヒアルロン酸ナトリウムマトリックス1693により覆われている。第2のグルコース/ヒアルロン酸ナトリウムマトリックス層1693は、10〜15i.u.のヒアルロニダーゼを含む低分子量カルボキシメチルセルロースの薄い層1692で被覆されている。
【0140】
本発明の電極の追加の態様1721が図19に示される。フック1714で終わる先端セクション1703と、主本体セクション1702とから成る、金メッキ銀の延長可能な電極本体は、グルコース/低分子量ポリビニルピロリドン8:2(w/w)のマトリックス本体1712に埋め込まれ、そこには10重量%のピルビン酸ナトリウムを含む澱粉マイクロカプセル1719が分配されている。電極本体1702、1703はマトリックス本体1712に完全に埋め込まれ、そして同じ材料及び直径の可撓性電気伝導体1706と一体化されている。伝導体1706及び電極本体1702、1703はポリアミドの薄い被膜(図示なし)で絶縁された単一の金メッキ銀線から作られており、該ポリアミドの薄い被膜は、該電極本体がジグザク形状を与えられた後、先端セクション1703から除かれる。最後に、先端セクション1703は曲げられてフック1714を形成する。電極本体1702,1703の公称長さIは、マトリックス本体1712に埋め込まれて形状を与えられたワイアの長さにより定義される。マトリックス本体1712は、平らな後部(近位)面と丸まった遠位先端1713を有する発射体の形を有する。マトリックス本体1712の後部面は、電極挿入ツール1730のほぼ半円状の支持体要素1732から延びるカップリングピン1731の挿入のために、2つの穴1710を備える。支持体要素1732Aの反対面から、反対方向に、電極を組織へ挿入することを行う人が扱うための操作ロッド1733が延びる。電極本体1702、1703は、可撓性伝導体1706を介して、電極制御装置10に結合される。
【0141】
本発明の電極のアレー1800の態様が図20に示される。該アレーはポリ(ラクチド−コ−グリコリド)のベースプレート1808を含み、該ベースプレートに本発明の電極本体1809がそれらの第2端で固定される。絶縁された薄い金ワイア1804は、電極本体1809の後部端と電気的に接続されているが、遮蔽リード線1806に組み立てられている。リード線1806内を走るワイア1804は、マイクロプロセッサー制御装置(図示なし)と電気的に接続されている。電極本体1809の短い後部端部分は、それぞれのマトリックス1801,1802,1803から延びる。前述の全ての要素は、軟質組織に接触すると2〜3分以内に溶解するように設計されたマトリックス材料の炭水化物アレーマトリックス本体1810内に封入されている。アレー1800全体の中で、アレーマトリックス本体1810から延びるのはリード線1806のみである。マトリックス本体1810は、中心軸R−Rを有するほぼ爆弾殻(shell)の形状である。それは丸まった先端1805と平らな後部面1811を有する。アレー1800を軸方向に先端1805を最先端にして軟質組織に挿入すると、該アレーマトリックスは迅速に溶解する。マトリックス1801,1802を有する電極は今はブラシの毛のように、ベースプレート1808からほぼ垂直に延びている。それぞれのマトリックスから延びる電極本体の後端部分を除いて、アレー1800の電極は図17aの電極に相当する。今はマトリックス1801,1802,1803の先端に接する隣接する組織(図示なし)は、該アレーの挿入を実施する人により該先端を組織の方に移動された時、該先端により容易に侵入される。この移動は、元の状態のアレーの挿入方向に実質的に垂直な方向である。それはベースプレート1808をアレー挿入器具(図示なし)により操作することにより実施でき、該アレー挿入器具は、ベースプレート1808と取り外し可能に結合され、そして該ベースプレート1808を両方向、即ち、互いに垂直な方向、に移動させる。マトリックス1801,1802,1803は薬物を含み、該薬物は該マトリックスのゆっくりした溶解中に放出される。溶解過程はまた、電極と組織との電気的接触を創設し、そして、例えば放出された薬物に作用される神経シグナル登録を可能にする。
【0142】
電極束のアレー(図示なし)は、図20の電極を電極束に置き換えて同様にして設計でき、同様にして操作できる。
【0143】
電極束のアレー(図示なし)は、図20の電極を電極束に置き換えて同様にして設計でき、同様にして操作できる。
【0144】
本発明の薬物放出医療用電極、電極束及び電極束アレーの製造
以下に、まず本発明の薬物放出医療用電極、電極束及び電極束アレーの個々の成分の製造を記載し、次ぎに本発明の薬物放出医療用電極、電極束及び電極束アレーへの組み立てを記載する。
【0145】
電極被覆
下記の一般的手順は、電極への迅速ないし中程度の放出被膜の生成を記載する。(上記した)電極の被覆は、浸漬被覆、吹付塗り、押出しを含む溶融工程、圧縮成形及び射出成形又は種々の技術の組み合わせにより例示されたが、これらに限定されない単一技術又は技術の組み合わせを使用して遂行することができる。
【0146】
段階的手順の例示的例で、電極をまず、適当な溶媒中の、前に掲げたポリマー、特にコラーゲン、ゼラチン、ポリビニルアルコール及び澱粉、からの適当な再吸収性ポリマー又はポリマーのブレンド物で浸漬被覆する。
【0147】
ポリマーもまた使用できる。ポリマー層の厚さは、当業者に知られた方法で充分に制御できる。次ぎに被膜を乾燥段階に付す。浸漬被覆及び乾燥段階は、最終被膜の要求される厚さに依存して、1回又は繰り返し行うことができる。次の段階で、薬物を該ポリマーに装填する。電極を該薬物を含む溶液に潜らせる。該溶媒は、該ポリマーを再吸収しそして該薬物を溶解するものでなければならない。最適時間の後、該電極を該溶液から取り出し、マトリックスを乾燥する。ワンポット手順において、該電極を、適当なポリマー及び選択した薬物を要求されるマトリックス厚さ及び薬物装填に最適の濃度で含む溶液に潜らせる。該電極を該溶液から取り出し、次に乾燥する。被膜は、ポリマー/薬物溶液を電極に吹き付ける吹付塗りにより生成することもできる。被膜の厚さは、吹き付け及び乾燥サイクルの回数、及び溶液中のポリマー及び添加物の量により制御し得る。
【0148】
温度及び電気的誘導放出用の電極
上述の方法は、適正なポリマー又はポリマーブレンド物と、任意の添加物及び選択した薬物とを使用する適用に適用可能である。温度制御のための、任意の添加物を有するポリマー又はポリマーブレンド物の例は:完全又は中程度に加水分解された水溶性樹脂、例えばポリビニルアルコール、である。ポリアクリル酸又はその誘導体、例えばポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)ゲル、及び温度の上昇は、ヒドロゲルを収縮させ、これにより薬物を被膜から押し出す。或いは、温度感受性ヒドロゲルは、ポリ(アクリルアミド)及びポリ(アクリル酸)の侵入性ヒドロゲルネットワークであり、そして温度の上昇はヒドロゲルを膨潤させ、これにより薬物をゲルから拡散して外に出す(Dinarvand外、1995;WO2005/067896;米国特許第7,066,904号)。電気的に開始される放出のための、任意の添加物を有するポリマー又はポリマーブレンド物の例は:ポリビニルアルコール/キトサン(Seon Jeong Kim外、2002。J Appl Polymer Sci)、ポリビニルアルコール/ポリアクリル酸(Li L外、2005。Nanotechnology 16,2852-2860)である。
【0149】
薬物の微小封入(microencapsulation)
本発明の1つの好ましい態様では、生物活性成分は微小球に封入される。微小球はサイズが、直径2〜3ナノメートルからミリメートルの範囲にわたることができる。下記の微小封入技術が微小球を得るのに使用できるが、これらに限定されない:噴霧(スプレー)乾燥、噴霧冷却、回転盤噴霧化(atomization)、流床被覆、静止ノズル同時押出、遠心ヘッド同時押出、潜水ノズル同時押出、パンコーチング(pan coating)、相分離、溶媒蒸発、溶媒抽出、界面重合、コアセルベーション、現場重合、リポソーム技術、ナノ封入。微小球の製造の標準的方法は、本願に参照用に含めるMicroencapsulation:Methods and Industrial Applications. S Benita 1996 ISBN -10:0824797035に与えられる。
【0150】
下記の殻(シェル、shell)構築材料は微小球を生成するのに特に有用である:タンパク質、多糖類、澱粉、ワックス類、脂肪、他の天然及び合成ポリマー。場合によっては、殻構築材料に1種又はそれ以上の添加剤を、微小球からの薬物放出速度を増加又は減少させるのに使用できる。封入された薬物の最適放出速度は、殻材料、球のサイズ、埋め込まれた薬物及び球に混入された添加剤の種類及び量の選択により達成できる。微小球の薬物放出速度は通常1次である。しかしながら、ゼロ次放出速度を示すマイクロカプセルは当業界に知られている。本発明の微小球は、薬物が埋め込まれたより小さい球を含み得る。球は、マトリックスとして前に掲げた材料を使用して溶解性に、しかし周りのマトリックスよりも溶解性が遅いように設計できる。或いは、球は、より生体安定性の材料を使用して不溶性に設計できる。例えば、生体適合性合成ポリマー、例えばポリウレタン(ポリカーボネートウレタンを含む)、イソブチレン、ポリスチレン−イソブチレン−ポリスチレン、シリコーン(例えばポリシロキサン及び置換ポリシロキサン)、熱可塑性エラストマー、エチレン酢酸ビニルコポリマー、ポリオレフィンエラストマー、EPDMエチレン−プロピレンタポリマーゴム、ポリアミドエラストマー、ヒドロゲル又はそれらの組み合わせ(WO 2005/082430)。かかるヒドロゲルポリマーは下記を含むが、これらに限定されない:2−ヒドロキシメチルメタクリレートの誘導体、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリウレタンヒドロゲル、天然ヒドロゲル、例えばゼラチン、ヒアルロン酸、架橋結合アルブミン等、又はこれらの組み合わせ(WO 2005/082430)。
【0151】
例えば、微小封入が水中乾燥法により行われる場合、該水/油(w/o)エマルションが別の水性相(以後、外部水性相と云う)に更に添加して、水/油/水(w/o/w)エマルションを生成し、次いで油相中の有機溶媒を除去して微小球を生成する。乳化剤を上記の外部水性相に添加してもよい。いかなる薬学的に許容される乳化剤も、安定なw/o/wエマルションを一般に生成するかぎり、使用できる。かかるエマルションの例には、アニオン性界面活性剤(例えば、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム)、非イオン性界面活性剤(例えば、Tween 80,Tween 60,HCO−60,HCO−70)、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン及びゼラチンが含まれる。これらの乳化剤の2つ又はそれ以上を、適当な割合で組み合わせて使用し得る。外部水性相中の乳化剤濃度は、例えば約0.01〜約20%、好ましくは約0.05%〜約10%の範囲にわたる。
【0152】
マイクロカプセルからの有機溶媒の除去は、プロペラ撹拌器、磁気撹拌器等を使用して撹拌中に溶媒を通常圧力又は徐々の減圧下で除去する方法、回転蒸発器等を使用して減圧度及び温度を調整しながら溶媒を除去する方法を含む、公知の方法により達成できる。
【0153】
このようにして得られたマイクロカプセルを、分離のために遠心分離又は濾過し、次いで蒸留水で数回洗浄して、マイクロカプセルに付着する遊離生理学的活性物質、薬物保持物質、乳化剤等を除去する。次に、洗浄したマイクロカプセルを蒸留水中に再分散した後、減圧下で乾燥するか又は凍結乾燥して、有機溶媒を更に除去する。
【0154】
相分離法によりマイクロカプセルを生成するために、コアセルベーション剤を、エマルションを撹拌しながらw/oエマルションに徐々に添加して、乳酸のポリマーを沈殿又は固化する。いかなる薬学的に許容される薬剤も使用でき、特に該ポリマーと混和性の鉱物質又は植物性の油であって、封入に使用したポリマーを溶解しない油を使用できる。かかるコアセルベーション剤の例は、シリコーン油、ゴマ油、とうもろこし油、綿実油、ココナッツ油、亜麻仁油、鉱物油、n−ヘキサン及びn−ヘプタンを含む。これらの2種又はそれ以上を組み合わせて使用し得る。使用するコアセルベーション剤は、例えばw/oエマルションの約0.01〜約1000容量倍、好ましくは約0.1〜約200容量倍である。このようにして得られた微小球を、分離のために遠心分離又は濾過し、その後、ヘキサン又はヘプタンのような洗浄剤(ウォッシュ)で繰り返し洗浄して、コアセルベーション剤を除去する。次ぎに該ウォッシュを加熱又は分解により蒸発させる。
【0155】
必要により、上述の水中乾燥法と同じようにして、遊離の生理学的活性物質及び有機溶媒を除去する。
【0156】
噴霧乾燥法によりマイクロカプセルを生成するためには、水中乾燥法における方法と同じ方法で生成したw/oエマルション又はw/o/wエマルションをノズルにより噴霧乾燥器の乾燥室に噴霧して、微小滴中の有機溶媒と水を非常に短時間で蒸発させて、マイクロカプセルを生成する。該ノズルの例には、例えば2流体ノズル型、圧力ノズル型及び回転盤型が含まれる。必要に応じて、このようにして得られたマイクロカプセルを蒸留水で数回繰り返し洗って、マイクロカプセル表面に付着した遊離生理学的活性物質、薬物保持物質、乳化剤等を除去する。次ぎに、洗ったマイクロカプセルを、有機溶媒を更に除去するために蒸留水中に再度分散した後、減圧乾燥又は凍結乾燥し得る。
【0157】
また、生理学的活性物質が1)1種の疎水性有機溶媒(例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、四塩化炭素、酢酸エチル、シクロヘキサン)と少なくとも1種の疎水性有機溶媒(例えば、メタノール、エタノール、アセトニトリル)とから成る油相中に溶解する場合、又は2)疎水性有機溶媒中のポリマー溶液から成る油相中に溶解する場合、又は3)上記の疎水性有機溶媒に少なくとも1種の界面活性剤(例えば、グリセロール脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、スクロース脂肪酸エステル)を加えることにより調製した油相に溶解する場合、これらの油相を上記の水中乾燥法で使用した外部水性相に分散してo/wエマルションを生成し、次いで該油相中の有機溶媒を、上記の水中乾燥法における方法と同じ方法で除去して、マイクロカプセルを生成し得る。更に、このo/wエマルションを上記の相分離法又は噴霧乾燥法に付して、マイクロカプセルを調製することができる。
【0158】
本発明の持続放出製剤は好ましくは賦形剤を含む。該賦形剤は生体に投与した時に毒性が低いこと;凍結乾燥又は噴霧乾燥による乾燥が容易であること;そして生体に投与した時に迅速に溶解するか又は使用時に溶解することが望ましい。かかる賦形剤の例には、例えば、砂糖、セルロース誘導体、アミノ酸、タンパク質、ポリアクリル酸誘導体、有機塩及び無機塩が含まれる。これらの賦形剤の2種又はそれ以上を適当な割合で組み合わせて使用し得る。
【0159】
薬物を含む溶解性又は分解性バー
薬物結合材料のバー(bars)又はロッドは、薬物を体液に溶解性のシート形状材料上に供給し、次ぎに該薬物を同じ種類の材料で覆うことにより組み立て得る。或いは、薬物を被覆材料の表面に塗布し、次ぎに該薬物層を同じ種類の被覆材料で覆い得る。3層シートを次ぎに薄いストラップに切断する。1つ又はそれ以上のストラップを本発明の電極に平行に、該電極及び該ストラップをマトリックス材料で封入する前に配置する。同様に、薬物を含む体液に溶解性の材料又は生体分解性の材料の堅いロッドを別に形成し、そして本発明の電極と組み合わせてそして該電極に隣接して、マトリックス材料中に封入することができる。適したロッド材料は、例えば、合成生体適合性ポリマー、例えばポリウレタン(ポリカーボネートウレタンを含む)、イソブチレン、ポリスチレン−イソブチレン−ポリスチレン、シリコーン(例えば、ポリシロキサン及び置換ポリシロキサン)、熱可塑性エラストマー、エチレン酢酸ビニルコポリマー、ポリオレフィンエラストマー、EPDMエチレン−プロピレンタポリマーゴム、ポリアミドエラストマー、ヒドロゲル又はそれらの組み合わせ(WO 2005/082430)である。かかるヒドロゲルポリマーは下記を含むが、これらに限定されない:2−ヒドロキシメチルメタクリレートの誘導体、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリウレタンヒドロゲル、天然ヒドロゲル、例えばゼラチン、ヒアルロン酸、架橋結合アルブミン等、又はこれらの組み合わせ(WO 2005/082430)。或いは、例えば近位のみ絶縁材料で被覆することにより、部分的にのみ絶縁された電極、又は絶縁されていない多くの部位から成る電極を、薬物の放出を制御するために使用できる。
【0160】
該バー又はロッドは、電極束の真ん中に導入するのが好ましい。電極内の他の位置も可能である。該バーは個々の電極に取り付けて、展開工程中に電極の行程に従え得る。この場合、該バーは相対的に可撓性であることが必要で、且つ個々の電極の直径と似た直径を有するべきであるが、他の寸法も可能である。バーはまた、該バーを挿入中に主行路ラインに従わせるのが望ましい場合は、比較的堅くし得、すると薬物は各電極又は電極束のコードからのみ放出されるであろう。この場合、該バーは薬物を放出すること及びインプラント中に全電極集合体の堅さを加えることの二重の役割に役立ち得る。
【0161】
マトリックス中への電極及び薬物の埋め込み
薬物は、該薬物をマトリックス又はマトリックスサブコンパートメントを作るのに使用された材料とブレンドすることにより、及び/又は微小球をマトリックス材料若しくはマトリックスコンパートメント材料とブレンドすることにより、該マトリックス又は該マトリックスサブコンパートメントに含ませることができる。また、薬物を含む生体分解性の材料また体液に溶解性の材料の既製のバー又はロッドを、電極に平行に挿入できる。該電極は、薬物含有マトリックス材料及び/又は薬物含有マトリックスサブコンパートメント材料の1つ又はそれ以上の層で被覆することができる。マトリックスコンパートメントに種々の材料を選択することにより、種々の薬物放出速度が得られる。種々のマトリックス若しくはマトリックスサブコンパートメント層、薬物含有微小球及びバーの組み合わせは安定でなければならない、即ち、外側層は、インプラント前は、いかなる点でも内側層/構造体に影響を及ぼしてはならない。本発明の電極又は電極束又は電極束アレーは、低湿潤性の滑らかな材料、例えばポリフルオル化炭化水素ポリマー又はシリコンゴム、の鞘に配置され、そしてそこに固定される。このように該鞘は金型として機能する。溶媒蒸発を容易にするために、鞘材料は好ましくは多孔性、特に微孔性、であるのが有利である。薬物を含むマトリックス若しくはマトリックスコンパートメント材料、場合によってはマイクロカプセル形状物を鞘に添加しそして乾燥(溶媒を場合によっては減圧下で蒸発させて乾燥)した後、生成物を該鞘から取り出す。
【0162】
前記鞘は最終プローブと同じ形状を有することができるが、更なる材料が引き続き、浸漬被覆又は吹付塗りにより該プローブに添加される場合は、より小さいサイズであってもよい。電極又は他の成分、例えば薬物含有バー、光ファイバー又はバイメタル、の取り扱いを容易にするために、溶解性のりにより該成分に取り付けられた小型操作具が、それらの金型に挿入するために使用される。更に、個々の電極は好ましくは特定のパターンに配置され、そして次ぎに吹付塗り又は浸漬被覆されて、マトリックスに潜らせる前に互いに固定する。電極又は他の成分をある構造に固定するために使用される材料は、好ましくは該マトリックスを構成する材料と同じ溶解性の材料から作られる。方法は、選択した薬物及び/又は微小球を含むマトリックス材料の製造を含む。これは、該薬物又は微小球を、あるマトリックスコンパートメントを生成するために使用される材料中に単純に溶解させることにより成就できる。
【0163】
更に、上記方法は、固定手段を供給し;電極、及び薬物及び場合によっては埋め込むべき追加の要素、例えば光ファイバー、収縮性要素等、を含むバーを該固定手段中に上記のように所望の構造で固定し;このようにして固定した要素を覆う鞘を、近位カップリングセクションを除いて適用し;第1マトリックス材料の溶液又は懸濁液を該電極上に、埋め込もうとする該要素の部分を覆うように適用し;該マトリックス溶液又は懸濁液のそれぞれ溶媒/分散剤を蒸発又は硬化させ;該鞘を除去し;そして該要素を該固定手段から解放することを含む。該電極及び他の要素を2つのマトリックス材料に埋め込んで、それぞれが該電極の一部分を封入する対応するマトリックスコンパートメントを形成するために、上記のような固定手段で固定された該電極の適当な部分を第1マトリックス材料の溶液又は懸濁液で被覆し、該溶媒/分散剤を引き続き蒸発させ、次いで被覆するために残された該電極の部分を第2のマトリックス材料の溶液又は懸濁液で被覆し、該第2マトリックス材料の該溶媒/分散剤を引き続き蒸発させ、そして該電極を該固定手段から解放する。
【0164】
本発明の電極を、該電極の部分を埋め込む、区別される(複数の)マトリックスコンパートメントを形成する2種のマトリックス材料に埋め込むための代替法は、電極全体を第1マトリックス材料に埋め込み;該第1マトリックス材料の一部分、好ましくは遠位端から延びる遠位部分、を溶解させ;該電極の今や埋め込まれていない遠位部分を第2マトリックス材料により覆い、例えば非埋め込み遠位部分に適用された鞘へのコースを再行使することにより覆い、該鞘に第2のマトリックス材料の溶液又は懸濁液を充填し、該溶媒蒸発させて、第2マトリックス材料を乾燥/硬化させ、そして該鞘を除去する。
【0165】
放出可能な生物活性分子を含むマトリックス内の規定されたコンパートメントは、薬物が電極の先端領域又は軸部(shank)に作用するように焦点を合わせるように達成できる。これは、マトリックス−電極構造物を、各ステップがコンパートメントを加える2又はそれ以上のステップで製造することにより達成できる。
【0166】
材料及び寸法
電極寸法。本発明の電極は、10−4〜10−7m、特に0.5〜25μmの適当な直径を有する。より大きいワイア直径、例えば1.5x10−3m、が、総刺激/記録パラダイムを使用する場合、例えば軟質組織に損傷を生成する場合、使用し得る。それらの直径は、該組織への挿入を容易にするために、それらの長さにわたって変えてもよく、特に該電極はそれらの遠位端に向かって先細ることができる。それらの遠位端は尖っても丸まってもよいが、尖った先端は、電極が電気的活性の記録に使用される場合は好ましい。それらの遠位部は10−7mより小さい直径さえも有し得る。
【0167】
電極の表面は滑らかでも滑らかでなくても、又は部分的に滑らかでも滑らかでなくても、即ち粗くてもよい。電極先端に近い平らでない又はでこぼこした表面は、固定性を改良しそして電極先端のインピーデンス(抵抗)を減少させるためには好ましい。本発明の電極は、それらの近位端及び遠位端から延びる部分以外は絶縁されているのが好ましい。しかしながら、電極本体は、組織内の多くの部位での刺激/記録を可能にする手段をも備えてもよい。かかる手段は、例えば、電導性の突き出た超薄フィラメント、又は10μm又はそれ以上までの長さを占める粗い又は平らでない表面を有する部分から成り得る。かかる領域は、組織との電気的接触を意図する場合は、電気的に絶縁されていない。それらは、電気的刺激/記録のために加えて、固定手段としても役立つ。大きい容積の組織の電気的刺激を意図する場合、電極先端から延びる大きい部分、例えば100μmまで又は1mmまでの長さ、を絶縁しないのが好ましい。電極ワイアの絶縁に適するものは、例えばガラス、ポリビニルホルマール、パリレン(parylene)C、ポリキシレン、エポキシ樹脂、ポリアミド、シリコンゴム、水不溶性ラッカーである。
【0168】
電極形状。本発明の重要な特徴は、電極の遠位先端から近位カップリングセクションまでの距離が、該電極を損傷することなく繰り返しそして可逆的に増加及び減少させることができて、ワイアを周囲の軟質組織内での不均一な動き、例えば、動脈血管又は静脈血管、心臓若しくは肺の近傍、又は軟質組織及び硬質組織の間で起こり得る動き、に滑らかに従わせることができることである。これは、電極に、所定のパターンに従うか又は従い得ない多数の屈曲部を設けることにより達成される。このように、電極は波状、カール状、曲りくねった(tortuous)、螺旋状又は他の真っすぐでない構造を有することができ、これは力がワイアに加わった時、近位カップリングセクションから遠位先端セクションまでの距離が少なくとも1%、好ましくは少なくとも5%だけ容易に増加/減少するのを可能にする。例えば、長さ1mmの電極の先端からベース(基部)までの距離は、少なくとも10μm、そして50μm又はそれ以上だけでさえも容易に増加/減少することができる。
【0169】
滑らかな屈曲パターン、例えば波状又は螺旋状パターン、を使用するのが好ましい。急激な屈曲部により特徴付けられるパターンは好ましくない。何故なら、電極の先端と近位カップリングセクションの間の距離を増加/減少させることにより引き起こされる力は、電極本体上の特定の部位又は電極本体に沿った短いセクションに実質的に影響を及ぼしてはならず、しかしむしろ大きいセクションに影響を及ぼさなければならないからである。これは周囲の生きた組織の動きによる長さの絶え間ない変化に晒される電極の耐久性を増加させるであろう。好ましいわけではないが、弾性絶縁材料、例えばシリコーンゴム、で被覆した弾性伝導性ワイアを使用することも本発明の範囲内である。更に、他のタイプの電極、例えば真っすぐな電極ワイア又は可撓性チップ上に設けられた電極を、電極軸に沿って実質的な動きを示さない組織領域に使用し得る。
【0170】
電極材料。電極密度対組織密度の比に近づくために、そしてそれにより電極と組織の間の慣性の相違を減少させるために、本発明の電極は軽くそして強い非伝導性材料、例えば天然タンパク質繊維、例えばシルク、又は電導性材料で覆ったポリマー繊維、のコアを含む。或いは、電導性材料、例えば金属、特に貴金属若しくは貴金属合金、を充填した管状支持材料だけでなく、炭素も使用し得る。この場合、該支持材料は更に電気絶縁体としても作用し得る。有用な非伝導性コア又は管状支持材料の他の例は、ガラス及びセラミックである。電導性材料は慣用のスパッタリング又は蒸発技術により支持材料上に沈着することができる。場合によっては、本発明の電極は、特に金、白金、チタン、ステンレス鋼、30重量%を越える貴金属、例えばイリジウム、白金とイリジウムの組み合わせ、及びタングステンの電導性金属コア、及びまた電導性ポリマーのコアを含むことができる。
【0171】
例示的用途
本発明の電極、並びに本発明の電極の束、及び本発明の電極及び/又は本発明の電極束のアレーの好ましい用途を以下に記載する。
【0172】
臨床的用途。例えば脳卒中又は退化性疾患の場合、脳/脊髄損傷後の患者を、残ったニューロンからのシグナルを記録することにより、そして/又はニューロンを刺激して失った機能を補償するすることにより、援助する用途。類似の用途も動物に可能である。特に:鎮痛脳幹センター、例えば中脳水道周囲灰白質物質内の細胞核、の刺激による痛みの緩和;パーキンソン病、舞踏病、及び他の非自発性運動における震えの、基底核内又は関連する細胞核内を刺激することによる緩和又は減少;アルツハイマー病又はその他の退化性疾患の場合、コリン作動性及び/又はモノアミン作動性細胞核の刺激による記憶の増強;辺縁系センター又は他の脳領域の刺激による、気分、攻撃性、心配性、恐怖症、耽溺、性過活動、インポーテンツ、摂食障害の制御;脳卒中又は脳/脊髄の損傷後の患者の、大脳皮質内の残存した接続路又は下降する運動神経路の刺激によるリハビリテーション;脊髄損傷後の脊髄機能、例えば膀胱及び腸空虚化(emptying)、の制御の、脊髄中の関連部分を刺激することによる再創設;阻害性棘上下降センター又は適当な小脳領域の刺激による、痙縮の制御;体知覚、聴覚、視覚、嗅覚の、脊髄及び脳中の関連する細胞核を刺激することによる再創設。他の医療的用途もまた、本発明の範囲内である。
【0173】
記録が刺激と組み合わさった例は下記を含むが、これらに限定されない:抗てんかん薬又は電気パルスを伝えるシステムに結合された、てんかん焦点に埋め込まれた電極によるてんかん発作の監視;中央運動コマンドを記録しそして損傷から遠い運動神経の執行部を刺激することによる、運動神経系内の失われた接続の補償;ホルモンの放出を制御するために血糖値の記録。本発明の埋め込まれた電極は、該電極を通して充分な強度の電流を流すことによる組織の局部的損傷にも使用し得る。マルチチャンネル設計は、組織内の特定の領域を選択的に損傷する可能性を提供する。これは、腫瘍又は異常に活動的若しくはてんかん誘発性神経組織を損傷しなければならない場合に有用であることができる。かかる場合、電極をまず疾患を記録しそして位置を見出すのに使用し、次いで刺激する。本発明はまた、癌治療のための療法として、局部的薬物投与と刺激の組み合わせを可能にする。電極を通して電流を流すことによる組織の損傷はまた、薬物供給、例えば、新しいインプラントに好ましい状況を創設するために、新しい組織のインプラント形成前の成長因子の供給、と組み合わせ得る。
【0174】
刺激及び記録を、埋め込まれた鎮痛薬又は抗てんかん薬、神経栄養物質、酸化防止剤、又はアポトーシスに拮抗する薬物のような埋め込まれた薬物の放出と組み合わせて、病気のプロセスを中止又は緩和することも可能である。組み合わされた刺激及び栄養因子の放出は、機能回復の案内の助力により再生プロセス及び学習メカニズム(展開中に見られるものと同様)を誘発するためにも使用できる。
【0175】
研究及び薬物開発での用途。脳及び脊髄の正常及び病理学的機能を研究するために、ニューロン活性、及び同時に撹乱されていない中枢神経系(CNS)との相互作用を記録できることが必要である。この目的で、本発明の電極、電極束、及び電極束のアレーはCNSに長期間埋め込まなければならないであろう。それらの設計及び寸法により、それらはCNS中に非常に長い期間確実に置くことができる。本発明は、種々の脳センターのいずれかでのニューロンの連続的測定を可能にして、該センター中の機能、活性化パターン及び異常活性を評価することを可能にする。これらの測定は次ぎに、全身的又は局部的に投与された種々の生物活性分子の効果を試験するために使用できる。生物活性分子には、例えばレセプター活性化により作用する物質だけでなく、遺伝子導入を媒介するベクター系も含まれる。電極付近の細胞内の特定遺伝子の発現を誘発することにより、薬理学的治療と同等の効果を長期間、例えば数日、及び数週間さえも達成でき、そして多くの基本的細胞の性質を、実験的又は治療の目的で恒久的に変更できる。
【0176】
例えば、電極は、痛みの動物モデルにおける小脳皮質への侵害経路(pathway)における長期の痛み関連シグナルを監視するために使用し得る。更に、埋め込まれた薬物により、埋め込み中及び埋め込み後に起こり得る合併症、例えば出血、感染、炎症、アポトーシス等、であって、手当しないと、電極からの結果の解釈を複雑にするであろう合併症を減少させることができる。
【0177】
本発明の電極はまた、神経繊維又は周辺神経系(PNS)内のそれらの体細胞を記録及び刺激するために使用し得る。
【0178】
電気的刺激/記録及び薬物伝達の組み合わせもまた可能である。局部的薬物伝達のための埋め込まれた手段は埋め込み中に電極に構造的に固定されているために、多様の生物活性分子を埋め込みそして組織へのそれらの局部的及び遠くへの効果を測定することが可能である。
【0179】
特に有用な応用は、本発明を、多くの異なるタイプの生物活性分子の中枢神経系及び周辺神経系に対する効果を同時に測定するために使用することである。これは、本発明の種々の電極の被膜が種々の生物活性分子/薬物を含む場合に達成できる。何故なら、これらの薬物はそれぞれの電極に接近して放出されるであろうからである。個々の電極が種々の生物活性分子で被覆された電極束又は電極/電極束のアレーの使用は、多くの潜在的治療薬の効果の高性能スクリーニングの可能性を開く。かかる潜在的薬物のスクリーニングはまた、電気的刺激又は生物活性分子の刺激生成放出と組み合わせて使用し得る。例えば、種々の生物活性分子の、埋め込まれた薬物コンパートメントからの神経毒素の能動的又は受動的な局部放出により引き起こされる病理的活性に対する効果を同時に記録することが可能である。
【0180】
組み合わされた重要分子の記録及び放出は、無傷の機能回路における分子操作、例えば自然の状況における学習に内在する可塑性経路におけるシグナル化経路の操作、の生理学的効果を研究するために使用できる。
【0181】
特定の生理学的又は薬理学的に関連する分子の濃度のボルタンメトリー測定(分当たりの時間分解能(time resolution in ms))。これは、例えば薬物の特定分子の濃度に対する局部的効果を無傷の挙動動物においてリアルタイムで追跡するのを可能にするであろう。伝達物質(例えばドーパミン、セロトニン、ノルアドレナリン、アセチルコリン、ニューロペプチド等)の放出の測定及び記録/刺激の組み合わせを、病気のプロセスを研究するのに使用できる。放出の測定はまた、フィードバックシステムを構成するのにも使用し得る。例えば、ドーパミンの放出を測定することにより、ドーパミン作動性ニューロンを、それらが低い働きをする場合、刺激するシステムを構成することが可能である。
【0182】
本発明は、手術中又は脳卒中後の出血を、組織を凝固させる電気的刺激と、血管収縮を生じそして出血中に凝固を促進する薬物の局部的放出との組み合わせにより、出血を撲滅するために使用できる。
【0183】
コンピュータ及び神経機能代替器具との相互作用のためのインターフェース(接触面)としての使用。周辺神経系に損傷がある患者において、それは、CNSからのコマンドシグナルを記録するために有用であることができる。これらのシグナルは次ぎにコンピュータプログラムにより解読され、そして神経機能代替において、例えば義手又は義足としての活動度を案内し、筋肉及び器官、例えば膀胱及び腸、の刺激を案内するために使用できる。本発明のインプラントされた電極はまた、例えば手術を受けようとする患者、障害のある又は老齢の患者の健康状態を監視するのに使用し得、そして患者の介護を改良するために健康監視システムに接続し得る。本発明の電極は、ワイア接続又は遠隔測定設備を介して、種々の種類の測定設備、例えば増幅器、刺激器具及びコンピュータ、と交信することができる。
【0184】
内分泌及び外分泌器官の機能の制御における使用。ホルモン分泌又は調節が不全の患者において、本発明の電極、電極束又は電極及び/又は電極束のアレーは、内分泌若しくは外分泌器官、又はかかる器官を制御する脳構造体、例えば視床下部及びある種の脳幹核、からのホルモンの分泌を制御するために使用し得る。薬物伝達と電気的刺激/記録の組み合わせは、ニューロン系の科学的研究及び組織反応の研究に有用であろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8-8a】
図8b-8c】
図8d-8e】
図8f
図9
図10
図11
図12-12a】
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19-19a】
図20