(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
[熱硬化性樹脂組成物]
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、(A)2官能エポキシ樹脂から誘導されるカルボキシル基含有樹脂と、(B)30℃で液状のエポキシ樹脂と、(C)結晶性エポキシ樹脂と、を含む(以下、単に、それぞれ「(A成分)」、「(B)成分」、および「(C)成分」とも称す)。上記3成分を含有することで、耐熱性、錫めっき耐性、および可撓性に優れた硬化物となる熱硬化性樹脂組成物を得ることができる。以下、(A)〜(C)成分について、詳細に説明する。
【0017】
[(A)2官能エポキシ樹脂から誘導されるカルボキシル基含有樹脂]
本発明の樹脂組成物においては、(A)成分は、2官能エポキシ樹脂から誘導されるカルボキシル基含有樹脂であれば特に制限はないが、以下の(A−1)〜(A−3)成分を可撓性の観点から好適に用いることができる。その中でも、(A−1)成分および(A−3)成分の何れか1種を特に好適に用いることができる。
【0018】
本発明の樹脂組成物においては、(A−1)成分として、下記一般式(1)、
(式中、XはCH
2、C(CH
3)
2または、SO
2を表し、nは1〜12であり、Yは水素原子またはグリシジル基を表す。ただし、nが1の場合、Yはグリシジル基を表し、nが2以上の場合、Yの少なくとも1個はグリシジル基を表す)で示されるビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂またはビスフェノールS型エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸(アクリル酸、メタクリル酸またはそれらの混合物を意味する)をエステル化反応させてアクリル変性し、さらにこのエステル化反応により生成したものを好適に用いることができる。
【0019】
本発明の樹脂組成物においては、(A−2)成分として、1分子中に2個のエポキシ基を有するジグリシジルエーテル型のエポキシ化合物を用いることができる。(A−2)成分は、下記一般式(2)、
で示されるビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、およびそれらの二塩基酸変性ジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂が挙げられる。
【0020】
特に、(A−2)成分としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂または水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂を二塩基酸で変性した一般式(3)、
で示される二塩基酸変性ジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂の少なくとも1種を含有することが、前記したように組成物の現像性を向上させることができるため好ましい。
【0021】
(A−2)成分の市販品としては、エピコート828、エピコート834、エピコート1001、エピコート1002(いずれも油化シェルエポキシ社製)等のビスフェノールAジグリシジルエーテル;エピコート807等のビスフェノールFジグリシジルエーテル;EBPS−200(日本化薬社製)、エピクロンEXA−1514(大日本インキ化学工業社製)等のビスフェノールSジグリシジルエーテル;YL−6121(油化シェルエポキシ社製)等のビフェノールジグリシジルエーテル;YX−4000(油化シェルエポキシ社製)等のビキシレノールジグリシジルエーテル;ST−2004、ST−2007(いずれも東都化成社製)等の水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0022】
また、二塩基酸変性ジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂の市販品としては、ST−5100、ST−5080(いずれも東都化成社製)等が挙げられる。変性に用いられる二塩基酸としては、マレイン酸、コハク酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸等が挙げられる。
【0023】
本発明の樹脂組成物においては、(A−3)成分として、下記一般式(4)、
で示される多核エポキシ化合物に、不飽和基含有モノカルボン酸、さらに多塩基酸無水物を反応させることによって得られる生成物も好適に用いることができる。
【0024】
一般式(4)で示される多核エポキシ化合物は、1分子中に2個のグリシジル基を有する芳香族エポキシ化合物(以下、二官能芳香族エポキシ化合物という)と、1分子中に2個のフェノール性水酸基を有する芳香族アルコール(以下、二官能芳香族アルコールという)とを原料として、公知のエーテル化触媒を用い、溶媒中または無溶媒下、交互に重合させ、得られたアルコール性の二級の水酸基にエピハロヒドリンを、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等の非プロトン性極性溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類等の公知の溶媒中、苛性ソーダ等のアルカリ金属水酸化物の存在下、反応させて得ることができる。
【0025】
次に、一般式(4)で示される多核エポキシ化合物に、不飽和基含有モノカルボン酸を有機溶剤の存在下あるいは非存在下で、ハイドロキノンや酸素等の重合禁止剤、およびトリエチルアミン等の三級アミン、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド等の四級アンモニウム塩、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物、トリフェニルホスフィン等のリン化合物等の反応触媒の共存下、通常約80〜130℃で反応させることにより、エポキシアクリレート化合物を得ることができる。
【0026】
さらに、上記反応により生成したエポキシアクリレート化合物のアルコール性水酸基に多塩基酸無水物を反応させることにより、(A−3)成分が得られるが、この反応において、多塩基酸無水物の使用量は上ポキシアクリレート化合物中のアルコール性水酸基に対して無水物基が99:1〜1:99の割合が適している。反応は、有機溶剤の存在下または非存在下、通常約50〜130℃で行なう。このとき必要に応じて、トリエチルアミン等の三級アミン、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド等の四級アンモニウム塩、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物、トリフェニルホスフィン等のリン化合物を触媒として添加してもよい。
【0027】
二官能芳香族エポキシ化合物としては、下記式(5)〜(8)、
(式中、R
1、R
2、R
3、R
4は同一のまたは互いに異なる、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表わし、R
5、R
6、R
7、R
8は同一のまたは互いに異なる、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基またはハロゲン原子を表わし、R
9、R
10は同一のまたは互いに異なる、水素原子、メチル基またはハロゲン化メチル基を表わす。)で示されるような芳香環を有するビフェノール型ジグリシジルエーテル、ビキシレノール型ジグリシジルエーテル、ビスフェノール型ジグリシジルエーテル、ナフタレン型ジグリシジルエーテル等の少なくとも1種の二官能芳香族エポキシ化合物が用いられる。
【0028】
本発明の樹脂組成物においては、(A)成分としては、上述のとおり可撓性の観点から、(A−1)〜(A−3)成分を好適に用いることができるが、これらに限られるものではない。(A−1)〜(A−3)成分以外であっても、例えば、下記一般式(9)、
(式中、Xは1分子中に2個のグリシジル基を有する芳香族エポキシ樹脂の芳香環残基を表わし、Mはグリシジル基及び/または水素原子を表わし、Zは脂肪族または芳香族二塩基酸の残基を表わし、pは1〜20の整数を表わす。)で示される多官能エポキシ化合物と、不飽和基含有モノカルボン酸と、の反応生成物に、多塩基酸無水物を反応させて得られる生成物も用いることができる。
【0029】
本発明の樹脂組成物においては、(A)成分の酸価は、40〜150mgKOH/gが好ましく、60〜120mgKOH/gがより好ましい。酸価が40〜150mgKOH/gの範囲にあると、本発明の樹脂組成物を硬化させて得られた硬化物の可撓性が特に優れているからである。
【0030】
[(B)30℃で液状のエポキシ樹脂]
本発明の熱硬化性樹脂組成物においては、(B)成分としては、30℃で液状のエポキシ樹脂であれば、公知のものいずれを用いてもよい。エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAのノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂等が用いられる。この中でも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂が好ましい。本発明の樹脂組成物においては、これらを1種単独で用いてもよいが、2種以上を併用してもよい。
【0031】
(B)成分の市販品としては、例えば、三菱化学社製「jER828」、東都化成社製「YD−128」、DIC社製「840」、「850」等のビスフェノールA型エポキシ樹脂、三菱化学社製「806」、「807」、東都化成社製「YDF−170」、DIC社製「830」、「835」、「N−730A」等のビスフェノールF型エポキシ樹脂、東都化成社製「ZX−1059」等のビスフェノールA、F混合物、三菱化学社製「YX−8000」、「8034」、東都化成社製「ST−3000」等の水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂等を挙げることができる。この中でも可撓性の特性に優れることより、ビスフェノールA型エポキシ樹脂が好ましい。本発明の樹脂組成物においては、これらを1種単独で用いてもよいが、2種以上を併用してもよい。
【0032】
本発明の樹脂組成物においては、エポキシ樹脂が30℃において液状であるか否かについては、危険物の試験及び性状に関する省令(平成元年自治省令第1号)の別紙第2の「液状の確認方法」に準じて判定する。以下、エポキシ樹脂の形態の判定基準について説明する。
【0033】
(1)装置
恒温水槽:攪拌機、ヒーター、温度計、自動温度調節器(±0.1℃で温度制御が可能なもの)を備えたもので深さ150mm以上のものを用いる。例えば、ヤマト科学(株)製の低温恒温水槽(型式BU300)と投入式恒温装置サーモメイト(型式BF500)の組み合わせを用い、水道水約22Lを低温恒温水槽(型式BU300)に入れ、これに組み付けられたサーモメイト(型式BF500)の電源を入れて設定温度に設定し、水温を設定温度±0.1℃にサーモメイト(型式BF500)で微調整する。これ以外であっても、同様の調整が可能な装置であればいずれも使用できる。
【0034】
試験管としては、
図1に示すように、内径30mm、高さ120mmの平底円筒型透明ガラス製のもので、管底から55mmおよび85mmの高さのところにそれぞれ標線11、12が付され、試験管の口をゴム栓13aで密閉した液状判定用試験管10aと、同じサイズで同様に標線が付され、中央に温度計を挿入・支持するための孔があけられたゴム栓13bで試験管の口を密閉し、ゴム栓13bに温度計14を挿入した温度測定用試験管10bを用いる。以下、管底から55mmの高さの標線を「A線」、管底から85mmの高さの標線を「B線」という。
【0035】
温度計14としては、JIS B7410(1982)「石油類試験用ガラス製温度計」に規定する凝固点測定用のもの(SOP−58目盛範囲20〜50℃)を用いるが、0〜50℃の温度範囲が測定できるものであればよい。
【0036】
(2)試験の実施手順
温度20±5℃の大気圧下で24時間以上放置した試料を、
図1(a)に示す液状判定用試験管10aと
図1(b)に示す温度測定用試験管10bにそれぞれA線まで入れる。2本の試験管10a,10bを低温恒温水槽にB線が水面下になるように直立させて静置する。温度計は、その下端がA線よりも30mm下となるようにする。
【0037】
試料温度が設定温度±0.1℃に達してから10分間そのままの状態を保持する。10分後、液状判定用試験管10aを低温恒温水槽から取り出し、直ちに水平な試験台の上に水平に倒し、試験管内の液面の先端がA線からB線まで移動した時間をストップウォッチで測定し、記録する。試料は、設定温度において、測定された時間が90秒以内のものを液状、90秒を超えるものを固体状と判定する。
【0038】
[(C)結晶性エポキシ樹脂]
結晶性エポキシ樹脂とは、結晶性の強いエポキシ樹脂を意味し、融点以下の温度では、高分子鎖が規則正しく配列し、固形樹脂でありながらも、溶融時には液状樹脂並みの低粘度となる熱硬化性のエポキシ樹脂をいう。
【0039】
本発明の樹脂組成物においては、例えば、ビフェニル構造、スルフィド構造、フェニレン構造、ナフタレン構造等を有する結晶性エポキシ樹脂を用いることができる。ビフェニルタイプのエポキシ樹脂は、例えば、三菱化学社製「jER(登録商標)YX4000」、「jER(登録商標)YX4000H」、「jER(登録商標)YL6121H」、「jER(登録商標)YL6640」、「jER(登録商標)YL6677」として提供されており、ジフェニルスルフィド型エポキシ樹脂は、例えば、東都化成社製「エポトート(登録商標)YSLV−120TE」として提供されており、フェニレン型エポキシ樹脂は、例えば、東都化成社製「エポトート(登録商標)YDC−1312」として提供されており、ナフタレン型エポキシ樹脂は、例えば、DIC社製「EPICLON(登録商標)HP−4032」、「EPICLON(登録商標)HP−4032D」、「EPICLON(登録商標)HP−4700」として提供されている。また、結晶性エポキシ樹脂として東都化成社製「エポトート(登録商標)YSLV−90C」、日産化成工業社製「TEPIC−S」(トリグリシジルイソシアヌレート)を用いることもできる。この中でもはんだ耐熱性の特性に優れることより、トリグリシジルイソシアヌレートが好ましい。本発明の樹脂組成物においては、これらを1種単独で用いてもよいが、2種以上を併用してもよい。
【0040】
本発明の熱硬化性樹脂組成物においては、(A)2官能エポキシ樹脂から誘導されるカルボキシル基含有樹脂と、(B)30℃で液状のエポキシ樹脂と(C)結晶性エポキシ樹脂との合計と、の比率は100:10〜100:100であることが好ましく、100:20〜100:100がより好ましく、100:30〜100:80がさらに好ましい。また、(B)30℃で液状のエポキシ樹脂と、(C)結晶性エポキシ樹脂と、の比率は1:0.1〜1:10が好ましく、1:0.1〜1:5であることがより好ましく、1:0.1以上1:1未満がさらに好ましく、1:0.1以上1:0.5以下が特に好ましい。(B)成分と(C)成分との比率を上記範囲とすることで、耐熱性、錫めっき耐性、および可撓性を十分に満足させることができる。
【0041】
[(D)無機フィラー]
本発明の熱硬化性樹脂組成物には、密着性、硬度、耐熱性等の特性を上げる目的で(D)無機フィラーを添加してもよい(以下、単に、「(D)成分」とも称す)。(D)無機フィラーとしては、硫酸バリウム、タルク、シリカ、クレー、の公知慣用の無機充填剤を配合できる。特に、難燃性を向上させるために、水酸化アルミニウム等の難燃剤を加えることが好ましい。(D)成分の配合量は樹脂組成物中に、60質量%以下が適当であり、好ましくは5〜40質量%の割合である。無機充填剤の配合量が60質量%を越えると、硬化膜の耐屈曲性および耐折性が低下し、好ましくない。なお、本発明の樹脂組成物においては、これらを1種単独で用いてもよいが、2種以上を併用してもよい。
【0042】
[その他の成分]
また、本発明の樹脂組成物には、さらに、必要に応じて公知慣用の着色顔料(例えば、酸化チタン、カーボン、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ジスアゾイエロー等)、熱重合禁止剤、増粘剤、消泡剤、レベリング剤、シランカップリング剤等を添加することができる。
【0043】
さらに、本発明の樹脂組成物には、エポキシ樹脂の硬化反応を促進するために公知・慣用の熱硬化触媒を添加することができる。熱硬化触媒としては、例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体;アセトグアナミン、ベンゾグアナミン等のグアナミン類;ベンジルジメチルアミン、4−(ジメチルアミノ)−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メトキシ−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メチル−N,N−ジメチルベンジルアミン、ジシアンジアミド、メラミン等のアミン化合物が挙げられる。市販されているものとしては、例えば四国化成工業(株)製の2MZ−A、2MZ−OK、2PHZ、2P4BHZ、2P4MHZ(いずれもイミダゾール系化合物の商品名)、サンアプロ社製のU−CAT3503N、U−CAT3502T(いずれもジメチルアミンでブロックされたブロックイソシアネート化合物の商品名)等がある。
【0044】
さらにまた、本発明の樹脂組成物の調製のためや、基板やキャリアフィルムに塗布するための粘度調整のために、有機溶剤を用いてもよい。このような有機溶剤としては、ケトン類、セロソルブ類、カルビトール類、セロソルブアセテート類、カルビトールアセテート類、プロピレングリコールエーテル類、ジプロピレングリコールエーテル類、プロピレングリコールエーテルアセテート類、ジプロピレングリコールアセテート類、芳香族系炭化水素類等が挙げられ、これらを単独でまたは2種以上組み合わせて用いてもよい。さらに、これらの有機溶剤の沸点が140〜180℃であることが、本発明の樹脂組成物の印刷性を考慮した場合好ましく、滲みを生ずることなくスクリーン印刷できる。これら有機溶剤の配合量は、特に限定されるものでないが、コーティング性や硬化膜の膜厚確保のため、樹脂組成物中に50質量%以下、好ましくは30質量%以下である。
【0045】
次に、本発明の硬化物およびプリント配線板について説明する。
本発明の硬化物は、本発明の熱硬化性樹脂組成物が基板上で硬化されてなるものであり、本発明のプリント配線板は、本発明の硬化物を具備するものである。本発明の硬化物は、本発明の樹脂組成物を基材上に塗布し、その後、硬化させることにより形成することができる。
【0046】
例えば、回路形成されたプリント配線板やテープキャリアパッケージに、本発明の熱硬化性樹脂組成物をスクリーン印刷法により塗布し、例えば120〜180℃の温度に加熱して熱硬化させることにより、耐熱性、錫めっき耐性、および可撓性に優れたソルダーレジストを形成することができる。
【実施例】
【0047】
以下、本発明の熱硬化性樹脂組成物を、実施例を用いて詳細に説明する。
<実施例1〜8、比較例1〜4および参考例1、2>
下記表1〜3に従って、実施例1〜8、比較例1〜4および参考例1、2に記載の材料をそれぞれ配合、攪拌機にて予備混合した後、3本ロールミルにて混錬し、熱硬化性樹脂組成物を調製した。表中の値は、特に断りが無い限り、質量部である。
【0048】
<(A)成分の樹脂溶液1の合成>
上記一般式(1)においてXがCH
2、YがHで、平均の重合度nが6.2であるビスフェノールF型エポキシ樹脂(エポキシ当量950g/当量、軟化点85℃)380部とエピクロルヒドリン925部をジメチルスルホキシド462.5部に溶解させた後、攪拌下70℃で98.5%NaOHを60.9部(1.5モル)、100分かけて添加した。添加後さらに70℃で3時間反応を行い、反応終了後、水250部を加え水洗を行った。
【0049】
油水分離後、油層よりジメチルスルホキシドの大半および過剰の未反応エピクロルヒドリンを減圧下に蒸留回収し、残留した副製塩とジメチルスルホキシドを含む反応生成物をメチルイソブチルケトン750部に溶解させ、さらに、30%NaOHを10部を加え、70℃で1時間反応させた。反応終了後、水200部で2回水洗を行い、油水分離後、油層よりメチルイソブチルケトンを蒸留回収して、エポキシ当量310g/当量、軟化点69℃のエポキシ樹脂(a)を得た。得られたエポキシ樹脂(a)は、エポキシ当量から計算すると、前記出発物質ビスフェノールF型エポキシ樹脂におけるアルコール性水酸基6.2個のうち約5個がエポキシ化されたものであった。このエポキシ樹脂(a)310部及びカルビトールアセテート282部をフラスコに仕込み、90℃に加熱・攪拌し、溶解した。
【0050】
得られた溶液を一旦60℃まで冷却し、アクリル酸72部(1モル)、メチルハイドロキノン0.5部、トリフェニルホスフィン2部を加え、100℃に加熱し、約60時間反応させ、酸価が0.2mgKOH/gの反応物を得た。これにテトラヒドロ無水フタル酸140部(0.92モル)を加え、90℃に加熱し、固形分酸価が100mgKOH/gになるまで反応を行った。このようにして得られた樹脂溶液の固形分濃度は63%であった。以下、この樹脂溶液を(A)成分の樹脂溶液1と称す。
【0051】
<(A)成分の樹脂溶液2の合成>
上記一般式(1)において、XがC(CH
3)
2、YがHで、平均の重合度nが6.2であるビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量950g/当量、軟化点85℃)380部とエピクロルヒドリン925部をジメチルスルホキシド462.5部に溶解させた後、攪拌下70℃で98.5%NaOHを60.9部(1.5モル)、100分かけて添加した。添加後さらに70℃で3時間反応を行い、反応終了後、水250部を加え水洗を行った。
【0052】
油水分離後、油層よりジメチルスルホキシドの大半及び過剰の未反応エピクロルヒドリンを減圧下に蒸留回収し、残留した副製塩とジメチルスルホキシドを含む反応生成物をメチルイソブチルケトン750部に溶解させ、更に30%NaOH10部を加え、70℃で1時間反応させた。反応終了後、水200部で2回水洗を行い、油水分離後、油層よりメチルイソブチルケトンを蒸留回収して、エポキシ当量310g/当量、軟化点69℃のエポキシ樹脂(b)を得た。得られたエポキシ樹脂(b)は、エポキシ当量から計算すると、出発物質ビスフェノールA型エポキシ樹脂におけるアルコール性水酸基6.2個のうち約5個がエポキシ化されたものであった。このエポキシ樹脂(b)310部及びカルビトールアセテート282部をフラスコに仕込み、90℃に加熱・攪拌し、溶解した。
【0053】
得られた溶液を一旦60℃まで冷却し、アクリル酸72部(1モル)、メチルハイドロキノン0.5部、トリフェニルホスフィン2部を加え、100℃に加熱し、約60時間反応させ、酸価が0.2mgKOH/gの反応物を得た。これにテトラヒドロ無水フタル酸140部(0.92モル)を加え、90℃に加熱し、固形分酸価が100mgKOH/gになるまで反応を行った。このようにして得られた樹脂溶液の固形分濃度は63%であった。以下、この樹脂溶液を(A)成分の樹脂溶液2と称す。
【0054】
<(A)成分の樹脂溶液3の合成>
1,5−ジヒドロキシナフタレン169部とエポキシ当量194g/当量の3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニルジグリシジルエ−テル1130部を仕込み、窒素雰囲気下にて、撹拌下120℃で溶解させた後、トリフェニルホスフィン0.65部を添加し、フラスコ内の温度を150℃まで昇温し、温度を150℃で保持しながら、約90分間反応させ、エポキシ当量350g/当量のエポキシ化合物(c−1)を得た。次に、フラスコ内の温度を70℃以下まで冷却し、エピクロルヒドリン2080部、ジメチルスルホキシド1690部を加え、撹拌下70℃まで昇温し保持した。その後、96%NaOHを180部、90分間かけて分割添加した。添加後さらに3時間反応を行い、反応終了後、過剰のエピクロルヒドリンおよびジメチルスルホキシドの大半を120℃、50mmHgの減圧下にて蒸留し、副生塩とジメチルスルホキシドを含む反応生成物をメチルイソブチルケトンに溶解させ水洗した。その後、油層よりメチルイソブチルケトンを蒸留回収して、エポキシ当量262g/当量の多核エポキシ化合物(c−2)を得た。
【0055】
得られた多核エポキシ化合物(c−2)は、エポキシ当量から計算すると、エポキシ化合物(c−1)におけるアルコ−ル性水酸基1.57個のうち約0.86個がエポキシ化されたものであった。従って、アルコ−ル性水酸基のエポキシ化率は55%であった。次に、多核エポキシ化合物(c−2)341部を撹拌装置、冷却管及び温度計を備えたフラスコに入れ、カルビトールアセテート400部を加え、加熱溶解し、メチルハイドロキノン0.46部と、トリフェニルホスフィン1.38部と、を加え、95〜105℃に加熱し、アクリル酸94部を徐々に滴下し、16時間反応させた。この反応生成物を、80〜90℃まで冷却し、テトラヒドロフタル酸無水物166部を加え、8時間反応させた。反応は、電位差滴定による反応液の酸化、全酸化測定を行ない、得られる付加率にて追跡し、反応率95%以上を終点とした。このようにして得られた樹脂溶液は、固形分濃度60%、固形物の酸価102mgKOH/gであった。以下、この樹脂溶液を樹脂溶液3と称す。
【0056】
<その他のカルボキシル基含有樹脂溶液1の合成例>
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC社製、登録商標“エピクロン”N−695、エポキシ当量:220)220部を撹拌機および還流冷却器の付いた四つ口フラスコに入れ、カルビトールアセテート214部を加え、加熱溶解させた。次に、重合禁止剤としてハイドロキノン0.1部と、反応触媒としてジメチルベンジルアミン2.0部を加えた。この混合物を95〜105℃に加熱し、アクリル酸72部を徐々に滴下し、16時間反応させた。この反応生成物を80〜90℃まで冷却し、テトラヒドロフタル酸無水物106部を加え、8時間反応させ、冷却後、取り出した。このようにして得られた樹脂溶液は、固形分濃度63%、固形物の酸価100mgKOH/g、重量平均分子量Mw約3,500であった。以下、この樹脂溶液をその他のカルボキシル基含有樹脂溶液1と称す。
【0057】
<その他のカルボキシル基含有樹脂溶液2>
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学社製、エピコート828、エポキシ当量188g/当量)188部(1当量)をフラスコに仕込み、100℃に加熱して攪拌した。ここに、テトラヒドロフタル酸51部(0.6当量)とトリフェニルホスフィン4.5部をカルビトールアセテート100部に溶解した溶液を滴下ロートで48時間かけて滴下した。さらに48時間攪拌を続けた。このようにして得られた樹脂溶液は、エポキシ当量600g/当量、固形分濃度63%、固形物の酸価121mgKOH/gであった。以下、この樹脂溶液をその他のカルボキシル基含有樹脂溶液2と称す。
【0058】
得られた実施例1〜8、比較例1〜4および参考例1、2の樹脂組成物につき、はんだ耐熱性、可撓性、錫めっき耐性、および難燃性について評価した。はんだ耐熱性、可撓性、錫めっき耐性、および難燃性の評価方法は、下記のとおりである。
【0059】
<はんだ耐熱性>
回路形成されたプリント配線板に、各熱硬化性樹脂組成物を、硬化膜が約20μmとなるようにパターン印刷し、150℃で30分間硬化させ、評価基板を作製した。得られた評価基板の硬化膜にロジン系フラックスを塗布し、260℃のはんだ槽に10秒間浸漬し、硬化膜の状態を以下の基準で評価した。結果を下記表1〜3に併記する。
○:硬化塗膜にふくれ、剥がれ、変色がないもの
△:硬化塗膜に若干ふくれ、剥がれ、変色があるもの
×:硬化塗膜にふくれ、剥がれ、変色があるもの
【0060】
<可撓性>
各熱硬化性樹脂組成物を、それぞれカプトン材(厚さ50μm)上にスクリーン印刷で全面印刷し、150℃で30分間硬化させた(乾燥膜厚20μm)。得られた硬化膜を外側にして180゜折り曲げ、以下の基準で評価した。結果を下記表1〜3に併記する。
○:硬化膜にクラックがないもの
△:硬化膜に若干クラックがあるもの
×:硬化膜にクラックがあるもの
【0061】
<錫めっき耐性>
回路形成されたプリント配線板に、各熱硬化性樹脂組成物を、硬化膜が約20μmとなるようにパターン印刷し、150℃で30分間硬化させて評価基板を作製した。この評価基板について、市販品の無電解錫めっき浴を用いて、錫1±0.2μmの条件でめっきを行った。めっきされた評価基板において、レジスト層の剥がれの有無やめっきのしみ込みの有無を評価した後、テープピーリングによりレジスト層の剥がれの有無を評価した。判定基準は以下のとおりである。結果を下記表1〜3に併記する。
〇:めっき後にしみ込みが全く見られず、テープピーリング後に剥がれはない。
△:めっき後にしみ込みが僅かに見られるが、テープピーリング後に剥がれはない。
×:めっき後にしみ込みが確認され、テープピーリング後に剥がれも見られる。
【0062】
<難燃性>
各熱硬化性樹脂組成物を、日立化成製のノンハロゲンの難燃性基板RO−67G(0.2mmt材)に、片面20μmずつスクリーン印刷で全面塗布し、熱風循環式乾燥炉で150℃,30分間、熱硬化させて評価基板を得た。この評価基板をUL94燃焼性試験に準じて、燃焼時間を測定した。下記表1〜3に併記する。
○:UL V−0相当
(試験片5本を、それぞれ2回着火した時の合計燃焼時間が、50秒以下)
△:UL V−1相当
(試験片5本を、それぞれ2回着火した時の合計燃焼時間が、50〜250秒)
×:自己消火性なし
(試験片5本を、それぞれ2回着火した時の合計燃焼時間が、250秒以上)
【0063】
【表1】
【0064】
(A)成分の樹脂溶液1:<(A)成分の樹脂溶液1の合成>で合成したもの
(A)成分の樹脂溶液2:<(A)成分の樹脂溶液2の合成>で合成したもの
(A)成分の樹脂溶液3:<(A)成分の樹脂溶液3の合成>で合成したもの
その他のカルボキシル基含有樹脂溶液1:<その他のカルボキシル基含有樹脂溶液1>で合成したもの
その他のカルボキシル基含有樹脂溶液2:<その他のカルボキシル基含有樹脂溶液2>で合成したもの
(B)成分1:jER828(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、三菱化学社製)
(B)成分2:エピクロン830(ビスフェノールF型エポキシ樹脂、DIC社製)
30℃で固形であるエポキシ樹脂(非結晶性):エピクロンN‐695(ノボラック型エポキシ樹脂、DIC社製)
(C)成分1:TEPIC−S(トリグリシジルイソシアヌレート、日産化成工業社製)
(C)成分2:jER YX4000(ビフェニルタイプエポキシ樹脂、三菱化学社製)
(D)成分1:ハイジライト H−42M(水酸化アルミニウム、昭和電工社製)
(D)成分2:エロジール R974(シリカ、日本アエロジル社製)
(D)成分3:B−30(硫酸バリウム、堺化学工業社製)
着色顔料1:フタロシアニンブルー
着色顔料2:クロムフタルイエロー
硬化触媒1:ジシアンジアミド
硬化触媒2:メラミン
消泡剤:KS−66(シリコーン系、信越化学社製)
有機溶剤:ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート
【0065】
【表2】
【0066】
【表3】
【0067】
表1〜3より、本発明の熱硬化樹脂組成物は、耐熱性、錫めっき耐性、および可撓性に優れており、また、フィラーとして、水酸化アルミニウムを用いることで、十分な難燃性が得られていることがわかる。