(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
カルボキシル基含有オリゴマー、上記カルボキシル基含有オリゴマーよりも分子量の大きな高分子バインダー、光重合開始剤、光重合性モノマー及びフィラーを含む組成物であって、
上記高分子バインダーがセルロース誘導体であって、該セルロース誘導体の重量平均分子量が30,000〜1,500,000であり、上記フィラーがカオリナイト、水酸化アルミニウム及びハイドロタルサイトのうちの少なくとも何れか1種を含み、かつ、上記フィラーの含有量が組成物の不揮発成分全体量の36.1〜60質量%であることを特徴とするアルカリ溶液により現像可能な光硬化性樹脂組成物。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のアルカリ溶液により現像可能な光硬化性樹脂組成物(以下、光硬化性樹脂組成物とも称する)は、カルボキシル基含有オリゴマー、上記カルボキシル基含有オリゴマーよりも分子量の大きな高分子バインダー、光重合開始剤、光重合性モノマー及びフィラーを含む組成物であって、上記フィラーの含有量が組成物の不揮発成分全体量の30〜60質量%であることを特徴とするものである。
以下、本発明の光硬化性樹脂組成物の各構成成分について詳細に説明する。
【0012】
本発明の光硬化性樹脂組成物は、カルボキシル基含有オリゴマーを用いることでアルカリ現像性を付与することが可能となる。尚、本明細書において、用語「オリゴマー」は、高分子バインダーと分子量を区別し易いようにするために用いられていると理解されるべきである。カルボキシル基含有オリゴマーとしては、分子中にカルボキシル基を有している従来公知の各種カルボキシル基含有樹脂もしくはプレポリマーを使用できる。特に、分子中にエチレン性不飽和二重結合を有するカルボキシル基含有感光性樹脂もしくはカルボキシル基含有感光性プレポリマーが、光硬化性や耐現像性の面からより好ましい。そして、その不飽和二重結合は、アクリル酸もしくはメタアクリル酸又はそれらの誘導体由来のものが好ましい。尚、エチレン性不飽和二重結合を有さないカルボキシル基含有樹脂もしくはプレポリマーのみを用いる場合、組成物を光硬化性とするためには、後述する分子中に複数のエチレン性不飽和基を有する化合物、即ち光重合性モノマーを併用する必要がある。
カルボキシル基含有オリゴマーの具体例としては、以下に列挙するようなオリゴマーを好適に使用できる。
【0013】
(1)(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸と、スチレン、α−メチルスチレン、低級アルキル(メタ)アクリレート、イソブチレン等の不飽和基含有化合物との共重合により得られるカルボキシル基含有オリゴマー。
【0014】
(2)脂肪族ジイソシアネート、分岐脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート等のジイソシアネートと、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等のカルボキシル基含有ジアルコール化合物及びポリカーボネート系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、アクリル系ポリオール、ビスフェノールA系アルキレンオキシド付加体ジオール、フェノール性ヒドロキシル基及びアルコール性ヒドロキシル基を有する化合物等のジオール化合物の重付加反応によるカルボキシル基含有ウレタン樹脂。
【0015】
(3)ジイソシアネートと、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂等の2官能エポキシ樹脂の(メタ)アクリレートもしくはその部分酸無水物変性物、カルボキシル基含有ジアルコール化合物及びジオール化合物の重付加反応によるカルボキシル基含有感光性ウレタン樹脂。
【0016】
(4)前記(2)又は(3)の樹脂の合成中に、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の分子中に1つの水酸基と1つ以上の(メタ)アクリル基を有する化合物を加え、末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有感光性ウレタン樹脂。
【0017】
(5)前記(2)又は(3)の樹脂の合成中に、イソホロンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリアクリレートの等モル反応物など、分子中に1つのイソシアネート基と1つ以上の(メタ)アクリル基を有する化合物を加え末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有感光性ウレタン樹脂。
【0018】
(6)後述するような2官能又はそれ以上の多官能(固形)エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、側鎖に存在する水酸基に無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等の2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有感光性オリゴマー。
【0019】
(7)後述するような2官能(固形)エポキシ樹脂の水酸基をさらにエピクロロヒドリンでエポキシ化した多官能エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、生じた水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有感光性オリゴマー。
【0020】
(8)後述するような2官能オキセタン樹脂にアジピン酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸等のジカルボン酸を反応させ、生じた1級の水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有ポリエステルオリゴマー。
【0021】
(9)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンオキシド、プロピレンオキシド等のアルキレンオキシドとを反応させて得られる反応生成物に不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等の多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性オリゴマー。
【0022】
(10)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の環状カーボネート化合物とを反応させて得られる反応生成物に不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性オリゴマー。
【0023】
(11)上記(1)〜(10)の樹脂にさらに1分子中に1つのエポキシ基と1つ以上の(メタ)アクリル基を有する化合物を付加してなるカルボキシル基含有感光性オリゴマー。
なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート、メタクリレート及びそれらの混合物を総称する用語で、他の類似の表現についても同様である。
【0024】
前記のようなカルボキシル基含有オリゴマーは、バックボーン・ポリマーの側鎖に多数のカルボキシル基を有するため、希アルカリ水溶液による現像が可能になる。
また、前記カルボキシル基含有オリゴマーの酸価は、40〜200mgKOH/gの範囲が適当であり、より好ましくは45〜120mgKOH/gの範囲である。カルボキシル基含有オリゴマーの酸価が40mgKOH/g未満であるとアルカリ現像が困難となり、一方、200mgKOH/gを超えると現像液による露光部の溶解が進むために、必要以上にラインが痩せたり、場合によっては、露光部と未露光部の区別なく現像液で溶解剥離してしまい、正常なレジストパターンの描画が困難となるので好ましくない。
【0025】
また、前記カルボキシル基含有オリゴマーの重量平均分子量は、樹脂骨格により異なるが、一般的に2,000〜150,000、さらには5,000〜100,000の範囲にあるものが好ましい。使用する高分子バインダーよりも重量平均分子量が低いカルボキシル基含有オリゴマーを使用する必要があるが、特に好ましい重量平均分子量は5000〜35,000である。重量平均分子量が2,000未満であると、塗膜のタックフリー性能が劣ることがあり、露光後の塗膜の耐湿性が悪く、現像時に膜減りが生じ、解像度が大きく劣ることがある。一方、重量平均分子量が150,000を超えると、現像性が著しく悪くなる。また、後述する高分子バインダーよりも大きい場合は、目的である塗膜の脆さの改善ができない。
【0026】
このようなカルボキシル基含有オリゴマーの配合量は、全組成物の10〜60質量%、好ましくは20〜50質量%の範囲が適当である。カルボキシル基含有オリゴマーの配合量が上記範囲より少ない場合、皮膜強度が低下したりするので好ましくない。一方、上記範囲より多い場合、組成物の粘性が高くなったり、塗布性等が低下するので好ましくない。
【0027】
これらカルボキシル基含有オリゴマーは、前記列挙したものに限らず使用することができ、1種類でも複数種混合しても使用することができる。特に前記カルボキシル基含有オリゴマーの中で芳香環を有している樹脂が屈折率が高く、解像性に優れるので好ましく、さらにビフェニルノボラック構造を有しているものが解像性だけで無く、PCT耐性やクラック耐性に優れているので好ましい。また、カルボキシル基含有感光性オリゴマー(9)、(10)のごときフェノール化合物を出発材料として使用するカルボキシル基含有オリゴマーも、同様にPCT耐性が向上するため好ましい。一般に、フィラー成分の増加により、フィラーと樹脂の界面で吸水が起こり易くなるのに対して、ビフェニルノボラック構造を有しているものや、(9)、(10)のごときカルボキシル基含有オリゴマーは、フィラー成分が増加してもPCT耐性は非常に優れたのであった。これは、前者はビフェニルノボラック構造により疎水性が向上しているためと考えられ、後者は、類似の構造を形成できるカルボキシル基含有感光性オリゴマー(6)、(7)がエポキシアクリレート構造で水酸基を有しているのに対して、カルボキシル基含有感光性オリゴマー(9)、(10)は水酸基がなく、著しく疎水性が向上しているためと考えられる。
【0028】
前記高分子バインダーとしては、反応性、非反応性にかかわらず熱可塑性樹脂であれば特に限定されるものではないが、例えば、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン等の熱可塑性樹脂、熱可塑性ポリイミド、フェノキシ樹脂と呼ばれている芳香族系樹脂群、エチルセルロース、アセチルセルロース、アセチルプロピルセルロース、アセチルブチルセルロース等セルロース誘導体、各種アクリレートやスチレン、酢酸ビニル等のビニル誘導体を溶液、懸濁重合させて得られるポリマーなどが使用できる。また、2種類以上のビニル基を有するモノマーを用いて重合を行うことで得られる2元共重合体、3元共重合体、ブロック共重合体なども使用できる。特に、これらのポリマーのうち、セルロース誘導体によるものやブロック共重合体が好ましい。高分子バインダーの好適な分子量は、重量平均分子量で30,000〜1,500,000であるが、使用するカルボキシル基含有オリゴマーよりも明確に分子量が大きいと判断される場合であれば使用することができる。例えば、同一溶剤に溶解させた際にカルボキシル基含有オリゴマーと比較して粘度が高い場合である。さらに、通常、分子量が大きいものほど溶剤に対する溶解性が低いため、同一溶剤に溶解させたときの固形分の量が低い場合、特に10〜50wt%のときに前記カルボキシル基含有オリゴマーよりも分子量が大きいと判断される。10wt%よりも固形分が少ないときは溶剤分が増えて組成物を形成し得ないという問題を生じる。一方、50wt%より多いときは高分子に該当しない場合があり、妥当でない。
【0029】
これら高分子バインダーの働きは幾つか挙げられる。その一つは、組成物の流動性を変えることである。具体的に述べると、カルボキシル基含有オリゴマー及び光重合性モノマーに多量のフィラーを配合した場合、特に光重合性モノマーとフィラーのなじみが悪く、得られる組成物はダイラタンシー流体になる。組成物がダイラタンシーになると、組成物を攪拌、印刷、又はコーティングすることが困難であり、かなりの希釈状態でないと使用することができず、特にスクリーン印刷やロールコーティング等の比較的高粘度で行う印刷の場合には、必要な膜厚が一回の印刷で確保できない問題があった。ここに高分子バインダーを加えると、組成物はチキソトロピー流体へと変化することができた。ここで初めて印刷やコーティングが可能な材料となった。第2の効果は、組成物をコーティング、乾燥してドライフィルム状態にした際、ハンドリングクラックを制御することが明らかとなった。これは、高分子バインダーが多量に配合されたフィラーをつなぎとめる効果があったためと考えられる。高分子バインダー添加の第3の効果は、硬化後の物性において、塗膜の靭性を増大させることができたことである。これは、高分子バインダーが光硬化性樹脂マトリックス中にIPN(海島)状態で存在しているためと考えられる。以上のような3つの理由により、高分子バインダーを添加してはじめて、光重合性モノマーと多量のフィラーが共存する組成物においても、印刷及びコーティングが可能となり、線膨張係数が低く、強靭な塗膜が得られるようになったものと考えられる。
【0030】
また、これら高分子バインダーは、末端及び/又は側鎖にカルボキシル基、水酸基、エポキシ基等の官能基が存在していてもかまわない。好適なカルボキシル基の量としては酸価30mgKOH/g以下である。
【0031】
高分子バインダーの好適な配合量は、前記カルボキシル基含有オリゴマー100質量部に対して1質量部以上である。このように少量の高分子バインダーの添加でも、組成物の流動性は充分達成できる。さらに物性を充分に向上させるためにはより多量の高分子バインダーを加えることができるが、その上限はカルボキシル基含有オリゴマー100質量部に対して30質量部程度が適当である。高分子バインダーの添加量が多くなると現像性が著しく悪く、回路形成された基板の回路上や回路間に残渣が残ることがあるが、このようなときには、光硬化性樹脂組成物の塗布を2回に分け、一回目の途工の際には高分子バインダーを含まないかもしくは5質量部未満含む組成物を塗布し、その後、高分子バインダーと多量のフィラーを配合した本発明の組成物を塗布すると、現像不良の問題は解決される。同様に、ドライフィルムを形成する際も2層以上の層構成とし、基材に直接触れる側の層は高分子バインダーが存在しないかもしくは5質量部未満の割合の組成物層で形成し、他の層を高分子バインダーを多く含む本発明の組成物で層形成することなどで解決できる。
【0032】
本発明の光硬化性樹脂組成物に用いられる光重合開始剤としては、オキシムエステル基を有するオキシムエステル系光重合開始剤、α−アミノアセトフェノン系光重合開始剤、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤からなる群から選択される1種以上を好適に使用することができる。
【0033】
オキシムエステル系光重合開始剤としては、市販品として、BASFジャパン社製のCGI−325、イルガキュアー(登録商標)OXE01、イルガキュアーOXE02、ADEKA社製N−1919、NCI−831などが挙げられる。また、分子中に2個のオキシムエステル基を有する光重合開始剤も好適に用いることができ、具体的には、下記一般式で表されるカルバゾール構造を有するオキシムエステル化合物が挙げられる。
【化1】
(式中、Xは、水素原子、炭素数1〜17のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、フェニル基、フェニル基(炭素数1〜17のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、アミノ基、炭素数1〜8のアルキル基を持つアルキルアミノ基又はジアルキルアミノ基により置換されている)、ナフチル基(炭素数1〜17のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、アミノ基、炭素数1〜8のアルキル基を持つアルキルアミノ基又はジアルキルアミノ基により置換されている)を表し、Y、Zはそれぞれ、水素原子、炭素数1〜17のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、ハロゲン基、フェニル基、フェニル基(炭素数1〜17のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、アミノ基、炭素数1〜8のアルキル基を持つアルキルアミノ基又はジアルキルアミノ基により置換されている)、ナフチル基(炭素数1〜17のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、アミノ基、炭素数1〜8のアルキル基を持つアルキルアミノ基又はジアルキルアミノ基により置換されている)、アンスリル基、ピリジル基、ベンゾフリル基、ベンゾチエニル基を表し、Arは、結合か、炭素数1〜10のアルキレン、ビニレン、フェニレン、ビフェニレン、ピリジレン、ナフチレン、チオフェン、アントリレン、チエニレン、フリレン、2,5−ピロール−ジイル、4,4’−スチルベン−ジイル、4,2’−スチレン−ジイルを表し、nは0か1の整数である。)
特に前記一般式中、X、Yが、それぞれ、メチル基又はエチル基であり、Zはメチル又はフェニルであり、nは0であり、Arは、結合か、フェニレン、ナフチレン、チオフェン又はチエニレンであることが好ましい。
【0034】
このようなオキシムエステル系光重合開始剤の配合量は、カルボキシル基含有オリゴマー100質量部に対して、0.01〜5質量部とすることが好ましい。0.01質量部未満であると、銅上での光硬化性が不足し、塗膜が剥離するとともに、耐薬品性などの塗膜特性が低下する。一方、5質量部を超えると、塗膜表面での光吸収が激しくなり、深部硬化性が低下する傾向がある。より好ましくは、0.5〜3質量部である。
【0035】
α−アミノアセトフェノン系光重合開始剤としては、具体的には2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、N,N−ジメチルアミノアセトフェノンなどが挙げられる。市販品としては、BASFジャパン社製のイルガキュアー907、イルガキュアー369、イルガキュアー379などが挙げられる。
【0036】
アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤としては、具体的には2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルホスフィンオキサイドなどが挙げられる。市販品としては、BASF社製のルシリンTPO、BASFジャパン社製のイルガキュアー819などが挙げられる。
【0037】
これらα−アミノアセトフェノン系光重合開始剤、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤の配合量は、カルボキシル基含有オリゴマー100質量部に対して、0.01〜15質量部であることが好ましい。0.01質量部未満であると、同様に銅上での光硬化性が不足し、塗膜が剥離するとともに、耐薬品性などの塗膜特性が低下する。一方、15質量部を超えると、アウトガスの低減効果が得られず、さらに塗膜表面での光吸収が激しくなり、深部硬化性が低下する傾向がある。より好ましくは0.5〜10質量部である。
【0038】
ここで、用いる光重合開始剤としては上記オキシムエステル系開始剤が添加量も少なく、アウトガスが抑えられるため、PCT耐性やクラック耐性に効果があり好ましい。また、オキシムエステル系開始剤に加えてアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤を併用すると、解像性の良好な形状が得られるため特に好ましい。
【0039】
その他、本発明の光硬化性樹脂組成物に好適に用いることができる光重合開始剤、光開始助剤及び増感剤としては、ベンゾイン化合物、アセトフェノン化合物、アントラキノン化合物、チオキサントン化合物、ケタール化合物、ベンゾフェノン化合物、3級アミン化合物、及びキサントン化合物などを挙げることができる。
【0040】
ベンゾイン化合物としては、具体的には、例えばベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどが挙げられる。
【0041】
アセトフェノン化合物としては、具体的には、例えばアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノンなどが挙げられる。
【0042】
アントラキノン化合物としては、具体的には、例えば2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノンなどが挙げられる。
【0043】
チオキサントン化合物としては、具体的には、例えば2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントンなどが挙げられる。
【0044】
ケタール化合物としては、具体的には、例えばアセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタールなどが挙げられる。
【0045】
ベンゾフェノン化合物としては、具体的には、例えばベンゾフェノン、4−ベンゾイルジフェニルスルフィド、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド、4−ベンゾイル−4’−エチルジフェニルスルフィド、4−ベンゾイル−4’−プロピルジフェニルスルフィドなどが挙げられる。
【0046】
3級アミン化合物としては、具体的には、例えばエタノールアミン化合物、ジアルキルアミノベンゼン構造を有する化合物、例えば、市販品では、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン(日本曹達社製ニッソキュアーMABP)、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン(保土ヶ谷化学社製EAB)などのジアルキルアミノベンゾフェノン、7−(ジエチルアミノ)−4−メチル−2H−1−ベンゾピラン−2−オン(7−(ジエチルアミノ)−4−メチルクマリン)などのジアルキルアミノ基含有クマリン化合物、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル(日本化薬社製カヤキュアー(登録商標)EPA)、2−ジメチルアミノ安息香酸エチル(インターナショナルバイオ−シンセエティックス社製Quantacure DMB)、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル(インターナショナルバイオ−シンセエティックス社製Quantacure BEA)、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエチルエステル(日本化薬社製カヤキュアーDMBI)、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル(Van Dyk社製Esolol 507)、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン(保土ヶ谷化学社製EAB)などが挙げられる。
【0047】
これらのうち、チオキサントン化合物及び3級アミン化合物が好ましい。特に、チオキサントン化合物が含まれることが、深部硬化性の面から好ましい。中でも、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン化合物を含むことが好ましい。
【0048】
このようなチオキサントン化合物の配合量としては、カルボキシル基含有オリゴマー100質量部に対して、20質量部以下であることが好ましい。チオキサントン化合物の配合量が20質量部を超えると、厚膜硬化性が低下するとともに、製品のコストアップに繋がる。より好ましくは10質量部以下である。
【0049】
また、3級アミン化合物としては、ジアルキルアミノベンゼン構造を有する化合物が好ましく、中でも、ジアルキルアミノベンゾフェノン化合物、最大吸収波長が350〜450nmにあるジアルキルアミノ基含有クマリン化合物及びケトクマリン類が特に好ましい。
【0050】
ジアルキルアミノベンゾフェノン化合物としては、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノンが、毒性も低く好ましい。ジアルキルアミノ基含有クマリン化合物は、最大吸収波長が350〜410nmと紫外線領域にあるため、着色が少なく、無色透明な感光性組成物はもとより、着色顔料を用い、着色顔料自体の色を反映した着色ソルダーレジスト膜を提供することが可能となる。特に、7−(ジエチルアミノ)−4−メチル−2H−1−ベンゾピラン−2−オンが、波長400〜410nmのレーザー光に対して優れた増感効果を示すことから好ましい。
【0051】
このような3級アミン化合物の配合量としては、カルボキシル基含有オリゴマー100質量部に対して、0.1〜20質量部であることが好ましい。3級アミン化合物の配合量が0.1質量部未満であると、充分な増感効果を得ることができない傾向にある。20質量部を超えると、3級アミン化合物による乾燥ソルダーレジスト塗膜の表面での光吸収が激しくなり、深部硬化性が低下する傾向がある。より好ましくは0.1〜10質量部である。
【0052】
これらの光重合開始剤、光開始助剤及び増感剤は、単独で又は2種類以上の混合物として使用することができる。
このような光重合開始剤、光開始助剤、及び増感剤の総量は、前記カルボキシル基含有オリゴマー100質量部に対して35質量部以下であることが好ましい。35質量部を超えると、これらの光吸収により深部硬化性が低下する傾向にある。
【0053】
なお、これら光重合開始剤、光開始助剤、及び増感剤は、特定の波長を吸収するため、場合によっては感度が低くなり、紫外線吸収剤として働くことがある。しかしながら、これらは組成物の感度を向上させることだけの目的に用いられるものではない。必要に応じて特定の波長の光を吸収させて、表面の光反応性を高め、レジストのライン形状及び開口を垂直、テーパー状、逆テーパー状に変化させるとともに、ライン幅や開口径の加工精度を向上させることができる。
【0054】
本発明の光硬化性樹脂組成物にはフィラーを配合しているが、フィラーの配合量について詳細に検討を行った結果、組成物の不揮発成分全体量の30〜60質量%のフィラーを加えることにより、PCT耐性や電気特性(HAST耐性)が向上することを見出した。さらにフィラーの屈折率が1.50〜1.65の範囲内の場合においては、PCT耐性やHAST耐性(高度加速寿命試験に対する耐性)が優れているだけでなく、良好な解像性が得られることも判明した。高解像が得られる理由としては、PCT耐性やHAST耐性を向上させるために用いられている芳香環を有する樹脂の屈折率とフィラーの屈折率が近いことが考えられる。
【0055】
本発明に用いることができるフィラーとしては、例えば硫酸バリウム、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、ベーマイト、雲母粉、ハイドロタルサイトなどの公知慣用の無機充填剤が使用できる。好適な態様によれば、上記フィラーはBa又はMg及び/又はAlを含む。特にBaを含むフィラーとしては硫酸バリウム(屈折率:1.65)、Mgを含むフィラーとしてはタルク(屈折率:1.54−59)、炭酸マグネシウム(屈折率:1.57−1.60)、Alを含むフィラーとしてはカオリナイト、クレー(屈折率:1.55−1.57)、酸化アルミニウム(屈折率:1.65)、水酸化アルミニウム(屈折率:1.65)、ベーマイト(屈折率:1.62−1.65)、雲母粉(屈折率:1.59)、Mg及びAlを含むフィラーとしてはハイドロタルサイト(屈折率:1.50)が好ましい。
【0056】
フィラーの総量は、光硬化性樹脂組成物の不揮発成分全体量の30〜60質量%の範囲が適当である。フィラーの含有量が30質量%より少ない場合、光硬化性樹脂組成物の硬化物において線膨張係数の低下が見られず、クラック耐性が悪くなるので好ましくない。一方、60質量%を超えた場合、組成物の粘度が高くなり、塗布、成形性が低下し、さらに吸水性も増すためPCT耐性やHAST耐性が悪化するので好ましくない。また、これらのフィラーは、単独で又は2種類以上を併用することができる。
【0057】
本発明の光硬化性樹脂組成物には、メルカプト化合物を添加することが好ましい。メルカプト化合物を加えることにより、PCT耐性とHAST耐性が向上することが認められた。これは、メルカプト化合物を加えることで架橋密度が向上したこと、もしくは、密着性が向上したことが考えられる。
【0058】
メルカプト化合物の配合量は、前記カルボキシル基含有オリゴマー100質量部に対して、0.01質量部以上、10.0質量部以下が適当であり、さらに好ましくは0.05質量部以上、5部質量部以下である。0.01質量部未満では、メルカプト化合物添加の効果としての密着性の向上が確認されず、一方、10.0質量部を超えると、光硬化性樹脂組成物の現像不良、乾燥管理幅の低下などを引き起こすおそれがあるので好ましくない。これらのメルカプト化合物は、単独又は2種以上を併用することができる。
【0059】
本発明の光硬化性樹脂組成物には、熱硬化成分を加えることができる。熱硬化成分を加えることにより耐熱性が向上することが確認された。本発明に用いられる熱硬化成分としては、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、メラミン誘導体、ベンゾグアナミン誘導体等のアミノ樹脂、ブロックイソシアネート化合物、シクロカーボネート化合物、多官能エポキシ化合物、多官能オキセタン化合物、エピスルフィド樹脂、ビスマレイミド、カルボジイミド樹脂等の公知の熱硬化性樹脂が使用できる。特に好ましいのは、分子中に複数の環状エーテル基及び/又は環状チオエーテル基(以下、環状(チオ)エーテル基と略す)を有する熱硬化成分である。
【0060】
このような分子中に複数の環状(チオ)エーテル基を有する熱硬化成分は、分子中に3、4又は5員環の環状(チオ)エーテル基のいずれか一方又は2種類の基を複数有する化合物であり、例えば、分子中に複数のエポキシ基を有する化合物、すなわち多官能エポキシ化合物、分子中に複数のオキセタニル基を有する化合物、すなわち多官能オキセタン化合物、分子中に複数のチオエーテル基を有する化合物、すなわちエピスルフィド樹脂等が挙げられる。
【0061】
前記多官能エポキシ化合物としては、ADEKA社製のアデカサイザーO−130P、アデカサイザーO−180A、アデカサイザーD−32、アデカサイザーD−55等のエポキシ化植物油;三菱化学社製のjER(登録商標)828、jER834、jER1001、jER1004、ダイセル化学工業社製のEHPE3150、DIC社製のエピクロン(登録商標)840、エピクロン850、エピクロン1050、エピクロン2055、新日鐵化学社製のエポトート(登録商標)YD−011、YD−013、YD−127、YD−128、ダウケミカル社製のD.E.R.317、D.E.R.331、D.E.R.661、D.E.R.664、BASFジャパン社のアラルダイド6071、アラルダイド6084、アラルダイドGY250、アラルダイドGY260、住友化学工業社製のスミ−エポキシESA−011、ESA−014、ELA−115、ELA−128、旭化成工業社製のA.E.R.330、A.E.R.331、A.E.R.661、A.E.R.664等(何れも商品名)のビスフェノールA型エポキシ樹脂;新日鐵化学社製のYDC−1312(商品名)等のハイドロキノン型エポキシ樹脂、新日鐵化学社製のYSLV−80XY(商品名)等のビスフェノール型エポキシ樹脂、新日鐵化学社製のYSLV−120TE(商品名)等のチオエーテル型エポキシ樹脂;三菱化学社製のjERYL903、DIC社製のエピクロン152、エピクロン165、新日鐵化学社製のエポトートYDB−400、YDB−500、ダウケミカル社製のD.E.R.542、BASFジャパン社製のアラルダイド8011、住友化学工業社製のスミ−エポキシESB−400、ESB−700、旭化成工業社製のA.E.R.711、A.E.R.714等(何れも商品名)のブロム化エポキシ樹脂;三菱化学社製のjER152、jER154、ダウケミカル社製のD.E.N.431、D.E.N.438、DIC社製のエピクロンN−730、エピクロンN−770、エピクロンN−865、新日鐵化学社製のエポトートYDCN−701、YDCN−704、BASFジャパン社製のアラルダイドECN1235、アラルダイドECN1273、アラルダイドECN1299、アラルダイドXPY307、日本化薬社製のEPPN(登録商標)−201、EOCN(登録商標)−1025、EOCN−1020、EOCN−104S、RE−306、住友化学工業社製のスミ−エポキシESCN−195X、ESCN−220、旭化成工業社製のA.E.R.ECN−235、ECN−299等(何れも商品名)のノボラック型エポキシ樹脂;日本化薬社製NC−3000、NC−3100等のビフェノールノボラック型エポキシ樹脂;DIC社製のエピクロン830、三菱化学社製jER807、新日鐵化学社製のエポトートYDF−170、YDF−175、YDF−2004、BASFジャパン社製のアラルダイドXPY306等(何れも商品名)のビスフェノールF型エポキシ樹脂;新日鐵化学社製のエポトートST−2004、ST−2007、ST−3000(商品名)等の水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂;三菱化学社製のjER604、新日鐵化学社製のエポトートYH−434、BASFジャパン社製のアラルダイドMY720、住友化学工業社製のスミ−エポキシELM−120等(何れも商品名)のグリシジルアミン型エポキシ樹脂;BASFジャパン社製のアラルダイドCY−350(商品名)等のヒダントイン型エポキシ樹脂;ダイセル化学工業社製のセロキサイド(登録商標)2021、BASFジャパン社製のアラルダイドCY175、CY179等(何れも商品名)の脂環式エポキシ樹脂;三菱化学社製のYL−933、ダウケミカル社製のT.E.N.、EPPN−501、EPPN−502等(何れも商品名)のトリヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂;三菱化学社製のYL−6056、YX−4000、YL−6121(何れも商品名)等のビキシレノール型もしくはビフェノール型エポキシ樹脂又はそれらの混合物;日本化薬社製EBPS−200、ADEKA社製EPX−30、DIC社製のEXA−1514(商品名)等のビスフェノールS型エポキシ樹脂;三菱化学社製のjER157S(商品名)等のビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂;三菱化学社製のjERYL−931、BASFジャパン社製のアラルダイド163等(何れも商品名)のテトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂;BASFジャパン社製のアラルダイドPT810(商品名)、日産化学工業社製のTEPIC(登録商標)等の複素環式エポキシ樹脂;日本油脂社製ブレンマー(登録商標)DGT等のジグリシジルフタレート樹脂;新日鐵化学社製ZX−1063等のテトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂;新日鐵化学社製ESN−190、ESN−360、DIC社製HP−4032、EXA−4750、EXA−4700等のナフタレン基含有エポキシ樹脂;DIC社製HP−7200、HP−7200H等のジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂;日本油脂社製CP−50S、CP−50M等のグリシジルメタアクリレート共重合系エポキシ樹脂;さらにシクロヘキシルマレイミドとグリシジルメタアクリレートの共重合エポキシ樹脂;エポキシ変性のポリブタジエンゴム誘導体(例えばダイセル化学工業製PB−3600等)、CTBN変性エポキシ樹脂(例えば新日鐵化学社製のYR−102、YR−450等)等が挙げられるが、これらに限られるものではない。これらのエポキシ樹脂は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも特にノボラック型エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ビフェノールノボラック型エポキシ樹脂又はそれらの混合物が好ましい。
【0062】
多官能オキセタン化合物としては、例えば、ビス[(3−メチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、1,4−ビス[(3−メチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、(3−メチル−3−オキセタニル)メチルアクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルアクリレート、(3−メチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレートやそれらのオリゴマー又は共重合体等の多官能オキセタン類の他、オキセタンアルコールとノボラック樹脂、ポリ(p−ヒドロキシスチレン)、カルド型ビスフェノール類、カリックスアレーン類、カリックスレゾルシンアレーン類、又はシルセスキオキサン等の水酸基を有する樹脂とのエーテル化物等が挙げられる。その他、オキセタン環を有する不飽和モノマーとアルキル(メタ)アクリレートとの共重合体等も挙げられる。
【0063】
分子中に複数の環状チオエーテル基を有する化合物としては、例えば、三菱化学社製のビスフェノールA型エピスルフィド樹脂 YL7000等が挙げられる。また、同様の合成方法を用いて、ノボラック型エポキシ樹脂のエポキシ基の酸素原子を硫黄原子に置き換えたエピスルフィド樹脂なども用いることができる。
【0064】
このような分子中に複数の環状(チオ)エーテル基を有する熱硬化成分の配合量は、カルボキシル基含有オリゴマーのカルボキシル基1当量に対して、0.6〜2.5当量が好ましい。配合量が0.6未満である場合、ソルダーレジスト膜にカルボキシル基が残り、耐熱性、耐アルカリ性、電気絶縁性等が低下する。一方、2.5当量を超える場合、低分子量の環状(チオ)エーテル基が乾燥塗膜に残存することにより、塗膜の強度等が低下する。より好ましくは、0.8〜2.0当量である。
【0065】
分子中に複数の環状(チオ)エーテル基を有する熱硬化成分を使用する場合、熱硬化触媒を含有することが好ましい。そのような熱硬化触媒としては、例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体;ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4−(ジメチルアミノ)−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メトキシ−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メチル−N,N−ジメチルベンジルアミン等のアミン化合物、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド等のヒドラジン化合物;トリフェニルホスフィン等のリン化合物等が挙げられる。また、市販されているものとしては、例えば四国化成工業社製の2MZ−A、2MZ−OK、2PHZ、2P4BHZ、2P4MHZ(いずれもイミダゾール系化合物の商品名)、サンアプロ社製のU−CAT(登録商標)3503N、U−CAT3502T(いずれもジメチルアミンのブロックイソシアネート化合物の商品名)、DBU、DBN、U−CATSA102、U−CAT5002(いずれも二環式アミジン化合物及びその塩)等が挙げられる。特に、これらに限られるものではなく、エポキシ樹脂やオキセタン化合物の熱硬化触媒、もしくはエポキシ基及び/又はオキセタニル基とカルボキシル基の反応を促進するものであればよく、単独で又は2種以上を混合して使用してもかまわない。また、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、メラミン、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン、2−ビニル−2,4−ジアミノ−S−トリアジン、2−ビニル−4,6−ジアミノ−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物等のS−トリアジン誘導体を用いることもでき、好ましくはこれら密着性付与剤としても機能する化合物を熱硬化触媒と併用する。
【0066】
これら熱硬化触媒の配合量は、通常の量的割合で充分であり、例えばカルボキシル基含有オリゴマー又は分子中に複数の環状(チオ)エーテル基を有する熱硬化成分100質量部に対して、好ましくは0.1〜20質量部、より好ましくは0.5〜15.0質量部である。
【0067】
さらに、本発明の光硬化性樹脂組成物には、着色剤を配合することができる。着色剤としては、赤、青、緑、黄などの公知の着色剤を使用することができ、顔料、染料、色素のいずれでもよい。但し、環境負荷低減並びに人体への影響の観点からハロゲンを含有しないことが好ましい。
【0068】
赤色着色剤:
赤色着色剤としてはモノアゾ系、ジズアゾ系、アゾレーキ系、ベンズイミダゾロン系、ペリレン系、ジケトピロロピロール系、縮合アゾ系、アントラキノン系、キナクリドン系などがあり、具体的には以下のようなカラ−インデックス(C.I.;ザ ソサイエティ オブ ダイヤーズ アンド カラリスツ(The Society of Dyers and Colourists)発行)番号が付されているものが挙げられる。
モノアゾ系:Pigment Red 1, 2, 3, 4, 5, 6, 8, 9, 12, 14, 15, 16, 17, 21, 22, 23, 31, 32, 112, 114, 146, 147, 151, 170, 184, 187, 188, 193, 210, 245, 253, 258, 266, 267, 268, 269。
ジスアゾ系:Pigment Red 37, 38, 41。
モノアゾレーキ系:Pigment Red 48:1, 48:2, 48:3, 48:4, 49:1, 49:2, 50:1, 52:1, 52:2, 53:1, 53:2, 57:1, 58:4, 63:1, 63:2, 64:1,68。
ベンズイミダゾロン系:Pigment Red 171、Pigment Red 175、Pigment Red 176、Pigment Red 185、Pigment Red 208。
ぺリレン系:Solvent Red 135、Solvent Red 179、Pigment Red 123、Pigment Red 149、Pigment Red 166、Pigment Red 178、Pigment Red 179、Pigment Red 190、Pigment Red 194、Pigment Red 224。
ジケトピロロピロール系:Pigment Red 254、Pigment Red 255、Pigment Red 264、Pigment Red 270、Pigment Red 272。
縮合アゾ系:Pigment Red 220、Pigment Red 144、Pigment Red 166、Pigment Red 214、Pigment Red 220、Pigment Red 221、Pigment Red 242。
アンスラキノン系:Pigment Red 168、Pigment Red 177、Pigment Red 216、Solvent Red 149、Solvent Red 150、Solvent Red 52、Solvent Red 207。
キナクリドン系:Pigment Red 122、Pigment Red 202、Pigment Red 206、Pigment Red 207、Pigment Red 209。
【0069】
青色着色剤:
青色着色剤としてはフタロシアニン系、アントラキノン系があり、顔料系はピグメント(Pigment)に分類されている化合物、具体的には、下記のようなものを挙げることができる:Pigment Blue 15、Pigment Blue 15:1、Pigment Blue 15:2、Pigment Blue 15:3、Pigment Blue 15:4、Pigment Blue 15:6、Pigment Blue 16、Pigment Blue 60。
染料系としては、Solvent Blue 35、Solvent Blue 63、Solvent Blue 68、Solvent Blue 70、Solvent Blue 83、Solvent Blue 87、Solvent Blue 94、Solvent Blue 97、Solvent Blue 122、Solvent Blue 136、Solvent Blue 67、Solvent Blue 70等を使用することができる。上記以外にも、金属置換もしくは無置換のフタロシアニン化合物も使用することができる。
【0070】
緑色着色剤:
緑色着色剤としては、同様にフタロシアニン系、アントラキノン系、ペリレン系があり、具体的にはPigment Green 7、Pigment Green 36、Solvent Green 3、Solvent Green 5、Solvent Green 20、Solvent Green 28等を使用することができる。上記以外にも、金属置換もしくは無置換のフタロシアニン化合物も使用することができる。
【0071】
黄色着色剤:
黄色着色剤としてはモノアゾ系、ジスアゾ系、縮合アゾ系、ベンズイミダゾロン系、イソインドリノン系、アントラキノン系等があり、具体的には以下のものが挙げられる。
アントラキノン系:Solvent Yellow 163、Pigment Yellow 24、Pigment Yellow 108、Pigment Yellow 193、Pigment Yellow 147、Pigment Yellow 199、Pigment Yellow 202。
イソインドリノン系:Pigment Yellow 110、Pigment Yellow 109、Pigment Yellow 139、Pigment Yellow 179、Pigment Yellow 185。
縮合アゾ系:Pigment Yellow 93、Pigment Yellow 94、Pigment Yellow 95、Pigment Yellow 128、Pigment Yellow 155、Pigment Yellow 166、Pigment Yellow 180。
ベンズイミダゾロン系:Pigment Yellow 120、Pigment Yellow 151、Pigment Yellow 154、Pigment Yellow 156、Pigment Yellow 175、Pigment Yellow 181。
モノアゾ系:Pigment Yellow 1, 2, 3, 4, 5, 6, 9, 10, 12, 61, 62, 62:1, 65, 73, 74, 75, 97, 100, 104, 105, 111, 116, 167, 168, 169, 182, 183。
ジスアゾ系:Pigment Yellow 12, 13, 14, 16, 17, 55, 63, 81, 83, 87, 126, 127, 152, 170, 172, 174, 176, 188, 198。
【0072】
その他、色調を調整する目的で紫、オレンジ、茶色、黒などの着色剤を加えてもよい。
具体的に例示すれば、Pigment Violet 19、23、29、32、36、38、42、Solvent Violet 13、36、C.I.ピグメントオレンジ1、C.I.ピグメントオレンジ5、C.I.ピグメントオレンジ13、C.I.ピグメントオレンジ14、C.I.ピグメントオレンジ16、C.I.ピグメントオレンジ17、C.I.ピグメントオレンジ24、C.I.ピグメントオレンジ34、C.I.ピグメントオレンジ36、C.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ40、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントオレンジ46、C.I.ピグメントオレンジ49、C.I.ピグメントオレンジ51、C.I.ピグメントオレンジ61、C.I.ピグメントオレンジ63、C.I.ピグメントオレンジ64、C.I.ピグメントオレンジ71、C.I.ピグメントオレンジ73、C.I.ピグメントブラウン23、C.I.ピグメントブラウン25、C.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック7等がある。
【0073】
前記したような着色剤は適宜配合できるが、カルボキシル基含有オリゴマー又は熱硬化性成分100質量部に対して、10質量部以下とすることが好ましい。より好ましくは0.1〜5質量部である。
【0074】
本発明の光硬化性樹脂組成物には、分子中に複数のエチレン性不飽和基を有する化合物を配合することができる。本発明の光硬化性樹脂組成物に用いられる分子中に複数のエチレン性不飽和基を有する化合物は、活性エネルギー線照射により、光硬化して、本発明の感光性化合物や前記カルボキシル基含有感光性オリゴマーを、アルカリ水溶液に不溶化、又は不溶化を助けるものである。このような化合物としては、慣用公知のポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、カーボネート(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートなどが使用でき、具体的には、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレートなどのヒドロキシアルキルアクリレート類;エチレングリコール、メトキシテトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコールのジアクリレート類;N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドなどのアクリルアミド類;N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリレートなどのアミノアルキルアクリレート類;ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリス−ヒドロキシエチルイソシアヌレートなどの多価アルコール又はこれらのエチレオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物、もしくはε−カプロラクトン付加物などの多価アクリレート類;フェノキシアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、及びこれらのフェノール類のエチレンオキサイド付加物もしくはプロピレンオキサイド付加物などの多価アクリレート類;グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレートなどのグリシジルエーテルの多価アクリレート類;その他、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートジオール、水酸基末端ポリブタジエン、ポリエステルポリオールなどのポリオールを直接アクリレート化、もしくは、ジイソシアネートを介してウレタンアクリレート化したアクリレート類及びメラミンアクリレート、及び/又は上記アクリレートに対応する各メタクリレート類などが挙げられる。
【0075】
さらに、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等の多官能エポキシ樹脂に、アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート樹脂や、さらにそのエポキシアクリレート樹脂の水酸基に、ペンタエリスリトールトリアクリレート等のヒドロキシアクリレートとイソホロンジイソシアネート等のジイソシアネートのハーフウレタン化合物を反応させたエポキシウレタンアクリレート化合物等が挙げられる。このようなエポキシアクリレート系樹脂は、塗膜の指触乾燥性を低下させることなく、光硬化性を向上させることができる。
【0076】
このような複数のエチレン性不飽和基を有する化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。特に1分子中に4個から6個のエチレン性不飽和基を有する化合物が光反応性と解像性の観点から好ましく、さらに1分子中に2個のエチレン性不飽和基を有する化合物を用いると、硬化物の線膨張係数が低下し、冷熱サイクル試験時におけるクラックの発生が低減されることが見出されたことから好ましい。
【0077】
このような分子中に複数のエチレン性不飽和基を有する化合物の配合量は、カルボキシル基含有オリゴマー100質量部に対して、5〜100質量部が好ましい。配合量が、5質量部未満の場合、光硬化性が低下し、活性エネルギー線照射後のアルカリ現像により、パターン形成が困難となる。一方、100質量部を超えた場合、希アルカリ水溶液に対する溶解性が低下して、塗膜が脆くなる。より好ましくは、1〜70質量部である。
【0078】
さらに、本発明の光硬化性樹脂組成物は、上記カルボキシル基含有オリゴマーの合成や組成物の調製のため、又は基板やキャリアフィルムに塗布するための粘度調整のため、有機溶剤を使用することができる。このような有機溶剤は、単独で又は2種以上の混合物として用いられる。
【0079】
本発明の光硬化性樹脂組成物には、酸化を防ぐために(1)発生したラジカルを無効化するようなラジカル補足剤又は/及び(2)発生した過酸化物を無害な物質に分解し、新たなラジカルが発生しないようにする過酸化物分解剤等の酸化防止剤を添加することができる。
【0080】
さらに本発明の光硬化性樹脂組成物には、酸化防止剤の他に、紫外線吸収剤を使用することができる。
このような紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾエート誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、トリアジン誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、シンナメート誘導体、アントラニレート誘導体、ジベンゾイルメタン誘導体等が挙げられる。
【0081】
本発明の光硬化性樹脂組成物は、さらに必要に応じて、公知の熱重合禁止剤、微粉シリカ、有機ベントナイト、モンモリロナイト等の公知の増粘剤、シリコーン系、フッ素系、高分子系等の消泡剤及び/又はレベリング剤、イミダゾール系、チアゾール系、トリアゾール系等のシランカップリング剤、酸化防止剤、防錆剤等のような公知の添加剤類を配合することができる。
【0082】
本発明の光硬化性樹脂組成物には、層間の密着性、又は形成される樹脂絶縁層と基材との密着性を向上させるために、密着促進剤を用いることができる。このような密着促進剤例としては、例えば、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、3−モルホリノメチル−1−フェニル−トリアゾール−2−チオン、5−アミノ−3−モルホリノメチル−チアゾール−2−チオン、トリアゾール、テトラゾール、ベンゾトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、アミノ基含有ベンゾトリアゾール、シランカップリング剤等がある。
【0083】
このように構成される本発明の光硬化性樹脂組成物は、所定の組成に調製した後、例えば、有機溶剤で塗布方法に適した粘度に調整し、基材上に、ディップコート法、フローコート法、ロールコート法、バーコーター法、スクリーン印刷法、カーテンコート法等の方法により塗布する。
そして、約60〜100℃の温度で、組成物中に含まれる有機溶剤を揮発乾燥(仮乾燥)させ、タックフリーの塗膜(樹脂絶縁層)を形成する。このとき、揮発乾燥は、熱風循環式乾燥炉、IR炉、ホットプレート、コンベクションオーブン等(蒸気による空気加熱方式の熱源を備えたものを用いて乾燥機内の熱風を向流接触させる方法及びノズルより支持体に吹き付ける方式)を用いて行うことができる。
【0084】
また、光硬化性樹脂組成物によりドライフィルムを形成し、これを基材上に張り合わせることにより、樹脂絶縁層を形成してもよい。
ドライフィルムは、例えばポリエチレンテレフタレート等のキャリアフィルムと、ソルダーレジスト層などの樹脂絶縁層と、必要に応じて用いられる剥離可能なカバーフィルムとが、この順序に積層された構造を有するものである。
【0085】
樹脂絶縁層は、光硬化性樹脂組成物をキャリアフィルム又はカバーフィルムに塗布・乾燥して得られる層である。このような樹脂絶縁層は、本発明の光硬化性樹脂組成物をブレードコーター、リップコーター、コンマコーター、フィルムコーター等で、キャリアフィルムに、10〜150μmの厚さで均一に塗布し、乾燥して形成される。そして、さらに必要に応じてカバーフィルムを積層することにより、ドライフィルムが形成される。このとき、光硬化性樹脂組成物をカバーフィルムに塗布、乾燥した後、キャリアフィルムを積層してもよい。
【0086】
キャリアフィルムとしては、例えば2〜150μmの厚みのポリエステルフィルム等の熱可塑性フィルムが用いられる。
カバーフィルムとしては、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等を使用することができるが、ソルダーレジスト層との接着力が、キャリアフィルムよりも小さいものが良い。
【0087】
このようなドライフィルムを用いて、カバーフィルムが用いられた場合はこれを剥がした後、樹脂絶縁層と基材を重ね、ラミネーター等を用いて張り合わせることにより、基材上に樹脂絶縁層が形成される。なお、キャリアフィルムは、後述する露光の前又は後に剥離すればよい。
【0088】
このとき、塗膜が形成され、あるいはドライフィルムを張り合わせる基材としては、紙フェノール、紙エポキシ、ガラス布エポキシ、ガラスポリイミド、ガラス布/不繊布エポキシ、ガラス布/紙エポキシ、合成繊維エポキシ、フッ素・ポリエチレン・PPO・シアネートエステル等を用いた高周波回路用銅張積層版等の材質を用いたもので全てのグレード(FR−4等)の銅張積層版、その他ポリイミドフィルム、PETフィルム、ガラス基板、セラミック基板、ウエハ板等を挙げることができる。
【0089】
さらに、接触式(又は非接触方式)により、パターンを形成したフォトマスクを通して、選択的に活性エネルギー線により露光もしくはレーザーダイレクト露光機により直接パターン露光する。塗膜は、露光部(活性エネルギー線により照射された部分)が硬化する。
活性エネルギー線照射に用いられる露光機としては、直接描画装置(例えばコンピューターからのCADデータにより直接レーザーで画像を描くレーザーダイレクトイメージング装置)、メタルハライドランプを搭載した露光機、(超)高圧水銀ランプを搭載した露光機、水銀ショートアークランプを搭載した露光機、もしくは(超)高圧水銀ランプ等の紫外線ランプを使用した直接描画装置を用いることができる。
【0090】
活性エネルギー線としては、最大波長が350〜410nmの範囲にあるレーザー光を用いることが好ましい。最大波長をこの範囲とすることにより、光重合開始剤から効率よくラジカルを生成することができる。この範囲のレーザー光を用いていればガスレーザー、固体レーザーのいずれでもよい。また、その露光量は膜厚等によって異なるが、一般には5〜500mJ/cm
2、好ましくは10〜300mJ/cm
2の範囲内とすることができる。
【0091】
直接描画装置としては、例えば、日本オルボテック社製、ペンタックス社製等のものを使用することができ、最大波長が350〜410nmのレーザー光を発振する装置であればいずれの装置を用いてもよい。
【0092】
そして、このようにして露光することにより、露光部(活性エネルギー線により照射された部分)を硬化させ、未露光部を希アルカリ水溶液(例えば、0.3〜3wt%炭酸ソーダ水溶液)により現像して、硬化物(パターン)が形成される。
このとき、現像方法としては、ディッピング法、シャワー法、スプレー法、ブラシ法等によることができる。また、現像液としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア、アミン類等のアルカリ水溶液を用いることができる。
【0093】
さらに、熱硬化成分を加えた場合、例えば約140〜180℃の温度に加熱して熱硬化させることにより、カルボキシル基含有オリゴマーのカルボキシル基と、例えば分子中に複数の環状エーテル基及び/又は環状チオエーテル基を有する熱硬化成分が反応し、耐熱性、耐薬品性、耐吸湿性、密着性、電気特性等の諸特性に優れた硬化物(パターン)を形成することができる。
【0094】
このように、光硬化樹脂組成物においては、カルボキシル基含有オリゴマー、及び前記カルボキシル基含有オリゴマーよりも分子量の大きな高分子バインダー、光重合開始剤、光重合性モノマー、フィラーを含有することにより、その硬化物において、電子部品などに用いられる際に要求される耐熱性や、耐マイグレーション特性を損なうことなく冷熱サイクル耐性などの信頼性を得ることができる。そして、このような硬化物をプリント配線板などに用いることにより、高い信頼性を得ることが可能となる。
【実施例】
【0095】
以下に実施例及び比較例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明が下記実施例に限定されるものではないことはもとよりである。尚、以下において「部」及び「%」とあるのは、特に断りのない限り全て質量基準である。
【0096】
合成例1
温度計、窒素導入装置兼アルキレンオキシド導入装置及び撹拌装置を備えたオートクレーブに、ノボラック型クレゾール樹脂(商品名「ショーノールCRG951」、昭和高分子(株)製、OH当量:119.4)119.4部、水酸化カリウム1.19部及びトルエン119.4部を仕込み、撹拌しつつ系内を窒素置換し、加熱昇温した。次に、プロピレンオキシド63.8部を徐々に滴下し、125〜132℃、0〜4.8kg/cm
2で16時間反応させた。その後、室温まで冷却し、この反応溶液に89%リン酸1.56部を添加混合して水酸化カリウムを中和し、不揮発分62.1%、水酸基価が182.2g/eq.であるノボラック型クレゾール樹脂のプロピレンオキシド反応溶液を得た。これは、フェノール性水酸基1当量当りアルキレンオキシドが平均1.08モル付加しているものであった。
得られたノボラック型クレゾール樹脂のアルキレンオキシド反応溶液293.0部、アクリル酸43.2部、メタンスルホン酸11.53部、メチルハイドロキノン0.18部及びトルエン252.9部を、撹拌機、温度計及び空気吹き込み管を備えた反応器に仕込み、空気を10ml/分の速度で吹き込み、撹拌しながら、110℃で12時間反応させた。反応により生成した水は、トルエンとの共沸混合物として、12.6部の水が留出した。その後、室温まで冷却し、得られた反応溶液を15%水酸化ナトリウム水溶液35.35部で中和し、次いで水洗した。その後、エバポレーターにてトルエンをジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート118.1部で置換しつつ留去し、ノボラック型アクリレート樹脂溶液を得た。次に、得られたノボラック型アクリレート樹脂溶液332.5部及びトリフェニルホスフィン1.22部を、撹拌器、温度計及び空気吹き込み管を備えた反応器に仕込み、空気を10ml/分の速度で吹き込み、撹拌しながら、テトラヒドロフタル酸無水物60.8部を徐々に加え、95〜101℃で6時間反応させ、冷却後、取り出した。このようにして、不揮発分65%、固形物の酸価87.7mgKOH/gのカルボキシル基含有感光性オリゴマー(Mw:2650)の溶液(以下、A−1と略称する)を得た。
【0097】
合成例2
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エピクロンN−695、DIC(株)製、エポキシ当量220)330部を、ガス導入管、撹拌装置、冷却管及び温度計を備えたフラスコに入れ、カルビトールアセテート340部を加え、加熱溶解し、ハイドロキノン0.46部と、トリフェニルホスフィン1.38部を加えた。この混合物を95〜105℃に加熱し、アクリル酸108部を徐々に滴下し、16時間反応させた。この反応生成物を、80〜90℃まで冷却し、テトラヒドロフタル酸無水物68部を加え、8時間反応させ、冷却させた。このようにして、固形物の酸価50mgKOH/g、不揮発分60%のカルボキシル基含有感光性オリゴマー(Mw:9500)の溶液(以下、A−4と略称する)を得た。
【0098】
実施例1〜5、参考例1〜14及び比較例1〜3
上記合成例の樹脂溶液を用い、下記表1に示す種々の成分と共に表1に示す割合(質量
部)にて配合し、攪拌機にて予備混合した後、3本ロールミルで混練し、ソルダーレジス
ト用感光性樹脂組成物を調製した。
【0099】
【表1】
【0100】
上記表1中の参照符号の意味は以下のとおりである。
*1 ZFR−1124(不揮発分65.0%、固形分酸価100mgKOH/g、Mw:11500、日本化薬(株)製)
*2 ZCR−1601H(不揮発分65.0%、固形分酸価100mgKOH/g、Mw:1730、日本化薬(株)製)
*3 エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]1,1−(o−アセチルオキシム)(BASFジャパン社製)
*4 ルシリンTPO(BASF社製)
*5 日本タルク(株)製SG−2000(屈折率:1.57)
*6 堺化学工業(株)製B−33(屈折率:1.64)
*7 昭和電工(株)製ハイジライトH−42M(屈折率:1.65)
*8 シリチン(板状のカオリナイトと球状のシリカの天然結合物、屈折率:1.57)
*9 (株)アドマテックス製SO−E2(屈折率:1.45)
*10 協和化学工業(株)製DHT−4A(屈折率:1.50)
*11 新日鐵化学(株)製YP−50(フェノキシ樹脂、Mw:約70,000)
*12 新日鉄化学(株)製YP−50のカルビトールアセテート溶解品(固形分30%)
*13 アルケマ(株)製 MAM−M51(3元ブロック共重合体:ポリメチルメタクリレート−ポリブチルアクリレート−ポリメチルメタクリレート、Mw:約56,000)
*14 アルケマ(株)製 MAM−M52(3元ブロック共重合体:ポリメチルメタクリレート−ポリブチルアクリレート−ポリメチルメタクリレート、Mw:約96,000)
*15 アルケマ(株)製 SBM−E41(3元ブロック共重合体:ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリメチルメタクリレート、Mw:約42,000)
*16 Eastman Chemical社製CAP−482(セルロースアセトプロピオネート、Mw:約75,000)
*17 東洋紡績(株)製バイロン670(非晶性ポリエステル樹脂、Mn:約30,000)
*18 ビキシレノール型エポキシ樹脂(三菱化学(株)製)
*19 ビスフェノール型エポキシ樹脂(新日鐵化学(株)製)
*20 C.I.Pigment Blue 15:3
*21 C.I.Pigment Yellow 147
*22 ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)製)
【0101】
特性試験:
前記実施例及び比較例の各組成物を、パターン形成された銅箔基板上にスクリーン印刷で全面塗布し、80℃で30分乾燥し、室温まで放冷した。この基板に高圧水銀灯を搭載した露光装置を用いて最適露光量でソルダーレジストパターンを露光し、30℃の1wt%炭酸ナトリウム水溶液をスプレー圧0.2MPaの条件で90秒間現像を行い、レジストパターンを得た。この基板を、UVコンベア炉にて積算露光量1000mJ/cm
2の条件で紫外線照射した後、160℃で60分加熱して硬化した。得られたプリント基板(評価基板)に対して以下のように特性を評価した。
【0102】
<最適露光量>
銅厚35μmの回路パターン基板をバフロール研磨後、水洗し、乾燥してから、前記実施例及び比較例の各組成物をスクリーン印刷法により全面に塗布し、80℃の熱風循環式乾燥炉で30分間乾燥させた。その後、メタルハライドランプ搭載の露光装置(HMW−680−GW20)を用いてストーファーの41段ステップタブレットを介して露光し、現像(30℃、0.2MPa、1wt%Na
2CO
3水溶液)を60秒で行った際残存するステップタブレットのパターンが7段の時を最適露光量とした。
【0103】
<塗布性>
パターン形成された銅箔基板上にスクリーン印刷で全面塗布し、印刷状態の確認を行った。判定基準は以下のとおりである。
◎:パターン上にムラなくレジストインキの膜厚が保持される。
○:パターン上に一部ムラを生じるが、レジストインキの膜厚が保持される。
×:パターン上のインキが薄くなる。
【0104】
<無電解金めっき耐性>
市販品の無電解ニッケルめっき浴及び無電解金めっき浴を用いて、ニッケル0.5μm、金0.03μmの条件でめっきを行い、テープピーリングにより、レジスト層の剥がれの有無やめっき液のしみ込みの有無を評価した後、テープピーリングによりレジスト層の剥がれの有無を評価した。判定基準は以下のとおりである。
◎:染み込み、剥がれが見られない。
○:めっき後に少し染み込みが確認されるが、テープピール後は剥がれない。
△:めっき後にほんの僅かしみ込みが見られ、テープピール後に剥がれも見られる。
×:めっき後に剥がれがある。
【0105】
<PCT耐性>
121℃、2気圧、湿度100%の高圧高温高湿槽に168時間入れ、硬化塗膜の状態変化を、以下の評価基準で評価した。
◎:顕著な膨れ、変色なし。
○:微小な膨れ有り、変色なし。
×:顕著な膨れ、変色有り。
【0106】
<クラック耐性>
−55℃で30分間、125℃で30分間を1サイクルとして熱履歴を加え、1000サイクル経過後、光学顕微鏡で観察した。判定基準は以下のとおりである。
◎:クラック発生なし。
○:クラック発生あり。
×:クラック発生著しい。
【0107】
<解像性>
実施例及び比較例の各光硬化性熱硬化性樹脂組成物を、めっき銅が形成された基板にスクリーン印刷法により塗布し、80℃の熱風循環式乾燥炉で30分間乾燥させた。乾燥後、高圧水銀灯(ショートアークランプ)搭載の露光装置を用いて露光した。露光パターンは開口:50/60/70/80/90/100μmの丸を描画させるガラス乾板を使用した。露光量は感光性樹脂組成物の最適露光量となるように活性エネルギー線を照射した。露光後、30℃の1wt%炭酸ナトリウム水溶液をスプレー圧0.2MPaの条件で90秒間現像を行い、レジストパターンを得た。この基板を、UVコンベア炉にて積算露光量1000mJ/cm
2の条件で紫外線照射した後、160℃で60分加熱して硬化した。
得られたソルダーレジスト用感光性樹脂組成物の硬化塗膜の最小開口を、200倍に調整した光学顕微鏡を用いて求めた。判定基準は以下のとおりである。
◎:60μm未満。
○:60μm以上〜80μm未満。
△:80μm以上100μm未満。
×:100μm以上。
【0108】
<線膨張係数>
3mm×10mmのサイズの硬化塗膜を、セイコーインスツールメンツ社製TMA6100にて10gの荷重を加えながら一定の昇温速度で0℃−260℃の温度範囲で引張り試験を行った。温度に対する硬化塗膜の伸び量から線膨張係数を算出した。
上記各試験の結果を表2にまとめて示す。
【0109】
【表2】
【0110】
上記表2に示されるように、本発明の光硬化性樹脂組成物を用いた各実施例では、塗布性、無電解金めっき耐性、PCT耐性、クラック耐性のいずれも優れていた。これに対し、高分子バインダーを配合しなかった比較例1の場合、著しくダイラタンシー状態となり、塗布することが困難であった。さらに解像性も劣っていた。一方、高分子バインダーを配合したが、フィラーを配合しなかった比較例2の場合、塗布性、解像性には問題なかったが、線膨張係数を低くできず、クラック耐性に劣っていた。またフィラーを含有しないことによりめっき液等の水分がしみ込み易くなり、無電解金めっき耐性及びPCT耐性に劣っていた。また、フィラーの配合量が少ない比較例3の場合にも、線膨張係数を充分に低くできず、クラック耐性に問題があった。