(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の実施形態を説明する。なお、以下に説明する実施形態は本発明の構成の例であり、本発明は以下の実施形態に制限されるものではない。また、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0035】
図1及び
図2にペリクル1を示す。ペリクル1は、例えば矩形の枠状で開口部Fを有するペリクルフレーム10と、ペリクルフレーム10の上面にその開口部Fを覆うように貼り付けられてペリクルフレーム10に展張支持されたペリクル膜11と、ペリクルフレーム10の下面に塗布された粘着剤12及びその粘着剤12の表面を覆う保護フィルム13を有している。
【0036】
ペリクル膜11は、ニトロセルロースやセルロース誘導体、シクロオレフィン系樹脂、フッ素系高分子など透明な高分子膜で構成されており、膜厚は、1μm以上10μm以下が好ましく、より好ましくは2μm以上8μm以下、更に好ましくは2.5μm以上7μm以下である。また、ペリクルフレーム10の開口部Fの開口面積は、例えば1000cm
2以上であり、本実施形態におけるペリクル1は、いわゆる大型ペリクルである。ペリクルフレーム10の開口部Fの開口面積が1000cm
2以上である場合、ペリクル製造工程内のハンドリング時に膜張力が弱いとペリクルフレームの自重により膜シワが発生したり、ハンドリング治具から外れる可能性があるが、本実施形態を用いることで、劇的にハンドリング時の膜シワの発生やハンドリング治具から外れるといった可能性が抑止される。特にペリクル面積が3,000cm
2、更には6,000cm
2を越えるような大型ペリクルの場合に発揮される。
【0037】
ところで、細いペリクルフレーム10にペリクル膜11を展張させたペリクル1を作製すると、ペリクル膜11の膜張力にペリクルフレーム10の剛性が負けて大きく変形する。そこで、先にペリクルフレーム10に応力を持たせておき、この応力を持たせたペリクルフレーム10にペリクル膜11を貼り付けて、ペリクル膜11の膜張力とペリクルフレーム10の応力とを釣合わせるようにすることが重要である。後述するように、ペリクル膜11をペリクルフレーム10貼り付ける前にペリクル膜11を枠体に貼り付けるが、更にペリクル膜11の膜張力を上げるためには、この枠体での膜張力を上げておくこともできる。そうすることで、膜張力もあり、有効露光面積も確保できるペリクルが作製可能になる。
【0038】
まずは枠体での膜張力を上げる方法を述べる。ペリクル1の製造は、
図3に示す枠体20を用いて行われる。枠体20は、略矩形の枠状に形成されており、対向する一対の長辺部20aと対向する一対の短辺部20bとからなる4辺部を有している。この枠体20は、例えば
図3の(A)のように4辺部が直線状のもの、(B)のように対となる長辺部20aが枠体20の外側に凸となるように湾曲膨出した太鼓状に形成されたもの、(C)のように対となる短辺部20bが枠体20の外側に凸となるように湾曲膨出した太鼓状に形成されたもの、(D)のように全ての辺部である一対の長辺部20a及び一対の短辺部20bが枠体20の外側に凸となるように湾曲膨出した太鼓状に形成されたものを用いることができる。外側に凸となる形状としては、1つの角部から隣接する角部に亘って太鼓状になっていてもよく、長辺部20a及び一対の短辺部20bの中央付近のみがなだらかに凸形状になっていてもよい。
【0039】
図4は、ペリクル1の製造方法の一例の概略を示す説明図である。
図4の(A)に示すように、先ず開口部Gを有する枠体20を用意する。次に
図4の(B)に示すように、枠体20の一対の長辺部20a及び一対の短辺部20bの中央付近を、治具などを用いて内側に押さえ込む。これにより、外側から内側に外力が付与されて、枠体20の一対の長辺部20a及び一対の短辺部20bが内側に向けて弾性変形する。
【0040】
また、CVD、スパッタリングなどの成膜技術によりペリクル膜11が成膜された基板30を用意する。そして、一対の長辺部20a及び一対の短辺部20bが内側に弾性変形した状態の枠体20に、その開口部Gを覆うように、基板30に成膜されたペリクル膜11を貼り付ける。このときのペリクル膜11と枠体20との接着は、枠体20上に塗布された接着材により行われる。その後、枠体20の一対の長辺部20a及び一対の短辺部20bを弾性変形させていた外力を取り除く。なお、
図4の(B)では、説明のために枠体20の内側への変形量を大きく描いているが、実際の枠体20の押し込み量は、枠体材の弾性変形領域であれば任意の力で押さえ込むことができる。また、
図3の(B)、(C)、(D)に示したように、辺部が外側に凸となるように湾曲膨出した枠体20の場合には、外側から押さえ込むことにより辺部が略直線状になるよう弾性変形させてもよい。
【0041】
枠体20の材質としては、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金(5000系、6000系、7000系等)等の金属、セラミックス(SiC、A1N、A1
20
3等)、セラミックスと金属の複合材料(Al−SiC、Al−A1N、AL−A1
20
3等)、樹脂等があげられ、中でもアルミニウムやその合金を挙げることができ、より具体的には、アルミニウムとマグネシウムの合金、アルミニウムとマグネシウムそしてケイ素の合金、アルミニウムと亜鉛そしてマグネシウムの合金など、弾性変形をおこさせるものが好ましい。
【0042】
次に
図4の(C)に示すように、枠体20が貼り付けられたペリクル膜11を基板30から剥離する。このとき、枠体20の弾性変形を維持していた力を取り除くことにより、枠体20の一対の長辺部20a及び一対の短辺部20bが弾性復元力(膨張力)により元の形に戻ろうとして外側に変位する。これにより、ペリクル膜11には4辺の外側方向に向かう引張力が作用し、膜張力が上がる。
【0043】
次に
図4の(D)に示すように、ペリクルフレーム10を用意する。ペリクルフレーム10の上面には、接着剤が塗布されている。次に、
図4の(E)に示すように、ペリクルフレーム10の上面に、その開口部Fを覆うように、枠体20が貼り付けられたペリクル膜11を貼り付ける。これにより、ペリクル膜11は、膜張力が維持された状態で、ペリクルフレーム10に貼り付けられる。その後、枠体20を含むペリクル膜11の余剰部分を除去する。
【0044】
本実施形態によれば、温度変化を与えることなく、高分子材料からなるペリクル膜11の膜張力を向上できるので、ペリクル膜11の物性が変動することを防止でき、当該ペリクル1を利用した露光処理を適正に行うことができる。また、ペリクルフレーム10や粘着剤12、ペリクル膜11などの材質に温度変化に耐え得るものを用いる必要がなく、材質の選択の自由度が広がる。また、温度変化の付与や、温度変化に伴う空調を行う高価な設備が必要なく、その制御プロセスが容易になる。さらに、高温若しくは低温に曝されないため、熱による粘着剤12等の劣化がなく、ペリクル1の平坦性や寸法精度が確保され、精度の高い露光処理を行うことができる。
【0045】
また、本実施形態で記載したペリクル1は、ペリクルフレーム10の開口部Fの開口面積が1000cm
2以上の大型ペリクルであるが、膜張力を向上できるので、大型化によって顕著になるペリクル膜11の自重による撓みを抑制できる。よって、大型ペリクルであっても、精度の高い露光処理を実現できる。また、露光用基盤への装着時に周囲雰囲気を巻き込んで生じるペリクル膜11の膨らみも抑制できる。これにより、そのペリクル膜11の膨らみが戻るまでの待ち時間が減り、製造時間を短縮できる。
【0046】
さらに、
図3(B)〜(D)に示したように、枠体20の少なくとも1辺部が外側に凸となるように湾曲膨出した初期形状を有している場合には、枠体20の辺部の内側への変形量を大きく確保でき、その分、弾性復元力(膨張力)により元に戻る際の変形量も大きく確保できる。よって、ペリクル膜11をより強く引っ張ることができ、膜張力をさらに上げることができる。
【0047】
なお、本実施形態では、ペリクル膜11を貼り付ける際に枠体20の一対の長辺部20a及び一対の短辺部20bの全てを内側に弾性変形させてもよく、4辺部のうちの任意の辺部を内側に弾性変形させてもよい。これにより、ペリクル膜11の長辺方向、若しくは短辺方向の張力を発現させたい方向のみに膜張力を増加させることができ、ペリクル膜11が長方形の場合などは長辺方向に強い張力を与えるなど、4方向の張力バランスの均等化を図ることができる。特に、ペリクルフレーム10の剛性が高い場合には、枠体20の任意の辺部を内側に弾性変形させておくことが好ましい。ここで、高い剛性の範囲はヤング率が90〜450の範囲である。具体的には、ファインセラミック(例えば、アルミナ、炭化ケイ素など)、鉄、SUS、チタン等である。
【0048】
また、本実施形態では、枠体20の一対の長辺部20a及び一対の短辺部20bを変形させる外力を、枠体20にペリクル膜11を貼り付けた後であって基板30からペリクル膜11を離脱させる前に除去していたが、基板30からペリクル膜11を離脱させた後であってペリクル膜11をペリクルフレーム10に貼り付ける前に除去してもよい。また、当該外力の除去を、ペリクル膜11をペリクルフレーム10に貼り付けた後に行ってもよい。
【0049】
上記実施形態では、ペリクル膜11を貼り付ける際に枠体20を弾性変形させていたが、ペリクルフレーム10を弾性変形させてもよい。
【0050】
図5は、この例で用いられるペリクルフレーム10の形状を示す。
図5に示すように、ペリクルフレーム10は、略矩形の枠状に形成されており、対向する一対の長辺部10aと対向する一対の短辺部10bとからなる4辺部を有している。このペリクルフレーム10は、例えば
図5の(B)のように対となる長辺部10aがペリクルフレーム10の外側に凸となるように湾曲膨出した太鼓状に形成されたもの、(C)のように対となる短辺部10bがペリクルフレーム10の外側に凸となるように湾曲膨出した太鼓状に形成されたもの、(D)のように全ての辺部であるの一対の長辺部10a及び一対の短辺部10bがペリクルフレーム10の外側に凸となるように湾曲膨出した太鼓状に形成されたものを用いることができる。
【0051】
ペリクルフレーム10の材質は、ヤング率が1GPa以上80GPa以下のものであれば何でもよい。このヤング率を1GPaよりも小さくすると、膜の張力の方が強すぎて、フレームの復元力を利用することができないというという問題がある。一方、このヤング率を80GPaよりも大きくすると、剛性が高いため弾性変形させることが困難になり、また高い復元力を望めないという問題がある。このため、このヤング率を1GPa以上80GPa以下とすることで、膜張力とつりあう適度な復元力を利用できるという利点がある。例えば、アルミニウムやその合金、あるいはセラミックス、樹脂等といったペリクルフレームに一般的に用いられるものであればよい。ペリクルフレーム10の材質は、大型化による自重の増加を考慮すれば、軽量で、かつ、剛性を有するものが好ましく、アルミニウムやその合金が好ましい。
【0052】
ペリクルフレーム10の厚み(長辺部10a及び短辺部10bの厚み)は、2.5mm以上10mm以下であり、好ましくは、3.0mm以上8mm以下であり、更に好ましくは4.0mm以上7.0mm以下である。何故なら、当該厚みがこの範囲にあると、異物がペリクル膜11に付着した場合であっても、この異物と露光用基盤のパターンとが実質的に同じ像として描写されない上に、ペリクル膜11の透過率を実質的に低下させないためである。また、ペリクルフレーム10の幅(長辺部10a及び短辺部10bの幅)は、長辺幅/長辺長の割合が、0.3%以上2.2%以下であり、好ましくは0.5%以上2.2%以下であり、更に好ましくは、0.55%以上2.1%以下であり、更に好ましくは0.6%以上2.0%以下であることが好ましく、当該割合の他の好ましい例は、0.4%以上2.1%以下であり、更に好ましくは、0.5%以上2.0%以下であり、更に好ましくは、0.9%以下であり、更に好ましくは、0.8%以下である。また、短辺幅/短辺長の割合は、0.3%以上3.8%以下であり、好ましくは0.5%以上3.8%以下であり、好ましくは0.55%以上3.5%以下であり、更に好ましくは、0.6%以上3.0%以下であり、当該割合の他の好ましい例は0.3%以上2.2%以下であり、更に好ましくは0.4%以上2.1%以下であり、更に好ましくは0.5%以上2.0%以下であり、更に好ましくは1.0%以下であり、更に好ましくは、0.9%以下である。
【0053】
なお、長辺長とは、ペリクルフレーム10における長辺部10aの外寸を意味し、短辺長とは、ペリクルフレーム10における短辺部10bの外寸を意味する。
【0054】
ペリクルフレーム10の長辺長は、例えば400mm以上、2000mm以下、好ましくは、700mm以上、1800mm以下、更に好ましくは、900mm以上、1600mm以下、特に好ましくは、1200mm以上、1400mm以下であり、ペリクルフレーム10の短辺長は、例えば200mm以上、1800mm以下、好ましくは、500mm以上、1600mm以下、更には、700mm以上、1200mm以下である。
【0055】
ペリクルフレーム10の長辺幅(長辺部10aの幅)は、例えば5mm以上、15mm以下とすることができ、ペリクルフレーム10の短辺幅(短辺部10bの幅)は、例えば4mm以上、15mm以下とすることができる。
【0056】
図6は、この例のペリクル1の製造方法の概略を示す説明図である。
図6の(A)に示すように、先ずペリクルフレーム10を用意する。ペリクルフレーム10の上面には、接着剤が塗布されている。次に
図6の(B)に示すように、ペリクルフレーム10の一対の長辺部10a及び一対の短辺部10bの中央付近を、治具などを用いて抑え込む。これにより、外側から内側に外力が付与されて、ペリクルフレーム10の一対の長辺部10a及び一対の短辺部10bが内側に向けて弾性変形する。この状態で、ペリクルフレーム10の上面に、その開口部Fを覆うように、枠体20に貼り付けられたペリクル膜11を貼り付ける。このペリクル膜11は、上述の実施形態のように初めに基板30上に成膜され、次に枠体20に貼り付けられ、その後基板30が取り外されたものである。なお、本実施形態では、上述の実施形態のように外力を付与して枠体20を弾性変形させている必要はない。また、
図6では、説明のためにペリクルフレーム10の内側への変形量を大きく描いているが、実際のペリクルフレーム10の押し込み量は、フレーム材の弾性変形領域であれば任意の力で押さえ込むことができる。また、
図5の(B)、(C)、(D)に示したように、辺部が外側に凸となるように湾曲膨出したペリクルフレーム10の場合には、外側から押さえ込むことにより辺部が略直線状になるように弾性変形させてもよい。
【0057】
次に
図6の(C)に示すように、ペリクルフレーム10に付与されていた外力を取り除く。すると、ペリクルフレーム10の一対の長辺部10a及び一対の短辺部10bが弾性復元力(膨張力)により元の形に戻ろうとして外側に変位する。これにより、ペリクル膜11には、4辺の外側方向に向かう引張力が作用し、膜張力が上がる。その後、ペリクル膜11の余剰部分を除去する。
【0058】
このように、ペリクルフレーム10に対してペリクル膜11に与える張力の方向と逆方向の力を加えることで、ペリクル膜11の張力が上がる。なお、ペリクルフレーム10を細くすると、その変形量が大きいため、膜も大きく変形しようとするが、実際には、膜は無限に変形できないため、上述したように、ペリクルフレーム10の復元力(膨張力)によりペリクル膜11の張力が上がる。
【0059】
細幅のペリクルフレームを用いてペリクルを作製した場合、ペリクル膜の膜張力が弱いとペリクルの作製時やハンドリング時等にペリクル膜にシワが生じる可能性がある。そのような状態のペリクルをマスクに貼り付けて使用すると、ペリクルが撓んで異物検査装置等に接触したり、ペリクル付マスクをハンドリングする時にペリクル膜がケースに接触する可能性が高くなったり、露光時における露光光の光路が屈曲して正常に露光できない可能性が生じたりするため、好ましくない。
【0060】
そのため、細幅のペリクルフレーム10を用いてペリクル1を構成した場合のペリクル膜11の膜張力をある程度の大きさに保つ必要がある。ところで、ペリクルフレーム10は角部の剛性が相対的に強いため、角部からの対角線上に沿ってペリクル膜11の膜張力は相対的に強くなると想定される。よって、細幅のペリクルフレーム10を用いた場合でも、対角線上のペリクル膜11の膜張力は比較的強く維持できると考えられる、しかし、それとは対照的に、枠体20の中央部付近はペリクル膜11の膜張力に枠体20が負けて辺が撓みやすくなるため、枠体20の中央部分付近のペリクル膜11の膜張力が小さくなることでペリクル膜11をペリクルフレーム10に貼り付けた場合にペリクル膜11にシワが発生したり、ペリクル1のハンドリング時にペリクル膜11にシワが発生したりしやすくなる。そのため、下記のように第1基準点での沈み量と第2基準点での沈み量が下記の条件A〜条件Cで規定される範囲内にあると、ペリクルフレーム10の長辺側と短辺側の中央部分近傍である第1基準点及び第2基準点におけるペリクル膜11の膜張力が強くなると共に、第1基準点及び第2基準点におけるペリクル膜11の膜張力のバランスをとることができるため、ペリクル膜11全体の張力のバランスがよくなり、細幅のペリクルフレーム10を用いることが可能なペリクル1を作製することが可能となることを本発明者らは見出した。
【0061】
即ち、ペリクル膜11には、以下の条件A、条件B及び条件Cを全て満たすような大きさの膜張力が付与されていることが好ましい。
【0062】
条件A:ペリクル膜11が略水平となるようにペリクル1を配置した状態において、ペリクル膜11上の第1基準点であって、平面視でペリクルフレーム10の辺部の長辺部10aの内縁の中央点から当該長辺部10aの内縁と直交する方向に30mm離れた第1基準点上に10.6gの重りを載せた場合の当該第1基準点の沈み量(以下、「長辺側の膜沈み量」という場合がある)が0.4mm以上、2.4mm以下、好ましくは0.5mm以上、2.0mm以下、より好ましくは0.8mm以上、1.9mm以下である。
【0063】
条件B:ペリクル膜11が略水平となるようにペリクル1を配置した状態において、ペリクル膜11上の第2基準点であって、平面視でペリクルフレーム10の辺部の短辺部10bの内縁の中央点から当該短辺部10bと直交する方向に30mm離れた第2基準点上に10.6gの重りを載せた場合の当該第2基準点の沈み量(以下、「短辺側の膜沈み量」という場合がある)が0.3mm以上、2.3mm以下、好ましくは0.4mm以上、1.9mm以下、より好ましくは0.7mm以上、1.7mm以下である。
【0064】
条件C:第1基準点の上記沈み量と第2基準点の上記沈み量との差(即ち、長辺側の膜沈み量と短辺側の膜沈み量との差)の絶対値が0.4mm以下、好ましくは0.3mm以下、より好ましくは0.25mm以下である。
【0065】
ペリクル膜11に付与されている膜張力が上記条件A、条件B及び条件Cを満たしていると、ペリクル膜11をペリクルフレーム10に貼り付けた後にペリクル膜11に膜シワが生じ難くなるためである。また、マスクにペリクル1を貼り付けた際に、ペリクル1のハンドリング時等にペリクル膜11がマスクに接触したり、ペリクル1に貼り付けられたペリクル膜11が、風圧等の外圧を受けた時にペリクル膜11がマスクに接触したりすることが抑制されるためである。更には、本願発明者らは、細幅のペリクルフレームを用いたペリクルにおいては、短辺側の膜沈み量と長辺側の膜沈み量の差が、従来のペリクルにおける差と比較して、非常に小さいことを見出した。そのため従来のペリクルにおける場合とは異なり、矩形状のペリクル膜11の全体で膜張力のバランスが保たれているため、ペリクルフレームの辺部の幅を細くてもペリクルとして使用可能な製品になる。
【0066】
次に、長辺側の膜沈み量と短辺側の膜沈み量の測定方法について説明する。
図7は、長辺側の膜沈み量と短辺側の膜沈み量の測定方法を説明するための模式的な斜視図であり、
図8は、長辺側の膜沈み量と短辺側の膜沈み量の測定方法を説明するための模式的な断面図である。
図8(A)は、ペリクルフレーム10の長辺部10aの長さ方向の中央点におけるペリクル1の縦断面を示しており、
図8(B)は、ペリクルフレーム10の短辺部10bの長さ方向の中央点におけるペリクル1の縦断面を示している。また、ペリクル載置台50として、ペリクル収納容器のトレイを使用した。
【0067】
長辺側の膜沈み量を測定する際は、まず、粘着剤12及び保護フィルム13(
図7においては図示せず)付ペリクル1を、ペリクル膜11が略水平となるように枠上のペリクル載置台50に静置する。そして、ペリクル膜11における2箇所の第1基準点111に、ペリクル膜11を破かないように軽くマーキングする。ここで、第1基準点111は、平面視で(ペリクル膜11の厚さ方向から見て)ペリクルフレーム10の辺部の長辺部10aの内縁の中央点10acから当該長辺部10aの内縁と直交する方向に30mm離れた点である。
【0068】
次に、一方の第1基準点111に10.6gの重り55を置いて、当該重りを置く前を基準としたペリクル膜11の沈み量111D(長辺側の膜沈み量111D)をレーザー変位計によって測定する。より具体的には、ドーナツ形状等の孔を有する形状の重り55を準備し、重り55の重心点が一方の第1基準点111上に位置するように、重り55を一方の第1基準点111上に載せ、レーザー変形のセンサー57をスタンド61によって重り55の上方に位置するように制御する。そして、センサー57から重り55の中央部の孔を通して第1基準点111にレーザー光を照射して、ペリクル膜11の長辺側の膜沈み量111Dの大きさを測定する。コントローラ63は、センサー57に制御信号を送信し、この制御信号によって、センサー57の位置やレーザー照射のタイミング等が制御される。センサー57の測定データは、コントローラ63を介してコンピュータ65に送信される。コンピュータ65は、コントローラ63を制御すると共に、コントローラ63を介して送信された上記測定データから、長辺側の膜沈み量111Dの値を計算する。また、他方の第1基準点111についても同様に長辺側の膜沈み量を測定する。そして、一方の第1基準点111についての長辺側の膜沈み量と、他方の第1基準点111についての長辺側の膜沈み量との平均値を計算し、当該平均値を長辺側の膜沈み量とする。
【0069】
短辺側の膜沈み量についても同様に測定を行う。即ち、短辺側の膜沈み量を測定する際は、まず、粘着剤12及び保護フィルム13(
図7においては図示せず)付ペリクル1を、ペリクル膜11が略水平となるように枠上のペリクル載置台50に静置する。そして、ペリクル膜11における2箇所の第2基準点112に、ペリクル膜11を破かないように軽くマーキングする。ここで、第2基準点112は、平面視で(ペリクル膜11の厚さ方向から見て)ペリクルフレーム10の辺部の短辺部10bの内縁の中央点10bcから当該短辺部10bの内縁と直交する方向に30mm離れた点である。
【0070】
次に、一方の第1基準点112に10.6gの重り55を置いて、当該重りを置く前を基準としたペリクル膜11の沈み量112D(長辺側の膜沈み量112D)をレーザー変位計によって測定する。より具体的には、重り55の重心点が一方の第2基準点112上に位置するように、重り55を一方の第2基準点112上に載せ、レーザー変形のセンサー57をスタンド61によって重り55の上方に位置するように制御する。そして、センサー57から重り55の中央部の孔を通して第2基準点112にレーザー光を照射して、ペリクル膜11の長辺側の膜沈み量112Dの大きさを測定する。コントローラ63は、センサー57に制御信号を送信し、この制御信号によって、センサー57の位置やレーザー照射のタイミング等が制御される。センサー57の測定データは、コントローラ63を介してコンピュータ65に送信される。コンピュータ65は、コントローラ63を制御すると共に、コントローラ63を介して送信された上記測定データから、長辺側の膜沈み量112Dの値を計算する。また、他方の第2基準点112についても同様に長辺側の膜沈み量を測定する。そして、一方の第2基準点112についての短辺側の膜沈み量と、他方の第2基準点112についての短辺側の膜沈み量との平均値を計算し、当該平均値を短辺側の膜沈み量とする。
【0071】
本実施形態によれば、温度変化を与えることなく、高分子材料からなるペリクル膜11の膜張力を向上できるので、ペリクル膜11の物性が変動することを防止でき、当該ペリクル1を利用した露光処理を適正に行うことができる。また、ペリクルフレーム10や粘着剤12、ペリクル膜11などの材質に温度変化に耐え得るものを用いる必要がなく、材質の選択の自由度が広がる。また、温度変化の付与や、温度変化に伴う空調を行う高価な設備が必要なく、その制御プロセスが容易になる。さらに、高温若しくは低温に曝されないため、熱による粘着剤12等の劣化がなく、ペリクル1の平坦性や寸法精度が確保され、精度の高い露光処理を行うことができる。
【0072】
また、本実施形態によれば、膜張力を向上できるので、ペリクル1の大型化によって顕著になるペリクル膜11の自重による撓みを抑制できる。よって、大型ペリクルであっても、精度の高い露光処理を実現できる。また、露光用基盤への装着時に周囲雰囲気を巻き込んで生じるペリクル膜11の膨らみも抑制できる。これにより、そのペリクル膜11の膨らみが戻るまでの待ち時間が減り、製造時間を短縮できる。
【0073】
また、本実施形態では、ペリクルフレーム10の一対の長辺部10a及び一対の短辺部10bの全てを内側に弾性変形させていたが、4辺部のうちの少なくも1辺部を内側に変形させてもよい。そして、ペリクルフレーム10の内側に変形させる辺部を選択することにより、ペリクル膜11の長辺方向、若しくは短辺方向の張力を発現させたい方向のみに膜張力を増加させることもでき、ペリクル膜11が長方形の場合などは長辺方向に強い張力を与えるなど、4方向の張力バランスの均等化を図ることができる。
【0074】
さらに、
図5の(B)〜(D)に示したように、ペリクルフレーム10の少なくとも1辺が外側に凸となるように湾曲膨出した初期形状を有している場合には、ペリクルフレーム10の辺部の内側への変形量を大きく確保でき、その分、弾性復元力(膨張力)により元に戻る際の変形量も大きく確保できる。よって、ペリクル膜11をより強く引っ張ることができ、膜張力をさらに上げることができる。
【0075】
また、
図5の(B)〜(D)に示したペリクルフレーム10において、ペリクルフレーム10の外側に凸となるように湾曲膨出した部分を押さえ込むことで、ペリクルフレーム10の外側への膨出量とペリクルフレーム10の内側への押さえ込み量を制御することにより、任意の膜張力を発現させることが可能である。そして、押さえ込みはフレームの弾性変形領域であれば任意の力で押さえることが可能であり、ペリクルフレーム10の外側に凸となる膨出量とペリクルフレーム10の内側への押さえ込み量とのバランスを取り、ペリクル1の成形後に一対の長辺部10a及び一対の短辺部10bが略直線状になるように調整することが好ましい。
【0076】
以上の実施形態において、枠体20及びペリクルフレーム10の少なくとも一対の辺部の初期形状における辺部の外側に凸となる膨出量をもつ。更には、前記一対の辺部は長辺側、短辺側のどちらでもよいが、特に長辺側に外側に凸となる膨出量を形成することが好ましい。また、4辺全てに外側に凸となる膨出量を形成しても良い。長辺側の膨出量としては、3mm以上、20mm以下が好ましく、3.5mm以上20mm以下がより好ましく、更に好ましくは3.8mm以上18mm以下、更に好ましくは4.0mm以上15mm以下である。また短辺側の初期形状における辺部の外側に凸となる膨出量は、2.8mm以上15mm以下、より好ましくは2.9mm以上12mm以下、更に好ましくは3.0mm以上9mm以下である。特に、長辺と短辺のそれぞれの対を合わせて外側に凸となる膨出量をもたせる場合の膨出量としては、長辺側の膨出量が2.5mm以上20mm以下であって短辺側の膨出量が0.5mm以上15mm以下であることが好ましく、長辺側の膨出量が3.0mm以上18mm以下であって短辺側の膨出量が1.0mm以上12mm以下であることがよりに好ましく、長辺側の膨出量が3.5mm以上15mm以下であって短辺側の膨出量が1.5mm以上9mm以下であることが更に好ましい。なお、
図9に示すように、この膨出量Sは、ペリクルフレーム10又は枠体20の各辺部の角部における外縁の頂点C同士をつないだ直線を仮想の基準線Lとした際の、該辺の外縁上における前記基準線から最も離れた点Pと前記基準線Lとの距離とする。
【0077】
初期形状としては、外側に凸となる膨出量をもてばどのような形状でもよいが、
図9のように中央付近に膨出量をもつことが好ましい。頂点Cから徐々に外側に凸となってもよいし、頂点Cからある程度の直線を持ってから、外側に凸となってもよい。
【0078】
また、ペリクルフレーム10の角部の外縁の曲率半径Rは、1mm以上、5mm以下であることが好ましく、2mm以上、5mm以下であることがより好ましい。当該角部の内縁の曲率半径Rは、1mm以上、3mm以下であることが好ましく、2mmであることが最も好ましい。何故なら、ペリクルフレーム10を細幅にした場合であっても、ペリクルフレーム10の角部の外縁及び内縁の曲率半径が上記範囲内であれば、当該角部に応力が集中することを回避しつつ、当該角部に十分な面積を持たせることができる。その結果、当該角部の剛性を保つことができ、ペリクルフレーム10に復元力を持たせた場合においても当該角部の形状を維持できるため、ペリクルフレーム10の形状が、矩形形状から平行四辺形状等の他の形状に歪み難くなり、形状の変形に起因してペリクル膜にシワが生じることを抑制することができるからである。
【0079】
また、ペリクルフレーム10に膜接着剤又はマスク粘着材を塗布する場合においては、ペリクルフレーム10の角部への塗布量が増える傾向にあるが、ペリクルフレーム10の角部の外縁及び内縁の曲率半径が上記範囲内であれば接着剤ダレ等を生じ難くなるため、膜接着剤又はマスク粘着材をペリクルフレーム10に均一に塗布でき好ましい。
【0080】
また、ペリクル枠体の表面に、黒色クロムメッキ、黒色アルマイト、黒色塗装等の黒色化処理を施すことも出来る。
【0081】
フレームにはハンドリング用の溝を設けることができ、1対の短辺の全長に沿って設ける場合や4辺に部分的に溝を設ける場合などがある。この溝には、C面が設けられておりバリ取り等のためにC0.1〜0.5が設けられる場合がある。
【0082】
フレームの膜接着剤側において、外側面及び内側面とのなす角には、C面が設けられている。外側面とのなす角のC面は、C0.1〜0.5あり、内側面とのなす角のC面は、C0.5〜2.5が設けられている。外側面のC面が上記範囲内にあると、余剰分の膜をカッティングする場合にカッターや冶具等が滑らかにいきバリ等の発生で膜が破れない為好ましい。また、内側面のC面が上記範囲内にあると、膜接着剤が垂れにくいために好ましい。
【0083】
この中で、黒色アルマイト処理についてさらに説明する。
【0084】
ペリクル用の枠体(支持枠)としては一般に5000系のアルミニウム合金を用いることが多いので、アルミニウム合金を例に挙げて説明する。
【0085】
一般的な黒色アルマイト処理は、アルミニウム合金でペリクル枠体を成形後、アルマイト処理し、この処理により発生した微細な孔を黒色化剤で封入処理し、そしてその微細孔をふさぐ封孔処理を施して黒色アルマイト処理がなされる。しかし、このようにして一般的な方法で作られた枠体の表面を、電子顕微鏡で観察すると、細かいひびわれ(マイクロクラック)の発生が確認される。このようなマイクロクラックはパターンの微細化が進展し、配線幅が一層狭くなると、該クラックに入り込んだ極小さい異物の落下も問題となる。そこで、このようなマイクロクラックの発生を防止する方法として以下のような方法をとることが好ましい。
【0086】
先ず、ペリクル枠体の表面をアルマイト処理する。このアルマイト処理は、硫酸濃度10〜20%、電流密度1〜2A/dm
2、電解液温度15〜30℃、通電時間10〜30分の範囲で行われる。その際、合金の表面にはミクロな孔(直径50〜200Å、ピッチ500〜1500Å)が規則正しく多数形成される。その後、この孔を使って黒色化処理を行う。黒色化処理は枠からの光の反射を防止するために行うので黒色に限らず黒に近い、茶色や紺色等の濃い色も含むものである。黒色化処理には、染色、電解着色等が挙げられる。染色は、黒色の染料を溶解した液の中に浸漬することでこの孔に染料を吸着させ色調を得る方法であり、また、電解着色は、この孔に電気的に金属元素を析出させ色調を得る方法である。染色は例えば、染料濃度3〜10g/L、染色液温度50〜65℃にて行う。
【0087】
続いて、この孔を塞ぐ封孔処理が施される。この処理には、例えば低温封孔剤とよばれる日華化学工業(株)製ハードウォール3(商品名)封孔助剤6〜12g/Lを加えた煮沸水が使われる。
【0088】
この時の封孔によりアルマイト膜表面の微細な孔が埋められアルマイト膜は緻密になっていくのであるが、封孔の温度を100℃より若干低い温度、例えば70〜95℃、より好ましくは80〜90℃で封孔処理を行えば、極めて均一な表面性を有し、実質的にマイクロクラックのないペリクル枠体を作ることができる。
【0089】
尚、マイクロクラックの有無の判断は、枠体表面を電子顕微鏡にて1000倍に拡大した写真において10cm(実寸法0.1mm)の直線を引き、その直線に交差するクラック数を計算する。クラックの幅は、その電子顕微鏡写真で観察できるもの、即ちクラック幅0.1μm以上のものを計数する。この数値が多いほどクラックが高密度で存在すると判断する。
【0090】
必要に応じてペリクル枠体の内壁面又は全面に、異物を補足するための粘着材(アクリル系、酢酸ビニル系、シリコーン系、ゴム系等)やグリース(シリコーン系、フッ素系等)を塗布しても良い。
【0091】
また、必要に応じてペリクル枠体の内部と外部を貫通する微細な穴を開けて、ペリクルとフォトマスクで形成された空間の内外の気圧差がなくなるようにすると、膜の膨らみや凹みを防止出来る。
【0092】
また、この時、微細な穴の外側に異物除去フィルターを取り付けると、気圧調整が可能な上、ペリクルとフォトマスクで形成された空間の中に異物が侵入することを防げるので好ましい。
【0093】
ペリクルとフォトマスクで形成された空間容積が大きい場合には、これらの穴やフィルターを複数個設けると、気圧変動による膜の膨らみや凹みの回復時間が短くなり、好ましい。
【0094】
本実施形態のペリクル枠体は、上記の要件を満足することで適度な剛性と柔軟性を兼ね備えることが可能となるため、ペリクル膜を展張することによる枠体の歪がなく、ペリクルを単独でハンドリングする場合の撓みはもちろん、その後の、マスクへの貼り付け後のハンドリングにおけるマスク自身の撓みにも追従することが可能である。その結果、ペリクルにシワが生じず、かつ、マスクの撓みにも追従できるので、エアパスが生じることもないといった優れた効果を奏するものである。
【0095】
本実施形態に係るペリクル膜11は、開口部Fを有するペリクルフレーム10にその開口面Fを覆うように貼り付けられているが、張り付けられたペリクル膜11の張力が、1.8gf/mm以上、6gf/mm以下であることが好ましいく、1.9gf/mm以上、5gf/mm以下であることがより好ましく、2.0gf/mm以上、4.5gf/mm以下であることが更に好ましい。
【0096】
ペリクル膜11の張力を上記範囲における下限値以上に調整することで、ペリクル1のハンドリング時にペリクル膜11に膜シワが生じること等が抑制され、ペリクル1のハンドリング性が向上する。また、ペリクル膜11の張力を上記範囲における上限値以下に調整することで、ペリクル膜11の亀裂や破損を有効に抑制することができる。
【0097】
ペリクル膜とペリクル枠体とを接着するための膜接着剤は、ペリクル膜の材質とペリクル枠体の材質によって適宜選択する。たとえば、エポキシ系、アクリル系、シリコーン系、フッ素系等の接着剤が使用される。
【0098】
また、接着剤の硬化方法は夫々の接着剤に適した硬化方法(熱硬化、光硬化、嫌気性硬化等)が採用される。発塵性、コスト、作業性の面から、アクリル系の紫外線硬化型接着剤が好ましい。
【0099】
ペリクル枠体をフォトマスクに貼り付けるためのマスク粘着材には、それ自身に粘着力のあるホットメルト系(ゴム系、アクリル系)、基材の両面に粘着材を塗布したテープ系(基材としてアクリル系、PVC系等のシートあるいはゴム系、ポリオレフィン系、ウレタン系等のフォーム等が適用出来、粘着材としてゴム系、アクリル系、シリコーン系等の粘着材が適用される)等が使用される。また、粘着材は透明でも良いが、異物検査性の観点から、黒色でも良い。
【0100】
本実施形態に係る大型ペリクルでは、マスク粘着材として、ペリクルをフォトマスクに低荷重で均一に貼り付けるために、比較的柔らかいホットメルト材料やフォームが好適である。フォームの場合は、その断面にアクリル系や酢酸ビニル系の粘着性材料あるいは非粘着性材料で覆うことにより、フォームからの発塵を防ぐことが出来る。
【0101】
マスク粘着材の厚さは通常0.2mm以上とされるが、フォトマスクへの均一な貼付のために、好ましくは1mm以上とされる。上記マスク粘着材の粘着面をフォトマスクに貼り付けるまでの間保護するために、シリコーンやフッ素で離型処理されたポリエステルフィルムが使用される。
【0102】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
(実施例)
(実施例1)
【0103】
大型ペリクル用の枠体として、材質がアルミニウム合金、厚みが8mm、長辺部及び短辺部の幅が20mm、内寸が1600mm×1600mmのものを用意した。当該枠体は、各辺部の中央付近を外側に凸となるように湾曲膨出した形状とし、初期形状の外側への膨出量を3.3mmとした。別途、大型ペリクル用のペリクルフレームとして、材質がアルミニウム合金、厚さが5.0mm、長辺部及び短辺部の幅が9mm、内寸が1350mm×1140mmで、各辺部の中央付近が外側に凸となるように湾曲膨出した形状で、初期形状の外側への膨出量として、長辺部側が9.0mm、短辺部側が7.5mmのものを用意した。
【0104】
大型ペリクルは、次のように製造した。大型ペリクル用の枠体の各辺部が略直線状になるように治具を用いて各辺部の中央付近を内側に向けて押さえ込みながら、当該枠体に、基板上に成膜したセルロースエステルのペリクル膜に接着させ、その後基板からペリクル膜を剥離させた。基板から剥離後、治具による外力を開放した。大型ペリクル用のペリクルフレームの下縁面にスチレンエチレンブチレンスチレン系のマスク粘着材を塗布した。ペリクルフレームの上縁面には、アクリル系の膜接着剤を塗布し、ペリクルフレームの各辺部が略直線状になるように冶具で各辺部の中央付近を内側に向けて押さえ込みながら、ペリクルフレーム10にペリクル膜を接着し、その後、余剰膜を切除した。
【0105】
ここで、ペリクル膜をペリクル枠体に展張して接着された時に発生するシワの有無を評価した。評価結果を
図10に示す。評価結果の表記において、「○」は、膜に全くシワがない状態、「△」は、膜をよくみると少し波打っている状態、「×」は、膜に少しシワが入っている状態、を示している。
【0106】
また、ペリクル枠体のハンドリングは、一対の短辺部の各々の一部をハンドリング治具にて把持することにより実施した。そして、ペリクル膜のペリクル枠体への展張・接着後から収納容器への保管までの一連のハンドリング工程において、ハンドリング性を評価した。評価結果を
図10に示す。評価結果の表記において、「○」は、一回もハンドリング工程で冶具から脱落しなかった、「×」は、一回でもハンドリング工程で冶具から脱落した、を示している。
(実施例2)
【0107】
大型ペリクル用の枠体として、材質がアルミニウム合金、厚みが8mm、長辺と短辺の幅が20mm、内寸が1600mm×1600mmのものを用意した。枠体は、各辺部が直線状の初期形状のものを用いた。別途、大型ペリクル用のペリクルフレームとして、材質がアルミニウム合金、厚さが5.0mm、長辺部及び短辺部の幅が9mm、内寸が1350mm×1140mm、各辺部の中央付近が外側に凸となるように湾曲膨出した形状で、初期形状の外側への膨出量として、長辺部側が8.0mm、短辺部側が6.5mmのものを用意した。
【0108】
大型ペリクルは、次のように製造した。大型ペリクル用の枠体に、基板上に成膜したセルロースエステルのペリクル膜に接着させ、その後基板からペリクル膜を剥離させた。大型ペリクル用のペリクルフレームの下縁面には、スチレンエチレンブチレンスチレン系のマスク粘着材を塗布した。ペリクルフレームの上縁面には、アクリル系の膜接着剤を塗布し、ペリクルフレームの長辺部の外側への膨出量が5mmになるように治具で長辺部の中央を内側に向けて押さえ込みながら、ペリクルフレームにペリクル膜を接着し、その後、余剰膜を切除した。
【0109】
実施例1と同様に、シワの有無とハンドリング性を評価した。評価結果を
図10に示す。
(実施例3)
【0110】
大型ペリクル用のペリクルフレームとして、内寸が1200mm×760mm、厚さ5mm、長辺部の幅が9mm、短辺部の幅が5mm、長辺部の初期形状の外側への膨出量が5.5mmのものを用い、長辺部の外側への膨出量が3mmになるように長辺部の中央付近を治具で内側に向けて押さえ込みながら、ペリクルフレームにペリクル膜を接着し、その後、余剰膜を切除した。それ以外は、実施例2と同様とした。
【0111】
実施例1と同様に、シワの有無とハンドリング性を評価した。評価結果を
図10に示す。
(実施例4)
【0112】
大型ペリクル用の枠体として、材質がアルミニウム合金、厚みが8mm、長辺と短辺の幅が20mm、内寸が1600mm×1600mmのものを用意した。枠体は、各辺部が直線状の初期形状のものを用いた。別途、大型ペリクル用のペリクルフレームとして、材質がアルミニウム合金、厚さが5.5mm、角部は外側コーナーR5、内側コーナーR2とし、長辺部の幅が6mm、短辺部の幅が12mm、内寸が1336mm×1128mm、各辺部の中央付近が外側に凸となるように湾曲膨出した形状で、初期形状の外側への膨出量として、長辺部側が13.0mm、短辺部側が1.5mmのものを用意した。
【0113】
大型ペリクルは、次のように製造した。大型ペリクル用の枠体に、基板上に成膜したセルロースエステルのペリクル膜に接着させ、その後基板からペリクル膜を剥離させた。大型ペリクル用のペリクルフレームの下縁面には、スチレンエチレンブチレンスチレン系のマスク粘着材を塗布した。ペリクルフレームの上縁面には、アクリル系の膜接着剤を塗布し、ペリクルフレームの長辺部の膨出部から1.2mm内側に向けて冶具で押さえ込み(
図9のPから1.2mmL直線側に押えこむ状態)、短辺部は膨出部を冶具で固定しながら(図のPで冶具を固定する)ペリクルフレームにペリクル膜を接着し、その後、余剰膜を切除した。
【0114】
実施例1と同様に、シワの有無とハンドリング性を評価した。評価結果を
図10に示す。また、実施例4におけるペリクル膜の長辺側の膜沈み量は2.23mm、短辺側の膜沈み量は2.06mmであった。
(実施例5)
【0115】
大型ペリクル用の枠体として、実施例4と同様の枠体を用意した。別途、大型ペリクル用のペリクルフレームとして、材質がアルミニウム合金、厚さが5.5mm、角部は外側コーナーR2、内側コーナーR2とし、長辺部の幅が7mm、短辺部の幅が6mm、内寸が1348mm×1126mm、各辺部の中央付近が外側に凸となるように湾曲膨出した形状で、初期形状の外側への膨出量として、長辺部側が9.0mm、短辺部側が8.0mmのものを用意した。
【0116】
大型ペリクルは、次のように製造した。大型ペリクル用の枠体に、基板上に成膜したセルロースエステルのペリクル膜に接着させ、その後基板からペリクル膜を剥離させた。大型ペリクル用のペリクルフレームの下縁面には、スチレンエチレンブチレンスチレン系のマスク粘着材を塗布した。ペリクルフレームの上縁面には、アクリル系の膜接着剤を塗布し、ペリクルフレームの長辺部の膨出部から1.2mm内側に向けて冶具で押さえ込みながら、また、短辺部も膨出部から1.2mm内側に向けて冶具で押さえ込みながら、ペリクルフレームにペリクル膜を接着し、その後、余剰膜を切除した。
【0117】
実施例1と同様に、シワの有無とハンドリング性を評価した。評価結果を
図10に示す。また、実施例5におけるペリクル膜の長辺側の膜沈み量は2.15mm、短辺側の膜沈み量は1.89mmであった。
(実施例6)
【0118】
大型ペリクル用の枠体として、実施例4と同様の枠体を用意した。別途、大型ペリクル用のペリクルフレームとして、材質がアルミニウム合金、厚さが5.5mm、角部は外側コーナーR3、内側コーナーR2とし、長辺部の幅が9mm、短辺部の幅が9mm、内寸が1342mm×1122mm、各辺部の中央付近が外側に凸となるように湾曲膨出した形状で、初期形状の外側への膨出量として、長辺部側が5.0mm、短辺部側が4.0mmのものを用意した。
【0119】
大型ペリクルは、次のように製造した。大型ペリクル用の枠体に、基板上に成膜したセルロースエステルのペリクル膜に接着させ、その後基板からペリクル膜を剥離させた。大型ペリクル用のペリクルフレームの下縁面には、スチレンエチレンブチレンスチレン系のマスク粘着材を塗布した。ペリクルフレームの上縁面には、アクリル系の膜接着剤を塗布し、ペリクルフレームの短辺部も膨出部から4.6mm内側に向けて冶具で押さえ込みながら、長辺部は何もしない状態で、ペリクルフレームにペリクル膜を接着し、その後、余剰膜を切除した。
【0120】
実施例1と同様に、シワの有無とハンドリング性を評価した。評価結果を
図10に示す。また、実施例6におけるペリクル膜の長辺側の膜沈み量は1.41mm、短辺側の膜沈み量は1.51mmであった。
(実施例7)
【0121】
大型ペリクル用の枠体として実施例4と同様の枠体を用意した。枠体は、各辺部が直線状の初期形状のものを用いた。別途、大型ペリクル用のペリクルフレームとして、材質がアルミニウム合金、厚さが5.5mm、角部は外側コーナーR5、内側コーナーR2とし、長辺部の幅が12mm、短辺部の幅が4mm、内寸が1352mm×1116mm、各辺部の中央付近が外側に凸となるように湾曲膨出した形状で、初期形状の外側への膨出量として、長辺部側が3.0mm、短辺部側が12.0mmのものを用意した。
【0122】
大型ペリクルは、次のように製造した。大型ペリクル用の枠体に、基板上に成膜したセルロースエステルのペリクル膜に接着させ、その後基板からペリクル膜を剥離させた。大型ペリクル用のペリクルフレームの下縁面には、スチレンエチレンブチレンスチレン系のマスク粘着材を塗布した。ペリクルフレームの上縁面には、アクリル系の膜接着剤を塗布し、ペリクルフレームの長辺部の膨出部を冶具で固定し、また、短辺部は膨出部から4.6mm内側に向けて冶具で押さえ込みながら、ペリクルフレームにペリクル膜を接着し、その後、余剰膜を切除した。
【0123】
実施例1と同様に、シワの有無とハンドリング性を評価した。評価結果を
図10に示す。また、実施例7におけるペリクル膜の長辺側の膜沈み量は1.54mm、短辺側の膜沈み量は1.45mmであった。
(実施例8)
【0124】
大型ペリクル用の枠体として、実施例4と同様の枠体を用意した。別途、大型ペリクル用のペリクルフレームとして、材質がアルミニウム合金、厚さが5.5mm、角部は外側コーナーR4、内側コーナーR2とし、長辺部の幅が11mm、短辺部の幅が7mm、内寸が1346mm×1118mm、各辺部の中央付近が外側に凸となるように湾曲膨出した形状で、初期形状の外側への膨出量として、長辺部側が5.0mm、短辺部側が6.0mmのものを用意した。
【0125】
大型ペリクルは、次のように製造した。大型ペリクル用の枠体に、基板上に成膜したセルロースエステルのペリクル膜に接着させ、その後基板からペリクル膜を剥離させた。大型ペリクル用のペリクルフレームの下縁面には、スチレンエチレンブチレンスチレン系のマスク粘着材を塗布した。ペリクルフレームの上縁面には、アクリル系の膜接着剤を塗布し、ペリクルフレームの長辺部の膨出部から2.3mm内側に向けて冶具で押さえ込みながら、また、短辺部も膨出部から1.2mm内側に向けて冶具で押さえ込みながら、ペリクルフレームにペリクル膜を接着し、その後、余剰膜を切除した。
【0126】
実施例1と同様に、シワの有無とハンドリング性を評価した。評価結果を
図10に示す。また、実施例8におけるペリクル膜の長辺側の膜沈み量は1.46mm、短辺側の膜沈み量は1.76mmであった。
(実施例9)
【0127】
大型ペリクル用の枠体として、実施例4と同様の枠体を用意した。別途、大型ペリクル用のペリクルフレームとして、材質がアルミニウム合金、厚さが5.5mm、角部は外側コーナーR4、内側コーナーR2とし、長辺部の幅が10mm、短辺部の幅が11mm、内寸が1338mm×1120mm、各辺部の中央付近が外側に凸となるように湾曲膨出した形状で、初期形状の外側への膨出量として、長辺部側が4.0mm、短辺部側が4.0mmのものを用意した。
【0128】
大型ペリクルは、次のように製造した。大型ペリクル用の枠体に、基板上に成膜したセルロースエステルのペリクル膜に接着させ、その後基板からペリクル膜を剥離させた。大型ペリクル用のペリクルフレームの下縁面には、スチレンエチレンブチレンスチレン系のマスク粘着材を塗布した。ペリクルフレームの上縁面には、アクリル系の膜接着剤を塗布し、ペリクルフレームの長辺部の膨出部から1.2mm内側に向けて冶具で押さえ込みながら、また、短辺部も膨出部から2.3mm内側に向けて冶具で押さえ込みながら、ペリクルフレームにペリクル膜を接着し、その後、余剰膜を切除した。
【0129】
実施例1と同様に、シワの有無とハンドリング性を評価した。評価結果を
図10に示す。また、実施例9におけるペリクル膜の長辺側の膜沈み量は1.05mm、短辺側の膜沈み量は0.89mmであった。
(実施例10)
【0130】
大型ペリクル用の枠体として、実施例4と同様の枠体を用意した。別途、大型ペリクル用のペリクルフレームとして、材質がアルミニウム合金、厚さが5.5mm、角部は外側コーナーR5.5、内側コーナーR2とし、長辺部の幅が11mm、短辺部の幅が10mm、内寸が1340mm×1118mm、各辺部の中央付近が外側に凸となるように湾曲膨出した形状で、初期形状の外側への膨出量として、長辺部側が7.5mm、短辺部側が3.0mmのものを用意した。
【0131】
大型ペリクルは、次のように製造した。大型ペリクル用の枠体に、基板上に成膜したセルロースエステルのペリクル膜に接着させ、その後基板からペリクル膜を剥離させた。大型ペリクル用のペリクルフレームの下縁面には、スチレンエチレンブチレンスチレン系のマスク粘着材を塗布した。ペリクルフレームの上縁面には、アクリル系の膜接着剤を塗布し、ペリクルフレームの長辺部の膨出部から4.6mm内側に向けて冶具で押さえ込みながら、また、短辺部も膨出部から1.2mm内側に向けて冶具で押さえ込みながら、ペリクルフレームにペリクル膜を接着し、その後、余剰膜を切除した。
【0132】
実施例1と同様に、シワの有無とハンドリング性を評価した。評価結果を
図10に示す。また、実施例10におけるペリクル膜の長辺側の膜沈み量は1.00mm、短辺側の膜沈み量は0.95mmであった。
(実施例11)
【0133】
大型ペリクル用の枠体として、実施例4と同様の枠体を用意した。別途、大型ペリクル用のペリクルフレームとして、材質がアルミニウム合金、厚さが5.5mm、角部は外側コーナーR3、内側コーナーR2とし、長辺部の幅が11mm、短辺部の幅が5mm、内寸が1350mm×1118mm、各辺部の中央付近が外側に凸となるように湾曲膨出した形状で、初期形状の外側への膨出量として、長辺部側が5.0mm、短辺部側が14.0mmのものを用意した。
【0134】
大型ペリクルは、次のように製造した。大型ペリクル用の枠体に、基板上に成膜したセルロースエステルのペリクル膜に接着させ、その後基板からペリクル膜を剥離させた。大型ペリクル用のペリクルフレームの下縁面には、スチレンエチレンブチレンスチレン系のマスク粘着材を塗布した。ペリクルフレームの上縁面には、アクリル系の膜接着剤を塗布し、ペリクルフレームの長辺部の膨出部から2.3mm内側に向けて冶具で押さえ込みながら、また、短辺部も膨出部から7.0mm内側に向けて冶具で押さえ込みながら、ペリクルフレームにペリクル膜を接着し、その後、余剰膜を切除した。
【0135】
実施例1と同様に、シワの有無とハンドリング性を評価した。評価結果を
図10に示す。また、実施例11におけるペリクル膜の長辺側の膜沈み量は1.67mm、短辺側の膜沈み量は1.98mmであった。
(比較例1)
【0136】
実施例1で使用した大型ペリクル用の枠体を用い、大型ペリクル用の枠体の長辺部の中央を押さえ込まないでペリクル膜を枠体に接着した。それ以外は、実施例1と同様とした。その結果、ペリクルフレームのコーナー部付近に湾曲部が残る形状になり、角部が変形したため、外観に不具合が生じた。
【0137】
実施例1と同様に、シワの有無とハンドリング性を評価した。評価結果を
図10に示す。
(比較例2)
【0138】
実施例2で使用した大型ペリクル用の枠体を用い、大型ペリクル用のペリクルフレームの長辺部を内側に向けて押さえ込まないでペリクル膜をペリクルフレームに接着した。それ以外は、実施例2と同様とした。その結果、ペリクルフレームのコーナー部付近に湾曲部が残る形状になり、角部が変形したため、外観に不具合が生じた。
【0139】
実施例1と同様に、シワの有無とハンドリング性を評価した。評価結果を
図10に示す。
(比較例3)
【0140】
実施例3で使用した大型ペリクル用の枠体で、長辺部の初期形状の膨出量を0mmにしたものを用い、大型ペリクル用のペリクルフレームの長辺部を押さえ込まないでペリクル膜をペリクルフレームに接着した。それ以外は、実施例3と同様とした。その結果、ペリクルフレームのコーナー部付近に湾曲部が残る形状になり、角部が変形したため、外観に不具合が生じた。
【0141】
実施例1と同様に、シワの有無とハンドリング性を評価した。評価結果を
図10に示す。
(比較例4)
【0142】
大型ペリクル用の枠体として、実施例4と同様の枠体を用意した。別途、大型ペリクル用のペリクルフレームとして、材質がアルミニウム合金、厚さが5.5mm、角部は外側コーナーR9、内側コーナーR2とし、長辺部の幅が9mm、短辺部の幅が10mm、内寸が1340mm×1122mm、各辺部の中央付近が外側に凸となるように湾曲膨出した形状で、初期形状の外側への膨出量として、長辺部側が2.3mm、短辺部側が1.5mmのものを用意した。そして、この大型ペリクル用のペリクルフレームの長辺部及び短辺部を押さえ込まないでペリクル膜をペリクルフレームに接着した。
【0143】
実施例1と同様に、シワの有無とハンドリング性を評価した。評価結果を
図10に示す。また、比較例4におけるペリクル膜の長辺側の膜沈み量は2.78mm、短辺側の膜沈み量は2.37mmであった。
(比較例5)
【0144】
大型ペリクル用の枠体として、実施例4と同様の枠体を用意した。別途、大型ペリクル用のペリクルフレームとして、材質がアルミニウム合金、厚さが5.5mm、角部は外側コーナーR6、内側コーナーR2とし、長辺部の幅が4mm、短辺部の幅が4mm、内寸が1352mm×1132mm、各辺部の中央付近が外側に凸となるように湾曲膨出した形状で、初期形状の外側への膨出量として、長辺部側が30.0mm、短辺部側が22.0mmのものを用意した。
【0145】
大型ペリクルは、次のように製造した。大型ペリクル用の枠体に、基板上に成膜したセルロースエステルのペリクル膜に接着させ、その後基板からペリクル膜を剥離させた。大型ペリクル用のペリクルフレームの下縁面には、スチレンエチレンブチレンスチレン系のマスク粘着材を塗布した。ペリクルフレームの上縁面には、アクリル系の膜接着剤を塗布し、ペリクルフレームの長辺部の膨出部から7.0mm内側に向けて冶具で押さえ込みながら、また、短辺部も膨出部から7.0mm内側に向けて冶具で押さえ込みながら、ペリクルフレームにペリクル膜を接着し、その後、余剰膜を切除した。
【0146】
実施例1と同様に、シワの有無とハンドリング性を評価した。評価結果を
図10に示す。本比較例においては、ペリクルフレームが略四角形にはならなかった。
また、比較例4におけるペリクル膜の長辺側の膜沈み量は2.78mm、短辺側の膜沈み量は2.37mmであった。
(比較例6)
【0147】
大型ペリクル用の枠体として、実施例4と同様の枠体を用意した。別途、大型ペリクル用のペリクルフレームとして、材質がアルミニウム合金、厚さが5.5mm、角部は外側コーナーR5、内側コーナーR2とし、長辺部の幅が9mm、短辺部の幅が7mm、内寸が1346mm×1122mm、各辺部の中央付近が外側に凸となるように湾曲膨出した形状で、初期形状の外側への膨出量として、長辺部側が8.0mm、短辺部側が7.0mmのものを用意した。
【0148】
大型ペリクルは、次のように製造した。大型ペリクル用の枠体に、基板上に成膜したセルロースエステルのペリクル膜に接着させ、その後基板からペリクル膜を剥離させた。大型ペリクル用のペリクルフレームの下縁面には、スチレンエチレンブチレンスチレン系のマスク粘着材を塗布した。ペリクルフレームの上縁面には、アクリル系の膜接着剤を塗布し、ペリクルフレームの短辺部も膨出部から1.2mm内側に向けて冶具で押さえ込みながら、長辺部は何もしない状態で、ペリクルフレームにペリクル膜を接着し、その後、余剰膜を切除した。
【0149】
実施例1と同様に、シワの有無とハンドリング性を評価した。評価結果を
図10に示す。本比較例においては、大型ペリクルのハンドリング時にペリクル膜に自重撓みが発生した。また、比較例4におけるペリクル膜の長辺側の膜沈み量は2.53mm、短辺側の膜沈み量は2.21mmであった。
(比較例7〕
【0150】
大型ペリクル用の枠体として、実施例4と同様の枠体を用意した。別途、大型ペリクル用のペリクルフレームとして、材質がアルミニウム合金、厚さが5.5mm、角部は外側コーナーR6、内側コーナーR2とし、長辺部の幅が8mm、短辺部の幅が7mm、内寸が1346mm×1124mm、各辺部の中央付近が外側に凸となるように湾曲膨出した形状で、初期形状の外側への膨出量として、長辺部側が9.0mm、短辺部側が8.0mmのものを用意した。
【0151】
大型ペリクルは、次のように製造した。大型ペリクル用の枠体に、基板上に成膜したセルロースエステルのペリクル膜に接着させ、その後基板からペリクル膜を剥離させた。大型ペリクル用のペリクルフレームの下縁面には、スチレンエチレンブチレンスチレン系のマスク粘着材を塗布した。ペリクルフレームの上縁面には、アクリル系の膜接着剤を塗布し、ペリクルフレームの長辺部の膨出部から2.3mm内側に向けて冶具で押さえ込みながら、短辺部は何もしない状態で、ペリクルフレームにペリクル膜を接着し、その後、余剰膜を切除した。
【0152】
実施例1と同様に、シワの有無とハンドリング性を評価した。評価結果を
図10に示す。本比較例においては、大型ペリクルのハンドリング時にペリクルフレームの短辺部にジグが当たり、ジグが当たった部分に隣接するペリクル膜の部分にシワが発生した。また、比較例4におけるペリクル膜の長辺側の膜沈み量は1.97mm、短辺側の膜沈み量は2.35mmであった。
(比較例8)
【0153】
大型ペリクル用の枠体として、実施例4と同様の枠体を用意した。別途、大型ペリクル用のペリクルフレームとして、材質がアルミニウム合金、厚さが5.5mm、角部は外側コーナーR5、内側コーナーR2とし、長辺部の幅が8mm、短辺部の幅が10mm、内寸が1340mm×1124mm、各辺部の中央付近が外側に凸となるように湾曲膨出した形状で、初期形状の外側への膨出量として、長辺部側が15.0mm、短辺部側が4.0mmのものを用意した。
【0154】
大型ペリクルは、次のように製造した。大型ペリクル用の枠体に、基板上に成膜したセルロースエステルのペリクル膜に接着させ、その後基板からペリクル膜を剥離させた。大型ペリクル用のペリクルフレームの下縁面には、スチレンエチレンブチレンスチレン系のマスク粘着材を塗布した。ペリクルフレームの上縁面には、アクリル系の膜接着剤を塗布し、ペリクルフレームの長辺部の膨出部から7.0mm内側に向けて冶具で押さえ込みながら、短辺部は何もしない状態で、ペリクルフレームにペリクル膜を接着し、その後、余剰膜を切除した。
【0155】
実施例1と同様に、シワの有無とハンドリング性を評価した。評価結果を
図10に示す。本比較例においては、ペリクルフレームの短辺部近傍のペリクル膜にシワが発生した。また、比較例4におけるペリクル膜の長辺側の膜沈み量は1.35mm、短辺側の膜沈み量は1.8mmであった。