(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5876928
(24)【登録日】2016年1月29日
(45)【発行日】2016年3月2日
(54)【発明の名称】金属メッシュ導電層及びこれを有するタッチパネル
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20160218BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20160218BHJP
【FI】
G06F3/041 420
G06F3/041 490
G06F3/041 430
G06F3/044 122
【請求項の数】7
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-513908(P2014-513908)
(86)(22)【出願日】2012年12月20日
(65)【公表番号】特表2014-519129(P2014-519129A)
(43)【公表日】2014年8月7日
(86)【国際出願番号】CN2012087077
(87)【国際公開番号】WO2013166840
(87)【国際公開日】20131114
【審査請求日】2013年11月13日
(31)【優先権主張番号】201210141854.2
(32)【優先日】2012年5月9日
(33)【優先権主張国】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】513218053
【氏名又は名称】ナンチャン オー−フィルム テック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103609
【弁理士】
【氏名又は名称】井野 砂里
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100171675
【弁理士】
【氏名又は名称】丹澤 一成
(72)【発明者】
【氏名】ガオ ユーロン
(72)【発明者】
【氏名】ツイ ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ション
【審査官】
滝谷 亮一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−127658(JP,A)
【文献】
特開2013−131156(JP,A)
【文献】
特開2013−127657(JP,A)
【文献】
特開2013−152599(JP,A)
【文献】
特開2010−251230(JP,A)
【文献】
特開2011−216377(JP,A)
【文献】
国際公開第2010/090487(WO,A2)
【文献】
Chia-Meng Chen et al.,Insertion Structure for Transparent Metal Electrodes Prepared by Nanoimprint Lithography,Applied Physics Express,日本,The Japan Society of Applied Physics,2012年 4月 2日,Vol.5 No.4,Page.044202.1-044202.3
【文献】
Chia-Meng CHen, CHeng-Kuo Sung,Fablicating metallic wire grating inside a polymeric substrate by insertion nanoimprint ,Microelectronic Engineering,米国,Elsevier,2009年12月16日,Vol.87,P.872-875
【文献】
Chia-Meng Chen et al.,Fablicating insertion structures for metallic wire grid polarizers by nanoimprint and CMP process,Microelectronic Engineering,米国,Elsevier,2011年 3月 4日,Vol.88,P.2135-2140
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/044
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属メッシュ導電層であって、
基板材料と、
前記基板材料上に位置するポリマー材料層を備え、
前記ポリマー材料層は、前記ポリマー材料層の前記基板材料から離れた側にメッシュを形成するトレンチを有し、前記ポリマー材料層は、前記トレンチに充填された金属で作製されたメッシュを有する透明電極領域と、前記トレンチに充填された金属を含有する導電材料で作製されたメッシュを有する電極リード線領域とを備え、
前記電極リード線領域は、前記透明電極領域に電気的に接続され、
前記透明電極領域の前記メッシュのメッシュ密度は、前記電極リード線領域の前記メッシュのメッシュ密度よりも小さく、
前記導電層は位置合わせマークを有し、前記位置合わせマークは、金属で作製されたメッシュを有し、80%未満の透過率を有することを特徴とする金属メッシュ導電層。
【請求項2】
前記電極リード線領域の前記メッシュは、正多角形メッシュであることを特徴とする、請求項1に記載の金属メッシュ導電層。
【請求項3】
前記透明電極領域の前記メッシュは、ランダムな不規則メッシュであり、前記透明電極領域の前記メッシュは、そのグリッド線で構成され、前記透明電極領域の前記グリッド線は、各々の角度方向において均等に分布されることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の金属メッシュ導電層。
【請求項4】
前記不規則メッシュは不規則多角形で構成され、前記メッシュのグリッド線は直線セグメントであり、前記グリッド線と直角水平方向Xとにより形成される角度θは均等に分布し、5°を区間として用いて、前記不規則メッシュの各々についての角度θを計算し、前記セグメントが前記区間の各々の範囲内に入る確率piを計算し、これにより0°−180°の範囲内の36個の角度区間におけるp1、p2...及びp36が得られ、piは、標準偏差が算術平均の20%を下回るという条件を満たすことを特徴とする、請求項3に記載の透明導電膜。
【請求項5】
前記電極リード線領域の前記メッシュの相対透過率は80%未満であることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の金属メッシュ導電層。
【請求項6】
前記トレンチは、略矩形の断面を有し、前記トレンチの深さ対幅の比の値は、0.8を上回り、前記トレンチの前記幅は、10μm未満であることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の金属メッシュ導電層。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の少なくとも1つの金属メッシュ導電層を含むことを特徴とするタッチパネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電層に関し、より具体的には、金属メッシュ導電層及び導電層を有するタッチパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
タッチスクリーンは、タッチ入力信号を受信するために用いられる感知デバイスである。タッチスクリーンは、情報相互作用のための新しい方法を与え、それにより、全く新しい魅力的な情報対話型装置である。タッチスクリーン技術の開発は、国内及び国外の情報媒体部門において幅広い関心を生み、光電分野における急成長ハイテク産業となっている。
【0003】
ITO層は、タッチスクリーン・モジュールのための極めて重要な構成要素である。タッチスクリーンの製造技術は急速に発展したが、投影型静電容量式スクリーンを例にとると、ITO層の基本的な製造工程は、近年変化していない。この工程は、必然的に、ITOの塗布、ITOのパターン形成、及び透明電極の銀線の製造を含む。従来の製造工程は複雑で長時間にわたるため、現在のタッチスクリーン製造段階において、歩留まりの調整は避けられない問題となっている。さらに、従来の製造工程では、必然的にエッチングを必要とし、エッチングの間、多くのITO及び導電材料が無駄になる。従って、ITO層の単純であり環境に優しい工程をどのように実現できるかが、解決すべき重要な技術的問題となっている。
【0004】
印刷電子技術の急速な発展は、上述の問題に対する実行可能な解決法を提供する。PolyIC Inc.は、全印刷方式導電金属膜PolyIC(登録商標)(http://www.polyic.com/poly−tc.php)を実証した。印刷技術に基づいて、膜は、周期的金属メッシュと透明電極の銀線を有する透明導電領域を一度で製造することができる。従って、ITO層の3つの工程を単一の印刷に単純化し、エッチング工程を省き、材料の無駄を制御することができる。
【0005】
しかしながら、PolyIC(登録商標)は、従来の印刷技術に基づいて製造されているため、最小線幅は、10μmにしか達しない。透過率が85%より大きいことを前提とすると、グリッド周期は300μmより大きい必要がある。従って、このメッシュを視覚的にはっきりと知覚することができる。
【0006】
ナノインプリント技術に基づいた埋め込み金属メッシュは、3μm未満の幅を有する銀線の処理を達成することができる。透明電極領域の銀線の幅が3μm未満である場合、人間の目では知覚できないことが検証されている。しかしながら、透明電極の銀リード線の幅は、通常、20μmを上回っている。トレンチの深さが同じである場合、幅が異なることは、トレンチ深さの深さ対幅比が異なることを意味する。深さ対幅比の大きな変化により、トレンチにおける銀の充填工程が非常に困難になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
金属メッシュ導電層及び導電層を有するタッチパネルを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1つの態様において、異なる密度を有する金属メッシュを用いて透明電極領域と電極リード線領域を同時に作製する、金属メッシュ導電層及び導電層を有するタッチパネルが提供され、電極リード線領域における金属メッシュはユーザには見えない。
【0009】
本発明により解決される技術的問題は、以下の技術的解決法により達成される。
【0010】
金属メッシュ導電層が準備される。導電層の表面は、透明電極領域と、電極リード線領域とを含み、透明電極領域は金属で作製されたメッシュを有し、電極リード線領域は、金属を含有する導電材料で作製されたメッシュを有する。メッシュは、トレンチ内に充填された金属を含有する導電材料で作製される。
【0011】
電極リード線領域のメッシュは、正多角形メッシュであることが好ましい。
【0012】
透明電極領域のメッシュは、ランダムな不規則メッシュであり、透明電極領域のメッシュは、グリッド線で構成され、透明電極領域のグリッド線は、各々の角度方向において均等に分布されることが好ましい。
【0013】
不規則メッシュは不規則多角形で構成され、メッシュのグリッド線は、直線セグメントであり、グリッド線と直角水平方向Xにより形成される角度θは均等に分布し、5°を間隔として用いて、不規則メッシュの各々についての角度θを計算すると、セグメントが各区間の各々の範囲内に入る確率piが計算され、0°−180°の範囲内の36個の角度区間においてp
1、p
2...及びp
36が得られ、p
iは、標準偏差が算術平均の20%を下回るという条件を満たすことが好ましい。電極リード線領域のメッシュの相対透過率は80%未満であることが好ましい。
【0014】
トレンチは、略矩形の断面を有し、トレンチの深さ対幅
の比の値は0.8を上回り、トレンチの幅は10μm未満であることが好ましい。
【0015】
導電層は、位置合わせマークを有し、位置合わせマークは、金属で作製されたメッシュを有し、透過率が80%未満であることが好ましい。
【0016】
導電層は、下から上に少なくとも基板材料及び導電材料、又は下から上に少なくとも基板材料、ポリマー材料及び導電材料、又は下から上に少なくとも導電材料、基板材料及び導電材料、又は下から上に少なくとも導電材料、ポリマー材料、基板材料、ポリマー材料及び導電材料で構成され、ポリマー材料は、UV硬化材料、熱可塑性材料、又は熱硬化性材料であることが好ましい。
【0017】
タッチパネルは、少なくとも1つの上述した金属メッシュ導電層を含む。
【0018】
本発明は、以下のような幾つかの利点を有する。
【0019】
(1)本発明の電極リード線領域は、メッシュ設計を用いて提供され、これが可撓性プリント基板に接合されたとき、メッシュのポリマー部分が、ピンと可撓性回路基板の導電性接着剤との間の接着力を高め、従って、接合の堅固さを向上させることができる。電極リード線領域は、メッシュ設計を用いて提供され、これは従来技術とは異なる第1の革新である。
【0020】
(2)本発明の電極リード線領域は、トレンチ幅が10μm未満のトレンチ設計を用いて提供され、これは透明電極領域のトレンチ幅と電極リード線領域のトレンチ幅を統一し、それによりトレンチ深さの選択が容易になり、その一方で、後の導電材料の充填の工程パラメータの統一が容易になり、導電材料の充填の均一性が向上する。電極リード線領域は、トレンチ設計を用いて提供され、これは従来技術とは異なる第2の革新である。
【0021】
(3)本発明の透明電極領域は、不規則メッシュで構成され、不規則メッシュで構成される透明電極領域がLCDの表面に取り付けられると、モアレの発生が防止される。電極リード線領域は、規則的メッシュ又は不規則なメッシュで構成される。電極リード線領域の規則的メッシュによってモアレは発生するものの、LCDの表面に取り付けられたとき、電極リード線領域は、ユーザには見えない区域内に配置される。規則的メッシュ及び不規則メッシュの両方とも導電層に適用され、これは従来技術とは異なる第3の革新である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明による埋め込み金属メッシュ導電層の概略断面図である。
【
図2】本発明による埋め込み金属メッシュ導電層の概略平面図である。
【
図4】本発明による埋め込み金属メッシュ導電層のランダム・メッシュの概略図である。
【
図5】埋め込み金属メッシュ導電層のランダム・メッシュの各セグメントとX軸とにより形成される角度θを示す概略図である。
【
図6】埋め込み金属メッシュ導電層のランダム・メッシュの各セグメントとX軸とにより形成される角度θの確率Pの分布を示す図である。
【
図7】本発明の位置合わせマークを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明を図面と併せて以下にさらに詳細に説明する。
【0024】
実施形態1
規則的メッシュで作製された電極リード線領域を有する導電層が提供される。
【0025】
図1は、一実施形態による埋め込み金属メッシュ導電層の概略断面図である。導電層は、下から上に、188μmの厚さを有する基板PET11と、肥厚化層12と、3μmの深さ及び2.2μmの幅を有するトレンチを有するUVアクリル接着剤13とを含む。トレンチは、トレンチの深さを下回る約2μmの厚さを有する銀14で充填される。
【0026】
図2は、本実施形態による埋め込み金属メッシュ導電層の概略平面図である。導電層は、透明電極領域21及び電極リード線領域22を含む。透明電極領域21は、2.2μmの線幅のランダムな不規則メッシュで構成される。メッシュの平均直径Rは120μmであることが好ましく、相対透過率は96%である。本実施形態の選択されたPETは、可視帯域において91.4%の平均透過率を有するので、透明電極の全透過率は87.72%である。電極リード線領域22は、線幅2.2μmの線幅、8μmの周期を有する直交するグリッド線で構成され、53.5%の相対透過率を有する。
【0027】
図2は、本実施形態による埋め込み金属メッシュ導電層の概略平面図であり、
図3における22’は、電極リード線領域22の部分拡大図である。拡大図から分かるように、電極リード線領域22’は、規則的メッシュで構成される。電極リード線領域22’における黒色ストリップは、導電領域の金属銀14であり、空白区域は絶縁領域であり、電極リード線領域22’における空白区域は、UVアクリル接着剤13であり、電極リード線領域22’及び外側の導電材料をより良好に接合することができ、より多く接合するほど、接着が良好になる。
【0028】
本実施形態の埋め込み金属メッシュ導電層の位置合わせマーク31を
図7に示す。位置合わせマーク31もまた、2.2μmの線幅、8μmの周期を有する直交するグリッド線で構成され、53.5%の相対透過率を有する。
図8は、
図7に示すLと対応する部分拡大図である。
図8から分かるように、位置合わせマーク31は、メッシュで構成される。
【0029】
本実施形態の処理方法は、従来技術のものである。図示される実施形態において、ランダム・メッシュのタイプは、等方性のランダムな不規則多角形メッシュである。角度分布を、
図4に示す5mm*5mmのランダム・メッシュを例に挙げて分析する。
【0030】
図4に示すランダム・メッシュは、4257個のセグメントを含む。
図5を参照すると、セグメントとX軸とにより形成される各角度θを計算することにより、一次元アレイθ(1)−θ(4257)を得ることができ、次いで、0°−180°を36個の角度区間に分割し、セグメントが各区間の範囲内に入る確率pを計算し、
図6に示すように、一次元アレイp(1)−p(36)を得る。標準偏差式
【数1】
によれば、nが36である場合、0.26%の標準偏差sと、2.78%の平均確率
【数2】
とが得られる。
【数3】
であるので、ランダム・メッシュのグリッド線は、角度において均等に分布し、従って、これによりモアレの発生を有効に防止することができる。
【0031】
図示される実施形態において、不規則形状の透明電極領域のランダム・メッシュは、不規則なハニカム構造を有してもよく、実際には、不規則形状の非周期的なランダム・メッシュは、1mmより大きい接合周期で、局所的な非周期的メッシュ・ユニットにより周期的に接合することができる。
本発明によるタッチパネルは、
図1及び
図2に示す金属メッシュ導電層を有する。タッチパネルの組成は、GFFモードであり、すなわち、タッチパネルは、上述の構造部を有する2つの金属メッシュ導電層を有し、OCAが2つの層の間に配置される。
【0032】
本実施形態の基板は、ガラス、又はトレンチを有するUVアクリル接着剤とすることができ、また、UV硬化材料、熱可塑性材料、又は熱硬化性材料といったUV接着剤として同じ特性を有する有機材料、例えばPMMA、PC、PDMS等と置き換えることもできる。金属メッシュ導電層は、両側にあってもよく、タッチパネルの組成は、これらに制限されるものではないが、GG、オンセル、又はGF2等とすることができる。本実施形態の導電層は、下から上に少なくとも基板材料及び導電材料、又は下から上に少なくとも基板材料、ポリマー材料及び導電材料、又は下から上に少なくとも導電材料、基板材料及び導電材料、又は下から上に少なくとも導電材料、ポリマー材料、基板材料、ポリマー材料及び導電材料で構成され得る。ポリマー材料は、UV硬化材料、熱可塑性材料、又は熱硬化性材料である。
【0033】
本発明を構造的特徴及び/又は方法的行為に特有の語で説明したが、添付の特許請求の範囲で定められる本発明は、説明した特定の特徴又は行為に必ずしも限定されないことを理解すべきである。むしろ、特定の特徴及び行為は、請求される本発明を実施する例示的な形態として開示されたものである。
【符号の説明】
【0034】
11:基板
12:肥厚層
13:UVアクリル接着剤
14:銀
21:透明電極領域
22、22’:電極リード線領域
31:位置合わせマーク
R:平均直径