特許第5876936号(P5876936)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5876936標準電極電位が0Vよりも大きい元素の粒子の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5876936
(24)【登録日】2016年1月29日
(45)【発行日】2016年3月2日
(54)【発明の名称】標準電極電位が0Vよりも大きい元素の粒子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B22F 9/24 20060101AFI20160218BHJP
   B01D 15/00 20060101ALI20160218BHJP
   B01J 20/26 20060101ALI20160218BHJP
   C01B 7/14 20060101ALI20160218BHJP
   C02F 1/28 20060101ALI20160218BHJP
   C08L 83/16 20060101ALI20160218BHJP
【FI】
   B22F9/24 E
   B22F9/24 B
   B22F9/24 Z
   B01D15/00 N
   B01D15/00 P
   B01J20/26 E
   B01J20/26 C
   C01B7/14 C
   C02F1/28 A
   C08L83/16
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-543266(P2014-543266)
(86)(22)【出願日】2013年10月18日
(86)【国際出願番号】JP2013078282
(87)【国際公開番号】WO2014065204
(87)【国際公開日】20140501
【審査請求日】2015年2月13日
(31)【優先権主張番号】特願2012-234989(P2012-234989)
(32)【優先日】2012年10月24日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2013-13232(P2013-13232)
(32)【優先日】2013年1月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004307
【氏名又は名称】日本曹達株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(72)【発明者】
【氏名】林 謙一
(72)【発明者】
【氏名】豊岡 誠
【審査官】 田中 永一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−260659(JP,A)
【文献】 特開2002−134123(JP,A)
【文献】 特開2013−031806(JP,A)
【文献】 特開2005−314712(JP,A)
【文献】 特開2012−162772(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 9/24
B01D 15/00
B01J 20/26
C01B 7/14
C02F 1/28
C08L 83/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の標準電極電位が0Vよりも大きい元素のイオン及びプロトン性溶媒を含むプロトン性溶媒溶液と、前記プロトン性溶媒に対して難溶性のポリシランとを混合し、前記標準電極電位が0Vよりも大きい元素のイオンから、当該元素の粒子を製造することを特徴とする、標準電極電位が0Vよりも大きい元素の粒子の製造方法であって、前記ポリシランがジメチルポリシラン、ジフェニルシランとモノフェニルシランのポリマー、又はジメチルシランとジフェニルシランのポリマーである製造方法。
【請求項2】
前記元素の標準電極電位が0.2V以上である、請求項1に記載の標準電極電位が0Vよりも大きい元素の粒子の製造方法。
【請求項3】
前記元素が、金、水銀、銀、ロジウム、パラジウム、ヨウ素、白金、ゲルマニウム、硫黄、ルテニウム、オスミウム、イリジウム、レニウム、銅、テルル、鉛、ひ素、及びビスマスからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項2に記載の標準電極電位が0Vよりも大きい元素の粒子の製造方法。
【請求項4】
前記元素が、金、水銀、銀、ロジウム、ヨウ素、白金、ゲルマニウム、硫黄、ルテニウム、及びビスマスからなる群より選択される少なくとも1種であり、前記ポリシランに吸着した前記元素の粒子を回収する工程を更に含む、請求項3に記載の標準電極電位が0Vよりも大きい元素の粒子の製造方法。
【請求項5】
前記ポリシランに吸着した前記元素の粒子を燃焼処理し、前記ポリシランが除去された粒子を得る工程を更に含む、請求項4に記載の標準電極電位が0Vよりも大きい元素の粒子の製造方法。
【請求項6】
前記プロトン性溶媒溶液が、少なくとも1種の標準電極電位が0V以下の元素のイオンを更に含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の標準電極電位が0Vよりも大きい元素の粒子の製造方法。
【請求項7】
プロトン性溶媒に対して難溶性のポリシランに、少なくとも1種の標準電極電位が0Vよりも大きい元素の粒子が吸着されている標準電極電位が0Vよりも大きい元素の粒子とポリシランの複合体であって、前記ポリシランがジメチルポリシランであり、前記元素がヨウ素、ゲルマニウム、硫黄、テルル、鉛、ひ素、及びビスマスからなる群より選択される少なくとも1種である複合体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロトン性溶媒に対して難溶性のポリシランを用いて、プロトン性溶媒溶液中に存在する標準電極電位が0Vよりも大きい元素のイオンから、当該元素の粒子を製造する方法に関する。
本願は、2012年10月24日に日本に出願された特願2012−234989号及び2013年1月28日に日本に出願された特願2013−013232号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
ポリシランは、主鎖のSi−Si結合を構成するσ電子が、炭素共役系のπ電子のように、主鎖骨格全体に非局在化している。当該特徴から、ポリシランは、導電性材料や光半導体として期待されている。さらに近年、ポリ(メチルフェニルシラン)等の溶媒可溶性のポリシランは、遷移金属の担体としても使用されている。例えば、特許文献1には、ポリシランと遷移金属化合物とをポリシランの良溶媒中に溶解又は懸濁し、還元剤の存在下又は非存在下で混合した後、ポリシランに対する貧溶媒を徐々に加えて相分離させる方法によって、高い触媒活性を有し、取り扱い・回収・再使用が容易なポリシラン担持遷移金属を製造できることが記載されている。しかしながら、ジメチルポリシランやジフェニルポリシランは、ほとんどの溶媒に不溶であり、かつ融解もしない(例えば、非特許文献1参照。)。このため、取扱いが難しく、ほとんど利用されてこなかった。
【0003】
一方で、従来、金属イオンから金属粒子を得る方法として、金属塩溶液を電気分解して金属粒子を得る方法や、金属塩溶液に還元剤を添加して金属粒子を得る方法が知られている。還元剤を使用する方法においては、一般的には、非プロトン性溶媒を使用する必要がある。還元剤とプロトン性溶媒とは非常に反応性に富むため、プロトン性溶媒を用いた場合には、金属が還元できないばかりでなく、還元剤が分解されてしまう等の問題があるためである。
【0004】
特許文献2には、プロトン性溶媒である水を使用して金属粒子を得る方法が開示されている。当該方法では、親水性ポリマーとポリシランとのブロック共重合体を用いて得られるミセルであって、ポリシランを内面に有し、シェル部が架橋されている親水性ミセルを還元剤として用い、水性媒体中の金属イオンを還元して、金属のナノ単分散粒子を製造する方法である。当該親水性ミセルは、プロトン性溶媒と反応して水溶性を示すものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−260659号公報
【特許文献2】特開2006−307084号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】坂本健吉著、櫻井英樹監修、「有機ケイ素ポリマーの開発」、1989年、シーエムシー出版、第17ページ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、プロトン性溶媒溶液中の標準電極電位が0Vよりも大きい元素のイオンから、当該元素の粒子を非常に簡便に製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は以下に関する。
(1)少なくとも1種の標準電極電位が0Vよりも大きい元素のイオン及びプロトン性溶媒を含むプロトン性溶媒溶液と、前記プロトン性溶媒に対して難溶性のポリシランとを混合し、前記標準電極電位が0Vよりも大きい元素のイオンから、当該元素の粒子を製造することを特徴とする、標準電極電位が0Vよりも大きい元素の粒子の製造方法。
(2)前記元素の標準電極電位が0.2V以上である、前記(1)に記載の標準電極電位が0Vよりも大きい元素の粒子の製造方法。
(3)前記元素が、金、水銀、銀、ロジウム、パラジウム、ヨウ素、白金、ゲルマニウム、硫黄、ルテニウム、オスミウム、イリジウム、レニウム、銅、テルル、鉛、ひ素、及びビスマスからなる群より選択される少なくとも1種である、前記(2)に記載の標準電極電位が0Vよりも大きい元素の粒子の製造方法。
(4)前記元素が、金、水銀、銀、ロジウム、ヨウ素、白金、ゲルマニウム、硫黄、ルテニウム、及びビスマスからなる群より選択される少なくとも1種であり、前記ポリシランに吸着した前記元素の粒子を回収する工程を更に含む、前記(3)に記載の標準電極電位が0Vよりも大きい元素の粒子の製造方法。
(5)前記ポリシランに吸着した前記元素の粒子を燃焼処理し、前記ポリシランが除去された粒子を得る工程を更に含む、前記(4)に記載の標準電極電位が0Vよりも大きい元素の粒子の製造方法。
(6)前記プロトン性溶媒溶液が、少なくとも1種の標準電極電位が0V以下の元素のイオンを更に含む、前記(1)〜(5)のいずれか一項に記載の標準電極電位が0Vよりも大きい元素の粒子の製造方法。
(7)プロトン性溶媒に対して難溶性のポリシランに、少なくとも1種の標準電極電位が0Vよりも大きい元素(ただし、前記ポリシランがジメチルポリシランの場合には、前記元素にパラジウムは含まれない。)の粒子が吸着されていることを特徴とする、標準電極電位が0Vよりも大きい元素の粒子とポリシランの複合体。
(8)前記元素が、金、水銀、銀、ロジウム、パラジウム、ヨウ素、白金、ゲルマニウム、硫黄、ルテニウム、オスミウム、イリジウム、レニウム、銅、テルル、鉛、ひ素、及びビスマスからなる群より選択される少なくとも1種である、前記(7)に記載の標準電極電位が0Vよりも大きい元素の粒子とポリシランの複合体。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る標準電極電位が0Vよりも大きい元素の粒子の製造方法により、粒子化の対象である元素のイオンが含まれているプロトン性溶媒溶液に、プロトン性溶媒に対して難溶性のポリシランを添加し、当該イオンとポリシランを接触させるだけで、当該イオンから粒子を効率よく簡便に製造することができる。また、プロトン性溶媒溶液に、標準電極電位が0V以下の元素のイオンと、標準電極電位が0Vよりも大きい元素のイオンとが含まれている場合には、標準電極電位が0Vよりも大きい元素の粒子を選択的に製造することができる。
さらに、本発明に係る標準電極電位が0Vよりも大きい元素の粒子とポリシランの複合体は、プロトン性溶媒に対して難溶性のポリシランに、標準電極電位が0Vよりも大きい元素の粒子が吸着されている。そこで、当該複合体からポリシランを焼成除去することにより、ポリシランから分離した状態で前記元素の粒子を回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例2で調製された金粒子とポリジメチルシランの複合体のX線回析パターンを示す図である。
図2】実施例2で調製された金粒子とポリジメチルシランの複合体の面指数(111)における結晶子体積分布の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、プロトン性溶媒に対して難溶性のポリシランを還元剤として使用することにより、プロトン性溶媒溶液中で、標準電極電位が0Vよりも大きい元素のイオンから直接粒子が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
本発明に係る標準電極電位が0Vよりも大きい元素の粒子の製造方法(以下、「本発明に係る粒子の製造方法」ということがある。)は、プロトン性溶媒溶液中において、プロトン性溶媒に対して難溶性のポリシランを用いて、少なくとも1種の標準電極電位が0Vよりも大きい元素のイオンから、当該元素の粒子を製造することを特徴とする。前記難溶性ポリシランは還元機能があるため、プロトン性溶媒溶液中において、前記元素のイオンが前記ポリシランによって還元されることにより、当該元素の粒子が製造される。
【0013】
本発明に係る粒子の製造方法において用いられるポリシランは、プロトン性溶媒に対して難溶性である。ここで、「プロトン性溶媒に対して難溶性である」とは、具体的には、室温の水に対する溶解度が1重量%未満であることを意味する。プロトン性溶媒に対して難溶性のポリシラン(以下、「難溶性ポリシラン」という。)は、イオンを粒子化する対象となる標準電極電位が0Vよりも大きい元素(以下、「元素A」ということがある。)のイオンを含むプロトン性溶媒溶液に添加した場合に、溶解せずに分散する。
【0014】
当該難溶性ポリシランとしては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒;水;及びこれらの混合溶媒;に対して難溶性であるものが好ましく、メタノール、エタノール、水、及びこれらの混合溶媒に対して難溶性であるものがより好ましい。
【0015】
本発明に係る粒子の製造方法において用いられる難溶性ポリシランは、Si−Si結合を有する直鎖状、環状、分岐鎖状、網目状など種々のポリシランであってよい。また、当該難溶性ポリシランは、単独重合体であってもよく、共重合体であってもよい。さらに、本発明に係る粒子の製造方法においては、1種類の難溶性ポリシランのみを用いてもよく、2種類以上の難溶性ポリシランを組み合わせて用いてもよい。
【0016】
本発明に係る粒子の製造方法において用いられる難溶性ポリシランとしては、例えば、下記一般式(a)〜(c)及び式(d)からなる群より選択される1以上の式で表される構造を有するポリシランが好ましく、下記一般式(a)〜(c)及び式(d)からなる群より選択される1以上の式で表される構造のみからなるポリシランが好ましい。例えば、一般式(a)で表される構造のみからなるポリシランは、環状ポリシランである。一般式(a)〜(c)中、R、R、R、R、及びRは、それぞれ独立して、アルキル基又はアリール基である。また、一般式(b)中、Rは、水素原子、アルキル基、又はアリール基である。
【0017】
【化1】
【0018】
、R、R、R、R、又はRがアルキル基の場合、当該アルキル基としては、直鎖アルキル基であってもよく、分岐鎖アルキル基であってもよく、環状アルキル基であってもよい。当該アルキル基としては、炭素数1〜8の直鎖アルキル基、炭素数3〜8の分枝鎖アルキル基、又は炭素数3〜8の環状アルキル基であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−へキシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。これらの中でも、炭素数1〜6の直鎖アルキル基であることが好ましい。
【0019】
、R、R、R、R、又はRがアリール基の場合、当該アリール基は、単環であってもよく、多環であってもよい。多環アリール基は、少なくとも一つの環が芳香環であれば、残りの環が飽和環、不飽和環又は芳香環のいずれであってもよい。当該アリール基としては、炭素数6〜10のアリール基が好ましく、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、アズレニル基、インダニル基、又はテトラリニル基がより好ましく、フェニル基がさらに好ましい。
【0020】
本発明に係る粒子の製造方法において用いられる難溶性ポリシランとしては、特に、ジメチルポリシラン、ジフェニルポリシラン、ジフェニルシランとモノフェニルシランのポリマー、ジメチルシランとジフェニルシランのポリマー、又はこれらの混合物であることが好ましく、ジメチルポリシラン、ジフェニルシランとモノフェニルシランのポリマー、ジメチルシランとジフェニルシランのポリマーであることがより好ましい。
【0021】
本発明に係る粒子の製造方法において用いられる難溶性ポリシランの重量平均分子量は、目的の元素Aの粒子化効率や、当該粒子を吸着した難溶性ポリシランの回収のしやすさ等の点から、約1000〜約10000であることが好ましい。前記重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフ分析や超高温ゲル浸透クロマトグラフ分析により標準ポリスチレン換算により得られる。
【0022】
本発明に係る粒子の製造方法において、イオンを粒子化する対象となる元素Aは、標準電極電位が0Vよりも大きい元素である。ここで、標準電極電位とは、標準水素電極と測定対象の電極を組み合わせて作製された電池の標準状態における起電力を意味する。
標準電極電位が0Vよりも大きい元素のうち、金属としては、銅(0.340V)、テクネチウム(0.400V)、ニオブ(0.65V)、ニッケル(0.116V)、ルテニウム(0.680V)、ロジウム(0.758V)、パラジウム(0.915V)、銀(0.799V)、レニウム(0.220V)、オスミウム(0.687V)、白金(0.744V)、イリジウム(0.86V)、金(1.002V)、水銀(0.796V)、鉛(0.249V)が挙げられる。標準電極電位が0Vよりも大きい半金属としては、ゲルマニウム(0.247V)、ひ素(0.248V)、アンチモン(0.1504V)、セレン(0.739V)、ビスマス(0.317V)、テルル(0.521V)、ポロニウム(0.368V)が挙げられる。金属及び半金属以外の標準電極電位が0Vよりも大きい元素としては、ヨウ素(1.195V)、臭素(1.604V)、塩素(1.630V)等のハロゲンや、硫黄(0.500V)が挙げられる。本発明に係る粒子の製造方法の粒子化対象としては、元素Aのうち、標準電極電位が0.2V以上である元素が好ましく、0.7Vよりも大きい元素がより好ましい。具体的には、金、水銀、銀、ロジウム、パラジウム、ヨウ素、白金、ゲルマニウム、硫黄、ルテニウム、オスミウム、イリジウム、レニウム、銅、テルル、鉛、ひ素、及びビスマスからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、金、白金、銀、ロジウム、ヨウ素、ゲルマニウム、ルテニウム、オスミウム、及びパラジウムからなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましく、金、白金、銀、ロジウム、ヨウ素、ゲルマニウム、及びパラジウムからなる群より選択される少なくとも1種であることがより更に好ましい。
【0023】
プロトン性溶媒溶液中における元素Aのイオンは、塩や錯体を形成していてもよい。塩又は錯体としては、例えば、酢酸銅(I)、酢酸銅(II)、臭化銅(I)、臭化銅(II)、塩化銅(I)、塩化銅(II)、ヨウ化銅(I)、ヨウ化銅(II)、硝酸銅(II)、ビス(2,4−ペンタンジオネート)銅(II)、テトラクロロ銅(II)酸カリウム、塩化ルテニウム(III)、酸化ルテニウム(VIII)、過ルテニウム酸カリウム(VII)、過ルテニウム酸ナトリウム(VII)、酢酸ロジウム(II)、塩化ロジウム(III)、硝酸ロジウム(III)、ビス(1,5−シクロオクタジエン)−μ,μ'−ジクロロロジウム、トリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)クロリド、酢酸パラジウム(II)、塩化パラジウム(II)、臭化パラジウム(II)、ヨウ化パラジウム(II)、酸化パラジウム(II)、硝酸パラジウム(II)、パラジウム(II)アセチルアセトナート、ビス(2,4−ペンタンジオネート)パラジウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、テトラクロロパラジウム(II)酸カリウム、酢酸銀(I)、トリフルオロメタンスルホン酸銀(I)、塩化銀(I)、硝酸銀(I)、p−トルエンスルホン酸銀(I)、塩化レニウム(III)、塩化レニウム(IV)、塩化レニウム(V)、レニウムペンタカルボニルクロリド、塩化オスミウム(III)、酸化オスミウム(VIII)、塩化イリジウム(III)、塩化イリジウム(IV)、臭化イリジウム(III)、臭化イリジウム(IV)、塩化白金(II)、塩化白金(IV)、ヘキサクロロ白金(IV)酸カリウム、ヘキサクロロ白金(IV)酸ナトリウム、ヘキサクロロ白金(IV)酸、テトラキス(トリフェニルホスフィン)白金(0)、テトラクロロ白金(II)酸カリウム、塩化金(I)、塩化金(III)、臭化金(III)、テトラシアノ金(III)酸カリウム、テトラクロロ金(III)酸、塩化(トリフェニルホスフィン)金(I)、ジシアノ金(I)酸カリウム、酢酸水銀(I)、酢酸水銀(II)、塩化水銀(I)、塩化水銀(II)、硝酸水銀(I)、硝酸水銀(II)、塩化ひ素(III)、臭化ひ素(III)、メタ亜ひ酸(III)、メタ亜ひ酸ナトリウム(III)、メタ亜ひ酸カリウム(III)、塩化セレン(IV)、臭化セレン(IV)、亜セレン酸(IV)、亜セレン酸ナトリウム(IV)、亜セレン酸カリウム(IV)、塩化ニオブ(III)、臭化ニオブ(III)、酸化二オブ(V)、塩化ニッケル(II)、臭化ニッケル(II)、酸化ニッケル(II)、塩化アンチモン(III)、臭化アンチモン(III)、酸化アンチモン(III)、硝酸ビスマス(III)、塩化ビスマス(III)、臭化ビスマス(III)、ヨウ化ナトリウム(I)、ヨウ化カリウム(I)、ヨウ素酸ナトリウム(V)、ヨウ素酸カリウム(V)、塩化ゲルマニウム(IV)、臭化ゲルマニウム(IV)、酸化ゲルマニウム(IV)、硝酸鉛(II)、酢酸鉛(II)、塩化鉛(II)、臭化鉛(II)、塩化テルル(IV)、臭化テルル(IV)、酸化テルル(IV)、テルル酸ナトリウム(VI)、テルル酸カリウム(VI)、硫酸ナトリウム(VI)、硫酸カリウム(VI)、亜硫酸ナトリウム(IV)、亜硫酸カリウム(IV)等を用いることができる。
【0024】
元素Aのイオンが含まれており、かつ難溶性ポリシランが添加されるプロトン性溶媒溶液は、例えば、元素Aの塩や錯体を含む固体又は液体の試料を、適当なプロトン性溶媒と混合して溶解させることによって調製することができる。当該プロトン性溶媒としては、難溶性ポリシランによって元素Aのイオンを粒子化させる工程において液状であればよく、一般的に使用されているプロトン性溶媒の中から、元素Aのイオンの種類、夾雑物の有無や種類等を考慮して、適宜選択して用いられる。当該プロトン性溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒;水;及びこれらの混合溶媒;等が挙げられる。
【0025】
元素Aは、プロトン性溶媒溶液中で溶解していることが好ましい。このため、例えば、元素Aを含む試料が固形であった場合や、元素Aが液状の試料中に分散している場合に、当該試料を、元素Aが溶解可能なプロトン性溶媒に溶解又は希釈して得た溶液に、難溶性ポリシランを添加することが好ましい。
【0026】
本発明に係る粒子の製造方法においては、元素Aのイオンを含むプロトン性溶媒溶液に、難溶性ポリシランを添加し、当該溶液中で難溶性ポリシランを分散させる。当該溶液中で、難溶性ポリシランが元素Aのイオンと接触し、これを還元することによって、元素Aの粒子が製造される。当該溶液中に難溶性ポリシランを均一に分散させることにより、効率よく元素Aを粒子化することができる。このため、難溶性ポリシラン添加後の溶液は、撹拌することが好ましい。また、元素Aの粒子化効率をより高めるために、難溶性ポリシラン添加後の溶液は、一定時間インキュベートすることが好ましい。インキュベート時間は、溶液の総量、難溶性ポリシランの添加量、期待される元素Aの溶液中の存在量等を考慮して適宜決定される。例えば、難溶性ポリシラン添加後、5分間〜3時間、室温で撹拌しながらインキュベートすることにより、より効率よく元素Aのイオンを還元して当該元素の粒子を製造することができる。
前記難溶性ポリシランの添加量は、吸着性の観点から、1重量%の元素A溶液に対して、10〜100重量%であることが好ましく、20〜40重量%であることがより好ましい。
【0027】
本発明に係る粒子の製造方法の粒子化対象は、1種類の元素Aのイオンであってもよく、2種類以上の元素Aのイオンであってもよい。2種類以上の元素Aのイオンを含むプロトン性溶媒溶液に、前記難溶性ポリシランを添加することにより、2種類以上の元素Aを含む粒子が得られる。
【0028】
また、難溶性ポリシランにより、プロトン性溶媒溶液中において、元素Aのイオンは粒子化されるものの、標準電極電位が0V以下の元素のイオンは粒子化しない。このため、本発明に係る粒子の製造方法により、多種多様な元素のイオンが含まれているプロトン性溶媒溶液(例えば、少なくとも1種の元素Aのイオンと、少なくとも1種の標準電極電位が0V以下の元素のイオンをいずれも含むプロトン性溶媒溶液)から、元素Aの粒子を選択的に製造することができる。
前記標準電極電位が0V以下の元素として、例えば、カリウム(−2.92V)、カルシウム(−2.84V)、ナトリウム(−2.71V)、チタン(−1.74V)、亜鉛(−0.76V)、クロム(−0.73V)、コバルト(−0.27V)、ニッケル(−0.23V)、錫(−0.14V)等が挙げられる。
【0029】
還元により得られた元素Aの粒子は凝集する。元素Aが遷移金属、半金属等の比較的比重の重い元素である場合には、元素Aの粒子は沈殿する。このため、難溶性ポリシランによる還元反応によって得られた元素Aの粒子は、濾過処理等の簡便な固液分離処理によって容易に回収することができる。難溶性ポリシランと元素Aの粒子は、いずれもプロトン性溶媒溶液に不溶であるが、これらは比重の差等を利用して分離して回収することができる。
【0030】
元素Aをイオンから粒子化する際のプロトン性溶媒溶液の組成を適宜調整することにより、製造された元素Aの粒子を難溶性ポリシランに吸着させることもできる。特に、元素Aが硫黄等の比較的比重の軽い元素である場合には、元素Aの粒子は、難溶性ポリシランに吸着させることにより容易に回収できる。一方、前記難溶性ポリシランがジメチルポリシランの場合には、前記元素Aとしてパラジウムが選択されないことが好ましい。
元素Aとして、金、水銀、銀、ロジウム、ヨウ素、白金、ゲルマニウム、硫黄、ルテニウム、及びビスマスからなる群より選択される少なくとも1種、より好ましくは、金、銀、ロジウム、ヨウ素、白金、ゲルマニウム、及びルテニウムからなる群より選択される少なくとも1種を使用した場合に、より容易に元素Aの粒子を難溶性ポリシランに吸着させることができる。
【0031】
溶液に可溶性のポリシランを用いた場合には、元素Aの粒子が吸着されたポリシランもやはり溶液中に溶解しているため、元素Aの粒子が吸着されたポリシランを回収するためには、貧溶媒を添加する等により析出させたり、不溶化させる必要がある。これに対して、本発明においては、プロトン性溶媒溶液に可溶性のポリシランではなく、難溶性ポリシランを用いているため、元素Aの粒子が吸着された難溶性ポリシラン(元素Aの粒子と難溶性ポリシランの複合体)は、溶液中で分散しており、濾過処理等の簡便な固液分離処理によって容易に回収することができる。
【0032】
前記元素Aの粒子と難溶性ポリシランの複合体は、種々の用途に応用できる。例えば、元素Aが遷移金属、半金属、ハロゲンの場合、元素Aの粒子と難溶性ポリシランの複合体は、電気伝導性・熱伝導性・光伝導性改善の添加剤として用いることが考えられる。また、元素Aが触媒能を有する場合、元素Aの粒子と難溶性ポリシランの複合体を触媒として用いることが考えられる。
【0033】
さらに、元素Aの粒子と難溶性ポリシランの複合体を焼成し、当該複合体中の難溶性ポリシランを分解することによって、難溶性ポリシランが除去された元素Aの粒子を得ることができる。例えば、粒子化後の溶液を濾過等することによって回収した元素Aの粒子と難溶性ポリシランの複合体を、乾燥させた後、燃焼処理することによって、難溶性ポリシランを分解できる。
【0034】
本発明に係る粒子の製造方法は、プロトン性溶媒中にイオンとして存在する元素Aを粒子化することが可能であるため、工場排液や生活排液等に含まれる元素Aの回収に好適である。また、海、湖沼、河川、土壌等の自然界から採取された試料中に含まれる元素Aの回収にも好適である。
【実施例】
【0035】
以下、実施例で本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0036】
<元素Aの回収(吸着)量の測定>
元素Aのイオンを粒子化後に、難溶性ポリシランと元素Aの粒子とを濾別した後の溶液(固形物を濾過後の濾液)の元素Aの量を、ICP発光分析装置IRIS Intrepid II XDL(Thermo Elemental社製)により測定した。難溶性ポリシラン添加前に溶液中に存在していた元素Aの量から得られた測定値を差し引いた値を、元素Aの回収(吸着)量として算出した。
【0037】
[実施例1]
ポリジメチルシラン(25.10g)と金の1000ppm水溶液(1776.81g、金として1776.81mg、塩化金酸を塩酸に溶解して調製)をフラスコに加えた。当該フラスコを、室温で2週間撹拌した。当該撹拌により、フラスコ下部に金の沈殿が発生した。当該溶液は下部から、金の沈殿、液体部分、ポリジメチルシラン粉末の順に分離していた。溶液下部から金の沈殿と液体部分の混在物を抜き出し、濾過により金の沈殿と液体部分を濾別した。次いで、溶液の残存部から、濾過により液体部分とポリジメチルシラン粉末を濾別した。この金の沈殿とポリジメチルシラン粉末を減圧下60℃で乾燥して、金の沈殿(1167.24mg)と紫色粉末(23.72g)を得た。この結果、金の沈殿の回収率は66%であった。また、金の沈殿及びポリジメチルシラン粉末回収後の濾液中の金の量を測定し、ポリジメチルシラン添加前の量からの減少分(沈殿した量)を算出したところ、得られた紫色粉末の金吸着量は122μmol/gで、当該紫色粉末中の金の回収率は34%であった。
【0038】
[実施例2]
ポリジメチルシラン(5.13g)と金の1000ppm水溶液(20.10g、金として20.10mg、塩化金酸を塩酸に溶解して調製)をフラスコに加えた。当該フラスコに、窒素気流下、氷冷で攪拌しながらメタノール(50mL)を滴下した。当該フラスコ内の溶液を室温に戻した後、90分間撹拌した。次いで、当該溶液を濾過し、回収した粉末をメタノール(5mL)で3回洗浄した。この粉末を減圧下60℃で乾燥して、紫色粉末(5.10g)を得た。粉末回収後の濾液中の金の量を測定し、ポリジメチルシラン添加前の量からの減少分(ポリジメチルシランに吸着した量)を算出した。得られた粉末の金吸着量と金の回収率を表1に示す。
【0039】
得られた粉末について、広角X線回折測定を行った。当該測定は、リガク社製、X線回折装置SmartLab9kWを使用し、電圧45kV、電流200mA、線源CuKα(波長λ=1.54Å)、平行ビーム法にて、行った。
当該測定により得られたX線回析パターンを図1に示し、回析角2θが38.17°、面指数(111)における結晶子の直径に対する体積の比率を表す結晶子体積分布の結果を図2に示す。
図1に示されるX線回析パターンより、測定された粉末は金粒子を含む複合体であることが確認された。また、図2に示される面指数(111)における結晶子体積分布の結果より、金粒子直径の再頻値が9nm、平均値が54nm、中央値が30nmであることが確認された。
【0040】
[実施例3]
ポリジメチルシランの使用量を5.09gとし、金の1000ppm水溶液に代えて白金の1000ppm水溶液(20.12g、白金として20.12mg、塩化白金酸を塩酸に溶解して調製)を使用し、66時間撹拌した以外は、実施例2と同様にして灰色粉末(5.02g)を得た。得られた粉末の白金吸着量と白金の回収率を表1に示す。
【0041】
[実施例4]
ポリジメチルシランの使用量を5.18gとし、金の1000ppm水溶液に代えて銀の1000ppm水溶液(20.09g、銀として20.09mg、硝酸銀を硝酸に溶解して調製)を使用し、24時間撹拌した以外は、実施例2と同様にして黄色粉末(5.12g)を得た。得られた粉末の銀吸着量と銀の回収率を表1に示す。
【0042】
[実施例5]
ポリジメチルシランの使用量を5.09gとし、金の1000ppm水溶液に代えて水銀の1000ppm水溶液(20.22g、水銀として20.22mg、塩化水銀を硝酸に溶解して調製)を使用した以外は、実施例2と同様にして白色粉末(5.05g)を得た。得られた粉末の水銀吸着量と水銀の回収率を表1に示す。
【0043】
[実施例6]
ポリジメチルシランの使用量を5.05gとし、金の1000ppm水溶液に代えてロジウムの1000ppm水溶液(20.06g、ロジウムとして20.06mg、塩化ロジウムを塩酸に溶解して調製)を使用し、24時間撹拌した以外は、実施例2と同様にして灰色粉末(5.05g)を得た。得られた粉末のロジウム吸着量とロジウムの回収率を表1に示す。
【0044】
[実施例7]
ポリジメチルシランの使用量を5.21gとし、金の1000ppm水溶液に代えてヨウ素の1269ppm水溶液(20.21g、ヨウ素として25.65mg、ヨウ化カリウムを水に溶解して調製)を使用した以外は、実施例2と同様にして淡黄色粉末(5.17g)を得た。得られた粉末のヨウ素吸着量とヨウ素の回収率を表1に示す。
【0045】
[実施例8]
ポリジメチルシランの使用量を5.09gとし、金の1000ppm水溶液に代えてビスマスの1000ppm水溶液(20.21g、ビスマスとして20.12mg、硝酸ビスマスを硝酸に溶解して調製)を使用し、24時間撹拌した以外は、実施例2と同様にして白色粉末(5.10g)を得た。得られた粉末のビスマス吸着量とビスマスの回収率を表1に示す。
【0046】
[実施例9]
ポリジメチルシランの使用量を5.07gとし、金の1000ppm水溶液に代えてゲルマニウムの1010ppm水溶液(20.17g、ゲルマニウムとして20.37mg、酸化ゲルマニウムを塩酸に溶解して調製)を使用し、24時間撹拌した以外は、実施例2と同様にして白色粉末(5.02g)を得た。得られた粉末のゲルマニウム吸着量とゲルマニウムの回収率を表1に示す。
【0047】
[実施例10]
ポリジメチルシランの使用量を5.02gとし、金の1000ppm水溶液に代えて硫黄の1000ppm水溶液(20.05g、硫黄として20.05mg、硫酸ナトリウムを水に溶解して調製)を使用し、24時間撹拌した以外は、実施例2と同様にして白色粉末(5.02g)を得た。得られた粉末の硫黄吸着量と硫黄の回収率を表1に示す。
【0048】
[実施例11]
ポリジメチルシランの使用量を5.02gとし、金の1000ppm水溶液に代えてルテニウムの1000ppm水溶液(20.06g、ルテニウムとして20.06mg、酸化ルテニウムを塩酸に溶解して調製)を使用し、24時間撹拌した以外は、実施例2と同様にして灰色粉末(5.03g)を得た。得られた粉末のルテニウム吸着量とルテニウムの回収率を表1に示す。
【0049】
[実施例12]
ポリジメチルシランの使用量を5.07gとし、金の1000ppm水溶液に代えてオスミウムの1000ppm水溶液(20.47g、オスミウムとして20.47mg、酸化オスミウムを水に溶解して調製)を使用し、24時間撹拌した以外は、実施例2と同様にして灰色粉末(5.03g)を得た。得られた粉末のオスミウム吸着量とオスミウムの回収率を表1に示す。
【0050】
[実施例13]
ポリジメチルシランの使用量を5.17gとし、金の1000ppm水溶液に代えてイリジウムの1100ppm水溶液(20.14g、イリジウムとして22.15mg、塩化イリジウムを水に溶解して調製)を使用し、24時間撹拌した以外は、実施例2と同様にして白色粉末(5.13g)を得た。得られた粉末のイリジウム吸着量とイリジウムの回収率を表1に示す。
【0051】
[実施例14]
ポリジメチルシランの使用量を5.08gとし、金の1000ppm水溶液に代えてレニウムの1280ppm水溶液(20.31g、レニウムとして26.00mg、過レニウム酸カリウムを塩酸に溶解して調製)を使用し、24時間撹拌した以外は、実施例2と同様にして白色粉末(5.13g)を得た。得られた粉末のレニウム吸着量とレニウムの回収率を表1に示す。
【0052】
[実施例15]
ポリジメチルシランの使用量を5.11gとし、金の1000ppm水溶液に代えて銅の1010ppm水溶液(20.07g、銅として20.27mg、酢酸銅を酢酸に溶解して調製)を使用し、24時間撹拌した以外は、実施例2と同様にして白色粉末(5.13g)を得た。得られた粉末の銅吸着量と銅の回収率を表1に示す。
【0053】
[実施例16]
ポリジメチルシランの使用量を5.25gとし、金の1000ppm水溶液に代えてテルルの1230ppm水溶液(20.29g、テルルとして24.96mg、酸化テルルを塩酸に溶解して調製)を使用し、24時間撹拌した以外は、実施例2と同様にして灰色粉末(5.21g)を得た。得られた粉末のテルル吸着量とテルルの回収率を表1に示す。
【0054】
[実施例17]
ポリジメチルシランの使用量を5.41gとし、金の1000ppm水溶液に代えて鉛の1000ppm水溶液(20.76g、鉛として20.76mg、硝酸鉛を硝酸に溶解して調製)を使用した以外は、実施例2と同様にして白色粉末(5.40g)を得た。得られた粉末の鉛吸着量と鉛の回収率を表1に示す。
【0055】
[実施例18]
ポリジメチルシランの使用量を5.05gとし、金の1000ppm水溶液に代えてひ素の1060ppm水溶液(20.40g、ひ素として21.62mg、メタ亜ひ素酸ナトリウムを水に溶解して調製)を使用し、24時間撹拌した以外は、実施例2と同様にして白色粉末(5.03g)を得た。得られた粉末のひ素吸着量とひ素の回収率を表1に示す。
【0056】
[実施例19]
ポリジメチルシランの使用量を5.14gとし、金の1000ppm水溶液に代えてパラジウムの1000ppm水溶液(20.31g、パラジウムとして20.31mg、塩化パラジウムを塩酸に溶解して調製)を使用した以外は、実施例2と同様にして灰色粉末(5.11g)を得た。得られた粉末のパラジウム吸着量とパラジウムの回収率を表1に示す。
【0057】
[実施例20]
ポリジメチルシランの使用量を5.18gとし、金の1000ppm水溶液に代えて金とナトリウム(標準電極電位:−2.714V)の含有水溶液(20.18g、金として9.89mgとナトリウムとして10.29mg含有、塩化金酸と塩化ナトリウムを塩酸に溶解して調製)を使用し、24時間撹拌した以外は、実施例2と同様にして紫色粉末(5.16g)を得た。得られた粉末の金及びナトリウム吸着量と金及びナトリウムの回収率を表1に示す。
【0058】
[実施例21]
ポリジメチルシランに代えてポリジフェニルシラン(15.55g)使用し、金の1000ppm水溶液に代えてパラジウムの1000ppm水溶液(20.35g、パラジウムとして20.35mg、塩化パラジウムを塩酸に溶解して調製)を使用した以外は、実施例2と同様にして灰色粉末(15.13g)を得た。得られた粉末のパラジウム吸着量とパラジウムの回収率を表1に示す。
【0059】
[実施例22]
ポリジメチルシランに代えて下記式(e)で表されるポリシラン(e)(ジフェニルシランとモノフェニルシランの50:50モル%のポリマー)(5.07g)を使用し、金の1000ppm水溶液に代えてパラジウムの100ppm水溶液(20.16g、パラジウムとして2.02mg、塩化パラジウムを塩酸に溶解して調製)を使用し、24時間撹拌した以外は、実施例2と同様にして灰色粉末(5.02g)を得た。得られた粉末のパラジウム吸着量とパラジウムの回収率を表1に示す。
【0060】
[実施例23]
ポリジメチルシランに代えて下記式(f)で表されるポリシラン(f)(ジメチルシランとジフェニルシランの50:50モル%のポリマー)(5.03g)を使用し、金の1000ppm水溶液に代えてパラジウムの100ppm水溶液(20.20g、パラジウムとして2.02mg、塩化パラジウムを塩酸に溶解して調製)を使用し、24時間撹拌した以外は、実施例2と同様にして灰色粉末(5.02g)を得た。得られた粉末のパラジウム吸着量とパラジウムの回収率を表1に示す。
【0061】
【化2】
【0062】
[実施例24]
ポリジメチルシランに代えてポリジフェニルシラン(5.00g)を使用し、金の1000ppm水溶液に代えて金の90ppm水溶液(20.43g、金として1.84mg、塩化金酸を塩酸に溶解して調製)を使用し、24時間撹拌した以外は、実施例2と同様にして紫色粉末(4.98g)を得た。得られた粉末の金吸着量と金の回収率を表1に示す。
【0063】
[実施例25]
ポリジメチルシランに代えて前記ポリシラン(e)(5.03g)を使用し、金の1000ppm水溶液に代えて金の90ppm水溶液(20.27g、金として1.82mg、塩化金酸を塩酸に溶解して調製)を使用し、24時間撹拌した以外は、実施例2と同様にして紫色粉末(4.93g)を得た。得られた粉末の金吸着量と金の回収率を表1に示す。
【0064】
[実施例26]
ポリジメチルシランに代えて前記ポリシラン(f)(5.01g)を使用し、金の1000ppm水溶液に代えて金の90ppm水溶液(20.47g、金として1.84mg、塩化金酸を塩酸に溶解して調製)を使用し、24時間撹拌した以外は、実施例2と同様にして紫色粉末(5.01g)を得た。得られた粉末の金吸着量と金の回収率を表1に示す。
【0065】
【表1】
【0066】
実施例1〜11に示すように、標準電極電位が0.2V以上であるこれらの元素は、水やメタノール等のプロトン性溶媒溶液中において、ポリジメチルシランによって還元され、得られた粒子をポリジメチルシランに吸着させることができた。また、実施例1においては、金粒子をポリジメチルシランとは独立した沈殿としても回収できた。特に、金、白金、銀、ロジウム、ヨウ素、ゲルマニウム、ルテニウム、オスミウム、及びパラジウムは、回収率が非常に高かった。また、実施例20の結果から、プロトン性溶媒溶液に、標準電極電位が0V以下の元素のイオンと標準電極電位が0Vよりも大きい元素のイオンが含まれている場合においても、標準電極電位が0Vよりも大きい元素の粒子を選択的に製造できることが分かった。さらに、実施例19、21、22及び23を比較したところ、ポリジメチルシラン、ジフェニルシランとモノフェニルシランのポリマー、及びジメチルシランとジフェニルシランのポリマーのほうが、ポリジフェニルシランよりもパラジウムの回収率が明らかに高く、難溶性ポリシランの種類によって回収率に差が出ることもわかった。
【産業上の利用可能性】
【0067】
プロトン性溶媒溶液中の標準電極電位が0Vよりも大きい元素のイオンを、効率よく簡便に粒子化することができるため、本発明に係る粒子の製造方法、及び標準電極電位が0Vよりも大きい元素の粒子とポリシランの複合体は、排水や自然界から採取した水等からの有用元素の回収や浄化処理等の分野において利用可能である。
図1
図2