(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
封止部材が開位置にあるときに、封止部材に設けられた開位置用係合部が、カバー部材に設けられた開位置用被係合部に係合することによって、開位置にある封止部材が開位置で保持されるようにするとともに、
封止部材が閉位置にあるときに、封止部材に設けられた閉位置用係合部が、カバー部材に設けられた閉位置用被係合部に係合することによって、閉位置に移動した封止部材が閉位置で保持されるようにした
請求項1又は2記載の遊技機用封止部材付きカバー。
逃し部が、封止部材における前記被作用部に沿った箇所のうち、封止部材が開位置にあるときに前記作用部と前記被作用部とが接触する部分周辺には設けられていない請求項1〜3いずれか1つに記載の遊技機用封止部材付きカバー。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の遊技機用封止部材付きカバーの好適な実施態様について、図面を用いてより具体的に説明する。以下においては、説明の便宜上、本発明の遊技機用封止部材付きカバーを回胴式遊技機において採用する場合を例に挙げて説明するが、本発明の遊技機用封止部材付きカバーは、パチンコ遊技機等の他の遊技機においても採用することができる。
【0023】
1. 回胴式遊技機
図1は、回胴式遊技機10を前方から見た状態を示した図である。以下においては、説明の便宜上、図中のx軸方向正側を「左」とし、x軸方向負側を「右」とし、y軸方向正側を「後」とし、y軸方向負側を「前」とし、z軸方向正側を「上」とし、z軸方向負側を「下」として説明する。しかし、これら向きを表す語句は、各部の相対的な位置関係を表すために用いたものに過ぎず、各部の絶対的な位置関係を指定するものではない。x軸、y軸及びz軸の向きは、
図1以外の他の図面においても共通である。
【0024】
回胴式遊技機10は、
図1に示すように、その前面側に、メダルを投入するためのメダル投入口11と、メダルを払い出すためのメダル払出口12と、その外周面に図柄が描かれた3本のリール13,14,15と、映像演出を行うための液晶ディスプレイ16と、照明演出を行うための発光ランプ(図示省略)と、音声演出を行うためのスピ−カー17等を備えたものとなっており、操作部として、1遊技当たりの最大枚数(通常3枚)のメダルをベットするためのマックスベットボタン18と、ベットするメダルを1枚ずつ増加するためのシングルベットボタン19と、リール13,14,15の回転を開始するためのスタートレバー20と、リール13,14,15の回転をそれぞれ停止するための3個のストップボタン21,22,23と、演出を切り替えるためのチャンスボタン24と、クレジットされたメダルを払い戻すための払戻しボタン25等を有するものとなっている。
【0025】
この回胴式遊技機10は、メダルのクレジット枚数が所定枚数以上となった状態でスタートレバー20が操作されると、役抽選が実行されるとともにリール13,14,15が一斉に回転を開始し、ストップボタン21,22,23がそれぞれ操作されると、操作されたストップボタン21,22,23に対応するリール13,14,15の回転が停止していき、全てのリール13,14,15が停止したときにリール窓10b
1の有効ライン上に表示される図柄の組み合わせが役抽選で当選した役に対応したものとなっていた場合(入賞した場合)に、その役に応じた枚数のメダルが払い出され、メダルのクレジット枚数が上限値に達しているときには、ホッパーユニット36(
図2を参照)から送出されたメダルがメダル払出口12を通じて払い出されるようになっている。メダルのクレジット枚数は、メダルのクレジット枚数が上限値に達していないときに、メダル投入口11にメダルが投入される、又は、入賞によってメダルが払い出されると増加するようになっている。
【0026】
図2は、前扉10bが開かれた回胴式遊技機10を左前斜め上方から見た状態を示した図である。回胴式遊技機10は、
図2に示すように、前方が開放された箱状を為す筺体本体10aと、筺体本体10aの前面側に開閉可能な状態で取り付けられた前扉10bとで構成された遊技機筺体の内部に各種の機器が収容されたものとなっている。本実施態様において、遊技機筺体の内部には、制御基板ユニット30、液晶ユニット32、電源ユニット33、コネクタユニット34、リールユニット35及びホッパーユニット36等が納められている。
【0027】
制御基板ユニット30は、役抽選や入賞判定等、遊技における基本的な制御を行うメイン制御基板(電子基板)と、発光ランプや音声による演出等、遊技における演出に関する制御を行うサブ制御基板(電子基板)とが格納された遊技機用基板ユニットである。液晶ユニット32は、液晶ディスプレイ16(
図1を参照)に表示される映像による演出に関する制御を行う映像基板(電子基板)が格納された遊技機用基板ユニットである。電源ユニット33は、回胴式遊技機10における各機器に電力を供給する電源基板(電子基板)が格納された遊技機用基板ユニットである。コネクタユニット34は、特定の機器に接続されたケーブルを仲介する仲介基板(電子基板)が格納された遊技機用基板ユニットである。リールユニット35は、リール13,14,15の回転をそれぞれ独立して制御するリール制御基板(電子基板)が格納された遊技機用基板ユニットを備えたユニットである。ホッパーユニット36は、メダル投入口11(
図1を参照)に投入されたメダルを回収するとともに、制御基板ユニット30からの信号に基づいてメダル払出口12(
図1を参照)へメダルを送出する制御を行うホッパー制御基板(電子基板)が格納された遊技機用基板ユニットを備えたユニットである。
【0028】
これらのユニットに格納された各種電子基板のうち、例えば、制御基板ユニット30に格納されたメイン制御基板には、回胴式遊技機10における基本的な制御を行うためのプログラムが記録された記憶装置(ROM)が搭載されている。この記憶装置が偽造されたものに交換されてしまうと、特定の操作を行うと必ず大当たりになるようにする等、悪意のある遊技者に不正な遊技を許してしまう。このため、制御基板ユニット30は、メイン制御基板を封止できる構造とする必要がある。
【0029】
本実施態様においては、
図3に示すように、制御基板ユニット30を、メイン制御基板を格納するためのメイン制御基板用ケース30aと、サブ制御基板を格納するためのサブ制御基板用ケース30bと、ホルダ30cと、カバー30dとで構成している。
図3は、制御基板ユニット30を分解した状態を左前斜め上方から見た状態で示した図である。この制御基板ユニット30は、メイン制御基板用ケース30aとサブ制御基板用ケース30bとをホルダ30cの前面側に取り付けた後、カバー30dをメイン制御基板用ケース30a及びサブ制御基板用ケース30bの前面側に宛がった状態でカバー30dをホルダ30cに固定する構造となっている。ホルダ30cに対するカバー30dの固定方法は、特に限定されない。本実施態様においては、カバー30dに設けたネジ挿通穴101,102,103にネジ30eを挿通し、それぞれのネジ30eの先端部をホルダ30cに設けられたネジ螺合部30c
1,30c
2,30c
3に螺合することによって、カバー30dをホルダ30cに固定するようにしている。
【0030】
本発明に係る遊技機用封止部材付きカバーは、上記の制御基板ユニット30のカバー30dとして好適に採用することができる。以下においては、説明の便宜上、制御基板ユニット30のカバー30dとして採用する場合を例に挙げて、本発明の遊技機用封止部材付きカバーを説明する。しかし、本発明の遊技機用封止部材付きカバーの用途は、制御基板ユニット30のカバー30dに限定されない。本発明の遊技機用封止部材付きカバーは、遊技機において不正なアクセスの対象となり得る部分を覆う各種のカバーとして好適に採用することができる。
【0031】
2.遊技機用封止部材付きカバー
図4は、遊技機用封止部材付きカバー100を左前斜め上方から見た状態を示した図である。同図における拡大部分は、封止部材保護部114を切除した状態で示している。
図5は、遊技機用封止部材付きカバー100における封止対象部Cの周辺を右前斜め上方から見た状態を示した拡大図である。同図では、カバー部材110等を、y−z面に平行で、ネジ挿通穴101の中心を通る平面で切断した状態で示している。
図6は、封止部材120が開位置にあるときの遊技機用封止部材付きカバー100における封止対象部Cの周辺を前方から見た状態を示した拡大図である。同図では、封止部材保護部114(
図4を参照)を切除した状態で示している。
図7は、封止部材120が開位置にあるときの遊技機用封止部材付きカバー100における封止対象部Cの周辺を、
図6におけるZ
1−Z
1面で切断した状態を示した拡大断面図である。
図8は、封止部材120が閉位置にあるときの遊技機用封止部材付きカバー100における封止対象部Cの周辺を前方から見た状態を示した拡大図である。同図では、封止部材保護部114(
図4を参照)を切除した状態で示している。
図9は、封止部材120が閉位置にあるときの遊技機用封止部材付きカバー100における封止対象部Cの周辺を、
図8におけるZ
1−Z
1面で切断した状態を示した拡大断面図である。
図10は、遊技機用封止部材付きカバー100を左後斜め上方から見た状態を示した図である。
図11は、遊技機用封止部材付きカバー100におけるカバー部材110の封止部材収容部111aに封止部材120を収容している様子を左後斜め上方から見た状態を示した図である。
図12は、遊技機用封止部材付きカバー100におけるカバー部材110の裏蓋固定部111bに裏蓋113を固定している様子を左後斜め上方から見た状態を示した図である。
図10〜12においては、側壁部112を破断して示している。
図13は、裏蓋113を左前斜め上方から見た状態を示した図である。
図14は、封止部材120を左前斜め上方から見た状態を示した図である。
図15は、封止部材120を前方から見た状態を示した図である。
図16は、操作部材130を左前斜め上方から見た状態を示した図である。
図17は、操作部材130を後方から見た状態を示した図である。
【0032】
遊技機用封止部材付きカバー100は、
図4に示すように、封止対象部Cを有するカバー部材110と、カバー部材110に対して移動可能な状態で取り付けられた封止部材120と、封止部材120を移動させるための操作部材130とを備えたものとなっており、封止部材120を、封止対象部Cを覆わない開位置(
図4(a))から封止対象部Cを覆う閉位置(
図4(b))に移動させることにより、封止対象部Cを外部に露出しないように封止することが可能なものとなっている。
【0033】
封止部材120で封止する封止対象部Cは、カバー部材110における封止する必要がある箇所、すなわち、不正なアクセスを制限する必要がある箇所であれば特に限定されない。封止対象部Cの具体例としては、カバー部材110を他の部材に固定するためにネジ留めした箇所等が挙げられる。本実施態様においては、ネジ挿通穴101の奥部C
1と、ネジ挿通穴102の奥部C
2とを、封止対象部Cとしている。すなわち、ネジ挿通穴101,102の奥部C
1,C
2に容易にアクセスできてしまうと、ネジ30e(
図3)を外して遊技機用封止部材付きカバー100をホルダ30c(
図3)から取り外すことも容易となり、メイン制御基板等に対する不正アクセスの危険性が高まるところ、ネジ挿通穴101,102を封止部材120で覆うことで、ネジ挿通穴101,102の奥部C
1,C
2への不正アクセスを防止している。
【0034】
以下、本実施態様の遊技機用封止部材付きカバー100を構成する各部材について、詳しく説明する。以下においては、説明の便宜上、主に、封止対象部C
1側の構成を説明し、封止対象部C
2側の構成については説明を割愛するが、封止対象部C
2側においても封止対象部C
1側と略同様の構成を採用することができる。
【0035】
2.1 カバー部材
カバー部材110は、それによって覆われた部材等(本実施態様においては、メイン制御基板用ケース30a(
図3)及びサブ制御基板用ケース30b(
図3))を不正アクセスや衝撃等から保護するためのものとなっている。カバー部材110の具体的な形状は、その保護対象となる部材の形状等によっても異なり、特に限定されない。本実施態様において、カバー部材110は、
図4に示すように、前面視矩形状を為す前壁部111と、前壁部111の縁部から後向きに起立して設けられた側壁部112とで構成している。カバー部材110には、ネジ30e(
図3)を挿通するためのネジ挿通穴101,102,103のほか、図示省略のケーブルやコネクタを通すための開口部等が形成されている。
【0036】
カバー部材110には、封止対象部C
1(ネジ挿通穴101の奥部)を封止するための封止部材120が取り付けられている。封止部材120は、カバー部材110に対して移動可能な状態で取り付けられる。封止部材120の移動態様は、特に限定されないが、通常、スライド移動(直線に沿ったスライド移動だけでなく、円弧等の曲線に沿ったスライド移動をも含むものとする。)とされる。本実施態様において、スライド部材120は、左右方向(x軸方向)にスライド移動するようになっている。
【0037】
カバー部材110に対する封止部材120の取付態様は、特に限定されない。しかし、封止部材120がカバー部材110の外面に露出した状態で取り付けられていると、封止部材120を破壊してカバー部材110から取り外し、不正アクセスを行った後、封止部材120が元々あった箇所に偽造品の封止部材120を取り付けることによって、不正アクセスの証拠隠滅を図ることが可能になる虞がある。このため、封止部材120は、カバー部材110の内側に埋め込んだ状態で取り付けると好ましい。これにより、カバー部材110を破壊等しない限りは、封止部材120をカバー部材110から取り外すことができないようにすることが可能になる。実施態様においては、以下の構成を採用することによって、カバー部材110の内側に封止部材120を埋め込んだ状態としている。
【0038】
すなわち、
図11及び
図12に示すように、カバー部材110の前壁部111に封止部材収容部111aを設けており、この封止部材収容部111aに封止部材120を収容するようにしている。前壁部111における封止部材収容部111aに隣接する区画には、操作部材130を収容するための操作部材収容部111cを設けている。封止部材収容部111aの左右方向(x軸方向)の幅は、封止部材120の左右方向の幅よりも広くなっている。このため、封止部材20を封止部材収容部111a内で左右方向にスライド移動させることが可能となっている。
【0039】
封止部材収容部111a及び操作部材収容部111cの前面側は、封止部材保護部114によって覆われて塞がれた状態となっている。封止部材保護部114は、カバー部材110の本体と一体的に連続した状態で設けられている。封止部材保護部114におけるネジ挿通穴101(封止対象部C
1)と前後方向(y軸方向)に重なる部分には、ネジ挿通穴101にネジ30e(
図3)を挿入するための開口部114aが形成されている。このため、封止部材120は、開口部114aに重なる部分を除いて、カバー部材110の前面側に露出しないようになっている。封止部材保護部114における操作部材収容部111cと重なる部分には、操作部材130の頭部132(
図16)をカバー部材110の前面側へ露出させるための露出窓114bが設けられている。
【0040】
一方、封止部材収容部111aの後面側は、裏蓋113で覆われる。裏蓋113には、ネジ挿通穴101(封止対象部C
1)が設けられている。裏蓋113は、カバー部材110の本体とは別体で形成されており、前壁部111に形成された裏蓋固定部111bに嵌め込んだ状態で固定するようになっている。裏蓋113は、接着や溶着等、固定対象箇所に対して一体的に固化される方法で固定すると好ましい。これにより、封止部材120をカバー部材110の内側に埋め込んだ状態とし、カバー部材110を破壊等しなければ、封止部材120を取り外すことができないようにすることが可能になる。このため、不正アクセスの痕跡を消しにくくすることができる。
【0041】
裏蓋113には、
図13に示すように、操作部材支持穴113aと、開位置用被係合部113bと、閉位置用被係合部113cも設けられている。このうち、操作部材支持穴113aは、操作部材収容部111cに収容された操作部材130の軸部131(
図11)を回転可能な状態で支持するための部分となっている。
【0042】
また、開位置用被係合部113bは、
図7に示すように、封止部材120が開位置にあるときに、封止部材120に設けられた開位置用係合部122が係合するための部分となっている。開位置用係合部122が開位置用被係合部113bに係合することによって、開位置にある封止部材120が開位置で保持される。本実施態様においては、開位置用被係合部113bにおける被係合面113b
1(開位置にある封止部材120を閉方向V
1にスライド移動させようとした際に開位置用係合部122によって押圧される面)を、封止部材120のスライド方向(x軸方向)に対して垂直とならないように傾斜させている。このため、開位置用被係合部113bに対する開位置用係合部122の係合は、遊技機用封止部材付きカバー100を持ち運ぶ際の振動等では外れないようになっているものの、操作部材130(
図6)を操作して開位置にある封止部材120を閉方向V
1へスライド移動させようとした際には容易に外れるようになっている。
【0043】
さらに、閉位置用被係合部113cは、
図9に示すように、封止部材120が閉位置にあるときに、封止部材120に設けられた閉位置用係合部122(本実施態様においては、後述するように、開位置用係合部と閉位置用係合部とを共用しているため、開位置用係合部と閉位置用係合部とには同じ符号が付されている。)が係合するための部分となっている。閉位置用係合部122が閉位置用被係合部113cに係合することによって、閉位置にある封止部材120が閉位置で保持される。本実施態様においては、閉位置用被係合部113cにおける被係合面113c
1(閉位置にある封止部材120を開方向にスライド移動させようとした際に閉位置用係合部122によって押圧される面)を、封止部材120のスライド方向(x軸方向)に対して略垂直に形成している。このため、操作部材130を操作して、閉位置にある封止部材120を開方向V
3へスライド移動させようとしても、閉位置用被係合部113cに対する閉位置用係合部122の係合が、容易には外れないようになっている。
【0044】
2.2 封止部材
封止部材120は、
図4(a)に示すように、封止対象部C
1を覆わない開位置から、
図4(b)に示すように、封止対象部C
1を覆う閉位置に移動することにより、封止対象部C
1を外部に露出しないように封止するための部材となっている。封止部材120は、開位置から閉位置に移動するのであれば、その移動態様を限定されないが、本実施態様においては、既に述べたように、左右方向(x軸方向)にスライド移動するようにしている。封止部材120の形態は、閉位置にあるときに封止対象部C
1を覆うことができるのであれば、特に限定されない。本実施態様において、封止部材120は、
図14及び
図15に示すように、前面視矩形状を為す板状部材によって構成している。
【0045】
封止部材120には、操作部材130からの力を受けるための被作用部として、複数の噛合歯βからなる噛合歯列部Bを設けている。噛合歯列部Bの噛合歯βは、操作部材130(
図16)における噛合歯列部Aを構成する噛合歯αに噛み合わせるための部分となっている。噛合歯列部Bは、噛合歯列部Aに噛み合わせることができるのであれば、それを設ける場所を特に限定されない。本実施態様においては、封止部材120の下端面に沿って噛合歯列部Bを直線状に設けている。
【0046】
噛合歯列部Bを構成するそれぞれの噛合歯βの形態は、噛合歯αの形態等によって異なり、特に限定されないが、通常、三角形状とされる。本実施態様においては、それぞれの噛合歯βにおける一対の噛合面のうち、一方の噛合面(操作部材130を閉方向へ操作した際に噛合歯αによって押圧される側の面)を、封止部材120の移動面(封止部材120を通る、x−z面に平行な面)に対して略垂直に形成する一方、他方の噛合面(操作部材130を開方向へ操作した際に噛合歯αによって押圧される面。
図15に示した各噛合歯βにおける網掛けハッチングで示した部分を参照。)を、封止部材120の移動面に対して非垂直となるように傾斜させている。このため、操作部材130を閉方向へ操作する際には、噛合歯αから噛合歯βへ力が加わりやすい一方、操作部材130を開方向に操作する際には、噛合歯αから噛合歯βへ力が加わりにくくなっている。
【0047】
封止部材120における噛合歯列部Bに沿った箇所には、逃し部121を設けている。逃し部121は、噛合歯列部Bが逃し部121側に外力を受けたときに、噛合歯列部Bの逃し部121側への変位を許容させるための部分となっている。すなわち、噛合歯列部Bに沿った箇所に逃し部121を設けることによって、封止部材120における逃し部121に沿った箇所(
図15における網掛けハッチングで示した部分D)を逃し部121側へ変形しやすくしている。
【0048】
逃し部121は、噛合歯列部Bの変位を許容できるのであれば、その形態を特に限定されない。例えば、封止部材120に設けた開口部や切欠部等、封止部材120における成形材料が存在しない部分(空白部)を、逃し部121とすることができる。本実施態様においては、封止部材120の下縁に沿って設けたスリットを逃し部121としている。当該スリットは、封止部材120を厚さ方向(y軸方向)に貫通した状態で設けている。しかし、逃し部121は、封止部材120を厚さ方向に貫通した状態で設ける必要はなく、封止部材120における他の部分よりも薄く形成した薄肉部の状態で設けることもできる。
【0049】
逃し部121は、封止部材120における噛合歯列部Bに沿った箇所の全体に設けてもよい。しかし、本実施態様においては、
図8に示すように、封止部材120が閉位置にあるときに噛合歯αと噛合歯βとが噛み合う部分(閉位置接触部E
1)の周辺には逃し部121を設けているものの、
図6に示すように、封止部材120が開位置にあるときに噛合歯αと噛合歯βとが噛み合う部分(開位置接触部E
2)の周辺には逃し部121を設けていない。このため、閉位置にある封止部材120を開方向へ移動させようとした際には、噛合歯列部Bが逃し部121側へと変位しやすくする一方、開位置にある封止部材120を閉方向へ移動させようとした際には、噛合歯列部Bが逃し部121側へと変位しにくい状態となっている。
【0050】
また、封止部材120には、係合部122が設けられている。この係合部122は、封止部材120が開位置にあるとき(
図7を参照)には、カバー部材110の開位置用被係合部113bに係合する一方、封止部材120が閉位置にあるとき(
図9を参照)には、カバー部材110の閉位置用被係合部113cに係合する部分となっている。換言すると、係合部122は、開位置用係合部(封止部材120が開位置にあるときに開位置用被係合部113bに係合する部分)と閉位置用係合部(封止部材120が閉位置にあるときに閉位置用被係合部113cに係合する部分)とを集約した部分となっている。本実施態様のように、開位置用被係合部113bと閉位置用被係合部113cとを別の場所に独立して設けた場合には、開位置用係合部と閉位置用係合部とを同じ係合部122に集約することができる。しかし、これは、飽くまで一例であり、開位置用係合部と閉位置用係合部は、別の場所に独立して設けてもよい。開位置用係合部と閉位置用係合部とを独立して設ける場合には、開位置用被係合部113bと閉位置用被係合部113を、同じ被係合部に集約することもできる。
【0051】
係合部122は、開位置用被係合部113b及び閉位置用被係合部113cに係合可能であれば、その個数や形態を特に限定されない。本実施態様においては、
図15に示すように、係合部122を、2個の係合部(第一係合部122a及び第二係合部122b)によって構成している。第一係合部122aと第二係合部122bはいずれも、封止部材120の後面側に突出する板状突起の形態で設けている。第一係合部122a及び第二係合部122bは、それぞれ、封止部材120に設けられた第一開口部123a及び第二開口部123bの内側に支持されている。
【0052】
係合部122のうち、第二係合部122bは、その基端側の両端部のみで第二開口部123bの内周部に支持された状態となっている。換言すると、第二係合部122bは、その基端側の両端部に設けられた脆弱部124のみで、封止部材120の本体と繋がった状態となっている。このように、第二係合部122を支持する部分を脆弱に形成したことにより、閉位置にある封止部材120を開方向へスライド移動しようとした際には、閉位置用被係合部113cの被係合面113c
1から第二係合部122に加わる外力f(
図9)に耐えられずに、脆弱部124が破壊されるようになっている。これにより、不正アクセスが試みられた痕跡をより確実に残すことが可能となっている。
【0053】
第二係合部122bを支持する部分だけでなく、第一係合部122aを支持する部分も脆弱に形成してもよい。しかし、第一係合部122aと第二係合部122bとの両方を脆弱に支持すると、閉位置にある封止部材120を開方向へスライド移動しようとした際に、第一係合部122aと第二係合部122bとのいずれもが封止部材120の本体から簡単にもげ落ちてしまい、封止部材120を開方向へスライド移動させることが可能な状態となってしまう。このため、本実施態様において、第一係合部122aは、封止部材120の本体に対して強固に支持させている。具体的には、第一係合部122aの基端側全体を、第一開口部123aの内周部に繋げた状態としている。このように、第一係合部122aと第二係合部122bとで支持態様を変えることによって、不正アクセスが試みられた際の痕跡の残りやすさと封止部材120の開けにくさとを両立させることが可能となっている。
【0054】
ところで、封止部材120における、封止部材120が閉位置にあるときに封止対象部C(
図8)に重なる箇所(封止対象部重複箇所)は、その周囲の箇所よりも脆弱に形成してもよい。これにより、正規の作業として遊技機用封止部材付きカバー100を取り外す必要が生じた場合に、封止部材120における封止対象部重複箇所を容易に破壊できるようにすることが可能になる。したがって、ネジ30e(
図3)を容易に取り外すことが可能になる。一方、不正アクセスの目的で、封止部材120における封止対象部重複箇所が破壊された場合には、その破壊痕から不正アクセスが為されたことを容易に認識することができる。封止部材120における封止対象部重複箇所を脆弱に形成する方法は、特に限定されない。例えば、封止部材120における封止対象部重複箇所に十字状の切込みを形成したり、封止部材120における封止対象部重複箇所を他の箇所よりも厚みの小さな薄肉部としたりすることによって、封止部材120における封止対象部重複箇所を脆弱に形成することができる。
【0055】
2.3 操作部材
操作部材130は、封止部材120を開位置から閉位置へと移動させるためのものとなっている。操作部材130の形態は、工具や手等で操作することによって封止部材120を移動できるのであれば、特に限定されない。本実施態様においては、
図16に示すように、軸部131と、軸部131の基端側に設けられた頭部132とからなるボルト状の部材を操作部材130としている。軸部131は、裏蓋113(カバー部材110)に設けられた操作部材支持穴113a(
図11)に挿入されて回転可能な状態で支持される。一方、頭部132は、封止部材保護部114(カバー部材110)に設けられた露出窓114b(
図11)に挿入される。このため、操作部材130の頭部132は、
図5に示すように、その前面(y軸方向負側を向く面)がカバー部材110の前面側に露出した状態とされる。頭部132の前面には、操作穴132aが設けられている。操作穴132aは、ドライバーの先端部を挿し込むための部分となっており、本実施態様においては、前面視「+」(プラス)状に形成している。したがって、プラスドライバーで操作部材130をカバー部材110の前面側から操作することで、操作部材130を回転操作することができるようになっている。
【0056】
操作部材130には、封止部材120における被作用部(噛合歯列部B)に力を作用させるための作用部として、複数の噛合歯αからなる噛合歯列部Aを設けている。噛合歯列部Aの噛合歯αは、封止部材120(
図15)における噛合歯列部Bを構成する噛合歯βに噛み合わせるための部分となっている。噛合歯列部Aは、噛合歯列部Bに噛み合わせることができるのであれば、それを設ける場所を特に限定されない。本実施態様においては、操作部材130における軸部131と頭部132との間に位置する中間部133の外周部に噛合歯列部Aを環状に設けている。これにより、操作部材130に加えられた操作力(回転力)を封止部材120に伝達し、封止部材120をスライド移動させることが可能となっている。噛合歯列部Aは、ラックアンドピニオン機構におけるピニオンとしての機能を発揮するようになっている。これに対し、噛合歯列部Bは、ラックアンドピニオン機構におけるラックとしての機能を発揮するようになっている。
【0057】
噛合歯列部Aを構成するそれぞれの噛合歯αの形態は、噛合歯βの形態等によって異なり、特に限定されないが、通常、三角形状とされる。本実施態様においては、それぞれの噛合歯αにおける一対の噛合面のうち、一方の噛合面(操作部材130を閉方向へ操作した際に噛合歯βを押圧する面)を、封止部材120の移動面(封止部材120を通る、x−z面に平行な面)に対して略垂直に形成する一方、他方の噛合面(操作部材130を開方向へ操作した際に噛合歯βを押圧する面。
図17に示した各噛合歯αにおける網掛けハッチングで示した部分を参照。)を、封止部材120の移動面に対して非垂直となるように傾斜させている。このため、操作部材130を閉方向に操作する際には、噛合歯αから噛合歯βへ力が加わりやすい一方、操作部材130を開方向に操作する際には、噛合歯αから噛合歯βへ力が加わりにくくなっている。
【0058】
3.使用方法
上述した遊技機用封止部材付きカバー100の使用方法について説明する。
【0059】
遊技機用封止部材付きカバー100の工場出荷時においては、
図4(a)に示すように、封止部材120が開位置にあり、封止対象部C(ネジ挿通穴101,102)が遊技機用封止部材付きカバー100の前面側に露出した状態となっている。このように、封止部材120が開位置にある状態(開状態)では、
図7に示すように、開位置用係合部(係合部122)が開位置用被係合部113bに係合した状態となっている。このため、封止部材120が開位置で保持されるようになっており、遊技機用封止部材付きカバー100を運搬する際等に生じる振動程度では、封止部材120が動かないようになっている。ただし、既に述べた通り、開位置用被係合部113bの被係合面113b
1は、封止部材120の移動方向に対して垂直とならないように傾斜させているため、封止部材120を閉方向へ移動させようとした際には、係合部122と開位置用被係合部113bとの係合が容易に外れるようになっている。
【0060】
続いて、遊技機用封止部材付きカバー100を所望の場所に固定する。本実施態様においては、
図3に示すように、メイン制御基板用ケース30a及びサブ制御基板用ケース30bが保持されたホルダ30cの前面側に遊技機用封止部材付きカバー100を固定する。ホルダ30cに対する遊技機用封止部材付きカバー100の固定は、開状態にある遊技機用封止部材付きカバー100における封止対象部C(ネジ挿通穴101,102)とネジ挿通穴103とにそれぞれネジ30eを挿通することによって行う。
【0061】
遊技機用封止部材付きカバー100をホルダ30cに固定すると、封止対象部Cを封止する。封止対象部Cの封止は、開位置(
図6)にある封止部材120を閉位置(
図8)まで移動させ、封止対象部Cを封止部材120で覆うことによって行う。本実施態様においては、操作部材130の操作穴132aにドライバーの先端部を嵌め込んで、操作部材130を閉方向V
2(
図6)に回転操作することで、封止部材120を閉方向V
1へスライド移動させる。封止部材120が閉位置まで移動すると、
図9に示すように、閉位置用係合部(係合部122)が閉位置用被係合部113cに係合する。このため、封止部材120が閉位置で保持されるようになっている。
【0062】
ネジ挿通穴101,102だけでなく、ネジ挿通穴103(
図3)の封止を行うこともできる。これにより、遊技機用封止部材付きカバー100をホルダ30cからさらに取り外しにくくすることができる。ただし、本実施態様においては、ネジ挿通穴103の周辺に、封止部材120に相当する部材が設けられていない。このため、ネジ挿通穴103の封止は、ネジ挿通穴103に図示省略の嵌込型の封止部材(封止キャップ)を嵌め込むこと等によって行うとよい。
【0063】
以上の手順によってホルダ30cに固定された遊技機用封止部材付きカバー100は、痕跡を残さずにホルダ30cから取り外すことが非常に困難なものとなっており、ホルダ30cから不正に取り外された場合には、その事実を発見しやすいものとなっている。すなわち、遊技機用封止部材付きカバー100をホルダ30cから取り外そうとすると、封止部材120を開位置へ移動させ、封止対象部C(ネジ挿通穴101,102)に挿通されたネジ30eを取り外す必要がある。しかし、封止部材120が閉位置にあるときには、
図9に示すように、係合部122(閉位置用係合部)が閉位置用被係合部113cに係合しているため、封止部材120は、開方向V
3へ移動しにくい状態となっている。
【0064】
加えて、
図8に示すように、封止部材120における噛合歯列部Bに沿った箇所には、逃し部121が設けられているため、封止部材120が閉位置にあるときに操作部材130を開方向V
4へ回転操作したとしても、噛合歯列部Bが逃し部121側へと変位するようになっている。すなわち、噛合歯βは、噛合歯αから押圧力Fを受けるところ、この押圧力Fの垂直成分F
1(封止部材120の移動方向に対して垂直な成分)によって噛合歯列部Bが逃し部121へ押されることで、噛合歯列部Bが逃し部121側へと変位するようになっている。
【0065】
加えて、噛合歯αにおける前記他方の噛合面(操作部材130を開方向へ操作した際に噛合歯βを押圧する面)と、噛合歯βにおける前記他方の噛合面(操作部材130を開方向へ操作した際に噛合歯αによって押圧される面)とを、封止部材120の移動面(封止部材120を通る、x−z面に平行な面)に対して非垂直に傾斜させているため、操作部材130を開方向に操作する際には、噛合歯αと噛合歯βとが、封止部材120の移動面に垂直な方向(y軸方向)で互いに離反する向きに変位するようになっており、噛合歯αから噛合歯βへ力が加わりにくくなっている。
【0066】
このため、封止部材120が閉位置にあるときに操作部材130を開方向V
4へ回転操作したとしても、噛合歯αと噛合歯βとの噛合いが浅くなって、噛合歯αが噛合歯βに対して滑り、噛合歯αから噛合歯βに操作力が上手く伝達されないようになっている。すなわち、封止部材120が閉位置にあるときに操作部材130を開方向V
4へ回転操作したとしても、噛合歯列部Aが噛合歯列部Bに対して空回りし、封止部材120が閉位置で保持されたままの状態が維持されるようになっている。また、開口部114aを通じて封止部材120を直接的に開方向へ押圧した場合等には、第二係合部122bが閉位置用被係合部113cから受ける外力fによって、脆弱部124(
図15)が破損する等、封止部材120やその周辺の部材に痕跡が残るようになっている。このように、本実施態様の遊技機用封止部材付きカバー100は、閉位置に保持された封止部材120を開方向へ移動させることが非常に困難なものとなっており、封止部材120やカバー部材110を破壊等しない限りは、封止対象部Cにアクセスすることが非常に困難なものとなっている。
封止部材120が封止対象部Cを覆わない開位置から覆う閉位置に移動することが可能な状態でカバー部材110に取り付けられた遊技機用封止部材付きカバー100において、封止部材120を移動させるための操作部材130をカバー部材110に設け、操作部材130を操作した際の操作力が作用部(噛合歯列部A)から被作用部(噛合歯列部B)に伝達することによって封止部材120が移動するようにするとともに、閉位置に移動した封止部材120が閉位置で保持されるようにし、封止部材120における前記被作用部に沿った箇所のうち、封止部材120が閉位置にあるときに前記作用部と前記被作用部とが接触する部分周辺に、前記被作用部を前記作用部から離反する向きに変位可能にさせるための逃し部121を設けた。