(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5876970
(24)【登録日】2016年1月29日
(45)【発行日】2016年3月2日
(54)【発明の名称】複数のパワートランジスタを搭載するための基板、およびパワー半導体モジュール
(51)【国際特許分類】
H01L 23/12 20060101AFI20160218BHJP
H01L 25/07 20060101ALI20160218BHJP
H01L 25/18 20060101ALI20160218BHJP
【FI】
H01L23/12 Q
H01L25/04 C
【請求項の数】11
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-516563(P2015-516563)
(86)(22)【出願日】2013年6月6日
(65)【公表番号】特表2015-519760(P2015-519760A)
(43)【公表日】2015年7月9日
(86)【国際出願番号】EP2013061735
(87)【国際公開番号】WO2013189756
(87)【国際公開日】20131227
【審査請求日】2014年12月10日
(31)【優先権主張番号】12172514.7
(32)【優先日】2012年6月19日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508346767
【氏名又は名称】アーベーベー・テクノロジー・アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハートマン,サミュエル
(72)【発明者】
【氏名】トリューセル,ドミニク
【審査官】
多田 幸司
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2013/0147540(US,A1)
【文献】
特開昭63−110742(JP,A)
【文献】
独国特許出願公開第19549011(DE,A1)
【文献】
特開2013−243356(JP,A)
【文献】
特開2001−102521(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0267185(US,A1)
【文献】
特開平9−172140(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/12
H01L 25/07
H01L 25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のパワートランジスタ(21,30)が上に搭載された基板(1)であって、
第1の金属被覆(3)を含み、第1の金属被覆(3)の上には、パワートランジスタ(21,30)がそれらのコレクタまたはエミッタで共通に搭載可能であり、第1の金属被覆(3)は、基板(1)上の少なくとも1本のライン(5)に延在し、前記基板(1)はさらに、
第2の金属被覆(9)を含み、第2の金属被覆(9)は、パワートランジスタ(21,30)のエミッタまたはコレクタのうち残りの一方への接続のために、第1の金属被覆(3)の少なくとも1本のライン(5)に隣接する区域(11)において延在し、前記基板(1)はさらに、
パワートランジスタ(21,30)のゲートコンタクトパッド(25)への接続のための第3の金属被覆(13)を含み、
第3の金属被覆(13)は、接着手段(19)によって相互接続可能である少なくとも2つのゲート金属被覆区域(16,18)を含み、
ゲート金属被覆区域(16,18)は少なくとも1本のライン(5)に対して平行に配置され、少なくとも1本のライン(5)の長手方向において間隔を空けて配置され、
少なくとも1つのゲート金属被覆区域は、基板(1)上において第2の金属被覆(9)によって囲まれたゲートアイランド(16)として設けられ、
第2の金属被覆(9)は、その上にそれらのコレクタまたはエミッタで複数のパワートランジスタ(21,30)が搭載されるよう適合され、パワートランジスタ(21,30)は、第1の金属被覆(3)上に搭載されたパワートランジスタ(21,30)と同じ配向を有し、
基板(1)は第4の金属被覆(42)を含み、第4の金属被覆(42)は、第2の金属被覆(9)上に搭載可能なパワートランジスタ(21,30)のエミッタまたはコレクタのうち残りの一方への接続のために、第2の金属被覆(9)に隣接する区域(44)において延在し、前記基板(1)はさらに、
第2の金属被覆(9)上に搭載可能なパワートランジスタ(21,30)のゲートコンタクトパッド(25)への接続のための第5の金属被覆(46)を含み、
第5の金属被覆(46)は、接着手段(19)によって相互接続可能である少なくとも2つのゲート金属被覆区域(16,18)を含み、
ゲート金属被覆区域(16,18)は少なくとも1本のライン(5)に対して平行に配置され、少なくとも1本のライン(5)の長手方向において間隔を空けて配置され、少なくとも1つのゲート金属被覆区域が、基板(1)上において第4の金属被覆(42)によって囲まれたゲートアイランド(16)として設けられる、基板(1)。
【請求項2】
第3の金属被覆(13)は、接着手段(19)によって少なくとも2つのゲート金属被覆区域(16,18)と相互接続可能であるゲートコンタクト(15)を含む、請求項1に記載の基板(1)。
【請求項3】
少なくとも1本のライン(5)の長手方向における少なくとも1つのゲートアイランド(16)の長さは、その方向へのパワートランジスタ(21,30)の延在部よりも短い、請求項1または2に記載の基板(1)。
【請求項4】
第1の金属被覆(3)の少なくとも1本のライン(5)に対して垂直な方向における少なくとも1つのゲートアイランド(16)のサイズは0.5mm〜3.0mm、好ましくは1.0mm〜2.0mmである、請求項1から3のいずれかに記載の基板(1)。
【請求項5】
少なくとも2つのゲート金属被覆区域(16,18)は、第2の金属被覆(9)において、第1の金属被覆(3)の少なくとも1本のライン(5)に垂直な方向に対して中心に位置する、請求項1から4のいずれかに記載の基板(1)。
【請求項6】
少なくとも2つのゲート金属被覆区域(16,18)は各々、0.5mmから2.0mmの幅の間隔(22)だけ第2の金属被覆(9)から分離される、請求項1から5のいずれかに記載の基板(1)。
【請求項7】
1つのゲート金属被覆区域が、基板(1)上において基板(1)の第2の金属被覆(9)および端縁(8)によって囲まれるゲート半島(18)として設けられる、請求項1から6のいずれかに記載の基板(1)。
【請求項8】
第2の金属被覆(9)はL字形に設けられ、基板(1)の接続区域(24)を通って延在する、請求項1から7のいずれかに記載の基板(1)。
【請求項9】
レジスタ(40)はゲートコンタクト(15)上に設けられ、ゲートコンタクト(15)に接続され、ゲート金属被覆区域(16,18)はレジスタ(40)を介してゲートコンタクト(15)に接着される、請求項1から8のいずれかに記載の基板(1)。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の少なくとも1つの基板(1)を含むパワー半導体モジュールであって、
複数のパワートランジスタ(21,30)は、それらのコレクタまたはエミッタで、少なくとも1つの基板(1)の第1の金属被覆(3)上において共通に搭載され、
パワートランジスタ(21,30)のエミッタまたはコレクタのうち残りの一方は第2の金属被覆(9)に接続され、
パワートランジスタ(21,30)のゲートパッド(25)は第3の金属被覆(13)に接続され、
ゲートコンタクト(15)および少なくとも2つのゲート金属被覆区域(16,18)は接着手段(19)によって相互に接続される、パワー半導体モジュール。
【請求項11】
請求項1から9のいずれかに記載の少なくとも1つの基板が設けられ、
複数のパワートランジスタ(21,30)が、それらのコレクタまたはエミッタで第2の金属被覆(9)上に共通に搭載され、
パワートランジスタ(21,30)のエミッタまたはコレクタのうち残りの一方は、第4の金属被覆()に接続され、
パワートランジスタ(21,30)のゲートパッド(25)は第5の金属被覆(13)に接続され、
ゲートコンタクト(15)および少なくとも2つのゲート金属被覆区域(16,18)は接着手段(19)によって相互に接続される、請求項10に記載のパワー半導体モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、複数のパワートランジスタを上に搭載するための基板、および、このような基板およびパワートランジスタを含むパワー半導体モジュールの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
パワー半導体モジュールは、高電圧および高電流を切替えるための高電力用途で用いられ、複数のパワー半導体を含む。各々の単一の半導体が最大電圧および最大電流を有しているので、パワー半導体は、高電力用途で使用できるようにするために、パワー半導体モジュール内において並列および/または直列に組合わされなければならない。このようなモジュールの製造を容易にするために、これらモジュールは、一般に、パワー半導体が上に搭載されている複数の基板を含む。これら基板は、エミッタ、コレクタおよびベース用の共通の接点を備えているため、パワー半導体モジュール内において容易に接続することができる。
【0003】
最先端技術に従った基板を
図1に示す。基板1は第1の金属被覆3を含む。第1の金属被覆3は、基板1の両側の端縁7に沿って延在する2本の相互接続されたライン5に延在する。第2の金属被覆9は、第1の金属被覆3の2本のライン5間における区域11において延在する。基板1はさらに、ボンディングワイヤ19によって相互接続されたゲートコンタクト15およびゲート区域17を備えた第3の金属被覆13を含む。第3の金属被覆13のゲート区域17は、第1の金属被覆3の2本のライン5間における区域11において延在し、これにより、第2の金属被覆9を2つの脚部20に分割する。
図1から分かるように、複数のRC−IGBT 21は、それらのコレクタで第1の金属被覆3上に共通に搭載されている。RC−IGBT 21のエミッタパッド23は、ボンディングワイヤ19によって第2の金属被覆9に接着され、RC−IGBT 21のゲートパッド25は各々が、単一のボンディングワイヤ19によって第3の金属被覆13に接着される。
【0004】
基板は、典型的には、パワー半導体モジュールのハウジングの一部であり得るかまたはパワー半導体モジュールのハウジング内に保持され得る共通のベースプレート上に搭載される。現在のパワー半導体モジュールにおいては、典型的には、4つまたは6つの基板が組み合わされており、その各々は、4〜6個のパワー半導体を備える。これらパワー半導体は、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT:insulated gate bipolar transistor)もしくは逆導通型絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(RC−IGBT:reverse conducting insulated gate bipolar transistor)のようなパワートランジスタ、パワーダイオード、または高電力用途に適した他のパワー半導体を含む。たとえば、基板は4つのIGBTおよび2つのパワーダイオードを含み得る。
【0005】
パワー半導体モジュールの重要な特徴として、サイズ、発熱、冷却および最大電力が挙げられる。パワー半導体モジュールを使用し易くするために、搭載用スペースをほとんど必要とせず、高電流で使用できるコンパクトサイズのモジュールを設けることが望ましい。
【0006】
DE 195 49 011 A1は、第1の金属被覆、第2の金属被覆および第3の金属被覆で複数のパワートランジスタを上に搭載するための基板を開示する。さらに、US2002/0018353 A1は、同じ配向を有するパワートランジスタが搭載された2つの並列の金属被覆を備えた低インダクタンス回路構成を開示する。さらに、EP 0 455 322 A1は、アイランド状のゲート金属被覆区域を備えた半導体デバイスを示す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
発明の開示
本発明の目的は、高電流の高電力用途で使用するのに好適であり、小型であり、容易かつ経済的に搭載可能である上述の種類の基板およびパワー半導体モジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は独立請求項によって達成される。有利な実施形態が従属請求項において与えられる。
【0009】
特に、本発明は、複数のパワートランジスタを上に搭載するための基板を提供する。基板は第1の金属被覆を含む。第1の金属被覆の上には、パワートランジスタが、それらのコレクタまたはエミッタで共通に搭載可能であり、基板上の少なくとも1本のラインにおいて延在する。基板はさらに第2の金属被覆を含む。第2の金属被覆は、パワートランジスタのエミッタまたはコレクタのうち残りの一方への接続のために、第1の金属被覆の少なくとも1本のラインに隣接した区域において延在する。基板はさらに、パワートランジスタのゲートコンタクトパッドへの接続のための第3の金属被覆を含む。第3の金属被覆は、接着手段によって相互に接続可能であるゲートコンタクトおよび少なくとも2つのゲート金属被覆区域を含む。ゲート金属被覆区域は、少なくとも1本のラインに対して平行に配置され、少なくとも1本のラインの長手方向に間隔をあけて配置され、少なくとも1つのゲート金属被覆区域が、基板上において第2の金属被覆によって囲まれたゲートアイランドとして設けられる。
【0010】
本発明はまた、上述の基板のうち少なくとも1つを含むパワー半導体モジュールを提供する。複数のパワートランジスタは、それらのコレクタまたはエミッタで少なくとも1つの基板の第1の金属被覆上に共通に搭載され、パワートランジスタのエミッタまたはコレクタのうち残りの一方が第2の金属被覆に接続され、パワートランジスタのゲートパッドが第3の金属被覆に接続され、ゲートコンタクトおよび少なくとも2つのゲート金属被覆区域が接着手段によって相互に接続される。
【0011】
本発明の基本的概念は、基板上に搭載可能なパワー半導体のために第2の金属被覆の有効幅が増やされるように、第2の金属被覆内においてゲート金属被覆に少なくとも1つのゲートアイランドを設けることである。したがって、電流がパワー半導体から第2の金属被覆の幅全体を越えて流れ出ることが可能となるため、高い最大電流に対して基板が使用できるようになる。好ましくは、第2の金属被覆内に小さい延在部を有するゲート金属被覆区域が設けられ、これにより、基板上において余分なスペースがほとんど必要とされなくなり、基板を小さく維持できるようになる。さらに、第2の金属被覆のスペースは接着手段を接続するために増やすことができる。第2の金属被覆の幅が拡げられているので、第2の金属被覆を含む電流電力経路の誘導性が低下する。ゲートアイランドが第2の金属被覆に囲まれている状態では、負荷電流をゲート信号に平衡に結合することができる。パワートランジスタのゲートパッドは、ゲート金属被覆区域を適切に配置することによって容易に接着させることができる。このため、パワー半導体への第2の金属被覆の接着を改善させることができる。
【0012】
本発明の変形実施形態に従うと、第2の金属被覆は、それらのコレクタまたはエミッタで複数のパワートランジスタを共通に搭載するように適合される。パワートランジスタは、第1の金属被覆上に搭載されたパワートランジスタと同じ配向を有する。基板はさらに第4の金属被覆を含む。第4の金属被覆は、第2の金属被覆上に搭載可能なパワートランジスタのエミッタまたはコレクタのうち残りの一方への接続のために、第2の金属被覆に隣接した区域において延在する。基板はさらに、第2の金属被覆上に搭載可能なパワートランジスタのゲートコンタクトパッドへの接続のための第5の金属被覆を含む。第5の金属被覆は、接着手段によって相互に接続可能であるゲートコンタクトおよび少なくとも2つのゲート金属被覆区域を含む。ゲート金属被覆区域は、少なくとも1本のラインに対して平行に配置され、少なくとも1つのラインの長手方向に間隔を空けて配置される。少なくとも1つのゲート金属被覆区域が、基板上において第4の金属被覆によって囲まれたゲートアイランドとして設けられる。この配置により、直列に搭載可能であるパワー半導体のための基板がもたらされる。したがって、第2の金属被覆は、その上にパワートランジスタを搭載できるようなサイズを有する。第1の金属被覆、第2の金属被覆および第3の金属被覆に適用可能なこの原理は、第2の金属被覆、第4の金属被覆および第5の金属被覆にそれぞれ等しく適用される。結果として得られる基板は、その上の回路経路の幅が広くなっているため、第1の金属被覆と第4の金属被覆との間を低抵抗で接続することを可能にする。より概略的には、高負荷電流を伝えるすべての回路経路はその断面を広く設けることができ、結果として抵抗が小さくなる。基板をこのように設計することにより、第2の金属被覆および第4の金属被覆をパワー半導体のエミッタまたはコレクタに接着するために短い接着手段を使用することができるようになり、これにより、パワー半導体モジュールの寿命が延び、その抵抗が小さくなる。ゲート電圧への負荷電流の結合を減らすことができる。というのも、第3の金属被覆および第5の金属被覆が、シールド同軸ケーブルと同様に、第2の金属被覆および第4の金属被覆によって囲まれているからである。
【0013】
パワー半導体は、上述のパワートランジスタおよび任意にはパワーダイオードを含んでもよい。3つの金属被覆は、基板上では互いから電気的に分離されている。基板は、好ましくは、基板の接続のために、少なくとも第1の金属被覆および第2の金属被覆のための接点を備えた接続区域を有する。任意には、接続区域は、第3の金属被覆のために付加的な接点を備える。第2の金属被覆および第3の金属被覆は、ボンディングリボンおよびボンディングワイヤを含む接着手段によってパワー半導体に接着することができる。ゲートコンタクトおよび少なくとも2つのゲート金属被覆区域は、特定された接着手段で相互に接続することができる。第1の金属被覆のラインは、好ましくは、基板の端縁に対して平行に延在する真直ぐなラインである。しかしながら、ラインは、さまざまな形状を有していてもよく、基板上のさまざまな位置にあってもよい。たとえば、第1の金属被覆および第2の金属被覆はL字型またはU字形であってもよく、互いに対して平行に延在してもよい。さらに好ましくは、第2の金属被覆は、第1の金属被覆の少なくとも1本のラインに対して平行に延在する。
【0014】
変形実施形態に従うと、第1の金属被覆が基板の両側の端縁に沿って延在する相互接続された2本のラインを含み、第2の金属被覆が第1の金属被覆の2本のライン間の区域において延在することが想到可能である。第2の金属被覆は、2本のラインですべての半導体を接続するための均等な領域として提供することができる。したがって、さらなる改善を達成することができる。というのも、第1の金属被覆の各ラインのパワー半導体を通る電流が第2の金属被覆の幅全体を越えて流れ得るからである。また、基板の表面の用途が改善されているので、パワー半導体を第2の金属被覆に容易に接着することができる。
【0015】
さらなる実施形態に従うと、第1の金属被覆はU字形に設けられており、基板の接続区域を通って延在する。接続区域は、基板の接続のために少なくとも第1の金属被覆および第2の金属被覆に接点を提供する。任意には、接続区域は第3の金属被覆のための付加的な接点を備える。第1の金属被覆は、U字形であれば、基板の3つの端縁に沿って延在し、基板上において容易に製造することができる。
【0016】
変形実施形態に従うと、少なくとも1つのゲート金属被覆区域を2本のラインのパワートランジスタのゲートコンタクトパッド間において中心に配置することが想到可能である。これにより、長さの短い接着手段を用いてゲートコンタクトパッドと少なくとも1つのゲート金属被覆区域とを接続することが可能となり、第3の金属被覆にゲートパッドを接着することが容易になる。2本のラインに属するパワートランジスタのゲートパッドは、同じ長さを有する接着手段で接続することができる。また、少なくとも1つのゲートアイランドへのゲートパッドの接着が改善されているので、第2の金属被覆へのパワートランジスタ上のエミッタまたはコレクタのパッドの接着を改善させることができる。好ましくは、少なくとも1つのゲート金属被覆区域は、2つのパワートランジスタのゲートパッド間において中心に位置する。
【0017】
このような基板を備えたそれぞれのパワー半導体モジュールは、それらのコレクタまたはエミッタで第2の金属被覆上に共通に搭載される複数のパワートランジスタを含む。パワートランジスタのエミッタまたはコレクタのうち残りの一方は第4の金属被覆に接続され、パワートランジスタのゲートパッドは第5の金属被覆に接続され、ゲートコンタクトおよび少なくとも2つのゲート金属被覆区域は接着手段によって相互に接続される。このパワー半導体モジュールは、直列接続された2個のスイッチを含むため、高電圧用に使用することができる。第2の金属被覆上のパワー半導体の配向は、第1の金属被覆上のパワー半導体の配向と同じである。すなわち、パワー半導体はすべて、それらのコレクタまたはエミッタでそれぞれの金属被覆上において搭載される。好ましくは、同じ数のパワートランジスタが第1の金属被覆および第2の金属被覆上に搭載される。さらに好ましくは、同じタイプのパワートランジスタが第1の金属被覆および第2の金属被覆上に搭載される。基板およびパワー半導体モジュールは、1つのモジュール内において直列接続されたさらなるパワー半導体を設けるためのさらに別の金属被覆を含んでもよい。これにより、上述と同じ原理が適用される。
【0018】
本発明の変形実施形態に従うと、第3の金属被覆は、接着手段によって少なくとも2つのゲート金属被覆区域と相互に接続可能なゲートコンタクトを含む。ゲートコンタクトは、基板上において第3の金属被覆の接続のために用いられる。さらに好ましくは、ゲートコンタクトは接続区域に位置しており、これにより、基板の接続のための接点が第1の金属被覆および第2の金属被覆に設けられる。代替的には、第3の金属被覆は接着手段を用いて基板上に接触させることができる。たとえば、半導体モジュールに搭載されると、第3の金属被覆のゲート金属被覆区域は、隣接する基板のそれぞれの金属被覆からのボンディングワイヤと直接接触させることができる。
【0019】
本発明の変形実施形態に従うと、第3の金属被覆は複数のゲートアイランドを含む。複数のゲートアイランドは、パワートランジスタのゲートパッドの各々の付近に設けることができ、これにより、パワートランジスタのゲートパッドとゲート金属被覆区域との間の接着が容易になる。これにより、パワー半導体と第2の金属被覆との間の接着も容易になり、改善される。
【0020】
本発明の変形実施形態に従うと、少なくとも1本のラインの長手方向における少なくとも1つのゲートアイランドの長さは、その方向へのパワートランジスタの延在部よりも小さい。このため、第2の金属被覆の全幅がパワー半導体の各々において使用可能となる。狭い通路(Bottlenecks)が生じるのを防止する。
【0021】
本発明の変形実施形態に従うと、第1の金属被覆のうちの少なくとも1本のラインに対して垂直な方向における少なくとも1つのゲートアイランドのサイズは、0.5mm〜3.0mm、好ましくは1.0mm〜2.0mmである。少なくとも1つのゲートアイランドがこの幅を有していれば、第2の金属被覆は、第1の金属被覆の少なくとも1本のラインに対して垂直な方向におけるサイズがほんのわずかだけ小さくなるため、第2の金属被覆によって高電流を伝送することができる。
【0022】
本発明の変形実施形態に従うと、少なくとも2つのゲート金属被覆区域は、第2の金属被覆において、第1の金属被覆の少なくとも1本のラインに垂直な方向に対して中心に位置する。言いかえれば、ゲート金属被覆区域は第2の金属被覆内において中心線に配置されており、これにより、ゲート金属被覆区域の両側において対称的に第2の金属被覆が設けられる。両方のラインに属するパワートランジスタのゲートパッドは、同じ長さを有する接着手段で等しく接続することができる。
【0023】
本発明の変形実施形態に従うと、少なくとも2つのゲート金属被覆区域は各々、0.5mmから2.0mmの範囲の幅だけ間隔を空けて第2の金属被覆から分離される。第2の金属被覆と第3の金属被覆とが確実に分離されると、基板およびパワー半導体モジュールの寸法を小さくすることができる。
【0024】
本発明の変形実施形態に従うと、1つのゲート金属被覆区域がゲート半島として設けられており、基板上において基板の第2の金属被覆および端縁によって囲まれている。基板の角部においては、角部の隣りに位置するパワー半導体からの電流が第2の金属被覆においてはほとんど流れないので、この半島は第2の金属被覆における電流の流れに対してほんのわずかな影響しか及ぼさない。好ましくは、ゲート半島は、両側のラインに対して垂直な基板の端縁に設けられる。
【0025】
本発明の変形実施形態に従うと、レジスタはゲートコンタクトの上に設けられ、ゲートコンタクトに接続される。ゲート金属被覆区域はレジスタを介してゲートコンタクトに接着される。ゲートレジスタは、パワートランジスタの動的挙動を制御するために用いることができ、基板上にスペースを追加する必要なしに、ゲートコンタクト上に容易に搭載することができる。
【0026】
本発明の変形実施形態に従うと、第2の金属被覆はL字形に設けられ、基板の接続区域を通って延在する。接続区域は、基板の接続のために、少なくとも第1の金属被覆および第2の金属被覆に接点を提供する。任意には、接続区域は第3の金属被覆のために付加的な接点を提供する。第2の金属被覆は、L字形であれば、第1の金属被覆の少なくとも1本のラインに沿って延在し、接続区域において容易に接触させることができる。
【0027】
本発明の変形実施形態に従うと、パワートランジスタは複数の絶縁ゲートバイポーラトランジスタを含み、少なくとも1つのパワーダイオードは1つの接点で第1の金属被覆上に搭載され、その他の接点についてはその接続パッドで第2の金属被覆に接続される。パワートランジスタとパワーダイオードとをこのように組合せることにより、パワー半導体モジュールのために好適な特徴の組合せが提供される。さらに好ましくは、3つのIGBTおよび2つのパワーダイオードが第1の金属被覆上に搭載される。
【0028】
本発明の変形実施形態に従うと、パワートランジスタは、逆導通型絶縁ゲートバイポーラトランジスタを含む。逆導通型絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(RC−IGBT)は、パワーダイオードの機能が組み込まれているので、パワーダイオードなしでも用いることができる。基板に嵌合させるために或る一種のパワートランジスタを用いることができ、これにより、パワー半導体モジュールを容易に製造することができるようになる。さらに好ましくは、5つのRC−IGBTが各基板上に設けられる。基板が第4の金属被覆および第5の金属被覆を備えた状態で、3つのRC−IGBTが第1の金属被覆および第2の金属被覆の各々の上に搭載される。
【0029】
図面の簡単な説明
本発明のこれらおよび他の局面が以下に記載される実施形態から明らかになり、これら実施形態を参照して説明されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】最先端技術に従った、複数のパワートランジスタが搭載された基板を示す概略図である。
【
図2】複数のパワートランジスタが搭載された、第1の実施形態に従った基板を示す概略図である。
【
図3】複数のパワートランジスタおよびパワーダイオードが搭載された、第2の実施形態に従った基板を示す概略図である。
【
図4】
図2の実施形態と比べてゲートレジスタが追加されている、第3の実施形態に従った基板を示す概略図である。
【
図5】直列に配置された2個のスイッチを形成する2つの群に複数のパワートランジスタが搭載されている、第4の実施形態に従った基板を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
発明の詳細な説明
図2は第1の実施形態に従った基板1を示す。基板1は、U字形に設けられた第1の金属被覆3を含む。したがって、第1の金属被覆3は、基板1の両側の端縁7に沿って、かつ両側の端縁7を接続する1つの接続端縁8に沿って延在する2本の相互接続されたライン5に延在する。
【0032】
基板1はさらに第2の金属被覆9を含む。第2の金属被覆9はL字形に設けられ、第1の金属被覆3の2本のライン5間にある区域11において延在する。
【0033】
基板1はまた、個々のゲートコンタクト15および3つの別個のゲート金属被覆区域16,18を備えた第3の金属被覆13を含む。ゲート金属被覆区域16,18は、2本のライン5間に配置され、2本のライン5に対して平行な方向に間隔を空けて配置される。2つのゲート金属被覆区域16はゲートアイランドとして設けられており、基板1上において全体が第2の金属被覆9によって囲まれている。第1の金属被覆3のライン5に対して垂直な方向におけるゲートアイランド16のサイズは、この実施形態においては2mmである。第3のゲート金属被覆区域18はゲート半島として設けられており、T字型に設けられ、基板1上において基板1の第2の金属被覆9および接続端縁8によって囲まれている。ゲート金属被覆区域16,18は各々、この実施形態においては幅1.0mmの間隔22だけ第2の金属被覆9から分離されている。
【0034】
基板1は、3つの金属被覆3、9および13と接触させるための接続区域24を含む。したがって、第1の金属被覆3および第2の金属被覆9は接続区域24を通って延在し、第3の金属被覆13のゲートコンタクト15は接続区域24に位置決めされる。
【0035】
図2から分かるように、5つのパワートランジスタ21は、この実施形態においては同じ逆導通型絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(RC−IGBT)であり、それらのコレクタで第1の金属被覆3上に共通に搭載される。RC−IGBT 21のエミッタパッド23は、ボンディングワイヤ19によって第2の金属被覆9に接着され、RC−IGBT 21のゲートパッド25は各々、単一のボンディングワイヤ19によって第3の金属被覆13のゲート金属被覆区域16,18に接着される。搭載された基板1上においては、ゲートコンタクト15、ゲートアイランド16およびゲート半島18がボンディングワイヤ19によって相互に接続される。
【0036】
図2に従うと、ゲートアイランド16およびゲート半島18は、第2の金属被覆9において、第1の金属被覆3の2本のライン5に垂直な方向に対して中心に位置する。ゲートアイランド16はさらに、両側のライン5のRC−IGBT 21のゲートパッド25間において中心に位置する。2本のライン5の長手方向におけるゲートアイランド16の長さはRC−IGBT 21のそれぞれの延在部よりも短い。
【0037】
この実施形態に従ったパワー半導体モジュールは、図面には示されていないが、その上にベースプレートおよび複数の基板1が搭載されている。基板1は、同じ形状および設計を有しており、上述のとおり、同様にパワートランジスタ5を備える。
【0038】
図3は第2の実施形態に従った基板1を示す。第2の実施形態が第1の実施形態とほぼ同じであるので、同様の構成要素には同じ参照番号が用いられる。
【0039】
第2の実施形態は、異なるパワー半導体30および32が基板1上に搭載されている点においてのみ第1の実施形態とは異なる。パワー半導体30および32は、この実施形態においては、3つの絶縁ゲートバイポーラトランジスタ30(IGBT)および2つのパワーダイオード32を含む。第2の実施形態に従ったIGBT 30は、第1の実施形態のRC−IGBT 21と同じように搭載および接続される。パワーダイオード32は、第1の金属被覆3上の1つの接点と、第2の金属被覆9に接着された他の接点用の接続パッド34とで装着される。したがって、IGBT 30のゲートパッド25だけがゲートアイランド16およびゲート半島18に接着される。
【0040】
図4は第3の実施形態に従った基板1を示す。第3の実施形態が第1の実施形態とほぼ同じであるので、同様の構成要素には同じ参照番号が用いられる。
【0041】
第3の実施形態は、レジスタ40がゲートコンタクト15上に設けられ、ボンディングワイヤ19によってそこに電気的に接続されている点においてのみ、第1の実施形態とは異なる。ゲート金属被覆区域16,18はレジスタ40を介してゲートコンタクト15に接着される。
【0042】
図5は第4の実施形態に従った基板1を示す。第4の実施形態が第1の実施形態とほぼ同じであるので、同様の構成要素には同じ参照番号が用いられる。
【0043】
第4の実施形態の基板1は、基板1の端縁7に沿って延在する1本のライン5に設けられる第1の金属被覆3を含む。
【0044】
基板1はさらに第2の金属被覆9を含む。第2の金属被覆9は、第1の金属被覆3のライン5に沿った区域11において延在し、パワー半導体を搭載するのに十分に広い幅を有する。
【0045】
基板1はまた、個々のゲートコンタクト15と、基板1上において全体が第2の金属被覆9によって囲まれた3つの別個のゲートアイランド16とを備えた第3の金属被覆13を含む。第1の金属被覆3のライン5に対して垂直な方向におけるゲートアイランド16のサイズは、この実施形態においては2mmである。ゲートアイランド16は、ライン5に対して平行な方向に間隔を空けて配置される。ゲートアイランド16は各々、この実施形態においては、幅1.0mmの間隔22だけ第2の金属被覆9から分離されている。
【0046】
基板1は第4の金属被覆42を含む。第4の金属被覆42はL字形を有し、第2の金属被覆3に隣接する区域44において延在する。基板1はさらに、ゲートコンタクト15を備えた第5の金属被覆46と、ゲート相互接続区域48と、ゲートアイランドとして設けられ基板1上において第4の金属被覆42によって囲まれた4つのゲート金属被覆区域16とを含む。ゲートアイランド16は、ボンディングワイヤ19によって相互に接続される。ゲートアイランド16は、第1の金属被覆3および第2の金属被覆9のライン5に対して平行に配置され、これらのライン5の長手方向に間隔を空けて配置される。
【0047】
第3および第5の金属被覆46のゲートコンタクト15の上には、ボンディングワイヤ19によってそこに接続されたレジスタ40が設けられる。ゲートアイランド16はレジスタ40を介してそれぞれのゲートコンタクト15に接着される。
【0048】
基板1は、金属被覆3、9、13、42、46と接触させるために2つの接続区域24を含む。接続区域24は、第1の金属被覆3および第2の金属被覆9のライン5に対して垂直な接続端縁8に沿って位置決めされる。
【0049】
図5からさらに分かるように、6つのパワートランジスタ21は、この実施形態においては同一の逆導通型絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(RC−IGBT)であり、第1の金属被覆3および第2の金属被覆9上においてそれらのコレクタで共通に搭載される。3つのRC−IGBT 21が第1の金属被覆3上に搭載され、3つのRC−IGBT 21が第2の金属被覆9上に搭載される。RC−IGBT 21のエミッタパッド23はそれぞれ、ボンディングワイヤ19によって第2の金属被覆9および第4の金属被覆42に接着され、RC−IGBT 21のゲートパッド25は各々、1本のボンディングワイヤ19によって、第3の金属被覆13および第5の金属被覆46のゲートアイランド16に接着される。搭載された基板1上においては、ゲートアイランド16、ゲートコンタクトおよび相互接続区域が、ボンディングワイヤ19によって相互に接続されている。
図5から分かるように、第3の金属被覆のゲートアイランド16は、第2の金属被覆9のうちパワートランジスタ21によって覆われていない空間において、第1の金属被覆3および第2の金属被覆9のライン5に垂直な方向に対して中心に位置する。第5の金属被覆のゲートアイランド16は、第4の金属被覆42の空間において、第1の金属被覆3および第2の金属被覆9のライン5に垂直な方向に対して中心に位置する。
【0050】
RC−IGBT 21は、独立した2つのスイッチ50、52と、第1の金属被覆3と第2の金属被覆9との間における第1のスイッチ50と、第2の金属被覆9と第4の金属被覆42との間における第2のスイッチ52とを備える基板上に配置される。第1のスイッチ50は第3の金属被覆13によって制御され、第2のスイッチ52は第5の金属被覆46によって制御される。したがって、第3の金属被覆13によって与えられる制御信号は、第2の金属被覆9の電位に対して規定されなければならず、第5の金属被覆46を介して与えられる制御信号は、第4の金属被覆44の電位に対して規定されなければならない。
【0051】
この実施形態に従ったパワー半導体モジュールは、図には示されていないが、ベースプレートおよび複数の基板1が上に搭載されている。基板1は、同じ形状および設計を有しており、上述のとおり同様にパワートランジスタ5を備える。
【0052】
本発明を図面において例示し、上述の説明において詳細に記載してきたが、このような図示および説明は例示的なものまたは記載例とみなされるべきであり、限定的なものとみなされるべきではない。本発明は開示された実施形態に限定されない。開示された実施形態である他の変形例は、添付の図面、開示および添付の特許請求の範囲を検討することで、要求されている発明を実施する際に当業者によって理解および実現され得る。請求項においては、「含む(comprising)」という語は他の要素またはステップを除外するものではなく、不定冠詞「a」または「an」は複数の要素を除外するものではない。いくつかの寸法が相互に異なる従属請求項に記載されているという事実は、これらの寸法の組合せの有利な使用が不可能であることを示すものではない。請求項における如何なる参照符号も範囲を限定するものと解釈されるべきでない。
【符号の説明】
【0053】
1 基板
3 第1の金属被覆
5 ライン
7 端縁
8 接続端縁
9 第2の金属被覆
11 ライン間における区域
13 第3の金属被覆
15 ゲートコンタクト
16 ゲート金属被覆区域、ゲートアイランド
17 ゲート区域
18 ゲート金属被覆区域、ゲート半島
19 ボンディングワイヤ
20 脚部
21 パワートランジスタ、RC−IGBT
22 間隔
23 エミッタパッド
24 接続区域
25 ゲートパッド
30 パワートランジスタ、IGBT
32 パワーダイオード
34 コンタクトパッド
40 レジスタ
42 第4の金属被覆
44 区域
46 第5の金属被覆
48 相互接続区域
50 第1のスイッチ
52 第2のスイッチ。