(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
フェノール樹脂は耐熱性があり様々な分野に使用されている。
例えば、エポキシ樹脂の硬化剤として用いた場合、耐熱性、密着性および電気絶縁性などに優れ、プリント基板用樹脂組成物やプリント基板および樹脂付き銅箔に使用する層間絶縁材料用樹脂組成物、電子部品の封止材用樹脂組成物、レジストインキ、導電ペースト(導電性充填剤含有)、塗料、接着剤、複合材料などに用いられている。
更に、近年の技術革新に伴い、エポキシ樹脂組成物において、硬化剤として用いられるフェノール樹脂にも耐湿性、耐熱性および難燃性などの向上が求められている。
フェノールは一般的に耐熱性を有する樹脂であるが、樹脂中の水酸基およびメチレン基は酸化の影響を受けやすいため、この点を改良することで更なる耐熱性の向上が期待できる。
そのため、芳香族アルデヒド類の使用や、アルコキシベンゼン類とフェノール類の共縮合などによる樹脂の耐熱性向上が検討されてきた(特許文献1および2を参照)。
【0003】
特許文献1では、フェノール類と芳香族アルデヒドを酸触媒の存在下で反応させる発明が記載されている。
こうして得られるノボラック樹脂とエポキシ樹脂との硬化物は、通常のノボラック樹脂を用いた場合と比較してガラス転移温度が高くなるが、一方で硬化時の残存応力により曲げ強度が低下するという欠点があった。
また、樹脂中の水酸基濃度が高くなるため、成型物の耐湿性が低下するといった問題があった。
一方、特許文献2には、特許文献1記載のフェノール類と芳香族アルデヒドの縮合により得られたノボラック樹脂の溶融粘度を下げるため、架橋基としてメチレン基を一部導入する発明が記載されている。
こうして得られた樹脂は、流動性は改善されるものの水酸基濃度は依然として高いため、成型品の耐湿性に課題が残った。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明のノボラック樹脂は、式(I)で表されるオルソヒドロキシベンズアルデヒド類と式(II’)で表されるフェノール類および式(II’’)で表されるフェノール類で表されるフェノール類との反応で得られる。
なお、式(II’)で表されるフェノール類と式(II’’)で表されるフェノール類は同一でも異なっていてもよい。
上記式(I)で表されるオルソヒドロキシベンズアルデヒド類、上記式(II’)で表されるフェノール類および上記式(II’’)で表されるフェノール類において、R
1、R
2およびR
3は、それぞれ、水素原子、水酸基、炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10のアルコキシル基を示す。
炭素数1〜10のアルキル基としては、直鎖状でも分岐状でもよく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、イソへキシル基、各種ヘプチル基、各種オクチル基、各種ノニル基および各種デシル基等が挙げられる。
また、炭素数1〜10のアルコキシル基としては、直鎖状でも分岐状でもよく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、各種ヘキシルオキシ基、各種ヘプチルオキシ基、各種オクチルオキシ基、各種ノニルオキシ基および各種デシルオキシ基等を挙げることができる。
また、上記式(I)で表されるオルソヒドロキシベンズアルデヒド類において、kは0〜3の整数を示す。
ベンゼン環上の置換基R
1の数を示すkは、0〜3の整数であり、好ましくは0〜2の整数、より好ましくは0または1の整数である。
kが2または3の場合には、R
1は同一であっても異なっていてもよい。
また、上記式(III)で表されるノボラック樹脂において、R
1、R
2、R
3およびkは上記と同様である。
炭素数1〜10のアルキル基および炭素数1〜10のアルコキシル基は、式(I)で表されるオルソヒドロキシベンズアルデヒド類、式(II’)で表されるフェノール類および式(II’’)で表されるフェノール類において述べたとおりである。
【0011】
式(I)で表されるオルソヒドロキシベンズアルデヒド類の具体例としては、サリチルアルデヒド、2,3−ジヒドロキシベンズアルデヒド、2,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド、2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド、2−ヒドロキシ−3−メチルベンズアルデヒドおよび2−ヒドロキシ−5−メチルベンズアルデヒドなどのオルソヒドロキシベンズアルデヒド類が挙げられ、単独若しくは2種以上を混合して使用することができる。
【0012】
式(II’)で表されるフェノール類および下式(II’’)で表されるフェノール類で表されるフェノール類としては、一般的なフェノール樹脂の製造に使用されるものであれば良く、例えば、フェノール、各種クレゾール、各種エチルフェノール
、各種ブチルフェノール、各種オクチルフェノール、各種ノニルフェノール、各種フェニルフェノール、各種シクロヘキシルフェノール
、ビスフェノールA、カテコール、レゾシノール、ハイドロキノン、
およびナフトー
ルなどを、単独又は2種以上を混合して使用することができる
これらのうち、フェノールや各種クレゾールが実用上好ましい。
【0013】
一方、式(II’)で表されるフェノール類および下式(II’’)で表されるフェノール類で表されるフェノール類と反応させるアルデヒド類としては、式(I)で表されるオルソヒドロキシベンズアルデヒド類であるが、その他にフェノール樹脂の製造に使用可能とされているアルデヒド類、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、パラヒドロキシベンズアルデヒド、メタヒドロキシベンズアルデヒド、パラホルムアルデヒド、プロピルアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソバレルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、グリオキザール、クロトンアルデヒドおよびグルタルアルデヒドなどを単独もしくは2種以上を混合して使用することができる。
以下、これらのアルデヒド類を合わせて、単にアルデヒド類という。
上記アルデヒド類の使用量は、フェノール類の合計量1モルに対して、0.3〜1.0モル、好ましくは0.4〜0.9モルの割合で用いるのが好ましい。
アルデヒド類の使用量が0.3モル未満であると、残存するフェノール類モノマーが多くなるため効率的でない。
一方、アルデヒド類の使用量が1.0モルを超えると、得られる樹脂の分子量が高くなるため好ましくない。
【0014】
上記反応を行う際に存在させる触媒としては、ホウ酸およびpKaが5.0以下の酸を使用する。
通常、ノボラック樹脂を製造する場合、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、パラトルエンスルホン酸、シュウ酸などを使用する。
特に、アルデヒド類としてホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド以外のアルデヒド類を使用する場合は、塩酸、硝酸、硫酸、パラトルエンスルホン酸などの強酸でないと十分な反応性は得られない。
しかし、これらの酸触媒単独では、式(II’)で表されるフェノール類および式(II’’)で表されるフェノール類のパラ位とアルデヒド類との反応の割合が高くなるため、本発明のオルソ−オルソ−オルソ結合の割合が、全結合の70モル%以上のノボラック樹脂は得られない。
ホウ酸およびpKaが5.0以下の酸を併用したときのみ本発明の樹脂が得られる。
pKaが5.0以下の酸としては、一般的なノボラック樹脂の製造に使用されるものであれば良く、例えば塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、パラトルエンスルホン酸、シュウ酸などが挙げられ、単独若しくは2種類以上混合して使用することができる。
pKaが5.0を超える酸では触媒としての効果が乏しく実用的でない。
反応設備への腐食およびノボラック樹脂の収率などを考慮すると、pKaが0.0〜4.0である酸が好ましく、例えばシュウ酸、リン酸、サリチル酸、酒石酸などが挙げられる。
前記pKaが5.0以下の酸の使用量は、フェノール類100質量部に対して0.1〜20質量部、好ましくは0.1〜10重量部、更に好ましくは0.2〜5重量部の割合で用いるのが好ましい。
【0015】
式(II’)で表されるフェノール類および下式(II’’)で表されるフェノール類で表されるフェノール類とアルデヒド類とを反応させる方法には、特に制限はなく、例えば、フェノール類、式(I)で表されるオルソヒドロキシベンズアルデヒド類などのアルデヒド類、触媒を一括で仕込み反応させる方法、またはフェノール類、触媒を仕込み、所定の反応温度において式(I)で表されるオルソヒドロキシベンズアルデヒド類などのアルデヒド類を添加する方法等が挙げられる。
このとき、反応温度は30〜120℃の範囲で行うのがよい。
30℃未満であると反応の進行が遅く、かつ未反応のフェノール類が残存するため好ましくなく、また120℃を超える温度では高分子量成分の生成が促進されるため好ましくない。
反応時間には、特に制限はなく、式(I)で表されるオルソヒドロキシベンズアルデヒド類などのアルデヒド類、触媒の酸の量および反応温度により調整すればよい。
反応の際、有機溶剤を使用することももちろん可能である。
有機溶媒としては、プロピルアルコール、ブタノール等のアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ブチレングリコールモノメチルエーテル、ブチレングリコールモノエチルエーテル、ブチレングリコールモノプロピルエーテル等のグリコールエーテル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸プロピル、酢酸ブチル、乳酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類、1,4−ジオキサン等のエーテル類等が単独で、若しくは二種以上を併用して使用できる。
前記有機溶媒は、フェノール類100質量部に対して、0〜1,000質量部、好ましくは10〜100質量部程度となるように使用することができる。
反応後は蒸留により縮合水を除去したり、また、必要に応じて、水洗して残存している酸を除去してもよい。
更に、減圧蒸留或いは水蒸気蒸留を行って未反応のフェノール類や未反応アルデヒド類を除去してもよい。
【0016】
本発明の上記式(III)で表されるノボラック樹脂は、数平均分子量が300〜600であり、好ましくは350〜550、より好ましくは350〜500である。
数平均分子量が600を超えると、オルソ−オルソ−オルソ結合の割合が低下するため好ましくない。
また、分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は1.5以下であり、好ましくは1.4以下である。
分散度が1.5以下であることは、ノボラック樹脂中の高分子量の多核体が少ないことを意味する。
多核体数が多くなるほど、オルソ−オルソ−オルソ結合の割合が低下するため好ましくない。
本発明のノボラック樹脂は、式(II’)で表されるフェノール類および下式(II’’)で表されるフェノール類としてフェノールおよび各種クレゾールから選ばれる化合物を用いたものが好ましい。
【0017】
次に、本発明の熱硬化性樹脂組成物について説明する。
本発明のノボラック樹脂は、エポキシ樹脂の硬化剤として有用であるので、本発明では、エポキシ樹脂と前記ノボラック樹脂を配合した熱硬化性樹脂組成物を提供することができる。
ここで、用いられるエポキシ樹脂としては、特に限定するものではなく、公知のエポキシ樹脂を使用できる。
エポキシ樹脂の具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、レゾルシン型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、カテコール型エポキシ樹脂、ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂などの二価のフェノール類から誘導されるエポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン−フェノール変性型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂型エポキシ樹脂、ビフェニル変性ノボラック型エポキシ樹脂などの三価以上のフェノール類から誘導されるエポキシ樹脂、有機リン化合物で変性されたエポキシ樹脂などが挙げられる。
これら中で、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂が好ましく、更には本発明のノボラック樹脂をエポキシ化したエポキシ樹脂が好ましい。
また、これらのエポキシ樹脂は単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
この場合の変性ノボラック樹脂とエポキシ樹脂の混合割合は、変性ノボラック樹脂1.0当量に対し、エポキシ樹脂を0.8〜1.2当量、好ましくは0.9〜1.2当量である。
【0018】
この熱硬化性樹脂組成物には、硬化反応を促進する目的で、硬化促進剤を適宜使用することもできる。
そのような硬化促進剤としては、例えば、イミダゾール、リン系化合物、第2、3級アミン、オクチル酸スズなどの有機酸金属塩、ルイス酸、アミン錯塩などが挙げられ、これらは単独で若しくは二種以上を併用して使用することができる。
上記のうち、イミダゾール系化合物としては、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、4、5−ジフェニルイミダゾール、2−メチルイミダゾリン、2−フェニルイミダゾリン、2−ウンデシルイミダゾリン、2−ヘプタデシルイミダゾリン、2−イソプロピルイミダゾール、2、4−ジメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾリン、2−イソプロピルイミダゾリン、2、4−ジメチルイミダゾリン、2−フェニル−4−メチルイミダゾリンなどが挙げられる。
これらイミダゾール系化合物は、マスク剤によりマスクされていてもよい。
マスク化剤としては、アクリロニトリル、フェニレンジイソシアネート、トルイジンイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、メチレンビスフェニルイソシアネート、メラミンアクリレートなどが挙げられる。
有機リン系化合物としては、エチルホスフィン、プロピルホスフィン、ブチルホスフィン、フェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン/トリフェニルボラン錯体、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレートなどが挙げられる。
第2級アミン系化合物としては、モルホリン、ピペリジン、ピロリジン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ジベンジルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N−アルキルアリールアミン、ピペラジン、ジアリルアミン、チアゾリン、チオモルホリンなどが挙げられる。
第3級アミン系化合物としては、ベンジルジメチルアミン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジアミノメチル)フェノールなどが挙げられる。
【0019】
また、本発明の熱硬化性樹脂組成物には、必要に応じて、充填剤、改質剤として使用される熱硬化性樹脂および熱硬化性樹脂、顔料、シランカップリング剤、離型剤などの種々の配合剤を目的に応じて添加することができる。
このうち、充填材としては、例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、ジルコン、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭化珪素、窒化珪素、窒化ホウ素、ジルコニア、フォステライト、ステアタイト、スピネル、チタニア、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの無機充填材が挙げられる。
溶融シリカは破砕状、球状のいずれでも使用可能であるが、溶融シリカの配合量を高め、且つ成形材料の溶融粘度の上昇を抑制するためには、球状のものを主に用いる方が好ましい。
更に、球状シリカの配合量を高めるためには、球状シリカの粒度分布を適当に調整することが好ましい。
その配合率は適用用途や所望特性によって、好ましい範囲が異なるが、例えば半導体封止材用途に使用する場合は、線膨張係数や難燃性を鑑みれば高い方が好ましく、組成物全体量に対して65重量%以上が好ましく、特に好ましくは85〜90重量%程度である。
また、導電ペーストや導電フィルムなどの用途に使用する場合は、銀粉や銅粉などの導電性充填剤を用いることができる。
【0020】
改質剤として使用される熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂としては公知の種々のものが全て使用できるが、例えばフェノキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂などを、必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲で使用することができる。
シランカップリング剤としては、アミノシラン系化合物、ビニルシラン系化合物、スチレン系シラン化合物、メタクリルシラン系化合物などのシランカップリング剤を挙げることができる。
また、離型剤としては、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウムおよびカルナバワックスなどを挙げることができる。
【実施例】
【0021】
以下に、実施例を掲げて更に本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されることはない。
【0022】
実施例1
冷却管、攪拌機を備えたフラスコに、オルソクレゾール100g、サリチルアルデヒド56g、ホウ酸1g、シュウ酸1gを仕込み、100℃で8時間反応させた。
次いで、純水100gで2回洗浄を行い、触媒を除去した。
次いで、180℃、50mmHgの減圧下で溜出分を除去し、ノボラック樹脂A102gを得た。
ノボラック樹脂Aの
1NMRチャートを
図1に示す。
【0023】
実施例2
フェノール類としてメタクレゾール100gを使用した以外は実施例1と同様に反応を行い、ノボラック樹脂B110gを得た。
【0024】
実施例3
アルデヒド類としてサリチルアルデヒド45g、パラホルムアルデヒド3gを使用した以外は実施例1と同様に反応を行い、ノボラック樹脂C105gを得た。
【0025】
比較例1
冷却管、攪拌機を備えたフラスコに、オルソクレゾール100g、サリチルアルデヒド56g、パラトルエンスルホン酸1gを仕込み、100℃で8時間反応させた。
次いで、純水100gで数回洗浄を行い触媒を除去した。
次いで、180℃、50mmHgの減圧下で溜出分を除去し、ノボラック樹脂D90gを得た。
ノボラック樹脂Dの
1NMR測定チャートを
図2に示す。
【0026】
比較例2
サリチルアルデヒドの代わりにメタヒドロキシベンズアルデヒド56gを使用した以外は実施例1と同様に反応を行い、ノボラック樹脂E92gを得た。
【0027】
比較例3
冷却管、攪拌機を備えたフラスコに、オルソクレゾール100g、37%ホルマリン63g、シュウ酸1gを仕込み、100℃で5時間反応後、180℃、50mmHgの減圧下で未反応フェノールを除去し、ノボラック樹脂F70gを得た。
実施例1〜3で得られたノボラック樹脂、比較例1〜3で得られたノボラック樹脂の分析値を表1に示す。
樹脂の分析方法は以下の通りである。
【0028】
(1)オルソ−オルソ−オルソ結合比率
1H−NMR(300MHz)スペクトルによるオルソ−オルソ−オルソ(5.8−6.1ppm)、オルソ−パラ−オルソ(5.4−5.6ppm)、オルソ−パラ−パラ(5.0−5.2ppm)のメチン結合の積分比から算出した。
オルソ−オルソ−オルソ結合比率(モル%)
=(オルソ−オルソ−オルソ結合/全メチン、メチレン結合)×100
(2)数平均分子量、重量平均分子量、分散度
カラム構成は昭和電工(株)製のKF−804+KF−804で行い、溶媒としてテトラヒドロフランを使用し、流量1ml/分で測定した。
分子量はポリスチレン換算、含有率は全ピーク面積中の百分率で算出した。
分散度は重量平均分子量/数平均分子量で算出した。
【0029】
【表1】
【0030】
表1から、本発明の変性ノボラック樹脂では、比較例のノボラック樹脂と比較すると、オルソ−オルソ−オルソ結合比率が極めて高いことがわかる。
【0031】
実施例4(エポキシ樹脂の製造)
冷却管、攪拌機を備えたフラスコに、実施例1のノボラック樹脂100g、エピクロロヒドリン400g、塩化テトラメチルアンモニウム0.1gを仕込み、内温を60℃で1時間保持した後、同一温度で48%水酸化カリウム水溶液100gを3時間かけて滴下した。
その際系内は減圧とし、溜出するエピクロロヒドリンと水の混合物の内、水は系外に除去し、エピクロロヒドリンは系内に戻しながら反応を行った。
滴下終了後、同温度で1時間反応した後、減圧蒸留で未反応エピクロロヒドリンを回収除去した。
こうして得られたエポキシ樹脂に、メチルイソブチルケトン400gを加え、数回水洗を行い塩を除去した。
次いで、メチルイソブチルケトンを減圧蒸留によって除去し、エポキシ当量191のエポキシ樹脂Gを得た。
【0032】
実施例1〜3で得られた変性ノボラック樹脂、比較例1〜3で得られたノボラック樹脂のそれぞれについて、表2に示す配合量(質量部)で溶融混練して熱硬化性樹脂組成物1〜6を得た。
得られた樹脂組成物のガラス転移温度、吸水率および曲げ強度を次の方法により評価した。
評価結果を表2に示す。
(3)ガラス転移温度(℃)
SII社製SSC/5200を使用してTMA法にてガラス転移温度を測定した。昇温速度は10℃/分で行った。
(4)吸水率(質量%)
楠本化成社製プレッシャークッカーを使用して、121℃で20時間保持した後の質量増加率を測定した。
(5)曲げ強度(MPa)
JIS K−6911に準拠した方法で測定した。
【0033】
【表2】
ここで、
エポキシ樹脂 樹脂H:トリフェニルメタン型エポキシ樹脂
商品名1032H60 ジャパンエポキシレジン社製
エポキシ樹脂 樹脂I:ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂
商品名NC−3000H 日本化薬社製
トリフェニルホスフィン:和光純薬工業社製
溶融シリカ:商品名MSR−2212:龍森社製
【0034】
表2より、本発明の熱硬化性樹脂組成物においては、従来のノボラック樹脂よりもはるかに低い吸水率を示し、かつガラス転移温度や曲げ強度などは従来のノボラック樹脂と同等以上の性能を示すことが分かる。
以上、本発明により、耐湿性および耐熱性が良好で溶融粘度の低い変性ノボラック樹脂、および熱硬化性樹脂組成物を提供することが可能になった。