特許第5877100号(P5877100)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5877100ブラシホルダ、ブラシ装置、モータ及びブラシ装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5877100
(24)【登録日】2016年1月29日
(45)【発行日】2016年3月2日
(54)【発明の名称】ブラシホルダ、ブラシ装置、モータ及びブラシ装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 13/00 20060101AFI20160218BHJP
   H02K 7/116 20060101ALI20160218BHJP
   H01R 39/38 20060101ALI20160218BHJP
【FI】
   H02K13/00 T
   H02K7/116
   H01R39/38
【請求項の数】5
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2012-67982(P2012-67982)
(22)【出願日】2012年3月23日
(65)【公開番号】特開2013-201821(P2013-201821A)
(43)【公開日】2013年10月3日
【審査請求日】2014年9月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000101352
【氏名又は名称】アスモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】西川 浩平
【審査官】 服部 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−164523(JP,A)
【文献】 特開2007−244182(JP,A)
【文献】 特開2011−109754(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 13/00
H01R 39/38
H02K 7/116
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ直線状に延び互いに平行をなす一対の直線部と、該一対の直線部の端部同士を連結するように延びる円弧状の一対の円弧部とを有する外形をなすホルダ本体を備えたブラシホルダであって、
前記ホルダ本体は、電機子に給電するためのブラシを保持するブラシ保持部が形成された第1端部と、前記第1端部の反対側の第2端部であってピッグテールを介して前記ブラシと電気的に接続されるターミナルを保持する第2端部と、前記第1端部から前記第2端部へ貫通するとともに外周側に開口し切欠きとを備え
前記ホルダ本体の平面視において両円弧部の各中央を通る第1の直線と、前記ホルダ本体の平面視において両直線部の各中央を通る第2の直線とを仮想した場合に、
前記ブラシ保持部は、前記ホルダ本体における前記第1の直線の延びる方向の端部に形成され、
前記切欠きは、前記ホルダ本体の前記直線部に形成され、該切欠きには、前記ターミナルにおける前記ピッグテールが接続された接続部が挿通可能に構成されており、
前記切欠きにおける前記外周側への開口は、前記ホルダ本体の前記第1端部側からの平面視において、前記第2の直線よりも前記ブラシ保持部に近い位置に形成されたことを特徴とするブラシホルダ。
【請求項2】
請求項1に記載のブラシホルダと、
前記第1端部で前記ブラシホルダにて保持されたブラシと、
前記第2端部で前記ブラシホルダにて保持されるとともに前記第2端部側から前記第1端部側へ前記接続部が前記切欠きに挿通されたターミナルと、
その一端部が前記ブラシに電気的に接続されるとともにその他端部が前記接続部に電気的に接続されたピッグテールと
を備えたことを特徴とするブラシ装置。
【請求項3】
請求項2に記載のブラシ装置において、
前記切欠きは、前記接続部及び該接続部に接続された前記ピッグテールが前記第2端部側から前記第1端部側へ挿通可能である一方、前記ブラシが前記第2端部側から前記第1端部側へ挿通不能な大きさであることを特徴とするブラシ装置。
【請求項4】
有底筒状のヨークハウジングと、
前記ヨークハウジングの内側に回転可能に配置され整流子を有する電機子と、
前記第1端部が前記ヨークハウジングの内部側且つ前記第2端部が前記ヨークハウジンの外部側を向くように前記ブラシホルダが前記ヨークハウジングの開口部に嵌合され、前記ターミナルが前記ヨークハウジングの外部まで延出されるとともに、前記ブラシが前記整流子に摺接する請求項2又は請求項3に記載のブラシ装置と、
前記ヨークハウジングの開口部に連結され前記電機子の回転を減速して出力する減速機と
を備えたことを特徴とするモータ。
【請求項5】
電機子に給電するためのブラシを保持する第1端部と、前記第1端部の反対側に設けられピッグテールを介して前記ブラシと電気的に接続されるターミナルを保持する第2端部と、前記第1端部から前記第2端部へ貫通するとともに外周側に開口し前記ターミナルにおける前記ピッグテールが接続された接続部が挿通される切欠きとを備えたブラシホルダと、
前記第1端部で前記ブラシホルダにて保持されたブラシと、
前記第2端部で前記ブラシホルダにて保持されるとともに前記第2端部側から前記第1端部側へ前記接続部が前記切欠きに挿通されたターミナルと、
その一端部が前記ブラシに電気的に接続されるとともにその他端部が前記接続部に電気的に接続されたピッグテールと
を備えたブラシ装置の製造方法において、
前記ピッグテールの一端部を前記ブラシに電気的に接続し、前記ピッグテールの他端部を前記接続部に電気的に接続する接続工程と、
前記接続工程の後に、前記ブラシが前記ブラシホルダの外周を通るように前記ピッグテールを前記切欠きにおける前記ブラシホルダの外周側を向いた開口に通しつつ、前記第2端部側から前記第1端部の方へ前記接続部を前記切欠きに挿通して、前記ターミナルを前記第2端部に配置するターミナル配置工程と、
前記ターミナル配置工程の後に前記ブラシを前記第1端部に配置するブラシ配置工程とを備えたことを特徴とするブラシ装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給電用のブラシを保持するブラシホルダ、及び該ブラシホルダを備えたモータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に記載されているように、モータには、減速機が一体化された減速機付きのモータがある。この種のモータは自動車等に多く使用されている。
特許文献1に記載されたモータは、モータ本体と減速機とを連結して形成されている。モータ本体を構成する有底筒状のヨークハウジングの内部には、電機子が回転可能に収容されるとともに、同ヨークハウジングの開口部にはブラシ装置が嵌合されている。そして、ヨークハウジングとの間にブラシ装置が介在された状態で減速部がヨークハウジングに連結されている。ブラシ装置は、ヨークハウジングの開口部を閉塞するように該ヨークハウジングの開口部に嵌合されるブラシホルダを備えている。ブラシホルダは、該ブラシホルダにおけるヨークハウジングの内部側の端部に、電機子の整流子に摺接する複数のブラシを保持している。各ブラシは、ブラシホルダにインサート成形された複数のターミナルにピッグテールを介して接続されている。各ターミナルは、各ブラシに接続されるためにブラシホルダにおけるヨークハウジングの内部側の端部から同ヨークハウジングの内部に突出する一方で、給電等のために減速機に設けられたコネクタ部に接続される外部コネクタに接続されるためにブラシホルダにおけるヨークハウジングの外部側の端部から同ヨークハウジングの外部に突出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−33956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載されたブラシ装置では、複数のターミナルをブラシホルダにインサート成形することにより当該ブラシホルダにて保持している。従って、各ターミナルをブラシホルダにおけるヨークハウジングの内部側と外部側との両方に容易に突出させることができる。更に、ブラシホルダはターミナルを該ブラシホルダに対してがたつき無く保持できるため、ピッグテールをターミナルに接続するときに、ターミナルの位置が安定しており、ピッグテールをターミナルに容易に接続することができる。しかしながら、インサート成形のための金型を必要とするため、金型の設計及び金型を使ってのインサート射出成型といった高度設計技術及び高度な製造工程を必要とするため、製造コストが高くなるという問題があった。
【0005】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、ピッグテールとターミナルとの接続を容易に行うことが可能となるとともに安価に製造することができるブラシホルダ、該ブラシホルダを備えたブラシ装置、該ブラシ装置を備えたモータ及び該ブラシ装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、それぞれ直線状に延び互いに平行をなす一対の直線部と、該一対の直線部の端部同士を連結するように延びる円弧状の一対の円弧部とを有する外形をなすホルダ本体を備えたブラシホルダであって、前記ホルダ本体は、電機子に給電するためのブラシを保持するブラシ保持部が形成された第1端部と、前記第1端部の反対側の第2端部であってピッグテールを介して前記ブラシと電気的に接続されるターミナルを保持する第2端部と、前記第1端部から前記第2端部へ貫通するとともに外周側に開口し切欠きとを備え、前記ホルダ本体の平面視において両円弧部の各中央を通る第1の直線と、前記ホルダ本体の平面視において両直線部の各中央を通る第2の直線とを仮想した場合に、前記ブラシ保持部は、前記ホルダ本体における前記第1の直線の延びる方向の端部に形成され、前記切欠きは、前記ホルダ本体の前記直線部に形成され、該切欠きには、前記ターミナルにおける前記ピッグテールが接続された接続部が挿通可能に構成されており、前記切欠きにおける前記外周側への開口は、前記ホルダ本体の前記第1端部側からの平面視において、前記第2の直線よりも前記ブラシ保持部に近い位置に形成されたことをその要旨としている。
【0007】
同構成によれば、ピッグテールを介してターミナルの接続部にブラシを接続した後に、第2端部側から接続部を切欠きに挿入しつつ同ターミナルを第2端部に配置することが可能である。切欠きはブラシホルダの外周側に開口しているため、接続部を切欠きに挿入するときに、ピッグテールにおけるブラシが接続された側の端部を切欠きの開口からブラシホルダの外周に引出すことにより、ブラシをブラシホルダの外周側に配置することが可能である。そして、ブラシをブラシホルダの外周側から第1端部の方へ移動させることで、同ブラシを容易に第1端部に配置することが可能である。これらのことから、ターミナルをブラシホルダに配置する前に、ターミナルの接続部にピッグテールを接続することが可能となる。よって、ブラシホルダに対するターミナルの位置ずれの影響を受けることなくターミナルの接続部にピッグテールを接続することが可能となるため、ピッグテールとターミナルとの接続を容易に行うことが可能となる。また、ターミナルをブラシホルダにインサート成形しなくてもよいため、ブラシホルダを安価に製造することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のブラシホルダと、前記第1端部で前記ブラシホルダにて保持されたブラシと、前記第2端部で前記ブラシホルダにて保持されるとともに前記第2端部側から前記第1端部側へ前記接続部が前記切欠きに挿通されたターミナルと、その一端部が前記ブラシに電気的に接続されるとともにその他端部が前記接続部に電気的に接続されたピッグテールとを備えたブラシ装置としたことをその要旨としている。
【0009】
同構成によれば、ピッグテールを介してターミナルの接続部にブラシを接続した後に、第2端部側から接続部を切欠きに挿入しつつ同ターミナルを第2端部に配置することができる。切欠きはブラシホルダの外周側に開口しているため、接続部を切欠きに挿入するときに、ピッグテールにおけるブラシが接続された側の端部を切欠きの開口からブラシホルダの外周に引出すことにより、ブラシをブラシホルダの外周に配置することができる。そして、ブラシをブラシホルダの外周側から第1端部の方へ移動させることで、同ブラシを容易に第1端部に配置することができる。これらのことから、ターミナルをブラシホルダに配置する前に、ターミナルの接続部にピッグテールを接続することができる。よって、ブラシホルダに対するターミナルの位置ずれの影響を受けることなくターミナルの接続部にピッグテールを接続することができるため、ピッグテールとターミナルとの接続を容易に行うことができる。また、安価に製造されるブラシホルダを備えたことにより、当該ブラシ装置の製造コストを低減できる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のブラシ装置において、前記切欠きは、前記接続部及び該接続部に接続された前記ピッグテールが前記第2端部側から前記第1端部側へ挿通可能である一方、前記ブラシが前記第2端部側から前記第1端部側へ挿通不能な大きさであることをその要旨としている。
【0011】
同構成によれば、切欠きの大きさを小さく抑えつつ、ピッグテールにおけるブラシが接続された側の端部を切欠きの開口からブラシホルダの外周に引出してブラシをブラシホルダの外周に配置することができる。そして、切欠きの大きさを小さく抑えることにより、ブラシホルダの強度の低下を抑制することができるとともに、ブラシホルダにおいて切欠きを設ける位置の自由度が増す。
【0012】
請求項4に記載の発明は、有底筒状のヨークハウジングと、前記ヨークハウジングの内側に回転可能に配置され整流子を有する電機子と、前記第1端部が前記ヨークハウジングの内部側且つ前記第2端部が前記ヨークハウジンの外部側を向くように前記ブラシホルダが前記ヨークハウジングの開口部に嵌合され、前記ターミナルが前記ヨークハウジングの外部まで延出されるとともに、前記ブラシが前記整流子に摺接する請求項2又は請求項3に記載のブラシ装置と、前記ヨークハウジングの開口部に連結され前記電機子の回転を減速して出力する減速機とを備えたモータとしたことをその要旨としている。
【0013】
同構成によれば、製造コストが低減されたブラシ装置を備えたことにより、本発明のモータの製造コストを低減することができる。
請求項5に記載の発明は、電機子に給電するためのブラシを保持する第1端部と、前記第1端部の反対側に設けられピッグテールを介して前記ブラシと電気的に接続されるターミナルを保持する第2端部と、前記第1端部から前記第2端部へ貫通するとともに外周側に開口し前記ターミナルにおける前記ピッグテールが接続された接続部が挿通される切欠きとを備えたブラシホルダと、前記第1端部で前記ブラシホルダにて保持されたブラシと、前記第2端部で前記ブラシホルダにて保持されるとともに前記第2端部側から前記第1端部側へ前記接続部が前記切欠きに挿通されたターミナルと、その一端部が前記ブラシに電気的に接続されるとともにその他端部が前記接続部に電気的に接続されたピッグテールとを備えたブラシ装置の製造方法において、前記ピッグテールの一端部を前記ブラシに電気的に接続し、前記ピッグテールの他端部を前記接続部に電気的に接続する接続工程と、前記接続工程の後に、前記ブラシが前記ブラシホルダの外周を通るように前記ピッグテールを前記切欠きにおける前記ブラシホルダの外周側を向いた開口に通しつつ、前記第2端部側から前記第1端部の方へ前記接続部を前記切欠きに挿通して、前記ターミナルを前記第2端部に配置するターミナル配置工程と、前記ターミナル配置工程の後に前記ブラシを前記第1端部に配置するブラシ配置工程とを備えたことをその要旨としている。
【0014】
同方法によれば、接続工程では、ターミナルはブラシホルダに対して配置されていないため、ブラシホルダに対するターミナルの位置ずれの影響を受けることなくターミナルの接続部にピッグテールを接続することができる。従って、ピッグテールとターミナルとの接続を容易に行うことができる。そして、ターミナル配置工程では、接続部を切欠きに挿入しつつターミナルを第2端部に配置するときに、ブラシがブラシホルダの外周を通るように切欠きの開口にピッグテールを通すことで、ピッグテールを介してブラシが接続されたターミナルであっても容易に第2端部に配置することができる。更に、インサート成形によりターミナルを埋設しなくとも、接続部を第1端部側に突出させることができる。そして、ブラシ配置工程では、ターミナル配置工程においてブラシホルダの外周に配置されたブラシを第1端部の方へ移動させることで同ブラシを容易に第1端部に配置することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ピッグテールとターミナルとの接続を容易に行うことが可能となるとともに安価に製造することができるブラシホルダ、該ブラシホルダを備えたブラシ装置、該ブラシ装置を備えたモータ及び該ブラシ装置の製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】モータの一部断面図。
図2】ブラシ装置の底面図。
図3】ブラシ装置の断面図。
図4】ブラシ装置の平面図。
図5】ブラシ装置の製造方法を説明するためのブラシ装置の底面図。
図6】(a)はブラシ装置の製造方法を説明するためのブラシ装置の断面図、(b)及び(c)はブラシが接続されたターミナルの側面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すモータ1は、例えば車両に搭載されたパワーウインドウ装置(図示略)の駆動源として用いられるものである。モータ1は、モータ本体2と、モータ本体2の回転を減速し高トルクにしてパワーウインドウ装置に伝達する減速機3とを備えた減速機付きのモータである。
【0018】
モータ本体2を構成するヨークハウジング4(以下ヨーク4とする)は、導電性の金属材料よりなり、有底筒状に形成されている。ヨーク4の側壁を構成している筒状の筒状部4aは、軸方向と直交する断面の形状がトラック形状をなしており、扁平な形状(長手方向を有する形状)に形成されている。また、ヨーク4の開口部4bには、ヨーク4の外側に向かって延びる鍔状のフランジ部4cが形成されている。
【0019】
ヨーク4の内側面には、複数のマグネット5が相対向するように配置固定されている。相対向するマグネット5の内側には、電機子6が回転可能に収容されている。電機子6は、回転軸7と、回転軸7に固定され電機子コイル8が巻装された電機子コア9と、電機子コア9よりも回転軸7の先端側(図1において左側の端部側)で同回転軸7に固定された整流子10とを備えている。回転軸7の基端部(図1において右側の端部)は、ヨーク4の底部中央に設けられた軸受11にて軸支されている。また、電機子コア9及び整流子10はヨーク4の内部に配置される一方、回転軸7の先端部はヨーク4の開口部4bから同ヨーク4の外部に突出している。
【0020】
前記整流子10は、回転軸7と同軸状となる円筒状をなすとともに、その外周面に周方向に複数並設されたセグメント10aを備えている。全てのセグメント10a若しくは一部のセグメント10aには、電機子コイル8が電気的に接続されている。
【0021】
ヨーク4の開口部4bには、モータ本体2を構成するブラシ装置21が同開口部4bを閉塞するように組付けられている。ブラシ装置21は、ブラシホルダ22に、2つのブラシ23,24(第1ブラシ23及び第2ブラシ24)と2つのターミナル25,26(第1ターミナル25及び第2ターミナル26)とを組み付けて形成されている。尚、図1には、2つのターミナル25,26のうち一方のターミナル25のみを図示している。
【0022】
図2に示すように、ブラシホルダ22は、合成樹脂等の絶縁材料よりなり、ホルダ本体31と該ホルダ本体31と一体に形成されたコネクタ形成部32とから構成されている。
図1及び図2に示すように、ホルダ本体31の外形は、ヨーク4の開口部の形状に対応したトラック形状をなしている。従って、ホルダ本体31の外周縁に設けられた側壁33は、それぞれ直線状に延び互いに平行をなす一対の直線部33a,33bと、これら一対の直線部33a,33bの端部同士を連結するように延びる円弧状の一対の円弧部33c,33dとから構成されている。そして、ホルダ本体31の外形はヨーク4の開口部4bよりも一回り小さく形成されるとともに、長手方向を有する形状をなしている。尚、ホルダ本体31の短手方向の中央を通り同ホルダ本体31の長手方向に延びる第1の直線L1と、ホルダ本体31の長手方向の中央を通り同ホルダ本体31の短手方向に延びる第2の直線L2との交点Oがホルダ本体31の中央となる。そして、一対の円弧部33c,33dは、交点Oを曲率中心とする円弧状をなしている。また、各直線部33a,33b及び各円弧部33c,33dの長手方向の両端部には、それぞれ嵌合突起34が形成されている。各嵌合突起34は、ホルダ本体31の外周側に突出した球欠状をなしている。
【0023】
ホルダ本体31の長手方向の一端部(図2において上側の端部)から前記コネクタ形成部32がホルダ本体31の長手方向に沿って延出されている。図3に示すように、ブラシホルダ22におけるホルダ本体31の厚さ方向(モータ本体2の軸方向に同じ)の両端部のうち、図3における左側の端部を第1端部E1、ブラシホルダ22において該第1端部E1と反対側に設けられた右側の端部を第2端部E2とする。そして、コネクタ形成部32は、ホルダ本体31における第2端部E2側の端部から同ホルダ本体31の長手方向に沿って延設されている。図2に示すように、コネクタ形成部32は、ホルダ本体31の厚さ方向から見ると長方形状をなしている。
【0024】
図1及び図2に示すように、ブラシホルダ22は、第1端部E1がヨーク4の内部側(ヨーク4の底部側)を向き且つ第2端部E2がヨーク4の外部側(ヨーク4の底部と反対側であって減速機3側)を向くようにヨーク4の開口部4bに組付けられている。そして、直線部33a,33b及び円弧部33c,33dにそれぞれ形成された前記嵌合突起34の先端部がそれぞれヨーク4の内周面に接触している。また、ブラシホルダ22の第1端部E1はヨーク4の内部に配置される一方、第2端部E2はヨーク4の開口部から減速機3側に若干突出した位置に配置される。更に、コネクタ形成部32は、ヨーク4の外部に位置し、径方向(円弧部33c,33dの径方向)に沿って筒状部4aよりも外側となる位置まで延びている。
【0025】
図1及び図3に示すように、ホルダ本体31は、その中央部に軸受35を保持している。前記回転軸7の先端側の部位は、ホルダ本体31を軸方向に貫通するとともに軸受35にて軸支されている。即ち、回転軸7は、軸受35と前記軸受11とによって軸支されている。そして、ホルダ本体31における第1端部E1側の端部は、回転軸7に固定された前記整流子10とヨーク4の内部で軸方向に隣り合っている。
【0026】
図1図3及び図4に示すように、ホルダ本体31における第1端部E1側の端部には、一対のブラシ保持部36,37(第1ブラシ保持部36及び第2ブラシ保持部37)が形成されている。一対のブラシ保持部36,37は、ホルダ本体31における第1端部E1側の端部において軸受35を挟んでホルダ本体31の長手方向の両側に形成されている。詳しくは、一対のブラシ保持部36,37は、ホルダ本体31における第1端部E1側の端部において第2の直線L2の両側で第1の直線L1上にそれぞれ形成され、ヨーク4の内部で整流子10の直径方向の両側に位置する。尚、本実施形態では、一対のブラシ保持部36,37のうちコネクタ形成部32に近い方のブラシ保持部を第1ブラシ保持部36とし、コネクタ形成部32から遠い方のブラシ保持部を第2ブラシ保持部37とする。
【0027】
2つのブラシ保持部36,37は、ホルダ本体31における第1端部E1側の端部において周方向に180°離間した2箇所に形成され、第1の直線L1に沿って径方向(整流子10の径方向)に延びる略四角筒状をなしている。各ブラシ保持部36,37の上壁部38には、各ブラシ保持部36,37の径方向外側の端部から径方向内側に向かって延びる挿通溝39が形成されている。
【0028】
そして、第1ブラシ保持部36の内部には前記第1ブラシ23が挿入される一方、第2ブラシ保持部37の内部には前記第2ブラシ24が挿入されている。第1ブラシ23と第2ブラシ24とは四角柱状をなすとともに、互いに同じ形状をなしている。各ブラシ23,24は、それぞれが収容されたブラシ保持部36,37の近傍に配置されるトーションスプリング(図示略)によって径方向内側に(即ち整流子10の外周面に向けて)付勢されている。そして、ブラシ23,24は、それぞれが収容されたブラシ保持部36,37の内周面に案内されて整流子10の径方向に移動可能であるとともに、整流子10の外周面と対向する先端部が整流子10の外周面に押圧接触している。更に、各ブラシ23,24は、整流子10の回転に伴って同整流子10の外周面に設けられた前記セグメント10aに摺接する。
【0029】
また、各ブラシ23,24における上壁部38と対向する側面28には、導電性を有する線状のピッグテール40の一端部がそれぞれ電気的に接続されている。各ブラシ23,24に接続されたピッグテール40は、前記挿通溝39からそれぞれブラシ保持部36,37の外部に引出されている。
【0030】
図4に示すように、前記ホルダ本体31には、該ホルダ本体31を第1端部E1から第2端部E2へ貫通した一対の切欠き41,42(第1切欠き41及び第2切欠き42)が形成されている。第1切欠き41は、ホルダ本体31において第1ブラシ保持部36の近傍に形成されている。第1切欠き41は、ホルダ本体31を第1端部E1側から見た場合に、前記第2の直線L2よりも第1ブラシ保持部36に近い位置に形成されている。この第1切欠き41は、一対の直線部33a,33bのうち一方の直線部33aにおける第2の直線L2よりも第1ブラシ保持部36側となる部分から第2の直線L2と平行に延びた後、第1ブラシ保持部36側の円弧部33cの方へ略直角に折れ曲がった後、他方の直線部33bの方へ再度略直角に折れ曲がり、第1ブラシ保持部36の径方向内側の先端部付近まで第2の直線L2に沿って延びている。従って、第1切欠き41はブラシホルダ22の外周側に開口している。そして、第1切欠き41の開口41aにおける第1の直線L1方向の位置は、第1ブラシ保持部36にて保持された第1ブラシ23の先端部(径方向内側となる端部)における第1の直線L1方向の位置と略等しい位置となっている。従って、開口41aは、第2の直線L2よりも第1ブラシ保持部36に近い位置に形成されている。また、第1切欠き41の開口41aの幅はピッグテール40の外径よりも広く形成されている。更に、第1切欠き41の幅(第1の直線L1方向の幅)は、前記ピッグテール40の外径よりも広く形成されている。また、第1切欠き41は、前記第1ブラシ23(整流子10との摺接により摩耗する前の状態の第1ブラシ23)が第2端部E2から第1端部E1の方へ該第1切欠き41を挿通不能な(通り抜けることができない)大きさに形成されている。
【0031】
第2切欠き42は、ホルダ本体31において、第2ブラシ保持部37の近傍に形成されている。第2切欠き42は、ホルダ本体31を第1端部E1側から見た場合に、第2の直線L2よりも第2ブラシ保持部37に近い位置に形成されている。この第2切欠き42は、一対の直線部33a,33bのうち他方の直線部33bにおける第2の直線L2よりも第2ブラシ保持部37側となる部分から第1の直線L1の方へ凹設されている。そして、第2切欠き42はブラシホルダ22の外周側に開口している。第2切欠き42は、該第2切欠き42の開口42aの両側に延びており、第1端部E1側から見た形状が第1の直線L1方向に長い長方形状をなしている。また、第2切欠き42の開口42aにおける第1の直線L1方向の位置は、第2ブラシ保持部37にて保持された第2ブラシ24の先端部(径方向内側となる端部)における第1の直線L1方向の位置と略等しい位置となっている。また、第2切欠き42の開口42aは、前記第1切欠き41の開口41aに対し、第1の直線L1と第2の直線L2との交点Oを対称の中心として点対称な位置に形成されている。従って、開口42aは、第2の直線L2よりも第2ブラシ保持部37に近い位置に形成されている。また、第2切欠き42の開口42aの幅は、ピッグテール40の外径よりも広く形成されるとともに、第1切欠き41の開口41aの幅と等しく形成されている。更に、第2切欠き42の幅(第2の直線L2方向の幅)は、前記ピッグテール40の外径よりも広く形成されている。また、第2切欠き42は、前記第2ブラシ24(整流子10との摺接により摩耗する前の第2ブラシ24)が第2端部E2から第1端部E1の方へ該第2切欠き42を挿通不能な(通り抜けることができない)大きさに形成されている。
【0032】
図2及び図4に示すように、前記第1ターミナル25及び前記第2ターミナル26は、銅板をプレス加工にて打ち抜いた後に折曲げ機にて折り曲げて形成されている。第1ターミナル25は、コネクタ形成部32に配置される第1接触端子部25aと、ホルダ本体31側に配置される第1接続部25bと、第1接触端子部25aと第1接続部25bとの間を繋ぐ第1中間配線部25cとから構成されている。また、第2ターミナル26は、コネクタ形成部32に配置される第2接触端子部26aと、ホルダ本体31側に配置される第2接続部26bと、第2接触端子部26aと第2接続部26bとの間を繋ぐ第2中間配線部26cとから構成されている。
【0033】
前記コネクタ形成部32におけるブラシホルダ22の第1端部E1と反対側の端部には、該コネクタ形成部32の先端から基端に向かって該コネクタ形成部32の外周縁に沿って延びる一対の配置溝43,44(第1配置溝43及び第2配置溝44)が形成されている。第1配置溝43及び第2配置溝44は、ブラシホルダ22を第2端部E2側から見ると、第1の直線L1の両側に形成されている。そして、第1配置溝43は、コネクタ形成部32の周縁部に沿って第1切欠き41の方へ延びている。また、第2配置溝44は、コネクタ形成部32の周縁部に沿って第2切欠き42の方へ延びている。第1配置溝43及び第2配置溝44の幅は、第1中間配線部25c及び第2中間配線部26cの板厚よりも若干広く形成されている。
【0034】
図2及び図6(b)に示すように、第1ターミナル25の第1中間配線部25cは、略帯状をなすとともに、前記第1配置溝43内に収容されている。そして、第1ターミナル25は、第1中間配線部25cを第1配置溝43内に保持すべくコネクタ形成部32に形成された第1係止片45によって第2端部E2側でブラシホルダ22に対して係止されている。また、前記第1接触端子部25aは、第1中間配線部25cにおけるコネクタ形成部32の先端側の端部から軸方向(第1の直線L1及び第2の直線L2と直交する方向に同じ)に沿って第1端部E1と反対側に延びており、コネクタ形成部32の先端部から第1端部E1と反対方向に突出している。そして、第1接触端子部25aは略短冊状をなしている。また、第1接続部25bは、第1中間配線部25cにおけるコネクタ形成部32の基端側の端部から直線部33aの方へ延設されており、第1配置溝43の外部に位置するとともに、第2端部E2側から見て(軸方向から見て)第1切欠き41に重なる位置に形成されている。第1接続部25bは、軸方向から見た形状(第2端部E2側から見た形状)が第1切欠き41よりも小さく形成されている。そして、第1接続部25bは、第1中間配線部25cに対して第1接触端子部25aと反対方向に突出するとともに、第2端部E2側から第1切欠き41に挿入されて該第1切欠き41を貫通し第1端部E1側に突出している。また、第1接続部25bの先端部には、第1かしめ片25dが形成されている。前記第1ブラシ23に一端部が電気的に接続された前記ピッグテール40の他端部と共にこの第1かしめ片25dがかしめられており、同ピッグテール40の他端部が第1接続部25bに挟み込まれて同第1接続部25bに電気的に接続されている。
【0035】
図2及び図6(c)に示すように、第2ターミナル26の第2中間配線部26cは、略帯状をなすとともに、その長手方向の一端側(図2において上側)の約半分が前記第2配置溝44内に収容されている。第2中間配線部26cの長手方向の他端側(図2において下側)の約半分は、第2配置溝44におけるコネクタ形成部32の基端側の端部から同第2配置溝44の外部に出ており、直線部33bの方へ延びた後に略直角に屈曲されて第1の直線L1に沿って第2切欠き42まで延びている。そして、第2ターミナル26は、第2中間配線部26cにおけるコネクタ形成部32の先端側の端部を第2配置溝44内に保持すべくコネクタ形成部32に形成された第2係止片46によって第2端部E2側でブラシホルダ22に対して係止されている。更に、第2ターミナル26は、第2中間配線部26cにおいて第2配置溝44の外部でホルダ本体31における第2端部E2側の端部上に配置された部分をホルダ本体31に対して係止すべく同ホルダ本体31に形成された第2係止片46によって第2端部E2側でブラシホルダ22に対して係止されている。また、前記第2接触端子部26aは、第2中間配線部26cにおけるコネクタ形成部32の先端側の端部から軸方向(第1の直線L1及び第2の直線L2と直交する方向に同じ)に沿って第1端部E1と反対側に延びており、コネクタ形成部32の先端部から第1端部E1と反対方向に突出している。そして、第2接触端子部26aは、前記第1接触端子部25aと同様の略短冊状をなすとともに、第2接触端子部26aと第1接触端子部25aとは、コネクタ形成部32の先端部において第1の直線L1を挟んで第2の直線L2方向に並んでいる。更に、第2接触端子部26aと第1接触端子部25aとは平行に延びている。
【0036】
また、第2接続部26bは、第2中間配線部26cにおける第2接触端子部26aと反対側の長手方向の端部に形成されており、第2端部E2側から見て(軸方向から見て)第2切欠き42に重なる位置に形成されている。第2接続部26bは、軸方向から見た形状(第2端部E2側から見た形状)が第2切欠き42よりも小さく形成されている。そして、第2接続部26bは、第2中間配線部26cに対して第2接触端子部26aと反対方向に突出するとともに、第2端部E2側から第2切欠き42に挿入されて該第2切欠き42を貫通し第1端部E1側に突出している。また、第2接続部26bの先端部には、第2かしめ片26dが形成されている。前記第2ブラシ24に一端部が電気的に接続された前記ピッグテール40の他端部と共にこの第2かしめ片26dがかしめられており、同ピッグテール40の他端部が第2接続部26bに挟み込まれて同第2接続部26bに電気的に接続されている。
【0037】
図1に示すように、第1ターミナル25の第1接触端子部25a及び第1中間配線部25cは、ブラシホルダ22の第2端部E2に配置されている。そして、第1接続部25bの先端部(即ち第1かしめ片25d)は、ホルダ本体31を第1切欠き41において貫通してヨーク4の内部(筒状部4aの内側)に配置されている。また、第1接触端子部25a及び第1中間配線部25cはヨーク4の外部に配置されるとともに、第1中間配線部25cが径方向外側に延びており、第1接触端子部25aは筒状部4aよりも径方向外側に位置する。即ち、ブラシホルダ22にて保持された第1ターミナル25は、ヨーク4の内部から同ヨーク4の外部まで延出されている。同様に、第2ターミナル26の第2接触端子部26a及び第2中間配線部26cは、ブラシホルダ22の第2端部E2に配置されている。そして、第2接続部26bの先端部(即ち第2かしめ片26d)は、ホルダ本体31を第2切欠き42において貫通してヨーク4の内部(筒状部4aの内側)に配置されている。また、第2接触端子部26a及び第2中間配線部26cはヨーク4の外部に配置されるとともに、第2中間配線部26cが径方向外側に延びており、第2接触端子部26aは筒状部4aよりも径方向外側に位置する。即ち、ブラシホルダ22にて保持された第2ターミナル26は、ヨーク4の内部から同ヨーク4の外部まで延出されている。
【0038】
前記減速機3は、ヨーク4に連結されるギヤハウジング51と、該ギヤハウジング51の内部に収容された減速機構61とを備えている。
ギヤハウジング51は、アルミニウム合金等の導電性の金属材料よりなる。ギヤハウジング51におけるヨーク4の開口部と対向する接続端部53には、ヨーク4側に開口する収容凹部54が形成されている。また、ギヤハウジング51における収容凹部54の外周でヨーク4のフランジ部4cと対向する開口端面55は平面状をなしている。そして、ギヤハウジング51は、前記ブラシホルダ22におけるフランジ部4cよりもヨーク4の外部に突出した部分を収容凹部54内に収容しつつ、開口端面55をフランジ部4cに当接させた状態で同フランジ部4cと螺子56にて連結されている。
【0039】
収容凹部54におけるコネクタ形成部32を収容した部分の底部には、軸方向に沿ってヨーク4と反対方向に突出した筒状のコネクタ部57が形成されている。前記第1接触端子部25a及び前記第2接触端子部26aの先端部は、収容凹部54の底部を貫通してコネクタ部57の内側に配置されている。コネクタ部57には、モータ本体2に電源を供給するための外部コネクタ(図示せず)が差し込まるとともに、当該外部コネクタに第1接触端子部25a及び第2接触端子部26aが電気的に接続される。
【0040】
また、ギヤハウジング51には、収容凹部54の底面からモータ本体2と反対方向に軸方向に沿って凹設されたウォーム軸収容凹部58が形成されている。ウォーム軸収容凹部58内には、その軸方向の略中央部に螺子歯状のウォーム62aが形成されたウォーム軸62が、前記回転軸7と同軸上となるように収容されている。そして、このウォーム軸62の基端部(図1において右側の端部)には、ブラシホルダ22を貫通してギヤハウジング51内に突出した前記回転軸7の先端部が一体回転可能に連結されている。尚、ウォーム軸62は、ウォーム軸収容凹部58の軸方向の両端部に配置された一対の軸受71,72によって軸支されている。
【0041】
また、ギヤハウジング51には、ウォーム軸収容凹部58に対して前記コネクタ部57と反対側となる部分に、ホイール収容凹部59が形成されている。ホイール収容凹部59は、ウォーム軸収容凹部58と繋がっており、その内部に円板状のウォームホイール63が回転可能に収容されている。ウォームホイール63は、ウォーム軸62のウォーム62aと噛合しており、このウォームホイール63とウォーム軸62とによって前記減速機構61が構成されている。また、ウォームホイール63の軸中心には、該ウォームホイール63と一体回転する出力軸65が設けられている。減速機構61は、回転軸7からウォーム軸62に伝達された回転を減速して出力軸65から出力する。
【0042】
上記のように構成されたモータ1では、コネクタ部57に接続された外部コネクタから、第1接触端子部25a及び第2接触端子部26aを介して第1ターミナル25及び第2ターミナル26に電流が供給される。第1ターミナル25及び第2ターミナル26に供給された電流は、ピッグテール40及び第1ブラシ23及び第2ブラシ24を通り、第1ブラシ23及び第2ブラシ24が摺接する整流子10から電機子コイル8に供給される。すると、電機子6が回転されて回転軸7からウォーム軸62に同回転軸7の回転が伝達される。そして、ウォーム軸62に伝達された回転は、ウォーム軸62とウォームホイール63とによって減速されて出力軸65から出力される。
【0043】
次に、ブラシ装置21の作用と合わせて同ブラシ装置21の製造方法を説明する。
まず、ピッグテール40を介してブラシ23,24とターミナル25,26とをそれぞれ電気的に接続する接続工程を行う。この接続工程では、図6(b)に示すように、ピッグテール40の一端部を第1ブラシ23に電気的に接続する一方、同ピッグテール40の他端部を第1ターミナル25の第1接続部25bに電気的に接続する。本実施形態では、ピッグテール40の他端部は、第1ターミナル25の第1かしめ片25dによって同ピッグテール40の他端部を挟み込むように同第1かしめ片25dをかしめることにより、第1ターミナル25に電気的に接続される。
【0044】
同様に、図6(c)に示すように、ピッグテール40の一端部を第2ブラシ24に電気的に接続する一方、同ピッグテール40の他端部を第2ターミナル26の第2接続部26bに電気的に接続する。本実施形態では、ピッグテール40の他端部は、第2ターミナル26の第2かしめ片26dによって同ピッグテール40の他端部を挟み込むように同第2かしめ片26dをかしめることにより、第2ターミナル26に電気的に接続される。
【0045】
次いで、ターミナル25,26をブラシホルダ22の第2端部E2に組み付けるターミナル配置工程を行う。ターミナル配置工程では、図5及び図6(a)〜図6(c)に示すように、ピッグテール40を介して第1ブラシ23が接続された第1ターミナル25を、ブラシホルダ22に対して第2端部E2側から矢印にて図示する取付方向Xに移動させる。取付方向Xは、ホルダ本体31の厚さ方向の一方向であって、第1の直線L1及び第2の直線L2と直交する第3の直線L3と平行にブラシホルダ22に近づく方向である。そして、取付方向Xに移動される第1ターミナル25は、第1中間配線部25cの厚さ方向が第2の直線L2と平行をなすとともに、第1中間配線部25cが第1配置溝43と対向し、更に第1接続部25bが第1切欠き41と対向している。そして、第1ターミナル25を、取付方向Xに移動させて第1接続部25bを第1切欠き41に挿入しつつ、第1配置溝43内に第1中間配線部25cを挿入する。第1接続部25bを第1切欠き41に挿入するときには、第1ブラシ23がブラシホルダ22の外周を通るようにピッグテール40を第1切欠き41の開口41aに通す。従って、第1切欠き41の開口41aからピッグテール40がブラシホルダ22の外周に引出されて第1ブラシ23がブラシホルダ22の外周に配置された状態で、第2端部E2側から第1端部E1の方へ第1接続部25bを第1切欠き41に挿通していくことになる。よって、第1ブラシ23は、ブラシホルダ22を貫通することなく第2端部E2側から第1端部E1側に移動される。そして、第1配置溝43内に第1中間配線部25cが配置された第1ターミナル25は、第1係止片45によってブラシホルダ22に対して固定される。また、ブラシホルダ22に組み付けられた第1接続部25bの先端部(第1かしめ片25d)は、ブラシホルダ22に対して第1端部E1側に位置する。
【0046】
また、ピッグテール40を介して第2ブラシ24が接続された第2ターミナル26を、ブラシホルダ22に対して第2端部E2側から取付方向Xに移動させる。そして、取付方向Xに移動される第2ターミナル26は、第2接触端子部26aの先端がコネクタ形成部32と反対方向を向き且つ第2中間配線部26cの長手方向が第1の直線L1と平行をなしている。更に、同第2ターミナル26は、第2中間配線部26cにおける第2接触端子部26a側の約半分の部分が第2配置溝44と対向するとともに、第2接続部26bが第2切欠き42と対向している。そして、第2ターミナル26を、取付方向Xに移動させて第2接続部26bを第2切欠き42に挿入しつつ、第2配置溝44内に第2中間配線部26cを挿入する。第2接続部26bを第2切欠き42に挿入するときには、第2ブラシ24がブラシホルダ22の外周を通るようにピッグテール40を第2切欠き42の開口42aに通す。従って、第2切欠き42の開口42aからピッグテール40がブラシホルダ22の外周に引出されて第2ブラシ24がブラシホルダ22の外周に配置された状態で、第2端部E2側から第1端部E1の方へ第2接続部26bを第2切欠き42に挿通していくことになる。よって、第2ブラシ24は、ブラシホルダ22を貫通することなくホルダ本体31の第2端部E2側から第1端部E1側に移動される。そして、第2配置溝44内に第2中間配線部26cが配置された第2ターミナル26は、第2係止片46によってブラシホルダ22に対して固定される。また、ブラシホルダ22に組み付けられた第2接続部26bの先端部(第2かしめ片26d)は、ブラシホルダ22に対して第1端部E1側に位置する。
【0047】
次いで、ブラシ23,24をブラシホルダ22の第1端部E1に配置するブラシ配置工程を行う。図4及び図6(a)に示すように、ブラシ配置工程では、ブラシホルダ22の外周に配置された第1ブラシ23をブラシホルダ22の第1端部E1の方へ移動させる。そして、第1ブラシ保持部36の径方向外側の端部から、ピッグテール40を挿通溝39内に挿通しつつ第1ブラシ23を同第1ブラシ保持部36に挿入する。同様に、ブラシホルダ22の外周に配置された第2ブラシ24をブラシホルダ22の第1端部E1の方へ移動させる。そして、第2ブラシ保持部37の径方向外側の端部から、ピッグテール40を挿通溝39内に挿通しつつ第2ブラシ24を同第2ブラシ保持部37に挿入する。こうしてブラシ装置21が完成する。
【0048】
上記したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)ピッグテール40を介して第1ターミナル25の第1接続部25bに第1ブラシ23を接続した後に、第2端部E2側から第1接続部25bを第1切欠き41に挿入しつつ第1ターミナル25を第2端部E2に配置することができる。同様に、ピッグテール40を介して第2ターミナル26の第2接続部26bに第2ブラシ24を接続した後に、第2端部E2側から第2接続部26bを第2切欠き42に挿入しつつ第2ターミナル26を第2端部E2に配置することができる。そして、第1切欠き41及び第2切欠き42はブラシホルダ22の外周側に開口している。そのため、接続部25b,26bをそれぞれ切欠き41,42に挿入するときに、ピッグテール40におけるブラシ23,24が接続された側の端部を切欠き41,42の開口41a,42aからブラシホルダ22の外周にそれぞれ引出すことにより、ブラシ23,24をブラシホルダ22の外周に配置することができる。そして、ブラシ23,24をブラシホルダ22の外周側から第1端部E1の方へ移動させることで、同ブラシ23,24を容易に第1端部E1に配置することができる。これらのことから、ターミナル25,26をブラシホルダ22に配置する前に、ターミナル25,26の接続部25b,26bにピッグテール40をそれぞれ接続することができる。よって、ブラシホルダ22に対するターミナル25,26の位置ずれの影響を受けることなくターミナル25,26の接続部25b,26bにピッグテール40をそれぞれ接続することができるため、ピッグテール40とターミナル25,26との接続を容易に行うことができる。また、ターミナル25,26をブラシホルダ22にインサート成形しなくてもよいため、ブラシホルダ22を安価に製造することができる。そして、安価に製造されるブラシホルダ22を備えたことにより、ブラシ装置21の製造コストを低減できる。
【0049】
(2)第1切欠き41は、第1接続部25b及び該第1接続部25bに接続されたピッグテール40が第2端部E2側から第1端部E1側へ挿通可能である一方、第1ブラシ23が第2端部E2側から第1端部E1側へ挿通不能な大きさである。同様に、第2切欠き42は、第2接続部26b及び該第2接続部26bに接続されたピッグテール40が第2端部E2側から第1端部E1側へ挿通可能である一方、第2ブラシ24が第2端部E2側から第1端部E1側へ挿通不能な大きさである。従って、切欠き41,42の大きさを小さく抑えつつ、ピッグテール40におけるブラシ23,24が接続された側の端部を切欠き41,42の開口41a,42aからブラシホルダ22の外周にそれぞれ引出してブラシ23,24をブラシホルダ22の外周に配置することができる。そして、切欠き41,42の大きさを小さく抑えることにより、ブラシホルダ22の強度の低下を抑制することができるとともに、ブラシホルダ22において切欠き41,42を設ける位置の自由度が増す。
【0050】
(3)製造コストが低減されたブラシ装置21を備えたことにより、モータ1の製造コストを低減することができる。
(4)接続工程では、ターミナル25,26はブラシホルダ22に対して配置されていないため、ブラシホルダ22に対するターミナル25,26の位置ずれの影響を受けることなくターミナル25,26の接続部25b,26bにピッグテール40をそれぞれ接続することができる。従って、ピッグテール40とターミナル25,26との接続を容易に行うことができる。そして、ターミナル配置工程では、接続部25b,26bを切欠き41,42にそれぞれ挿入しつつターミナル25,26を第2端部E2に配置するときに、ブラシ23,24がブラシホルダ22の外周を通るように切欠き41,42の開口41a,42aにピッグテール40をそれぞれ通すことで、ピッグテール40を介してブラシ23,24が接続されたターミナル25,26であっても容易に第2端部E2に配置することができる。更に、インサート成形によりターミナル25,26を埋設しなくとも、接続部25b,26bを第1端部E1側に突出させることができる。そして、ブラシ配置工程では、ターミナル配置工程においてブラシホルダ22の外周に配置されたブラシ23,24を第1端部E1の方へ移動させることで同ブラシ23,24を容易に第1端部E1に配置することができる。
【0051】
(5)一対のブラシ保持部36,37は、ブラシホルダ22の第1端部E1において第2の直線L2の両側で第1の直線L1上にそれぞれ形成されている。そして、第1切欠き41の開口41aは、ホルダ本体31を第1端部E1側から見た場合に、第2の直線L2よりも第1ブラシ保持部36に近い位置に形成されている。同様に、第2切欠き42の開口42aは、ホルダ本体31を第1端部E1側から見た場合に、第2の直線L2よりも第2ブラシ保持部37に近い位置に形成されている。従って、第1切欠き41が挿通される第1接続部25bと、第1ブラシ23を保持する第1ブラシ保持部36とをより近い位置とすることができるため、第1接続部25bと第1ブラシ23とを接続するピッグテール40の長さが長くなることを抑制できる。同様に、第2切欠き42が挿通される第2接続部26bと、第2ブラシ24を保持する第2ブラシ保持部37とをより近い位置とすることができるため、第2接続部26bと第2ブラシ24とを接続するピッグテール40の長さが長くなることを抑制できる。
【0052】
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・第1切欠き41及び第2切欠き42は、ブラシホルダ22の外周側に開口するように形成されるのであれば、ブラシホルダ22において必ずしも上記実施形態の場所に形成されなくてもよい。例えば、第1切欠き41及び第2切欠き42は、第1切欠き41の開口41a及び第2切欠き42の開口42aが第2の直線L2上に位置するように形成されてもよい。
【0053】
・第1切欠き41及び第2切欠き42の形状及び大きさは、上記実施形態の形状及び大きさに限らない。例えば、第1切欠き41及び第2切欠き42は、ブラシ23,24が第2端部E2側から第1端部E1側へ該第1切欠き41及び該第2切欠き42を挿通可能な大きさであってもよい。
【0054】
・上記実施形態では、ピッグテール40は、かしめ片25d,26dをかしめることにより接続部25b,26bに対して電気的に接続されている。しかしながら、ピッグテール40を接続部25b,26bに電気的に接続する方法は、これに限らず、溶接、半田付け等であってもよい。また、接続用のターミナル片を使用してピッグテール40を接続部25b,26bに電気的に接続してもよい。
【0055】
・上記実施形態では、ブラシ装置21は、一対のブラシ23、24を備えている。しかしながら、ブラシ装置21に備えられる給電用のブラシの数は、3個以上であってもよい。この場合、ブラシの数に応じてブラシホルダ22にブラシ保持部が形成されるとともに、同じくブラシの数に応じてブラシホルダ22に該ブラシホルダ22の外周側に開口する切欠きが形成される。更に、ブラシ装置21に備えられるターミナル25,26の数も2つではなく、3つ以上であってもよい。
【符号の説明】
【0056】
3…減速機、4…ヨークハウジング、4b…開口部、6…電機子、10…整流子、21…ブラシ装置、22…ブラシホルダ、23…ブラシとしての第1ブラシ、24…ブラシとしての第2ブラシ、25…ターミナルとしての第1ターミナル、25b…接続部としての第1接続部、26…ターミナルとしての第2ターミナル、26b…接続部としての第2接続部、36…ブラシ保持部としての第1ブラシ保持部、37…ブラシ保持部としての第2ブラシ保持部、40…ピッグテール、41…切欠きとしての第1切欠き、41a…開口、42…切欠きとしての第2切欠き、42a…開口、E1…第1端部、E2…第2端部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6