特許第5877104号(P5877104)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5877104
(24)【登録日】2016年1月29日
(45)【発行日】2016年3月2日
(54)【発明の名称】画像処理システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/04 20060101AFI20160218BHJP
   G02B 23/24 20060101ALI20160218BHJP
【FI】
   A61B1/04 372
   G02B23/24 B
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-72776(P2012-72776)
(22)【出願日】2012年3月28日
(65)【公開番号】特開2013-202138(P2013-202138A)
(43)【公開日】2013年10月7日
【審査請求日】2015年1月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078880
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100169856
【弁理士】
【氏名又は名称】尾山 栄啓
(72)【発明者】
【氏名】滝沢 努
【審査官】 佐藤 高之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−058641(JP,A)
【文献】 特開2012−040168(JP,A)
【文献】 特開平04−269936(JP,A)
【文献】 特開2007−260188(JP,A)
【文献】 特開2008−118635(JP,A)
【文献】 特開平01−113022(JP,A)
【文献】 特開2010−051372(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00−1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の操作部と、
前記第一の操作部を発光させることが可能な発光手段と、
所定の撮影画像生成手段によって生成される動画像をキャプチャ可能なキャプチャ手段と、
前記撮影画像生成手段より転送された動画像と、前記キャプチャ手段によりキャプチャされた静止画像とを一画面内に並べて同時表示可能に合成する画像合成手段と、
を備え、
前記第一の操作部の操作が行われると、
前記キャプチャ手段は、前記動画像をキャプチャし、
前記発光手段は、前記第一の操作部を所定の色で発光させ、
前記画像合成手段は、合成後の合成画像内に配置される静止画像に対し、前記所定の色の識別子を重畳することを特徴とする、画像処理システム。
【請求項2】
親画面となる画像を指定するための第二の操作部
を更に備え、
前記画像合成手段は、
前記第二の操作部の操作により指定された前記動画像と前記静止画像の一方が親画面となり、他方の画像が該親画面よりも表示サイズの小さい子画面となるように、該動画像と該静止画像とを合成し、かつ、
前記静止画像が親画面に指定されている場合に限り、前記合成画像内に配置されている静止画像に対し、前記所定の色の識別子を重畳することを特徴とする、請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項3】
前記識別子は、前記静止画像を取り囲う領域に重畳されることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の画像処理システム。
【請求項4】
前記識別子は、前記第一の操作部の発光色と同じ色で表示されるマスクであることを特徴とする、請求項1から請求項3の何れか一項に記載の画像処理システム。
【請求項5】
前記画像合成手段は、前記静止画像が親画面に指定されている期間、該期間開始からの経過時間の情報を、前記合成画像内に配置される静止画像に対して重畳することを特徴とする、請求項2を引用する請求項3又は請求項4に記載の画像処理システム。
【請求項6】
撮影画像を取得する電子内視鏡と、
前記所定の撮影画像生成手段を有しており、前記電子内視鏡より入力される撮影画像を処理して動画像を生成する信号処理装置と、
を備え、
前記第一の操作部は、前記電子内視鏡と前記信号処理装置の少なくとも一方に設けられていることを特徴とする、請求項1から請求項5の何れか一項に記載の画像処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動画像と静止画像とを一画面内に並べて同時に表示するための画像処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子内視鏡システムには、電子内視鏡により撮影された動画像をキャプチャする機能が備えられている。この種の電子内視鏡システムの具体的構成が、例えば特許文献1に記載されている。
【0003】
特許文献1に記載の電子内視鏡システムは、通常、動画像を親画面として表示しており、フリーズスイッチが操作されたときには、親画面を、スイッチ操作時にキャプチャされた静止画像に切り替えて表示すると同時に、それまで親画面として表示されていた動画像を子画面として表示する。これにより、術者は、動画像と静止画像とを一画面内で同時に観察することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−272679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、動画像が子画面で表示された場合、表示サイズが親画面と比べて縮小されているため、動画像内における病変部等の絶対的な動き(動き量)が小さくなる。例えば、声帯や心臓に近い部位等は動きが比較的大きいため、縮小されて動きが小さくなった動画像と静止画像との判別は難しいとはいえない。これに対し、大腸や胃等は活発に動く部位ではないため、子画面表示されている動画像が静止した画像であるかのように見える虞がある。この場合、動画像と静止画像との判別が難しく、術者が動画像と静止画像とを取り違える虞がある。そのため、術者が例えば静止画像を動画像と思い込んだまま、体腔内観察や施術を継続するなどの問題が起こり得る。
【0006】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものである。本発明の目的は、術者による動画像と静止画像との取り違えを防止するのに好適な画像処理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決する本発明の一実施形態に係る画像処理システムは、第一の操作部と、第一の操作部を発光させることが可能な発光手段と、所定の撮影画像生成手段によって生成される動画像をキャプチャ可能なキャプチャ手段と、撮影画像生成手段より転送された動画像と、キャプチャ手段によりキャプチャされた静止画像とを一画面内に並べて同時表示可能に合成する画像合成手段とを備えており、第一の操作部の操作が行われると、キャプチャ手段が動画像をキャプチャし、発光手段が第一の操作部を所定の色で発光させ、画像合成手段が、合成後の合成画像内に配置される静止画像に対し、所定の色の識別子を重畳する。
【0008】
術者は、第一の操作部の発光色と同じ色の識別子を目視することにより、合成画像内の静止画像を特定することができ、動画像と静止画像とを取り違えることがなくなる。
【0009】
また、本発明の一実施形態に係る画像処理システムは、親画面となる画像を指定するための第二の操作部を更に備えた構成としてもよい。この場合、画像合成手段は、第二の操作部の操作により指定された動画像と静止画像の一方が親画面となり、他方の画像が親画面よりも表示サイズの小さい子画面となるように、動画像と静止画像とを合成し、かつ、静止画像が親画面に指定されている場合に限り、合成画像内に配置されている静止画像に対し、所定の色の識別子を重畳する。
【0010】
また、識別子は、例えば静止画像を取り囲う領域に重畳される。識別子の具体的例として、第一の操作部の発光色と同じ色で表示されるマスクが挙げられる。
【0011】
また、画像合成手段は、例えば、静止画像が親画面に指定されている期間、期間開始からの経過時間の情報を、合成画像内に配置される静止画像に対して重畳することができる。
【0012】
また、本発明の一実施形態に係る画像処理システムは、撮影画像を撮影可能な電子内視鏡と、所定の撮影画像生成手段を有しており、電子内視鏡より入力される撮影画像を処理して動画像を生成する信号処理装置とを備えたシステムとしてもよい。この場合、第一の操作部は、例えば電子内視鏡と信号処理装置の少なくとも一方に設けられている。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一実施形態によれば、術者による動画像と静止画像との取り違えを防止するのに好適な画像処理システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態における内視鏡システムの構成を示すブロック図である。
図2】本発明の一実施形態における内視鏡の操作部を示す模式図である。
図3】本発明の一実施形態におけるモニタの表示画面に表示される表示画面例を示す図である。
図4】本発明の一実施形態におけるモニタの表示画面に表示される表示画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態における電子内視鏡システムについて説明する。
【0016】
図1は、本実施形態の電子内視鏡システム100の構成を示すブロック図である。図1に示されるように、電子内視鏡システム100は、電子スコープ1及びビデオプロセッサ2を備えている。電子スコープ1とビデオプロセッサ2は、光学的及び電気的に接続されている。
【0017】
ビデオプロセッサ2は、光源部41を備えている。光源部41は面順次方式にて照明光を生成するものであり、光源、集光レンズ、カラーフィルタ、カラーフィルタ回転制御回路、光量絞り、絞り制御回路等を備えている。光源は白色光源であり、例えばハロゲンランプ、キセノンランプ、白色LED等である。光源より放射された白色光は、集光レンズによって集光されてカラーフィルタを透過する。カラーフィルタは、カラーフィルタ回転制御回路による制御下で、映像信号をフレームメモリに書き込む際のタイミングパルスや垂直同期信号に同期して回転し、集光レンズより入射される白色光を赤(R)、緑(G)、青(B)の光に順次色分解する。カラーフィルタにより色分解された照明光は、絞り制御回路による制御下で動作する光量絞りによって適正な光量に絞られて、光ファイバ束からなるライトガイド21の入射端に入射される。なお、撮像方式は、面順次方式に代えて、同時方式の撮像方式を採用してもよい。
【0018】
光源部41より供給される照明光は、ライトガイド21内部を伝搬して電子スコープ1の可撓管先端部内に配されたライトガイド21の射出端より射出される。可撓管先端部内には、対物光学系11及び配光光学系12が配置されている。対物光学系11の後段には、撮像素子13(CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサなど)が配置されている。また、複数の伝送路が束ねられた信号線が撮像素子13からビデオプロセッサ2との接続部にかけて引き出されている。なお、図1中、対物光学系11を単枚として示しているが、実際は複数枚から構成されている。さらに本実施形態では光学ズームにも対応している。
【0019】
ライトガイド21より射出された照明光は、配光光学系12を介して対象部位に到達する。照明光は対象部位で反射されて、対物光学系11を介して撮像素子13の撮像面上に結像する。撮像素子13によって受光された照明光は光電変換された後、ビデオプロセッサ2の映像信号処理回路30に送信される。
【0020】
術者は、電子スコープ1の操作部22のスイッチやビデオプロセッサ2の操作パネル42に設けられた電子ズーム用のスイッチを操作することにより、電子ズームの倍率を変更することができる。ビデオプロセッサ2のCPU39は、電子ズーム用のスイッチの操作信号を受信し、操作信号に基づいて電子ズームの制御信号を画像処理回路34に送信する。画像処理回路34は、受信された制御信号に基づいて映像信号に対して電子ズーム処理を行う。
【0021】
また、電子内視鏡システム100においては、ビデオプロセッサ2側で主体的に行われるズーム機能である電子ズームのほかに、電子スコープ1側で主体的に行われるズーム機能である光学ズームも実行することができる。電子スコープ1の操作部22内には、光学ズーム手段として、モータ14、及びモータ14の回転数を検出するロータリエンコーダ15が設けられている。モータ14は、トルクワイヤを介してギア10と接続されている。ギア10は、モータ14の駆動力を利用して対物光学系11内の可動レンズを光軸方向に移動させて、撮像素子13の撮像面との焦点距離を合焦位置を変えることなく変更する。モータ14に対する入力やロータリエンコーダ15により検出されるモータ14の回転数等の情報は、モータ制御回路16にフィードバックされる。
【0022】
例えば、パルス波のデューティ比を変化させて変調するPWM(Pulse Width Modulation)駆動式の場合は、PWM周波数やデューティ比がモータ制御回路16にフィードバックされる。モータ14の回転数と対物光学系11内の可動レンズの移動量は対応しているため、ロータリエンコーダ15により検出されるモータ14の回転数等の情報に基づいてフィードバック制御することにより、光学ズームを所望の倍率に合わせることができる。術者は、操作部22のスイッチや操作パネル42等に設けられた光学ズーム用のスイッチを操作することにより光学ズームの倍率を変更することができる。電子スコープ1のCPU18は、光学ズーム用のスイッチの操作信号を受信し、受信された操作信号に基づいてモータ制御回路16に制御信号を送信する。モータ制御回路16は、CPU18より受信した制御信号に従い、モータ14を所望の光学ズームの倍率に対応する回転数分だけ駆動する。モータ14の駆動は、ギア10に伝達され、ギア10は、モータ14の回転数分だけ対物光学系11内の可動レンズを光軸方向に移動させる。
【0023】
CPU18は、モータ制御回路16のほか、メモリ17やタイミング回路19と接続されている。メモリ17には、電子スコープ1が実行可能な機能、撮像素子13の画素数やフレームレートなど、電子スコープ1に関する情報が記憶されている。従って、CPU18は、画像処理に必要な情報をメモリ17から読み出して各ブロックに必要な設定値を指定する。また、電子スコープ1がビデオプロセッサ2に接続されると、CPU18は、メモリ17に記憶されている情報のうち電子スコープ1の識別情報や撮像素子13固有のプロパティ情報など、ビデオプロセッサ2内での処理に必要な情報をCPU39に送信する。
【0024】
CPU39は、CPU18から電子スコープ1に関する情報を受信すると、受信された情報に基づいてビデオプロセッサ2内の各ブロックの処理タイミングを変更するようにタイミング回路37に対して指示したり、画像処理回路34内のRGBゲイン値を調整するなどし、現在使用している電子内視鏡システムに最適化された色が再現されるように制御する。また、CPU18は、メモリ44に格納されているビデオプロセッサ2における画像処理に関する情報をCPU39より受信し、受信された情報に基づいてタイミング回路19を介して駆動回路20を制御して撮像素子13を駆動する。
【0025】
映像信号処理回路30は、撮像素子13から出力される映像信号を受信し、受信された信号に、クランプ、ニー、γ補正、補間処理、AGC(Auto Gain Control)などの種々の信号処理を施す。映像信号処理回路30は、処理された信号をデジタル信号列に変換し、RGBの色変換を行って、R,G,Bの各信号をRメモリ31、Gメモリ32、Bメモリ33にそれぞれ出力する。Rメモリ31、Gメモリ32、Bメモリ33は、タイミング回路37から出力されるタイミングパルスに基づいて、入力された映像信号をフレーム単位でバッファリングする。また、Rメモリ31、Gメモリ32、Bメモリ33は、タイミング回路37の制御によって、信号をNTSC(National Television System Committee)やPAL(Phase Alternation Line)などのモニタ表示のフォーマットに変換し、画像処理回路34に出力する。
【0026】
画像処理回路34は、Rメモリ31、Gメモリ32、Bメモリ33より受信されるR,G,Bの各映像信号に対して、血管を強調するエンハンス、明るさ補正、ノイズ低減、マスク処理等の画像処理を施し、D/A変換して加算部35に出力する。キャラクタ生成回路38は、キーボード3や操作パネル42から入力される、患者名、施術者の所見やコメントなど、種々の文字情報を加算部35に出力する。加算部35は、キャラクタ生成回路38より入力される文字情報が画面内の所定位置に表示されるように、画像処理回路34より入力される映像信号に対して文字情報の信号を付加する。文字情報付加後の映像信号は、アンプ36に出力されて増幅された後、周辺機器であるモニタ8やプリンタ4、PC5、VTR6に出力される。
【0027】
図2(a),(b)に、電子スコープ1の操作部22の模式図を示す。本実施形態においては、4つのスイッチ51,52,54,55が操作部22に設けられており、各スイッチには異なる機能が割り当てられている。なお、スイッチ51,52,54,55により、電子スコープ1やビデオプロセッサ2が有する機能のほか、ビデオプロセッサ2と接続されているプリンタ4,PC5,VTR6、心電図、脈拍、血圧などを計測する計測装置7、モニタ8等の周辺機器の機能も実行することもできる。例えば、ビデオプロセッサ2において生成される静止画像をプリンタ4に送信して印刷したり、ビデオプロセッサ2において生成される静止画像や動画像をPC5やVTR6に保存したり、計測装置7から出力される計測結果をモニタ8に表示させたりすることができる。
【0028】
また、操作部22には、電子スコープ1の可撓管先端部を上下左右に向けるための左右湾曲用アングルノブ57と上下湾曲用アングルノブ58が設けられている。術者が左右湾曲用アングルノブ57と左右湾曲用アングルノブ58を回動操作することにより、電子スコープ1の可撓管先端部の湾曲方向を制御して撮像範囲を変更することができる。左右湾曲用アングルノブ57と左右湾曲用アングルノブ58には、各アングルノブによる可撓管先端部の湾曲状態を固定するためのロックレバー56,59がそれぞれ設けられている。
【0029】
また、操作部22には、送気送水スイッチ53及び吸引スイッチ60が設けられている。送気送水スイッチ53は、電子スコープ1の可撓管先端部に設けられた送気送水口から、送気によって患者の管腔を広げて視野を確保したり、体液や出血等で対物レンズ表面が汚れて電子スコープ1の観察性能が低下した場合に、水を噴射してレンズ表面の汚れを除去し、空気を送って対物レンズ表面の水滴を飛ばすことで視界を回復したり、処置対象物の表面に空気を吹き付けて処置対象物の鮮明な観察画像を取得したりする際に使用される。また、吸引スイッチ60は、患者の体腔内の空気量を調節するために空気を吸引したり、体液や血液などを吸い出したりする際に使用される。
【0030】
また、操作部22の先端側には処置具チャネルの一端(処置具チャネル口61)が設けられており、可撓管先端部には処置具チャネルの他端(他方の処置具チャネル口)が設けられている。処置具チャネル口61には、生体鉗子や細胞採取用ブラシ、異物除去用鉗子、洗浄用パイプ、注射針など、各種処置具が必要に応じて挿入される。挿入された処置具は、処置具チャネル及び他方の処置具チャネル口を経由して病変部等の処置対象部位へ案内される。
【0031】
次に、操作部22のスイッチ51,52,54,55の発光について説明する。スイッチ51,52,54,55は、発光回路23によるLED等の発光制御に従い、発光可能となっている。各スイッチ51,52,54,55へ割当て可能な機能と発光色とは、1:1で対応付けられている。機能と発光色との対応関係の情報はメモリ17に格納されている。なお、便宜上、発光回路23と他の構成との結線は省略する。
【0032】
電子スコープ1とビデオプロセッサ2とを接続すると、電子スコープ1のCPU18は、ビデオプロセッサ2のCPU39と通信を行う。CPU39は、メモリ44に格納されているビデオプロセッサ2の識別情報を読み出してCPU18に転送する。CPU39は、ビデオプロセッサ2に周辺機器が接続されている場合、接続されている周辺機器の識別情報もCPU18に転送する。CPU18は、受信された識別情報に基づいて、ビデオプロセッサ2や周辺機器等との間で実行可能な機能を判別し、判別結果及びメモリ17に格納されている機能と発光色との対応関係に基づいて、操作部22の各スイッチへの機能の割当て及び発光色の指定を行う。
【0033】
本実施形態では、スイッチ51,52,54,55のそれぞれに、フリーズ、プリンタによる印刷、VTRによる記録、画像において血管強調を行うエンハンスの機能が割り当てられる。また、スイッチ51,52,54,55のそれぞれに、発光色として、赤、緑、青、黄の発光色が指定される。
【0034】
また、操作パネル42の各スイッチは、発光回路43(例えばLED)により機能毎に異なる発光色にて発光可能となっている。CPU18は、CPU39と連係して発光回路43を制御し、操作パネル42内のフリーズスイッチ、印刷スイッチ、録画スイッチ、エンハンススイッチに対し、発光色として、赤、緑、青、黄を指定する。すなわち、同じ機能を実行する操作部22のスイッチと操作パネル42のスイッチとの発光色は一致する。
【0035】
例えば操作部22のスイッチ51が押されると、CPU18は、スイッチ51を赤色で発光させると共に、CPU39と連係して、画像処理回路34に搭載された静止画用処理回路34Cにキャプチャ信号を送信する。また、操作パネル42内のフリーズスイッチが押された場合は、CPU39がフリーズスイッチを赤色で発光させると共に、静止画用処理回路34Cにキャプチャ信号を送信する。赤色に発光されるスイッチは、術者に押されたスイッチのみであってもよく、スイッチ51とフリーズスイッチの両方であってもよい。
【0036】
静止画用処理回路34Cは、キャプチャ信号の受信時に画像処理回路34により生成されていた画像をキャプチャし、フリーズの解除操作(例えばスイッチ51又はフリーズスイッチが再度押されるなど)が行われるまで、キャプチャされた画像を加算部35に出力する。すなわち、画像処理回路34からは、前段の回路より順次入力される映像信号を用いて生成される動画像、及び静止画用処理回路34Cによりキャプチャされた静止画像が出力される。
【0037】
また、画像処理回路34は、動画像の信号に対して子画面を指定する子画面指定信号を付加して加算部35に出力する。一方、静止画用処理回路34Cは、スイッチ51及びフリーズスイッチの発光色(赤)と同色の識別子を静止画像の信号に重畳し、かつ、静止画像の信号に対して親画面を指定する親画面指定信号を付加して加算部35に出力する。本実施形態では、識別子として、従前の内視鏡システムを使用していた術者にも無用な違和感を与えぬよう、後述の図3(a)に示すマスクMrを採用している。なお、本実施形態におけるマスクとは、画像を取り囲うものであり、実質的に画像の一部を覆い隠すものではない。加算部35は、親画面に指定された静止画像が表示画面領域の全体に配置され、子画面に指定された動画像が表示画面領域の四隅の一角に配置されるように画像の合成処理を行う。図3(a)に、モニタ8の表示画面に表示される合成画像を例示する。
【0038】
図3(a)に示されるように、モニタ8の表示画面には、静止画像が親画面として表示画面全体に表示されると共に、動画像が子画面として表示画面の右上隅に表示される。動画像には一般的な黒色のマスクMkが重畳される一方、静止画像にはスイッチ51及びフリーズスイッチの発光色と同じ赤色のマスクMrが重畳される。術者は、スイッチ51やフリーズスイッチの発光色と同じ赤色のマスクMrを目視することにより、フリーズ操作に対応する静止画像を特定することができる。そのため、術者が動画像と静止画像とを取り違える虞がない。
【0039】
また、操作部22には、親画面切替用スイッチ62が設けられている。親画面切替用スイッチ62が押されると、CPU18は、CPU39と連係して、画像処理回路34及び静止画用処理回路34Cに対して切替信号を送信する。画像処理回路34及び静止画用処理回路34Cは、切替信号を受信すると、画像に付加すべき画面指定信号を切り替える。具体的には、子画面指定信号を付加していた場合には親画面指定信号へ切り替え、親画面指定信号を付加していた場合には子画面指定信号へ切り替える。そのため、例えば図3(a)に示される画面がモニタ8の表示画面に表示されている時に親画面切替用スイッチ62が押されると、モニタ8の表示画面の表示は、動画像が親画面として表示画面全体に表示されると共に、静止画像が子画面として表示画面の右上隅に表示される画面に切り替わる(図3(b)の表示画面例を参照)。
【0040】
ここで、動画像が親画面となるため、動画像内における病変部等の絶対的な動き(動き量)が子画面の場合と比べて大きくなる。この場合、術者が動画像と静止画像とを取り違える虞が実質無くなるため、静止画像に対するマスクも一般的な黒色(マスクMk)に変更される。なお、動画像と静止画像との取り違えをより確実に防止するため、図3(b)の表示画面例においても、静止画像に対し、スイッチ51及びフリーズスイッチの発光色と同じ赤色のマスクMrの重畳を継続してもよい。また、親画面切替用スイッチ62と同一機能を持つスイッチは、操作パネル42内にも設けられていてもよい。
【0041】
ところで、施術中に長時間に亘って静止画像を観察し続けると、患者に負担等が掛かるため望ましくない。そこで、本実施形態では、タイムカウント機能が付加されている。図4は、タイムカウント機能の実行中のモニタ8の表示画面例を示す図である。
【0042】
操作部22には、タイムカウントモードをオン・オフするタイムカウント用スイッチ63が設けられている。タイムカウント用スイッチ63によりタイムカウントモードがオンされている場合、CPU18は、CPU39と連係して、静止画像が親画面に指定されている期間、期間開始からの経過時間の情報をキャラクタ生成回路38に送信する。キャラクタ生成回路38は、送信された経過時間の文字情報を加算部35に出力する。加算部35が経過時間の文字情報を静止画像に重畳することにより、図4に示される画面がモニタ8の表示画面に表示される。術者は、表示画面内の経過時間を視認することにより、静止画像をどの程度の時間観察しているかを把握することができ、例えば時間配分等を考えながら施術を進めることができる。
【0043】
以上が本発明の例示的な実施形態の説明である。本発明の実施形態は、上記に説明したものに限定されず、本発明の技術的思想の範囲において様々な変形が可能である。例えば明細書中に例示的に明示される実施形態又は自明な実施形態を適宜組み合わせた内容も本願の実施形態に含まれる。例えば、電子スコープ1とビデオプロセッサ2とを接続した後に、電子スコープ1の操作部22の各スイッチに割り当てられた機能と発光色とを変更することができる。術者は、ビデオプロセッサ2の操作パネル42やビデオプロセッサ2に接続されたキーボード3を入力手段として使用し、操作部22の各スイッチに割り当てられる機能や発光色を変更することができる。
【0044】
また、ビデオプロセッサ2のCPU39は、静止画用処理回路34Cによってキャプチャされた静止画像を例えばPC5やVTR6、ファイルシステム等の外部記憶装置に保存することができる。CPU39はまた、これらの外部記憶装置に保存されている静止画像を読み出し、読み出された静止画像を親画面又は子画面として、静止画用処理回路34Cによりキャプチャされた静止画像に代えて、モニタ8の表示画面に表示させることができる。この場合も、術者による動画像と静止画像との取り違えを防止するため、マスクMrが静止画像に重畳される。すなわち、マスクMrが重畳される静止画像は、過去にキャプチャされた画像であってもよい。
【0045】
また、本実施形態では識別子として、画像を取り囲うマスクMrを例示しているが(図3図4参照)、マスクの形態はこれに限らない。例えばマスクは、画像を完全には取り囲わない形態(例えば画像の上下端に重畳されるライン等)であってもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 電子スコープ
2 ビデオプロセッサ
3 キーボード
4 プリンタ
5 PC
6 VTR
7 計測装置
8 モニタ
18,39 CPU
22 操作部
23,43 発光回路
34C 静止画用処理回路
42 操作パネル
51,52,54,55 スイッチ
100 電子内視鏡システム
図1
図2
図3
図4