(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
典型的なアイアンクラブヘッドは平坦な打撃フェースを具備して中身が詰まっており、全体的にマッスルバックまたはキャビティバッククラブとして構成される。伝統的には、すべてのアイアンは、マッスルバッククラブとして構成されていたのであり、これは、バックが平滑でありオフセットが小さく、トップラインが薄く、またソールが薄く、トップラインの厚さはクラブの上側ブレードの厚さと類似である。キャビティバックアイアンは空洞のバックを伴い、クラブヘッドの重量がソールおよびクラブヘッドの周囲に再分散されており、これにより重心が地面側に下方に移動させられ、また後方に移動させられる。この重心分散により、アイアンはボールをより高く打ち上げ、また、回転慣性モーメントを増大させ、ミスヒット時の回転傾向を小さくしてスイートスポットを増大させる。
【0003】
いくつかのマッスルバックアイアンは内部空洞セクションを伴い、外見上、マッスルバックに似ているけれども、内部の空洞セクションがクラブの重量特性を変更する。1つの例は米国特許第4,645,207号(Teramoto等)である。Teramoto特許は1組のアイアンゴルフクラブを開示し、ここでは、アイアンクラブはロストワックス法で鋳造され、フェース部材のバックにバック部材が溶接されバック部材およびフェース部材の間に空洞セクションが形成される。クラブが長尺のアイアンから短いアイアンに変化するに従い、空洞セクションは徐々に小さくなりゼロになり、ソール幅は徐々に減少する。
【0004】
他の例は米国特許第4,754,969号(Kobayashi)である。Kobayashi特許は、1ピースのクラブヘッドが1つの空洞セクションを打撃フェースの後方に有する1組のゴルフクラブを開示する。各クラブヘッドは例えばロストワックス鋳造プロセスでステンレス鋼から製造される。クラブヘッドのフェース部分の各々の材料はそののちアニーリングされる。
【0005】
他の例は米国特許第7,126,339号(Nagai等)であり、これはユーティリティゴルフクラブを開示し、これは全般的には空洞インテリアを含む。
【0006】
当該分野においては、製造プロセスおよび材料においてより多くの柔軟性を実現し、それでいて複雑なジオメトリを組み入れることができる、改良されたアイアン型ゴルフクラブに対する要望が依然として存在する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
この発明は、多数材料構造を含むヘッドを伴うゴルフクラブに向けられている。この発明の構造は少なくとも3つの異なる金属材料から構築されるゴルフクラブヘッドを採用し、それら材料の1つが他の2つの間に介挿される。この発明のいくつかの実施例が以下説明される。
【0015】
そうでないと明示されない限り、すべての数値範囲、量、値、百分率、例えば材料の量、慣性モーメント、重心位置、ロフト、ドラフト角、および明細書中の以下の部分の他のものは、たとえ、その値、量または範囲に関連して用語「約」が表示されていなくとも、「約」がその前に配置されているように読むことができる。したがって、そうでないと示されていない限り、明細書および特許請求の範囲に表される数のパラメータは近似的であり、これは、この発明により得られることが企図される所望の特性に応じて変化する。最低限でも、もちろん均等論の適用を制約するものではないが、各数のパラメータは記録されている有効数字の数や通常の丸め処理に照らして解釈されるべきである。
【0016】
この発明の広範な範囲を示す数的範囲およびパラメータは近似的であるけれども、具体例において示された数値は可能な限り正確に記録した。任意の数値は、それでも、それぞれのテスト計測に見いだされる標準偏差に必然的に起因する誤差を含む。さらに、種々のスコープの数値範囲が示される場合には、例示された値を含めた値の任意の組み合わせが利用できると理解されたい。
【0017】
図1〜
図4において、ゴルフクラブ2は、シャフト4、フェルーレ6、グリップ(図示しない)、およびゴルフクラブヘッド10を含む。ゴルフクラブヘッド10は、クラブヘッド本体部材12、ソール部材14、複数の本体ウエイト部材16、ホーゼルウエイト18、およびバックプレート20を含む。本体部材12は全体的には、後方に向けて開放されたキャビティ21を形成する、上方の周囲重み付け部分と、下方のマッスル部分とを有する。本体部材12はフェース22、ヒール周囲重み付け部分24、トウ周囲重み付け部分26、トップライン28、ソール部分30、およびホーゼル32を含む。フェース22は、トップライン28と、フェース22およびソール部分30の接合位置に配置されるリーディングエッジ40と、ヒール周囲重み付け部分24と、トウ周囲重み付け部分26との間を伸びるようになっている。フェース22はボール打撃フェース34、複数のグルーブ36、および、バックプレート20に結合される背面38を形成する。
【0018】
本体部材12のソール部分30は、前方/後方方向でリーディングエッジ40およびトレーリングエッジ42の間、およびクラブヘッド10のヒールおよびトウの間を伸びる。ゴルフクラブヘッド10のソール表面は、ソール部分30、ソール部材14、および本体ウエイト部材16のそれぞれの下側表面の組み合わせにより実現される。具体的には、ソール部材14の下側表面がゴルフクラブヘッド10のソール表面の中央の長い部分を形成し、本体ウエイト部材16の下側表面がゴルフクラブヘッド10のソール表面のヒールおよびトウ端で中央部分を形成する。
【0019】
ソール部材14はゴルフクラブヘッド10に含まれ、広範な製造プロセスをゴルフクラブヘッド10を構築する際に利用できるようにゴルフクラブヘッドの構造を簡略化する。具体的には、一例において、本体部材12のソール部分30およびソール部材14により形成される下側キャビティ44を含むゴルフクラブ10の構造を伴いながらも、本体部材12が鍛造された材料から構築されて良い。下側キャビティ44は、上側開口を含み、これは本体部材12のフランジ46により形成され、下側キャビティが上側キャビティ21へと開口されている。
【0020】
フランジ46は本体部材12の一体部分として形成され、フランジ46の一部が下側キャビティ44に対して張り出している。
図3に示すように、フランジ46の前方部分はフェース22から後方に伸び、さらに、フランジ46の上および下でフェース22の部分に対して後方に伸び、そのため、それがフェース22からのカンチレバー形状となる。フランジ46の裏面は本体部材12の底から機械加工されてよく、これは、ソール部材14によって閉止される下側開口を含むことによりなされる。この構造の結果、下側キャビティ44はより細かで精彩な構造を伴うことができ、例えば、キャビティの少なくとも一部でフランジ46が張り出すようにアンダーカットされてよい。
【0021】
下側キャビティ44の下側端部はソール部材14により封止される。この結果、下側キャビティ44は、本体部材12およびソール部材14により充分に確定される開放されたキャビティである。好ましくは、本体部材12およびソール部材14は同一の材料から構成されて、例えば溶接によって、それらが容易に結合できるようになす。
【0022】
本体ウエイト部材16は、クラブヘッド10のヒールおよびトウ端に配置される。この実施例においては、ウエイト部材16の各々は、本体部材12およびソール部材14の比重より大きな比重の材料から構築される。例えば、本体ウエイト部材16はタングステンおよびタングステン・ニッケル合金のような材料から構築されて、スチールの本体部材12およびソール部材14に形成されたリセプタクル中にロウ付けされてよい。代替的には、依然として本体部材12およびソール部材14の材料より大きな比重を持つけれども密度がより小さい合金、例えば、10g/ccの密度のタングステン合金を本体ウエイト部材16に採用してそれらがリセプタクルに溶接可能なようにしてよい。異なる密度のウエイト部材を組み合わせて組み入れて良い。
【0023】
ゴルフクラブヘッド10はホーゼルウエイト18も含む。ホーゼルウエイト18は本体部材12のホーゼル32に結合される。ホーゼルウエイト18は、ホーゼル32の基端部に結合されてホーゼルの一部を置き換える部材であってよく、あるいは、ホーゼルウエイトはホーゼル32のシャフト穴の内部または下方において本体部材12と結合されるウエイトプラグとして構築されて良い。好ましくは、ホーゼルウエイト18は、本体部材12の材料より比重が大きな材料から構築され、これは本体部材12に溶接、ロウ付け、または機械的に結合可能である。例えば、本体部材12はスチールから構築されて良く、ホーゼルウエイト18は10g/ccのタングステン合金から構築されて良く、これは
図1〜5に示すようにホーゼル32の基端部に溶接される。代替的には、ホーゼルウエイトおよび本体部材は機械的に結合するようにネジ切りされ、相補敵であってよい。さらに代替的には、ホーゼルウエイトおよび本体部材はカシメ止めされ、または一体にプレス、突き合わせ、フィット処理されてよい。
【0024】
図4に示すように、リセプタクル48は、各ウエイト部材16に対して、本体部材12およびソール部材14中に形成される。各リセプタクル48は、本体部材12およびソール部材14に部分的に形成され、ウエイト部材16が挿入された後にウエイト部材16が本体部材12およびソール部材14の双方に結合するようになっている。
【0025】
バックプレート20はフェース22の背面38に結合され、本体部材12のトップライン28およびフランジ46の間に配置される背面38の一部を被覆する。好ましくは、バックプレート20は下側キャビティ44の上側開口から離間してバックプレート20が下側キャビティ44のいずれの部分も閉ざさないようになっている。バックプレート20は背面38に例えば接着剤により結合され、最終的な重量の調整や、完成したゴルフクラブヘッド10の振動特性の変更に利用されて良い。
【0026】
図6〜
図9を参照してゴルフクラブヘッド10の製造プロセスを説明する。本体部材12の構築ではまず鍛造されたプレフォーム52から始まり、このプレフォーム52は、
図6に示すように、ソリッドの周囲重み付け部分54を伴うキャビティバック構造を具備し、周囲重み付け部分54のソール部分56には下側キャビティがない。鍛造プロセスに限定するので、プレフォーム52に含まれ得る特徴および種々の部分の形状は制約される。例えば、鍛造プロセスは正のプロフィールを具備するツールを加熱された材料に押しつけ引き上げるので、そこに含まれる特徴は全般的には限定される。具体的には、一般的にはリセスおよびキャビティに抜け勾配を含ませねばならず、複雑なツールを必要とすることなく、および/または、プロセスの途中のステップでプレフォームを再配向することなしに、アンダーカット特徴を形成することは非常に困難である。代替的には、下側キャビティを含む本体部材をインベストメント鋳造法で鋳造して良い。
【0027】
プレフォーム52が形成された後、機械加工プロセスが実行されてプレフォーム52のソール部分56に下側キャビティ44のジオメトリが形成され、またホーゼル穴58が形成され、これを
図7に示す。ゴルフクラブヘッド10の下側キャビティ44はフランジ46の下にアンダーカットを含むので、プレフォーム52は、好ましくは、下側キャビティ44を形成するためにソール側から機械加工処理される。機械加工プロセスの後に、機械加工済みのソール部分56は上側開口および下側開口の双方を含む。フランジ46は機械加工により形成され、下側キャビティ44の上側開口を形成する。上述のように、鍛造されたプレフォームを使用し下側キャビティを機械加工するのでなく、下側キャビティを含む本体部材を鋳造して良い。
【0028】
機械加工プロセスは、好ましくは、ソール表面側から機械加工ツールをソール部分56に伸ばし入れることにより実行される。例えば、ミルを用いて、ソール部分56の長尺な部分を除去してキャビティを形成する。機械加工ツールの深さはキャビティ全体を通じて変化されて張出フランジ46および上側開口を形成して良い。たとえば、機械加工ツールはソール部分56を通り抜けて伸び上側開口を形成し、また、機械加工ツールはソール部分56中を部分的にのみ延びてフランジ46のアンダーカットを切り出す。下側キャビティおよびホーゼル穴の機械加工により本体部材12の構造が形成される。
【0029】
図7に示すように、別個のソール部材14が構築され本体部材12に結合され、下側キャビティを機械加工して形成した下側開口を閉じる。ソール部材14は厚さが異なる複数の部分を含む。厚さを適宜に選定することにより、ソール部材14を本体部材12に結合した後に機械加工できる部分が実現されてウエイト部材16を収容するリセプタクルを形成する。
図8に示す例では、長尺のソール部材14の端部部分は、ソール部材のトウ端部60およびヒール端部62に隣接して、厚さT1およびT2を伴い、これはソール部材14の中央の厚さT3よりも厚い。この厚さ構造は、ウエイト部材16をゴルフクラブヘッド、例えばゴルフクラブヘッド10のヒールおよびトウに含むゴルフクラブヘッドを実現するために設けられる。代替的な厚さ構造は、異なるウエイト構造のために設けられて良い。例えば、ソールの中心にウエイト部材を含むゴルフクラブヘッドにおいては、中央の厚さがヒールおよびトウ端部に較べて大きいソール部材が実現されて良い。ソール部材は好ましくはプレフォーム52と同一の材料から構築された鍛造部品として構築される。しかしながら、必要であれば、ソール部材14は鍛造され、スタンプされ、鋳造され、機械加工され、また他の任意の製造プロセスで製造されてよく、またそれは本体部材と異なる材料から構築されて良いことに留意されたい。
【0030】
ソール部材14は下側キャビティの下側開口の内部にフィットするような形状とされ、下側開口が閉じるように本体部材12と結合され、これを
図9に示す。ソール部材14は好ましくは溶接により本体部材12に結合される。ソール部材を本体部材12に結合するプロセスはソール部材およびプレフォームの材料に適合するように変更して良く、例えば、素片がロウ付けされ、溶接され、または、その他の機械的な手法で結合されて良いことに留意されたい。
【0031】
ソール部材14が本体部材12に実装された後、リセプタクルが好ましくはソール中に機械加工により形成される。
図4に分解して示し、また
図9に破線で示すように、リセプタクルは本体中に機械加工により形成されソール部材14および本体部材12の間のインターフェースを横切って伸びヒールリセプラクル64およびトウリセプラクル66を含むようになっている。リセプタクルが形成された後、ウエイト部材16、ホーゼルウエイト18、およびバックプレート20を実装するステップが実行されて完成品のゴルフクラブヘッド10が形成される。
【0032】
図10〜
図14を参照してゴルフクラブヘッドの他の実施例を説明する。ゴルフクラブ80はクラブヘッド本体部材82、ソール部材84、複数の本体ウエイト部材86、ホーゼルウエイト88、および、バックプレート90を含む。本体部材82は、全般的に、上側の周囲重み付け部分を具備し、これは、上側キャビティ91を形成し、フェース92、ヒール周囲重み付け部分94、トウ周囲重み付け部分96、トップライン98、ソール部分100、およびホーゼル102を含む。フェース92は、トップライン98と、フェース92およびソール部分100の接合位置に配置されるリーディングエッジ104と、ヒール周囲重み付け部分94と、トウ周囲重み付け部分96との間を伸びるようになっている。フェース92はボール打撃フェース94、複数のグルーブ95、および、バックプレート90に結合される背面97を形成する。
【0033】
本体部材92のソール部分100は、前方/後方方向でリーディングエッジ104およびトレーリングエッジ106の間、およびクラブヘッド80のヒールおよびトウの間を伸びる。ゴルフクラブヘッド80のソール表面は、本体部材82のソール部分100、ソール部材84、および本体ウエイト部材86のそれぞれの下側表面の組み合わせにより実現される。ウエイト部材86は、ゴルフクラブヘッド10と較べたときに、ソール部分100においてさらに後方に配置され、本体ウエイト部材86の下側表面が、ゴルフクラブヘッド80のソール表面のヒールおよびトウ端で、ソール表面の後方部分を形成する。
【0034】
本体部材82は好ましくは鍛造された材料から構築され、ゴルフクラブヘッド80は、本体部材82のソール部分100により形成される下側キャビティ108を含む。下側キャビティ108は上側開口を含み、下側キャビティが上側キャビティ91へと開口されるようになっているけれども、張り出しフランジは含まない。この実施例では、下側キャビティ108はフェース92が異なる厚さの複数の部分を伴うように形状付けされる。例えば、上側キャビティ91と隣接するフェース92の上側部分は第1の厚さT4を伴い、これは、下側キャビティ108に隣接するフェース92の下側部分の厚さT5と異なる。
図12に示すように、下側部分の厚さT5は上側部分の厚さT4より厚い。代替的には、下側部分の厚さが上側部分の厚さより薄くて良い。ソール部材84は本体部材82に結合され下側キャビティ108の下側端部を閉じる。
【0035】
本体ウエイト部材86は、クラブヘッド80のヒールおよびトウ端部に配され、トレーリングエッジ106を横切り、またリーディングエッジ104から離間する。ソール部材84の一部はウエイト部材86およびフェース92の間に挟み込まれる。ウエイト部材86の各々は、本体部材82およびソール部材84の比重より大きな比重の材料から構築される。例えば、本体ウエイト部材86はタングステンのような材料から構築されて、スチールの本体部材82およびソール部材84に形成されたポケット中にロウ付けされてよい。代替的には、依然として本体部材の材料より大きな比重を持つけれども密度がより小さい合金、例えば、10g/ccの密度のタングステン合金を本体ウエイト部材86に採用してそれらがスチールの本体部材82およびソール部材84中のポケットに溶接可能なようにしてよい。
【0036】
ゴルフクラブヘッド80はホーゼルウエイト88も含む。ホーゼルウエイト88は本体部材82のホーゼル102に結合され、本体部材12の材料より比重が大きな材料から構築される。ホーゼルウエイト88は全般的に環状であってよく、ホーゼル102の基端部に結合され、これは図示のとおりであり、あるいは、ホーゼルウエイト88はホーゼル102のシャフト穴の内部で本体部材82と結合されるウエイトプラグとして構築されて良い。
【0037】
ゴルフクラブヘッド80の構築はゴルフクラブヘッド10のそれと類似である。具体的には、プレフォームが好ましくは鍛造によって構築され、これはソリッドのソール部分を含む。つぎに下側キャビティが機械加工によりソール部分に形成され、これは上側および下側の開口の双方を含み、ホーゼル穴がプレフォームに機械加工で形成され、この結果、本体部材82が構築される。ソール部材84が本体部材82に結合されてこれにより下側キャビティの下側開口が閉じられ、これによって下側キャビティ108さらにはゴルフクラブヘッド80の本体の構築が完了する。つぎに、リセプタクル110がソールに機械加工で形成される。リセプタクル110は、それらがソール部材84および本体部材82のインターフェースを横切るように伸び、ヒールリセプラクルおよびトウリセプタクルを含む。リセプタクル110が形成された後、ウエイト部材86、ホーゼルウエイト88、バックプレート90を実装するステップが実行されて完成品のゴルフクラブヘッド80が形成される。
【0038】
この実施例においては、ウエイト部材86はソール表面の後方端部、すなわちトレーリングエッジに位置決めされ、ウエイト部材の重量が可能な限り後方に配置されるようになっている。各リセプタクル110は、本体部材82およびソール部材84に部分的に形成され、ウエイト部材86が挿入された後にウエイト部材86が本体部材82およびソール部材84の双方に結合するようになっている。
【0039】
図11に示すように、ヒールリセプタクル110およびヒールウエイトはトレーリングエッジ106の一部を横切り、ソール部材84の一部がヒールウエイト部材の前方表面およびフェース92の間に挟み込まれる。ゴルフクラブ80の中央では、ウエイト部材がなく、ソール部材84は本体部材82の部分の間に介挿され、下側キャビティ108の下方端部が閉じられ、この結果、ソール部材84の下側表面がゴルフクラブヘッド80の注法ソール表面を形成し、これは
図12に示すとおりである。トウウエイト部材はヒールウエイト部材と同様に位置決めされる。具体的には、トウリセプタクル110およびトウウエイトがトレーリングエッジ106を横切りソール部材84の一部がトウウエイト部材の前方表面およびフェース92の間に挟み込まれ、これは
図13に示すとおりである。
【0040】
バックプレート90はフェース92の背面97に結合され、トップライン98および下側キャビティ108の間に配置される背面97の一部を被覆する。バックプレート90は背面97に例えば接着剤により結合され、最終的な重量の調整や、完成したゴルフクラブヘッド10の振動特性の変更に利用されて良い。バックプレート90は下側キャビティ108中へと延びてフェースの背面のより広い部分を被覆するようになっていてもよい。
【0041】
代替的な本体ウエイト位置を伴う、ゴルフクラブヘッド80と類似なゴルフクラブヘッドが
図15を参照して説明される。ゴルフクラブヘッド120はクラブヘッド本体部材122、ソール部材124、および、複数の本体ウエイト部材126を含む。本体部材122は全般的には上側の周囲重み付け構造を伴う。本体部材は上側キャビティ128を形成し、これはフェース130、ヒール周囲ウエイト部分132、トウ周囲ウエイト部分134、トップライン136、ソール部分138、およびホーゼル140を含む。
【0042】
本体部材122のソール部分138は、前方/後方方向でリーディングエッジ142およびトレーリングエッジ144の間、およびクラブヘッド120のヒールおよびトウの間を伸びる。ゴルフクラブヘッド120のソール表面は、本体部材122のソール部分138、ソール部材124、および本体ウエイト部材126のそれぞれの下側表面の組み合わせにより実現される。
【0043】
リセプタクル146は、ソール部材124が本体部材12に結合された後、各ウエイト部材126に対して、本体部材122およびソール部材124中に形成される。各リセプタクル146は、本体部材128およびソール部材124に部分的に形成され、ウエイト部材126が実装された後に各ウエイト部材126が本体部材122およびソール部材124の双方に結合するようになっている。
【0044】
ウエイト部材126は、先の実施例に較べて、ボール打撃フェースに向かったより前方に位置決めされている。この実施例では、ウエイト部材126がリーディングエッジ142およびトレーリングエッジの双方から離間しながれソール部材124の一部がウエイト部材の後方表面および本体部材122のソール部分138の後方部分の間に挟み込まれる。
【0045】
図16〜
図20を参照してこの発明のゴルフクラブの実施例を説明する。図示の実施例は代替的なウエイト部材の配置を説明する。図示の実施例は、ウエイトの種々の組み合わせを利用すると、CG位置およびシャフト軸に対する重心(CG)、ならびに、ゴルフクラブヘッドのCG位置を通って伸びる座標軸の各々の周りとシャフト軸の周りの慣性モーメント(MOI)の値を操作し、最適化できる。第1に、ホーゼルウエイト、ヒールウエイト、およびトウウエイトを含むゴルフクラブヘッドの構造を採用してCGおよびMOIの値を変更する。第2に、ブレード長、ホーゼル長、および本体密度を用いてCGおよびMOI値を変更する。図示の実施例はすべてこの発明の4番アイアンの構造に組み入れているけれども、例えば、本体部材および/またはウエイト部材に対して種々の材料を選択し、またウエイト部材の種々の寸法およびゴルフクラブヘッドの全体の寸法を選択することによって、このような構造をアイアンセットに渡って適用し、変更できることに留意されたい。例えば、セット中のより長いアイアンの本体部材について中間の密度の材料を採用して良く、セット中のより短いアイアンの本体部分についてより大きな密度の材料を採用して良い。
【0046】
ウエイト部材の構造および配置を考慮すると、
図16〜
図20の実施例の各々は全体として同一の特性を有する。具体的には、各ゴルフクラブヘッドは、上側ブレード部分、下側キャビティ部分、および複数のウエイトを含む。上側ブレード部分は、周囲重み付けされていない部分であり、これは全体を通じてほとんど等しい厚さを伴う。下側の重み付けされた部分は厚い周囲部分により形成されたキャビティを含む。さらに、実施例の各々は、プレフォームを鍛造または鋳造する全般的に同一のプロセスを利用して構築される。リセプタクルは当初の鍛造または鋳造で含まれていても良いし、またはプレフォーム中に機械加工で形成されても良い。最後にウエイト部材が材料に適したプロセスを用いてリセプタクルに結合され、例えば、高密度のタングステンのウエイト部材は一般的にはロウ付けや開会加工でゴルフクラブヘッドの残りの部分に結合され、低密度のタングステン合金のウエイト部材は一般的にはロウ付け、機械加工、または溶接によってゴルフクラブヘッドの残りの部分に結合され、この残りの部分は一般的にはスチール(炭素またはステンレス)によって構築される。一般的には、種々のウエイト部材はタングステン・ニッケル合金から構築され、その密度は約10g/ccから約19g/ccである。さらに本体部材は中間的な密度の合金から構築されて良く、その密度はアルミニウムの密度、約6g/ccおよびスチールの密度、約8g/ccの間である。
【0047】
図16〜
図20に図示される例で示される構造を有する、4番アイアン、すなわち、22°のロフト、61°のライ角を伴うアイアン型の特性は、表1に与えられる。表1は、比較例1および2の値も含み、これらはそれぞれ伝統的なマッスルバックおよびキャビティバックアイアン、例えばTitleist(マサチューセッツ州、Fairhaven、Acushnet社の登録商標)710MBおよび710CBアイアンである。
【0048】
第1の例は、
図16に示され、ゴルフクラブヘッド150は、本体部材152および複数のウエイト部材154を含む。本体部材152は、上側ブレード部分156および下側キャビティ部分158を含む。ウエイト部材154は本体部材152の低ヒールおよび低トウ領域に配置される。この実施例において、本体部材152は7g/ccのアルミニウム鉄合金で構築され、ヒールのウエイト部材154は17g/ccのタングステンから構築され、トウのウエイト部材154は12g/ccのタングステン合金から構築される。
【0049】
第2の例は、
図17に示され、ゴルフクラブヘッド160は、本体部材162、本体ウエイト部材164、およびホーゼルウエイト部材165を含む。本体部材162は、上側ブレード部分166および下側キャビティ部分168を含む。本体ウエイト部材164は本体部材162の低トウ領域に配置され、ホーゼルウエイト部材165は本体部材162のホーゼルの上側部分を置き換える。この実施例において、本体部材162は7g/ccのアルミニウム鉄合金で構築され、本体ウエイト部材164は12g/ccのタングステン合金から構築され、ホーゼルウエイト部材165は17g/ccのタングステンから構築される。
【0050】
ホーゼルウエイト165は全般的にはソリッドの円筒部材として構築され、これは本体部材165のホーゼル部分に結合される。部品は、溶接(例えば、慣用的な溶接や摩擦溶接)、ロウ付け結合(例えば、ネジ・インターフェースやプレスフィッティング)、などにより、材料に適切なように結合されてよい。部品を結合した後、ホーゼルウエイトおよびホーゼル部分に機械加工で穴が形成される。
【0051】
第3の例は、
図18に示され、ゴルフクラブヘッド170は、本体部材172、本体ウエイト部材174、およびホーゼルウエイト部材175を含む。本体部材172は、上側ブレード部分176および下側キャビティ部分178を含む。本体ウエイト部材174は本体部材172の低トウ領域に配置され、ホーゼルウエイト部材175は本体部材172のホーゼルの中位部分を置き換え、これは全般的にはホーゼルと、本体部材の残りの部分、すなわち、本体部材172の上側ブレード部分および下側キャビティ部分との間の遷移部分にある。この実施例において、本体部材172は7g/ccのアルミニウム鉄合金で構築され、本体ウエイト部材174は12g/ccのタングステン合金から構築され、ホーゼルウエイト部材175は10g/ccのタングステン合金から構築される。
【0052】
第4の例は、
図19に示され、ゴルフクラブヘッド180は、本体部材182および複数の本体ウエイト部材184を含む。本体部材182は、上側ブレード部分186および下側キャビティ部分188を含む。本体ウエイト部材184は本体部材182の低ヒールおよび低トウ領域に配置される。この実施例において、本体部材182は7g/ccのアルミニウム鉄合金で構築され、トウ本体ウエイト部材184は12g/ccのタングステン合金から構築され、ヒール本体ウエイト部材184は17g/ccのタングステンから構築される。
【0053】
第5の例は、
図20に示され、ゴルフクラブヘッド190は、本体部材192、複数の本体ウエイト部材194、およびホーゼルウエイト部材195を含む。本体部材192は、上側ブレード部分196および下側キャビティ部分198を含む。本体ウエイト部材194は本体部材192の低トウおよび低ヒールの領域に配置され、これらは本体部分192の後方キャビティから離間している。ホーゼルウエイト部材195は本体部材192のホーゼルの上側部分を置き換える。この実施例において、本体部材192は7g/ccのアルミニウム鉄合金で構築され、トウ本体ウエイト部材194は12g/ccのタングステン合金から構築され、ヒール本体ウエイト部材194は14g/ccのタングステン合金から構築され、ホーゼルウエイト部材195は16g/ccのタングステン合金から構築される。
【0054】
表1に示されるように、比較例1および2に示されるような既知のゴルフクラブアイアンの4番アイアンと、この発明のゴルフクラブヘッドの例が比較される。測定に対応して含まれる寸法は
図21に模式的に示される。この表において、MOI−Yは
図21に模式的に示されるように、ゴルフクラブヘッドの重心を通って伸びるY軸に平行な軸の周りのMOIに対応する。これらの例で示されるように、この発明のゴルフクラブヘッドの構造を採用して、ゴルフクラブヘッドの幾何的フェース中心に対する重心の位置を変更させて良く、この際、慣性モーメントも修正する。このような調整により、プレイ特性および許容性についてユーザの要請に合致するような微調整を行える。
【表1】
【0055】
ここに説明した発明の事例的な実施例はこの発明の好ましい実施例を満たすことは明らかであるが、種々の変更や他の実施例を当業者が想到できることを理解されたい。したがって、特許請求の範囲は、そのような変更や他の実施例をすべてカバーするように意図されており、この発明の精神およびスコープの範囲に入ると理解されたい。