(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5877223
(24)【登録日】2016年1月29日
(45)【発行日】2016年3月2日
(54)【発明の名称】固定具
(51)【国際特許分類】
F16B 5/12 20060101AFI20160218BHJP
F16B 45/00 20060101ALI20160218BHJP
B60N 2/44 20060101ALI20160218BHJP
B68G 7/12 20060101ALI20160218BHJP
B68G 7/05 20060101ALI20160218BHJP
A47C 31/02 20060101ALI20160218BHJP
【FI】
F16B5/12 F
F16B45/00 A
B60N2/44
B68G7/12
B68G7/05 A
A47C31/02 G
【請求項の数】12
【外国語出願】
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-115643(P2014-115643)
(22)【出願日】2014年6月4日
(62)【分割の表示】特願2011-540917(P2011-540917)の分割
【原出願日】2009年12月11日
(65)【公開番号】特開2014-206274(P2014-206274A)
(43)【公開日】2014年10月30日
【審査請求日】2014年6月17日
(31)【優先権主張番号】61/122,159
(32)【優先日】2008年12月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598147400
【氏名又は名称】ジョンソン コントロールズ テクノロジー カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Johnson Controls Technology Company
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】スタンキビッチ、 ティモシー ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】スミス、 サンドラ エル.
(72)【発明者】
【氏名】モイラネン、 ジェラルド エム.
【審査官】
長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭58−061066(JP,U)
【文献】
実開平03−109599(JP,U)
【文献】
実開平04−000299(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 5/12
A47C 31/02
B60N 2/44
B68G 7/05
B68G 7/12
F16B 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートトリムカバーを座席の構造部に連結するための固定具であって、
長い本体部と、
前記長い本体部から延びて連結構造を形成する第一端と、
前記シートトリムカバーを取り付けるために、前記長い本体部から末端方向に延びる第二端と
を有し、
前記連結構造は、前記長い本体部と前記第一端との間にあるほぼJ字形の中間部、及び前記第一端と前記中間部との間において前記座席の構造部を受け入れる受けスペースを有し、
前記連結構造は、外方に向く返り部と、前記座席の構造部に前記固定具を保持するための内方に向く平面とを形成する形状にされ、
前記中間部は、前記第一端から離れるように湾曲して、直線部へと移行し、
前記直線部を前記第二端に連結する曲げ部が、縫いつけ機の表面と抑え足との間に、追加的な力を加えることなく、前記第二端への材料の縫いつけを容易にする既定の曲げ角を有し、
前記受けスペースは、前記固定具と同じ構造を有する第二の固定具の第一端を受け入れることができるように構成される、固定具。
【請求項2】
前記中間部は、前記第一端が前記長い本体部に対して動けるよう、またそれにより前記受けスペースへのアクセスを制限し、前記固定具が構造部から不用意に外れないように弾性を有する請求項1に記載の固定具。
【請求項3】
前記平面は、前記受けスペースの通路を妨げ、また構造部が受けスペースから出るのを禁止することにより固定具が構造部から外れるのを防止するのを助ける請求項2に記載の固定具。
【請求項4】
前記返り部が、前記固定具を構造部に連結するのを容易にする湾曲した輪郭を有し、前記平面は、前記固定具を前記構造部に保持する第一の平坦面と角度を有する第二の平坦面を有している請求項3に記載の固定具。
【請求項5】
前記長い本体部は、前記第一端と第二端との間に、曲げ部を有する請求項1に記載の固定具。
【請求項6】
前記受けスペースが、シート構造部、ワイヤ取付部及び前記固定具と同じ構造を有する第二の固定具の一つと連結できる請求項5に記載の固定具。
【請求項7】
車両のための車両シートアセンブリであって、前記車両シートアセンブリは、
シートフレームと、
トリムカバーと、
長い本体部と、前記長い本体部と第一端との間にあるほぼJ字形の中間部、及び前記第一端と前記中間部との間に前記シートフレームに位置する座席の構造部を受けるための受けスペースを有する連結構造を形成する前記長い本体部から延びる前記第一端と、前記長い本体部から末端方向へ延び、前記トリムカバーに取り付けられた第二端とを有する固定具と
を有しており、
前記連結構造は、外方に向く返り部と、前記固定具をシートフレームに保持することによりトリムカバーを前記座席の構造部に保持するために内方に向く平面とを形成する形状にされ、
前記中間部は、前記第一端から離れるように湾曲して、直線部へと移行し、
前記直線部を前記第二端に連結する曲げ部が、縫いつけ機の表面と抑え足との間に追加的な力を加えることなく、前記第二端への材料の縫いつけを容易にする既定の曲げ角を有し、
前記受けスペースは、前記固定具と同じ構造を有する第二の固定具の第一端を受け入れることができるように構成される、車両シートアセンブリ。
【請求項8】
前記中間部は、前記第一端が前記長い本体部に対して動けるよう、またそれにより前記受けスペースへのアクセスを制限し、前記固定具が構造部から不用意に外れないように弾性を有する請求項7に記載の車両シートアセンブリ。
【請求項9】
前記平面は、前記受けスペースの通路を妨げ、また構造部が受けスペースから出るのを禁止することにより固定具が構造部から外れるのを防止するのを助ける請求項8に記載の車両シートアセンブリ。
【請求項10】
前記返り部が、前記固定具を構造部に容易に連結し安定させるのを容易にするため、湾曲した輪郭を有し、前記平面は、前記固定具を前記構造部に保持する第一の平坦面と角度を有する第二の平坦面を有している請求項9に記載の車両シートアセンブリ。
【請求項11】
前記長い本体部は、前記第一端と第二端との間に曲げ部を有する請求項7に記載の車両シートアセンブリ。
【請求項12】
前記構造部が、シート構造部、ワイヤ取付部及び第二の固定具の一つである請求項7に記載の車両シートアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、2008年12月12日に、出願人名Stankiewicz他の名で出願された、「固定具」という発明の名称の米国仮特許出願第61/122159号の優先日の利益を主張しており、その出願をここに引用してこの発明に合体させる。
【0002】
この開示は、一般的に固定具と固定システムに関している。もっと特定すれば、この開示は、保持具またはクリップと、材料ならびに車両シートのシート構造部にそのような保持具を用いて材料を連結する方法に関している。
【背景技術】
【0003】
車両シートは、一般的に、許容できる美観と搭乗者の快適さを与えるために、シート仕上げ用のトリムカバーを有している。シートのトリムカバーは、通常は、固定具及び/または連結具を用いてシートフレームや類似のシート構造部に取り付けられている。これらの連結具は、繊維製品またはシートカバー材料またはシートカバーに取り付けられた中間繊維品に通常取り付けられている。
【0004】
通常、ニードル加工されないポリプロピレン不織布(PPO)繊維材料は、トリムカバーを、ホグリング(hog ring)型の連結具を用いて、シート構造部に連結するのに用いられている。ホグリングは、連結される部品の周りに形成される金属製リングである。この材料は、熱可塑性のビードという形の端部を有していることもある。このビードは、好ましくは、ビードを熱間押出し加工により材料と一体に及び/又は単一に材料の縁部に形成又は溶着して作られる。ビードは、ホグリング型連結具が材料縁部からちぎれるのを防止するのを助けるために、材料縁部に追加の強度と剛性を与える。
【0005】
J字形クリップのようなクリップが、材料をシートフレームやシートの他の取り付け構造に連結するために使用できる。クリップは、典型的には、縫いつけ又は溶融PPOでJ字形クリップを一体的に材料に連結される。クリップは、これをシート構造部に連結する第一端と、材料が縫いつけられた第二端を含んでいる。縫いつけ部がクリップと材料とを保持するように材料との間に十分な重なりを与えるように第二端は、長く延びている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
固定具と固定システムの分野において、今もなお、簡単で低コストの固定クリップとその製造方法の開発に対する要求が存在している。より特定すれば、より簡単で効果的でエルゴノミックなJ字クリップの開発に対する要求が続いている。また、トリムカバーをシートに固定するなど、特定の目的のために必要な固定具の異なるサイズ・形状の数を減らせることができる、より柔軟性のある固定具の必要がなお存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
シートトリムカバーを連結するための固定具であって、該固定具は、長い本体部と、該本体部と第一端との間にあるほぼJ字形の中間部と、これらの間に構造部を受け入れる受けスペースとを有する連結構造を形成する該本体部から延びる第一端と、該シートトリムカバーを取り付けるために、該本体部から末端方向に延びる第二端とを有する固定具であって、該連結構造は、外方に向く返り部と、構造部に固定具を保持するための内方に向く平面とを形成するようにされた弓形のフックを含む固定具である。
【0008】
車両のための車両シートアセンブリであって、該車両シートアセンブリは、シートフレームと、トリムカバーと、長い本体部と、該長い本体部と第一端との間のほぼJ字形の中間部と、該シートフレームに位置する構造部を受けるためこれらの間に形成された受けスペースとを有する連結構造を形成する第一端と、該長い本体部から末端方向へ延び、該トリムカバーに取り付けられた第二端とを有する固定具を有しており、該連結構造は、外方に向く返り部と、該固定具をシートフレームに保持することによりトリムカバーを構造部に保持するために内方に向く平面とを形成する形状にされた弓形のフックを有している車両シートアセンブリである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】この発明の実施例に従う固定具を有するトリムカバーを持つシートを装着した車両。
【
図4】この開示における実施例の固定具を他の固定具に取り付ける時の進行状況の側面図。
【
図5】一実施例に従う固定具を6番ゲージのワイヤに取り付けるときの進行状況側面図。
【
図6】一実施例に従う固定具を4番ゲージのワイヤに取り付けるときの進行状況側面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1を参照して、一実施例に従う車両シートアセンブリ12を有する車両10が示されている。図示の車両10は、4ドアセダンであるが、このシートは、ミニバン、スポーツユーティリティやその他の人の移動手段や品物を市場に運ぶ手段またはオフィス用座席及び航空宇宙などあらゆる用途に使用できることを理解すべきである。
【0011】
図2を参照して、実施例に従う車両シートアセンブリ12が起立位置または設計位置において図示されている。図示のシートアセンブリ12は、背もたれ14を前後の位置に回動可能に選択的に位置させることができるリクライナ18を介して、座部16に回転可能に連結された背もたれ14を有している。シートアセンブリ12はヘッドレスト20と座席基部22をも有している。ヘッドレスト20は、背もたれ14から上方に伸び、衝撃が加わるとき搭乗者の頭を拘束するようにされている。座席基部22は、シート12が、車両内部に対して(手動または電動で)トラックアセンブリ24を介して選択的に位置決めできるようされている。車両のシートアセンブリ12は、さらに、シートフレーム、フォーム/クッション及びその他の車両シート12の内部部材を包んで搭乗者の快適さと外観の美観を高めるためのトリムカバー26を有している。
【0012】
特に
図3を参照すれば、実施例に従う固定具(クリップ)28の側面が示されている。固定具28は、空間(受けスペース)32を有する第一端30と第一端30から離れて位置する材料合体部又は第二端34を有している。第一端30は、固定具28を車両シートの一部又は構造部(図示なし)に連結するための構造部36を有している。第一端30(例えば、取り付け構造への取り付けのための熱可塑性手段)は、好ましくはJ字形であるが、所望のあるいは、適当な他の形状であってもよい。第一端30は、さらに、外方に向く返り部40と、固定具28を構造部(図示なし)に保持するため内方に向く平坦な面42(第一の平坦面と角度を有する第二の平坦面)を形成するように形成された弓形フック38を有している。返り部40は、J字形端(第一端)30へのアクセスをさえぎる。
【0013】
固定具28は、さらに第一端30と連結のための構造部36との間に位置する湾曲部又は中間部44を有している。中間部44は、好ましくは弓形であるが、四角、長円形、長方形、三角形や別の実施例に従う、既知の適当な形状でもよい。中間部44は固定具28が取付られるべき構造部(例えばワイヤ取付部など)を受ける受けスペース32を形成している。連結構造部36のように、受けスペース32に制限されたアクセスを与える又はカチッと入れるよう第一端30が固定具の本体部46に対して動けるよう、中間部44は好ましくは、柔軟性である。同様に、中間部44は、一度固定具の受けスペース32に構造部(例、ワイヤ取付部)が収まったなら、固定具28が構造部から不用意に外れることが無いように、十分に硬い。返り部40、さらに特定すれば返り部の平坦面42は、受けスペース32の通路を妨げて固定具28が外れるのを防止する。
【0014】
第二端34は、
図3に最もよく示されているように、本体部又は固定具の要素46から延びている。この本体部は、
図3に最もよく示されているように、所定の角度を持つ曲げ部(折り曲げ部又は「キックアウト」)を有している。固定具が、材料(例、繊維、トリムカバーなど)に縫い付けられる例の場合には、縫いつけ機の表面と抑え足との間に追加的な力を加えることなく、固定具を下向きに伏せて縫いつけられるようにできるので、この曲げ部が縫いつけ工程を簡単容易に(より扱いやすく)する。固定具を下向きに伏せるとこの角度が余り大きくないので縫いつけ工程が簡単になる。さらに、固定具を案内する載置板の必要をなくし、縫い付け面を平らにする。固定具はいろいろな厚さを有してもよい。例えば、別の実施例においては、第一端30、中間部44、本体部46及び第二端34の各厚さは、互いに異なっている。固定具は、また様々な断面形状(例、筒状/管状、四角状、扁平形など)を有しており、又は必要/所望に応じてテーパー状とされる。第二端34は、望ましい実施例(図示なし)においては、繊維材料(例、トリムカバーなど)に取り付けられる。繊維材料は、好ましくは、PPO繊維またはそれと同等の材料である。この繊維材料は、この開示においては特に好ましいが、これと同等の特性を有するニードルパンチされたPPO不織繊維であれば利用できる。
【0015】
固定具28は、好ましくは、ポリプロピレン(PPO)材から周知の押出し加工により作られる。固定具28は、好ましい実施例に従い、固定具が結合される他の要素とは別に作られるのが好ましい。
【0016】
特に
図4を参照して、一実施例に従って、第一固定具28が第二固定具29に取り付けられて示されている。弓形フック38の輪郭は、第一固定具28と第二固定具29との滑らかな連結作用を与える。各固定具の一方の返り部40、41が他の返り部の受けスペース32,33に入ると、固定具28,29は、第一と第二の返り部42,43の平面部と連結され、第一固定具28と第二固定具29の脱離を禁止するインターロック機構のように作用する。
【0017】
特に
図5と6を参照して、押出し固定具28がワイヤ取付部50(例、6番ゲージ、4番ゲージなど)に取り付けられている。
図5におけるワイヤ取付部は6番ゲージであり、
図6のワイヤ取付部は、4番ゲージであるが、固定具は好ましいどんなゲージの部材(例、ワイヤ又は棒の直径)を受け入れるように構成され得る。弓形フック38の輪郭は、このフック38の輪郭と類似の輪郭を有する取付構造部、ワイヤ取付部や円形、球形、筒状、湾曲などの他の取り付け構造との滑らかで安定した連結を促進する。クリップ32の受けスペースに挿入されると、取付部は弓形フック38により、より特定すれば、弓形フックの平面部42により、受けスペースから外れるのを禁止される。
【0018】
この開示のためには、「連結」という用語は、二つの構成部材(機械的な/電気的な)が直接的又は間接的に互いに連結されることを意味する。このような連結は、固定的な性質のものでも、動きうる性質のものでもよい。このような連結は、二つの構成部材(電気的/機械的)または付加的な中間部材が、一つの単体として形成されること、または二つの構成部材または二つの構成部材と付加的な中間部材が互いに連結されることで達成できる。このような連結は、恒常的な性質のもの、又は取り外しまたは解除可能な性質のものでもよい。
【0019】
好ましい及び例示としての実施例に示された、乗車の容易なリクライナの構成要素の構造と配置は、例示であることを留意することが重要である。この開示においては、数例の新規な実施例が詳細に説明されたが、この開示を読む当業者は、記載された主題の新規な教示、利点から大きく離れてしまうことなく、多くの変形(例、寸法、大きさ、構造、形状、種々の構成要素のプロポーション、パラメーターの値、載置配列、使用材料、色、向きなど)が可能であることを、容易に認識できる。たとえば、一体的に形成された構成要素は、複数の部品、要素として構成されることができ、インターフェイスの動作は逆にしたり、変えたりでき、システムの構造物及び/又は部材または連結部材又はその他の要素の長さ又は幅は変えることができ、構成要素間に設けられた調節位置の数と性質は(例、係合スロットの数とサイズ、係合のタイプを変えて)変えることができる。システムの構成要素及び/又はアセンブリは、十分な強度と耐久性を与える広い材料分野のいずれからも、広い範囲の色、繊維とその組み合わせにより構成することができる。したがって、このような変形のすべてが、添付されたクレームの範囲に含まれることが意図されている。この発明の精神から離れることなく、好ましいまたは他の例示の実施例におけるデザイン、操作条件、配列の、置き換え、変形、変化、省略を行うことができる。