特許第5877230号(P5877230)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5877230
(24)【登録日】2016年1月29日
(45)【発行日】2016年3月2日
(54)【発明の名称】タイヤノイズピッチ列の設計方法
(51)【国際特許分類】
   B60C 11/03 20060101AFI20160218BHJP
【FI】
   B60C11/03 A
【請求項の数】6
【外国語出願】
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-180620(P2014-180620)
(22)【出願日】2014年9月4日
(62)【分割の表示】特願2011-156676(P2011-156676)の分割
【原出願日】2003年10月31日
(65)【公開番号】特開2015-3728(P2015-3728A)
(43)【公開日】2015年1月8日
【審査請求日】2014年9月9日
(31)【優先権主張番号】60/423,094
(32)【優先日】2002年11月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509333553
【氏名又は名称】ブリヂストン アメリカズ タイヤ オペレイションズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100164448
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 雄輔
(72)【発明者】
【氏名】ジョン アーヴィン スタッキー
【審査官】 平野 貴也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−285407(JP,A)
【文献】 特開平08−108711(JP,A)
【文献】 特開2000−142029(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 11/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
【請求項2】
前記ピッチ列は、1.00、1.10、1.25、1.4、及び1.50の内部ピッチ比率を有する5種の異なるサイズのピッチを有する、請求項1に記載のタイヤ。
【請求項3】
前記ピッチ列は、5種のみの異なるサイズのピッチを有する、請求項2に記載のタイヤ。
【請求項4】
前記ピッチ列は、1.2〜1.8のピッチ比率を有する、請求項1に記載のタイヤ。
【請求項5】
前記ピッチ比率は、1.5である、請求項4に記載のタイヤ。
【請求項6】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
(1.技術分野)
本発明は、概して、タイヤノイズ(騒音)についてトレッドパターンを設計する方法に関
する。とりわけ、本発明は、ラグ(突起)剛性特性において予め選ばれる変形によって、ト
レッドパターンのタイヤノイズピッチ列(sequences)を設計するための方法に関する。本
発明は特に、タイヤノイズピッチ列において、突起の分布に基づいて、トレッドの突起剛
性における変形の好ましい特性を達成する、タイヤノイズピッチ列を設計するための方法
に関する。
【背景技術】
【0002】
(2.背景情報)
タイヤ設計の1種の局面には、望ましくないタイヤ騒音の最小化が含まれる。タイヤ騒
音はトレッドパターンの突起が路面に接触するときに生じる。変化のないトレッドパター
ン、又はモノラルなピッチのトレッドパターンは、望ましくない調子の、又はモノラルな
ピッチの音を生じさせる。タイヤ設計者は、トレッドパターンを変化させ、モノラルピッ
チの音を避ける。トレッドパターンは、典型的に、タイヤの周囲を囲むトレッドピッチの
寸法を変化させることによって変えられる。トレッドピッチの寸法を変えることでは、騒
音スペクトルの周波数領域を広げることによってモノラルピッチのタイヤ騒音を減少させ
る傾向があるが、時間領域における望ましくない騒音がまだ生じることがある。
【0003】
目下、トレッドパターンは、トレッドピッチにおける異なる変化によって発生するタイ
ヤ騒音を比較することによって分析される。既知の分析技術は、タイヤ設計者が、受け入
れ可能なタイヤ騒音を発生させるトレッド設計のためのピッチパターンを選ぶことができ
るようにする。かかる技術の1種は、ピッチ列のフーリエスペクトルを用い、不愉快なピ
ッチ列を識別する。US Patent(米国特許)第6,112,167号明細書に開示される別の技術は、
タイヤの外周を囲むピッチ列の部分を分析する。これらの技術は有効であるが、タイヤ設
計者は、既知の技術が、最初の選抜を通ってもまだ望ましくないタイヤ騒音を持つタイヤ
ノイズピッチ列の設計を招く場合があることを見出した。かかる列を持つタイヤの型は、
再構築されるか、又は修正され、望ましくない騒音を減少させなければならない。望まし
くない騒音の原因の1種は、タイヤの外周を囲む突起の剛性における変化に起因するタイ
ヤ騒音である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6,112,167号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
トレッドピッチの寸法を変化させるとき、トレッドパターンの突起の寸法を変化させる
。したがって、突起は、異なる剛性を持ち、及び突起が路面に接触するときに異なる音の
振幅を生成する。これらの差異は、音の振幅変動を生じさせ、他の点で望ましいピッチ列
を望ましくないものにする場合がある。従来、この望ましくないタイヤ騒音は分析されず
、及びタイヤは望ましくない騒音が認識される前に生産される。顧客が騒音を嫌う場合、
タイヤの製造者は、高価なタイヤ型を廃棄しなければならないか、又は型を修正しなけれ
ばならない。したがって、この問題に応え、タイヤ設計者が別の望ましいピッチ列の群を
比較できるようにする第2の選抜法が、この技術において望まれる。この選抜技術は、係
属する特許出願公開US2003/0040886A1、2003年2月27日付けに開示してあり、それには、
タイヤトレッド突起剛性の変化によって発生するタイヤ騒音に基づいてトレッド設計を比
較する方法を記載する。
【0006】
したがって、予め選ばれる突起剛性変化特性を用いてトレッド設計を開発するための方
法が、この技術において望まれる。かかるトレッドパターン設計法は最適化される突起剛
性変化及びタイヤ騒音レベル特性についてタイヤノイズピッチ列を定める。図1A〜C及び
図2A〜Cには、最適化される突起剛性変化及びタイヤ騒音レベル特性を伴うタイヤノイズ
ピッチ列を定める際の特有の困難性を例証する。図1A〜Cは、良好なレベル特性であるが
、低い突起剛性〔さらに、変調(モジュレーション)と称される〕特性を有する60-ピッチ
ノイズ列を提供する。良好なレベル特性は、60-ピッチに関し60の調和(harmonic)に中心
がある最初のトレッド通過(tread passage)の調和点列についての平滑なスペクトルから
なる(図1A)。図1Bで描写したグラフにおいて、比較的高い変調レベルが第1及び第2の変調
序列(orders)に存在することに注目される。これらの高いレベルは、回転当り1回及び2回
の強い騒音変化を有するタイヤトレッドパターンに変換される。良好な変調特性を有する
タイヤパターンは低い変調レベルを持つ。図2A〜Cは、良好な変調特性を有するタイヤノ
イズピッチ列を例証する。この列の調和性の分析は、60th(番目)、120th、180thの調和に
ついての、狭い、調子バンド(tonal band)のエネルギー、及びその後の高い、望ましくな
い、レベル特性を有する複数の60の調和を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の概要)
上記観点から、本発明は、タイヤトレッドの突起剛性の変化によって発生するタイヤ騒
音の好ましい特性に基づいて、タイヤノイズピッチ列を定める方法を提供する。本発明の
方法は、好ましい変調特性及び良好なレベル特性を有するタイヤノイズピッチ列を提供す
るのに用いることができる。
【0008】
本発明は、変調序列の振幅を定め;各序列の相を定め;各序列の関数を加重し;及び関
数の加重からタイヤノイズピッチ列を定める工程を含む方法を提供する。
【0009】
本発明はまた、本発明の方法から設計されるピッチ列を持つタイヤを提供する。1具体
例において、本発明は、ピッチ列を持つトレッドを持つ本体;及び1.00、1.10、1.25、1.
4、及び1.50のピッチ比率を有する5種の異なる寸法ピッチを持つピッチ列を持つタイヤを
提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】良好な調和スペクトルを有するタイヤについての調和分析結果を示すグラフであり;X軸はタイヤ回転当りの調和スペクトルの事象発生であり及びY軸は振幅である。
図1B】不良な変調序列を有するタイヤについての変調解析結果を示すグラフであり;X軸は変調序列であり及びY軸は振幅である。
図1C図1A及び1Bにおいてピッチ列の終点で挙げたピッチ比率を用いて分析したピッチ列である。
図2A】不良な調和スペクトルを有するタイヤについての調和分析結果を示すグラフであり;X軸はタイヤ回転当りの調和スペクトルの事象発生であり及びY軸は振幅である。
図2B】良好な変調序列を有するタイヤについての変調解析結果を示すグラフであり;X軸は変調序列であり及びY軸は振幅である。
図2C図2A及び2Bにおいてピッチ列の終点で挙げたピッチ比率を用いて分析したピッチ列である。
図3】零相及び等振幅を有する1連の7種の余弦関数を示すグラフであり;X軸はタイヤ上の設定点からの度合であり及びY軸は振幅である。
図4図3の7種の信号についてのY関数を示すグラフであり;X軸はタイヤ上の設定点からの度合であり及びY軸は振幅である。
図5】表2、組1からの1連の関数を示すグラフであり;X軸はタイヤ上の設定点からの度合であり及びY軸は振幅である。
図6図5の関数についてのY関数であり;X軸はタイヤ上の設定点からの度合であり及びY軸は振幅である。
図7】表2、組2からの1連の関数を示すグラフであり;X軸はタイヤ上の設定点からの度合であり及びY軸は振幅である。
図8図7の関数についてのY関数であり;X軸はタイヤ上の設定点からの度合であり及びY軸は振幅である。
図9A図6の曲線から設計されるピッチ列の調和分析結果を示すグラフであり;X軸は調和応答(周波数応答)であり及びY軸は振幅である。
図9B図6の曲線から設計されるピッチ列の変調解析結果を示すグラフであり;X軸は変調序列であり及びY軸は振幅である。
図9C図6の曲線から設計されるピッチ列を示すグラフであり;X軸はピッチ数であり及びY軸はピッチ寸法である。
図9D】標的設計曲線及び設計されるピッチ列から得られる実際の曲線の間の比較を示すグラフであり;X軸は度合における位置(location)であり及びY軸は振幅である。
図10A図8の曲線から設計されるピッチ列の調和分析結果を示すグラフであり;X軸は調和応答であり及びY軸は振幅である。
図10B図8の曲線から設計されるピッチ列の変調解析結果を示すグラフであり;X軸は変調序列であり及びY軸は振幅である。
図10C図8の曲線から設計されるピッチ列を示すグラフであり;X軸はピッチ数であり及びY軸はピッチ寸法である。
図10D】標的設計曲線及び設計されるピッチ列から得られる実際の曲線の間の比較を示すグラフであり;X軸は度合における位置であり及びY軸は振幅である。
図11】タイヤノイズピッチ列を創出し、及び比較するための方法を示すフローチャートである。
図12図12A及び図12Bの間の関係を示し、及び53〜67のピッチ設計についての模範的なピッチ列を示す。
図12A】本発明に従い設計される模範的なピッチ列のチャートである。
図12B】本発明に従い設計される模範的なピッチ列のチャートである(図12Aの続きである)。
図13図13A及び図13Bの間の関係を示し、及び68〜80のピッチ設計についての模範的なピッチ列を示す。
図13A】本発明に従い設計される模範的なピッチ列のチャートである。
図13B】本発明に従い設計される模範的ピッチ列のチャートである(図13Aの続きである)。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(好適例の詳細な記載)
本方法の第1の部分は、好ましい変調特性を定めること、及び組み合わせられる変調特
性に基づく関数を構築することである。概して、この技術において、第1及び第2の序列は
望ましくないことが知られている。第1の序列の突起剛性変化は、均一な性能に関するタ
イヤにおいて、任意の不均衡にか、又は真円を外れて拡大させることができる。受注の増
加につれ、均一性への作用は減少する。したがって、第1の2種の変調序列を最小にするこ
とが好ましい。しかしながら、すべての変調序列を最小にすることは、賢明でなく、その
理由は、変調を伴わない騒音処理を持つ唯一の手段が、すべてのピッチ寸法が同じである
ものだからである。この種の列は、普通、モノラルなピッチと称され、一定の調子又はモ
ノラルなピッチ音を生じさせ、それはまた、望ましくない。したがって、各々の序列3及
びそれよりも多くにおいていくつかの変調を持つのが望ましい。変調序列の円滑な移行を
持つのが望ましい。変調序列の数及び選ばれるレベルは変化させることができる。7種よ
りも多い変調序列を分析する必要がないことが見出され、その理由はそれらが概してゼロ
に近づき、及びこれらの序列の分析が、分析から受け取る利点と比較して多過ぎる処理時
間を消費するからである。
【0012】
本発明の例を示すために、表1において示すデータを次の説明において分析する。表1は
選ばれた変調序列について予め選ばれるレベルを挙げる。第1及び第2の序列のためのレベ
ルを模範的な具体例において零であるように選ぶのが好ましいが、零以外の値を、本発明
の方法に伴い、これらの値が残りの序列に関し最小になる限り用いることができる。また
、第3の序列の値を第4及び第5の序列の値よりも小さいように設定することも望ましい。
上で述べたように、すべての値を零に設定することはできず、その理由は、モノラルなピ
ッチがその結果となるからである。レベルは、モノラルなピッチを避けるのに足りるほど
高い一方で、望ましくない調子を避けるのに足りるほど低く設定するべきである。個々の
レベルは0ほどの少ないものから20ほどの多いものまでの範囲に及ぶことができる。好適
例は、上記変調序列に関し、1から5までの間、及び3を含む好ましい範囲を設定する。表1
での数値はこれらの制限に合致し、及び異なる序列の間で円滑な移行を提供する。
【0013】
【表1】
【0014】
変調序列についてレベルを定めた後、予め選ばれた振幅及び相特性を有する余弦波の加
重によって複合波を創出する。式1は余弦関数のフーリエ級数展開である。
【数1】
ここで、Yは得られる関数であり、Akは各kthの序列の振幅であり、シータは1から360度
までの角度であり、及びファイkはkthの序列の位相角である。
【0015】
図3は零相及び等振幅を有する1連の7種の余弦関数をグラフに示す。図4は、図3の7種の
信号についての関数、Yを示す。
【0016】
表1において定められるような1組の予め定められるAkのための1連のY関数を構築するこ
とにより、騒音列を、任意にか、又は規則的な様式において、各序列について位相角、fk
を定めることによって定義することができる。位相角は、規則的な様式で、1度のような
固定された増分での潜在的な相を介するルーピングによって定めることができる。表2は2
組の相を示す。第1の組は相におけるすべての変調序列を持ち、及び第2の組は様々な相を
伴う序列4から7までを持つ。
【0017】
【表2】
【0018】
図5、6、7及び8は、特定の相並びに得られる波形を有する各曲線についての波を示し、
それは、いくつかのタイヤ騒音処理の突起剛性変化の表示である。異なる振幅及び位相角
を含む多数の変調特性を生じさせるのにコンピュータを用いることができる。得られる波
形の広範な種類を創出し、次いで、それらを用いて広範な種類のピッチ列を設計し、次い
で、それらを比較して望ましいピッチ列を得るのに、コンピュータプログラムを用いるこ
とができる。
【0019】
本方法の第2の部分は、タイヤノイズピッチ列を構成するが、そこでは、突起剛性変化
曲線の計算が、得られる波形に可能な限り密接に合致する。突起剛性変化曲線Dの形状は
、従来技術において論議されるように(刊行物番号、US 2003/0040886A1、2003年2月27日
付け)、平均ピッチ寸法のアーク長からのアーク長の偏差の加重として定められる。Dは固
定される任意の基準点からのithのピッチ寸法の終点までの実際のアーク長における相違
のベクトルである。
【0020】
D={D1、D2、D3、... 、Di、DN-1、DN}
Nはタイヤの円周について配置されるトレッドピッチの総数である。Diは次の関係を用
いて算出することができる:
【数2】
【0021】
Yは円周角、シータの関数である。Yiは、ピッチの数、Nによって割られるi倍の円周、C
で評価される標的の曲線、Yとして定めることができる。
【数3】
Di、iでの設計曲線の形状は、Yiの近似である。
【数4】
【0022】
望ましい数のトレッドピッチ、Nを決めれば、次いで、各ピッチ長を、順次の序列にお
いて見出すことができる。参考として、この例では、N=60においてであるが、Nは20ほど
の低いものから100ほどの高いものまでの総ピッチに及ぶことができる。第1の寸法は、N=
60及びC=360を有するi=1のための式の解によって見出される。
【数5】
【0023】
第2の寸法は、第1と同じ様式においてであるが、L1を用いて見出される。
【数6】
【0024】
Li配列の解の一般的な形態は次の通りである。
【数7】
【0025】
このプロセスは独特な1組のピッチ寸法、Liを定め、これは、特定の突起剛性変化特性
を与える。LiはNの独特なピッチ長をもたらす。Nの独特なタイヤトレッドピッチ長は、タ
イヤノイズピッチ列の設計者によって望まれるが、タイヤ型の設計を考慮するとき、実際
的でない。 より一層高い独特なピッチ長の数は、タイヤ型の生産と、より一層高い複雑
性及び費用に関連する。型の作製プロセスの複雑性を減少させるために、この技術は、典
型的に2ほど少ないものから10ほどの多くまでの独特のピッチ寸法を用いる。所望なら、
多数のピッチ寸法を用いることができる。
【0026】
本方法の第3の部分は、Nの独特なピッチ寸法からMの所定のピッチ寸法まで転換する工
程を含む。最も大きいピッチ寸法から最も小さいピッチ寸法までの間の比率(ピッチの比
率)を定めるように多数の値を選定する。このピッチ比率は、典型的に、1.2から1.8まで
に及ぶが、他の比率はこの方法の具体例からは外れない。N=60の例の継続する目的のため
に、Mを3として選び、及びピッチ比率、Pを1.5で設定する。3種の寸法で、1、2、及び3と
称するものは、それぞれ、1.00、1.25、及び1.50の内部ピッチ比率を持つ。Nの独特なピ
ッチ寸法を次いでMの選ばれる寸法に適合させる。例えば、Nが3.5度から4.5度までに及
べば、寸法1は3.5度から4.5度までのすべてのNの寸法が含まれるように設定することがで
き;寸法2は4.5度から5.5度までのすべてのNの寸法が含まれるように設定することができ;
及び寸法3は5.5度から6.5度までのすべてのNの寸法が含まれるように設定することができ
る。この例の場合、寸法1は4度でよく、寸法2は5度でよく、及び寸法3は6度でよい。ピッ
チ比率は6/4又は1.5である。
【0027】
図9及び10は、表2からの振幅及び相情報を含む図6及び8の各々からの2種の得られる波
状曲線に関するN=60、M=3、及びP=1.5についての2種のピッチ列を示す。
【0028】
以上のように、図9及び10における曲線の実際の応答関数、底部の組は、できるだけ密
接に、設計応答関数に適合するように設定される。加えて、見られるように、変調序列振
幅の実際の組は、良好な変調性能のための基本的特長を持つ。実際の変調振幅及び設計変
調振幅の変動する理由はNの独特な設計寸法よりもむしろM=3の設計寸法の選定である。
【0029】
本発明の方法を用いて特に有用であると見出される別のピッチ設計は、1.00(最も小さ
いピッチ長)、1.10、1.25、1.4、及び1.5(最も大きいピッチ長)のピッチ比率によって定
められる5種の異なるピッチ寸法を持つピッチ設計である。この種のピッチ設計は53及び8
0のピッチの間を持つピッチ列を創るのに有用であると見出された。本発明の方法を用い
て設計される模範的なピッチ列、及びこのピッチ設計には、53ピッチ、68ピッチ、及び80
ピッチの列のための次のピッチ列が包含される。
53ピッチ
32111233444333323344321113455421113444322233322234555
68ピッチ
44443322211223455554311112345543222233433322334554322111233-
4443322333
80ピッチ
332111233444332222334555443221111223344554433211112345554332-
11123334333223344554
【0030】
これらのピッチ列は、所定の変調(上述の方法によって規定されるような)及び制御され
るより一層高い調和を持つことが見出された。付加的な例を図12及び13において示す。
【0031】
モデルの第4の部分はタイヤ騒音処理を選定する工程を含む。タイヤ騒音処理はこの技
術に熟練したものによって用いられる任意の数の手段において選ぶことができる。好まし
くは、タイヤ騒音処理のために、良好なレベル特性をもつべきことが受け入れられるべき
である。2種のタイヤ騒音処理、A及びB、図9及び10の各々からの比較は、設計A及びBの変
調性能が類似しているが、設計Aが高い振幅を有する狭いバンドを持ち、従って望ましく
ないことを提供する。設計Bは共に良好なレベル及び振幅特性を持ち、及び従って設計に
おいて用いられるべき候補である。したがって、設計Bは、良好な変調及び良好なレベル
特性の双方を持つタイヤノイズピッチ列を提供する。従来の設計法では、この技術は、良
好なレベル特性を有する設計の副産物として不良な変調を認識した。上述のような方法は
、設計者が変調及びレベルの双方について良好な性能を持つタイヤノイズピッチ列を創る
ことを可能にする。
【0032】
図11はタイヤノイズピッチ列を創出し、及び比較するための方法を示す。ブロック1は
変調序列の振幅を定める工程である。ブロック2は相を規定する工程である(規則的にか、
又はランダムにかのいずれか)。ブロック3は、ピッチの数、独特なピッチ寸法の数、及び
ピッチ寸法の比率を規定する工程である。ブロック4は、タイヤノイズピッチ列を定め、
及びその性能を分析する工程である。ブロック5はタイヤノイズピッチ列が最適化される
ことを決定する工程である。答えが否なら、ユーザはブロック1に戻る。答えが是なら、
ユーザはブロック6に進み、そこで、ピッチ列がタイヤ上での使用のために貯えられる。
この方法はユーザが将来のタイヤ上で用いることができる許容可能なピッチ列のカタログ
を創ることを可能にする。
【0033】
上述の説明において、一定の用語を、簡潔さ、明解さ、及び理解のために用いた。かか
る用語は、説明的な目的のために用いられ、及び広く解釈されるように意図されているの
で、従来技術の条件を超えてそれから不必要な制限が意味されるべきでない。
さらに、本発明の説明及び図示は例であり、及び本発明は、示されているか、又は説明
されている厳密な細部に制限されない。
【符号の説明】
【0034】
同様の参照符号は同様の要素について言及する。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B
図10C
図10D
図11
図12
図12A
図12B
図13
図13A
図13B
図9D