特許第5877433号(P5877433)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ビステオン グローバル テクノロジーズ インコーポレイテッドの特許一覧

<>
  • 特許5877433-ディスプレイユニット 図000003
  • 特許5877433-ディスプレイユニット 図000004
  • 特許5877433-ディスプレイユニット 図000005
  • 特許5877433-ディスプレイユニット 図000006
  • 特許5877433-ディスプレイユニット 図000007
  • 特許5877433-ディスプレイユニット 図000008
  • 特許5877433-ディスプレイユニット 図000009
  • 特許5877433-ディスプレイユニット 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5877433
(24)【登録日】2016年2月5日
(45)【発行日】2016年3月8日
(54)【発明の名称】ディスプレイユニット
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1335 20060101AFI20160223BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20160223BHJP
【FI】
   G02F1/1335
   G02F1/13 505
【請求項の数】16
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-142663(P2013-142663)
(22)【出願日】2013年7月8日
(65)【公開番号】特開2014-16613(P2014-16613A)
(43)【公開日】2014年1月30日
【審査請求日】2013年7月9日
【審判番号】不服2015-8426(P2015-8426/J1)
【審判請求日】2015年5月7日
(31)【優先権主張番号】1212191.9
(32)【優先日】2012年7月9日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】505450755
【氏名又は名称】ビステオン グローバル テクノロジーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103609
【弁理士】
【氏名又は名称】井野 砂里
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(72)【発明者】
【氏名】ポール フレドリック ルーサー ワインドルフ
(72)【発明者】
【氏名】マーク ジェイムズ アーサー ベイカー
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ガリック
(72)【発明者】
【氏名】カール エヴァンズ
【合議体】
【審判長】 河原 英雄
【審判官】 ▲高▼ 芳徳
【審判官】 近藤 幸浩
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−500995(JP,A)
【文献】 特開2011−252934(JP,A)
【文献】 特開2006−64908(JP,A)
【文献】 特開平6−347776(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1335
G02F 1/13
G02B 5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイユニットの視認者に可視情報を提示するための前記ディスプレイユニットであって、
前記可視情報を表示するためのディスプレイ領域と、光源と、前記ディスプレイ領域の背後に、液晶セルと、第1の偏光板と、第2の偏光板とを備えたバックライト付液晶ディスプレイ(LCD)デバイスであって、前記光源は、バックライトの照射を前記セルに提供するように構成され、使用時に、前記第1の偏光板が前記照射を偏光し、前記照射の偏光が前記セルによって回転されるときに前記第2の偏光板が前記照射の通過又は遮断のいずれかを行うように、前記第1及び第2偏光板が前記セルの両側に一対の偏光板を形成する、バックライト付液晶ディスプレイ(LCD)デバイスと、
前記セルの上に広がる第1のカバーシートと、
前記第1のカバーシートの上に広がる第2のカバーシートと、
を備え、
前記第1及び第2のカバーシートの一方は第3の偏光板を備え、前記第1及び第2のカバーシートの他方は減光フィルタを備え、前記第3の偏光板は、前記第2の偏光板によって通過された照射が前記第3の偏光板によって通過されるように、前記第2の偏光板と整合され、前記第1のカバーシートは、前記LCDデバイスに入射して前記ディスプレイ領域から前記視認者に向かって後方反射又は散乱される周囲外部光が、前記減光フィルタの2回の通過及び前記第3の偏光板の2回の通過によって減衰されるように、前記LCDデバイスの前記ディスプレイ領域からある間隙だけ分離され
1つ以上の境界領域を更に備え、前記境界領域は、前記ディスプレイ領域に隣接して位置し、前記ディスプレイユニットの視認者の視野内にあって、前記第1のカバーシートは前記境界領域上に広がり、前記第1のカバーシートは、前記LCDデバイスに入射して前記境界領域から前記視認者に向かって後方反射又は散乱される周囲外部光が前記減光フィルタの2回の通過及び前記第3の偏光板の2回の通過によって減衰されるように、前記境界領域からある間隙だけ分離される
ことを特徴とするディスプレイユニット。
【請求項2】
前記第1のカバーシートは前記第3の偏光板を備え、前記第2のカバーシートは前記減光フィルタを備える
ことを特徴とする、請求項1記載のディスプレイユニット。
【請求項3】
前記第1のカバーシートは前記減光フィルタを備え、前記第2のカバーシートは前記第3の偏光板を備える
ことを特徴とする、請求項1記載のディスプレイユニット。
【請求項4】
前記第1及び第2カバーシートによる減衰後、前記ディスプレイの縁又は各縁が不顕化されるように、前記ディスプレイ領域から前記視認者に向かって後方反射又は散乱される前記周囲光は、前記境界領域から前記視認者に向かって後方反射又は散乱される前記周囲光と実質的に同一である
ことを特徴とする、請求項記載のディスプレイユニット。
【請求項5】
前記第1のカバーシートは、前記第2のカバーシートに継合される
ことを特徴とする、請求項1〜4の何れか一項に記載のディスプレイユニット。
【請求項6】
前記第1のカバーシート及び前記第2のカバーシートは、ある間隙だけ分離される
ことを特徴とする、請求項1〜4の何れか一項に記載のディスプレイユニット。
【請求項7】
前記第1のカバーシート及び前記第2のカバーシートは、相互に平行ではない
ことを特徴とする、請求項記載のディスプレイユニット。
【請求項8】
前記境界領域は実質的に平面であり、前記第1のカバーシートは前記境界領域と平行である
ことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載のディスプレイユニット。
【請求項9】
前記ディスプレイ領域は実質的に平面であり、前記第1のカバーシートは前記ディスプレイ領域と平行である
ことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載のディスプレイユニット。
【請求項10】
請求項に従属する場合、前記ディスプレイ領域及び境界領域と前記第1のカバーシートとの間のそれぞれの間隙が実質的に同一であるように、前記ディスプレイ領域と前記境界領域とは実質的に同一平面である
ことを特徴とする、請求項記載のディスプレイユニット。
【請求項11】
前記減光フィルタは、前記フィルタに垂直に入射する光の40%〜80%を透過させることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載のディスプレイユニット。
【請求項12】
前記減光フィルタは、前記フィルタに垂直に入射する光の50%〜70%を透過させることを特徴とする、請求項11記載のディスプレイユニット。
【請求項13】
前記減光フィルタは、前記フィルタに入射する光の約2/3を透過させ、前記ディスプレイ領域から前記ディスプレイの前記視認者への戻り周囲光は、前記第2のカバーシートに入射する総周囲光の約0.5%である
ことを特徴とする、請求項11記載のディスプレイユニット。
【請求項14】
前記第1及び第2のカバーシートは、前記ディスプレイ領域からの照射の約半分を前記第2のカバーシートから外に透過させる
ことを特徴とする、請求項13記載のディスプレイユニット。
【請求項15】
前記減光フィルタは、前記フィルタに入射する光の約半分を透過させ、前記ディスプレイ領域から前記ディスプレイの前記視認者への戻り周囲光は、前記第2のカバーシートに入射する総周囲光の約0.25%である
ことを特徴とする、請求項11記載のディスプレイユニット。
【請求項16】
前記第1及び第2のカバーシートは、前記ディスプレイ領域からの照射の約1/3を前記第2のカバーシートから外に透過させる
ことを特徴とする、請求項15記載のディスプレイユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイユニットに関し、特に、バックライト付液晶ディスプレイ(liquid crystal display:LCD)デバイスを伴うディスプレイ領域を有する、自動車用ディスプレイユニットと、また、境界領域によって、少なくとも1つの側面上で境界される、そのようなLCDデバイスとに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車用ディスプレイにおいて、サイズが増加し、機能的により複雑になる傾向が見られる。しかしながら、単一ディスプレイユニット内の同一領域又は重複領域内に多数の別個のディスプレイデバイス、例えば、機械ダイヤル、計器、及び警告灯を組み込んだ実用的な自動車用ディスプレイのサイズ及び複雑性には限界がある。ダッシュボードのスペースもまた、自動車において益々貴重になっている。
【0003】
ディスプレイユニットの構成要素の数、サイズ、複雑性、及びコストを増加させるのではなく、単一のLCDデバイスのサイズを増加させることによって、又は複数のLCDデバイスを使用することによってのいずれかによって、自動車用ダッシュボードディスプレイユニット内の液晶ディスプレイ(LCD)デバイスの使用を向上させようとする傾向がある。そのようなLCDデバイスは、当然ながら、また、同一ディスプレイユニット内の他のディスプレイデバイスと併用されてもよい。
【0004】
多くの場合、そのようなディスプレイ要素又はその輪郭が、ディスプレイユニット内の周囲背景領域に溶け込むように、非使用時、バックライト付LCDデバイスを含む、ディスプレイ要素の部分的又は完全に不顕化される、いわゆる「ダークパネル」効果を最大限にすることが所望される。したがって、目には、不顕化されたディスプレイデバイス及びその関連付けられたディスプレイ領域は、明るい周囲照明条件下でも、暗く見える。
【0005】
自動車用ダッシュボードディスプレイユニットは、通常、ディスプレイユニットのディスプレイデバイス及びディスプレイ領域の正面から離間される、クリア又は部分的に吸収性のカバーシートを有するであろう。部分的に吸収性である場合、カバーシートは、視覚的にクリア(すなわち、非散乱)であって、灰色等の中間色を有するか、又は代替として、視覚的訴求のための色で彩色されるかのいずれかであってもよい。そのような部分的吸収性カバーシートはすべて、中間色又は彩色されているかにかかわらず、本明細書では、「減光フィルタ」と称する。
【0006】
多くの場合、カバーシートは、突出するベゼル又はディスプレイの縁取りによって遮蔽され、視認者の目に向かって、漂遊反射あるいは明るい光又は日光を後方に指向させないように、角度付けられるであろう。したがって、カバーシートから反射される周囲光の影響は、最小限にされる。しかしながら、有意な量の周囲光は、依然として、当然ながら、ディスプレイ領域に入射するであろう。反射性LCDデバイスは、そのような反射された周囲光から恩恵を被り得るが、本発明は、周囲光が、LCDデバイスによって表示される情報を表示するために使用されない、バックライト付LCDデバイスに関する。そのような周囲光は、ディスプレイユニットから視認者に向かって、後方散乱又は反射されると、バックライト付LCDデバイスによって表示される情報のコントラストを低減させ得る。
【0007】
戻り周囲光はまた、LCDがアクティブであるかどうかにかかわらず、LCDデバイス自体の外側表面、あるいはLCDデバイスとLCDディスプレイ領域を境界又は囲繞する1つ以上の領域間の縁(エッジ)又は境界を照射もしくは強調し得る。そのような戻り光は、ダークパネル効果を損なわせる。
【0008】
そのような状況において、ダークパネル効果を改良する公知の方法の1つは、ディスプレイ領域の上方において、減光フィルタを使用することであって、これは、ディスプレイ領域に入射する周囲光の強度を低減させ、また、視認者に向かって後方散乱又は反射されるいかなる戻り光の強度も低減させる。そのような減光フィルタは、多くの場合、ディスプレイユニットのディスプレイデバイス及びディスプレイ領域の正面から離間される、最外カバーシート内に組み込まれる。減光フィルタは、実質的に、ダークパネル効果が最大限にされるように、戻り周囲光を排除することができるが、これは、ディスプレイユニット内の全光源からユーザに可視となる、透過された光の強度を低減させることを犠牲とする。実際は、そのような減光フィルタを使用して、良好ダークパネル効果を達成するためには、約37%の透過率を有するフィルタが必要であって、そのような減光フィルタを使用して、優良ダークパネル効果を達成するために、約26%の透過率を有するフィルタが必要であることが分かっている。したがって、これを補償するために、バックライト付LCDデバイスを照射するために使用されるもの等の光源の輝度を増加させることが必要であって、結果として、ディスプレイユニットに対する電力消費及びコストの増加を伴う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、改良されたダークパネル効果を有する一方、ディスプレイユニット内のバックライト付LCDデバイスにおいて、適度なコントラスト比及びディスプレイ明度を維持する、ディスプレイユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によると、ディスプレイユニットの視認者に可視情報を提示するためのディスプレイユニットであって、
可視情報を表示するためのディスプレイ領域と、光源と、ディスプレイ領域の背後に、液晶セルと、第1の偏光板及び第2の偏光板とを備え、光源は、セルにバックライト照射を提供するように構成され、偏光板は、使用時、第1の偏光板が、照射を偏光させ、照射の偏光が、セルによって回転されると、第2の偏光板が、照射の通過又は遮断のいずれかを行うように、セルの両側に一対の偏光板を形成する、バックライト付液晶ディスプレイ(LCD)デバイスと、
セルにわたって延在する第1のカバーシートと、
第1のカバーシートにわたって延在する第2のカバーシートと、
を備え、第1及び第2のカバーシートの一方は、第3の偏光板を備え、第1及び第2のカバーシートの他方は、減光フィルタを備え、第3の偏光板は、第2の偏光板によって通過される照射が、第3の偏光板によって通過されるように、第2の偏光板と整合され、第1のカバーシートは、LCDデバイスに入射し、ディスプレイ領域から視認者に向かって、後方反射又は散乱される、周囲外部光が、減光フィルタを通しての2回の通過、及び第3の偏光板シートを通しての2回の通過によって減衰されるように、ある間隙だけ、LCDデバイスのディスプレイ領域から分離される、ユニットが提供される。
【0011】
本発明のいくつかの実施形態では、第1のカバーシートは、第3の偏光板を備え、第2のカバーシートは、減光フィルタを備える。本発明の代替実施形態では、第1のカバーシートは、減光フィルタを備え、第2のカバーシートは、第3の偏光板を備える。
【0012】
第3の偏光板は、第2の偏光板と同一偏光特性を有するため、第3の偏光板は、LCDデバイスから透過された偏光光を有意に減衰させない。しかしながら、第3の偏光板は、ディスプレイ領域に向かって、ディスプレイユニット内に入射した周囲非偏光光の少なくとも半分を減衰させるであろう。
【0013】
直接、LCDデバイスの外側表面又はディスプレイ領域上に第1のカバーシートを設置するのではなく、第1のカバーシートとディスプレイ領域との間に間隙を提供することには、多くの利点がある。1つは、LCDデバイスが、LCDデバイスを形成する層が、フレーム内にともに接合又はともに保持される必要があるため、その縁近傍に均一表面を有していなくてもよいことである。もう1つは、LCDデバイスが、多くの場合、LCDディスプレイ領域の1つ以上の縁上の1つ以上の領域によって境界されるであろうことである。これらが相互に境界する、LCDディスプレイ領域とそのような囲繞領域との間のステップ又は間隙があってもよい。間隙を提供することによって、第1のカバーシートは、任意のそのような特徴又は断続性にわたって伸展されることができ、それによって、原理上、平滑外側表面をディスプレイに提供することが可能になる。同時に、LCDデバイスの外側表面は、戻り周囲照射において、視認者から視覚的に不顕化される。
【0014】
したがって、ディスプレイユニットが、ディスプレイユニットの視認者の視野内において、ディスプレイ領域に隣接して位置する、1つ以上の境界領域を備える時、第1のカバーシートは、好ましくは、そのような境界領域にわたって延在し、第1のカバーシートは、ある間隙だけ、境界領域から分離される。したがって、本配列は、LCDデバイスに入射し、境界領域から視認者に向かって、後方反射又は散乱される、周囲外部光が、減光フィルタを通しての2回の通過、及び第3の偏光板を通しての2回の通過によって減衰されるように、境界領域又は各境界領域の外側表面を視覚的に不顕化するのに有用である。
【0015】
最も好ましくは、LCDデバイスのディスプレイ領域から視認者に向かって、後方反射又は散乱される、周囲光は、境界領域から視認者に向かって、後方反射又は散乱される、周囲光と実質的に同一である(例えば、輝度及び/又はカラースペクトルの観点から)。これによって、第1及び第2のカバーシートによる減衰後、ディスプレイの縁又は各縁が、不顕化される。
【0016】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、第1のカバーシートは、第2のカバーシートに継合され、したがって、これらのシート間に間隙はない。
【0017】
本発明の他の好ましい実施形態では、第1のカバーシート及び第2のカバーシートはまた、ある間隙だけ、分離される。第1及び第2のカバーシートが、例えば、相互に接合されることによって、そのような間隙を有していない配列と対照的に、これは、第1のカバーシート及び第2のカバーシートが、相互に平行である必要はないという利点を提供する。次いで、第3の偏光板が、第1のカバーシートによって提供されると、第1のカバーシートは、これが、第2の偏光板と平行であって、それによって、第2の偏光板及び第3の偏光板の軸が、可能な限り、密接して整合されることを確実にするように配向されることができる。同時に、減光フィルタを含むであろう、第2のカバーシートは、直接、視認者の目に対する、第2のカバーシートの外側表面からの周囲光の反射を最小限にするように、角度付けられることができる。
【0018】
多くの場合、ディスプレイ領域近傍又はそれに隣接する境界領域は、実質的に平面である場合があり、その場合、第1のカバーシートは、好ましくは、そのような境界領域と平行である。
【0019】
LCDデバイスのディスプレイ領域もまた、通常、実質的に平面であって、その場合、第1のカバーシートは、好ましくは、ディスプレイ領域と平行である。
【0020】
本発明の好ましい実施形態では、ディスプレイ領域及び境界領域は、境界領域と第1のカバーシートとの間の個別の間隙が、実質的に同一であるように、相互に実質的に同一平面である。
【0021】
好ましくは、減光フィルタは、減光フィルタに垂直に(法線角(normal angle)で)入射する光の約40%から80%を透過させる。最も好ましくは、減光フィルタは、減光フィルタに垂直に入射する光の約50%から70%を透過させる。
【0022】
良好ダークパネル効果を達成するために、減光フィルタが、フィルタに入射する光の約2/3を透過させる場合、ディスプレイ領域からディスプレイの視認者への戻り周囲光は、第2のカバーシートに入射する総周囲光の約0.5%であることが好ましい。したがって、本発明の好ましい実施形態では、第1及び第2のカバーシートは、ディスプレイ領域からの照射の約半分を第2のカバーシートから外に透過させる。
【0023】
優良ダークパネル効果を達成するために、減光フィルタが、フィルタに入射する光の約半分を透過させる場合、ディスプレイ領域からディスプレイの視認者への戻り周囲光は、第2のカバーシートに入射する総周囲光の約0.25%であることが好ましい。したがって、本発明の好ましい実施形態では、第1及び第2のカバーシートは、ディスプレイ領域からの照射の約1/3を第2のカバーシートから外に透過させる。
【0024】
次に、本発明は、単なる一例として、付随の図面を参照して、さらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】ディスプレイユニットの視認者に可視情報を提示するために、良好ダークパネル効果を提供可能であって、第1及び第2の偏光板を有するバックライト付液晶セルと、ある間隙だけセルから分離された減光フィルタ(37%通過率)とを備える、先行技術のディスプレイユニットを表す概略図である。
図2】ディスプレイユニットの視認者に可視情報を提示するためのディスプレイユニットを示し、良好ダークパネル効果を提供可能であって、第1及び第2の偏光板を有するバックライト付液晶セルと、ある間隙だけセルから分離された継合された減光フィルタ(69%通過率)及び第3の偏光板とを備える、本発明の第1及び第2の好ましい実施形態を表す概略図である。
図3】ディスプレイユニットの視認者に可視情報を提示するためのディスプレイユニットを示し、良好ダークパネル効果を提供可能であって、第1及び第2の偏光板を有するバックライト付液晶セルと、その一方が、ある間隙だけセルから分離された分離された減光フィルタ(69%通過率)及び第3の偏光板とを備える、本発明の第3及び第4の好ましい実施形態を表す概略図である。
図4】ディスプレイユニットの視認者に可視情報を提示するためのディスプレイユニットを示し、良好ダークパネル効果を提供可能であって、第1及び第2の偏光板を有するバックライト付液晶セルと、その一方が、ある間隙だけセルから分離される分離された減光フィルタ(69%通過率)及び第3の偏光板とを備える、本発明の第3及び第4の好ましい実施形態を表す概略図である。
図5】ディスプレイユニットの視認者に可視情報を提示するために、優良ダークパネル効果を提供可能であって、第1及び第2の偏光板を有するバックライト付液晶セルと、ある間隙だけセルから分離された減光フィルタ(26%通過率)とを備える、先行技術のディスプレイユニットを表す概略図である。
図6】ディスプレイユニットの視認者に可視情報を提示するためのディスプレイユニットを示し、優良ダークパネル効果を提供可能であって、第1及び第2の偏光板を有する、バックライト付液晶セルと、ある間隙だけ、セルから分離される、継合された減光フィルタ(50%通過率)及び第3の偏光板を備える、本発明の第5及び第6の好ましい実施形態を表す概略図である。
図7】ディスプレイユニットの視認者に可視情報を提示するためのディスプレイユニットを示し、優良ダークパネル効果を提供可能であって、第1及び第2の偏光板を有する、バックライト付液晶セルと、その一方が、ある間隙だけ、セルから分離される、分離された減光フィルタ(50%通過率)及び第3の偏光板とを備える、本発明の第7及び第8の好ましい実施形態を表す概略図である。
図8】ディスプレイユニットの視認者に可視情報を提示するためのディスプレイユニットを示し、優良ダークパネル効果を提供可能であって、第1及び第2の偏光板を有する、バックライト付液晶セルと、その一方が、ある間隙だけ、セルから分離される、分離された減光フィルタ(50%通過率)及び第3の偏光板とを備える、本発明の第7及び第8の好ましい実施形態を表す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1及び図5は、ディスプレイユニットを視認する人物に、可視情報を提示するための先行技術ディスプレイユニットの2つの実施形態を図示する。ディスプレイユニットは、可視情報を表示するためのディスプレイ領域(A)を備える液晶ディスプレイ(LCD)デバイスにバックライト照射(LS)を提供するために、可視光源(S)を備える。光源は、したがって、液晶セルのディスプレイ領域の背後にあって、セルは、光源の最近傍の第1のガラス基板(G1)の外側に、第1の偏光板(P1)と、ディスプレイ領域のすぐ背後の第2のガラス基板(G2)の外側に、第2の偏光板(P2)とを備える。
【0027】
2つのガラス基板間に挟入されているのは、液晶流体媒体を備える、液晶層(LC)である。液晶セルは、任意の公知のタイプのセルであってもよい。例えば、ガラスビーズスペーサ、ならびに液晶媒体を活性化及び不活性化するためのガラス基板上の透明電極等である、セルの他の従来の構成要素は、示されないが、それらはすべて、当業者に公知であろう。
【0028】
光源(S)は、セルに対し、最初に、第1の偏光板(P1)、次いで、液晶層(LC)、次いで、第2の偏光板(P2)に通過する、通常、非偏光光であろう、バックライト照射(LS)を提供するように構成される。随意に、第1の偏光板は、光源に組み込まれてもよい。偏光層(P1、P2)の偏光軸は、相互に平行であるか、又は交差されるかのいずれかであってもよく、交差される場合、通常、(線形偏光板の場合)相互に直角であろう。平行である場合、第2の偏光板は、LCDが偏光を回転させる照射を遮断し、交差される場合、第2の偏光板は、LCDが偏光を回転させる照射を通過させるであろう。逆に言えば、偏光軸が、平行である場合、第2の偏光板は、LCDが偏光を回転させない照射を通過させ、交差される場合、第2の偏光板は、LCDが偏光を回転させない照射を遮断するであろう。
【0029】
偏光板は、多くの場合、線形偏光板であるが、代替として、偏光板は、同一左又は右偏光又は反対左及び右偏光のいずれかを伴う、円形偏光板である場合があってもよい。
【0030】
いずれの場合も、図示されるディスプレイユニットと併用される、すべての偏光板は、無又は低複屈折性を有することが好ましい。
【0031】
ディスプレイ領域(A)の正面表面は、描写されるように、第2の偏光板(P2)によって提供されてもよいが、しかしながら、また、LCDデバイスの外側層が、透明層であることも公知である。同様に、第1の偏光板(P1)は、これが透明層によって提供される場合、光源最近傍セルの外側層を提供する必要はない。
【0032】
ディスプレイ領域は、ほとんどの場合、不透明であろう、少なくとも1つの境界によって境界される。図中、2つの境界要素又は特徴が、図示され、その一方(B1)は、表面から盛り上がり、他方(B2)は、表面と同一平面又は実質的に同一平面である。そのような境界要素は、多くの場合、輪郭が正方形又は長方形であろう、ディスプレイ領域(A)の周囲に完全に、又はディスプレイ領域の側面のいくつかのみに沿って、延在してもよい。
【0033】
図1及び5の先行技術ディスプレイユニットはそれぞれ、非使用時、そのようなディスプレイ要素又はその輪郭が、実質的に、視野から消失するように、ダークパネル効果、すなわち、バックライト付LCDデバイス及び任意の境界特徴を含む、ディスプレイ要素の部分的又は完全不顕化を提供可能である。先行技術では、これは、ある間隙だけ、ディスプレイ領域(A)及び任意の境界特徴(B1、B2)の正面から離間される、減光フィルタ(ND)の使用によって達成される。ディスプレイ領域を伴う間隙(D1)は、通常、任意の突出又は同一平面境界特徴(B1、B2)上方の間隙(DB)以上であろう。間隙はまた、カバーシートが、ディスプレイ領域と平行ではない場合、幅が異なってもよい。したがって、減光フィルタは、ディスプレイ領域(A)の正面表面から分離され、ディスプレイユニットのための最外カバーによって提供されてもよい。
【0034】
減光フィルタは、これらの特徴から散乱又は反射され、ディスプレイユニットを視認する人物に向かって後方に指向される、周囲光の量を低減させることによって、非アクティブディスプレイ領域、任意の境界特徴、及び非アクティブディスプレイ領域と境界特徴との間の継目又は境界の視認性を抑制する。図1では、減光フィルタは、フィルタに入射する光の37%を通過させ、図5では、減光フィルタは、フィルタに入射する光の26%を通過させる。
【0035】
全図において、図中の入射周囲光(LA)は、フィルタ及びディスプレイ領域に対して垂直でない角度で入射するように示され、これは、異なる反射が見え得るように、明確性のためだけに行われるが、しかしながら、全例において、記載された反射及び透過率は、垂直な入射に対するものである。周囲光は、当然ながら、ある範囲の入射角を有するであろうが、しかしながら、記載された百分率は、一般的観点において、先行技術デバイスの性能及び以下に説明される本発明の性能を説明するものである。
【0036】
全図において、外部表面からの光の反射は、4%であると仮定されたが、本数値は、反射防止コーティングが提供される場合、幾分、低くなり得る。これらの実施例では、入射周囲光(LA)の4%は、減光フィルタによって反射され、96%は、減光フィルタ(ND)の本体に透過されるであろう。図1では、このうち37%が、透過され(35.5%)、図5では、26%が、透過される(25%)。ディスプレイ領域(A)からの4%反射ならびに減光フィルタを通しての第2の通過における反射及び透過に起因する同様損失後、図1及び図5は、それぞれ、0.5%から0.25%残留周囲反射光(R)が存在するであろうことを示す。主観的に、これらの量は、「良好」ダークパネル効果及び「優良」ダークパネル効果と分類することができる。
【0037】
減光フィルタ(ND)はまた、ユーザに可視であるディスプレイ領域から出射する光(LV)が、それぞれ、ディスプレイ領域(A)から出射する透過された偏光光の35.5%から25%まで低減されるように、光源から透過された偏光光を吸収する。
【0038】
これらの結果は、以下の表1に要約される。市販のLCDデバイスは、典型的には、200から500cd/m2の輝度を提供することができる。約500cd/m2から約1000cd/m2までの高輝度ディスプレイが、利用可能であるが、自動車用ドライバディスプレイ用途には、比較的に高商業原価である。一部には、本付加的コストは、光源(S)上に熱交換冷却器を提供し、これを動作温度境界内に維持する必要があるという結果によるものである。表1では、本利用可能であるが、比較的に高価な範囲は、下線が引かれた源輝度LS数値によって示される。
【0039】
1000cd/m2を有意に超える輝度ディスプレイは、自動車用ドライバディスプレイ用途には、商業的に実行可能ではない。表1では、本限界は、表中の破線によって示され、源輝度LS数値は、太字で示される。
【0040】
表1は、どれくらいの源輝度(LS)が、ユーザに可視である4つの異なるレベルの輝度(LV)、すなわち、最小使用可能レベルの可視輝度200cd/m2(主に、暗周囲照明条件に好適である)、容認可能可視輝度350cd/m2(暗及び明周囲照明条件両方に好適な最小量である)、良好可視輝度500cd/m2(暗及び明周囲照明条件の両方に好適なより好ましい量である)、及び優良可視輝度650cd/m2(非常に明るい周囲照明条件においても好適な量である)を達成するために要求されるかを示す。
【0041】
【表1】
【0042】
表1から分かるように、商業的に実行可能光源(S)では、先行技術減光フィルタ(ND)アプローチは、約0.5%の戻り周囲光(R)の良好ダークパネル効果に対して、容認可能可視輝度のみ達成可能であって、約0.25%の戻り周囲光(R)の優良ダークパネル効果に対して、最小使用可能可視輝度のみ達成可能である。
【0043】
図2図4及び図6図8に示されるように、本発明は、両方とも、ある間隙だけ(D1、DB)、ディスプレイ領域(A)から離間され、随意に、また、隣接する隆起、同一平面、又は実質的に同一平面の境界特徴(B1、B2)からも離間する、減光フィルタ(ND)及び付加的第3の偏光板(P3)の両方を使用することによって、本限界に対処する。図2図4及び図6図8では、光源(S)及びLCDデバイス(P1、G1、LC、G2、P2)等の構成要素は、図1及び図5に関連して前述の先行技術におけるものと同一であって、したがって、再び、詳細に説明されない。先行技術と同様に、当業者に公知であるように、第1の偏光板(P1)は、代替として、光源(S)内に組み込まれてもよく、LCDセルは、付加的透明層を備えてもよい。
【0044】
第3の偏光板(P3)は、本第3の偏光板が、LCDデバイスによって放出されるディスプレイ光の最小減衰を有するように、LCDデバイスの第2の、すなわち、上側偏光板(P2)と同一偏光を有する。しかしながら、第3の偏光板は、非偏光周囲光(LA)を強力に減衰させるであろう。実践的低コストシートの線形偏光板は、偏光板と同一方向に偏光された入射光の約73.7%を透過させ、偏光板に入射する非偏光光の約38.7%を通過させるであろう。
【0045】
図2図4は、約0.5%の良好ダークパネル効果を達成する、実施形態を示し、図6図8は、約0.25%の優良ダークパネル効果を達成する、実施形態を示す。
【0046】
図2及び図6では、減光フィルタ(ND)及び第3の偏光板(P3)は、ともに継合又は接合され、減光フィルタ(ND)による所与の吸収に対して、同一結果が、これらの2つの要素のいずれが、ディスプレイ領域(A)に最も近接するかにかかわらず、達成されるであろう。これらの2つの要素の位置は、したがって、減光フィルタ(ND)と第3の偏光板(P3)との間に延在する両方向矢印によって示されるように、入れ替えられてもよい。
【0047】
図3図4図7、及び図8は、減光フィルタ(ND)と第3の偏光板(P3)とが別個の要素であって、ある間隙(D2)だけ分離された配列を示す。これらの要素のいずれがディスプレイ領域(A)に最も近接するかにかかわらず、同一光学結果が達成される。
【0048】
第3の偏光板(P3)の追加によって、図2図4は、約0.5%の図1の先行技術配列と同一の良好ダークパネル効果(R)の達成において、減光フィルタ(ND)が、37%から69%の増加を伴って、より透過性にされることができることを示す。その結果、ディスプレイからの可視光(LV)の強度は、図2の場合、35.5%から48.8%、図3及び図4の場合、46.8%まで増加される。
【0049】
第3の偏光板(P3)の追加によって、図6図8は、約0.25%の図5の先行技術配列と同一の優良ダークパネル効果(R)の達成において、減光フィルタ(ND)が、26%から50%の増加を伴って、より透過性にされることができることを示す。その結果、ディスプレイからの可視光(LV)の強度は、図6の場合、25%から35.4%、図7及び図8の場合、34.0%まで増加される。
【0050】
これらの結果は、商業的に実現可能な光源(S)によって、図2図4の配列が、あらゆる通常光条件に対して、約0.5%の戻り周囲光(R)の良好ダークパネル効果を伴って、良好可視輝度を達成可能であって、図6図8の配列が、明及び暗周囲光条件に対して、約0.25%の戻り周囲光(R)の優良ダークパネル効果を伴って、容認可能可視輝度を達成可能であることを示す、表1に要約される。
【0051】
したがって、本発明は、LCDデバイスによって表示される情報のユーザ可視性と、同時に、改良されたダークパネル効果の両方において、改良を可能にする。
【0052】
図3及び図4の配列は、減光フィルタ及び第3の偏光板の別個の提供に起因する、他の潜在的利点を提供する。反射された周囲光を遮断する一方、依然として、表示される偏光された光を通過させるという観点から、最適性能のために、第3の偏光板は、可能な限り、LCDデバイスとほぼ平行にあるべきである。偏光板はまた、減光フィルタより高価である傾向がある。これらの要因は両方とも、第3の偏光板をLCDデバイスに近接して、かつ平行に位置付けることに影響を及ぼす。
【0053】
しかしながら、減光フィルタの外側及び内側表面からの漂遊周囲光反射を視認者の目から逸らすように、LCDデバイスの平面に対して、ある角度で減光フィルタを位置付けることが所望され得る。したがって、減光フィルタは、ディスプレイユニットの最外カバー内に提供されることができるが、これは、当然ながら、内側の第3の偏光板の寸法より遥かに大きくある必要があり得る。第3の偏光フィルタのものとは対照的に、減光フィルタのサイズ増加は、コストの観点から、問題とならないであろう。
【0054】
ディスプレイ領域が、境界又はフレームを有する時、LCDデバイスのディスプレイ領域から視認者に向かって、後方反射又は散乱される、周囲光が、境界領域から視認者に向かって後方反射又は散乱される周囲光と(例えば、輝度及び/又はカラースペクトルの観点から)実質的に同一である場合、その表出は、最小限にされることができる。
【0055】
したがって、本発明は、所与のバックライト源のために、改良されたダークパネル効果を有する一方、ディスプレイユニット内のバックライト付LCDデバイスにおいて、適度なコントラスト比及びディスプレイ明度を維持する、ディスプレイユニットを提供する。
【符号の説明】
【0056】
A ディスプレイ領域
B1、B2 境界特徴
D1、D2、DB 間隙
G1 第1のガラス基板
G2 第2のガラス基板
ND 減光フィルタ
A 入射周囲光
LC 液晶層
S バックライト照射
V 可視光
P1 第1の偏光板
P2 第2の偏光板
P3 第3の偏光板
S 光源
R 戻り周囲光
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8