特許第5877457号(P5877457)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5877457
(24)【登録日】2016年2月5日
(45)【発行日】2016年3月8日
(54)【発明の名称】皮膚抗老化活性を有する生物活性組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/97 20060101AFI20160223BHJP
   A61Q 17/00 20060101ALI20160223BHJP
   A61Q 19/04 20060101ALI20160223BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20160223BHJP
   A61K 36/18 20060101ALI20160223BHJP
   A61K 36/28 20060101ALI20160223BHJP
   A61K 36/02 20060101ALI20160223BHJP
   A61K 36/23 20060101ALI20160223BHJP
   A61P 39/06 20060101ALI20160223BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20160223BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20160223BHJP
【FI】
   A61K8/97
   A61Q17/00
   A61Q19/04
   A61Q19/00
   A61K36/18
   A61K36/28
   A61K36/02
   A61K36/23
   A61P39/06
   A61P43/00 111
   A61P17/00
【請求項の数】13
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2014-547971(P2014-547971)
(86)(22)【出願日】2012年12月19日
(65)【公表番号】特表2015-500859(P2015-500859A)
(43)【公表日】2015年1月8日
(86)【国際出願番号】EP2012076132
(87)【国際公開番号】WO2013092699
(87)【国際公開日】20130627
【審査請求日】2014年8月15日
(31)【優先権主張番号】61/579,197
(32)【優先日】2011年12月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596121138
【氏名又は名称】アイエスピー インヴェストメンツ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ISP INVESTMENTS INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128484
【弁理士】
【氏名又は名称】井口 司
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ドゥエバ−コガノフ,オルガ,ブイ
(72)【発明者】
【氏名】コガノフ,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】リチャーズ,ジャネット
(72)【発明者】
【氏名】ドーソン,トム
(72)【発明者】
【氏名】コームズ,メアリー,ジェーン
【審査官】 岩下 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特表2015−500858(JP,A)
【文献】 特表2015−502407(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/97
A61K 36/02
A61K 36/18
A61K 36/23
A61K 36/28
A61P 17/00
A61P 39/06
A61P 43/00
A61Q 17/00
A61Q 19/00
A61Q 19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.0.002〜30重量%
i.ツバキ漿液画分およびナツシロギク漿液画分の組合せを含む第1の組成物、ならびに/または
ii.パセリ漿液画分およびケルプ漿液画分の組合せを含む第2の組成物
を含
皮膚ケア組成物における使用のための生物活性組成物。
【請求項2】
第1の組成物が、
.0.001重量%から15重量%のツバキ漿液画分、および
.0.001重量%から15重量%のナツシロギク漿液画分
を含み、
重量%は、組成物の全重量に基づく、請求項1に記載の皮膚ケア組成物における使用のための生物活性組成物。
【請求項3】
ツバキ漿液画分とナツシロギク漿液画分との重量比が、10:90から90:10の範囲である、請求項2に記載の皮膚ケア組成物における使用のための生物活性組成物。
【請求項4】
ツバキ漿液画分とナツシロギク漿液画分との重量比が、20:80から80:20の範囲である、請求項2に記載の皮膚ケア組成物における使用のための生物活性組成物。
【請求項5】
ツバキ漿液画分とナツシロギク漿液画分との重量比が、50:50から80:20の範囲である、請求項2に記載の皮膚ケア組成物における使用のための生物活性組成物。
【請求項6】
増粘剤をさらに含む、請求項2に記載の皮膚ケア組成物における使用のための生物活性組成物。
【請求項7】
第2の組成物が、
.0.001重量%から15重量%のパセリ漿液画分、および
.0.001重量%から15重量%のケルプ漿液画分
を含み、
重量%は、組成物の全重量に基づく、請求項1に記載の皮膚ケア組成物における使用のための生物活性組成物。
【請求項8】
パセリ漿液画分とケルプ漿液画分との重量比が、10:90から90:10の範囲である、請求項7に記載の皮膚ケア組成物における使用のための生物活性組成物。
【請求項9】
パセリ漿液画分とケルプ漿液画分との重量比が、30:70から70:30の範囲である、請求項7に記載の皮膚ケア組成物における使用のための生物活性組成物。
【請求項10】
パセリ漿液画分とケルプ漿液画分との重量比が、50:50である、請求項7に記載の皮膚ケア組成物における使用のための生物活性組成物。
【請求項11】
増粘剤をさらに含む、請求項7に記載の皮膚ケア組成物における使用のための生物活性組成物。
【請求項12】
第1の組成物および第2の組成物の組合せを含む、請求項1に記載の皮膚ケア組成物における使用のための生物活性組成物。
【請求項13】
第1の組成物が、
.0.001重量%から15重量%のツバキ漿液画分、および
.0.001重量%から15重量%のナツシロギク漿液画分
を含み、
第2の組成物が、
.0.001重量%から15重量%のパセリ漿液画分、および
.0.001重量%から15重量%のケルプ漿液画分
を含み、
重量%は、組成物の全重量に基づく、請求項12に記載の皮膚ケア組成物における使用のための生物活性組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚への皮膚ケア組成物の局所適用の技術分野に関する。本発明はさらに、ツバキおよびナツシロギク漿液画分ならびに/またはケルプおよびパセリ漿液画分のブレンドを含む皮膚ケア組成物に関する。本発明はまた、皮膚ケア組成物をその領域に局所適用して、メラニン合成における1つまたは複数の段階を刺激することによって、皮膚におけるメラニン産生を増加させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒト皮膚は、3つの主たる層、すなわち、表皮、真皮、および皮下脂肪層を含む。表皮は、4つの層(外部から内部へ)、すなわち、角質層、顆粒層、有棘層、および基底層を含む。別個の5つ目の層である透明層は、角質層と顆粒層との間に存在し得る。基底層は、次第に外の方へ移動して、他の表皮層を形成する細胞を産生する。これらの細胞が外の方へ移動するにつれて、それらは、それらの中心核を失い、皮膚タンパク質(ケラチン)および脂肪(脂質)を産生し始める。これらの細胞は、表皮の上部層に存在する場合、角化細胞と特定される。メラニン形成細胞は、表皮の基底層に位置する別のクラスの細胞である。メラニン形成細胞は、メラニンの産生に関与し、これは、皮膚色素沈着の主要因である。
【0003】
メラニンは、基礎的レベルで、酵素チロシナーゼと基質としてのL−チロシンとが関与する、メラミン形成細胞内の複雑な反応セットにより産生される。チロシナーゼは、L−チロシンのDOPA(L−3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン)へのおよびDOPAのドーパキノンへの変換を触媒する。ドーパキノンは、さらに変換して、メラニンを形成する。メラニンは、メラノソームとして知られる細胞小器官中で凝集し、これは、樹状突起として知られるメラニン形成細胞の細長いフィラメントに沿って角化細胞に移行される。メラノソームにおいて発現される約1500の遺伝子産物があり、それらのうちの600は、任意の所定の時間に発現され、それらのうちの100は、メラノソームに独特であると考えられている。さらに、メラニン形成細胞内のメラノソームの輸送中に、および角化細胞へのメラノソームの移行中に、シグナル伝達に関与する多くの調節要素がある。
【0004】
メラニンの産生は、様々な外部および内部事象により誘発され得る。例えば、メラニン形成細胞は、皮膚がUV線に曝される場合に、さらなるメラニンを産生する。次いで、メラニンは、メラノソームを介して角化細胞へ輸送され、次いで、これは、皮膚に色素沈着の、すなわち「黄褐色の」の外観を残す。しかしながら、慢性UV曝露は、皮膚色調のより微妙な変化をもたらすことがある。これらの変化は、むらのある色調としてまたは斑状外観として表現されることが多い。さらに、アトピー性皮膚炎または炎症後色素沈着減少などの炎症関連皮膚障害は、むらのある色調の外観を有する皮膚を残すこともある。
【0005】
他方で、メラニンは、電磁放射線、とりわけUV線の波長を吸収することができる。さらに、メラニンは、ラジカルの捕捉剤として作用する。したがって、メラニンは、一般にUV線に対する自然の皮膚フィルタと考えられる。したがって、むらのある薄い色のついた皮膚の外観を改善し、均一に日焼けした外観を与えることができ、UV線誘発皮膚損傷に対して保護を与えることに加えて美的利益(例えば、暦年齢よりも若い外観と認められる)を与えることもできる組成物および処置方法を提供するという要望がある。
【0006】
ここ数年、消費者は、「自然」化粧品をますます要求するようになっている。結果として、化粧品製造者は、より植物ベースの材料をそれらの化粧用処方物中に組み込んできた。様々な植物が、いろいろな評判の良い適応症について数百年またはさらには数千年間使用されてきたが、近時まで、成し遂げたと言われる有効性を臨床的に証明すること、または植物の生物活性の基礎科学に基づいた新たな潜在的用途を特定することはできていなかった。科学における最近の進歩によって、研究者は今や、最近まで民間伝承によって支持されていただけであった植物の効力および/または潜在的な新たな用途をよりよく評価することができる。科学の新しさのために、および化粧用生物活性物質として潜在的に用いられ得る植物の数が非常に多いために、圧倒的多数の植物がいまだに十分に調査されていない。
【0007】
植物から植物成分を抽出するために使用される方法の多くは、植物組織組成物および/またはその組織中に含有される目的の生物活性成分に対して有害である技術を伴う。結果として、伝統的な抽出方法は、植物細胞内に存在する活性の完全スペクトルを与えることができないことが多く、したがって、植物ベース化粧用処方物の完全な潜在力は実現されていない。さらに、多くの伝統的な抽出方法は、過酷な化学溶媒を用い、これは、「自然」でなく、したがって、消費者が消費者の皮膚への適用を避けたい材料である。さらに、これらの溶媒ベースのプロセスは、適切に取り扱われ、有害な廃棄物として廃棄されない場合、環境を害する可能性のある毒性化学廃棄物を生じさせる。
【0008】
さらに、単に材料が「自然」だからといっても、しかしながら、その材料を皮膚での使用に適切にさせる、望ましくない物質を含まないことを保証しない。例えば、多くの植物は、フェオホルビドなどの光線感作物質を含有し、および/またはタンパク質などのアレルゲンと接触する。多くの一般的な植物に自然に見出されるレベルで、フェオホルビドおよび/またはタンパク質は、大部分の人々に関心を引き起こさせない。しかしながら、植物材料が、例えば、抽出などによって、高度に濃縮された形態に凝縮される場合、これらの材料は、発疹を含めて、皮膚刺激およびアレルギー反応を引き起こすレベルで存在し得る。しかしながら、これらの材料がその自然レベルで存在する場合でさえも、負の皮膚反応を受ける敏感な個人が依然として多い。
【0009】
さらに、自然製品に対する要求が増加してきたのと同様に、地球の自然資源の保護についての関心も増加してきた。消費者が望む「自然」成分の多くは、消費者製品における使用のために収穫されるときに、劣化および/または破壊される生物資源由来である。したがって、自然で、より地球に優しい製品に対する消費者の要望は、皮肉なことに消費者が保存することを目的とするまさにその生物資源の破壊をもたらし得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、所望の生物活性のそれらのスペクトルを維持し、局所皮膚適用に適しており、かつ過酷な化学溶媒を用いて調製されない、自然な生物活性植物組成物に対する必要性がある。さらに、皮膚色素沈着の外観を改善するために有効であるような生物活性物質を含有する化粧用組成物に対する必要性がある。さらに、生態学的に健全で、持続可能な仕方で収穫および加工され得るような生物活性材料に対する必要性がある。
【0011】
本発明のこれらのおよび他の目的は、以下の開示に照らして明らかになる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、その領域に皮膚ケア組成物を局所的に適用して、メラニン合成における1つまたは複数の段階を刺激することによって、皮膚におけるメラニン産生を増加させるのを助けることができ、UV線誘発皮膚損傷に対して保護を与えることに加えて美的利益(例えば、暦年齢よりもより若いと認められる外観)を与えることもできる皮膚ケア組成物および方法に関する。
【0013】
ある実施形態によれば、哺乳動物皮膚の部位の暗色化に適した皮膚ケア組成物が提供される。皮膚ケア組成物は、有効量のツバキ漿液画分およびナツシロギク漿液画分の組合せを含む第1の組成物またはパセリ漿液画分およびケルプ漿液画分の組合せを含む第2の組成物;ならびに皮膚科学的に許容される担体を含む。
【0014】
別の実施形態によれば、皮膚色素沈着減少の外観を減少させる方法が提供される。この方法は、皮膚ケア組成物がメラニン形成(メラニン合成)における1つまたは複数の段階を刺激するために十分な期間適用される、皮膚ケア組成物を皮膚表面に局所的に適用するステップを含む。皮膚ケア組成物は、有効量のツバキ漿液画分およびナツシロギク漿液画分の組合せを含む第1の組成物またはパセリ漿液画分およびケルプ漿液画分の組合せを含む第2の組成物;ならびに皮膚科学的に許容される担体を含む。
【0015】
別の実施形態によれば、皮膚色素沈着減少の外観を減少させる方法が提供される。この方法は、皮膚ケア組成物が、メラニン形成(メラニン合成)における1つまたは複数の段階を刺激するために十分な期間適用される、皮膚ケア組成物を皮膚表面に局所的に適用するステップを含む。皮膚ケア組成物は、有効量のツバキ漿液画分、ナツシロギク漿液画分、パセリ漿液画分、およびケルプ漿液画分の組合せ;ならびに皮膚科学的に許容される担体を含む。
【0016】
本発明の一態様によれば、皮膚色調の外観を改善するために、有効量の皮膚色調剤の相乗的組合せを含む皮膚ケア組成物を皮膚表面に局所的に適用するステップを含む方法が提供される。
【0017】
背景で特定された技術的な問題に応じて、本発明は、他の形態を取ってもよい。本発明のさらなる形態は、以下に続く詳細な説明で理解される。
【0018】
本発明は、添付の図面と併せて行われる以下の説明からより良く理解されると考えられる。参照される図面は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】ケルプおよびパセリ漿液画分がメラニン形成細胞アッセイにおいて別個におよび変化させたブレンドとして評価される場合の、メラニン合成活性化を示す棒グラフである。
図2】ケルプおよびパセリ漿液画分がメラニン形成細胞アッセイにおいて別個におよび50:50ブレンドとして評価される場合の、メラニン合成活性化を示す別の棒グラフである。
図3】ツバキおよびナツシロギク漿液画分がメラニン形成細胞アッセイにおいて別個におよび変化させたブレンドとして評価される場合の、メラニン合成活性化を示す棒グラフである。
図4】ツバキおよびナツシロギク漿液画分がメラニン形成細胞アッセイにおいて別個におよび20:80ブレンドとして評価される場合の、メラニン合成活性化を示す別の棒グラフである。
図5】ケルプおよびパセリ漿液画分がADP−Glo(商標)アッセイにおいて別個におよび変化させたブレンドとして評価される場合の、インターロイキン−1受容体関連キナーゼ(IRAK−4)の阻害を示す棒グラフである。
図6】ツバキおよびナツシロギク漿液画分がADP−Glo(商標)アッセイにおいて別個におよび変化させたブレンドとして評価される場合の、IRAK−4の阻害を示す棒グラフである。
図7】本明細書で使用される漿液画分およびブレンドの同一性を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
特に断りのない限り、本明細書で使用されるパーセントおよび比率のすべては、全組成物の重量によっており、行われる測定のすべては、25℃においてである。数値範囲のすべては、より狭い範囲を含み;線引きされた上位および下位の範囲限界は、明示的に線引きされないさらなる範囲をもたらすために入れ替え可能である。
【0021】
本発明の組成物は、本明細書で記載される必須成分および任意選択成分を含む、それらから本質的になる、またはそれらからなることができる。本明細書で使用される場合、「本質的になる」は、組成物または成分がさらなる成分を含んでもいてもよいが、さらなる成分が、特許請求の範囲で記載される組成物または方法の基本的および新規な特性を実質的に変更しない場合に限ってであることを意味する。
【0022】
組成物への言及で使用される場合の「適用する」または「適用」という用語は、本発明の組成物を表皮などの哺乳動物皮膚表面上に適用するまたは広げることを意味する。
【0023】
本明細書で使用される場合の「皮膚科学的に許容される」という用語は、記載される組成物または成分が、過度の毒性、不適合性、不安定性、アレルギー反応などがなく、ヒトの皮膚組織と接触して使用するために適していることを意味する。
【0024】
本明細書で使用される場合の「有効量」という用語は、利益を有意に生じさせるために十分な、化合物または組成物の量を意味する。
【0025】
本明細書で使用される場合の「炎症後の色素沈着減少」という用語は、一過性の炎症事象に対する反応としての色素沈着の急性から慢性の減少を指す。
【0026】
本明細書で使用される場合の「色素沈着減少スポット」は、メラニンの局所化されたおよび慢性または全身性の産生不足によって、色素沈着が、皮膚の隣接領域の色素沈着よりも小さい、皮膚の明確な領域を指す。
【0027】
本明細書で使用される場合の「皮膚色調剤」は、メラニン産生シグナル、メラニンの合成、メラニン細胞と角化細胞の間のメラニンの全身性移動、および/またはメラニン分解を調節する薬剤である。皮膚色調剤は、色素沈着強化の化粧剤として作用することによって、均一でない皮膚色調の外観を改善し得る。
【0028】
本明細書で使用される場合の「皮膚色調」は、メラニンの一過性よりはむしろ全身性合成に起因する皮膚におけるメラニンの全体的な外観を指す。皮膚色調は、典型的には皮膚のより大きな領域にわたって特徴付けられる。領域は、理想的には100mmを超えていてもよいが、より大きな領域、例えば、顔の皮膚の全体または顔の皮膚表面のいずれかなどが想定される。皮膚色調は、イメージ分析により測定され得る。例えば、全体の明度は、L色空間のL座標によって測定され得る(国際照明委員会(International Commission on Illumination))。メラニンマッピングおよびメラニン濃度などの発色団マッピングが、全体の皮膚色調の指標として使用され得る。平均メラニンは、発色団マップデータから計算され得る。さらに、皮膚色調の均一性は、やはり発色団マップデータから計算され得るメラニン均一性によって決定され得る。適切な発色団マッピング手法は、以下の実施例で検討される。
【0029】
本明細書で使用される場合の「顔の皮膚表面」という用語は、額、眼窩周囲、頬、口周囲、オトガイ、および鼻の皮膚表面の1つまたは複数を指す。
【0030】
本明細書で使用される場合、「外因性溶媒」は、生来的に植物材料中に存在しないが、化合物を植物材料から分離する(例えば、抽出する)ために植物材料と接触して置かれる任意の溶媒を意味する。
【0031】
本明細書で使用される場合の「漿液画分」という用語は、(a)新鮮な植物物質を粉砕し、圧搾するステップおよび(b)細胞壁画分から液体画分を分離して、新鮮な細胞汁液を得るステップであって、前記分離の前または間に外因性液体が加えられないステップ;(c)新鮮な細胞汁液をろ過して、第1のろ液を得るステップ;ならびに(d)第1のろ液を分画して、漿液画分を得るステップを含む一般的な方法によって生成される組成物を意味する。
【0032】
I.皮膚ケア組成物
本発明の実施形態は、様々な組成物、より具体的には、頭皮表面を含まない皮膚表面への適用のための組成物に関する。皮膚ケア組成物は、均一に薄い色のついた皮膚を与えるために有効である有効量の皮膚色調剤、および皮膚科学的に許容される担体を含む。組成物は、限定されるものではないが、溶液、懸濁液、ローション、クリーム、ゲル、トナー、スティック、ペンシル、スプレー、エアゾール、軟膏、クレンジング洗浄液およびソリッドバー、皮膚コンディショナー、ペースト、フォーム、パウダー、ムース、シェービングクリーム、拭き取り布、ストリップ、パッチ、電動パッチ、創傷包帯およびガーゼ付き絆創膏、ヒドロゲル、膜形成製品、顔面マスクおよび皮膚マスク(不溶性シートを有するまたは有しない)、化粧品(ファンデーション、およびアイシャドウなど)などを含む多種多様な製品形態であり得る。組成物形態は、選択される特定の皮膚科学的に許容される担体に由来し得る。
【0033】
A.皮膚色調剤
本発明の実施形態による皮膚ケア組成物は、漿液画分のブレンドである有効量の皮膚色調剤の組合せを含む。したがって、ある実施形態において、皮膚ケア組成物は、ツバキ漿液画分およびナツシロギク漿液画分の第1の組合せ、またはパセリ漿液画分およびケルプ漿液画分の第2の組合せを含む。別の実施形態によれば、皮膚ケア組成物は、第1および第2の組合せを含む。
【0034】
ツバキ、ナツシロギク、またはパセリ画分のそれぞれは、それぞれ、チャノキ(camellia sinensis)、ナツシロギク(chrysanthemum parthenium)、またはパセリ(petroselinum crispum)に属する植物から得られる花、葉、および/または茎の漿液画分から本質的になり、ケルプ漿液画分は、一般に褐藻類として知られる、光合成生物オオウキモ(macrocystis pyrifera)からの漿液画分から本質的になる。本明細書での検討を簡単にするために、褐藻類は、漿液画分の供給源に言及する場合、「植物(単数)」または「植物(複数)」または「バイオマス」に対して包括的であると理解されるべきである。本明細書で使用される例示的な漿液画分は、Akzo Nobel Surface Chemistry LLC,Chicago,Illinoisにより提供される。例示的な漿液画分調製方法は、米国特許第7,473,435号(例えば、ツバキについて)、米国特許第7,537,791号(例えば、ナツシロギク(Tanacetum parthenium)からのパルテノリドを含まない生物活性成分について)、および米国特許出願公開第2011/0110872号(例えば、ケルプについて)に示されており、これらは、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。漿液画分は、以下にさらに検討されるとおりに、ブレンドされて、驚くべきことに相乗効果をもたらす漿液画分の組合せを形成し得る。
【0035】
漿液画分を調製するための一般的な方法は、清浄で、新鮮な植物物質を粉砕および圧搾するステップ;細胞壁画分から液体画分を分離して、新鮮な細胞汁液を得るステップであって、前記分離前または間に外因性液体が加えられないステップ;新鮮な細胞汁液をろ過して、第1のろ液を得るステップ;および第1のろ液を分画して、本明細書で使用される漿液画分を得るステップを含む。分画は、以下のステップ、すなわち、pHを調整するステップ;マイクロ波などの加熱するステップ;ろ過および/または遠心分離にかけて、前記第1のろ液からクロロフィル、色素、および/またはタンパク質を除去し、漿液画分を形成するステップの1つまたは複数を含んでもよい。この方法は、漿液画分に対して安定化させるステップをさらに含んでもよい。安定化は、保存剤を添加し、保存剤の完全な可溶化が得られるまで混合物をインキュベートするステップを含んでもよい。例示的な保存剤には、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、ナトリウムメチルバラベン、および/またはクエン酸の1種または複数が含まれる。
【0036】
得られた漿液画分の組合せまたはブレンドは、伝統的に調製された植物抽出物に対して優れた生物活性を有する。伝統的な抽出物と違って、この漿液画分は、新鮮な植物材料の残部から機械的に分離された新鮮な植物細胞汁液から調製される。重要なことに、外因性溶媒(例えば、水、ヘキサン、アセトン、エタノール)は、汁液分離工程の間にまったく加えられない。得られた細胞汁液は、新鮮な植物物質で見出される、完全スペクトルの化合物を含有し、したがって、得られた漿液画分は、特定の溶媒で分離され得る狭い範囲の化合物だけを含有する伝統的な植物抽出物よりも、非常により広い範囲の活性化合物を含有する。
【0037】
さらに、新鮮な植物の使用は、新鮮な植物物質中に生来的に存在する生物活性成分の完全性を維持する。伝統的な植物抽出物は、新鮮な植物物質からではなく、むしろ、乾燥された植物材料から調製され、これは、脱水による分解を起こした。脱水の間に、細胞壁は損なわれ、加水分解、酸化、重合、メイラード反応、および異性化などの機構によって化合物の分解を引き起こす。乾燥された葉が抽出される場合、得られた抽出物は、このようにして新鮮な植物物質に元々は存在していなかったこれらの分解生成物を含有する。したがって、得られた乾燥葉抽出物の組成物は、新鮮な汁液および得られた漿液画分のものと大きく異なる。
【0038】
チャノキ(camellia sinensis)漿液画分の例示的な調製は、米国特許第7,473,435号に記載されており、以下に要約される。チャノキ(camellia sinensis)植物からの漿液画分は、(1)バイオマスを調製するステップ;(2)植物バイオマスを粉砕、浸軟、および圧搾するステップ;(3)細胞汁液から膜画分を分離して、細胞汁液上清を与えるステップ;(4)細胞汁液上清から細胞質画分を分離するステップ;ならびに(5)漿液画分を単離するステップを含む方法によって調製され得る。
【0039】
(1)バイオマスを調製するステップ:十分量の新鮮なツバキ(チャノキ(camellia sinensis))植物バイオマス(芽の付いた上部の柔らかい若葉組織のみ)を収穫して、ほぼ100kgの乾燥物質をもたらす。新鮮なバイオマス中の乾燥物質のレベルは、21.70重量%であると計算され、100kgの乾燥物質をもたらすためにほぼ461kgの新鮮な植物バイオマスの収穫を必要とする。植物バイオマスの固有の含水量を保ち、かつ水分損失による萎れを避けるために注意する。収穫は、葉細胞構造の破壊を避けるために収集したバイオマスの叩き切り(chopping)、すりつぶし(mashing)、および押しつぶし(crushing)(これらは、フェノールオキシダーゼおよびペルオキシダーゼにより触媒される内因性酵素反応を誘発し得る)を避けるかまたは最小化するような仕方で行われる。これらの反応は酸化の時間とともに強められるので、ステップはすべて可能な最短時間で完了させる。例えば、収穫されたバイオマスは、切断してせいぜい10分後に加工するために供給される。これは、植物バイオマスの日光、高温、および他の負の環境要因への曝露を最小化するように行われる。洗浄ステップは、さらなる加工前に植物から土壌粒子および他の破片を除去するために行われる。この洗浄は、収穫植物を1kg/cm以下の水圧で5分間以下洗浄することによって行われる。残存水洗浄液は、緑または茶色の色素をまったく含有せず、適当な水圧および洗浄期間を示す。過剰な水は、洗浄植物バイオマスから除去される。
【0040】
(2)植物バイオマスを粉砕、浸軟、および圧搾するステップ:植物バイオマスの収穫、収集、および洗浄後、植物は、次いで、粉砕、浸軟、および圧搾を行って、細胞内内容物(すなわち、植物細胞汁液)を抽出し、繊維豊富な細胞壁画分(細胞壁画分)から植物細胞汁液を分離する。10馬力のエンジンおよび一組の篩を有するハンマーミル(Model VS35,Vincent Corporaton,Fla.)を使用して、バイオマスを粉砕して、最短時間量でかつバイオマス温度の著しい上昇なしに適切に小さいサイズの植物組織粒子をもたらしてもよい。ハンマーミルは、10秒以下の処理の間に、最大サイズ0.5センチメートル以下の浸軟植物粒子を生じさせるように設定できる。バイオマス温度は、わずかに5℃以下上昇する。水平連続式ねじプレス(horizontal continuous screw press)(Compact Press“CP−6”,Vincent Corporation,Fla.)を直ちに使用して、植物から植物細胞汁液を抽出する。ねじプレスの錐体上の圧力を、24kg/cmのレベルに維持し、ねじ速度は12rpmであり、温度上昇はわずかに5℃以下である。この処理により、約8.5重量%の乾燥物質レベルを有する約276gの植物細胞汁液が生成し得る。
【0041】
(3)細胞汁液から膜画分を分離するステップ:約8.5重量%の乾燥物質レベルを有する初期の植物細胞汁液は、小さい繊維粒子を含有し、これは、4層のナイロン織物に通してろ過することによって、または低速遠心分離バイオマスを用いることによって除去され得る。ろ過された植物細胞汁液を、温度プローブ制御を用いてマイクロ波処理に曝露する。この処理は、細胞汁液の温度が60℃に達するまで継続する。凝集が誘発されると直ぐに、処理された細胞汁液を直ちに40℃に冷却する。凝集した細胞汁液からの膜画分の分離は、3,000g以上で20分間以上の遠心分離を用いて達成される。これにより、膜画分(沈殿物)ならびに、細胞質画分および細胞漿液画分(これは、低分子量の可溶性成分を含有する)を含有する細胞汁液上清がもたらされる。細胞汁液上清は、さらなる加工に用いて、漿液画分をもたらす。
【0042】
(4)細胞汁液上清から細胞質画分を分離するステップ:細胞質画分を析出させるために、細胞汁液上清を等電沈殿にかける。細胞質画分の沈殿は、5.0Nの塩酸(HCl)を用いて、細胞汁液上清のpHを約4にする滴定法を用いて誘導される。上清からの、約14.5重量%の乾燥物質レベルを有し得る沈殿細胞質画分の分離は、3,000g(gは、相対的遠心力である)以上で20分間以上の遠心分離により達成される。
【0043】
(5)漿液画分を単離するステップ:細胞質画分の分離後、上清は懸濁粒子を含有する。これらの粒子を析出させるために、上清を7,500g以上で30分間以上の遠心分離にかける。透明な上清を0.8マイクロメートルの細孔を有するフィルタに通してろ過する。このろ液(チャノキ(camellia sinensis)漿液画分)は、約5.7重量%の乾燥物質レベルを有することができ、これは、外因性抽出溶媒をまったく用いない列挙された方法に基づく。
【0044】
漿液画分の乾燥物質レベルは、それ自体季節ごとのおよび/または地理的供給源に基づく変動を有することがある、植物バイオマスの含水量などの様々な要因に依存して変わり得ることが理解され得る。したがって、一実施形態において、ツバキ漿液画分中の乾燥物質レベルは、例えば、約0.1重量%から約25重量%、約1重量%から約15重量%、約2重量%から約10重量%、または約3重量%から約9重量%の範囲であり得る。一実施形態において、ナツシロギク画分中乾燥物質レベルは、例えば、約0.1重量%から約25重量%、約1重量%から約15重量%、約2重量%から約10重量%、または約3重量%から約9重量%の範囲であり得る。一実施形態において、ケルプ画分中の乾燥物質レベルは、例えば、約0.1重量%から約25重量%、約1重量%から約15重量%、約2重量%から約10重量%、または約3重量%から約9重量%の範囲であり得る。一実施形態において、パセリ画分中の乾燥物質レベルは、例えば、約0.1重量%から約25重量%、約1重量%から約15重量%、約2重量%から約10重量%、または約3重量%から約9重量%の範囲であり得る。別の実施形態において、ケルプおよびパセリ漿液画分ならびに/またはツバキおよびナツシロギク漿液画分のブレンド中の乾燥物質レベルは、例えば、約0.1重量%から約25重量%、約1重量%から約15重量%、約2重量%から約10重量%、または約3重量%から約9重量%の範囲であり得る。
【0045】
さらに、漿液画分は、漿液画分および/もしくは乾燥物質中で特定される化合物もしくはクラスの化合物の内容物に関して、または他の化合物もしくはクラスの化合物の不在によって、さらに特徴付けされ得る。例えば、一実施形態において、ツバキ漿液画分は、乾燥物質1グラム当たり約8.0から約20.0ミリグラム、特に乾燥物質1グラム当たり約10.0から約18.0ミリグラム、より特には乾燥物質1グラム当たり約12.0から約16.0ミリグラムのカテキン合計含有量を有し得る。別の例において、ナツシロギク漿液画分は、パルテノリドなどのα−不飽和γ−ラクトンを含まないか、または実質的に含まない。
【0046】
同様な分析および特徴付けが、ナツシロギク(例えば、米国特許第7,537,791号参照)、ケルプ(例えば、米国特許出願公開第2011/0110872号参照)、およびパセリ漿液画分に適用され得る。
【0047】
一部の場合、漿液画分は、安定性の欠如ならびに色および匂いの変質のために局所用製品の活性成分として使用することができない。漿液画分の精製は、以下のステップ、すなわち、熱処理、冷却、ろ過、および安定化を含み得る。精製は、細胞質画分からの漿液画分の分離後直ちに行うことができる。例えば、ツバキ漿液画分は、温度プローブ制御を用いてマイクロ波処理に曝露される。この処理は、漿液画分の温度が99℃に到達するまで継続する(その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,537,791号に前に記載されたとおりに90℃が必要とされる)。凝集が誘発されると直ぐに、処理された漿液画分は直ちに10℃に冷却される。凝集した漿液画分は、0.8マイクロメートルの細孔を有するフィルタ(Whatman No.2フィルタの二重層も、米国特許第7,537,791号に記載されたとおりに用いられてもよい)に通して真空ろ過される。沈殿物は廃棄されてもよく、得られた漿液画分ろ液は、安定化のためにさらなる加工を行うことができる。漿液画分ろ液の安定化は、保存剤(外因性抗酸化剤は、米国特許第7,537,791号に前に記載されたように必要とされない)を添加し、完全な可溶化が得られるまで混合物をインキュベートすることによって達成される。漿液画分ろ液の安定化に有用な保存剤は、以下、すなわち、0.1%ソルビン酸カリウム、0.1%安息香酸ナトリウム、0.1%ナトリウムメチルパラベン、および/または0.1%クエン酸を含む。ツバキ漿液画分のための推奨される貯蔵条件は、光から保護された密閉容器中15℃から25℃の温度での貯蔵を含む。
【0048】
ナツシロギク(chrysanthemum parthenium)、パセリ(petroselinum crispum)、またはオオウキモ(macrocystis pyrifera)の同様の加工により、それぞれ、ナツシロギク、パセリ、またはケルプの漿液画分が生成し得る。
【0049】
一部の実施形態において、皮膚ケア組成物は、ツバキ漿液画分およびナツシロギク漿液画分の第1の組合せを含む有効量の皮膚色調剤を含み、ツバキ漿液画分は、約0.001重量%から約15重量%、代替として約0.002重量%から約10重量%、代わりに約0.025重量%から約10重量%、他の実施形態において約0.05重量%から約10重量%、他において約0.05重量%から約5重量%、他において約0.1重量%から約5重量%の量で存在し;ナツシロギク漿液画分は、約0.001重量%から約15重量%、約0.002重量%から約10重量%、約0.025重量%から約10重量%、約0.05重量%から約10重量%、約0.05重量%から約5重量%、または約0.1重量%から約5重量%の量で存在し、重量%は、皮膚ケア組成物の重量に基づく。
【0050】
別の実施形態によれば、ツバキ漿液画分とナツシロギク漿液画分との重量比は、約10:90から約90:10、約10:90から約50:50、約80:20から約20:80、約30:70から約70:30、約40:60から約60:40の範囲である。例えば、ツバキ漿液画分とナツシロギク漿液画分との重量比は、約90:10、約80:20、約70:30、約60:40、約50:50、約40:60、約30:70、約20:80、または約10:90であってもよい。
【0051】
別の実施形態において、皮膚ケア組成物は、パセリ漿液画分およびケルプ漿液画分を含む有効量の皮膚色調剤の第2の組合せを含み、パセリ漿液画分は、約0.001重量%から約15重量%、約0.002重量%から約10重量%、約0.025重量%から約10重量%、約0.05重量%から約10重量%、約0.05重量%から約5重量%、または約0.1重量%から約5重量%の量で存在し;ケルプ漿液画分は、約0.001重量%から約15重量%、約0.002重量%から約10重量%、約0.025重量%から約10重量%、約0.05重量%から約10重量%、約0.05重量%から約5重量%、または約0.1重量%から約5重量%の量で存在し、重量%は、皮膚ケア組成物の重量に基づく。
【0052】
別の実施形態によれば、パセリ漿液画分とケルプ漿液画分との重量比は、約10:90から約90:10、約10:90から約50:50、約80:20から約20:80、約30:70から約70:30、約40:60から約60:40の範囲である。例えば、パセリ漿液画分とケルプ漿液画分との重量比は、約90:10、約80:20、約70:30、約60:40、約50:50、約40:60、約30:70、約20:80、または約10:90であってもよい。
【0053】
B.皮膚科学的に許容される担体
本発明の組成物は、組成物のための皮膚科学的に許容される担体(これは、「担体」と呼ばれ得る)も含み得る。本明細書で使用される場合、「皮膚科学的に許容される担体」という表現は、担体が角質組織への局所適用に適しており、良好な美的特性を有し、組成物中の皮膚色調剤と適合性であり、妥当でない安全性、または毒性の懸念をまったく引き起こさないことを意味する。適切な担体は、所望の製品形態を得るために選択される。さらに、成分の溶解性または分散性は、担体の形態および特性に影響を与えることがある。一実施形態において、担体は、組成物の重量で、約50重量%から約99重量%、約60重量%から約98重量%、約70重量%から約98重量%、または代替として、約80重量%から約95重量%のレベルで存在する。別の実施形態において、担体は、皮膚ケア組成物中に約25重量%から約50重量%のレベルで存在し、これは、適用後に適切な担体希釈剤で希釈されてもよい。
【0054】
担体は、多種多様の形態であり得る。非限定的な例には、単純な溶液(例えば、水性、有機溶媒、または油ベース)、エマルション、および固体形態(例えば、ゲル、スティック、流動性を有する固体、または非晶質物質)が含まれる。ある実施形態において、皮膚科学的に許容される担体は、エマルションの形態である。エマルションは、一般に連続水相(例えば、水中油型および水中油中水型)または連続油相(例えば、油中水型および油中水中油型)を有すると分類され得る。本発明の油相は、シリコーン油、非シリコーン油(炭化水素油など)、エステル、エーテルなど、およびそれらの混合物を含み得る。
【0055】
水相は、例えば、脱イオン水または蒸留水などの水を含む。水性担体中で用いられてよい他の許容される担体には、限定されるものではないが、エタノールなどのアルコール化合物が含まれる。一実施形態によれば、組成物は、アルコール、ジプロピレングリコール、および/または水を含む。
【0056】
皮膚ケア組成物は、約3.0から約10の範囲のpHを有し、これは、25℃で組成物の標準水素電極を用いて直接pH測定を行うことによって測定されてもよい。したがって、皮膚ケア組成物のpHは、例えば、約6から約9の範囲内であり得る。
【0057】
エマルションは、乳化剤をさらに含み得る。組成物は、担体を十分に乳化するために任意の適切なパーセントの乳化剤を含み得る。適切な重量範囲は、組成物の重量に基づいて、約0.1重量%から約10重量%、または約0.2重量%から約5重量%の乳化剤を包含する。乳化剤は、非イオン性、アニオン性またはカチオン性であってもよい。適切な乳化剤は、例えば、米国特許第3,755,560号、米国特許第4,421,769号、およびMcCutcheon's Detergents and Emulsifiers、北アメリカ版、317〜324頁(1986年)に開示されており、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。適切なエマルションは、所望の製品形態に依存して、広範な粘度を有し得る。
【0058】
C.任意選択成分
本発明の実施形態によれば、皮膚ケア組成物は、必要に応じて適切な任意選択成分をさらに含むこともできる。例えば、組成物は、他の活性または不活性成分を場合によって含み得るが、但し、それらは、皮膚ケア組成物の利益を許容できないほどに変えないことを条件とする。存在する場合、本発明の組成物は、組成物の重量で、約0.0001%から約50%;約0.001%から約20%;または代わりに、約0.01%から約10%の任意選択成分を含有し得る。組成物中に用いられる任意選択成分の最適量は、活性剤の効力が相当に変わるということから、選択される具体的な活性剤に依存するので、本明細書で列挙される量は、単に指針として使用されるべきである。したがって、本発明で有用な一部の任意選択成分の量は、本明細書で列挙される範囲外であってもよい。
【0059】
本組成物に組み込まれる場合、任意選択成分は、過度の毒性、不適合性、不安定性、アレルギー反応などがなく、ヒトの皮膚組織と接触しての使用に適切でなければならない。本発明の組成物は、任意選択成分、例えば、抗座瘡活性剤、落屑活性剤、抗セルライト剤、キレート剤、フラボノイド、日焼け活性物質(tanning active)、非ビタミン酸化防止剤およびラジカル捕捉剤、皮膚発育調節剤、抗皺活性剤、抗異形成活性剤、ミネラル、植物ステロールおよび/または植物ホルモン、N−アシルアミノ酸化合物、抗菌または抗真菌活性剤、ならびに他の有用な皮膚ケア活性剤を含んでもよく、これらは、米国特許出願公開第US2006/0275237A1号および同第US2004/0175347A1号にさらに詳細に記載されている。
【0060】
さらに別の実施形態によれば、皮膚ケア組成物は、1種または複数の追加の皮膚ケア活性剤をさらに含んでもよい。したがって、追加の皮膚ケア活性剤の非限定的な例には、フラボノイド、例えば、アピゲニンおよびルテオリン、インドール化合物、キサンチン化合物、ビタミンB化合物、パンテノール化合物、およびそれらの誘導体が含まれる。
【0061】
1.フラボノイド
本発明の実施形態の組成物は、フラボノイド化合物を場合によって含有してもよい。フラボノイドは、米国特許第5,686,082号および米国特許第5,686,367号に広範に開示されており、これらの両方ともは、参照により本明細書に組み込まれる。本発明の実施形態における使用に適したフラボノイドは、非置換フラバノン、一置換フラバノン、およびそれらの混合物から選択されるフラバノン;非置換カルコン、一置換カルコン、二置換カルコン、三置換カルコン、およびそれらの混合物から選択されるカルコン;非置換フラボン、一置換フラボン、二置換フラボン、およびそれらの混合物から選択されるフラボン;1種または複数のイソフラボン;非置換クマリン、一置換クマリン、二置換クマリン、およびそれらの混合物から選択されるクマリン;非置換クロモン、一置換クロモン、二置換クロモン、およびそれらの混合物から選択されるクロモン;1種または複数のジクマロール;1種または複数のクロマノン;1種または複数のクロマノール;それらの異性体(例えば、シス/トランス異性体);ならびにそれらの混合物である。本明細書で使用される場合の「置換された」という用語によって、フラボノイドの1個または複数の水素原子が、ヒドロキシル、C1〜C8アルキル、C1〜C4アルコキシル、0−グリコシドなど、またはこれらの置換基の混合物で独立して置き換えられているフラボノイドを意味する。
【0062】
適切なフラボノイドの例には、限定されるものではないが、非置換フラバノン、モノヒドロキシフラバノン(例えば、2’−ヒドロキシフラバノン、6−ヒドロキシフラバノン、7−ヒドロキシフラバノンなど)、モノアルコキシフラバノン(例えば、5−メトキシフラバノン、6−メトキシフラバノン、7−メトキシフラバノン、4’−メトキシフラバノンなど)、非置換カルコン(とりわけ、非置換trans−カルコン)、モノヒドロキシカルコン(例えば、2’−ヒドロキシカルコン、4’−ヒドロキシカルコンなど)、ジヒドロキシカルコン(例えば、2’,4−ジヒドロキシカルコン、2’,4’−ジヒドロキシカルコン、2,2’−ジヒドロキシカルコン、2’,3−ジヒドロキシカルコン、2’,5’−ジヒドロキシカルコンなど)、およびトリヒドロキシカルコン(例えば、2’,3’,4’−トリヒドロキシカルコン、4,2’,4’−トリヒドロキシカルコン、2,2’,4’−トリヒドロキシカルコンなど)、非置換フラボン、7,2’−ジヒドロキシフラボン、3’,4’−ジヒドロキシナフトフラボン、4’−ヒドロキシフラボン、5,6−ベンゾフラボン、および7,8−ベンゾフラボン、非置換イソフラボン、ダイゼイン(7,4’−ジヒドロキシイソフラボン)、5,7−ジヒドロキシ−4’−メトキシイソフラボン、大豆イソフラボン(大豆から抽出された混合物)、非置換クマリン、4−ヒドロキシクマリン、7−ヒドロキシクマリン、6−ヒドロキシ−4−メチルクマリン、非置換クロモン、3−ホルミルクロモン、3−ホルミル−6−イソプロピルクロモン、非置換ジクマロール、非置換クロマノン、非置換クロマノール、およびそれらの混合物が含まれる。
【0063】
ある実施形態において、フラボノイド化合物は、非置換フラバノン、メトキシフラバノン、非置換カルコン、2’,4−ジヒドロキシカルコン、およびそれらの混合物である。例えば、別の実施形態において、フラボノイド化合物は、非置換フラバノン、非置換カルコン(例えば、トランス異性体)、およびそれらの混合物である。
【0064】
フラボノイドは、合成材料であるか、または自然源(例えば、植物)からの抽出物として得ることができる。自然的に供給される材料は、さらに誘導体化することもできる(例えば、自然源からの抽出後に調製されるエステルまたはエーテル誘導体)。本明細書で有用なフラボノイド化合物は、いくつかの供給元、例えば、Indofine Chemical Company,Inc.(Somerville,N.J.)、Steraloids,Inc.(Wilton,N.H.)、およびAldrich Chemcial Company,Inc.(Milwaukee,Wis.)から市販されている。
【0065】
上記のフラボノイド化合物の混合物が用いられてもよい。
【0066】
皮膚ケア組成物中に含まれる場合、本明細書で記載されるフラボノイド化合物は、約0.01重量%から約20重量%、約0.1重量%から約10重量%、または約0.5重量%から約5重量%の濃度で存在することができ、重量%は、皮膚ケア組成物の全重量に基づく。
【0067】
2.インドール化合物
皮膚ケア組成物は、インドール化合物をさらに含み得る。本明細書で使用される場合、「インドール化合物」は、1種または複数のインドール類、それらの誘導体、それらの混合物、またはそれらの塩を意味する。したがって、組成物は、例えば、約0.1重量%から約10重量%のインドール化合物、約0.5重量%から約5重量%のインドール化合物、または約1重量%から約2重量%のインドール化合物を含んでもよく、重量%は、皮膚ケア組成物の全重量に基づく。
【0068】
3.キサンチン化合物
皮膚ケア組成物は、キサンチン化合物をさらに含み得る。本明細書で使用される場合、「キサンチン化合物」は、1種または複数のキサンチン類、それらの誘導体、およびそれらの混合物を意味する。本明細書で有用であり得るキサンチン化合物には、限定されるものではないが、カフェイン、キサンチン、1−メチルキサンチン、テオフィリン、テオブロミン、それらの誘導体、およびそれらの混合物が含まれる。したがって、組成物は、例えば、約0.1重量%から約10重量%のキサンチン化合物、約0.5重量%から約5重量%のキサンチン化合物、または約1重量%から約2重量%のキサンチン化合物を含んでもよく、重量%は、皮膚ケア組成物の全重量に基づく。例えば、皮膚ケア組成物は、約0.75重量%のカフェインをさらに含んでもよい。
【0069】
4.ビタミンB化合物
皮膚ケア組成物は、ビタミンB化合物をさらに含み得る。本明細書で使用される場合、「ビタミンB化合物」は、ニコチン酸、ニアシンアミド、ニコチニルアルコール、それらの誘導体、およびそれらの混合物を意味する。ビタミンB化合物は、実質的に純粋な材料として、または自然(例えば、植物)源から適切な物理的および/もしくは化学的単離によって得られる抽出物として含まれてもよい。したがって、組成物は、例えば、約0.1重量%から約25重量%のビタミンB化合物;約0.5重量%から約15重量%のビタミンB化合物;または約3.5重量%から約7.5重量%のビタミンB化合物を含んでもよく、重量%は、皮膚ケア組成物の全重量に基づく。例えば、皮膚ケア組成物は、約2.5重量%のビタミンBをさらに含んでもよい。
【0070】
5.パンテノール化合物
皮膚ケア組成物は、パンテノール化合物をさらに含み得る。本明細書で使用される場合、「パンテノール化合物」という用語は、パンテノール、1種または複数のパントテン酸誘導体、およびそれらの混合物を含む。パンテノール化合物の非限定的な例には、D−パンテノール([R]−2,4−ジヒドロキシ−N−[3−ヒドロキシプロピル)]−3,3−ジメチルブタミド)、D,L−パンテノール、パントテン酸およびそれらの塩(例えば、カルシウム塩)、パンテニルトリアセテート、ロイヤルゼリー、パンテチン、パントテイン、パンテニルエチルエーテル、パンガミン酸、パントイルラクトース、ビタミンB複合体、またはそれらの混合物が含まれる。したがって、組成物は、例えば、約0.01重量%から約5重量%のパンテノール化合物;約0.03重量%から約3重量%のパンテノール化合物;約0.05重量%から約2重量%のパンテノール化合物;または約0.1重量%から約1重量%のパンテノール化合物を含んでもよく、重量%は、皮膚ケア組成物の全重量に基づく。例えば、皮膚ケア組成物は、約0.15重量%のパンテノールをさらに含んでもよい。
【0071】
6.追加の皮膚色調剤
一部の実施形態において、組成物中に1種または複数の追加の皮膚色調剤を含むことが望ましくあり得る。追加の皮膚色調剤は、全体の皮膚色調をさらに改善するために含むことができる。存在する場合、本発明の組成物は、組成物の重量で、最大で約50%、40%、30%、20%、10%、5%、または3%までの皮膚色調剤を含有する。存在する場合、本発明の組成物は、組成物の重量で、少なくとも約0.001%、0.01%、0.1%、0.2%、0.5%、または1%の追加の皮膚色調剤を含有する。適切な範囲は、組成物の重量で、約0.1%から約50%;約0.2%から約20%;または約1%から約10%の適切な範囲の皮膚色調剤を含む、下限および上限の任意の組合せを含む。皮膚色調剤の最適量は、それらの効力が相当に変わるということから、選択される具体的な活性剤に依存するので、本明細書で列挙される量は、単に指針として使用されるべきである。
【0072】
適切な追加の皮膚色調剤には、限定されるものではないが、糖アミン、ビタミンB3化合物、アルブチン、デオキシアルブチン、1,3−ジヒドロキシ−4−アルキルベンゼン(ヘキシルレゾルシノールなど)、ジラウラン酸スクロース、バクチョイル(4−[(1E,3S)−3−エテニル−3,7−ジメチル−1,6−オクタジエニル]フェノールまたはモンテルペンフェノール)、ピレノイン(Biotech Marine、仏国から入手可能)、キビ(panicum miliaceum)の種抽出物、アルラトン二酸(arlatone dioic acid)、桂皮酸、フェルラ酸、アクロマキシル(achromaxyl)、メチルニコチンアミド、油溶性甘草(licorice)抽出物、葉酸、ウンデシレン酸(すなわち、ウンデセン酸)、ウンデシレン酸亜鉛、チアミン(ビタミンB1)およびその塩酸塩、L−トリプトファン、ヒマワリ(helianthus annus (sunflower))およびブドウ(vitis vinifera (grape))の葉抽出物、カルノシン(すなわち、ドラゴシン)、ゲンチシン酸メチル、1,2−ヘキサンジオールおよび1,2−オクタンジオール(すなわち、Symrise AG、独国よりSymdiol 68として販売されている組合せ)、イノシトール、デシレノイルフェニルアラニン(例えば、Seppic、仏国よりSepiwhiteという商品名の下で販売されている)、コジック酸(koijic acid)、ヘキサミジン化合物、サリチル酸、およびレチノイド(レチノールおよびプロピオン酸レチニルを含む)が含まれる。
【0073】
ある実施形態において、さらなる皮膚色調剤は、ビタミンB3化合物、糖アミン、ヘキサミジン化合物、サリチル酸、1,3−ジヒドロキシ−4−アルキルベンゼン(ヘキシルレゾルシノールなど)、およびレチノイドから選択される。本明細書で使用される場合、「ビタミンB3化合物」は、式:
【0074】
【化1】

(式中、Rは、−CONH(すなわち、ニアシンアミド)、−COOH(すなわち、ニコチン酸)または−CHOH(すなわち、ニコチニルアルコール)である)を有する化合物;その誘導体;および前述の任意の塩を意味する。本明細書で使用される場合、「糖アミン」には、このようなものならびにその塩(例えば、HCl塩)およびその誘導体の異性体および互変異性体が含まれる。糖アミンの例には、グルコサミン、N−アセチルグルコサミン、マンノサミン、N−アセチルマンノサミン、ガラクトサミン、N−アセチルガラクトサミン、それらの異性体(例えば、立体異性体)、およびそれらの塩(例えば、HCl塩)が含まれる。本明細書で使用される場合、「ヘキサミニド化合物」は、式:
【0075】
【化2】

(式中、RおよびRは、任意選択的であるか、または有機酸(例えば、スルホン酸など)である)
を有する化合物を意味する。一実施形態において、ヘキサミジン化合物は、ジイセチオン酸ヘキサミジンである。
【0076】
7.追加の抗炎症剤
色素沈着減少は、皮膚炎症に起因し得る。色素沈着減少を誘発する一過性炎症事象、より具体的には、炎症後色素沈着減少には、限定されるものではないが、座瘡病変、内方発育皮膚、引掻き、虫刺され、界面活性剤損傷、アレルゲンおよび短期UV曝露が含まれる。炎症後色素沈着減少を含む炎症誘発色素沈着減少は、インターロイキン−1受容体関連キナーゼ(IRAK−4)の阻害によって示されるとおりに、ツバキ漿液画分およびナツシロギク漿液画分のブレンド、ならびにケルプ漿液画分およびパセリ漿液画分のブレンドが炎症を阻害する限り、本明細書で提供される皮膚ケア組成物によって対処され得る。しかしながら、本発明の組成物中に追加の抗炎症剤を組み込むことによって、向上したまたは相乗的利益が達成され得る。存在する場合、本発明の組成物は、組成物の重量で、最大約20%、10%、5%、3%、または1%までの追加の抗炎症剤を含有する。存在する場合、本発明の実施形態の組成物は、組成物の重量で、少なくとも約0.001%、0.01%、0.1%、0.2%、0.3%、0.5%、または1%の追加の抗炎症剤を含有する。適切な範囲は、下限および上限の任意の組合せを含む。適切な追加の抗炎症剤には、限定されるものではないが、非ステロイド系抗炎症剤(限定されるものではないが、イブプロフェン、ナプロキセン、フルフェナム酸、エトフェナメート、アスピリン、メフェナム酸、メクロフェナム酸、ピロキシカムおよびフェルビナクを含むNSAIDS)、グリシルリジン酸(グリシルリジン、グリシルリキシン酸、およびグリシルレチン酸グリコシドとしても知られる)および塩(グリシルリジン酸二カリウムなど)、グリシルレテン酸、甘草抽出物、ビサボロール(例えば、アルファビサボロール)、マンジスタ(manjistha)(ルビア(Rubia)属、特にルビア・コルディフォリア(Rubia cordifolia)の植物から抽出される)、およびグッガル(guggal)(コミフォラ属、特にコミフォラ・ムクル(Commiphora mukul)から抽出される)、コーラ抽出物、カモミール、ムラサキツメクサ(red clover)抽出物、ならびにムチヤギ(sea whip)抽出物(ヤギ(Gorgonacea)目の植物から抽出される)、前述のいずれかの誘導体、ならびにそれらの混合物が含まれる。
【0077】
8.日焼け止め活性剤
対象発明の組成物は、1種または複数の日焼け止め活性剤(または日焼け止め剤)および/または紫外線吸収剤を含み得る。本明細書で、「日焼け止め活性」は、日焼け止め活性剤、日焼け止め剤、および/または紫外線吸収剤を集合的に包含する。日焼け止め活性剤は、日焼け止め剤と物理的日焼け防止剤の両方を包含する。日焼け止め活性剤は、有機物または無機物であってもよい。適切な日焼け止め活性剤の例は、Personal Care Products Council's International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook、第13版に、「日焼け止め剤」として開示されている。特に適切な日焼け止め活性剤は、2−エチルヘキシル−p−メトキシシンナメート(PARSOL(商標)MCXとして市販されている)、4,4’−t−ブチルメトキシジベンゾイル−メタン(PARSOL(商標)1789として市販されている)、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、オクチルジメチル−p−アミノ安息香酸、ジガロイルトリオレエート、2,2−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、エチル−4−(ビス(ヒドロキシプロピル))アミノベンゾエート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、2−エチルヘキシル−サリチレート、グリセリル−p−アミノベンゾエート、3,3,5−トリ−メチルシクロヘキシルサリチレート、メンチルアントラニレート、p−ジメチル−アミノ安息香酸またはアミノベンゾエート、2−エチルヘキシル−p−ジメチル−アミノ−ベンゾエート、2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸、2−(p−ジメチルアミノフェニル)−5−スルホベンゾオキサゾン酸、オクトクリレン、酸化亜鉛、ベンジリデンカンファーおよびその誘導体、二酸化チタン、ならびにそれらの混合物である。
【0078】
一実施形態において、組成物は、組成物の重量で、約1%から約20%、代替として約2%から約10%の日焼け止め活性剤を含み得る。正確な量は、選択される日焼け止め活性剤および所望の日焼け防止指数(Sun Protection Factor (SPF))に依存して変わり、これは、当業者の知識の範囲内である。
【0079】
II.処置の方法
処置、適用、調節、または改善の様々な方法が、前述の組成物を用い得る。一実施形態において、この方法は、組成物による改善のための色素沈着減少スポットを特定するステップを含む。色素沈着減少スポットは、使用者、または第三者、例えば、皮膚科医、美容師、もしくは他の介護士によって特定され得る。特定は、大きさおよび/または色に基づいて、処置を必要とする色素沈着減少スポットに対して皮膚の目視検査によって行われ得る。特定はまた、市販の画像化装置、例えば、SIAscope(登録商標)V(Astron Clinica,Ltd.、英国から入手可能)またはVISIA(登録商標)Complexion Analysisシステム(Canfield Scientific,Inc.、Fairfield、ニュージャージー州から入手可能)によって行われもよい。装置の両方ともは、皮膚の画像を収集して、色素沈着減少スポットを特定することができる。一部の場合に、この方法は、組成物による処置のための複数の色素沈着減少スポットを特定するステップを含む。
【0080】
色素沈着減少スポットの特定は、身体の任意の皮膚表面で行われ得る。最大の関心事の皮膚表面は、典型的には衣類で覆われていない表面、例えば、顔の皮膚表面、手および腕の皮膚表面、足および脚の皮膚表面、ならび首および胸の皮膚表面である傾向がある。特に、色素沈着減少スポットの特定は、額、口周囲、オトガイ、眼窩周囲、鼻、および/または頬の皮膚表面を含む、顔の皮膚表面上であり得る。
【0081】
この方法は、組成物を、前もって特定された色素沈着減少スポットまたは複数の色素沈着減少スポットに適用するステップを含み得る。多くのレジメンが、組成物の色素沈着減少スポットへの適用のために存在する。組成物は、処置期間の間、少なくとも1日1回、1日2回、またはより頻繁な1日基準で適用され得る。1日2回適用される場合、1回目と2回目の適用は、少なくとも1から約12時間だけ隔てられる。典型的には、本組成物は、午前および/または就寝前の晩に適用され得る。
【0082】
処置期間は、理想的には色素沈着減少スポットにおける改善を与えるための十分な時間からなる。改善は、色素沈着減少スポットの大きさの検出可能な低下、色素沈着減少スポットの暗色化、色素沈着減少スポットのメラニンの増加、または皮膚色調の均一化であり得る。処置期間は、少なくとも1週間であってもよい。処置期間は、約4週間または約8週間続いてもよい。ある実施形態において、処置期間は、複数月(すなわち、3〜12ヶ月)または複数年に及ぶ。一実施形態において、組成物は、少なくとも約4週間または少なくとも約8週間の処置期間の間、少なくとも1日1回、色素沈着減少スポット(単数または複数)に適用される。一実施形態において、組成物は、少なくとも約4週間または少なくとも約8週間の処置期間の間、少なくとも1日2回、色素沈着減少スポット(単数または複数)に適用される。
【0083】
さらに別の実施形態において、方法は、レジメンに従って皮膚ケア組成物を適用するステップを含み、前記レジメンは、
(a)皮膚を清浄にして、清浄皮膚表面を形成するステップと;
(b)皮膚ケア組成物を前記清浄皮膚表面に局所的に適用するステップと
を含む。皮膚ケア組成物は、毎日、毎週、または様々なレジメンで使用されてもよい。皮膚ケア組成物は、1日2回以上、例えば、夜および午前中などに使用されてもよい。皮膚ケア組成物は、特定の日に1日当たり2回以上使用されてもよいか、または1週当たり数回だけ使用されてもよい。皮膚ケア組成物は、1日当たり3回、1日当たり2回、1日当たり1回、1週当たり6回、1週当たり5回、1週当たり4回、1週当たり3回、1週当たり2回、または1週当たり1回使用されてもよい。一部の実施形態において、皮膚ケア組成物は、1週当たり4回、5回、6回または7回使用される。
【0084】
色素沈着減少スポットに組成物を適用するステップは、局所化された適用によって達成されてもよい。組成物の適用への言及において、「局所化された」、「局所の」、または「局所的に」という用語は、組成物が、処置を必要としない皮膚表面への送達を最小化しながら、目標領域(例えば、色素沈着減少スポット)に送達されることを意味する。組成物は、色素沈着減少スポット中に適用および軽くマッサージされ得る。局所化された適用は、組成物の妥当な量が、色素沈着減少スポットに隣接する領域に適用されることを可能にすることが理解される(すなわち、組成物は、何らかの広がりなしに色素沈着減少スポットの境界内に適用されることも、とどまることもありそうにない)。組成物または皮膚科学的に許容される担体の形態は、局所化された適用を容易にするように選択されるべきである。本発明のある実施形態が、組成物を色素沈着減少スポットに局所的に適用することを企図する一方で、本発明の組成物は、1つまたは複数の顔の皮膚表面により全体的にまたは広く適用されて、これらの顔の皮膚領域内の色素沈着減少スポットの外観を減少させ得ることが理解される。
【0085】
一部の実施形態において、組成物は、局所化されたおよび全体的な適用に適切な様々なアプリケータによって送達され得る。このようなアプリケータには、ドロッパー、アプリケータ棒、綿棒、または任意の他の適切な装置が含まれ得る。他の適切なアプリケータには、Shya Hsin Plastic Works,Inc.、台湾から入手可能なSH−0127ペンアプリケータ、およびSwabPlus,Inc.、中国から入手可能なXpress Tipまたは液体充填スワブのいずれかが含まれる。アプリケータは、約2mmから約10mmのおおよその直径を有する色素沈着減少スポットに組成物を容易に適用し、約1から約50μL/cmまたは約1から約5μL/cmの組成物の投与量を可能にするように構成されてもよい。別の実施形態において、組成物は、1つまたは複数の色素沈着減少スポットおよびより一般的には1つまたは複数の顔の皮膚表面に同時に適用される(すなわち、30分間未満、またはより典型的には5分間未満の期間にわたって)。
【0086】
本明細書で記載される一部の方法では、本発明の組成物をアプリケータで適用することが企図されるが、アプリケータを必要とせず、本発明の組成物を、人の指を用いることによってまたは他の従来の仕方で直接適用することもできることが理解される。
【0087】
一実施形態において、方法は、有効量のツバキ漿液画分およびナツシロギク漿液画分のブレンドを含む第1の組成物を、皮膚表面上の色素沈着減少スポットまたは複数の色素沈着減少スポットに適用するステップを含む。別の実施形態において、方法は、有効量のケルプ漿液画分およびパセリ漿液画分のブレンドを含む第1の組成物を、皮膚表面上の色素沈着減少スポットまたは複数の色素沈着減少スポットに適用するステップを含む。別の実施形態において、方法は、ツバキ漿液画分およびナツシロギク漿液画分のブレンドと、ケルプ漿液画分およびパセリ漿液画分のブレンドとの有効量の組合せを含む第1の組成物を、皮膚表面上の色素沈着減少スポットまたは複数の色素沈着減少スポットに適用するステップを含む。したがって、第1の組成物は、本明細書で記載されるいずれの組成物であってもよい。
【0088】
別の実施形態において、方法は、第1の組成物中に存在する有効量の漿液画分ブレンドを場合によって含んでもよい第2の組成物を適用するステップをさらに含む。第1および/または第2の組成物は、1種または複数の色調剤、日焼け止め活性剤、抗炎症剤、または任意選択成分を含んでもよい。第1の組成物は、色素沈着減少スポットまたは複数の色素沈着減少スポットに局所的に適用され得る。第2の組成物は、第1の組成物が適用されている色素沈着減少スポットもしくは複数の色素沈着減少スポットに局所的に適用され得るか、または第2の組成物は、第1の組成物が適用されている色素沈着減少スポットを含む皮膚表面により全体的に適用され得る。ある実施形態において、皮膚表面は、額、口周囲、オトガイ、眼窩周囲、鼻、および頬の皮膚表面の1つまたは複数を含む、顔の皮膚表面である。別の実施形態において、第1および第2の組成物は、少なくとも頬、額、およびオトガイ/口周囲の皮膚表面に同時に適用される。皮膚表面、特に顔の皮膚表面への一般的な適用について、第1または第2の組成物の投与量は、適用当たり(すなわち、皮膚表面への1回の適用当たり)約1から約50μL/cmであり得る。
【0089】
適切な方法は、前述のステップのいずれか1つまたは複数を含み得る。前述のステップのすべては、単一の色素沈着減少スポットと、複数の色素沈着減少スポットの両方ともの適用、処置、調節、および/または改善に適用可能である。同様に、以下に続く例示的な方法は、単一の色素沈着減少スポットと、複数の色素沈着減少スポットの両方ともに適用可能である。
【0090】
色素沈着減少スポットの外観を改善する適切な方法の一つは、有効量のツバキ漿液画分およびナツシロギク漿液画分のブレンドならびに/またはケルプ漿液画分およびパセリ漿液画分のブレンドを含む組成物を皮膚表面上の色素沈着減少スポットに局所的に適用するステップを含み、組成物は、漿液画分が色素沈着減少スポットの外観を改善するのに十分な期間適用される。色素沈着減少スポットの外観を改善する別の適切な方法は、皮膚表面上の色素沈着減少スポットを特定するステップ、有効量の漿液画分ブレンドを含む組成物を皮膚表面上の色素沈着減少スポットに適用するステップを含み、組成物は、漿液画分が色素沈着減少スポットの外観を改善するのに十分な期間適用される。
【0091】
別の適切な方法は、炎症後色素沈着減少の外観を改善するためである。方法は、皮膚表面上の炎症後色素沈着減少の領域を特定するステップおよびその領域に、抗炎症効果も与える漿液画分のブレンドを含む前記皮膚ケア組成物を適用するステップを含んでもよい。有効量の前記漿液画分は、炎症後色素沈着減少の領域の外観を改善するために十分な期間少なくとも毎日適用され得る。組成物は、日焼け止め活性剤、追加の皮膚色調剤、またはそれらの組合せをさらに含み得る。
【実施例】
【0092】
処方および実施例
以下は、本発明の非限定的な実施例である。実施例は、例証の目的のためのみに示され、かつ本発明の限定と解釈されるべきではないが、その多くの変形が本発明の精神および範囲から逸脱することなしに可能であり、これは当業者によって理解されるからである。
【0093】
実施例において、特に断りのない限り、すべての濃度は、重量パーセントとして列挙され、希釈剤、充填剤などの副次的材料を除外し得る。したがって、列挙された処方は、列挙された成分およびこのような成分に関連する任意の副次的材料を含む。当業者に明らかなように、これらの副次的材料の選択は、本明細書で記載されるとおりの本発明を行うように選択される特定の成分の物理的および化学的特性に依存して変わる。
【0094】
例示組成物
表1は、本発明の組成物の非限定的な実施例を示す。実施例は、説明の目的のためにだけ与えられ、本発明の限定と解釈されるべきではないが、それらの多くの変形が本発明の精神および範囲から逸脱することなく可能であり、これは、当業者によって理解されるからである。実施例において、特に断りのない限り、濃度のすべては、重量パーセントとして列挙され、賦形剤、充填剤などの副次的材料を除き得る。したがって、列挙された処方は、列挙された成分およびこのような成分と関連した任意の副次的材料を含む。当業者に明らかなように、これらの副次的材料の選択は、本明細書で記載されるとおりに本発明を行うために選択される特定の成分の物理的および化学的特性に依存して変わる。
【0095】
実施例のすべては、1つまたは複数の色素沈着減少スポットの外観を処置または改善するために使用され得る。本発明はさらに、第1の組成物による1つまたは複数の色素沈着減少スポットのための局所化された処置、および/または第2の組成物(これは、顔全体の皮膚色調を改善する局所された処置の前または後に適用され得る)によるより広いまたは全体的な顔の皮膚処置を含むレジメンに関し得る。
【0096】
【表1-1】

【表1-2】
【0097】
本発明の実施形態によれば、皮膚ケア組成物は、一般に局所組成物を製造する、当技術分野で知られているような従来の方法によって調製される。このような方法は、典型的には、加熱、冷却、真空の適用などとともにまたはそれらなしで、比較的均一な状態へ1つまたは複数のステップで成分を混合することを含む。典型的には、エマルションは、最初に脂肪相物質と別個に水相物質を混合し、次いで、必要に応じて2つの相を合わせて、所望の連続相を生じさせることによって調製される。組成物は、好ましくは、例えば、活性物質の安定性(物理的安定性、化学的安定性、光安定性)および/または送達を最適化するように調製される。この最適化には、適切なpH(例えば、7未満)、活性剤と複合し、したがって、安定性または送達に負に影響し得る物質の排除(例えば、汚染鉄の排除)、複合体の形成を防止する手法の使用(例えば、適切な分散剤または二重区画包装)、適切な光安定性手法の使用(例えば、日焼け止め剤/日焼け防止剤の組込み、不透明包装の使用)などが含まれてもよい。
【0098】
III.生物活性
理論に制約されることを望まないが、様々な皮膚色調剤の局所適用は、(1)皮膚メラニン形成細胞におけるメラニンの産生を刺激し;および/または炎症周期を妨害または阻害し得ると考えられる。さらに、局所適用は、均一に薄い色のついた皮膚をもたらし、より若く見える皮膚の外観を与え得る。
【0099】
炎症周期に影響を与える漿液画分のブレンドの効力を予測する方法の一つは、インビトロバイオアッセイを使用することである。より具体的には、インターロイキン−1受容体関連キナーゼ(IRAK−4)阻害を介したインターロイキンシグナル伝達阻害が、以下に記載される予測バイオアッセイ法である。
【0100】
インターロイキン−1シグナル伝達阻害:インターロイキン−1(IL−1)は、炎症を増加させる生化学的シグナル伝達経路を開始する炎症性サイトカインのファミリーである。皮膚において、IL−1は、炎症作用を誘発する内生要因である。その経路内のいずれかの点におけるIL−1シグナル伝達の阻害は、炎症を阻害すると考えられる。
【0101】
インターロイキン−1受容体関連キナーゼ阻害:インターロイキン−1受容体関連キナーゼ(IRAK−4)は、その後のシグナル伝達のためにIL−1刺激後に他のキナーゼを動員するIL−1シグナル伝達の不可欠なメディエータである。IRAK−4活性の阻害は、阻害剤と一緒の完全長ヒト組換えIRAK−4酵素系(Promega)のインキュベーション30分間後にADP−Glo(商標)キナーゼキット(Promega)を用いて、ATPの量によって測定する。ADP−Glo(商標)キットは、製造業者の使用説明書に従って使用した。
【0102】
メラニン合成活性化:メラニンは、皮膚の色に関与するメラニン形成細胞により作られる色素である。メラニン合成は、成長期の間だけに起こる。成長期の長期化は、潜在的にメラニン合成を長引かせ、特定の活性化剤によってメラニンの合成を増加させる機会も与える。メラニンの活性化は、培養液中B16−F1メラニン形成細胞(ATCC)のインビトロモデルで測定される。メラニン形成細胞を、活性化剤と一緒に48時間インキュベートし、形成されたメラニンは、分光計で410nmにおいて光学密度(O.D.)を読み取ることによって測定する。
【0103】
メラニン合成活性化材料:プレート:Corning(登録商標)96 Well Flat Clear Bottom White Polystyren TC−Treated Microplates、番号3903;細胞:B16−F1(ATCC);生育培地:DMEM、Gibco Invitrogen、番号11965−092(10%FBSおよび1%ペニシリン/連鎖球菌/グルタミン(GLBCO カタログ番号15701));漿液画分およびブレンド;保存剤;ならびに対照。
【0104】
メラニン合成活性化方法:1日目:B16−F1細胞の播種、2000個/ウェル/100μl;2日目:各ウェルに10μlの希釈化合物を添加することによる化合物の処理;および4日目:各ウェルにおける色変化の測定。細胞生存性を顕微鏡下に検査し、細胞コンフルエンスが<50%である場合、この点についてのデータは使用しない。各ウェルに100μlの1%NaOH(1mlの50%NaOH+49mlのH2O)を添加後、Vis/UV読取機、410nMでOD値(メラニン産物)を測定する。注記:漿液画分による色が行き渡っているために、培地を含むが細胞を含まないウェルも、色対照ブランクとして処理および使用して、漿液の色による過大評価を除いた。
【0105】
統計的有意性の定義:片側2試料t検定を行った。統計的有意性は、p<0.05と定義する。本出願における実施例は、p<0.01の値を与える。統計的に有意かつ相乗的ブレンドは、両方の個々の漿液画分成分のものよりも統計的に有意に大きい活性を有するブレンドと定義する。
【0106】
A.ケルプおよびパセリの漿液画分
(1)ケルプ漿液画分、パセリ画分、および組合せを、メラニン合成作用について評価することができる(漿液画分のすべては、1%(v/v)の分析組成物で分析した):
【0107】
【表2】
【0108】
【表3】
【0109】
【表4】
【0110】
【表5】
【0111】
【表6】
【0112】
【表7】
【0113】
【表8】
【0114】
ブレンド漿液画分中の乾燥物質含有量の同じレベルが、個々の漿液画分単独のどちらかのレベルよりも有意により大きい活性を有することを直接実証するために、一定濃度を用いる。これにより、ブレンドの中の2種の漿液が、一緒に相乗的に働いて、有意により良い生物活性を与えることが実証される。例えば、表1Aにおいて、1%のケルプおよびパセリの個々の漿液画分は、1.62および1.91倍の活性化を示すが、これらの個々の漿液画分の1%の10:90ブレンドは、6.36倍の有意にかつ非常により大きい活性化を示す。
【0115】
(2)ケルプ漿液画分とパセリ漿液画分との組合せを、IRAK−4阻害について評価することができる(漿液画分のすべては、4%(v/v)の分析組成物で分析した):
【0116】
【表9】
【0117】
【表10】
【0118】
【表11】
【0119】
【表12】
【0120】
ブレンド漿液画分中の乾燥重量物質の同じレベルが、個々の漿液画分単独のどちらかのレベルよりも有意により大きい活性を有することを直接実証するために、一定濃度を用いた。これにより、ブレンドの中の2種の漿液が、一緒に相乗的に働いて、有意により良い生物活性を与えることが示される。例えば、表11、実験1Kにおいて、4.0%のケルプおよびパセリの個々の漿液画分は、それぞれ67.7%および43%の阻害を示すが、一方でこれらの漿液画分の4.0%の50:50ブレンドは、76.3%の有意により大きい阻害を示す。
【0121】
B.ツバキおよびナツシロギクの漿液画分
(1)ツバキ漿液画分、ナツシロギク画分、および組合せを、メラニン合成作用について評価することができる(漿液画分のすべては、0.8%(v/v)の分析組成物で分析した):
【0122】
【表13】
【0123】
【表14】
【0124】
【表15】
【0125】
ブレンド漿液画分中の乾燥重量物質の同じレベルが、個々の漿液画分単独のどちらかのレベルよりも有意により大きい活性を有することを直接実証するために、一定濃度を用いる。これにより、ブレンドの中の2種の乾燥重量物質が、一緒に相乗的に働いて、有意により良い生物活性を与えることが実証される。例えば、表14、実験2Cにおいて、1%のツバキおよびナツシロギクの個々の漿液画分は、それぞれ、2.26および2.02倍の活性化を示すが、一方でこれらの漿液画分の1%の20:80ブレンドは、5.02倍の有意にかつ非常により大きい活性化を示す。同じことが、50:50ブレンド(表12、実験2A)および80:20ブレンド(表13、実験2B)について実証される。
【0126】
(2)ツバキ漿液画分、ナツシロギク画分、および組合せを、IRAK−4阻害について評価することができる(漿液画分のすべては、0.8%(v/v)の分析組成物で分析した):
【0127】
【表16】
【0128】
【表17】
【0129】
ブレンド漿液画分中の乾燥重量物質の同じレベルが、個々の漿液画分単独のどちらかのレベルよりも有意により大きい活性を有することを直接実証するために、一定濃度を用いる。これにより、ブレンドの中の2種の漿液が、一緒に相乗的に働いて、有意により良い生物活性を与えることが実証される。例えば、表16、実施例2Eにおいて、0.8%のツバキおよびナツシロギクの個々の漿液画分は、それぞれ8%および9%の阻害を示すが、一方でこれらの漿液画分の0.8%の80:20ブレンドは、54.3%の有意にかつ非常により大きい阻害を示す。
【0130】
本明細書で開示される寸法および値は、記載される正確な数値に厳格に限定されると理解されるべきでない。代わりに、特に断りのない限り、このような寸法のそれぞれは、記載された値と、その値の周辺の機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0131】
本発明の実施形態の詳細な説明中に引用した文献のすべては、関連部分において、参照により本明細書に組み込まれ;いずれの文献の引用も、本発明に関して従来技術であることの是認と解釈されるべきではない。本文書中の用語のいずれかの意味または定義が、参照により組み込まれる文書中の同じ用語のいずれかの意味または定義と矛盾する限りは、本文書中のその用語に帰された意味または定義が適用されるものとする。
【0132】
本発明の特定の実施形態が説明および記載されてきたが、様々な他の変化および変更が、本発明の精神および範囲から逸脱することなくなされ得ることが当業者に明らかである。したがって、本発明の範囲内であるこのような変化および変更のいずれも添付の特許請求の範囲で包含することが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7