特許第5877608号(P5877608)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5877608リンプホームモード移行制御方法及びコモンレール式燃料噴射制御装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5877608
(24)【登録日】2016年2月5日
(45)【発行日】2016年3月8日
(54)【発明の名称】リンプホームモード移行制御方法及びコモンレール式燃料噴射制御装置
(51)【国際特許分類】
   F02D 41/22 20060101AFI20160223BHJP
   F02M 55/02 20060101ALI20160223BHJP
   F02M 37/20 20060101ALI20160223BHJP
【FI】
   F02D41/22 375
   F02D41/22 395
   F02M55/02 350E
   F02M37/20 G
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-86160(P2012-86160)
(22)【出願日】2012年4月5日
(65)【公開番号】特開2013-217213(P2013-217213A)
(43)【公開日】2013年10月24日
【審査請求日】2015年3月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003333
【氏名又は名称】ボッシュ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】田畑 康弘
【審査官】 二之湯 正俊
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−207486(JP,A)
【文献】 特開2004−156558(JP,A)
【文献】 特開平02−305357(JP,A)
【文献】 実開平06−069357(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D 41/00−41/40
F02M 37/00−37/22
F02M 39/00−71/04
F02D 43/00−45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料タンクの燃料が供給ポンプにより高圧ポンプへ供給され、前記高圧ポンプによりコモンレールへ加圧、圧送され、当該コモンレールに接続された燃料噴射弁を介して内燃機関へ高圧燃料の噴射を可能としてなると共に、前記高圧ポンプの上流側に、全開状態となると高圧ポンプが全圧送状態となる電磁式調量弁が、前記高圧ポンプの下流側に圧力安全弁が、それぞれ設けられ、電子制御ユニットによる前記電磁式調量弁の駆動制御により、前記コモンレールのレール圧を制御可能としてなると共に、前記燃料タンクと前記供給ポンプとの間には、前記燃料タンクと前記供給ポンプの間の配管内を前記燃料タンクの燃料で充填するエア抜き用電磁ポンプが設けられてなるコモンレール式燃料噴射制御装置におけるリンプホームモード移行制御方法であって、
レール圧制御が異常状態となり、かつ、レール圧制御を前記圧力安全弁の2次圧に基づく2次圧制御へ移行する必要がある状態となった場合に、
前記電磁式調量弁を全開状態とすると共に、前記エア抜き用電磁ポンプを駆動して前記燃料タンクの燃料を前記供給ポンプへ供給せしめることにより、前記圧力安全弁を開弁せしめることを特徴とするリンプホームモード移行制御方法。
【請求項2】
燃料タンクの燃料が供給ポンプにより高圧ポンプへ供給され、前記高圧ポンプによりコモンレールへ加圧、圧送され、当該コモンレールに接続された燃料噴射弁を介して内燃機関へ高圧燃料の噴射を可能としてなると共に、前記高圧ポンプの上流側に、全開状態となると高圧ポンプが全圧送状態となる電磁式調量弁が、前記高圧ポンプの下流側に圧力安全弁が、それぞれ設けられ、電子制御ユニットによる前記電磁式調量弁の駆動制御により、前記コモンレールのレール圧を制御可能としてなると共に、前記燃料タンクと前記供給ポンプとの間には、前記燃料タンクと前記供給ポンプの間の配管内を前記燃料タンクの燃料で充填するエア抜き用電磁ポンプが設けられてなるコモンレール式燃料噴射制御装置であって、
前記電子制御ユニットは、レール圧制御が異常状態にあると判定され、かつ、レール圧制御を前記圧力安全弁の2次圧に基づく2次圧制御へ移行する必要があると判定された場合に、
前記電磁式調量弁を全開状態とすると共に、前記エア抜き用電磁ポンプを駆動して前記燃料タンクの燃料を前記供給ポンプへ供給せしめ、前記圧力安全弁を開弁せしめるよう構成されてなることを特徴とするコモンレール式燃料噴射制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コモンレール式燃料噴射制御装置を備えた車両等におけるいわゆるリンプホームモード(非常退避走行継続機能)への移行制御方法に係り、特に、リンプホームモードへの移行の確実性、安定性の向上等を図ったものに関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆるコモンレール式燃料噴射制御装置は、高圧ポンプによって燃料を加圧して蓄圧器であるコモンレールへ圧送して蓄圧し、その蓄圧された高圧燃料をインジェクタへ供給することにより、インジェクタによる内燃機関への高圧燃料の噴射を可能として、燃費やエミッション特性等に優れるものとして良く知られているものであり、乗用車等の車両のみならず、近年は、パワーショベル等の建設機械のエンジン制御にも用いられている。
【0003】
かかるコモンレール式燃料噴射制御装置を用いた車両等にあっては、何らかの原因によりレール圧制御に異常が生じた場合に、最寄りの修理工場等まで最小限の運転条件で退避走行を可能としたいわゆる非常退避走行継続機能(リンプホームモード)を備えるものがある。
かかるリンプホームモードは、具体的には、例えば、車両の動作制御のための電子制御ユニットにおいて、レール圧制御に異常有りと判定され、リンプモードへの移行が決定されると、コモンレール式燃料噴射制御装置の高圧ポンプが全圧送状態とされ、それに伴い、コモンレールに設けられた機械式の圧力安全弁が強制開弁され、圧力安全弁のいわゆる2次圧にレール圧を安定させて、リンプホーム走行を可能とする構成等が採られることで実現される(例えば、特許文献1等参照)。
【0004】
ところで、上述のようにコモンレールの異常な圧力上昇を防ぐための圧力安全弁が設けられた構成にあっては、圧力安全弁の1次開弁圧は、誤動作を防止する観点から、通常使用されるレール圧より十分に高い値に設定されるのが一般的である。したがって、圧力安全弁を開弁状態とする場合に確実な開弁を確保するために、高圧ポンプは、その吐出能力が通常の使用圧に対してさらに大きな値を有するものを用いる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−155948号公報(第3−10頁、図1図8
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、非常時の為だけに、通常の吐出能力を大きく超える大型の高圧ポンプを用いることは、装置の大型化を招くだけでなく、装置の高価格化を招くという問題がある。
【0007】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたもので、高圧ポンプの吐出能力を極力必要最小とすることができ、しかもリンプホームモードへの確実な移行を確保可能とした信頼性の高いリンプホームモード移行制御方法及びコモンレール式燃料噴射制御装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記本発明の目的を達成するため、本発明に係るリンプホームモード移行制御方法は、
燃料タンクの燃料が供給ポンプにより高圧ポンプへ供給され、前記高圧ポンプによりコモンレールへ加圧、圧送され、当該コモンレールに接続された燃料噴射弁を介して内燃機関へ高圧燃料の噴射を可能としてなると共に、前記高圧ポンプの上流側に、全開状態となると高圧ポンプが全圧送状態となる電磁式調量弁が、前記高圧ポンプの下流側に圧力安全弁が、それぞれ設けられ、電子制御ユニットによる前記電磁式調量弁の駆動制御により、前記コモンレールのレール圧を制御可能としてなると共に、前記燃料タンクと前記供給ポンプとの間には、前記燃料タンクと前記供給ポンプの間の配管内を前記燃料タンクの燃料で充填するエア抜き用電磁ポンプが設けられてなるコモンレール式燃料噴射制御装置におけるリンプホームモード移行制御方法であって、
レール圧制御が異常状態となり、かつ、レール圧制御を前記圧力安全弁の2次圧に基づく2次圧制御へ移行する必要がある状態となった場合に、
前記電磁式調量弁を全開状態とすると共に、前記エア抜き用電磁ポンプを駆動して前記燃料タンクの燃料を前記供給ポンプへ供給せしめることにより、前記圧力安全弁を開弁せしめるよう構成されてなるものである。
また、本発明の目的を達成するため、本発明に係るコモンレール式燃料噴射制御装置は、
燃料タンクの燃料が供給ポンプにより高圧ポンプへ供給され、前記高圧ポンプによりコモンレールへ加圧、圧送され、当該コモンレールに接続された燃料噴射弁を介して内燃機関へ高圧燃料の噴射を可能としてなると共に、前記高圧ポンプの上流側に、全開状態となると高圧ポンプが全圧送状態となる電磁式調量弁が、前記高圧ポンプの下流側に圧力安全弁が、それぞれ設けられ、電子制御ユニットによる前記電磁式調量弁の駆動制御により、前記コモンレールのレール圧を制御可能としてなると共に、前記燃料タンクと前記供給ポンプとの間には、前記燃料タンクと前記供給ポンプの間の配管内を前記燃料タンクの燃料で充填するエア抜き用電磁ポンプが設けられてなるコモンレール式燃料噴射制御装置であって、
前記電子制御ユニットは、レール圧制御が異常状態にあると判定され、かつ、レール圧制御を前記圧力安全弁の2次圧に基づく2次圧制御へ移行する必要があると判定された場合に、
前記電磁式調量弁を全開状態とすると共に、前記エア抜き用電磁ポンプを駆動して前記燃料タンクの燃料を前記供給ポンプへ供給せしめ、前記圧力安全弁を開弁せしめるよう構成されてなるものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、レール圧制御を圧力安全弁による2次圧制御に移行させる際に、エア抜き用電磁ポンプを強制的に駆動し供給ポンプを介しての高圧ポンプへの燃料の供給が行われ、高圧ポンプの吐出能力を補強することができるため、従来に比して吐出能力のより小さな高圧ポンプを用いてリンプホームモードへの移行を確実に確保可能となり、装置の小型化、装置の低価格化と共に、リンプホームモードの信頼性の向上に寄与することができるという効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態におけるリンプホームモード移行制御方法が適用されるコモンレール式燃料噴射制御装置の構成例を示す構成図である。
図2】本発明の実施の形態におけるリンプホームモード移行制御処理手順を示すサブルーチンフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図1及び図2を参照しつつ説明する。
なお、以下に説明する部材、配置等は本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
最初に、図1に示されたコモンレール式燃料噴射制御装置について説明する。
このコモンレール式燃料噴射制御装置は、高圧燃料の圧送を行う高圧ポンプ装置50と、この高圧ポンプ装置50により圧送された高圧燃料を蓄えるコモンレール1と、このコモンレール1から供給された高圧燃料をエンジン3の気筒へ噴射供給する複数の燃料噴射弁2−1〜2−nと、燃料噴射制御処理や後述するリンプホームモード移行制御処理などを実行する電子制御ユニット(図1においては「ECU」と表記)4を主たる構成要素として構成されたものとなっている。この構成自体は、従来から良く知られているこの種の燃料噴射制御装置の基本的な構成と同一のものである。
このようなコモンレール式燃料噴射制御装置は、自動車両に搭載される他、例えば、パワーシャベル等の建築用機械においても用いられているものがある。
【0012】
高圧ポンプ装置50は、供給ポンプ5と、調量弁6と、高圧ポンプ7と、エア抜き用電磁ポンプ12とを主たる構成要素として構成されてなる公知・周知の構成を有してなるものである。
かかる構成において、燃料タンク9の燃料は、エア抜き用電磁ポンプ12と並列に接続されたチェックバルブ13を介して供給ポンプ5により汲み上げられ、調量弁6を介して高圧ポンプ7へ供給されるようになっている。調量弁6には、電磁式比例制御弁が用いられ、その通電量が電子制御ユニット4により制御されることで、高圧ポンプ7への供給燃料の流量、換言すれば、高圧ポンプ7の吐出量が調整されるものとなっている。
【0013】
エア抜き用電磁ポンプ12は、コモンレール式燃料噴射制御装置の始動の際に、供給ポンプ5の始動に先立って電子制御ユニット4により駆動開始され、タンク9と供給ポンプ5の間に燃料を強制的に流入させることにより、エア抜き用電磁ポンプ12と供給ポンプ5の間の配管14の空気抜きを行い、供給ポンプ5による高圧ポンプ7への燃料の供給を容易とするものである。
なお、エア抜き用電磁ポンプ12は、上述のようにエンジン始動時に毎回駆動されて配管14の空気抜きを行う使用形態に限られる必要は無く、例えば、ガス欠やフィルタ交換後などの特定の場合にのみ、エンジン始動に先だって駆動されて配管14の空気抜きを行うような使用形態であっても良い。
【0014】
なお、供給ポンプ5の出力側と燃料タンク9との間には、戻し弁8が設けられており、供給ポンプ5の出力側の余剰燃料を燃料タンク9へ戻すことができるようになっている。
また、供給ポンプ5は、高圧ポンプ装置50の上流側に高圧ポンプ装置50と別体に設けるようにしても、また、燃料タンク9内に設けるようにしても、いずれでも良いものである。
燃料噴射弁2−1〜2−nは、エンジン3の気筒毎に設けられており、それぞれコモンレール1から高圧燃料の供給を受け、電子制御ユニット4による噴射制御によって燃料噴射を行うようになっている。
【0015】
本発明の実施の形態におけるコモンレール1には、余剰燃料をタンク9へ戻すリターン通路(図示せず)に、いわゆる機械式の圧力安全弁10が設けられており、コモンレール1内のレール圧が、圧力安全弁10において設定された所定圧(1次開弁圧)を越えると、圧力安全弁10が開弁状態となり、コモンレール1の燃料を低圧側のリターン通路(図示せず)を介してタンク9へ排出することで、レール圧の不用意な上昇が制限されるようになっている。
かかる圧力安全弁10は、レール圧が所定の1次開弁圧を超えると開弁状態となり、その後、圧力は急速に低下し、2次圧と称される比較的低圧状態に収束するものとなっている。
【0016】
電子制御ユニット4は、例えば、公知・周知の構成を有してなるマイクロコンピュータ(図示せず)を中心に、RAMやROM等の記憶素子(図示せず)を有すると共に、燃料噴射弁2−1〜2−nを通電駆動するための回路(図示せず)や、調量弁6やエア抜き用電磁ポンプ12等を通電駆動するための回路(図示せず)を主たる構成要素として構成されたものとなっている。
かかる電子制御ユニット4には、コモンレール1の圧力を検出する圧力センサ11の検出信号が入力される他、エンジン回転数、アクセル開度、燃料温度などの各種の検出信号が、エンジン3の燃料噴射制御などに供するために入力されるようになっている。
【0017】
図2には、上述の電子制御ユニット4によって実行されるリンプホームモード移行制御処理の手順を示すサブルーチンフローチャートが示されており、以下、同図を参照しつつ本発明の実施の形態におけるリンプホームモード移行制御処理について説明する。
電子制御ユニット4による制御が開始されると、最初に、レール圧制御が異常との診断がなされているか否かが判定される(図2のステップS102参照)。
ここで、本発明の実施の形態における電子制御ユニット4は、車両動作に関する種々の従来同様の故障診断処理が実行されるものであることを前提としており、通常、その故障診断処理には、レール圧制御が正常か否か、異常か否かの判断処理も含まれている。そのため、ステップS102においては、かかる故障診断処理における診断結果を流用すれば良い。
【0018】
しかして、ステップS102において、レール圧制御に何らかの異常が発生していると判定された場合(YESの場合)には、次述するステップS104の処理へ進む一方、レール圧制御は異常ではないと判定された場合(NOの場合)には、以降の一連の処理を実行する必要はないとして、図示されないメインルーチンへ一旦戻ることとなる。
ステップS104においては、ステップS102におけるレール圧制御が異常であるとの故障診断処理における判定結果に基づいて、レール圧制御が圧力安全弁10の2次圧によるレール圧制御(2次圧制御)へ移行せしめられる状態か否かが判定される。
【0019】
ここで、2次圧制御へ移行するか否かは、電子制御ユニット4において、このリンプホームモード移行制御処理とは別個に、従来同様行われる故障判断処理等の一環として行われる処理の中で判定されるものであるので、このステップS104においては、その判定結果を流用することとなる。なお、2次圧制御へ移行するか否かの判断基準は、種々設定可能であるが、例えば、実レール圧が目標レール圧よりも高い状態に場合、2次圧制御への移行が必要と判定する等が好適である。
また、圧力安全弁10による2次圧制御は、従来から行われているもので、本発明の実施の形態においては、電子制御ユニット4において、図2に示されたリンプホームモード移行制御処理とは別個に実行されるようになっていることを前提としている。
【0020】
しかして、ステップS104において、レール圧制御が圧力安全弁10の2次圧によるレール圧制御へ移行せしめる必要があると判定された場合(YESの場合)には、次述するステップS106の処理へ進む一方、レール圧制御は圧力安全弁10の2次圧によるレール圧制御へ移行せしめる必要はないと判定された場合(NOの場合)には、以降の一連の処理を実行する必要はないとして、図示されないメインルーチンへ一旦戻ることとなる。
ステップS106においては、高圧ポンプ7が全圧送状態とされる。すなわち、調量弁6が全開状態とされ、高圧ポンプ7が全圧送状態とさる。
【0021】
次いで、エア抜き用電磁ポンプ12が作動制御されることとなる(図2のステッ
プS108参照)。
すなわち、先に述べたように、このコモンレール式燃料噴射制御装置は、その始動の際に、燃料配管14のエア抜きのためエア抜き用電磁ポンプ12が電子制御ユニット4により駆動されるようになっているが、これとは別に、ステップS108においては、エア抜き用電磁ポンプ12が駆動開始されることとなる。
このように、エア抜き用電磁ポンプ12を駆動するのは、本発明の実施の形態においては、高圧ポンプ7の吐出能力が、通常のレール圧制御の範囲に必要な大きさに設定されているため、高圧ポンプ7を全圧送状態としただけでは、圧力安全弁10を、その1次開弁圧を超えた開弁状態とするに至らないため、エア抜き用電磁ポンプ12による高圧ポンプ7への供給燃料を増し、不足する吐出能力を補って圧力安全弁10を開弁状態とするためである。
【0022】
次いで、圧力安全弁10が開弁したか否かが判定される(図2のステップS110参照)。
ここで、圧力安全弁10の開弁は、例えば、圧力センサ11により検出される実際のレール圧の低下速度により判定するのが好適である。
すなわち、圧力安全弁10が1次開弁圧で開弁状態となった際、レール圧は比較的高い1次開弁圧から急速に2次開弁圧へ向かって低下してゆくため、このレール圧の低下が生じているか否かを判定することで開弁の有無を判定することが可能である。
【0023】
しかして、ステップS110において、圧力安全弁10が開弁状態となったと判定された場合(YESの場合)には、次述するステップS112の処理へ進む一方、圧力安全弁10は開弁状態ではないと判定された場合(NOの場合)には、先のステップS106の処理へ戻り、以降の処理が再度繰り返されることとなる。
ステップS112においては、レール圧制御が圧力安全弁10による2次圧制御状態となったことに対応して、車両の制御状態はリンプホームモードへ移行せしめられることとなる。
なお、リンプホームモード自体は、従来と同様の処理であるので、ここでの詳細な説明は省略することとする。
【産業上の利用可能性】
【0024】
吐出能力の比較的小さな高圧ポンプの使用が所望されるコモンレール式燃料噴射制御装置に適する。
【符号の説明】
【0025】
1…コモンレール
2−1〜2−n…燃料噴射弁
3…エンジン
4…電子制御ユニット
5…供給ポンプ
6…調量弁
7…高圧ポンプ
10…圧力安全弁
11…圧力センサ
12…エア抜き用電磁ポンプ
図1
図2