(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記保持部列に直交する所定の仮想直線を中心にして、前記複数の非接触式シート保持部及び前記複数の接触式シート保持部を線対称に配置したことを特徴とする請求項1に記載の保持装置。
全ての前記保持部列に含まれる前記シート保持部、及び前記シートの少なくとも一方を、互いに接近及び離隔する方向に相対移動させる第1保持部移動ユニットを備えることを特徴とする請求項1または2に記載の保持装置。
複数の前記保持部列における、前記保持部列に直交する方向に最も離れた2つの保持部列の離間距離は、前記シートの前記保持部列に直交する方向における長さよりも短いことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の保持装置。
前記ワーク保持部及び前記シート保持部の少なくとも一方を、前記ワークに接近及び離隔する方向に向けて相対的に移動させる第3保持部移動ユニットを備えることを特徴とする請求項9に記載の保持装置。
前記第4工程では、前記接触式シート保持部及び前記シートの少なくとも一方を移動させることにより、前記非接触式シート保持部によって吸引された前記シートの山部に、前記接触式シート保持部を接触させることを特徴とする請求項13に記載の方法。
前記接触式シート保持部が前記シートを保持した状態で、前記保持したシートの一方の端部と、該端部と反対側の他方の端部とが垂れ下がるように、前記接触式シート保持部が前記シートを持ち上げる第6工程を含むことを特徴とする請求項13または14に記載の方法。
前記保持装置が前記ワークを保持するため、前記保持装置が前記ワークの面に対向するように、前記保持装置及び前記ワークの少なくとも一方を移動させる第7工程を含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について
図1乃至10を参照しながら説明する。なお、これらの図面は概略図であり、各図面においてx、y、zの各矢印の示す方向はそれぞれ同じ方向を示す。以下、本実施形態では、ワークW及びシートSは水平に載置されたものを水平に保持しているが、載置、保持される角度は傾斜していてもよい。
【0016】
<1.搬送装置>
図1は、本発明の一実施形態に係る搬送システム100を示す斜視図である。搬送システム100は、シート供給部110と、ワーク供給部120と、保持装置1と、保持装置移動ユニット2と、積重ね用載置部130と、搬送システム100を構成する各動作機器の動作を制御するための制御ユニット300と、を備える。
【0017】
シート供給部110は、搬送システム100の所定の位置に設定され、不図示の移送装置によりシート供給部110に移送されたシートSが供給するシート供給部(第1載置部)である。シートSは、例えば、紙、PETフィルム等の可とう材料からなり、形状は矩形である。シート供給部110は、シート用パレット111、シート規制部材112、シート離隔装置113を備える。シート用パレット111の上には、積重ねられた状態のシートの山(以下、積み重ねられたシートをSstとする)が載置される。シート規制部材112は、C型の断面を有し、z方向に延びる部材で、積み重ねられたシートSstの3方の側面に当接し、積み重ねられたシートSstの位置を規制する。シート離隔装置113は、積み重ねられたシートSstの側面のうち、シート規制部材112が当接していない面の近傍に設けられる。シート離隔装置113の詳細な説明については後述する。
【0018】
ワーク供給部120は、例えば処理ラインであり、搬送システム100のシート供給部110と異なる所定の位置に設定され、ワークWが供給されるワーク供給部(第2載置部)である。ワークWは、例えば、ガラス板(ガラス基板)、プリント基板等で、本実施形態では、ワークW及びシートSの形状は、同一の矩形をしているが、これに限らず、実施条件によっては、例えば円形でもよく、また、ワークWとシートSの形は異なっていてもよい。ワークWは、ワーク用載置部材121に載置され、ワーク供給部120によって移送され、供給される。
【0019】
載置部130は、搬送システム100のシート供給部110およびワーク供給部120と異なる所定の位置に設定された積重ね部(第3載置部)である。ワークWとシートSとは、載置部130に供給された積重ね用パレット131に交互に載置され、所定数が積み重ねられると不図示の移送装置により載置部130から取り出され、新たな積重ね用パレット131が供給される。
【0020】
保持装置移動ユニット2は、保持装置1をシート供給部110、ワーク供給部120および載置部130のそれぞれの間を移動可能に構成され、本実施形態では複数のアーム部を有する多関節ロボットである。なお、保持装置1を、上下方向に移動可能な上下直動機構(例えば、電動シリンダ)および上下直動機構を直交する二方向となる水平方向に移動可能な複数の直動機構(例えば、電動シリンダ)を組み合わせた専用の移送装置または鉛直方向および水平方向に移動可能な直交ロボットなどを採用してもよい。
【0021】
保持装置1は、保持装置本体10と、シート保持装置4と、ガイド装置5と、ワーク保持装置6と、シート保持部移動ユニット74と、ガイド移動ユニット75と、ワーク保持部移動ユニット76とを備え、これらの構成によってシートS及びワークWを保持する。
【0022】
<2.シート保持装置>
図2は、本発明の一実施形態に係る保持装置1と、シートS及びワークWとの位置関係を示す(a)平面図、及び(b)側面図である。
図2(a)を参照する。シート保持装置4は、2つの保持部列C1及びC2でシートSを保持し、各保持部列は、所定の方向(y方向)となる第1方向に沿って複数のシート保持部を構成する非接触式シート保持部41および接触式シート保持部42が配置されている。
【0023】
各保持部列は、非接触でシートSを吸引して保持する非接触式シート保持部41
C1、41
C2(これらを総称する場合は非接触式シート保持部41とする)、及びシートSの非接触式シート保持部41によって吸引された部分に接触してシートSを保持する接触式シート保持部42
C1及び42
C2(これらを総称する場合は接触式シート保持部42とする)を有する。
【0024】
非接触式シート保持部41及び接触式シート保持部42は、保持部列C1及びC2の第1方向に直交する方向となる第2方向に設定された仮想直線を中心線L1として、中心線L1について線対称になるように配置される。この構成により、非接触式シート保持部41及び接触式シート保持部42は中心線L1を挟んで均等に配置され、接触式シート保持部42は、シートSの非接触式シート保持部41で保持されたシートSの部分をより確実に保持できる。本実施形態では、各保持部列に非接触式シート保持部41が3個、接触式シート保持部42が4個含まれ、それぞれ交互に配置される。
【0025】
本実施形態では、保持装置1によるシートSの保持位置は、シートSを保持した場合に、シートSの重心Gを中心線L1が通る位置であり、さらに、重心Gを通り、中心線L1に直交する(第1方向と平行な)仮想直線を中心線L2として、非接触式シート保持部41及び接触式シート保持部42から構成される保持部列C1及びC2が、中心線L2について線対称に配置された位置である。
【0026】
以上の構成により、非接触式シート保持部41及び接触式シート保持部42はシートSの重心を捉え、xy方向において偏ることなくシートSを保持できるため、シートSが一方側に大きく垂れ下がる等、保持されたシートSが不規則に移動(ひらひら)したり、不安定になったりすることを防止できる。例えば、シートSが大きく垂れ下がることを防止できることは、水平方向における空気抵抗や気流等の影響の軽減、及び保持または移動中においてシートSの体勢が崩れる、あるいは保持装置1に対してずれること等を防止できることになる。
【0027】
それぞれの保持部列は、保持部列の方向(第1方向)と直交する方向(第2方向)に互いに列間距離P1だけ離間して配設される。列間距離P1は、保持されるシートSが、保持部列C1及びC2に沿ったシートSの対応する部分(一部)を保持することで複数(ここでは2列)の山部を有する波形状となるように決定される。一例として本実施形態では、それぞれの保持部列内における非接触式シート保持部41のピッチP2(接触式シート保持部42のピッチもP2)とすると、P1>P2となるように配置される。
【0028】
非接触式シート保持部41がシートSを波形状で保持する(谷部と複数の山部とを形成するように保持する)ことにより、起伏がない状態でシートSを保持する場合に比べてシートSが既定の波形状から大きく変形しにくくなり、これによって、波形状のシートSの山部に、確実に接触式シート保持部42を接触させて吸着保持することができる。また、シートSを波形状にして保持することで、シートSの移載時における形状姿勢を制御することが可能となり、保持装置移動ユニット2によるシートSの移載動作を速く動作することが可能となる。
【0029】
図2(b)を参照する。保持部列C1及びC2に直交する方向に最も離れた2つの保持部列C1とC2との離間距離P1はシートSの同方向(x方向)における長さSwよりも短く設定される(Sw>P1)。したがって、各保持部列C1及びC2は、シートSの第2方向(x方向)の、一方の端部S1、及び反対側の他方の端部S2よりも内側の部分を保持することになる。
【0030】
このように、保持部列C1とC2との離間距離と、シートSの長さSwとを設定することで、シートSの一方の端部S1と他方の端部S2とが垂れ下がるようにシートSを保持できる。そのため、保持時に、シートSの上(下)面からの投影面積を小さくでき、設備のコンパクト化が図れる。また、後で述べるワーク保持部61により、シートSが垂れ下がった部分に対応するワークWの部分を保持することができる。
【0031】
<2−1.非接触式シート保持部>
図3は、x方向から見た概略断面説明図であり、各保持部列C1及びC2の構造を示す図である。各保持部列C1、C2は同様の構成を有する。非接触式シート保持部41は、非接触式の吸着保持機構であり、代表的な例としては、エアをシートSの表面に吹き付けることによって非接触式シート保持部41の保持面とシートSの上面(保持面)の間に負圧を発生させ、非接触でシートSを吸引し、シートSを保持する、いわゆるベルヌーイ吸着保持機構である。非接触式シート保持部41は、吹付部411と、配管41Hと、コネクタ412と、バルブ41Vとから構成される。ここで、非接触式シート保持部41は、ベルヌーイ吸着保持機構に限定するものではなく、同様の効果が得られるものであれば全て、シート保持部41として適用が可能である。
【0032】
吹付部411は、接続部411aを介して流出するエアを、シートSの面に沿った方向に変える流出路411bと、流出路411bからシートSの面に沿ってエアを吹き出す吹出口411cとを有する。これにより、吹出口411cから吹き出すエアはシートSの保持面に沿って流れることになり、非接触式シート保持部41の保持面とシートSの保持面との間に負圧部が形成(ベルヌーイの定理)され、シートSが吹付部411近傍において持ちあがる(浮上する)。
【0033】
非接触式シート保持部41はシートSの保持面に接触しないため、シートを保持する場合、保持すべきシートSを押しつけることで2枚目のシートが分離しにくくなることを防止できる。さらに、非接触式シート保持部41は、シートSに対しエアを吹き付けることでシートSを保持するため、接触式の吸着保持に発生するようなシートSを形成する繊維等のわずかな隙間を通して2枚目のシートまで吸引してしまう不具合を防止できる。
【0034】
吹付部411の接続部411aは、通気可能な2つの接続部を有するコネクタ412の一方の接続部412aに接続される。コネクタ412の他方の接続部412bは配管41Hの一端に接続される。さらに、コネクタ412は取付部412cによりブラケット4Bに取り付けられる。ブラケット4Bは第1保持部移動ユニット741(シリンダ)の可動部(ロッド)741aに取り付けられる。
【0035】
配管41Hは、保持部列中の全ての非接触式シート保持部41(3個)とバルブ41Vとを通気可能に接続する。なお、配管41Hは、非接触式シート保持部41が動作することを考慮して、可とう性を有するものであることが望ましい。
【0036】
バルブ41Vは、接続部41Va、41Vbを有し、一方の接続部41Vaは加圧ポンプ81に、他方の接続部41Vbは配管41Hに接続される。バルブ41Vは接続部41Va、41Vbの間で通気可能な状態(通気状態)と通気不可能な状態(オフ状態)とに切り替え可能なソレノイドバルブである。切り替えは制御ユニット300からの信号によって行われる。シートSを保持する場合は、制御ユニット300がバルブ41Vを駆動させ通気状態にする。それにより、加圧ポンプ81から吹付部411にエアが送られ、吹付部411からシートSの表面にエアを吹き付けることで、非接触式シート保持部41はシートSを保持する。一方、シートSを解放する時は、制御ユニット300がバルブ41Vを駆動させオフ状態として、吹付部411へのエアの供給が停止される。本実施形態では、バルブ41Vは保持部列の数と同数(2個)備えられ、それぞれの吹付部411と接続される。
【0037】
<2−2.接触式シート保持部>
接触式シート保持部42は、減圧ポンプ82と接続されたパッド421を、シートSに接触させ、パッド421とシートSとの間の空間を減圧(負圧)状態とすることで、シートSを保持する。接触式シート保持部42は、パッド421と、配管42Hと、コネクタ422と、バルブ42Vとから構成される。
【0038】
接触式シート保持部42はパッド421をシートSに接触させてシートSを保持するため、パッド421とシートSの間に摩擦力が働き、シートSが、面方向にずれることを防止でき、より確実に保持装置1とシートSの位置関係を規制できる。
【0039】
パッド421は、例えばシリコーンゴム等の弾性材料からなり、内部が空洞の半球状を呈し、半球部の頂部に円筒状の接続部421aを有する。本実施形態では、パッド421の下端は、非接触式シート保持部41の吹付部411の下端と同じ高さとなる。
【0040】
パッド421の接続部421aは、通気可能な2つの接続部を有するコネクタ422の一方の接続部422aに接続される。コネクタ422の他方の接続部422bは配管42Hの一端に接続される。さらに、コネクタ422は取付部422cによりブラケット4Bに取り付けられる。
【0041】
配管42Hは、保持部列中の全ての接触式シート保持部42(4個)とバルブ42Vとを通気可能に接続する。なお、配管42Hは、接触式シート保持部42が動作することを考慮して、可とう性を有するものであることが望ましい。
【0042】
バルブ42Vは、接続部42Va、42Vb及び、大気開放部42Vcを有し、接続部42Vaは減圧ポンプ82に、接続部42Vbは配管42Hに接続される。バルブ42Vは制御ユニット300と電気的に接続されるソレノイドバルブであり、制御ユニット300からの信号により駆動制御し切り替え操作を行う。シートSを保持する場合、パッド421がシートSに、接触した状態または接触する前の状態で、接続部42Vaと42Vbとが接続され(これを吸引状態とする)、減圧ポンプ82とパッド421の間が通気可能になる。これにより、シートSの保持面にパッド421が接触した状態でパッド421内(パッド421とシートSの接触面により形成される空間)が減圧され、シートSは保持される。一方、保持されているシートSを解放する時は、接続部42Vbと大気開放部42Vcとが接続され(これを開放状態とする)、パッド421内は大気圧に戻り、シートSは解放される。本実施形態では、バルブ42Vは保持部列の数と同数(2個)備えられ、それぞれのパッド421と接続される。
【0043】
<2−3.シート保持部移動ユニット>
シート保持部移動ユニット74は、保持部列ごとに第1保持部移動ユニット741(例えば、シリンダ741
C1及び741
C2(位置関係は
図2参照))を備える(第2保持部移動ユニット742を有する実施形態については後述する)。なお、本実施形態では第1保持部移動ユニット741はエアシリンダであるが、油圧式シリンダでもよい、また、これらの移動機構としてはシリンダ式に限られず、モータ式のアクチュエータでもよい。
【0044】
各保持部列に含まれる全ての非接触式シート保持部41(コネクタ412)及び接触式シート保持部42(コネクタ422)は1つのブラケット4Bに取り付けられる。第1保持部移動ユニット741は制御ユニット300からの信号によって動作する。
【0045】
したがって、第1保持部移動ユニット741の動作により、保持部列ごとに非接触式シート保持部41及び接触式シート保持部42を移動させることが可能となる。
【0046】
なお、本実施形態では、第1保持部移動ユニット741を保持装置1側に構成してシートSに対して相対移動可能としたが、シート供給部110にシート用パレット111を保持装置1に対して相対移動(昇降)させる移動機構を構成してもよい。また、保持装置1およびシート供給部110にそれぞれ相対移動(昇降)させる移動機構を設けてそれぞれを相対移動させてもよい。
【0047】
このように、第1保持部移動ユニット741の各シリンダ741
C1、741
C2を保持部列ごとに駆動制御することにより、必要に応じて保持部列ごとにシートSを持ち上げる順番を調整できる。
【0048】
<2−4.保持部列及びシート保持部移動ユニットの動作例>
図4は、x方向から見た概略断面説明図であり、保持部列C1、C2及びシート保持部移動ユニット74の動作例を示す図である。本図では、ポンプ及び配管関係の図示を省略する。
【0049】
まず、
図4(a)に示すように、保持装置移動ユニット2により保持装置1をシート供給部110のシート用パレット111に載置されたシートSの保持面と対向する対向方向(上方)の位置に配置させる。次に、シリンダ741
C1及び741
C2の可動部741aを伸長させ、非接触式シート保持部41をシートSに所定の距離hまで接近させる。加圧ポンプ81を駆動させ、バルブ41Vを通気状態とすることで、非接触式シート保持部41がシートSの一部となる吸着部を吸引浮上させ吸着する。所定の距離hは非接触式シート保持部41のベルヌーイ効果による吸着力によりシートSを持ち上げるために必要な距離である。
【0050】
次に、
図4(b)のように、それぞれの保持部列によって保持される最上部のシートSの一部を積み重ねられたシートSstから持ち上げ(離間し)、保持する。
図4(b)は、保持されたシートSの保持部分が積み重ねられたシートSstから離間した状態を表し、保持されていないシートSのその他の部分(シート端部側S1、S2および中央部)は、積み重ねられたシートSst側に垂れる状態を表す。
【0051】
さらに、
図4(c)に示すように、バルブ42Vを駆動させ吸引状態とする。これにより、接触式シート保持部42が、非接触式シート保持部41により保持されたシートSの吸着部を吸い寄せ、
図4(d)に示すように、接触式シート保持部42が、シートSの吸着部に接触しながらシートSを保持する。このとき、接触式シート保持部42は、シートSに接触していれば、上で述べたようにパッド421とシートSの接触面により形成される空間が減圧される。
【0052】
なお、非接触式シート保持部41のバルブ41Vをオフ状態とするタイミングは、接触式シート保持部42がシートSに接触しながら保持した時から、保持装置1がシートSを解放する(接触式シート保持部42による保持の解除)時までの間のいつでもよい。また、
図4(b)〜
図4(c)においては、非接触式シート保持部41によるシートSの吸引後、所定の位置まで非接触式シート保持部41を上昇させ、その後、接触式シート保持部42による保持を行っていたが、非接触式シート保持部41によるシートSの吸引後、所定の位置まで非接触式シート保持部41を上昇させずに同じ位置で接触式シート保持部42による保持を行ってもよい。
【0053】
<3.ガイド装置>
図1に示すガイド装置5は、
図2(a)に示すように、保持部列C1及びC2よりも外側(保持部列C1およびC2を挟み込む位置)にそれぞれ1個ずつ計2個配置されたガイド部材51L、51Rを備える(以下、総称する場合はガイド部材51とする)。シート保持部(非接触式シート保持部41、または接触式シート保持部42)がシートSを保持したとき、一方のガイド部材51LはシートSの一方の端部S1側の保持面の一部に、他方のガイド部材51RはシートSの他方の端部S2側の保持面の一部にそれぞれ当接する。したがって、シートSをシート保持部で保持しつつ、ガイド部材51に対してシートSの両端部S1,S2を当接させることで、シートSの端部S1、S2のばたつき等を防止でき、シートSの位置が安定する。さらに、ガイド部材51によりシートSの端部S1、S2が保持面と反対側に湾曲させて位置づけられることで、確実にシートの形状を波形状とすることが可能となり、シートSの、ずれまたは落下、あるいは損傷が防止される。
【0054】
本実施形態では、ガイド部材51は、長方形の板状部材である。ガイド部材51L、51Rは、長手方向を保持部列の方向と平行(y方向)に、それぞれの下端部が離間する下方外側に向かって斜めになるようにブラケット5Bに取り付けられる。この構成では、ガイド部材51とシートSとが線接触または面接触することによりシートSの体勢をより規制しやすくなり、z方向を軸としたシートSの回転を防止することもできる。さらにシートSの端部S1、S2はガイド部材51L、51Rによって規制されており、ワーク保持部61L、61Rの移動の際、ワーク保持部61L、61RがシートSに当たってシートSがずれることを防止できる。
【0055】
なお、本実施形態の構成の他に、シートSの端部S1、S2の形状を制御する等を目的として、ガイド部材51を上下動させるガイド移動ユニットを備える構成も考えられる。
【0056】
<4−1.ワーク保持装置>
ワーク保持装置6は、保持部列C1、C2または、ガイド部材51L、51Rよりも外側に配置されワーク保持部61L、61Rを備える(以下、総称する場合はワーク保持部61とする)。一方のワーク保持部61Lは、シート保持部列の方向(第1方向)に沿って4個配列され、シートSの一方の端部S1に重ねられるワークWの一方の端部W1を保持する。他方のワーク保持部61Rも、シート保持部列の方向(第1方向)に沿って4個配列され、シートSの他方の端部S2に重ねられるワークWの他方の端部W2を保持する。
図2(b)に示すように、シートSが垂れ下がってできたスペース(W1、W2)でワークを保持できるため、シートSとワークWとを上下の位置関係で一緒に保持でき、設備の大型化も防止できる。
【0057】
図5は、x方向から見た概略断面説明図であり、ワーク保持部61の構造を示す図である。両側のワーク保持部61L、61Rは同様の構成を有する。ワーク保持部61の構成は基本的には接触式シート保持部42と同様の構成で、パッド611と、配管61Hと、コネクタ612と、バルブ61Vとから構成され、パッド611がワークWに接触してワークWを保持する。
【0058】
パッド611は、例えばシリコーンゴム等の弾性材料からなり、内部が空洞の半球状を呈し、半球部の頂部に円筒状の接続部611aを有する。
【0059】
パッド611の接続部611aは、通気可能な2つの接続部を有するコネクタ612の一方の接続部612aに接続される。コネクタ612の他方の接続部612bは配管61Hの一端に接続される。さらに、コネクタ612は取付部612cにおいてブラケット61Bが取り付けられる。ブラケット61Bは、ワーク保持部移動ユニット76のシリンダ761の可動部(ロッド)761aに取り付けられる。
【0060】
配管61Hは、両側の全てのワーク保持部61(8個)とバルブ61Vとを通気可能に接続する。なお、配管61Hは、ワーク保持部61が動作することを考慮して、可とう性を有するものであることが望ましい。
【0061】
バルブ61Vは、2つの接続部61Va、61Vb及び、大気開放部61Vcを有し、接続部61Vaは減圧ポンプ82に、接続部61Vbは配管61Hに接続される。バルブ61Vは制御ユニット300と電気的に接続され、制御ユニット300からの信号により切り替え操作を行う。ワークWを保持する場合、パッド611がワークWに接触した状態で、接続部61Vaと61Vbとが接続され(吸引状態)、減圧ポンプ82とパッド611の間が通気可能になる。これにより、パッド611内が減圧され、ワークWは保持される。一方、保持されているワークWを解放する時は、接続部61Vbと大気開放部61Vcとが接続され(開放状態)、パッド611内は大気圧に戻り、ワークWは解放される。本実施形態では、バルブ61Vは保持部列の数と同数(4個)備えられる。
【0062】
<4−2.ワーク保持部移動ユニット>
ワーク保持部移動ユニット76は、シリンダ761L、761Rは、それぞれ可動部761aL、761aR(以下総称する場合は可動部761aとする)を有する。シリンダ761Lはワーク保持部61Lを上下動させ、シリンダ761Rはワーク保持部61Rを上下動させる。
【0063】
図5に示すように、シリンダ761の可動部761aにはそれぞれブラケット61Bが1個ずつ取り付けられ、ブラケット61Bに4個のコネクタ612が取り付けられる。シリンダ761は制御ユニット300からの信号によって動作する。したがって、シリンダ761の動作により、各側のワーク保持部61が4個まとめて移動する。なお、本実施形態ではワーク保持部移動ユニット76はエアシリンダであるが、油圧式シリンダでもよい。また、シリンダ式に限られず、モータ式アクチュエータでもよい。また、ワーク保持部61をガイド部材51と共に移動させる構成としてもよく、この場合、ワーク保持部61及びガイド部材51を共通の移動ユニットで動作させる、すなわち、ワーク保持部移動ユニット76とガイド移動ユニット75とを1つの移動ユニットにまとめることも可能である。
【0064】
<5.シート離隔装置>
図2(a)を参照する。シート離隔装置113はシート供給部110の所定の位置に配置され、重なって供給された複数枚のシートS間に気流を供給し、最上部のシートSの取り出しの際の分離補助を行うもので、複数個のエア供給部を有する(
図6中では、例えば、2個のエア供給部113
C1及び113
C2を有する)。各エア供給部113
C1、113
C2はそれぞれ保持部列C1、C2の延長線と平行な垂直方向の所定の位置にあり、積み重ねられたシートSstの側面(シートSの外側)から積み重ねられたシートSstの上部にシートSの面と平行に保持部列C1及びC2に沿った方向にエアを吹き付ける。
【0065】
図6は、シート離隔装置113の構造を示す図である。エア供給部113
C1及び113
C2は配管113Hと接続され、配管113Hはさらにバルブ113Vの接続部113Vaに接続され、もう一方の接続部113Vbは加圧ポンプ114に接続される。バルブ113Vを通気状態にすると、エア供給部113
C1及び113
C2は加圧ポンプ114から送られるエアをシートSに吹付ける。吹き付けられたエアは、シートの隙間を通り抜けるため、最上部のシートSとその下のシートSstとの間に空間部(隙間)が形成され、最上部のシートSが分離されやすくなる。特に、本実施形態ではシートSを保持装置1(z方向)に向かって(y方向の)保持部列に沿って列状に浮くように移動する。したがって、シートSは波型形状を形成し易くなる。
【0066】
この構成により、シートSが保持される前に予めシートSを持ち上げておくことができ、非接触式シート保持部41がシートSを保持しやすくなる。
【0067】
なお、本実施形態では、シート離隔装置113はシート供給部110に設けられるが、保持装置1に設けられていてもよい。
【0068】
<6.制御ユニット>
図7は、本発明の一実施形態に係る搬送装置100の制御ユニット300のブロック図である。
図7(a)に示すように、制御ユニット300は、CPU等の処理部301と、RAM、ROM、ハードディスク等の記憶部302と、外部デバイスと処理部301とをインタフェースするインタフェース部303、とを備える。インタフェース部303には、ホストコンピュータ等、上位のコンピュータや周辺装置(不図示)との通信を行う通信インタフェースも含まれる。
【0069】
制御ユニット300は、保持装置移動ユニット2、各保持部列C1及びC2の各構成要素、ワーク保持部61、ワーク保持部移動ユニット76の各種動作機器(例えば、シリンダやモータ等)、及び各種センサ510に接続される。
【0070】
各種センサ310には位置センサ311と、圧力センサ312とが含まれる。位置センサ311は保持装置1と、シートS及びワークWとの位置関係を検出したり、各種動作機器の動作位置を検出したりする。圧力センサ312は接触式シート保持部42がシートSを保持したこと、及びワーク保持部61がワークWを保持したことを検知する。圧力センサ312は、例えば、接触式シート保持部42及びワーク保持部61の圧力制御機器や配管途中に取り付けられ圧力状態の変化を検知する。
【0071】
図7(b)は、各保持部列C1及びC2に含まれる構成要素と制御ユニット300との接続関係を示した図である。制御ユニット300は、非接触式シート保持部41のバルブ41V、接触式シート保持部42のバルブ42V、及び第1保持部移動ユニット741に接続される。
【0072】
<7.シート及びワークの保持方法>
図8は、保持装置1によるシートS及びワークWの保持方法を示す図である。以下、第1工程から第9工程までがシートS及びワークWを保持する工程となる。
【0073】
第1工程では、保持装置1とシートSの保持面とを対向させるように、保持装置移動ユニット2が保持装置1をシート用パレット110の上方となる対向位置(シート取出待機位置)まで水平移動(矢印A)させる。なお、このとき、シート用パレット110が保持装置1との対向位置に向かって自走できるよう、シート用パレット110に移動ユニット(例えば、水平移動ユニット)を設けるようにしてもよい。
【0074】
第2工程では、非接触式シート保持部41(及び接触式シート保持部42)とシートSとを接近させるように、保持装置移動ユニット2が保持装置1をシート取出待機位置から所定の位置(シート取出開始位置)まで下降させる。なお、このとき、非接触式シート保持部41の下降とは独立してシートSが上方向のシート取出開始位置に移動できるよう、シート用パレット110にも移動ユニット(例えば、昇降ユニット)を設けるようにしてもよい。
【0075】
第3工程では、シート取出開始位置に待機する保持装置1の各保持部列C1及びC2の非接触式シート保持部41を駆動させ、それぞれの保持部列C1およびC2に対向するシートSの対応する部分(一部)を吸引し、シートSを保持部列C1及びC2に沿った山部を有する波形状にする。
【0076】
ここで、
図9に示すように、保持部列C1およびC2によるシートSを波形状で保持するための工程を第3A〜3D工程に分けて詳しく説明する。なお、本工程が始まるまでは、シリンダ741は収縮しており、バルブ41Vはオフ状態、バルブ42Vは開放状態である。
【0077】
第3A工程では、シート離隔装置113の加圧ポンプ81を駆動させ、シート供給部に供給された積み重ねられたシートSstの上部にエアを吹き付け、積み重ねられたシートSstの上部のシートSの少なくとも一部を浮かせる。
【0078】
第3B工程では、シート取出開始位置に待機した保持装置1の保持部列C1及びC2の非接触式シート保持部41
C1及び41
C2とシートSとを所定の距離hまで接近させるように、シリンダ741
C1及び741
C2を伸長させる。なお、本実施例においては、保持部列C1及びC2のシリンダ741
C1及び741
C2は、シート取出開始位置からシート取出準備位置に移動する際に伸長させてもよい。また、シリンダ741を構成しない場合は、保持装置移動ユニット2またはシートSのいずれか一方を移動させて保持装置1とシートSとを接近させてもよい。
【0079】
第3C工程では、保持部列C1及びC2のバルブ41V
C1及び41V
C2を駆動させて通気状態にする。これにより、保持部列C1及びC2に対向する最上部のシートSの一部にエアが噴出され、非接触式シート保持部41
C1及び41
C2とシートSの一部との間が負圧状態(ベルヌーイ状態)になり、シートSの一部が保持部列C1及びC2に沿って非接触で吸引される。シートSは、一部が非接触で吸引されるため吸引された状態で所定の方向に移動可能であり、保持部列C1及びC2に沿ったシートSのそれぞれの端部S1及びS2がシートSの中央部側に移動する(引き込まれる)ことにより保持部列C1及びC2に対向するシートSの部分(一部)に山部が形成され、最上部のシートSの一部がその下のシートSから分離される。
【0080】
第3D工程では、非接触式シート保持部41
C1及び41
C2がシートSの対応する部分(一部)を吸引した状態で、保持部列C1及びC2のシリンダ741
C1及び741
C2を収縮させ、または、保持装置移動ユニット2を移動させ、非接触式シート保持部41
C1及び41
C2を上昇させる。これにより、
図9に示すようにシートSの両端を更に中央に引き込みながら、保持部列C1及びC2に沿って2列の山部が形成される。なお、第3D工程における非接触式シート保持部41
C1及び41
C2の上昇量は、シートSの両端及び2列に形成された山部の間の谷部分が、下にある積み重ねられたシートSstに接触している程度とすることが望ましい。上昇量をこのように設定することで非接触式シート保持部41
C1及び41
C2と接触せずに保持されているシートSは、少なくとも自重により下方に移動するシートSの中央部が下側のシートSに支持され、その結果、積み重ねられたシートSstとの間の摩擦力により水平方向の位置が規制され、波形状を確実に形成することが可能となる。
【0081】
本実施形態では、第3B及び第3D工程で、全ての非接触式シート保持部41
C1及び41
C2を同時にシートSに接近及び離間移動させているが、不図示の昇降ユニットによりシート用パレット110を昇降させるようにしてもよい。
【0082】
再び
図8を参照する。第4工程では、制御部31が接触式シート保持部42の全てのバルブ42Vを駆動させて吸引状態にして、非接触式シート保持部41によって吸引されて形成されたシートSの対応部分(一部)となる山部に接触式シート保持部42が接触してシートSを吸着保持する(シート保持位置)。
【0083】
ここで、第3(D)工程〜第4工程においては、非接触式シート保持部41
C1及び41
C2によるシートSの吸引後、所定の位置まで非接触式シート保持部41
C1及び41
C2を上昇させ、その後、接触式シート保持部42(実際には、接触式シート保持部42
C1及び42
C2)による保持を行っていたが、非接触式シート保持部41
C1及び41
C2によるシートSの吸引後、所定の位置まで非接触式シート保持部41
C1及び41
C2を上昇させずに同じ位置で接触式シート保持部42(実際には、接触式シート保持部42
C1及び42
C2)による保持を行ってもよい。
【0084】
第5工程では、接触式シート保持部42がシートSの山部に接触しながらシートSを保持する。
【0085】
第6工程では、保持装置移動ユニット2を上昇させ接触式シート保持部42がシートSを保持した状態でシートSを持ち上げ、保持したシートSの一方の端部S1と、他方の端部S2とを下方に垂れ下がらせる。なお、このとき、非接触式シート保持部41の上昇と同期してシート用パレット110が下方向等に移動できるよう、シート用パレット110にも移動ユニット(例えば、昇降ユニット)を設けるようにしてもよい。また、シートSの端部S1、S2はガイド部材51に当接しており、これらの端部S1、S2の位置を規制している。この後、制御部31が全てのバルブ41Vを駆動させてオフ状態にして非接触式シート保持部41による保持を解除する。
【0086】
第7工程では、保持装置1とワークWの保持面とを対向させるように、保持装置移動ユニット2により保持装置1をワーク用パレット121の上方位置となる対向位置(ワーク取出待機位置)まで水平移動(矢印B)させる。なお、このとき、ワーク用パレット121が保持装置1との対向位置に向かって自走できるよう、ワーク用パレット121に移動ユニット(例えば、水平移動ユニット)を設けるようにしてもよい。また、保持装置1およびワーク用パレット121の両方を、互いに接近し、対向するように水平移動させても良い。
【0087】
第8工程では、シリンダ761を伸長させて、ワーク保持部61をワークWに接近させ、ワークWの一方の端部W1と、他方の端部W2とにワーク保持部61を接触させる。なお、このとき、ワーク保持部61の下方向の移動と一緒または個別にワーク用パレット121が上方向等に移動できるよう、ワーク用パレット121にも移動ユニット(例えば、昇降ユニット)を設けるようにしてもよい。
【0088】
第9工程では、ワーク保持部61とワークWとが接触した状態で、制御部31がバルブ61Vを駆動させて(吸引状態にして)、ワーク保持部61にワークWを保持させる。
【0089】
この後、保持装置移動ユニット2が保持装置1をワーク取出開始位置からワーク取出位置まで上昇させ、シートS及びワークWを載置部130まで移送する。
【0090】
<8.シート及びワークの載置方法>
図10は、
図8の方法で保持されたシートS及びワークWを載置する方法を示す図である。以下、第10工程から第16工程までがシートS及びワークWを載置部130に載置する工程となる。
【0091】
第10工程では、保持装置1が載置部130の積重ね用パレット131に対向するように、保持装置移動ユニット2が、保持装置1を載置部130の上方位置となる対向位置(積重ね待機位置)まで水平移動(矢印C)させる。なお、このとき、保持装置移動ユニット2の水平方向の移動と独立して積重ね用パレット131を保持装置1との対向位置に向かって自走できるよう、載置部130にも移動ユニット(例えば、水平移動ユニット)を設けるようにしてもよい。また、もちろん、保持装置1および積重ね用パレット131の両方を、互いに接近し、対向するように水平移動させても良い。
【0092】
第11工程では、保持装置移動ユニット2が、保持装置1を積重ね待機位置から積重ね可能な位置(積重ね開始位置)に移動することで積重ね用パレット131に向かって下降させ、ワーク保持部61と載置部130とを接近させる。なお、このとき、保持装置移動ユニット2の下方向の移動と一緒または個別に積重ね用パレット131が上方向に移動できるよう、載置部130にも移動ユニット(例えば、昇降ユニット)を設けるようにしてもよい。
【0093】
第12工程では、制御部31がバルブ61Vを駆動させて開放状態にして、ワーク保持部61がワークWの保持を解放し、ワークWを載置部130に待機する積重ね用パレット131に載置する。
【0094】
第13工程では、シリンダ761がワーク保持部61を上昇させ、ワーク保持部61と、載置部130とを離隔させる。
【0095】
第14工程では、第1保持部移動ユニット741を駆動することで載置部130の積重ね用パレット131に載置されたワークWに向かって接触式シート保持部42(及び非接触式シート保持部41)を下降させ、接触式シート保持部42を、載置部130の積重ね用パレット131に載置されたワークWに接近させる。なお、このとき、積重ね用パレット131を上方向に移動させてもよい。
【0096】
第15工程では、制御部31がバルブ42Vを駆動させて開放状態にして、接触式シート保持部42によるシートSの保持を解放し、シートSをワークWの上に載置する。
【0097】
第16工程では、保持装置移動ユニット2が保持装置1を上昇させ(このとき同時にシリンダ741を収縮させてもよい)、接触式シート保持部42と、積重ね用パレット131とを離隔させる。なお、このとき、積重ね用パレット131を下方向に移動させてもよい。
【0098】
この後、再び保持装置移動ユニット2により保持装置1をシート用パレット110の上方まで水平移動させ(第1工程)、シートS及びワークWを保持する工程を再び繰り返す。
【0099】
<9.本実施形態の効果>
以上の本実施形態によれば、非接触式シート保持部41によって、一番上に位置するシートSの対応する部分(一部)を引き上げてから、接触式シート保持部42によりそのシートを保持するため、一番上に位置するシートSの下面を二番目に位置するシートSの上面に押しつけることがなく分離でき、一番上に位置するシートSのみを保持しやすくなる。また、非接触式シート保持部41は列状に配置しているため、シートSの対応する部分(一部)を確実にこれらの列に沿って浮き上がらせることができ、その結果、同列上に配置される接触式シート保持部42と浮き上がった部分とを確実に接触させることができる。さらに、非接触式シート保持部41によって吸引されたシートSは接触式シート保持部42により保持して波形状に維持されるため、シートSが変形しにくくなり山部が形成される方向と直交する方向の歪みが防止される。
【0100】
なお、本実施形態ではシート保持装置4、ワーク保持装置6を各移動ユニットが移動させる方向を上下方向としたが、シートS及びワークWに接近及び離隔する方向であれば上下方向とする必要はない。
【0101】
<10.他の実施形態>
<10−1.非接触式シート保持部及び接触式シート保持部の配置バリエーション>
図11は、保持部列における非接触式シート保持部41及び接触式シート保持部42の配置のバリエーションV1〜V3の例を示す図である。
図2で述べたように、中心線L1を中心にして線対称になるように配置されていればよく、
図2で示した配置以外の配置として、
図11に示すような配置がある。バリエーションV1では、非接触式シート保持部41が2個、接触式シート保持部42が2個で、2個の非接触式シート保持部41が内側(中心線L1側)に設けられ、それらを挟むように接触式シート保持部42が1個ずつ外側に設けられている。バリエーションV2では、2個の非接触式シート保持部41を挟むようにそれぞれ2個ずつの接触式シート保持部42が外側に配置されている。バリエーションV3では、バリエーションV1において、接触式シート保持部42を挟むように、さらに1個ずつの非接触式シート保持部41が設けられている(非接触式シート保持部41が最も外側となる)。
【0102】
<10−2.第2保持部移動ユニットを備えた例>
図12は、第2保持部移動ユニット742を備えた保持装置における保持部列C1、C2及びシート保持部移動ユニット74の動作例を示す図で、
図4に示した方法の他のバリエーションである。第2保持部移動ユニット742は、接触式シート保持部42を上下動させる装置で、例えば、エアシリンダであるが、これに限らず油圧シリンダ、モータを利用したアクチュエータ等でもよい。以下、図を参照しながら、第2保持部移動ユニット742を備えた保持装置1によるシートSの保持方法について説明する。
【0103】
図12(a)は、
図4(a)と同様x方向から見た概略断面説明図であり、非接触式シート保持部41をシートSに所定の距離hまで接近させた状態を示す図である。ここで、
図12(a)が
図4(a)と異なるのは、接触式シート保持部42の下端が、非接触式シート保持部41の下端よりも距離dだけ上方にあることである。この状態で、加圧ポンプ81を駆動させ、バルブ41V(
図3と同様の構成)を通気状態とすることで、非接触式シート保持部41がシートSの一部となる吸着部を吸引浮上させ吸着する。
【0104】
次に、
図12(b)のように、それぞれの保持部列が保持する最上部のシートSの一部を積み重ねられたシートSstから持ち上げ(離間し)、保持する。
図12(b)は、保持されたシートSの保持部分が積み重ねられたシートSstから離間した状態を表し、保持されていない部分(シート端部側S1、S2および中央部)は、積み重ねられたシートSst側に垂れる状態を表す。
【0105】
さらに、
図12(c)に示すように、第2保持部移動ユニット742が、接触式シート保持部42を距離d+距離hだけ下降させ、シートSの吸着部と接触式シート保持部42とを接触させる。
【0106】
この状態で、
図12(d)のように、バルブ42V(
図3と同様の構成)を駆動させて吸引状態とすることで、接触式シート保持部42がシートSの一部となる吸着部を吸着して保持する。
【0107】
以上の構成とすることで、接触式シート保持部42を確実にシートSに接触した状態で、すなわち、パッド421(
図3と同様の構成)とシートSとの間に隙間がない状態でシートSを吸着できるため、接触式シート保持部42はより確実にシートSを保持できる。
【0108】
また、この構成の場合、
図8における第4工程では、非接触式シート保持部41によって吸引されたシートSの山部に、接触式シート保持部41が接触するように、接触式シート保持部41を移動(下降)させることになる。
【0109】
なお、第2保持部移動ユニット742は、非接触式シート保持部41を上下動させる構成でもよく、また、非接触式シート保持部41及び接触式シート保持部42の両方を上下動させる構成でもよい。
【0110】
<10−3.保持部列が3列の場合のシートSの保持方法>
上記実施形態では保持部列はC1及びC2の2列であったが、それに限られない。
図13は、保持部列が3列の場合の非接触式シート保持部41
C1、41
C2、41
C3によるシートSの保持方法(第3工程、
図9のバリエーションの例)の一例を示す図である。
図13に示す工程は、第31A〜31G工程からなる。なお、他の工程については上記実施形態と同様となるので説明を省略する。
【0111】
第31A工程では、シート離隔装置113の加圧ポンプ114を駆動させ(バルブ113を通気状態にし)、積み重ねられたシートSstの上部にシートSの面及び保持部列C1、C2に沿ってエアを吹き付け、シートSの一部を浮かせる。
【0112】
第31B工程では、保持装置1の中央に構成された非接触式シート保持部41
C2とシートSとを所定の距離hまで接近させるように、保持部列C2のシリンダ741
C2が伸長する。
【0113】
第31C工程では、保持部列C2のバルブ41V
C2を通気状態にする。これにより、非接触式シート保持部41
C2が、シートSの一部(中央部)を保持部列C2に沿って吸引することにより、シートSの両端部が中央部に引き込まれ、シートSの中央部に山部が形成される。
【0114】
第31D工程では、非接触式シート保持部41
C2がシートSを吸引した状態で、保持部列C2のシリンダ741
C2が収縮し、非接触式シート保持部41
C2が上昇する。これにより、
図13に示すようにシートSの両端が更に中央に引き込まれながら保持部列C2に沿った山部が形成される。
【0115】
第31E工程では、保持部列C2のシリンダ741
C2を挟んだそれぞれ外側の非接触式シート保持部41
C1及び41
C3とシートSとを所定の距離hまで接近させるように、保持部列C1及びC3のシリンダ741
C1及び741
C3が伸長する。
【0116】
第31F工程では、保持部列C1及びC3のバルブ41V
C1及び41V
C3を通気状態にして、加圧ポンプ81と非接触式シート保持部41
C1及び41
C3とを接続する。これにより、非接触式シート保持部41
C1及び41
C3が、シートSの対応する部分(一部)を保持部列C1、C3に沿って吸引することにより、シートSのそれぞれの端部が中央部に引き込まれ、保持部列C1、C3により吸引されるシートSの対応する部分に山部がそれぞれ形成される。
【0117】
第31G工程では、非接触式シート保持部41
C1及び41
C3がシートSの一部を吸引した状態で、保持部列C1及びC3のシリンダ741
C1及び741
C3が収縮し、非接触式シート保持部41
C1及び41
C3が上昇する。これにより、
図13に示すようにシートSの両端が更に中央に引き込まれながら、シートSの対応する部分は第3D工程で形成された山部に加えて、保持部列C1及びC3に沿った2つの山部が新たに形成され、結果、3列の山部が形成される。
【0118】
なお、第31C工程〜第31G工程においては、非接触式シート保持部41
C2によるシートSの吸引位置と同じ位置において、接触式シート保持部42
C2による吸着保持を行い、続いて、非接触式シート保持部41
C1及び41
C3によるシートSの吸引後、接触式シート保持部42
C1及び42
C3による保持を行い、その後、シリンダ741を上昇させもよい。
【0119】
<10−4.保持部列が4列の場合のシートSの保持方法>
図14は、保持部列が4列の場合の非接触式シート保持部41
C1〜41
C4によるシートSの保持方法(第3工程)を示す図である。本実施形態も、3列の場合と同様、第32A〜32G工程からなり、内側(中央部側)の保持部列C2、C3から保持していく。3列の場合と異なる部分は、第32B〜32D工程における各動作をさせる保持部列は、C2、C3の2列ということである。第32E〜32G工程における各動作は外側の2列(ここではC1、C4)であることは、上記の3列の場合と同様である。
【0120】
<10−5.全ての非接触式シート保持部が一斉に移動する(保持部列4列)場合>
図15は、全ての非接触式シート保持部41
C1〜41
C4一斉に移動する場合のシートSの保持方法(第3工程)を示す図である。上記のように3列以上の保持部列でシートSを保持する場合であっても、可とう性等のシートSの性質によっては、第1保持部移動ユニット741が全ての保持部列を連動させてもよい場合がある。以下、図を参照しながら、保持部列が4列(C1〜C4)である場合において、これらの保持部列C1〜C4を一斉に動作させる場合について説明する。
【0121】
第33A工程では、非接触式シート保持部41
C1〜41
C4とシートSとを所定の距離hまで接近させるように、保持部列C1〜C4のシリンダ741
C1〜741
C4が伸長する。
【0122】
第33B工程では、保持部列C2及びC3のバルブ41V
C2及び41V
C3を通気状態にする。これにより、非接触式シート保持部41
C2及び41
C3が、シートSの対応する部分を保持部列C2、C3に沿って吸引する。これにより、図に示すようにシートSの両端が中央に引き込みながら、シートSの対応する部分には保持部列C2及びC3に沿った2つの山部がそれぞれ形成される。
【0123】
第33C工程では、保持部列C1及びC4のバルブ41V
C1及び41V
C4を駆動させて通気状態にする。これにより、非接触式シート保持部41
C1及び41
C4が、シートSの対応する部分を保持部列C1、C4に沿って吸引する。これにより、
図15に示すようにシートSの両端が中央に引き込まれながら、シートSは第33B工程で形成された2つの山部に加えて、保持部列C1及びC4に沿った2つの山部が新たに形成され、結果、4列の山部が形成される。
【0124】
第33D工程では、非接触式シート保持部41
C1〜41
C4がシートSを吸引した状態及び接触式シート保持部42
C1乃至42
C4がシートSを吸着した状態で、保持部列C1〜C4のシリンダ741
C1〜741
C4が収縮し、非接触式シート保持部41
C1〜41
C4を上昇させる。
【0125】
なお、第33D工程以降においては、非接触式シート保持部41
C2及び41
C3によるシートSの吸引位置と同じ位置において、接触式シート保持部42
C2及び42
C3による吸着保持を行い、続いて、非接触式シート保持部41
C1及び41
C4によるシートSの吸引後、接触式シート保持部42
C1及び42
C4による保持を行い、その後、シリンダ741を上昇させもよい。
【0126】
なお、本実施形態では、シート離隔装置113を用いずにシートSを保持したが、上記の他の実施形態においてもシート離隔装置113を用いずにシートSを保持してもよい(すなわち、第3A工程、第31A工程、第32工程、及び第33工程は省略可能である)。
【0127】
図16は、本発明の他の実施形態に係る保持装置1と、シートS及びワークWとの位置関係を示す側面図である。また、上記実施形態では、ワーク保持部61を昇降可能にするワーク保持部移動ユニット76を構成しているが、
図16に示すように、ワーク保持部61を上下動させるワーク保持部移動ユニット6を設けることなく、予め所定の位置にワーク保持部61を固定させた状態で構成してもよい。
図16に示す実施形態においては、ワーク保持部61を保持装置本体10に固定する取付部材61aLおよび61aRが保持装置本体の対向する端部にそれぞれ構成され、保持部列C1、C2または、ガイド部材51L、51Rよりも外側に配置されワーク保持部61L、61R(以下、総称する場合はワーク保持部61とする)を備える。ワーク保持部61の先端(下端)位置はガイド部材51の先端(下端)位置よりも下方側の位置に位置する。本実施形態においては、非接触式シート保持部41および接触式シート保持部42を、ワーク保持部61の位置よりも更に下方の位置まで移動できるように構成することでシートSの取り出しおよび保持を可能にしている。