特許第5877802号(P5877802)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5877802
(24)【登録日】2016年2月5日
(45)【発行日】2016年3月8日
(54)【発明の名称】通信端末装置及び通信アクセス方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 13/00 20060101AFI20160223BHJP
   G06F 9/50 20060101ALI20160223BHJP
【FI】
   G06F13/00 353C
   G06F9/46 465Z
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-1160(P2013-1160)
(22)【出願日】2013年1月8日
(65)【公開番号】特開2014-134874(P2014-134874A)
(43)【公開日】2014年7月24日
【審査請求日】2013年1月8日
【審判番号】不服2014-25016(P2014-25016/J1)
【審判請求日】2014年12月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】394020376
【氏名又は名称】アプリックスIPホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121980
【弁理士】
【氏名又は名称】沖山 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100139000
【弁理士】
【氏名又は名称】城戸 博兒
(74)【代理人】
【識別番号】100152191
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 正人
(72)【発明者】
【氏名】山内 政一
(72)【発明者】
【氏名】等々力 高秀
(72)【発明者】
【氏名】吉川 貴
(72)【発明者】
【氏名】前川 加奈
【合議体】
【審判長】 和田 志郎
【審判官】 千葉 輝久
【審判官】 小曳 満昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−339130(JP,A)
【文献】 特開2006−113698(JP,A)
【文献】 特開2008−269284(JP,A)
【文献】 特開2010−337752(JP,A)
【文献】 特開2013−3657(JP,A)
【文献】 特開2003−208376(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバと通信可能に接続されている通信端末装置において、
他の通信端末装置と同一の基準時刻を複数記憶する記憶手段と、
前記複数の基準時刻ごとに、それぞれの基準時刻に隣接する基準時刻との間の時間幅を基準時刻に対応付けて算出する時間幅算出手段と、
当該時間幅および一の乱数により前記時間幅に応じた遅延時間を算出する遅延時間算出手段と、
それぞれの基準時刻と、当該基準時刻ごとに定められた時間幅に対応する遅延時間とに基づいてアクセスタイミングを特定するアクセスタイミング特定手段と、
前記アクセスタイミング特定手段が特定したアクセスタイミングで前記サーバへ通信アクセスする通信アクセス手段と、を備え、
前記記憶手段は、前記サーバへのアクセス頻度が高い時間帯に対応する基準時刻の間隔が、他の時間帯と比較して長くなるような基準時刻を前記サーバから取得し、記憶することを特徴とする通信端末装置。
【請求項2】
請求項に記載の複数の通信端末装置と、
前記複数の通信端末装置のそれぞれから異なるアクセスタイミングをもってアクセス要求を受け付けるサーバと、を備える通信システム。
【請求項3】
サーバと通信可能に接続されている、他の通信端末装置と同一の基準時刻を複数記憶する通信端末装置における通信アクセス方法であって、
前記複数の基準時刻ごとに、それぞれの基準時刻に隣接する基準時刻との間の時間幅を基準時刻に対応付けて算出する時間幅算出ステップと、
当該時間幅および一の乱数により前記時間幅に応じた遅延時間を算出する遅延時間算出ステップと、
それぞれの基準時刻と、当該基準時刻ごとに定められた時間幅に対応する遅延時間とに基づいてアクセスタイミングを特定するアクセスタイミング特定ステップと、
前記アクセスタイミング特定ステップで特定したアクセスタイミングで前記サーバへ通信アクセスする通信アクセスステップと、を備え、
前記通信端末装置は、前記サーバへのアクセス頻度が高い時間帯に対応する基準時刻の間隔が、他の時間帯と比較して長くなるような基準時刻を前記サーバから取得し、記憶する通信アクセス方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバへのアクセスタイミングを管理する通信端末装置及び通信アクセス方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、クライアントサーバ間の通信アクセスを分散させる技術がある(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、所定の同期周期のタイミングで乱数に基づいた遅延時間を定める処理を毎回行い、各クライアントで通信アクセスするタイミングを特定することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−9986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、クラウド技術を利用して、複数の通信端末において同一のメールアカウントを有し、それら通信端末において同一のメールアカウントにかかる電子メールの送受信を行うシステムが考えられている。このシステムにおいては、クラウドサーバ上に電子メールデータ(ヘッダ情報や書誌情報のほか、メール本文や添付ファイルを含む)が保存されており、通信端末は、基本的には各電子メールのヘッダ情報(件名、宛先など)および書誌情報(電子メールデータに対する各種ステータス等)のみを保持している。そして、ユーザが個々の電子メールデータを閲覧する際に、通信端末はクラウドサーバからメール本文および添付ファイルを取得することで、メール本文や添付ファイルを表示することができる。
【0005】
このようなクラウドサーバを利用したメールシステムにおいては、メールサーバと接続することなく、ユーザは通信端末に保持されている電子メールデータを操作することができる。例えば、ユーザは、通信端末を操作することにより、当該通信端末に保持されているメールボックスにフォルダを新たに作成したり、メールボックスから電子メールデータを削除したり、またはフォルダなどの名称変更することができる。この場合、通信端末に保持されている電子メールデータやフォルダのみが変更されていることから、メールサーバに保持されている電子メールデータやフォルダにも同様の変更を加えなければメールサーバと通信端末との間で、保持される電子メールデータやフォルダに不整合が生じることになる。
【0006】
上記の不整合を解消するために、通信端末は、変更情報をメールサーバへ通知して、メールサーバは、上記変更情報をメールサーバで保持されているデータに反映させる。そして、同一メールアカウントを利用可能な他の通信端末は、メールサーバで変更が発生しているか否かをメールサーバへ問い合わせるために自動で定期的にアクセスすることが考えられる。
【0007】
この場合に、特許文献1に記載の技術では、毎回基地局から取得した信号に基づき、同期処理をした後に乱数に基づいた遅延時間を求めており、必ずしも効率的な処理とはいえない。
【0008】
そこで、本発明においては、上記の課題を解決するために、効率良く複数の通信端末間の通信アクセスタイミングを分散させる通信端末装置及び通信アクセス方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
発明に係る通信端末装置は、サーバと通信可能に接続されている通信端末装置において、他の通信端末装置と同一の基準時刻を複数記憶する記憶手段と、複数の基準時刻ごとに、それぞれの基準時刻に隣接する基準時刻との間の時間幅を基準時刻に対応付けて算出する時間幅算出手段と、当該時間幅および一の乱数により時間幅に応じた遅延時間を算出する遅延時間算出手段と、それぞれの基準時刻と、当該基準時刻ごとに定められた時間幅に対応する遅延時間とに基づいてアクセスタイミングを特定するアクセスタイミング特定手段と、アクセスタイミング特定手段が特定したアクセスタイミングでサーバへ通信アクセスする通信アクセス手段と、を備え、記憶手段は、サーバへのアクセス頻度が高い時間帯に対応する基準時刻の間隔が、他の時間帯と比較して長くなるような基準時刻をサーバから取得し、記憶する。
【0014】
また、本発明に係る通信アクセス方法は、サーバと通信可能に接続されている、他の通信端末装置と同一の基準時刻を複数記憶する通信端末装置における通信アクセス方法であって、複数の基準時刻ごとに、それぞれの基準時刻に隣接する基準時刻との間の時間幅を基準時刻に対応付けて算出する時間幅算出ステップと、当該時間幅および一の乱数により時間幅に応じた遅延時間を算出する遅延時間算出ステップと、それぞれの基準時刻と、当該基準時刻ごとに定められた時間幅に対応する遅延時間とに基づいてアクセスタイミングを特定するアクセスタイミング特定ステップと、アクセスタイミング特定ステップで特定したアクセスタイミングでサーバへ通信アクセスする通信アクセスステップと、を備え、通信端末装置は、サーバへのアクセス頻度が高い時間帯に対応する基準時刻の間隔が、他の時間帯と比較して長くなるような基準時刻をサーバから取得し、記憶する。
【0015】
このような通信端末装置及び通信アクセス方法によれば、他の通信端末装置と同一の基準時刻を複数有し、基準時刻に隣接する基準時刻との間の時間幅の遅延時間を乱数により算出し、それぞれの基準時刻と、当該基準時刻ごとに定められた時間幅に対応する遅延時間とに基づいてアクセスタイミングを特定しており、毎回同期処理を行うことなく、各通信端末装置のアクセスタイミングを特定することができるので、効率よく複数の通信端末装置間のアクセスタイミングを分散させることができる。別の観点による本発明に係る通信端末装置は、記憶手段は、サーバへのアクセス頻度が高い時間帯に対応する基準時刻の間隔が、他の時間帯と比較して長くなるように基準時刻をサーバから取得し、記憶する。
【0016】
また、本発明に係る通信システムは、本発明に係る複数の通信端末装置と、複数の通信端末装置のそれぞれから異なるタイミングをもってアクセス要求を受け付けるサーバを備える。このような通信システムによれば、複数の通信端末装置からそれぞれ異なるタイミングをもってアクセス要求を受け付けるので、効率よく複数の通信端末間のアクセスタイミングを分散させた通信システムを実現できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、効率良く複数の通信端末間の通信アクセスタイミングを分散させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施形態の情報処理システム10のシステム構成図である。
図2】本実施形態の通信端末装置300の機能を示すブロック図である。
図3】通信端末装置300のハードウェア構成図である。
図4】複数の通信端末装置のアクセスタイミングを概念的に示す図である。
図5】サーバアクセス処理を示すフローチャートである。
図6】周期の設定例を説明する図である。
図7】基準時刻テーブルの例を示す図である。
図8】各サイクルとアクセスタイミングとを概念的に示した説明図である。
図9】周期を可変とした場合のサーバアクセス処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る実施形態を説明する。可能な場合には、同一の部分には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0020】
(情報処理システム10の構成)
図1は、本実施形態の情報処理システム10のシステム構成図である。図1に示すように、この情報処理システム10は、メールサーバ100と、複数の通信端末装置300とを含んで構成されている。また、図1に示すように、メールサーバ100、通信端末装置300は、それぞれ互いにネットワーク等により接続されている。
【0021】
メールサーバ100は、外部のサーバから新規のメールを取得したり、メール関連情報保持部103において通信端末装置300のメールデータをフォルダごとに区別して保持し、各メールデータの属性情報(保存フォルダ、既読状態等)を管理したりする。また、メールサーバ100は、通信端末装置300が保持するメールデータを編集した結果情報である同期用情報を通信端末装置300から取得し、当該同期用情報をメール関連情報保持部103が保持しているメールデータに反映させる。また、メールサーバ100は、他の通信端末装置300からメールデータの変更の問合せを受け付け、変更があった場合、同期用情報を問合せをした通信端末装置300へ送信する。
【0022】
通信端末装置300は、メールアプリケーションがインストールされており、メール操作が可能な端末装置である。通信端末装置300は、メールサーバ100から新規のメールを受信したり、メール関連情報保持部303においてメールデータをフォルダごとに区別して保持したりする。また、通信端末装置300は、通信端末装置300で保持しているメールデータを編集し、編集結果を同期用情報としてメールサーバ100へ通知する。そして、通信端末装置300は、メールサーバ100へメールデータの変更の有無を問い合わせるために、定期的にメールサーバ100へアクセスして、メールデータの変更がある場合には、同期用情報をメールサーバ100から取得する。
【0023】
(通信端末装置300の構成)
次に、通信端末装置300について詳細に説明する。図2は、通信端末装置300の機能を示すブロック図である。この通信端末300は、メール表示制御部301、メール作成編集部302、メール関連情報保持部303、データ処理部304、通信管理部305、遅延時間算出部306、アクセスタイミング特定部307、及びサーバアクセス部308(通信アクセス手段)を含んで構成されている。
【0024】
このように構成された通信端末装置300は、図3に示されるハードウェアにより構成されている。図2に示される通信端末装置300は、物理的には、図3に示すように、CPU11、主記憶装置であるRAM12及びROM13、入力デバイスであるキーボード及びマウス等の入力装置14、ディスプレイ等の出力装置15、ネットワークカード等のデータ送受信デバイスである通信モジュール16、不揮発性で書き換え可能なフラッシュメモリ17などを含むコンピュータシステムとして構成されている。図2における各機能は、図3に示すCPU11、RAM12等のハードウェア上に所定のコンピュータソフトウェアを読み込ませることにより、CPU11の制御のもとで入力装置14、出力装置15、通信モジュール16を動作させるとともに、RAM12やフラッシュメモリ17におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。以下、図2に示す機能ブロックに基づいて各機能ブロックを説明する。
【0025】
メール表示制御部301は、新規のメール作成用の画面、通信端末装置300が保持しているメールの一覧用画面の表示制御を行う。
【0026】
メール作成編集部302は、通信端末装置300の利用者の入力操作に基づいて、メールの入力、メールの保存等を行う。また、メール作成編集部302は、メールの送信要求を受け付けた場合、後述する通信管理部305を介してメールサーバ100へ送信要求を行うと共に、送信対象のメールの情報をメール関連情報保持部303へ格納する。
【0027】
メール関連情報保持部303は、メールデータをフォルダごとに区別して保持する。具体的には、メール関連情報保持部303は、メールデータ、メールデータの保存先となるフォルダに関する情報(フォルダデータ)を保持するデータベースである。
【0028】
データ処理部304は、通信端末装置300の利用者の入力操作に基づいて、メール情報又はフォルダ情報の編集処理を行う。すなわち、データ処理部304は、通信端末装置300の利用者の入力操作に応じて、メール関連情報保持部303が保持しているメールデータ、フォルダデータを編集する。編集処理の例として、メールの未読から既読への変更に基づく処理、メールの保存先フォルダの変更(フォルダ移動)に基づく処理等がある。
【0029】
また、データ処理部304は、通信管理部305を介してメールサーバ100から取得した同期用情報をメール関連情報保持部303へ登録する。
【0030】
通信管理部305は、メールサーバ30との各種情報(メール情報、同期用情報)の送受信を行う。
【0031】
遅延時間算出部306は、複数の通信端末装置300で同一の基準時刻を有するとともに、通信端末装置300毎に乱数を発生させ、当該基準時刻に基づいた所定時間幅内の遅延時間を乱数により算出する。例えば、遅延時間算出部306は、乱数に上限及び下限が有る場合、上限から下限の範囲に対する算出した乱数の位置と、上記時間幅内の位置とを対応付けて遅延時間を算出する。
【0032】
アクセスタイミング特定部307は、遅延時間とアクセス周期とに基づいてアクセスタイミングを特定する。具体的に、アクセスタイミング特定部307は、遅延時間にアクセス周期を加算することによりアクセスタイミングを定める。ここで、アクセスタイミングとは、メールサーバ100へ通信アクセスするタイミングであり、時刻で算出する方法や、所定の基準となる時刻からの経過時間で算出する方法がある。
【0033】
サーバアクセス部308は、アクセスタイミング特定部307が特定したアクセスタイミングで通信管理部305を介してメールサーバ100へ通信アクセス(以下、通信アクセスを単に「アクセス」とも呼ぶ)する。
【0034】
続いて、アクセスタイミングを特定する方法について図4を用いて説明する。前提として、各通信端末装置300は、各通信端末装置300で共通の基準時刻(例えば、午前0時など)を保持している。
【0035】
各通信端末装置300は、メールアプリケーションを起動すると、遅延時間算出部306が基準時刻に基づいた所定時間幅内の遅延時間を乱数により算出する。具体的に、遅延時間算出部306が乱数を発生させ、予め定められている時間幅である分散幅T1内における当該乱数に対応する遅延時間を算出し、アクセスタイミング特定部307は、基準時刻と当該遅延時間とに基づいて遅延時刻を特定する。また、アクセスタイミング特定部307は、基準時刻に遅延時間を加算して遅延時刻を特定する。
【0036】
図4の例では、通信端末装置300Aの遅延時間算出部306は、乱数を発生させ、分散幅T1内における、当該乱数に対応する遅延時間Aを算出し、アクセスタイミング特定部307は、基準時刻と当該遅延時間Aに基づいて、遅延時刻t1を特定する。その一方で通信端末装置300Bの遅延時間算出部306は、乱数を発生させ、分散幅T1内における、当該乱数に対応する遅延時間Bを算出し、アクセスタイミング特定部307は、基準時刻と当該遅延時間Bに基づいて、遅延時刻t2を特定する。同様に、通信端末装置300C及び通信端末装置300Dのそれぞれの遅延時間算出部306は、乱数に対応する遅延時間を算出し、アクセスタイミング特定部307は、基準時刻と遅延時間から遅延時刻を特定する。
【0037】
基準時刻から遅延時間分遅れた時刻である遅延時刻がそれぞれの通信端末装置300によるメールサーバ100への最初のアクセスタイミングになる。そして、アクセスタイミング特定部307が特定した遅延時刻に、各通信端末装置300で同じ周期T2を加算することで、メールサーバ100への次のアクセスタイミングを算出する。通信端末装置300Aの場合、遅延時間算出部306が乱数により遅延時間を算出し、アクセスタイミング特定部307が、基準時刻と遅延時間に基づいて時刻t1を特定すると、アクセスタイミング特定部307は、当該時刻t1をメールサーバ100への最初のアクセスタイミングと特定し、時刻t1に周期T2を加算した時刻t5を次のアクセスタイミングとする。以降、アクセスタイミング特定部307は、時刻t5に周期T2を加算することにより、アクセスタイミングを特定する。なお、上記周期T2の長さは、分散幅T1以上の長さとする。
【0038】
続いて、アクセスタイミングを特定し、当該アクセスタイミングに基づいてメールサーバ100へアクセスする処理手順を図5に示すフローチャートを用いて説明する。
【0039】
最初に、通信端末装置300の利用者の入力操作に応じて、通信端末装置300がメールアプリケーションを起動すると(ステップS1)、遅延時間算出部306は、通信端末装置300が保持している基準時刻を読み込むことにより基準時刻を特定する(ステップS2)。そして、遅延時間算出部306は、乱数を発生させて、分散幅T1における乱数に対応する遅延時間を算出し、アクセスタイミング特定部307は、基準時刻及び遅延時間に基づいて遅延時刻を特定する(ステップS3)。
【0040】
続いて、アクセスタイミング特定部307は、遅延時間及び周期に基づいてアクセスタイミングを特定する。具体的には、アクセスタイミング特定部307は、遅延時間に周期を加算し、現在時刻と当該加算した結果とを比較することにより、直近のアクセスタイミングを特定する(ステップS4)。
【0041】
アクセスタイミングであるサーバアクセス時刻になったタイミングで(ステップS5;YES)、サーバアクセス部308は、メールサーバ100に対してアクセスする(ステップS6)。
【0042】
続いて、複数の基準時刻と遅延時間に基づいてアクセスタイミングをずらす変形例について説明する。
【0043】
まず、図6に本変形例の動作の概念について説明する。図6(A)は、均等にサイクルを分けた場合の例である。この場合に、図6(B)に示すように8時〜12時(第5サイクル〜第6サイクル)と、18時〜22時(第10サイクル〜第11サイクル)について、利用者による明示的な操作に応じた、通信端末装置300によるサーバアクセスが頻繁に起きる場合、上記の利用者による明示的な操作によるサーバアクセスが頻繁に起きる時間帯については、通信端末装置300からの定期的なアクセス頻度を下げることが望まれる。
【0044】
そこで、図6(C)に示すように、利用者の明示的な操作によるサーバアクセス頻度の高い複数の連続したサイクルを1つにまとめて、各サイクルにおける通信端末装置300のメールサーバ100へのアクセスを1度のみ許可するようにする。
【0045】
この変形例における装置における機能構成は、図2に示されるものと同じであるが、遅延時間算出部306およびアクセスタイミング特定部307については、以下の通りの動作を行うものとする。
【0046】
遅延時間算出部306は、複数の基準時刻を記憶する基準時刻テーブル(記憶手段)を備えている。図7は、この基準時刻テーブルの具体例を示す。図7に示される通り、ここでは、基準時刻が2時間おきに割り振られているが、サーバアクセスが頻繁に起きる時間帯については、4時間の間隔があけられている。
【0047】
遅延時間算出部306は、この基準時刻テーブルを利用して、複数のサイクルを生成する。すなわち、遅延時間算出部306は、時間幅算出手段として機能して、複数の基準時刻ごとに、それぞれの基準時刻に隣接する基準時刻との間の時間幅を基準時刻に対応付けてその時間幅を算出する。
【0048】
図8は、各サイクルとアクセスタイミングとを概念的に示した説明図である。まず、遅延時間算出部306は、基準時刻テーブルに基づいて、基準時間ごとに割り当てられている各サイクルの時間幅を算出する。図8においては、第3サイクル、および第4サイクルについては、2時間の時間幅が基準時刻に対応付けて算出され、第5サイクルについては、4時間の時間幅が算出されている。なお、この時間帯は、アクセス頻度が高い時間帯であることから他の時間帯よりも長い時間幅をとることができるように基準時刻が設定されている。遅延時間算出部306は、基準時刻ごとに、上述のとおり算出された時間幅が対応付けておく。
【0049】
そして、遅延時間算出部306は、乱数を発生して、発生した乱数と各時間幅とに基づいて遅延時間Xおよび遅延時間Yを算出する。なお、X<Yとなるように算出する。ここでも、遅延時間算出部306は、基準時刻と遅延時間とを対応付けて保持しておく。
【0050】
そして、アクセスタイミング特定部307は、基準時刻と遅延時間Xおよび遅延時間Yに基づいてアクセスタイミングを特定する。すなわち、ここでは、各基準時刻に、その基準時刻ごとに割り当てられた時間幅が対応付けられている遅延時間XまたはYを加算することにより、アクセスタイミングを特定することができる。図8においては、サーバアクセスt11〜t13がアクセスタイミングに相当する。
【0051】
このように、明示的な操作によるアクセス頻度の高い時間帯については、その他の時間帯にと比較して、アクセスタイミングの間隔を長く設定することにより、通信端末装置300がメールサーバ100へアクセスする頻度を下げることができる。
【0052】
この変形例における通信端末装置300の処理手順を図9に示すフローチャートを用いて説明する。上述のとおり、通信端末装置300が各サイクルの開始時刻(基準時刻に対応)を保持していること、または当該開始時刻を特定し得る構成であること(例えば、所定のタイミングでメールサーバ100から開始時刻の情報を取得する等)が前提となる。
【0053】
最初に、通信端末装置300の利用者の入力操作に応じて、通信端末装置300がメールアプリケーションを起動すると(ステップS11)、遅延時間算出部306は、通信端末装置300が保持している各サイクルの開始時刻を読み込むことにより基準時刻を特定する(ステップS12)。そして、遅延時間算出部306は、乱数を発生させる(ステップS13)。遅延時間算出部306は、各サイクルの長さを各サイクルの開始時刻の情報から算出する(ステップS14)。次に、遅延時間算出部306は、各サイクルの長さの範囲内に含まれるように乱数に基づいた遅延時間を算出し(ステップS15)、アクセスタイミング特定部307は、当該遅延時間と各サイクルの開始時刻に基づいて各サイクルのアクセスタイミングを特定する(ステップS16)。
【0054】
続いて、アクセスタイミング特定部307は、現在時刻と各サイクルのアクセスタイミングとを比較することにより、直近のアクセスタイミングを特定する(ステップS16)。
【0055】
アクセスタイミングであるサーバアクセス時刻になったタイミングで(ステップS17;Yes)、サーバアクセス部308は、メールサーバ100に対してアクセスする(ステップS18)。
【0056】
次に、本実施形態に係る通信端末装置300の作用効果について説明する。本実施形態に係る通信端末装置300によれば、メールサーバ100と複数の通信端末装置300とが通信可能に接続されており、遅延時間算出部306が、他の通信端末装置300と同一の基準時刻に基づいた時間幅内の遅延時間を乱数により算出し、アクセスタイミング特定部307が、基準時刻と、遅延時間と所定周期でアクセスするための周期T2とに基づいてアクセスタイミングを特定し、サーバアクセス部308は、アクセスタイミング特定部307が特定したアクセスタイミングでメールサーバ100へ通信アクセスする。
【0057】
このような通信端末装置300によれば、他の通信端末装置300と同一の基準時刻に基づいた時間幅内の遅延時間を乱数により算出し、当該遅延時間とアクセス周期とに基づいてアクセスタイミングを特定しており、毎回乱数を発生させて遅延時間を算出することなく、各通信端末装置300のアクセスタイミングを特定することができるので、効率よく複数の通信端末装置300間のアクセスタイミングを分散させることができる。
【0058】
本実施形態に係る通信端末装置300によれば、メールサーバ100と通信可能に接続されており、他の通信端末装置300と同一の基準時刻を複数記憶し、遅延時間算出部306は、複数の基準時刻ごとに、それぞれの基準時刻に隣接する基準時刻との間の時間幅を基準時刻に対応付けて算出し、当該時間幅および乱数により遅延時間を算出し、アクセスタイミング特定部307は、それぞれの基準時刻と、当該基準時刻ごとに定められた時間幅に対応する遅延時間とに基づいてアクセスタイミングを特定し、サーバアクセス部308は、アクセスタイミング特定部307が特定したアクセスタイミングでメールサーバ100へ通信アクセスする。
【0059】
このような通信端末装置300によれば、他の通信端末装置300と同一の基準時刻を複数有し、基準時刻に隣接する基準時刻との間の時間幅の遅延時間を乱数により算出し、それぞれの基準時刻と、当該基準時刻ごとに定められた時間幅に対応する遅延時間とに基づいてアクセスタイミングを特定しており、毎回同期処理を行うことなく、各通信端末装置のアクセスタイミングを特定することができるので、効率よく複数の通信端末装置300間のアクセスタイミングを分散させることができる。
【0060】
情報処理システム10は、複数の通信端末装置300と、複数の通信端末装置300のそれぞれから異なるタイミングをもってアクセス要求を受け付けるメールサーバ100を備える。このような情報処理システム10によれば、複数の通信端末装置300からそれぞれ異なるタイミングをもってアクセス要求を受け付けるので、効率よく複数の通信端末装置300間のアクセスタイミングを分散させた情報処理システム10を実現できる。
【0061】
(他の実施形態)
上述の実施形態に加えて、通信端末装置300からメールサーバ100へのアクセス頻度が高い時間帯に対応する周期T2を、他の周期T2と比較して長く設定するようにしても良い。この場合、通信端末装置300からメールサーバ100へのアクセス頻度が高い時間帯に対応する周期T2が長く設定されているので、メールサーバ100の通信負荷を軽減させることができる。また、各通信端末装置300がメールサーバ100からの通知に応じてメールサーバ100に対するアクセス周期を変動させて、アクセス頻度を制御する構成とすることも可能である。
【符号の説明】
【0062】
10…情報処理システム、100…メールサーバ、106…メール関連情報保持部、300…通信端末装置、301…メール表示制御部、302…メール作成編集部、303…メール関連情報保持部、304…データ処理部、305…通信管理部、306…遅延時間算出部、307…アクセスタイミング特定部、308…サーバアクセス部。
図1
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