【実施例】
【0025】
本発明を実施例に基づいて説明する。
本発明で用いられる物性の測定方法及び条件は以下のとおりである。
まず、物性の測定方法を以下にまとめて記す。
<球状核の体積膨潤度[%]>
試料にスポイトで水を垂らして膨潤させ、5分後に水を拭き取る。膨潤前後の顕微鏡写真をとり、短径、長径を計測し、これらの平均値を直径として、膨潤前後の粒子の体積を算出する。粒子20個について実施し、その平均値を求め、以下の式より体積膨潤度とする。
体積膨潤度[%]=(膨潤後の体積−膨潤前の体積)×100/膨潤前の体積
【0026】
<球状核の真球度>
試料の顕微鏡写真をとり、短径/長径比を計測する。粒子150個について実施し、その平均値を真球度とする。
<球状核の密度[g/ml]>
スコットボリュームメーター(筒井理化学器械(株))を用いて測定する。試料を定量フィーダーにて30〜60秒かけて25mlの測定容器内にあふれるまで流下させる。次いで容器の上部に堆積した過剰量の試料をすり落とし、その後、容器に疎充填された重量を量る。容器に疎充填された重量を測定容器の容積で除した値を密度とする。3回測定し、その平均値をとる。
【0027】
<薬物の溶出試験>
溶出試験器DT−610(日本分光(株))及び分光光度計V−530(日本分光(株))を用いて測定する。一般試験法「溶出試験法」に準じて実施し、装置は「装置2」(パドル法)、パドル回転数は100rpm、試験液は日本薬局方「溶出試験第1液」を使用する。3回測定し、その平均値をとる。
<薬物の放出開始時間、放出時間>
薬物の溶出率が5%未満のときは薬物の放出が抑制されているとして、溶出率が5%未満である時間を放出開始時間とする。また放出開始時間から薬物の溶出率が80%以上となるまでの時間を放出時間とする。
【0028】
[実施例1]
結晶セルロース(吸水量2.1ml/g、200メッシュ留分30%、平均重合度220、結晶化度65%)1440gとクロスカルメロースナトリウム(キッコレートND−2HS/旭化成ケミカルズ(株))160gを高速攪拌造粒機(バーチカルグラニュレーターFM−VG−10P/(株)パウレック)に仕込み、温度45℃、メインブレード264m/分(半径14cm、300rpm)、クロススクリュー251m/分(半径4cm、1000rpm)で攪拌しながら蒸留水2720g(膨潤剤に対して17.0倍の質量比)を少しずつ加えた後、60分間攪拌・造粒し、湿った状態の球状造粒物(結晶セルロース:膨潤剤=90:10)を得た。
【0029】
次に、得られた球状造粒物を転動型流動層コーティング装置(マルチプレックスMP−01/(株)パウレック)に水分込みで1000g仕込み、温度50℃、速度301m/分(半径8cm、600rpm)で転動しながら、30分かけて蒸留水300gを少しずつ加えた後に、温度25℃、速度301m/分で30分間転動し、表面円滑化・球形化を
行った。次いで、温度80℃、速度75m/分(半径8cm、150rpm)で転動しながら乾燥し、球状核を得た。
篩で300〜500μmの粒径を有する球状核Aを得た。篩分する前の全球状核に対して、300〜500μm粒径の割合は52質量%であった。得られた球状核Aを高分解能走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、円滑な表面であった。さらに体積膨潤度、真球度、密度を前述の方法に従って求め、それらの値を表1に記載した。
球状核A600gを転動型流動層コーティング装置(マルチプレックスMP−01/(株)パウレック)に仕込み、薬物水分散液(3.9質量%リボフラビン、0.8質量%ヒドロキシプロピルセルロース、95.3質量%蒸留水)で噴霧・被覆し、球状核に対してリボフラビンを2.0質量%含有する球形素顆粒Aを得た。
【0030】
次いで得られた球形素顆粒A550gを転動型流動層コーティング装置(マルチプレックスMP−01/(株)パウレック)に仕込み、水不溶性物質として13質量%エチルセルロース(セリオスコートEC−30A/旭化成ケミカルズ(株))、可塑剤として2質量%クエン酸トリエチル、85質量%蒸留水を含有する水性懸濁液を、球状核に対して10質量%(固形分)まで噴霧・被覆し、乾燥させた。その後105℃のオーブンで1時間加熱することで皮膜層を形成させた。篩で500μm以上の粒子を除去し、エチルセルロースとクエン酸トリエチルを固形分で10質量%被覆させた球形顆粒Aを得た。
【0031】
[実施例2]
結晶セルロース600gとクロスカルメロースナトリウム400gを高速攪拌造粒機に仕込み、実施例1と同じ条件で攪拌しながら蒸留水3950g(膨潤剤に対して9.9倍の質量比)を少しずつ加えた後、60分間攪拌・造粒し、湿った状態の球状造粒物(結晶セルロース:膨潤剤=60:40)を得た。
次に、得られた球状造粒物を転動型流動層コーティング装置に水分込みで1000g仕込み、実施例1と同じ条件で転動し、表面円滑化・球形化を行った。次いで、温度80℃、速度75m/分(半径8cm、150rpm)で転動しながら乾燥し、球状核を得た。
篩で300〜500μmの粒径を有する球状核Bを得た。篩分する前の全球状核に対して、300〜500μm粒径の割合は45質量%であった。得られた球状核Bを高分解能走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、円滑な表面であった。さらに体積膨潤度、真球度、密度を前述の方法に従って求め、それらの値を表1に記載した。
球状核Bを用いて、実施例1と同様にして球形素顆粒Bを得た。
次いで得られた球形素顆粒Bを用いて、実施例1と同様にして、エチルセルロースとクエン酸トリエチルを固形分で30質量%被覆させた球形顆粒Bを得た。
【0032】
[実施例3]
結晶セルロース400gとクロスカルメロースナトリウム400gを高速攪拌造粒機に仕込み、実施例1と同じ条件で攪拌しながら蒸留水3760g(膨潤剤に対して9.4倍の質量比)を少しずつ加えた後、60分間攪拌・造粒し、湿った状態の球状造粒物(結晶セルロース:膨潤剤=50:50)を得た。
次に、得られた球状造粒物を転動型流動層コーティング装置に水分込みで1000g仕込み、実施例1と同じ条件で転動し、表面円滑化・球形化を行った。次いで、温度80℃、速度75m/分(半径8cm、150rpm)で転動しながら乾燥し、球状核を得た。
篩で300〜500μmの粒径を有する球状核Cを得た。篩分する前の全球状核に対して、300〜500μm粒径の割合は32質量%であった。得られた球状核Cを高分解能走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、円滑な表面であった。さらに体積膨潤度、真球度、密度を前述の方法に従って求め、それらの値を表1に記載した。
球状核Cを用いて、実施例1と同様にして球形素顆粒Cを得た。
次いで得られた球形素顆粒Cを用いて、実施例1と同様にして、エチルセルロースとクエン酸トリエチルを固形分で30質量%被覆させた球形顆粒Cを得た。
【0033】
[実施例4]
結晶セルロース320gとクロスカルメロースナトリウム480gを高速攪拌造粒機に仕込み、実施例1と同じ条件で攪拌しながら蒸留水4400g(膨潤剤に対して9.2倍の質量比)を少しずつ加えた後、60分間攪拌・造粒し、湿った状態の球状造粒物(結晶セルロース:膨潤剤=40:60)を得た。
次に、得られた球状造粒物を転動型流動層コーティング装置に水分込みで1000g仕込み、実施例1と同じ条件で転動し、表面円滑化・球形化を行った。次いで、温度80℃、速度75m/分(半径8cm、150rpm)で転動しながら乾燥し、球状核を得た。
篩で300〜500μmの粒径を有する球状核Dを得た。篩分する前の全球状核に対して、300〜500μm粒径の割合は25質量%であった。得られた球状核Dを高分解能走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、円滑な表面であった。さらに体積膨潤度、真球度、密度を前述の方法に従って求め、それらの値を表1に記載した。
球状核Dを用いて、実施例1と同様にして球形素顆粒Dを得た。
次いで得られた球形素顆粒Dを用いて、実施例1と同様にして、エチルセルロースとクエン酸トリエチルを固形分で30質量%被覆させた球形顆粒Dを得た。
【0034】
[実施例5]
[参考例]
結晶セルロース210gとクロスカルメロースナトリウム490gを高速攪拌造粒機に仕込み、実施例1と同じ条件で攪拌しながら蒸留水4340g(膨潤剤に対して8.9倍の質量比)を少しずつ加えた後、60分間攪拌・造粒し、湿った状態の球状造粒物(結晶
セルロース:膨潤剤=30:70)を得た。
次に、得られた球状造粒物を転動型流動層コーティング装置に水分込みで1000g仕込み、実施例1と同じ条件で転動し、表面円滑化・球形化を行った。次いで、温度80℃、速度75m/分(半径8cm、150rpm)で転動しながら乾燥し、球状核を得た。
篩で300〜500μmの粒径を有する球状核Eを得た。篩分する前の全球状核に対して、300〜500μm粒径の割合は13質量%であった。得られた球状核Eを高分解能走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、表面に凹凸が見られた。さらに体積膨潤度、真球度、密度を前述の方法に従って求め、それらの値を表1に記載した。
球状核Eを用いて、実施例1と同様にして球形素顆粒Eを得た。
次いで得られた球形素顆粒Eを用いて、実施例1と同様にして、エチルセルロースとクエン酸トリエチルを固形分で30質量%被覆させた球形顆粒Eを得た。
【0035】
[比較例1]
結晶セルロース(吸水量2.1ml/g、200メッシュ留分30%、平均重合度220、結晶化度65%)のみ1600gを高速攪拌造粒機(バーチカルグラニュレーターFM−VG−10P/(株)パウレック)に仕込み、温度45℃、メインブレード264m/分(半径14cm、300rpm)、クロススクリュー251m/分(半径4cm、1000rpm)で攪拌しながら蒸留水1520gを少しずつ加えた後、60分間攪拌・造粒し、湿った状態の球状造粒物を得た。
次に、得られた球状造粒物を転動型流動層コーティング装置(マルチプレックスMP−01/(株)パウレック)に水分込みで1000g仕込み、温度50℃、速度301m/分(半径8cm、600rpm)で転動しながら、30分かけて蒸留水300gを少しずつ加えた後に、温度25℃、速度301m/分で30分間転動し、表面円滑化・球形化を行った。次いで、温度80℃、速度75m/分(半径8cm、150rpm)で転動しながら乾燥し、球状核を得た。
篩で300〜500μmの粒径を有する球状核Fを得た。篩分する前の全球状核に対して、300〜500μm粒径の割合は65質量%であった。得られた球状核Fを高分解能走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、円滑な表面であった。さらに体積膨潤度、真球度、密度を前述の方法に従って求め、それらの値を表1に記載した。
球状核Fを用いて、実施例1と同様にして球形素顆粒Fを得た。
次いで得られた球形素顆粒Fを用いて、実施例1と同様にして、エチルセルロースとクエン酸トリエチルを固形分で10質量%被覆させた球形顆粒Fを得た。
【0036】
[比較例2]
クロスカルメロースナトリウム(キッコレートND−2HS/旭化成ケミカルズ(株))のみ600gを高速攪拌造粒機(バーチカルグラニュレーターFM−VG−10P/(株)パウレック)に仕込み、温度45℃、メインブレード264m/分(半径14cm、300rpm)、クロススクリュー251m/分(半径4cm、1000rpm)で攪拌しながら蒸留水4500g(膨潤剤に対して7.5倍の質量比)を少しずつ加えた後、60分間攪拌したが、餅状の固まりになり球状化できなかった。
【0037】
[試験例1]
前述した方法に従って、球形顆粒A〜Fにおける薬物の溶出試験を実施した。リボフラビンの溶出量をUV法(波長:445nm)で測定し、球形顆粒A〜Fに含まれるリボフラビン量に対する溶出量の百分率で評価した。得られた溶出曲線を
図1に示し、それぞれの放出開始時間(薬物の溶出率が5%未満の時間)、及び放出時間(放出開始時間から薬物の溶出率が80%以上となるまでの時間)を表1に記載した。
【0038】
【表1】
【0039】
実施例1〜5、比較例1、2では、膨潤剤の配合比率について評価している。
実施例1〜5(表1及び
図1)から、結晶セルロースと膨潤剤(カルボキシメチルセルロースナトリウム)の配合比率(90:10〜30:70)によって、物性の異なる球状核が得られることを確認した。また、膨潤剤の配合比率が多いほど放出開始時間、及び放出時間を短縮でき、薬物溶出が制御可能であることを確認した。
結晶セルロースと膨潤剤が90:10の比率である球形顆粒A(実施例1)は、核の膨潤度が小さいために一定の放出開始時間の後に徐放性の溶出パターンを示した。
結晶セルロースと膨潤剤が30:70の比率である球形顆粒E(実施例5)は、10分間の放出開始時間を示したが、その間に、徐々に薬物の溶出が発生し、4%近く溶出した。
【0040】
それに対して、結晶セルロースと膨潤剤が60:40〜40:60の比率である球形顆粒B〜D(実施例2〜4)は、一定の放出開始時間後にそれぞれ1時間以内で80%以上の薬物放出が観察され、非常に精度が高く調整しやすい球形顆粒が得られた。
また、球状核Eの表面に凹凸があり、他の球状核と比較するとやや形状が歪であった。それに対して、球状核A〜Dは表面が滑らかなために、薬物や水不溶性物質の皮膜を均一に形成することができる。
比較例1より、膨潤剤を含まずに結晶セルロースのみで得られる球形顆粒Fは、10時間経っても殆ど薬物が放出されず、膜破裂型時限放出製剤としては不適切であることが分かった。
比較例2より、膨潤剤のみでは球状核が得られないことが分かった。
【0041】
[実施例6]
まずは本発明で好ましい膨潤剤として用いられる、クロスカルメロースナトリウム(キッコレートND−2HS/旭化成ケミカルズ(株))、アルファー化デンプン(SWELSTAR PD−1/旭化成ケミカルズ(株))、カルボキシメチルスターチナトリウム(Primojel/DMV)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L−HPC LH−21/信越化学工業(株))、クロスポビドン(ポリプラスドンXL−10/ISP)の沈降体積を以下の手順で測定した。
蒸留水75mlをビーカーに入れ、スターラーで攪拌しながら、膨潤剤1.0gを少しずつ加えた。
膨潤剤を全て投入後、3分間撹拌した。
懸濁液を100mlメスシリンダーに移し、100mlにメスアップ後、沈降管に入れた。
懸濁液を16時間静置し、沈降体積を読み取った。
その結果、沈降体積の大きい順に、カルボキシメチルスターチナトリウム:28.8ml/g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース:21.0ml/g、クロスカルメロースナトリウム:16.5ml/g、アルファー化デンプン:12.0ml/g、クロスポビドン:6.1ml/gであった。ここで沈降体積はその膨潤剤の膨潤性に相関すると考えられ、つまり沈降体積が大きいほど膨潤性が高いと推測される。
【0042】
本発明の球状核における体積膨潤度は、膨潤剤の膨潤性に影響されると考えられるので、最も大きな沈降体積を示したカルボキシメチルスターチナトリウム、及び最も小さな沈降体積を示したクロスポビドンの2種類で球状核を製造し、評価した。
実施例3において、クロスカルメロースナトリウム(キッコレートND−2HS/旭化成ケミカルズ(株))の代わりに、カルボキシメチルスターチナトリウム(Primojel/DMV)を用いること以外は全く同様にして球状核を得た。
篩で300〜500μmの粒径を有する球状核Gを得た。篩分する前の全球状核に対して、300〜500μm粒径の割合は30質量%であった。得られた球状核Gを高分解能走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、円滑な表面であった。さらに体積膨潤度、真球度、密度を前述の方法に従って求め、それらの値を表2に記載した。
球状核Gを用いて、実施例1と同様にして球形素顆粒Gを得た。
次いで得られた球形素顆粒Gを用いて、実施例1と同様にして、エチルセルロースとクエン酸トリエチルを固形分で30質量%被覆させた球形顆粒Gを得た。
【0043】
[実施例7]
実施例3において、クロスカルメロースナトリウム(キッコレートND−2HS/旭化成ケミカルズ(株))の代わりに、クロスポビドン(ポリプラスドンXL−10/ISP)を用いること以外は全く同様にして球状核を得た。
篩で300〜500μmの粒径を有する球状核Hを得た。篩分する前の全球状核に対して、300〜500μm粒径の割合は39質量%であった。得られた球状核Hを高分解能走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、円滑な表面であった。さらに体積膨潤度、真球度、密度を前述の方法に従って求め、それらの値を表2に記載した。
球状核Hを用いて、実施例1と同様にして球形素顆粒Hを得た。
次いで得られた球形素顆粒Hを用いて、実施例1と同様にして、エチルセルロースとクエン酸トリエチルを固形分で30質量%被覆させた球形顆粒Hを得た。
【0044】
[試験例2]
前述した方法に従って、球形顆粒G、Hにおける薬物の溶出試験を実施した。リボフラビンの溶出量をUV法(波長:445nm)で測定し、球形顆粒G、Hに含まれるリボフラビン量に対する溶出量の百分率で評価した。得られた溶出曲線を
図2に示し、それぞれの放出開始時間(薬物の溶出率が5%未満の時間)、及び放出時間(放出開始時間から薬物の溶出率が80%以上となるまでの時間)を表2に記載した。
【0045】
【表2】
【0046】
実施例3、6、7では、膨潤剤の種類について評価している。
実施例3、6、7(表1、表2及び
図2)から、膨潤剤の配合比率が同じであれば、その種類を変えてもほぼ同じ物性の球状核が得られることを確認した。実施例6で列挙した膨潤剤のうち、最も大きな膨潤性を示したカルボキシメチルスターチナトリウム、中程度の膨潤性を示したクロスカルメロースナトリウム、最も小さな膨潤性を示したクロスポビドンの3種類で確認できたことより、他の膨潤剤を用いても同様の結果が得られると予想される。また、球形顆粒G、H(実施例6、7)は、球形顆粒C(実施例3)と同じく、30分の放出開始時間、及び30分の放出時間を示し、同等の効果が確認できた。
【0047】
[実施例8]
[参考例]
実施例3において、高速攪拌造粒機(バーチカルグラニュレーターFM−VG−10P/(株)パウレック)で攪拌しながら加える蒸留水の量を2000g(膨潤剤に対して5.0倍の質量比)にすること以外は全く同様にして球状核を得た。
篩で300〜500μmの粒径を有する球状核Iを得た。篩分する前の全球状核に対して、300〜500μm粒径の割合は11質量%であった。得られた球状核Iを高分解能走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、表面に凹凸があった。さらに体積膨潤度、真球度、密度を前述の方法に従って求め、それらの値を表3に記載した。
【0048】
[実施例9]
[参考例]
実施例3において、高速攪拌造粒機(バーチカルグラニュレーターFM−VG−10P/(株)パウレック)の攪拌条件を、メインブレード879m/分(半径14cm、900rpm)、クロススクリュー754m/分(半径4cm、3000rpm)にすること以外は全く同様にして球状核を得た。
篩で300〜500μmの粒径を有する球状核Jを得た。篩分する前の全球状核に対して、300〜500μm粒径の割合は13質量%であった。得られた球状核Jを高分解能走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、表面に凹凸があった。さらに体積膨潤度、真球度、密度を前述の方法に従って求め、それらの値を表3に記載した。
【0049】
【表3】
【0050】
実施例8
[参考例]、9
[参考例]では、球状核の製造条件について評価している。
球状核C(実施例3)と比較すると、球状核Iは形状が歪(真球度が低い)で表面が粗く体積膨潤度も低かった。これは加水量が少ないために膨潤剤が十分に膨潤しきれず、結晶セルロースと膨潤剤が不均一に混合されて球状核が形成されたためと思われ、好ましい球状核を得るためには、最適な加水量があることを確認した。
球状核C(実施例3)と比較すると、球状核Jは体積膨潤度は同等だが形状が歪(真球度が低い)で表面が粗かった。これは攪拌速度が速いために適切に球状化できなかったためと思われ、好ましい球状核を得るためには、最適な攪拌条件があることを確認した。
球状核Cは、形状がほぼ真球であり、良好な製剤が得られる可能性が高い。
【0051】
[実施例10]
実施例3で得られた球形素顆粒Cを用いて、実施例1と同様にして、エチルセルロースとクエン酸トリエチルを固形分で40質量%被覆させた球形顆粒K、及び60質量%被覆させた球形顆粒Lを得た。
【0052】
[試験例3]
前述した方法に従って、球形顆粒K、Lにおける薬物の溶出試験を実施した。リボフラビンの溶出量をUV法(波長:445nm)で測定し、球形顆粒K、Lに含まれるリボフラビン量に対する溶出量の百分率で評価した。得られた溶出曲線を
図3に示し、それぞれの放出開始時間(薬物の溶出率が5%未満の時間)、及び放出時間(放出開始時間から薬物の溶出率が80%以上となるまでの時間)を表4に示す。
【0053】
【表4】
【0054】
実施例10では、水不溶性物質の被覆量について評価している。
同じ球状核を用いて30質量%被覆させた球形顆粒C(実施例3)の溶出パターンと比較すると、40質量%、60質量%まで被覆させた球形顆粒K、Lは、ともに放出開始時間、及び放出時間が長くなり、水不溶性物質の被覆量によって薬物溶出が制御可能であることを確認した。水不溶性物質の被覆量が多くなると水分が浸透しにくくなるためと考えられる。