(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5877894
(24)【登録日】2016年2月5日
(45)【発行日】2016年3月8日
(54)【発明の名称】アンテナ
(51)【国際特許分類】
H01Q 19/19 20060101AFI20160223BHJP
【FI】
H01Q19/19
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-509147(P2014-509147)
(86)(22)【出願日】2013年4月1日
(86)【国際出願番号】JP2013059845
(87)【国際公開番号】WO2013150996
(87)【国際公開日】20131010
【審査請求日】2014年10月7日
(31)【優先権主張番号】特願2012-84035(P2012-84035)
(32)【優先日】2012年4月2日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000166247
【氏名又は名称】古野電気株式会社
(72)【発明者】
【氏名】箟 耕治
【審査官】
緒方 寿彦
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2005/018049(WO,A1)
【文献】
特開平05−275920(JP,A)
【文献】
特開平08−088512(JP,A)
【文献】
特開平09−199924(JP,A)
【文献】
特開2002−198730(JP,A)
【文献】
特開平02−048804(JP,A)
【文献】
特開平05−152835(JP,A)
【文献】
特開2011−239281(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 19/19,15/14,19/13,21/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直偏波及び水平偏波で構成される電波が伝わる給電用導波管と、
前記給電用導波管の開口部と向かい合うように配置され、当該開口部から照射された電波を反射する副反射鏡と、
前記副反射鏡と向かい合うように配置され、前記副反射鏡が反射した電波を外部へ放射する主反射鏡と、
を備え、
前記主反射鏡の表面は、所定の放物線の一側及び他側を少なくとも一度ずつ通る線を回転軸の周りに回転させた形状であり、
前記副反射鏡の表面は、段状の線を回転軸の周りに回転させた形状であることを特徴とするアンテナ。
【請求項2】
請求項1に記載のアンテナであって、
前記主反射鏡の表面は、所定の放物線と少なくとも2回以上交差する線を回転軸の周りに回転させた形状であることを特徴とするアンテナ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のアンテナであって、
前記主反射鏡の表面は、傾きが離散的ではなく連続的に変化する線を回転軸の周りに回転させた形状であることを特徴とするアンテナ。
【請求項4】
請求項1から3までの何れか一項に記載のアンテナであって、
気象状況を観測するために用いられることを特徴とするアンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主反射鏡及び副反射鏡を備えるアンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、衛星通信や気象観測のために、放物曲面をした反射器を有するアンテナ(パラボラアンテナ)が用いられることがある。特許文献1は、このパラボラアンテナについて開示する。
【0003】
特許文献1のパラボラアンテナは、給電用導波管と、ホーンと、パラボラ反射器と、反射板と、を備える。外部へ放射するための電波は、給電用導波管を伝わり、ホーンからパラボラ反射器に向けて放射される。ホーンはパラボラ反射器の放物曲面の焦点に配置されているため、パラボラ反射器は、この電波を平面波として反射する。また、反射板は、パラボラ反射器又は給電用導波管によるホーンへの反射を打ち消すために配置されている。なお、この反射板は、階段状に構成されている。
【0004】
このように、特許文献1は、ホーンが放射した電波をパラボラ反射器が反射することで、外部に電波を放射する構成(反射器を1つ備える構成)である。これに対し、特許文献2は、反射器を2つ備える構成を開示する。
【0005】
特許文献2のアンテナ装置は、一次放射器によって放射された電波を反射板(副反射鏡)で反射し、その後レンズアンテナ(又はパラボラアンテナ、主反射鏡)で更に反射することで、外部に電波を放射する構成である。なお、この反射板は、形状を変化させることが可能な構成であり、走査角度が変化しても一定のビームパターンを保つことが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実公平6−28818号公報
【特許文献2】特開平11−27036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、パラボラアンテナを気象観測に用いる場合、口径の小さいものを多数配置して観測を行うことがある。しかし、パラボラアンテナの口径を小さくすると、指向性が低下することが知られている。また、2重偏波を用いる場合、2つの偏波が混ざってしまうことがある。
【0008】
また、特許文献1のパラボラアンテナのようにホーンを備える構成は、パラボラ放射器(放物線)の焦点の位置に照射口を配置する必要があるので、口径に垂直な方向のサイズを小さくすることが困難である。
【0009】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的は、アンテナ特性を低下させることなくコンパクトな構成のアンテナを提供することにある。
【0010】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0011】
本発明の観点によれば、以下の構成のアンテナが提供される。即ち、このアンテナは、給電用導波管と、副反射鏡と、主反射鏡と、を備える。前記給電用導波管は、垂直偏波及び水平偏波で構成される電波が伝わる。前記副反射鏡は、前記給電用導波管の開口部と向かい合うように配置され、当該開口部から照射された電波を反射する。前記主反射鏡は、前記副反射鏡と向かい合うように配置され、前記副反射鏡が反射した電波を外部へ放射する。前記主反射鏡の表面は、所定の放物線の一側及び他側を少なくとも一度ずつ通る線を回転軸の周りに回転させた形状である。前記副反射鏡の表面は、段状又は波状の線を回転軸の周りに回転させた形状である。
【0012】
これにより、口径が小さい場合であっても、アンテナ特性が良好な平面波を外部に放射することができる。また、このアンテナは、副反射鏡を備える構成であるので、口径に垂直な方向のサイズを抑えることができる。従って、全体的にコンパクトであってアンテナ特性も良好なアンテナを実現できる。
【0013】
前記のアンテナにおいては、前記主反射鏡の表面は、所定の放物線と少なくとも2回以上交差する線を回転軸の周りに回転させた形状であることが好ましい。
【0014】
これにより、アンテナ特性がより良好なアンテナを実現できる。
【0015】
前記のアンテナにおいては、前記主反射鏡の表面は、傾きが離散的ではなく連続的に変化する線を回転軸の周りに回転させた形状であることが好ましい。
【0016】
これにより、アンテナ特性がより良好なアンテナを実現できる。
【0017】
前記のアンテナにおいては、前記副反射板の表面は、段状の線を回転軸の周りに回転させた形状であることが好ましい。
【0018】
これにより、単純な方法で製造可能な副反射板が実現できる。
【0019】
前記のアンテナにおいては、気象状況を観測するために用いられることが好ましい。
【0020】
即ち、気象観測を行う場合、口径の小さいアンテナを複数並べて配置することがある。従って、アンテナ特性を劣化させずにコンパクト化を実現した本発明の効果を一層良好に発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態に係るアンテナ装置の斜視図。
【
図4】主反射鏡の反射面の形状を決定する処理を説明する図。
【
図5】主反射鏡及び副反射鏡の変形例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るアンテナ装置1の斜視図である。
図2は、アンテナ10の断面図である。
【0023】
アンテナ装置1は、図略の電波生成部(マグネトロン等)や制御部等とともに、レーダ装置を構成している。アンテナ装置1は、例えば気象観測用に用いられるが、他の用途(通信等)に用いることも可能である。
【0024】
アンテナ装置1は、
図1に示すように、アンテナ10と、伝達部20と、支持台50と、を備えている。アンテナ10は、垂直方向(仰角を変化させる方向)及び水平方向(方位角を変化させる方向)に回転可能に構成されている。
【0025】
支持台50は、脚部と、脚部に固定された支持板と。を備えている。この支持板には、伝達部20を構成する各部品(ギアや導波管等)が取り付けられている。また、この支持台50には、アンテナ10を垂直方向に回転させるためのモータ(図略)と、アンテナ10を水平方向に回転させるためのモータ(図略)と、が取り付けられている。
【0026】
伝達部20は、これらのモータの動力をギア等によって伝達して、アンテナ10を垂直方向及び水平方向に回転させることができる。
【0027】
また、伝達部20は、電波生成部が生成した電波(電磁波)をアンテナ10に伝達する図略の導波管を備えている。ここで、本実施形態では、垂直方向の偏波と水平方向の偏波の両方がアンテナ10に伝達される構成であるものとする。
【0028】
アンテナ10は、
図1及び
図2に示すように、主反射鏡11と、副反射鏡12と、副反射鏡支持部13と、給電用導波管14と、を備える。
【0029】
給電用導波管14は、伝達部20の導波管と接続されている。給電用導波管14は、円筒状の部材であり、その中心軸線が、主反射鏡11及び副反射鏡12の中心軸線と一致するように配置されている。
図2に示すように、給電用導波管14を伝わる電波は、給電用導波管14の開口部から広がるように放射される。
【0030】
副反射鏡支持部13は、給電用導波管14の外周部に取り付けられた円筒状の部材である。副反射鏡支持部13は、副反射鏡12を支持している。また、副反射鏡支持部13は、電波の透過率が高い素材で構成されているものとする。
【0031】
副反射鏡12は、給電用導波管14の開口部に向かい合うように配置されている。副反射鏡12は、電波の反射率が高い素材から構成されている。副反射鏡12は、円柱に同心円状に複数の段差を形成したような形状である(詳細は後述)。副反射鏡12は、給電用導波管14の開口部から放射された電波を主反射鏡11に向けて反射する。
【0032】
主反射鏡11は、副反射鏡支持部13に向かい合うように配置されている。主反射鏡11は、副反射鏡12と同様に、電波の反射率が高い素材から構成されている。主反射鏡11の表面は、放物曲面に近似した曲面となっている(詳細は後述)。主反射鏡11は、副反射鏡12から放射された電波を反射する。これにより、平面波を外部に向けて放射することができる。なお、主反射鏡11の形状の詳細については後述する。
【0033】
主反射鏡11が放射した電波は、雨や雲等によって反射する。この反射波は、上述の電波の経路を逆向きに伝わり、レーダ装置の制御部等によって解析される。これにより、水滴の位置、大きさ、及び密度等を求めることができる。
【0034】
また、本実施形態のように2重偏波を行うことで、2種類の電波の反射率の差等から降水強度を求めることができる。気象レーダでは、以上のようにして気象観測が行われる。
【0035】
次に、主反射鏡11及び副反射鏡12の形状について
図2及び
図3を参照して説明する。
図3は、主反射鏡11の反射面の形状を説明する図である。以下では、主反射鏡11及び副反射鏡12について、電波を反射する側の面を反射面と称する。
【0036】
主反射鏡11及び副反射鏡12は、本実施形態では2重偏波を利用しているため、主反射鏡11及び副反射鏡12の反射面は、軸対称な形状となっている。言い換えれば、主反射鏡11及び副反射鏡12の反射面は、所定の線を所定の回転軸の周りに回転してできる形状(回転面)となっている。
【0037】
従来の副反射鏡の反射面は、殆ど凹凸のない円形状である。これに対し、本実施形態の副反射鏡12の反射面は、同心円状に段差が複数形成された形状となっている。より詳細には、副反射鏡12の反射面は、階段状(パルス状)の線を回転してできる形状となっている。
【0038】
また、従来の主反射鏡の反射面は、放物曲面である。これに対し、本実施形態の主反射鏡11の反射面は、放物曲面を少し変形した曲面となっている。以下、具体的に説明する。
【0039】
主反射鏡11の反射面は、
図3に示すように、ある曲線(以下、反射面曲線)を所定の回転軸の周りに回転させた形状となっている。この反射面曲線は、放物線と数回交差する。より詳細には、反射面曲線は、所定の放物線と比較したときに、回転軸において、当該放物線の内側(一側、上側)に位置している。そして、反射面曲線は、この回転軸から遠ざかるにつれて、この放物線の、外側(他側、下側)、内側、外側、内側、外側の順に位置する。
【0040】
次に、反射面の具体的な形状を求める処理について
図4を参照して簡単に説明する。
図4は、主反射鏡11の反射面の形状を決定する処理を説明する図である。
【0041】
反射面曲線は、以下のようにして決定される。即ち、初めに、ベースとなる放物線を設定する。そして、その放物線に所定間隔毎に当該放物線を上側又は下側へズラした基準点を設定する。そして、設定した複数の基準点に基づいてして多項近似等を行い、暫定的に反射面曲線を設定する。
【0042】
次に、この反射面曲線にシミュレーション等を行ってアンテナ特性の評価を行い、必要に応じて上記の基準点の再設定を行う。そして、アンテナ特性が良好になるまでこの作業を繰り返すことにより、反射面曲線を決定する。
【0043】
上述のように、従来のパラボラアンテナでは、「主反射鏡の直径(口径)を小さくするに従ってアンテナ特性が低下する」という課題があった。この点、本願出願人は、主反射鏡11及び副反射鏡12の反射面を上記のように形成することで、上記の課題を解決し得ることを突き止めた。
【0044】
そして、本願出願人は、上記のようにして作成した主反射鏡11等を利用することで、従来は−14db程度であったサイドローブを−20db程度まで改善することを検証した。
【0045】
つまり、本実施形態のアンテナ10は、アンテナ特性を劣化させることなく、口径を小さくすることができる。また、本実施形態のアンテナ10は、反射鏡を2つ備える構成であるので、特許文献1の構成と比較して、口径に垂直な方向のサイズも抑えることができる。以上から、複数のアンテナ10をまとめて配置する場合(気象観測等)に特に適した構成のアンテナ10が実現できる。
【0046】
以上に説明したように、このアンテナ10は、給電用導波管14と、副反射鏡12と、主反射鏡11と、を備える。給電用導波管14は、垂直偏波及び水平偏波で構成される電波が伝わる。副反射鏡12は、給電用導波管14の開口部と向かい合うように配置され、給電用導波管14の開口部から照射された電波を反射する。主反射鏡11は、副反射鏡12と向かい合うように配置され、副反射鏡12が反射した電波を外部へ放射する。主反射鏡11の表面は、所定の放物線の一側及び他側を少なくとも一度ずつ通り、かつ当該放物線に沿うような線を回転軸の周りに回転させた形状である。副反射鏡12の表面は、段状又は波状の線を回転軸の周りに回転させた形状である。
【0047】
これにより、全体的にコンパクトであってアンテナ特性も良好なアンテナを実現できる。
【0048】
次に、
図5を参照して、上記実施形態の変形例を説明する。
図5は、主反射鏡11及び副反射鏡12の変形例を示す断面図である。
【0049】
上記実施形態では、副反射鏡12の反射面は階段状の線を回転させた形状であったが、これに代えて、
図5(a)に示すように波状の線(傾きが連続的に変化する線、滑らかな線)を回転させた形状にすることもできる。また、階段状の線の段差数や高さ等は任意であり、例えば主反射鏡11の反射面の形状やレイアウト等に応じて、適宜変更することができる。
【0050】
また、主反射鏡11の反射面も、副反射鏡12の反射面の形状やレイアウト等に応じて、適宜変更することができる。例えば、反射面曲線と放物線との交差回数も任意であるとともに、回転軸に最も近い位置において、放物線と一致していても内側又は外側であっても良い。また、
図5(b)に示すように、より細かい(波同士の間隔が違い)波面が表れるように変更することができる。この場合、前記反射面曲線は、放物線とより多くの回数交差することとなる。また、
図5(c)に示すように、波面ではなく複数の傾斜面で構成されるように変形することができる。この形状は、傾きが離散的に変化する線を回転軸の周りに回転させた形状と言うことができる。
【0051】
以上に本発明の好適な実施の形態及び変形例を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0052】
主反射鏡11の反射面曲線は、上記の方法に限られず適宜の方向で決定しても良い。また、用いる近似法も多項近似に限られず、様々な近似法を用いることができる。
【0053】
アンテナ10は、電波の透過率が高い素材からなるカバー(レドーム)で覆われる構成であっても良い。
【符号の説明】
【0054】
1 アンテナ装置
10 アンテナ
11 主反射鏡
12 副反射鏡
13 副反射鏡支持部
14 給電用導波管