特許第5877909号(P5877909)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5877909上方空間を維持するためのかご止めを含むエレベータシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5877909
(24)【登録日】2016年2月5日
(45)【発行日】2016年3月8日
(54)【発明の名称】上方空間を維持するためのかご止めを含むエレベータシステム
(51)【国際特許分類】
   B66B 5/00 20060101AFI20160223BHJP
【FI】
   B66B5/00 D
【請求項の数】14
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-548754(P2014-548754)
(86)(22)【出願日】2011年12月21日
(65)【公表番号】特表2015-502895(P2015-502895A)
(43)【公表日】2015年1月29日
(86)【国際出願番号】US2011066344
(87)【国際公開番号】WO2013095408
(87)【国際公開日】20130627
【審査請求日】2014年6月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】591020353
【氏名又は名称】オーチス エレベータ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】OTIS ELEVATOR COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ロイ
【審査官】 葛原 怜士郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−084176(JP,A)
【文献】 特開2008−230724(JP,A)
【文献】 特開平09−058942(JP,A)
【文献】 国際公開第2002/085773(WO,A1)
【文献】 特表2005−500962(JP,A)
【文献】 特表2007−516138(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 5/00
B66B 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降路内に設置されるエレベータかごの上方に最小限の安全な作業領域を維持するためのかご止めであって、
前記エレベータかごの上面に枢動可能に取り付けられるように構成された第1の端部と、第2の端部と、をそれぞれが有する複数の脚部材と、
それぞれの前記脚部材の前記第2の端部に固定されるように構成された横材と、
前記昇降路の最上部に近接して設置され、複数のガイドレールに固定された機械取り付け台に固定されるように構成された複数の取り付けブラケットと
を備えており、
前記複数の脚部材は、前記横材が前記エレベータかごの前記上面に近接している第1の位置と、前記横材が前記複数の取り付けブラケットに近接している第2の位置との間で枢動するように構成されており、
前記かご止めの機械的強度は、前記複数の脚部材が前記第2の位置にあるときに、前記エレベータかごの上昇移動を制止するのに十分である、
かご止め。
【請求項2】
前記取り付けブラケットのそれぞれが、取り付けブラケット接触面を備えており、
前記横材が、複数の横材接触面を備えており、
前記取り付けブラケット接触面が、前記複数の脚部材が前記第2の位置にあるとき、対応する前記横材接触面の1つと接触するように構成されている、請求項1に記載のかご止め。
【請求項3】
前記複数の脚部材のそれぞれを前記エレベータかごに枢動可能に取り付ける複数の取り付け部材をさらに備えている、請求項1に記載のかご止め。
【請求項4】
エレベータシステムであって、
エレベータかごと、
前記エレベータかごの移動を案内する少なくとも1つのガイドレールと、
前記少なくとも1つのガイドレールの最上部付近で前記少なくとも1つのガイドレール上に取り付けられた機械取り付け台と、
前記エレベータかご上で支持されたかご止めと
を備えており、前記かご止めは、前記かご止めが、前記エレベータかごが最高垂直位置に移動することを許可する第1の位置と、前記かご止めが前記機械取り付け台と接触するように設けられ、前記エレベータかごが前記最高垂直位置に到達するのを防止する第2の位置との間を選択的に動くことができ、
前記かご止めが、複数の概ね平行の脚および前記脚に対して概ね垂直な横材を備えており、前記横材が、各脚の端部付近で前記脚に連結しており、前記横材が、前記かご止めが前記第2の位置にあるとき、前記機械取り付け台と接触する接触面を有する、エレベータシステム。
【請求項5】
前記横材の前記接触面上に少なくとも1つのパッドを含んでおり、前記パッドが、前記かご止めが前記第2の位置にあるとき、前記機械取り付け台と接触するように構成されている、請求項に記載のエレベータシステム。
【請求項6】
前記少なくとも1つのパッドが、前記横材の隣接部分とは可視的に異なっていて、前記かご止めが前記機械取り付け台と接触する箇所の可視的な表示を提供する、請求項に記載のエレベータシステム。
【請求項7】
前記脚が、前記第2の位置では概ね垂直であり、前記第1の位置では概ね水平である、請求項に記載のエレベータシステム。
【請求項8】
前記ガイドレールを複数備え、前記エレベータかごの2つの反対向きの面のそれぞれの近くに、少なくとも1つのガイドレールがそれぞれ設けられており
前記機械取り付け台が、前記ガイドレールに対して概ね垂直なベッドプレートを備えており、
前記横材が、前記ベッドプレートに概ね平行である、
請求項に記載のエレベータシステム。
【請求項9】
前記機械取り付け台が、ベッドプレートと、前記機械取り付け台を前記少なくとも1つのガイドレールに固定する少なくとも1つのブラケットと、を備えており、
前記横材が、前記かご止めが前記第2の位置にあるとき、前記少なくとも1つのブラケットと接触する接触面を有する
請求項4に記載のエレベータシステム。
【請求項10】
前記エレベータかごの移動を制御する制御装置と、
前記かご止めが前記第2の位置にあるときに前記制御装置に指示を提供するインジケータと
を備えている、請求項4に記載のエレベータシステム。
【請求項11】
前記インジケータが前記指示を提供しているとき、前記制御装置が、前記エレベータかごを点検モードで移動させる、請求項10に記載のエレベータシステム。
【請求項12】
前記インジケータが前記指示を提供しているとき、前記制御装置が、前記エレベータかごが移動するのを防止する、請求項10に記載のエレベータシステム。
【請求項13】
前記エレベータかごが、昇降路の中にあり、前記かご止めが、前記エレベータかごに対して、前記昇降路の外にいる人が前記かご止めを前記第1の位置と第2の位置との間を手動で移動させることができる位置にある、請求項4に記載のエレベータシステム。
【請求項14】
前記かご止めが前記第1の位置にあるとき、防振部材が前記エレベータかごと前記かご止めとの間にあるような位置で前記かご止めに固定される前記防振部材を含んでいる、請求項4に記載のエレベータシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
エレベータシステムは、通常、定期点検および保守管理を行なう必要がある。歴史的に、エレベータの機械および制御装置などのエレベータシステム構成要素は、エレベータ昇降路の上方に構築される機械室の中に設置されていた。こうした構成要素の点検および保守管理は、整備員または技術者によって、機械室の内部で行なうことができた。機械室のないエレベータシステムが導入されると、以前機械室の中に設置されていた構成要素が、今では昇降路の中に設置されるようになった。こうした構成要素の配置移動には多くの利点があるが、整備員または技術者は、今日では昇降路の中で構成要素に接近する必要があるため、点検および保守管理作業がより困難で危険なものになった。昇降路内から点検および保守管理手順を実行することに関連した特別な留意事項に対処するために、さまざまな技術および装置が提案されてきた。
【背景技術】
【0002】
例えば、エレベータかごの上面と昇降路の天井との間に適切な空間を維持するためにさまざまな装置が提案されてきた。装置例は、米国特許第6,481,534号および同第7,281,609号、および米国特許出願公開第2009/0183955号および同2010/0155184号に示される。さらに、その他にも装置が提案されてきた。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
昇降路内に設置されるエレベータかごの上方に最小限の安全な作業領域を維持するための例示的なかご止めは、エレベータかごの上面に枢動可能に取り付けられるように構成された第1の端部と、第2の端部と、をそれぞれが有する複数の脚部材と、それぞれの脚部材の第2の端部に固定されるように構成された横材と、昇降路の最上部に近接して設置され、複数のガイドレールに固定された機械取り付け台に固定されるように構成された複数の取り付けブラケットとを含んでいる。複数の脚は、横材がエレベータかごの上面に近接している第1の位置と、横材が複数の取り付けブラケットに近接している第2の位置との間で枢動するように構成されている。システムの機械的強度は、複数の脚が第2の位置にあるときに、エレベータかごの上昇移動を制止するのに十分である。
【0004】
上記かご止めの1つ以上の特徴を有する1つの例示的なかご止めでは、取り付けブラケットのそれぞれは、取り付けブラケット接触面を備えており、横材は、複数の横材接触面を備えており、取り付けブラケット接触面は、複数の脚が第2の位置にあるとき、対応する横材接触面の1つと接触するように構成されている。
【0005】
上記かご止めの1つ以上の特徴を有する1つの例示的なかご止めは、複数の脚のそれぞれをエレベータかごに枢動可能に取り付ける複数の取り付け部材を含んでいる。
【0006】
例示的なエレベータシステムは、エレベータかごと、エレベータかごの移動を案内するように位置する少なくとも1つのガイドレールと、ガイドレールの最上部付近でガイドレールによって少なくとも部分的に支持された機械取り付け台と、エレベータかご上で支持されたかご止めとを含んでいる。かご止めは、第1の位置と第2の位置との間を選択的に動くことができる。第1の位置では、かご止めは、エレベータかごが最高垂直位置に移動することを許可する。第2の位置では、かご止めは、機械取り付け台と接触するように設けられ、エレベータかごが最高垂直位置に到達するのを防止する。
【0007】
上記エレベータシステムの1つ以上の特徴を有する1つの例示的なエレベータシステムにおいて、かご止めは、複数の概ね平行な脚および脚に対して概ね垂直な横材を備えている。横材は、各脚の端部付近で脚に連結している。横材は、かご止めが第2の位置にあるとき、機械取り付け台と接触する接触面を有する。
【0008】
上記エレベータシステムの1つ以上の特徴を有する1つの例示的なエレベータシステムは、横材の接触面上に少なくとも1つのパッドを含んでいる。パッドは、かご止めが第2の位置にあるとき、機械取り付け台と接触するように構成されている。
【0009】
上記エレベータシステムの1つ以上の特徴を有する1つの例示的なエレベータシステムにおいて、少なくとも1つのパッドは、横材の隣接部分とは可視的に異なっていて、かご止めが機械取り付け台と接触する箇所の可視的な表示を提供する。
【0010】
上記エレベータシステムの1つ以上の特徴を有する1つの例示的なエレベータシステムにおいて、脚は、第2の位置では概ね垂直であり、第1の位置では概ね水平である。
【0011】
上記エレベータシステムの1つ以上の特徴を有する1つの例示的なエレベータシステムにおいて、少なくとも1つのガイドレールは、エレベータかごの2つの反対向きの面のそれぞれの近くに、少なくとも1つのガイドレールを配備している複数のガイドレールを備えており、機械取り付け台は、ガイドレールに対して概ね垂直なベースプレートを備えており、横材は、ベースプレートに概ね平行である。
【0012】
上記エレベータシステムの1つ以上の特徴を有する1つの例示的なエレベータシステムにおいて、機械取り付け台は、ベッドプレートと、機械取り付け台を少なくとも1つのガイドレールに固定する少なくとも1つのブラケットと、を備えており、かご止めが第2の位置にあるとき、かご止めは、少なくとも1つのブラケットと接触するように設けられている。
【0013】
上記エレベータシステムの1つ以上の特徴を有する1つの例示的なエレベータシステムは、エレベータかごの移動を制御する制御装置と、かご止めが第2の位置にあるときに制御装置に指示を提供するインジケータとを含んでいる。
【0014】
上記エレベータシステムの1つ以上の特徴を有する1つの例示的なエレベータシステムにおいて、インジケータが指示を提供しているとき、制御装置は、エレベータかごを点検モードで移動させる。
【0015】
上記エレベータシステムの1つ以上の特徴を有する1つの例示的なエレベータシステムにおいて、インジケータが指示を提供しているとき、制御装置は、エレベータかごが移動するのを防止する。
【0016】
上記エレベータシステムの1つ以上の特徴を有する1つの例示的なエレベータシステムにおいて、エレベータかごは、昇降路の中にあり、かご止めは、エレベータかごに対して、昇降路の外にいる人がかご止めを第1の位置と第2の位置との間を手動で移動することができる位置にある。
【0017】
上記エレベータシステムの1つ以上の特徴を有する1つの例示的なエレベータシステムは、かご止めが第1の位置にあるとき、防振部材がエレベータかごとかご止めとの間にあるような位置でかご止めに固定される防振部材を含んでいる。
【0018】
開示した例示的実施形態のさまざまな特徴および利点は、当業者であれば後続の詳細な記述を読めば明らかになろう。以下、詳細な記述に添付する図面を簡単に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態によって設計されたかご止めを含む例示的なエレベータシステムの選択部分の概略図である。
図2】かご止めが第1の位置にある、図1のシステムの選択部分の説明図である。
図3】かご止めが第2の位置にある、図2に示した構成要素の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本発明の例示的な実施形態によるエレベータシステム20の選択部分を概略的に示している。図1に示すように、エレベータかご22は、かご枠26およびかご室28を含んでいて、昇降路24の中に可動的に取り付けられている。かご枠26は、昇降路24の中のガイドレール30に沿って移動することができる。かご枠26は、この例では片持ち式で支持されている。
【0021】
エレベータかご22は、機械32によって移動され得るように載置される。機械32は、エレベータかご22を釣合いおもり36に連結するロープまたはベルトなどの引張り/支持部材34を動かすことによって、エレベータかご22を移動することができる。機械32は、昇降路24の最上部付近に位置する機械取り付け台40によって支持されている。図2および図3を見ればよく分かるように、機械取り付け台40は、ベッドプレート42および取り付けブラケット44を含んでいる。ベッドプレート42は、ガイドレール30に対して概ね垂直に配置されており、ガイドレール30の間に延在している。これらの図に示すように、ベッドプレートは、ガイドレール30を越えて張り出していてもよい。ベッドプレート42は、単一のプレートで構成されていてもよく、または複数のプレートで構成されていてもよい。取り付けブラケット44は、機械取り付け台40をガイドレール30の最上端部付近でガイドレール30に固定している。
【0022】
かご止め50は、エレベータかご22の上で支持される。図2に示すように、かご止め50には、エレベータかご22が昇降路24の中で移動するのを制限しない第1の位置がある。図示の第1の位置では、かご止め50は、エレベータかご室28の上面と実質的に平行に配置されている。
【0023】
例示的かご止め50は、脚52および脚52の間に延在する横材54を含んでいる。この例の脚52および横材54はそれぞれ、溝形鋼、梁または管などの金属部分を備えている。
【0024】
取り付け部材56は、かご止め50が、エレベータかご22に対して、図2に示す第1の位置および図3に示す第2の位置の間を移動可能であるようにかご止め50を支持している。この例では、かご止め50は、エレベータかご室28に対して枢支的に移動可能である。
【0025】
図3に示す第2の位置において、かご止めは、エレベータかご22の上下移動を制限するために機械取り付け台40の一部に接触するように構成されている。この位置では、かご止め50は、エレベータかご室28が昇降路24の最上部に到達するのを防止する。エレベータかご室28が昇降路24の最上部に到達するのを防止することによって、かご止め50は、エレベータかご室28の上面とエレベータかご室28の上方の昇降路天井57(図1に示す)との間に所望の量の空間を確実に形成する。この空間を物理的に維持することによって、本発明のこの例示的な実施形態によるエレベータシステムは、昇降路24の中のかご28の上面の上で作業するどのような技術者の安全も保証することができる。機械32がかご室28を昇降路24の最上部まで上昇させようとする場合であっても、かご止め50は、ある点を過ぎた移動を物理的に防止する。かご止め50によって提供される物理的障壁は、機械32の力では乗り越えることができない。
【0026】
図示の例では、横材54は、機械取り付け台40の表面60に接触する接触面58を含んでいる。この例では、接触面60は、取り付けブラケット44の上にある。別の例では、接触面60は、ベッドプレート42の上にある。この例では、横材54の接触面58は、横材54の他の部分とは可視的に異なるパッドを含んでいる。接触面58上のパッドの可視態様は、かご止め50が第2の位置にあるとき、かご止め50が機械取り付け台40に接触する位置の可視的な表示を個人に提供する。この特徴は、人がエレベータかご室28の上面の上にいるとき、ピンチポイントを回避する助けになる。さらなる実施形態において、パッドは、パッドに注意を促す助けとなるように鮮やかに彩色されていても、またはメッセージが付されていてもよい。
【0027】
図示の例は、さらに、横材54または脚52の内の少なくとも1つの上に防振パッド59を含んでいる。防振パッド59は、エレベータかご室28の上面に面するように位置していて、かご止め50が図2に示す第1の位置にある状態でエレベータかご22が移動する際に発生する可能性のある何らかの振動または雑音を減らすまたは最小化する。
【0028】
図3を見れば分かるように、かご止め50が第2の位置にあるとき、脚52は、概ね垂直位置にあり、横材54は、概ね水平である。脚52は、接触面58と接触面60との間の何らかの予想される衝撃に構造的に耐えることができる。この例の取り付け部材56は、かご止め50と機械取り付け台40との間の何らかの接触に関連する力をかご枠26の他の部分に伝達することを促進する。
【0029】
図示の例において、脚52の少なくとも1つは、電子スイッチなどのインジケータ64と協働する位置指示形体62を含んでいる。インジケータ64は、かご止め50の位置の指示を提供する。インジケータ64は、機械32の作動を制御する役割を果たす制御装置70に指示を提供する。1つの例では、インジケータ64が、かご止め50が図3に示す第2の位置にあるという指示を提供しているときには必ず、制御装置70は、機械32がエレベータかご22を移動するのを防止する。別の例では、インジケータ64が、かごが図2に示すように第1の位置にあるという指示を提供していないときには必ず、制御装置70は、機械32がエレベータかご22を移動するのを防止する。別の例では、制御装置70によって、機械32は、かご止め50が第2の位置にあるというインジケータ64からの指示に応答して点検モードで作動することができる。
【0030】
少なくとも1つの掛け金または係止部材72は、かご止め50を第2の位置に保持することを容易にする。この例では、掛け金または係止部材72は、取り付け部材56のそれぞれに付帯されている。
【0031】
かご止め50は、図3に示す第2の位置にあるときには、ある鉛直高さを有している。その鉛直高さが、エレベータかご室28の上面の上方で所望の空間の一部を確定する。所望の空間距離は、エレベータかご室28上方の天井57と機械取り付け台40の接触面60との間の距離と、かご止め50の鉛直高さと、の合計に等しい。
【0032】
図示例の1つの特徴は、エレベータかごのさらなる上昇移動を防止するのに昇降路天井の物理的強度に依存していた以前の装置では必要であったような、エレベータかご上方の天井構造を補強することが必要ではないことである。その代わりに、開示するシステムの例示的な実施形態は、エレベータかご22のさらなる上昇移動を防止するのに、かご室28の上面、かご止め50、接触面60、取り付けブラケット44および機械取り付け台40の間の物理的接触に依存しており、このことにより、エレベータかご上方に所望の空間を確保することができる。かご止め50と機械取り付け台40との接触を利用することで、昇降路天井を含む昇降路構造の構成および設計において、費用効率が改善されるとともに誤りが起きにくくなる。上記の開示した例示的実施形態は、繰り返し物理的構成要素に依存するものであるが、この開示の恩恵を受ける当業者であれば、本発明の範囲および趣旨の範囲内で、物理的構成要素のいくつかを修正することや、除去することさえ可能であることを理解するであろう。
【0033】
例示的な実施形態の別の特徴は、かご止め50が、エレベータかご室28の上面の上で、昇降路24の外にいる人が接近し易い位置にあることである。例えば、昇降路24に沿った最上の着床時に昇降路開口部を通ってエレベータかご室28の上面に接近可能なように、整備員は、昇降路24の中でエレベータかご22を配置し得る。整備員が昇降路に入る前に、整備員は、昇降路の中に手を入れて、かご止め50を第1の位置(図2に示す)から第2の位置(図3に示す)に手動で操作することができる。これにより、整備員が昇降路に入る必要がある前に、エレベータかご室28の上方の所望の空間を、整備員が利用可能であることが確実になり、また人が昇降路に入ったあとで、しかも人が安全装置を作動させることができる前に、エレベータかごが所望の上方制限を越えて移動し得る状況を防止する。
【0034】
以上の記述は例示的であり、本質的に制限するためのものではない。開示した例に本発明の本質から必ずしも逸脱しない変形および変更を加えることは、当業者には明らかとなるであろう。
図1
図2
図3