(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1腰部フレーム及び/又は前記第2腰部フレームに配設され、前記制御部が誤作動または停止すると、前記左側アクチュエータ及び前記右側アクチュエータの動作に対して制動力を発生させるブレーキ装置をさらに含む、請求項1記載の装着式動作補助装置。
前記左側部フレーム又は前記右側部フレームに配設される、電源スイッチと、前記左側アクチュエータ及び前記右側アクチュエータの駆動力を調整する調整スイッチとをさらに含む、請求項1又は2記載の装着式動作補助装置。
前記第1腰部フレーム、前記第2腰部フレーム、前記左側部フレーム、及び前記右側部フレームは、モノコック構造を有する、請求項1乃至3のいずれか一項記載の装着式動作補助装置。
前記第1腰部フレーム及び前記第2腰部フレームの前記左側部フレーム及び前記右側部フレームへの取り付け部の断面形状は、楕円形である、請求項1乃至4のいずれか一項記載の装着式動作補助装置。
前記第1腰部フレーム及び前記第2腰部フレームは、それぞれ、前記支柱の左側と右側とで分割された2つのフレーム部を有し、前記第1腰部フレーム及び前記第2腰部フレームの前記2つのフレーム部の前記支柱への取り付け部の断面形状は、楕円形である、請求項6記載の装着式動作補助装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の装着式動作補助装置を適用した実施の形態について説明する。
【0018】
<実施の形態>
図1乃至3は、実施の形態の装着式動作補助装置100を示す図である。
図1(A)は正面側を示す斜視図、
図1(B)は背面側を示す斜視図である。
図4は、装着者が装着式動作補助装置100を装着した状態を背面側から示す斜視図である。
図5は、装着式動作補助装置100を装着した装着者の動作状態を示す側面図である。
【0019】
図1に示すように、装着式動作補助装置100は、腰部フレーム110、腰部フレーム120、支柱130、側部フレーム140L、140R、大腿カフ150L、150R、装着ベルト160、装着ベルト170、バッテリ180、及びセンサ190を含む。
【0020】
図2には、
図1に示す装着式動作補助装置100から、大腿カフ150L、150Rのベルト部153L、153R、装着ベルト160、装着ベルト170を取り外した状態の装着式動作補助装置100を示す。
図3には、
図2の装着式動作補助装置100から、大腿カフ150L、150Rのステー部152L、152Rを取り外した状態の装着式動作補助装置100を示す。
【0021】
装着式動作補助装置100は、
図4に示すように、装着者の腰部に背面側から装着される。装着式動作補助装置100は、装着者が
図5(A)に示すように屈んだ状態(中腰姿勢)から、
図5(B)に示すように立ち上がる際に、腰部に対する大腿部の動きを補助するように補助力(アシスト力)を発生する装置である。このような装着者の動作は、例えば、中腰姿勢から立ち上がる動作、中腰姿勢から重量物を持ち上げる動作、移乗介助時の動作等である。
【0022】
腰部フレーム110は、装着者の腰部の背面側において、左右方向にわたって装着される第1腰部フレームの一例である。腰部フレーム110は、例えば、CFRP(carbon-fiber-reinforced plastic:炭素繊維強化プラスチック)製の中空部材であり、人体の腰部の背面及び両側面の形状に合わせてラウンドした形状を有する。
【0023】
腰部フレーム110は、装着者の腹側にわたされる装着ベルト160によって、装着者の腰部に装着される。腰部フレーム110は、装着された状態では、背面側よりも両端側が低くなるように、すなわち、長手方向の中央部(装着者の背面側に位置する部分)よりも両端が低い位置に位置するように、前傾姿勢で装着される。
【0024】
腰部フレーム110の両端には、側部フレーム140L、140Rが固定されている。また、腰部フレーム110の長手方向における中央部には、支柱130が接続されている。
【0025】
また、腰部フレーム110の長手方向の中央部には、バッテリ180が配設される。腰部フレーム110の内部は中空であるため、バッテリ180に接続される配線等が挿通される。バッテリ180は、装着式動作補助装置100の装着側とは反対側の外側において、腰部フレーム110の長手方向の中央部に設けられる。
【0026】
腰部フレーム110は、フレーム部110L、110Rの2分割式になっており、フレーム部110L、110Rは、それぞれ、支柱130の左右に取り付けられることにより、腰部フレーム110を構築している。
【0027】
フレーム部110L、110Rの一端は、支柱130に取り付けられる。フレーム部110L、110Rの一端には、支柱130の開口部に係合するピンが設けられており、フレーム部110L、110Rの一端を支柱130の開口部に差し込むことにより、フレーム部110L、110Rは、支柱130に固定される。
【0028】
このようなフレーム部110L、110Rの一端の断面形状は、楕円形である。これは、支柱130に対して、フレーム部110L、110Rが回転しないようにすることにより、フレーム部110L、110Rと支柱130とによって構築されるモノコック構造の強度を向上させるためである。
【0029】
また、フレーム部110L、110Rの他端は、それぞれ、側部フレーム140L、140Rに取り付けられる。フレーム部110L、110Rの他端には、側部フレーム140L、140Rの開口部に係合するピンが設けられており、フレーム部110L、110Rの他端を側部フレーム140L、140Rの開口部に差し込むことにより、フレーム部110L、11Rは、側部フレーム140L、140Rに固定される。
【0030】
フレーム部110L、110Rの他端の断面形状は、楕円形である。これは、側部フレーム140L、140Rに対して、フレーム部110L、110Rが回転しないようにすることにより、フレーム部110L、110Rと側部フレーム140L、140Rによって構築されるモノコック構造の強度を向上させるためである。
【0031】
なお、フレーム部110L、110Rの一端側と、支柱130の下側筒状部131との背面側(人体に装着した状態で、人体の背中に向く面とは逆の側)には、バッテリ180を取り付けるための凹部が形成されている。バッテリ180は、凹部に収納される。
【0032】
腰部フレーム120は、装着者の腰部の背面側において、腰部フレーム110よりも上側で左右方向にわたって装着される第2腰部フレームの一例である。腰部フレーム120は、例えば、CFRP製の中空部材であり、人体の腰部の背面及び両側面の形状に合わせてラウンドした形状を有する。
【0033】
腰部フレーム120は、装着者の腹側にわたされる装着ベルト170によって、装着者の腰部に装着される。腰部フレーム120は、装着された状態では、背面側よりも両端側が低くなるように、すなわち、長手方向の中央部(装着者の背面側に位置する部分)よりも両端が低い位置に位置するように、前傾姿勢で装着される。
【0034】
腰部フレーム120の両端には、側部フレーム140L、140Rが固定されている。また、腰部フレーム120の長手方向における中央部には、支柱130が接続されている。すなわち、腰部フレーム120は、支柱130と側部フレーム140L、140Rとによって、腰部フレーム110と固定されている。
【0035】
また、腰部フレーム120の長手方向における中央部の外側(装着式動作補助装置100の装着側とは反対側の外側)には、通気孔121が設けられる。
【0036】
腰部フレーム120は、フレーム部120L、120Rの2分割式になっており、フレーム部120L、120Rは、それぞれ、支柱130の左右に取り付けられることにより、腰部フレーム120を構築している。
【0037】
フレーム部120L、120Rの一端は、支柱130に取り付けられる。フレーム部120L、120Rの一端には、支柱130の開口部に係合するピンが設けられており、フレーム部120L、120Rの一端を支柱130の開口部に差し込むことにより、フレーム部120L、120Rは、支柱130に固定される。
【0038】
このようなフレーム部120L、120Rの一端の断面形状は、楕円形である。これは、支柱130に対して、フレーム部120L、120Rが回転しないようにすることにより、フレーム部120L、120Rと支柱130とによって構築されるモノコック構造の強度を向上させるためである。
【0039】
また、フレーム部120L、120Rの他端は、それぞれ、側部フレーム140L、140Rに取り付けられる。フレーム部120L、120Rの他端には、側部フレーム140L、140Rの開口部に係合するピンが設けられており、フレーム部120L、120Rの他端を側部フレーム140L、140Rの開口部に差し込むことにより、フレーム部120L、11Rは、側部フレーム140L、140Rに固定される。
【0040】
フレーム部120L、120Rの他端の断面形状は、楕円形である。これは、側部フレーム140L、140Rに対して、フレーム部120L、120Rが回転しないようにすることにより、フレーム部120L、120Rと側部フレーム140L、140Rによって構築されるモノコック構造の強度を向上させるためである。
【0041】
支柱130は、腰部フレーム110の長手方向の中央部と、腰部フレーム120の長手方向の中央部とを縦方向に接続する部材である。支柱130は、例えば、強化樹脂製の中空部材であり、内部には、センサ190の配線が挿通される。また、支柱130の外側には通気孔が設けられる。また、支柱130の内部には、装着式動作補助装置100の動作を制御する制御部が設けられる。
【0042】
支柱130は、下側筒状部131、接続部132、及び上側筒状部133を有する。
【0043】
下側筒状部131は、左右方向に伸延しており、両端にフレーム部110L、110Rが差し込まれる。下側筒状部131の両端の開口は、フレーム部110L、110Rの一端の断面形状に対応して楕円形である。
【0044】
接続部132は、下側筒状部131と上側筒状部133を縦方向に接続する。接続部132は内部が中空であり、内部空間は、下側筒状部131及び上側筒状部133の内部空間と連通している。
【0045】
上側筒状部133は、左右方向に伸延しており、両端にフレーム部120L、120Rが差し込まれる。上側筒状部133の両端の開口は、フレーム部120L、120Rの一端の断面形状に対応して楕円形である。
【0046】
また、支柱130には、装着ベルト160と装着ベルト170が取り付けられる。より具体的には、装着ベルト160は、下側筒状部131が取り付けられ、装着ベルト170は、上側筒状部133に取り付けられる。
【0047】
なお、ここでは、支柱130が腰部フレーム110と腰部フレーム120との間に取り付けられる形態について説明するが、支柱130は、腰部フレーム110と腰部フレーム120とを上下方向に指示する強度を有していても、有していなくてもよい。
【0048】
支柱130によってフレーム部110L、110R、120L、120Rが回転しないように保持されることによって、モノコック構造の強度が担保されている。このため、装着式動作補助装置100は、支柱130を含まなくてもよい。この場合には、腰部フレーム110と腰部フレーム120は、それぞれ一体式に形成すればよく、側部フレーム140Lと140Rとの間でモノコック構造が構築される。また、この場合には、支柱130の内部に入っている配線等は、腰部フレーム110、120と、側部フレーム140L、140Rとのいずれかの中に収納すればよい。
【0049】
側部フレーム140Lは、装着者の股関節の左側において、腰部フレーム110の左端と、腰部フレーム120の左端とを接合する左側部フレームの一例である。側部フレーム140Lは、側部フレーム140Rと略左右対称の構造を有し、腰部フレーム110と腰部フレーム120とを左側で固定する部材である。側部フレーム140Lは、例えば、強化樹脂製である。
【0050】
側部フレーム140Lには、−(マイナス)ボタン141が設けられる。−ボタン141は、アクチュエータの駆動力を低下させるための入力ボタンである。また、側部フレーム140Lの内部には、アクチュエータとブレーキ装置が設けられる。装着式動作補助装置100の電源がオンの状態では、−ボタン141は点灯する。
【0051】
側部フレーム140Lには、フレーム部110L、120Lの他端が差し込まれる。側部フレーム140Lには、フレーム部110L、120Lに対応する2つの楕円形の開口部が設けられている。フレーム部110L、120Lの他端を側部フレーム140Lの2つの開口部に差し込むことにより、フレーム部110L、120Lは、側部フレーム140Lに固定される。
【0052】
側部フレーム140Lの2つの楕円形の開口部に、断面が楕円形のフレーム部110L、120Lの他端を差し込むことにより、側部フレーム140Lに対してフレーム部110L、120Lが回転しないようにすることができる。このような構造により、フレーム部110L、120Lと側部フレーム140Lによって構築されるモノコック構造の強度を向上させている。
【0053】
側部フレーム140Rには、+(プラス)ボタン142と電源ボタン143が設けられる。+ボタン142は、アクチュエータの駆動力を増大させるための入力ボタンであり、電源ボタン143は、装着式動作補助装置100の電源のオン/オフを切り替えるためのボタンスイッチである。また、側部フレーム140Rの内部には、アクチュエータとブレーキ装置が設けられる。装着式動作補助装置100の電源がオンの状態では、+ボタン142及び電源ボタン143は点灯する。
【0054】
側部フレーム140Rには、フレーム部110R、120Rの他端が差し込まれる。側部フレーム140Rには、フレーム部110R、120Rに対応する2つの楕円形の開口部が設けられている。フレーム部110R、120Rの他端を側部フレーム140Rの2つの開口部に差し込むことにより、フレーム部110R、120Rは、側部フレーム140Rに固定される。
【0055】
側部フレーム140Rの2つの楕円形の開口部に、断面が楕円形のフレーム部110R、120Rの他端を差し込むことにより、側部フレーム140Rに対してフレーム部110R、120Rが回転しないようにすることができる。このような構造により、フレーム部110R、120Rと側部フレーム140Rによって構築されるモノコック構造の強度を向上させている。
【0056】
このような構成により、腰部フレーム110、腰部フレーム120、支柱130、側部フレーム140L、140Rは、モノコック構造を実現している。腰部フレーム110と腰部フレーム120の断面の楕円形状と、支柱130、側部フレーム140L、140Rの開口部の楕円形状とは、
図1に示す腰部フレーム110、腰部フレーム120、支柱130、側部フレーム140L、140Rのモノコック構造を構築するために、角度が合わせられている。すなわち、腰部フレーム110、腰部フレーム120、支柱130、側部フレーム140L、140Rを組み立てれば、
図1に示すモノコック構造が完成するように楕円形状の角度が設計されている。
【0057】
大腿カフ150Lは、側部フレーム140L内のアクチュエータによって、側部フレーム140Lに対して、側面視で回動可能に設けられている。大腿カフ150Lは、装着者の左大腿部にベルト部153Lによって固定される。
【0058】
大腿カフ150Rは、側部フレーム140R内のアクチュエータによって、側部フレーム140Rに対して、側面視で回動可能に設けられている。大腿カフ150Rは、装着者の右大腿部にベルト部153Rによって固定される。
【0059】
大腿カフ150L、150Rは、それぞれ、ステー部152L、152Rとベルト部153L、153Rを有する。ステー部152L、152Rは、それぞれ、側部フレーム140L、140R内のアクチュエータに接続され、側面視で回動可能に設けられている。ベルト部153L、153Rは、それぞれ、ステー部152L、152Rに取り付けられている。ステー部152L、152Rの長さは、例えば、身長が140センチから180センチの人体の大腿部の平均的な長さに合わせて設計されており、ベルト部153L、153Rが取り付けられる先端が膝に近くなりすぎず、かつ、股関節に近くなりすぎないように、適度な長さを有する。
【0060】
装着ベルト160は、腰部フレーム110を装着者に取り付ける際に、腹側にわたされる装着ベルトである。装着ベルト160は、装着式動作補助装置100を人体の腰部に取り付けるためのメインのベルトである。装着ベルト160の位置は、所謂ズボンに通すベルトの位置と略同じ高さになる。
【0061】
装着ベルト170は、腰部フレーム120を装着者に取り付ける際に、腹側にわたされる装着ベルトである。装着ベルト170は、装着式動作補助装置100の装着者が膝を曲げた状態から重量物を持ち上げる動作を行うときに、脚の動きに伴って生じる反力を装着者の腹部又は腰部に効率的に伝達するために、装着ベルト160よりも上側で人体に装着式動作補助装置100を固定するために用いられる。
【0062】
単に装着式動作補助装置100を人体の腰部に取り付けるだけであれば、装着ベルト160だけで足りるが、膝を曲げた状態から重量物を持ち上げる動作を行うことを考えると、装着ベルト160よりも高い位置にある装着ベルト170で人体に装着式動作補助装置100を固定することが、アクチュエータが発生する補助力を効率的に人体に伝達するために重要である。
【0063】
バッテリ180は、装着式動作補助装置100の装着側とは反対側の外側において、腰部フレーム110の長手方向の中央部の外側に設けられ、制御部、アクチュエータ、ブレーキ装置、及び−ボタン141、+ボタン142、及び電源ボタン143に電力を供給する。
【0064】
センサ190は、装着者の腰部の背面に装着され、装着者が体幹を起こそうとする際の筋活動あるいは体幹の角度を維持しようとする際の筋活動に伴う生体信号を検出する検出部の一例である。センサ190は、支柱130に設けられた孔部から支柱130の外側に伸延する配線の先端に接続されており、3つ設けられている。センサ190は、装着者の腰部の背面に貼り付けられることによって、装着者が体幹の筋肉を動かす際に発生する生体信号を検出する。センサ190で検出された生体信号は、制御部に入力される。なお、センサ190は、テープ等を用いて装着者の背中に貼り付けてもよいし、ゲル等を用いて貼り付けてもよい。
【0065】
3つのセンサ190のうちの1つは、基準信号を測定するために用いられ、残りの2つのセンサ190は、生体電位信号を測定するために用いられる。
【0066】
図6は、装着式動作補助装置100の可動範囲を示す図である。
図6には、装着式動作補助装置100の左側面を示す。大腿カフ150Lは、側部フレーム140Lを回転中心として、
図6に示す基準位置から、時計回りに130°、反時計回りに30°回動可能である。このような動作により、装着式動作補助装置100は、装着者が
図5(A)に示すように屈んだ状態から、
図5(B)に示すように立ち上がる際に、腰部に対する大腿部の動きを補助するように補助力を発生する。なお、大腿カフ150Rの動作範囲も同様である。
【0067】
図7は、側部フレーム140Lの内部に設けられるアクチュエータ210L及びブレーキ部220Lと、大腿カフ150Lとの関係を示す図であり、(A)は分解図、(B)はアクチュエータ210L及びブレーキ部220Lを組み立てた状態を示す図である。
【0068】
図7(A)に示すように、アクチュエータ210Lの回動部211の周囲には、ブレーキ部220Lが配設される。側部フレーム140Lは、腰部フレーム110を接続する接続部141Lと、腰部フレーム120を接続する接続部142Lとを有し、ブレーキ部220Lの支持部221は、接続部141Lの内部に挿通されることによって側部フレーム140Lに固定される。
【0069】
アクチュエータ210Lの回動部211Lは、内蔵モータによって回転可能である。これにより、
図6に示すような大腿カフ150Lの回転動作が実現される。ブレーキ制御部400Lが、アクチュエータ制御部300からのブレーキ起動命令を受信するか、ブレーキ制御部400Lがアクチュエータ制御部300の誤作動または停止を検出したときにブレーキ部220Lに電力が供給され、回動部211Lの回転動作に対して制動力を発生するブレーキが実現される。ブレーキ部220Lには、ソレノイドの戻りバネが組み込まれており、ブレーキ制御部400Lがアクチュエータ制御部300からのブレーキ解除命令を受信するか、電源が遮断されたときにブレーキ部220Lへの電力供給が遮断され、ブレーキ状態が解除される。
【0070】
ブレーキ部220Lは、支持部221L、ブレーキパッド222L、ブレーキリング223L、ブレーキリンク224Lを有する。
【0071】
支持部221Lには、ソレノイドの戻りバネを構成するバネ221L1とソレノイド221L2が内蔵されている。バネ221L1は、ブレーキ部220Lが電源オフでソレノイド221L2に電流が流れていないときに自然長であり、
図8(A)に示すようにブレーキリンク224Lは、ブレーキリング223Lには押し当てられておらず、ブレーキ部220Lは、ブレーキが掛かっていない状態(フリーの状態)である。
【0072】
ブレーキ部220Lが電源オンにされてソレノイド221L2に電流が流れると、ソレノイド221L2が発生する磁力によってバネ221L1が自然長よりも引き延ばされ、ブレーキリンク224Lが
図8(A)に示す状態から支持部221Lの外側に延出し、
図8(B)に示すようにC字状のブレーキリング223Lの両端に押し当てられる。これにより、回動部211Lにブレーキを掛けることができる。
【0073】
ブレーキパッド222Lは、C字型のブレーキリング223Lの内周面に取り付けられている円弧状に湾曲した板状の部材である。ブレーキパッド222Lは、例えば、ブレーキリング223Lの内周面にねじ止め、接着、又は、機械的に保持されることによって取り付けられている。
【0074】
ブレーキリング223Lは、リング状の部材の円周方向の一部を切り離してC字型にした部材であり、両端に三角部223L1を有する。三角部223L1は、ブレーキリンク224Lの先端のY字部224L1と係合している。
【0075】
ブレーキリンク224Lは、ブレーキリング223Lの両端の三角部223L1と係合するY字部224L1を有する。ブレーキリンク224は、支持部221Lの内部に配設されるバネ221L1に取り付けられており、バネ221L1が伸びると支持部221Lから押し出され、バネ221L1が縮むと支持部221L側に引き戻される。
【0076】
図8(A)には、ソレノイド221L2に電流が流れておらず、バネ221L1が自然長のときのブレーキリンク224Lの位置を示す。
図8(B)には、ソレノイド221L2に電流が流れており、ソレノイド221L2が発生する磁力によってバネ221L1が自然長よりも引き延ばされているときのブレーキリンク224Lの位置を示す。
【0077】
ブレーキ部220Lが電源オンにされてソレノイド221L2に電流が流れると、ソレノイド221L2が発生する磁力によってバネ221L1が自然長よりも引き延ばされ、ブレーキリンク224Lが
図8(A)に示す状態から支持部221Lの外側に延出し、
図8(B)に示すようにY字部224L1がブレーキリング223Lの両端の三角部223L1に押し当てられる。
【0078】
このとき、一対の三角部223L1同士の間の距離が縮みながら、一対の三角部223L1はY字部224L1の奥に押し入れられ、ブレーキリング223Lの両端間が縮められてブレーキリングのリング状の部分の直径が小さくなる。
【0079】
これにより、ブレーキパッド222Lが回動部211Lの外周面に押し当てられる。ソレノイド221L2に流す電流の量を調整することにより、ブレーキパッド222Lと回動部211Lとの間の摩擦力が増大し、回動部211Lの回転動作に対してブレーキを掛けたり、回転動作を完全に止めることができる。
【0080】
また、大腿カフ150Lは、回転軸151L、ステー部152L、及びベルト部153Lを有する。ステー部152Lは、回転軸151Lから回転軌道の径方向に伸延する部材であり、装着者の大腿部を動かすのに十分な剛性を有する。また、ステー部152Lの先端(図中の下端)には、大腿部にフィットさせるためにラウンドさせた部分を有する。このラウンドさせた部分は、例えば、カーボン製である。ラウンドさせた部分には、ベルト部153Lが取り付けられており、大腿部をラウンドさせた部分に固定できるように構成されている。
【0081】
また、制御部は、アクチュエータ210Lの回転動作時に、大腿カフ150Lと腰部フレーム110及び120とから入力される装着者の反力を検出し、反力が所定レベル以下になると、ブレーキ部220Lの抵抗力を増大させて、アクチュエータ210Lの動作を停止させる。反力が所定レベル以下になる状態は、例えば、大腿カフ150L、ベルト160、又はベルト170が外れた状態である。
【0082】
また、ブレーキ部220Lは、装着式動作補助装置100の電源がオンのときに、制御部が停止又は誤作動すると、ブレーキ部220Lの抵抗力を増大させて、アクチュエータ210Lの動作を停止させるように構成されている。このような制御は、例えば、ブレーキ部220Lにマイクロコンピュータ等を組み込んでおき、制御部の動作状態を監視し、制御部が停止した場合に、抵抗力を増大させるように構成することによって実現可能である。制御部が停止してアクチュエータ210Lの駆動力がなくなった場合に、安全性を確保するためである。
【0083】
また、このような非常ブレーキを掛けた場合には、報知音を出力するように構成してもよい。なお、非常ブレーキは、例えば、制御部の停止から0.2秒以内に作動するように構成されている。
【0084】
なお、
図7では、側部フレーム140Lの内部に設けられるアクチュエータ210L及びブレーキ部220Lと、大腿カフ150Lとの関係について説明したが、側部フレーム140Rの内部にも同様のアクチュエータとブレーキ部が配設される。
【0085】
図9は、装着式動作補助装置100の制御部300と、各部との接続関係を示すブロック図である。
【0086】
図9には、制御部300に接続される構成要素として、−ボタン141、+ボタン142、電源ボタン143、バッテリ180、センサ190、アクチュエータ210L、ブレーキ部220L、アクチュエータ210R、及びブレーキ部220Rを示す。アクチュエータ210R、及びブレーキ部220Rは、それぞれ、アクチュエータ210L、ブレーキ部220Lと同様であり、側部フレーム140Rの内部に配設される。
【0087】
制御部300は、電源ボタン143が押されると電源をオンにし、−ボタン141、+ボタン142、電源ボタン143を点灯させるとともに、ブレーキ部220L及び220Rをオンにして、大腿カフ150L及び150Rが動かされると抵抗力を発生させる。制御部300は、例えば、メモリを有するCPU(Central Processing Unit)チップで構成される。
【0088】
そして、センサ190によって検出された生体信号が入力されると、−ボタン141又は+ボタン142によって入力されるアクチュエータ210L及び210Rの駆動レベルに応じた駆動力をアクチュエータ210L及び210Rに発生させる。−ボタン141又は+ボタン142は、制御部300のトルクチューナを制御するためのボタンであり、トルクチューナは、アシスト力を5段階に設定することができる。例えば、トルクチューナを1に設定した場合には、20%のアシストトルクを上限とし、最大3Nmのアシストが受けられ、トルクチューナを5に設定した場合には、100%のアシストトルクを上限とし、最大15Nmのアシストが受けられる。また、トルクの上限を設定するためのトルクリミッターを設けてもよい。
【0089】
この際に、制御部300は、センサ190から入力される生体信号の信号レベルに応じて、駆動力を制御する。アシストを行うために本装置にはサイバニック随意制御(CVC: Cybernic Voluntary Control)モードが搭載されている。CVC モードの時は本装置内部において以下の順序でアシストトルクを決定する。(1) 腰部の生体電位信号から基準アシストトルクを計算する。(2) トルクチューナの値に基づき基準アシストトルクを増幅する。(3) 姿勢、動作内容に応じてアシストトルクを調整する。
【0090】
また、制御部300は、アクチュエータ210L及び210Rの回転動作時に、大腿カフ150L及び150Rと腰部フレーム110及び120とから入力される装着者の反力を検出し、反力が所定レベル以下になると、ブレーキ部220L及び220Rの抵抗力を増大させて、アクチュエータ210L及び210Rの動作を停止させる。反力が所定レベル以下になる状態は、例えば、大腿カフ150L、150R、ベルト160、又はベルト170が外れた状態である。このような状態で、安全性を確保するために動作を停止させるためである。
【0091】
以上、実施の形態の装着式動作補助装置100によれば、装着者が
図5(A)に示すように屈んだ状態から、
図5(B)に示すように立ち上がる際に、腰部に対する大腿部の動きを補助するように補助力を発生することができる。
【0092】
このような補助力は、センサ190によって検出される、装着者が体幹を起こそうとする際の筋活動あるいは体幹の角度を維持しようとする際の筋活動に伴う生体信号に基づいてアクチュエータ210L及び210Rが駆動されることによって発生される。
【0093】
従って、装着者の意志に応じて必要な補助力を必要な方向に提供できる、利便性の高い装着式動作補助装置100を提供することができる。
【0094】
また、装着者が自ら発生すべき動力(筋力)を可及的に抑えることができ、かつ、装着者の利便性を損なう事態を抑えることのできる装着式動作補助装置を提供することができる。
【0095】
以上、本発明の例示的な実施の形態の接触型センサについて説明したが、本発明は、具体的に開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【解決手段】腰部の背面側において、左右方向にわたって装着される第1及び第2腰部フレーム110,120と、股関節の左右側において、第1及び第2腰部フレームの左右端を接合する側部フレーム140と、側部フレームに配設される左側及び右側アクチュエータと、装着者が体幹を起こそうとする際の筋活動あるいは体幹の角度を維持しようとする際の筋活動に伴う生体信号を装着者の腰部の背面で検出する検出部と、左側及び右側アクチュエータに取り付けられるとともに、左大腿部及び右大腿部に固定される左大腿固定部及び右大腿固定部と、検出部で検出される生体信号に基づき、側面視で、第1及び第2腰部フレームと左大腿固定部及び右大腿固定部とがなす角度が開くように、左側及び右側アクチュエータを駆動する制御部とを含む。