(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来技術には次のような問題がある。
【0007】
上述したように従来(例えば特許文献1記載)のロードセンシング制御を行う油圧駆動装置では、複数の流量制御弁の前後差圧をそれぞれ圧力補償弁により所定差圧に保持し、複数のアクチュエータを同時に駆動する複合操作時に負荷圧に係わらず流量制御弁の開口面積に応じた比率で圧油を複数のアクチュエータに供給できるようにしている。
【0008】
ところで、油圧ポンプの吐出流量には、上限、すなわち最大可能吐出流量があるので、複数のアクチュエータを同時に駆動する複合操作時、油圧ポンプが最大可能吐出流量に達すると油圧ポンプの吐出流量が不足する状態(以下サチュレーションという)が生じる。
【0009】
特許文献1記載の油圧駆動装置では、油圧ポンプの吐出圧と複数のアクチュエータの最高負荷圧との差圧(以下ロードセンシング差圧という)を目標補償差圧として圧力補償弁の開口面積増加方向作動の受圧部に導き、圧力補償弁のそれぞれの目標補償差圧をロードセンシング差圧相当の同じ値に設定して、流量制御弁の前後差圧がそのロードセンシング差圧に保持されるようにしている。これにより複数のアクチュエータを同時に駆動する複合操作時にサチュレーションが生じたとき、サチュレーションの程度に応じてロードセンシング差圧も低下し、複数の圧力補償弁の目標補償差圧(すなわち流量制御弁の前後差圧)が一律に小さくなるため、油圧ポンプの吐出流量をそれぞれのアクチュエータが要求流量の比に再分配することができる。
【0010】
しかし、特許文献1記載の油圧駆動装置のように、圧力補償弁が開口面積減少方向のストロークエンドで全閉するように構成されている場合は、2つのアクチュエータの負荷圧の差が大きい複合操作でサチュレーションが生じると、低負荷圧側の圧力補償弁が極端に絞られたり閉じたりして、低負荷側のアクチュエータが減速、停止する可能性がある。
【0011】
特許文献2に記載の油圧駆動装置では、圧力補償弁は開口面積減少方向のストロークエンドで全閉しないように構成されているため、上記のような複合操作でサチュレーションが生じても、低負荷側の圧力補償弁が極端に絞られたり閉じ切ることが無く、低負荷側のアクチュエータが減速、停止することを防止することができる。
【0012】
しかし、特許文献2に記載の油圧駆動装置では、2つのアクチュエータの負荷圧の差が更に大きくなる複合操作でサチュレーションが生じた場合は、低負荷圧側のアクチュエータにメインポンプの吐出流量の大部分を奪われてしまい、高負荷圧側のアクチュエータが停止してしまうという問題がある。
【0013】
例えば、走行中に走行以外アクチュエータ(例えばブーム、アーム、バケットの油圧シリンダ)を駆動したときに、特に上り坂など走行負荷圧が大きくなる条件下では、走行モータよりも負荷圧の低いブームシリンダ、アームシリンダ、バケットシリンダなどのアクチュエータに油圧ポンプの吐出流量が全て流れてしまい、走行が停止してしまうことがある。
【0014】
また、走行中とブレードの複合操作では、走行中にブレードを急操作すると瞬間的にブレードシリンダに圧油が流れるため、走行が減速、停止して操作フィーリングを損ねてしまう。
【0015】
走行モータ以外でも、例えばバケットと交換して使用される破砕機等のアタッチメントに備えられる予備のアクチュエータは負荷圧が高くなり、他のアクチュエータ(例えばブーム、アーム、バケットの油圧シリンダ)との複合操作で負荷圧の差が大きくなることが多いアクチュエータであるため、同様の問題を生じる。
【0016】
本発明の目的は、ロードセンシング制御を行う油圧駆動装置において、2つのアクチュエータの負荷圧の差が大きい複合操作でサチュレーションが生じた場合に、低負荷圧側の圧力補償弁の閉じ切りを防止して低負荷圧側のアクチュエータの減速、停止を防止するとともに、高負荷圧のアクチュエータへの必要な量の圧油を確保して高負荷圧アクチュエータの減速、停止も防止し、良好な複合操作性が得られる建設機械の油圧駆動装置を提供することである。
【0017】
本明細書では、走行モータや破砕機等の予備のアクチュエータのように負荷圧が高くなるアクチュエータであって、特許文献2に記載のように開口面積減少方向のストロークエンドで全閉しない圧力補償弁を備えた油圧駆動装置で、負荷圧の差が大きくなる複合操作を行ってサチュレーションが生じた場合に、低負荷圧側のアクチュエータにメインポンプの吐出流量の大部分を奪われて、停止してしまう可能性のあるアクチュエータを、「特定のアクチュエータ」という。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成するために、本発明は、可変容量型の油圧ポンプと、この油圧ポンプから吐出された圧油により駆動される複数のアクチュエータと、前記油圧ポンプから前記複数のアクチュエータに供給される圧油の流量を制御する複数の流量制御弁と、前記複数のアクチュエータに対応して設けられ、前記複数の流量制御弁を駆動するための操作パイロット圧を生成するリモコン弁を備えた複数の操作装置と、前記複数の流量制御弁の前後差圧をそれぞれ制御する複数の圧力補償弁と、前記油圧ポンプの吐出圧が前記複数のアクチュエータの最高負荷圧より目標差圧だけ高くなるよう前記油圧ポンプの容量をロードセンシング制御するポンプ制御装置とを備え、前記複数の圧力補償弁は、開口面積減少方向のストロークエンドにおいて全閉しないタイプの圧力補償弁であ
り、前記複数のアクチュエータは走行体を駆動する走行モータを含み、前記走行モータは、他のアクチュエータとの複合操作時に前記他のアクチュエータの圧力補償弁がストロークエンドに達するほど負荷圧が高くなり得るアクチュエータである建設機械の油圧駆動装置において、前記複数の操作装置のリモコン弁にパイロット油圧源の圧力であるパイロット一次圧を供給するパイロット一次圧回路を備え、前記パイロット一次圧回路は、前記複数の操作装置のうち
前記走行モータの操作装置のリモコン弁に前記パイロット一次圧を供給する第1回路と、前記
走行モータの操作装置以外の操作装置のリモコン弁に前記パイロット一次圧を供給する第2回路とを有し、前記第2回路は、前記
走行モータの操作装置が操作されていないときは、前記パイロット一次圧をそのまま前記
前記走行モータの操作装置以外の操作装置のリモコン弁に供給し、前記
走行モータの操作装置が操作されたときは、前記パイロット一次圧を減圧して前記
走行モータの操作装置以外の操作装置のリモコン弁に供給するものとする。
【0019】
このように構成した本発明においては、複数の圧力補償弁は、開口面積減少方向のストロークエンドにおいて全閉しないタイプの圧力補償弁であるため、2つのアクチュエータの負荷圧の差が大きい複合操作でサチュレーションが生じた場合に、低負荷圧側の圧力補償弁の閉じ切りが防止され、低負荷圧側のアクチュエータの減速、停止を防止することができる。
【0020】
また、第2回路は、
走行モータの操作装置が操作されていないときは、パイロット一次圧をそのまま
走行モータの操作装置以外の操作装置のリモコン弁に供給し、
走行モータの操作装置が操作されたときは、パイロット一次圧を減圧して
走行モータの操作装置以外の操作装置のリモコン弁に供給するため、
走行モータの操作装置以外の操作装置に対応するアクチュエータへの圧油の流入が抑制される。これにより、
走行モータが高負荷圧側となりかつ負荷圧の差が大きくなる複合操作でサチュレーションが生じた場合に、
走行モータへの必要な量の圧油を確保して
走行モータの減速、停止を防止し、良好な複合操作性が得られる。
【0021】
また、本発明は、上記
第2回路を種々の構成で実現することができる。
【0022】
例えば、前記第2回路は、前記パイロット一次圧をそのまま導く第3回路と、前記パイロット一次圧を減圧して導く第4回路と、前記第3回路の圧力と前記第4回路の圧力とを切り換えて前記
走行モータの操作装置以外の操作装置のリモコン弁に導く切換弁とを備える。
【0023】
この場合、前記第4回路は前記パイロット一次圧を減圧する減圧弁を有する。また、前記第4回路はパイロット一次圧を減圧する絞り回路を有するものであってもよい。
【0024】
また、前記第2回路は、パイロット作動形減圧弁を備え、前記パイロット作動形減圧弁に導かれるパイロット圧が第1圧力にあるときは前記パイロット一次圧をそのまま前記
走行モータの操作装置以外の操作装置のリモコン弁に導き、前記パイロット作動形減圧弁に導かれるパイロット圧が第2圧力に切り換わると前記パイロット一次圧を減圧して前記
走行モータの操作装置以外の操作装置のリモコン弁に導く第5回路と、前記パイロット作動形減圧弁に導かれるパイロット圧を前記第1圧力と前記第2圧力とに切り換える切換弁を備えた第6回路とを有するものであってもよい。
【0025】
更に、好ましくは、前記複数の操作装置のうち
走行モータの操作装置の操作を検出する操作検出装置を更に備え、前記第2回路は、前記操作検出装置が前記
走行モータの操作装置の操作を検出しないときは、前記パイロット一次圧をそのまま前記
走行モータの操作装置以外の操作装置のリモコン弁に供給し、前記操作検出装置が前記
走行モータの操作装置の操作を検出したときは、前記パイロット一次圧を減圧して前記
走行モータの操作装置以外の操作装置のリモコン弁に供給するものとする。
【0026】
また、油圧駆動装置は、操作検出装置として、前記複数の操作装置のうち
走行モータの操作装置のリモコン弁が生成する操作パイロット圧を検出して油圧信号として出力するシャトル弁を更に備えることができ、この場合、前記切換弁は前記油圧信号により切り換えられる油圧切換弁である。
【0027】
油圧駆動装置は、操作検出装置として、前記複数の操作装置のうち
走行モータの操作装置のリモコン弁が生成する操作パイロット圧を検出して電気信号を出力する圧力センサを更に備えていてもよく、この場合、前記切換弁は前記電気信号に基づいて動作する電磁切換弁である。
【0028】
油圧駆動装置は、第1位置と第2位置とに切り換え可能な手動選択装置を更に備えていてもよく、前記第2回路は、前記手動選択装置が前記第1位置にあるときは、前記
走行モータの操作装置が操作されたときの前記パイロット一次圧を減圧する機能を有効とし、前記手動選択装置が前記第2位置に切り換えられると、前記
走行モータの操作装置が操作されたときの前記パイロット一次圧を減圧する機能を無効とする。
また、上記目的を達成するために、本発明は、可変容量型の油圧ポンプと、この油圧ポンプから吐出された圧油により駆動される複数のアクチュエータと、前記油圧ポンプから前記複数のアクチュエータに供給される圧油の流量を制御する複数の流量制御弁と、前記複数のアクチュエータに対応して設けられ、前記複数の流量制御弁を駆動するための操作パイロット圧を生成するリモコン弁を備えた複数の操作装置と、前記複数の流量制御弁の前後差圧をそれぞれ制御する複数の圧力補償弁と、前記油圧ポンプの吐出圧が前記複数のアクチュエータの最高負荷圧より目標差圧だけ高くなるよう前記油圧ポンプの容量をロードセンシング制御するポンプ制御装置とを備え、前記複数の圧力補償弁は、開口面積減少方向のストロークエンドにおいて全閉しないタイプの圧力補償弁である建設機械の油圧駆動装置において、前記複数の操作装置のリモコン弁にパイロット油圧源の圧力であるパイロット一次圧を供給するパイロット一次圧回路を備え、前記パイロット一次圧回路は、前記複数の操作装置のうち特定のアクチュエータに対応する特定の操作装置のリモコン弁に前記パイロット一次圧を供給する第1回路と、前記特定の操作装置以外の操作装置のリモコン弁に前記パイロット一次圧を供給する第2回路とを有し、前記第2回路は、前記特定の操作装置が操作されていないときは、前記パイロット一次圧をそのまま前記特定の操作装置以外の操作装置のリモコン弁に供給し、前記特定の操作装置が操作されたときは、前記パイロット一次圧を減圧して前記特定の操作装置以外の操作装置のリモコン弁に供給するものであり、前記第2回路は、前記パイロット一次圧をそのまま導く第3回路と、前記パイロット一次圧を減圧して導く第4回路と、前記第3回路の圧力と前記第4回路の圧力とを切り換えて前記特定の操作装置以外の操作装置のリモコン弁に導く切換弁とを備えるものとする。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、ロードセンシング制御を行う油圧駆動装置において、
負荷圧の差が大きい走行モータ或いは特定のアクチュエータと他のアクチュエータとの複合操作でサチュレーションが生じた場合に、低負荷圧側の他のアクチュエータの圧力補償弁の閉じ切りを防止して低負荷圧側のアクチュエータ
である他のアクチュエータの減速、停止を防止するとともに、高負荷圧側の
走行モータ或いは特定のアクチュエータへの必要な量の圧油を確保して
走行モータ或いは特定のアクチュエータの減速、停止も防止し、良好な複合操作性が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態を図面に従い説明する。
<油圧ショベル>
図2に油圧ショベルの外観を示す。
【0032】
図2において、作業機械としてよく知られている油圧ショベルは、上部旋回体300と、下部走行体301と、スイング式のフロント作業機302を備え、フロント作業機302は、ブーム306、アーム307、バケット308から構成されている。上部旋回体300は下部走行体301を旋回モータ7の回転によって旋回可能である。上部旋回体300の前部にはスィングポスト303が取り付けられ、このスィングポスト303にフロント作業機302が上下動可能に取り付けられている。スイングポスト303はスイングシリンダ9(
図1参照)の伸縮により上部旋回体300に対して水平方向に回動可能であり、フロント作業機302のブーム306、アーム307、バケット308はブームシリンダ10、アームシリンダ11、バケットシリンダ12の伸縮により上下方向に回動可能である。下部走行体301は中央フレーム304を備え、この中央フレーム304にはブレードシリンダ8(
図1A参照)の伸縮により上下動作を行うブレード305が取り付けられている。下部走行体301は、走行モータ5,6の回転により左右の履帯310,311を駆動することによって走行を行う。
<第1の実施の形態>
図1Aに本発明の第1の実施の形態に係わる油圧ショベルの油圧駆動装置を示す。
【0033】
〜基本構成〜
まず、本実施の形態に係わる油圧駆動装置の基本構成を説明する。
【0034】
本実施の形態における油圧駆動装置は、エンジン1と、エンジン1によって駆動されるメインの油圧ポンプ(以下メインポンプという)2と、メインポンプ2と連動してエンジン1により駆動されるパイロットポンプ3と、メインポンプ2から吐出された圧油により駆動される複数のアクチュエータ5,6,7,8,9,10,11,12である左右の走行モータ5,6、旋回モータ7、ブレードシリンダ8、スイングシリンダ9、ブームシリンダ10、アームシリンダ11、バケットシリンダ12と、コントロールバルブ4とを備えている。本実施形態に係わる油圧ショベルは、例えば油圧ミニショベルである。
【0035】
コントロールバルブ4は、メインポンプ2の供給油路2aに接続され、メインポンプ2から各アクチュエータに供給される圧油の方向と流量をそれぞれ制御する複数のバルブセクション13,14,15,16,17,18,19,20と、複数のアクチュエータ5,6,7,8,9,10,11,12の負荷圧のうち最も高い負荷圧(以下、最高負荷圧という)PLmaxを選択して信号油路21に出力する複数のシャトル弁22a,22b,22c,22d,22e,22f,22gと、メインポンプ2の供給油路2aに接続されたバルブ内供給油路4aに接続され、メインポンプ2の最高吐出圧(最高ポンプ圧)を制限するメインリリーフ弁23と、パイロット油圧源33(後述)に接続され、供給油路4a及び信号油路21の圧力を信号圧力として入力し、メインポンプ2の吐出圧(ポンプ圧)Pdと最高負荷圧PLmaxとの差圧PLSを絶対圧として出力する差圧減圧弁24と、バルブ内供給油路4aに接続され、供給油路4a及び信号油路21の圧力を信号圧力として入力し、ポンプ圧Pdと最高負荷圧PLmaxとの差圧PLSがバネ25aにより設定されたある一定値を超えたときにメインポンプ2の吐出流量の一部をタンクTに戻し、差圧PLSをバネ25aにより設定された一定値以下に保つアンロード弁25とを有している。アンロード弁25及びメインリリーフ弁23の出口側はバルブ内タンク油路29に接続され、この油路29を介してタンクTに接続されている。
【0036】
バルブセクション13は流量制御弁26aと圧力補償弁27aとから構成され、バルブセクション14は流量制御弁26bと圧力補償弁27bとから構成され、バルブセクション15は流量制御弁26cと圧力補償弁27cとから構成され、バルブセクション16は流量制御弁26dと圧力補償弁27dとから構成され、バルブセクション17は流量制御弁26eと圧力補償弁27eとから構成され、バルブセクション18は流量制御弁26fと圧力補償弁27fとから構成され、バルブセクション19は流量制御弁26gと圧力補償弁27gとから構成され、バルブセクション20は流量制御弁26hと圧力補償弁27hとから構成されている。
【0037】
流量制御弁26a〜26hは、メインポンプ2からそれぞれのアクチュエータ5〜12に供給される圧油の方向と流量をそれぞれ制御し、圧力補償弁27a〜27hは流量制御弁26a〜26hの前後差圧をそれぞれ制御する。
【0038】
圧力補償弁27a〜27hは目標差圧設定用の開弁側受圧部28a,28b,28c,28d,28e,28f,28g,28hを有し、この受圧部28a〜28hには差圧減圧弁24の出力圧が導かれ、油圧ポンプ圧Pdと最高負荷圧PLmaxとの差圧PLSの絶対圧(以下絶対圧PLSという)により目標補償差圧が設定される。このように流量制御弁26a〜26hの前後差圧を同じ差圧PLSという値に制御することにより、圧力補償弁27a〜27hは流量制御弁26a〜26hの前後差圧が油圧ポンプ圧Pdと最高負荷圧PLmaxとの差圧PLSに等しくなるように制御する。これにより複数のアクチュエータを同時に駆動する複合操作時は、アクチュエータ5〜12の負荷圧の大小に係わらず、流量制御弁26a〜26hの開口面積比に応じてメインポンプ2の吐出流量を分配し、複合操作性を確保することができる。また、メインポンプ2の吐出流量が要求流量に満たないサチュレーション状態になった場合は、差圧PLSはその供給不足の程度に応じて低下し、これに応じて圧力補償弁27a〜27hが制御する流量制御弁26a〜26hの前後差圧が同じ割合で低下して流量制御弁26a〜26hの通過流量が同じ割合で減少するため、この場合も流量制御弁26a〜26hの開口面積比に応じてメインポンプ2吐出流量を分配し、複合操作性を確保することができる。
【0039】
圧力補償弁27a〜27hは、
図1Aのシンボル表示から分かるように、開口面積減少方向(図示左方向)のストロークエンドにおいて全閉しないタイプの圧力補償弁である。
【0040】
また、油圧駆動装置は、パイロットポンプ3の供給油路3aに接続され、パイロットポンプ3の吐出流量に応じて絶対圧を出力するエンジン回転数検出弁30と、エンジン回転数検出弁30の下流側に接続され、パイロット油路31の圧力を一定に保つパイロットリリーフ弁32を有するパイロット油圧源33と、パイロット油路31に接続され、パイロット油圧源32の圧力を元圧(パイロット一次圧)として流量制御弁26a〜26hを操作するための操作パイロット圧(パイロット二次圧)a,b,c,d,e,f,g,h,i,j,k,l,m,n,o,pを生成するためのリモコン弁34a−2,34b−2,34c−2,34d−2,34e−2,34f−2,34g−2,34h−2(
図1B参照)を備えた操作装置34a,34b,34c,34d,34e,34f,34g,34hとを備えている。
【0041】
エンジン回転数検出弁30は、パイロットポンプ3の供給油路3aをパイロット油路31に接続する油路に設けられた絞り要素(固定絞り部)30fと、絞り要素30fに並列に接続された流量検出弁30aと、差圧減圧弁30bとを有している。流量検出弁30aの入力側はパイロットポンプ3の供給油路3aに接続され、流量検出弁30aの出力側はパイロット油路31に接続されている。流量検出弁30aは通過流量が増大するにしたがって開口面積を大きくする可変絞り部30cを有し、パイロットポンプ3の吐出油は絞り要素30f及び流量検出弁30aの可変絞り部30cの両方を通過してパイロット油路31側へと流れる。このとき、絞り要素30fと流量検出弁30aの可変絞り部30cには通過流量が増加するにしたがって大きくなる前後差圧が発生し、差圧減圧弁30bはその前後差圧を絶対圧Paとして出力する。パイロットポンプ3の吐出流量はエンジン1の回転数によって変化するため、絞り要素30f及び可変絞り部30cの前後差圧を検出することにより、パイロットポンプ3の吐出流量を検出することができ、エンジン1の回転数を検出することができる。また、可変絞り部30cは、通過流量が増大するにしたがって(前後差圧が高くなるにしたがって)開口面積を大きくすることにより、通過流量が増大するにしたがって前後差圧の上昇度合いが緩やかになるように構成されている。
【0042】
メインポンプ2は可変容量型の油圧ポンプであり、その傾転角(容量)を制御するためのポンプ制御装置35を備えている。ポンプ制御装置35はポンプトルク制御部35AとLS制御部35Bとで構成されている。
【0043】
ポンプトルク制御部35Aはトルク制御傾転アクチュエータ35aを有し、トルク制御傾転アクチュエータ35aはメインポンプ2の吐出圧が高くなるとメインポンプ2の傾転角(容量)が減るようにメインポンプ2の斜板(容量可変部材)2sを駆動し、メインポンプ2の入力トルクが予め設定した最大トルクを越えないように制限する。これによりメインポンプ2の消費馬力が制限され、過負荷によるエンジン1の停止(エンジンストール)が防止される。
【0044】
LS制御部35Bは、LS制御弁35b及びLS制御傾転アクチュエータ35cを有している。
【0045】
LS制御弁35bは対向する受圧部35d,35eを有し、受圧部35dには油路40を介してエンジン回転数検出弁30の差圧減圧弁30bで生成された絶対圧Paがロードセンシング制御の目標差圧(目標LS差圧)として導かれ、受圧部35eに差圧減圧弁24で生成された絶対圧PLS(メインポンプ2の吐出圧Pdと最高負荷圧PLmaxとの差圧PLS)がフィードバック差圧として導かれる。LS制御弁35bは、絶対圧PLSが絶対圧Paよりも高くなると(PLS>Pa)、パイロット油圧源33の圧力をLS制御傾転アクチュエータ35cに導き、絶対圧PLSが絶対圧Paよりも低くなると(PLS<Pa)、LS制御傾転アクチュエータ35cをタンクTに連通させる。LS制御傾転アクチュエータ35cは、パイロット油圧源33の圧力が導かれると、メインポンプ2の傾転角が減るようにメインポンプ2の斜板2sを駆動し、タンクTに連通すると、メインポンプ2の傾転角が増えるようにメインポンプ2の斜板2sを駆動する。これによりメインポンプ2の吐出圧Pdが最高負荷圧PLmaxよりも絶対圧Pa(目標差圧)だけ高くなるようにメインポンプ2の傾転角(容量)が制御される。
【0046】
ここで、絶対圧
Paはエンジン回転数に応じて変化する値であるため、絶対圧
Paをロードセンシング制御の目標差圧として用い、圧力補償弁27a〜27hの目標補償差圧をメインポンプ2の吐出圧Pdと最高負荷圧PLmaxとの差圧の絶対圧PLSにより設定することにより、エンジン回転数に応じたアクチュエータスピードの制御が可能となる。
【0047】
アンロード弁25のバネ25aの設定圧は、エンジン1が定格最高回転数にあるときのエンジン回転数検出弁30の差圧減圧弁30bで生成された絶対圧
Pa(ロードセンシング制御の目標差圧)よりも少し高くなるように設定されている。
【0048】
図1Bは、操作装置34a,34b,34c,34d,34e,34f,34g,34hとそのパイロット回路部分を拡大して示す図である。
【0049】
操作装置34aは、操作レバー34a−1とリモコン弁34a−2を有し、リモコン弁34a−2は1対の減圧弁PVa,PVbを備えている。操作レバー34a−1を図示右方向に操作するとリモコン弁34a−2の減圧弁PVaが作動して操作レバー34a−1の操作量に応じた大きさの操作パイロット圧aを生成し、操作レバー34a−1を図示左方向に操作するとリモコン弁34a−2の減圧弁PVbが作動して操作レバー34a−1の操作量に応じた大きさの操作パイロット圧bを生成する。
【0050】
操作装置34b〜34hも同様に構成されている。すなわち、操作装置34b〜34hは、それぞれ、操作レバー34b−1,34c−1,34d−1,34e−1,34f−1,34g−1,34h−1とリモコン弁34b−2,34c−2,34d−2,34e−2,34f−2,34g−2,34h−2を有し、操作レバー34b−1,34c−1,34d−1,34e−1,34f−1,34g−1,34h−1を図示右方向に操作するとリモコン弁34b−2,34c−2,34d−2,34e−2,34f−2,34g−2,34h−2の減圧弁PVc,PVe,PVg,PVi,PVk,PVm,PVoがそれぞれ作動して操作レバー34b−1,34c−1,34d−1,34e−1,34f−1,34g−1,34h−1の操作量に応じた大きさの操作パイロット圧c,e,g,i,k,m,oを生成し、操作レバー34b−1,34c−1,34d−1,34e−1,34f−1,34g−1,34h−1を図示左方向に操作するとリモコン弁34b−2,34c−2,34d−2,34e−2,34f−2,34g−2,34h−2の減圧弁PVd,PVf,PVh,PVj,PVl,PVn,PVpがそれぞれ作動して操作レバー34b−1,34c−1,34d−1,34e−1,34f−1,34g−1,34h−1の操作量に応じた大きさの操作パイロット圧d,f,h,j,l,n,pを生成する。
【0051】
〜特徴的構成〜
次に、本実施の形態に係わる油圧駆動装置の特徴的構成を説明する。
【0052】
本実施の形態に係わる油圧駆動装置は、その特徴的構成として、操作装置34a,34b,34c,34d,34e,34f,34g,34hのリモコン弁34b−2,34c−2,34d−2,34e−2,34f−2,34g−2,34h−2にパイロット油圧源33の圧力であるパイロット一次圧を供給するパイロット一次圧回路40を備え、このパイロット一次圧回路40は、走行の操作装置34a,34bのリモコン弁34a−2,34b−2にパイロット一次圧を供給する第1回路41と、走行操作装置以外の操作装置(以下単に走行以外の操作装置という)34c〜34hのリモコン弁34c−2〜34h−2にパイロット一次圧を供給する第2回路42とを有している。
【0053】
第2回路42は、走行の操作装置34a,34bが操作されていないときは、パイロット一次圧をそのまま走行以外の操作装置34c〜34hのリモコン弁34c−2〜34h−2に供給し、走行の操作装置34a,34bが操作されたときは、パイロット一次圧を減圧して走行以外の操作装置34c〜34hのリモコン弁34c−2〜34h−2に供給するよう構成されている。
【0054】
走行モータ5,6は特定のアクチュエータであり、走行の操作装置34a,34bは、複数の操作装置34a〜34hのうち特定のアクチュエータ(走行モータ5,6)に対応する特定の操作装置である。また、本明細書において特定のアクチュエータとは、その特定のアクチュエータと他のアクチュエータとを同時に駆動する複合操作をしたときに他のアクチュエータが低負荷圧側となり、かつ特定のアクチュエータの負荷圧が、他のアクチュエータ(低負荷側のアクチュエータ)の圧力補償弁がストロークエンド付近まで動作する程度にまで高くなるアクチュエータを言う。
【0055】
また、本実施の形態に係わる油圧駆動装置は、走行の操作装置34a,34bの操作を検出する操作検出装置43を更に備え、この操作検出装置43は、走行の操作装置34a,34bのリモコン弁34a−2,34b−2が生成する操作パイロット圧(走行の操作パイロット圧)を検出して油圧信号として出力するシャトル弁48a,48b,48cを有している。第2回路42は、パイロット一次圧をそのまま導く第3回路44と、パイロット一次圧を減圧して導く第4回路45と、第3回路44の圧力と第4回路45の圧力とを切り換えて走行以外の操作装置34c〜34hのリモコン弁34c−2〜34h−2に導く切換弁46とを備え、第4回路45はパイロット一次圧を減圧する減圧弁47を有し、切換弁46はシャトル弁48a,48b,48cからの油圧信号が油路48dを介して導かれるパイロット受圧部46aを有している。
【0056】
走行の操作装置34a,34bの操作レバー34a−1,34b−1が操作されておらず、走行の操作パイロット圧が生成されていないときは、切換弁46は図示右側の第1位置にあり、第3回路44が走行以外の操作装置34c〜34hのリモコン弁34c−2〜34h−2に至る回路49に連通し、パイロット一次圧がそのまま走行以外の操作装置34c〜34hのリモコン弁34c−2〜34h−2に導かれる。走行の操作装置34a,34bの操作レバー34a−1,34b−
1が操作され、走行の操作パイロット圧が生成されるときは、走行の操作パイロット圧が切換弁46のパイロット受圧部46aに導かれ、切換弁46は図示左側の第2位置に切り換わり、第4回路45が走行以外の操作装置34c〜34hのリモコン弁34c−2〜34h−2に至る回路49に連通し、パイロット一次圧が減圧弁47で減圧されて走行以外の操作装置34c〜34hのリモコン弁34c−2〜34h−2に導かれる。
【0057】
図3A〜
図3Cは、そのときの操作装置34c〜34hのレバー操作量に対する流量制御弁26c〜26hの開口面積の変化を示す図である。
【0058】
走行の操作装置34a,34bの操作レバー34a−1,34b−1が操作されていないときは、走行の操作パイロット圧が生成されないため、切換弁46は図示右側の第1位置にあり、パイロット油圧源33のパイロット一次圧がそのまま走行以外の操作装置34c〜34hのリモコン弁34c−2〜34h−2に導かれる。これにより走行以外の操作装置34c〜34hの操作レバー34c−1〜34h−1が操作されたとき、リモコン弁34c−2〜34h−2が生成する操作パイロット圧、走行以外の流量制御弁26c〜26hのスプールストローク及び開口面積は、それぞれ、
図3Aの特性A1、
図3Bの特性A2及び
図3Cの特性A3に示すように変化する。すなわち、レバー操作量が増大するにしたがって操作パイロット圧は最小圧力Ppminから最大圧力Ppmaxまで増大し(
図3Aの特性A1)、操作パイロット圧が増大するにしたがって走行以外の流量制御弁26c〜26hのスプールストロークはゼロから最大Smaxまで増大し(
図3Bの特性A2)、スプールストロークが増大するにしたがってメータインの開口面積はゼロから最大Amaxまで増大する(
図3Cの特性A3)。
【0059】
一方、走行の操作装置34a,34bの操作レバー34a−1,34b−1が操作されたときは、走行の操作パイロット圧が生成されて切換弁46は図示左側の第2位置に切り換わってパイロット油圧源33のパイロット一次圧が減圧されるため、走行以外の操作装置34c〜34hの操作レバー34c−1〜34h−1が操作されたとき、リモコン弁34c−2〜34h−2が生成する操作パイロット圧、走行以外の流量制御弁26c〜26hのスプールストローク及び開口面積は、それぞれ、
図3Aの特性B1、
図3Bの特性B2及び
図3Cの特性B3に示すように変化する。すなわち、レバー操作量が増大するにしたがって操作パイロット圧は増大するが、レバー操作量が中間の操作量Xaまで増大して操作パイロット圧がPpaまで上昇すると、レバー操作量をそれ以上増大させても操作パイロット圧はそれ以上増大せず、操作パイロット圧はPpaで一定である(
図3Aの特性B1)。操作パイロット圧Ppaはパイロット一次圧の減圧された圧力(減圧弁47により減圧された圧力)に等しい圧力である。
【0060】
その結果、走行以外の流量制御弁26c〜26hのスプールストロークはゼロから操作パイロット圧Ppaに相当する中間ストロークStrまでしか増大せず、走行以外の流量制御弁26c〜26hの最大ストロークは中間ストロークStrに制限され(
図3Bの特性B2)、メータインの最大開口面積も中間ストロークStrに対応する中間の開口面積Astrに制限される(
図3Cの特性B3)。これにより走行の操作装置34a,34bの操作レバー34a−1,34b−1を操作して走行を行っているときは、走行以外の操作装置34c〜34hの操作レバー34c−1〜34h−1を操作しても、走行以外の流量制御弁26c〜26hのメータインの開口面積は絞られ、流量制御弁26c〜26hの要求流量は制限される。
【0061】
〜基本構成の動作〜
まず、本実施の形態の油圧駆動装置の基本構成の動作を説明する。
【0062】
<全ての操作レバーが中立のとき>
全ての操作装置34a〜34hの操作レバー34a−1〜34h−1が中立位置にある場合、全ての流量制御弁26a〜26hは中立位置にあり、アクチュエータ5〜12に圧油は供給されない。また、流量制御弁26a〜26hが中立位置にあるときは、シャトル弁22a〜22gにより検出される最高負荷圧PLmaxはタンク圧となる。
【0063】
メインポンプ2からの吐出油は供給油路2a,4aに供給され、供給油路2a,4aの圧力が上昇する。供給油路4aにはアンロード弁25が設けられており、アンロード弁25は、供給油路2aの圧力が最高負荷圧PLmax(今の場合はタンク圧)よりバネ25aの設定圧以上高くなると、開状態になって供給油路2aの圧油をタンクに戻し、供給油路2aの圧力の上昇を制限する。これによりメインポンプ2の吐出圧は最低圧力Pminに制御される。
【0064】
差圧減圧弁24は、メインポンプ2の吐出圧Pdと最高負荷圧PLmax(今の場合はタンク圧)の差圧PLSを絶対圧として出力している。メインポンプ2のLS制御部35BのLS制御弁35bには、エンジン回転数検出弁30の出力圧と差圧減圧弁24の出力圧が導かれており、メインポンプ2の吐出圧が上昇し、差圧減圧弁24の出力圧がエンジン回転数検出弁30の出力圧よりも大きくなると、LS制御弁35bは図示右側の位置に切り換わり、LS制御傾転アクチュエータ35cにパイロット油圧源33の圧力が導かれ、メインポンプ2の傾転角が小さくなるよう制御される。しかし、メインポンプ2には、その最小傾転角を規定するストッパ(図示せず)が設けられているため、メインポンプ2はそのストッパにより規定される最小傾転角qminに保持され、最少流量Qminを吐出する。
【0065】
<操作レバーを操作した場合>
任意の被駆動部材、例えばブーム用の操作装置34fの操作レバー34f−1を操作した場合は、ブーム用の流量制御弁26fが切り換わり、ブームシリンダ10に圧油が供給され、ブームシリンダ10が駆動される。
【0066】
流量制御弁26fを流れる流量は、流量制御弁26fのメータイン絞りの開口面積とメータイン絞りの前後差圧によって決まり、メータイン絞りの前後差圧は圧力補償弁27fによって差圧減圧弁24の出力圧と等しくなるように制御されるため、流量制御弁26fを流れる流量(したがってブームシリンダ10の駆動速度)は操作レバーの操作量に応じて制御される。
【0067】
一方、ブームシリンダ10の負荷圧がシャトル弁22a〜22gによって最高負荷圧として検出され、差圧減圧弁24及びアンロード弁25に伝えられる。
【0068】
アンロード弁25にブームシリンダ10の負荷圧が最高負荷圧として導かれると、それに応じてアンロード弁25のクラッキング圧力(アンロード弁25が開き始める圧力)は上昇し、供給油路2aの圧力が過渡的に最高負荷圧よりバネ25aの設定圧以上高くなると、アンロード弁25は開弁して供給油路4aの圧油をタンクに戻す。これにより供給油路2a,4aの圧力が最高負荷圧PLmaxよりもバネ25aの設定圧以上に上昇することが制限される。
【0069】
ブームシリンダ10が動き始めると、一時的に供給油路2a,4aの圧力が低下する。このとき、供給油路2aの圧力とブームシリンダ10の負荷圧の差が、差圧減圧弁24の出力圧として出力されるため、差圧減圧弁24の出力圧が低下する。
【0070】
メインポンプ2のLS制御部35BのLS制御弁35bには、エンジン回転数検出弁30の出力圧と差圧減圧弁24の出力圧とが導かれており、差圧減圧弁24の出力圧がエンジン回転数検出弁30の出力圧よりも低下すると、LS制御弁35bは図示左側の位置に切り換わり、LS制御傾転アクチュエータ35cをタンクTに連通させてLS制御傾転アクチュエータ35c圧油をタンクに戻し、メインポンプ2の傾転角が増加するよう制御され、メインポンプ2の吐出流量が増加する。このメインポンプ2の吐出流量の増加は、差圧減圧弁24の出力圧がエンジン回転数検出弁30の出力圧と等しくなるまで継続する。これらの一連の働きにより、メインポンプ2の吐出圧(供給油路2a,4aの圧力)が最高負荷圧PLmaxよりもエンジン回転数検出弁30の出力圧(目標差圧)だけ高くなるよう制御され、ブーム用の流量制御弁26fが要求する流量をブームシリンダ10に供給する、いわゆるロードセンシング制御が行われる。
【0071】
2つ以上の被駆動部材の操作装置、例えばブーム用の操作装置34fとアーム用の操作装置34gの操作レバー34f−1,34g−1を操作した場合は、流量制御弁26f,26gが切り換わり、ブームシリンダ10及びアームシリンダ11に圧油が供給され、ブームシリンダ10及びアームシリンダ11が駆動される。
【0072】
ブームシリンダ10及びアームシリンダ11の負荷圧のうち高い方の圧力がシャトル弁22a〜22gによって最高負荷圧PLmaxとして検出され、差圧減圧弁24及びアンロード弁25に伝えられる。
【0073】
アンロード弁25にシャトル弁22a〜22gによって検出された最高負荷圧PLmaxが導かれたときの動作は、ブームシリンダ10を単独で駆動した場合と同じであり、最高負荷圧PLmaxの上昇に応じてアンロード弁25のクラッキング圧力は上昇し、供給油路2a,4aの圧力が最高負荷圧PLmaxよりもバネ25aの設定圧以上に上昇することが制限される。
【0074】
また、メインポンプ2のLS制御部35BのLS制御弁35bには、エンジン回転数検出弁30の出力圧と差圧減圧弁24の出力圧とが導かれており、ブームシリンダ10を単独で駆動するしたと同様に、メインポンプ2の吐出圧(供給油路2a,4aの圧力)が最高負荷圧PLmaxよりもエンジン回転数検出弁30の出力圧(目標差圧)だけ高くなるよう制御され、流量制御弁26f,26gが要求する流量をブームシリンダ10及びアームシリンダ11に供給する、いわゆるロードセンシング制御が行われる。
【0075】
差圧減圧弁24の出力圧は圧力補償弁27a〜27hに目標補償差圧として導かれており、圧力補償弁27f,27gは、流量制御弁26f,26gの前後差圧を、メインポンプ2の吐出圧と最高負荷圧PLmaxとの差圧に等しくなるように制御する。これによりブームシリンダ10とアームシリンダ11の負荷圧の大小に係わらず、流量制御弁26f,26gのメータイン絞り部の開口面積に応じた比率でブームシリンダ10とアームシリンダ11に圧油を供給することができる。
【0076】
このとき、メインポンプ2の吐出流量が流量制御弁26f,26gが要求する流量に満たないサチュレーション状態になった場合は、サチュレーションの程度に応じて差圧減圧弁24の出力圧(メインポンプ2の吐出圧と最高負荷圧PLmaxとの差圧)が低下し、これに伴って圧力補償弁27a〜27hの目標補償差圧も小さくなるので、メインポンプ2の吐出流量を流量制御弁26f,26gが要求する流量の比に再分配できる。
【0077】
また、圧力補償弁27a〜27hは、開口面積減少方向(図示左方向)のストロークエンドにおいて全閉しないように構成されているため、ブームシリンダ10とアームシリンダ11の一方の操作中に他方を操作する複合操作でサチュレーションが生じて、低負荷側の圧力補償弁が開口面積減少方向に大きく動作しても、低負荷圧側の圧力補償弁の閉じ切りが防止され、完全に圧油が遮断されることがないため、低負荷圧側のアクチュエータの減速、停止を防止することができる。
【0078】
<エンジン回転数を下げた場合>
以上の動作はエンジン1が最高定格回転数にあるときのものである。エンジン1の回転数を低速に下げた場合は、エンジン回転数検出弁30の出力圧がそれに応じて低下するため、LS制御部35BのLS制御弁35bの目標差圧も同様に低下する。また、ロードセンシング制御の結果、圧力補償弁27a〜27hの目標補償差圧も同様に低下する。これによりエンジン回転数の低下に合わせてメインポンプ2の吐出流量と流量制御弁26a〜26hの要求流量が減少し、アクチュエータ5〜12の駆動速度が速くなりすぎることがなく、エンジン回転数を下げた場合の微操作性を向上することができる。
〜特徴的構成の動作〜
次に、本実施の形態の油圧駆動装置の特徴的構成の動作を説明する。
【0079】
走行用の操作装置34a,34bの操作レバー34a−1,34b−1を操作したときも、上述した複合操作の場合と同様、流量制御弁26a,26bが切り換わって走行モータ5,6に圧油が供給されるとともに、ロードセンシング制御によりメインポンプ2の吐出流量が制御されて、流量制御弁26a,26bが要求する流量が走行モータ5,6に供給され、油圧ショベルは走行を行う。
【0080】
走行中にフロント作業機の姿勢を変えるためブーム、アーム、バケットのいずれか、例えばアーム用の操作装置34gの操作レバー34g−1を操作した場合は、流量制御弁26gが切り換わってアームシリンダ11にも圧油が供給され、アームシリンダ11が駆動される。
【0081】
そして、走行用の操作装置34a,34bの操作レバー34a−1,34b−1が操作されて走行の操作パイロット圧が発生し、切換弁46が図示左側の第2位置に切り換わり、パイロット油圧源33のパイロット一次圧が減圧されてアーム用の操作装置34gのリモコン弁34g−2に導かれているため、
図3A、
図3B、
図3Cを用いて説明したように、アーム用の操作装置34gのリモコン弁34g−2が生成する操作パイロット圧は
図3AのPpaに制限され、流量制御弁26gのスプールストロークは
図3BのStrに制限され、メータインの開口面積は
図3Cの中間の開口面積Astrに制限され、その結果、アーム用の操作装置34gの操作レバー34g−1をフル操作しても、流量制御弁26gの要求流量は制限される。
【0082】
ところで、圧力補償弁が開口面積減少方向のストロークエンドにおいて全閉しないタイプの圧力補償弁である従来の構成では、走行中に他の被駆動部材(例えばブーム、アーム、バケット)を操作したときに、特に上り坂など走行負荷圧が大きくなる条件下では、走行モータよりも負荷圧の低いブームシリンダ、アームシリンダ、バケットシリンダなどの低負荷のアクチュエータの圧力補償弁はストロークエンドに達しても開いているため、低負荷のアクチュエータに油圧ポンプの吐出流量が全て流れてしまい、走行が減速、停止してしまうことがある。
【0083】
これに対し本実施の形態では、上記のようにアーム用の操作装置34gの操作レバー34g−1をフル操作しても、流量制御弁26gのメータインの開口面積はAstrに制限され要求流量は制限されるため、低負荷圧のアクチュエータに流れる流量が減少する。これにより走行モータ5,6への必要な量の圧油が確保され、走行が減速、停止することを防ぎ、良好な複合操作性を得ることができる。
【0084】
走行中にブレード用の操作装置34dの操作レバー34d−1を急操作した場合も、圧力補償弁が開口面積減少方向のストロークエンドにおいて全閉しないタイプの圧力補償弁である従来の構成では、瞬間的にブレードシリンダ8に圧油が流れるため、走行が減速、停止して体感的にショックを生み出し、操作フィーリングを損ねてしまう。これに対し本実施の形態では、走行中にフロント作業機の姿勢を変えるためブーム、アーム、バケットのいずれかの操作装置の操作レバーを操作した場合と同様にブレード用の流量制御弁26dの要求流量は制限されるため、走行モータ5,6への必要な量の圧油が確保され、走行の減速、停止が防止され、操作フィーリングを向上することができる。
〜効果〜
以上のように本実施の形態によれば、2つのアクチュエータの負荷圧の差が大きい複合操作でサチュレーションが生じた場合に、低負荷圧側の圧力補償弁の閉じ切りを防止して低負荷圧側のアクチュエータの減速、停止を防止するとともに、特定のアクチュエータである走行モータ5,6の駆動を含む走行複合操作において、走行以外のアクチュエータの操作パイロット圧を制限することで、走行以外のアクチュエータへの圧油の流入を抑制し、走行モータに必要量の圧油を確保して走行の減速、停止を防止し、走行複合操作性を向上することができる。
<第2の実施の形態>
図4に本発明の第2の実施の形態に係わる油圧ショベルの油圧駆動装置における操作装置とそのパイロット回路部分を示す。図中、
図1Bに示した部材と同等のものには同じ符号を付し、説明を省略する。本実施の形態は、パイロット一次圧を減圧する構成とパイロット一次圧を切り換える構成が第1の実施の形態と異なっている。
【0085】
すなわち、本実施の形態における油圧駆動装置はパイロット一次圧回路40Aを備え、パイロット一次圧回路40Aの第2回路42Aは、パイロット作動形減圧弁51を備えた第5回路52と、パイロット作動形減圧弁51のパイロット受圧部51aに導かれるパイロット圧をパイロット油圧源33の圧力(第1圧力)とタンク圧(第2圧力)とに切り換える切換弁53を備えた第6回路54とを有し、第5回路52は、パイロット作動形減圧弁51のパイロット受圧部51aに導かれるパイロット圧がパイロット油圧源33の圧力であるときはパイロット一次圧をそのまま走行以外の操作装置34c〜34hのリモコン弁34c−2〜34h−2に導き、パイロット作動形減圧弁51のパイロット受圧部51aに導かれるパイロット圧がタンク圧に切り換わるとパイロット一次圧を減圧して走行以外の操作装置のリモコン弁に導く構成となっている。
【0086】
このように構成した本実施の形態においては、走行用の操作装置34a,34bの操作レバー34a−1,34b−1が操作されていないときは、パイロット油圧源33の圧力が切換弁53を介してパイロット作動形減圧弁51に導かれているため、パイロット作動形減圧弁51の出口側圧力は減圧されず、パイロット油圧源33の圧力(パイロット一次圧)が走行以外の操作装置34c〜34hのリモコン弁34c−2〜34h−2に供給される。これにより流量制御弁26c〜26hのスプールストローク(メータインの開口面積)は制限されず、通常の掘削動作等の動作を行うことができる。
【0087】
走行用の操作装置34a,34bの操作レバー34a−1,34b−1が操作されたときは、走行の操作パイロット圧が切換弁53のパイロット受圧部53aに導かれて切換弁53が切り換えられ、パイロット作動形減圧弁51のパイロット受圧部51aに導かれていた圧油が遮断される。これによりパイロット作動形減圧弁51によって走行以外の操作装置のリモコン弁34c〜34hに導かれる一次パイロット圧は減圧され、流量制御弁26c〜26hのスプールストローク(メータインの開口面積)は制限され、要求流量は制限されるため、走行モータ5,6への必要な量の圧油が確保され、走行が停止することを防ぎ、良好な複合操作性を得ることができる。
【0088】
したがって、本実施の形態においても第1の実施の形態と同様な効果を得ることができる。
<第3の実施の形態>
図5に本発明の第3の実施の形態に係わる油圧ショベルの油圧駆動装置における操作装置とそのパイロット回路部分を示す。図中、
図1Bに示した部材と同等のものには同じ符号を付し、説明を省略する。本実施の形態は、パイロット一次圧を減圧する構成(第4回路)が第1の実施の形態と異なっている。
【0089】
すなわち、本実施の形態における油圧駆動装置はパイロット一次圧回路40Bを備え、パイロット一次圧回路40Bの第2回路42Bは、パイロット一次圧をそのまま導く第3回路61と、パイロット一次圧を減圧して導く第4回路62と、第3回路61の圧力と第4回路62の圧力とを切り換えて走行以外の操作装置のリモコン弁に導く切換弁63とを備え、第4回路62はパイロット一次圧を減圧する絞り回路64を有している。絞り回路64は、上流側がパイロット油路31に接続され、下流側が低圧リリーフ弁64aを介してタンクTに接続された油路64bと、この油路64bに設けられた2つの固定絞り64c,64dと、2つの固定絞り64c,64dの間に接続された油路64eとを有し、油路64eに2つの固定絞り64c,64dで減圧された中間圧が導かれる構成となっている。
【0090】
パイロット油圧源33の圧力(パイロット一次圧)は固定絞り64cによってパイロットリリーフ弁32(
図1A参照)で設定した通常の圧力が保たれており、走行用の操作装置34a,34bの操作レバー34a−1,34b−1が操作されていないときは、パイロット油圧源33の圧力(パイロット一次圧)が切換弁63を介して走行以外の操作装置34c〜34hのリモコン弁34c−2〜34h−2に供給されるため、流量制御弁26c〜26hのスプールストローク(メータインの開口面積)は制限されず、通常の掘削動作等の動作を行うことができる。
【0091】
走行用の操作装置34a,34bの操作レバー34a−1,34b−1が操作されたときは、走行の操作パイロット圧が切換弁63のパイロット受圧部63aに導かれて切換弁63が切り換えられ、絞り回路64の固定絞り64c,64dで減圧された圧力が走行以外の操作装置のリモコン弁34c〜34hに導かれる。これにより流量制御弁26c〜26hのスプールストローク(メータインの開口面積)は制限されて要求流量は制限されるため、走行モータ5,6への必要な量の圧油が確保され、走行が停止することを防ぎ、良好な複合操作性を得ることができる。
【0092】
したがって、本実施の形態においても第1の実施の形態と同様な効果を得ることができる。
<第4の実施の形態>
図6に本発明の第4の実施の形態に係わる油圧ショベルの油圧駆動装置における操作装置とそのパイロット回路部分を示す。図中、
図1Bに示した部材と同等のものには同じ符号を付し、説明を省略する。本実施の形態は、第3回路と第4回路を切り換える構成が第1の実施の形態と異なっている。
【0093】
すなわち、本実施の形態における油圧駆動装置はパイロット一次圧回路40Cを備え、パイロット一次圧回路40Cの第2回路42Cは、第1の実施の形態における油圧式の切換弁46に代えて電磁切換弁46Cとコントローラ71を有し、操作検出装置43Cは、複数の操作装置のうち走行の操作装置のリモコン弁が生成する操作パイロット圧を検出して電気信号を出力する圧力センサ72を有している。圧力センサ72の電気信号はコントローラ71に入力され、コントローラ71はその電気信号を電磁切換弁46Cの駆動信号に変換して電磁切換弁46Cのソレノイド46bに出力する。
【0094】
電磁切換弁46Cは、走行の操作装置(特定の操作装置)34a,34bの操作レバー34a−1,34b−1が操作されず、コントローラ71から駆動信号が出力されないときは図示右側の第1位置にあり、第3回路44が走行以外の操作装置34c〜34hのリモコン弁34c−2〜34h−2に至る回路49に連通し、パイロット一次圧がそのまま走行以外の操作装置34c〜34hのリモコン弁34c−2〜34h−2に導かれる。走行の操作装置34a,34bの操作レバー34a−1,34b−1のが操作され、コントローラ71から駆動信号が出力されると、電磁切換弁46Cは作動して図示左側の第2位置に切り換わり、第4回路45が走行以外の操作装置34c〜34hのリモコン弁34c−2〜34h−2に至る回路49に連通し、パイロット一次圧が減圧弁47で減圧されて走行以外の操作装置34c〜34hのリモコン弁34c−2〜34h−2に導かれる。
【0095】
したがって、本実施の形態においても第1の実施の形態と同様な効果を得ることができる。
【0096】
なお、本実施の形態は、
図1Bの切換弁46を電磁切換弁にしたものであるが、
図4の切換弁53や
図5の切換弁63を電磁切換弁にし、本実施の形態と同様の圧力センサとコントローラを設け、コントローラからの電気信号で電磁切換弁を切り換えるようにすることも可能である。
<第5の実施の形態>
図7に本発明の第5の実施の形態に係わる油圧ショベルの油圧駆動装置における操作装置とそのパイロット回路部分を示す。図中、
図1Bに示した部材と同等のものには同じ符号を付し、説明を省略する。本実施の形態は、第2回路の切換弁を切り換える構成が第1の実施の形態と異なっている。
【0097】
すなわち、本実施の形態における油圧駆動装置は、第1位置と第2位置とに切り換え可能な手動選択装置81を更に備えている。手動選択装置81は例えば切り換え位置に応じた電気信号を出力するスイッチである。また、本実施の形態において、パイロット一次圧回路40Dの第2回路42Dは、操作検出装置43で検出した油圧信号を切換弁46のパイロット受圧部46aに導く油路48dに配置され、手動選択装置(手動スイッチ)81からの電気信号に基づいて動作する電磁切換弁83を更に備えている。
【0098】
電磁切換弁83は、手動選択装置81が第1位置にあって電気信号が出力されないときは、図示右側の第1位置にあり、操作検出装置43で検出した油圧信号が切換弁46に導かれることを可能とし、手動選択装置81が第2位置に切り換えられて電気信号が電磁切換弁83のソレノイド83aに出力されると、図示左側の第2位置に切り換わり、操作検出装置43で検出した油圧信号が切換弁46に導かれないようにする。これにより手動選択装置81が第1位置にあるときは、走行の操作装置(特定の操作装置)34a,34bの操作レバー34a−1,34b−1が操作されたときのパイロット一次圧を減圧する機能
は有効となり、上述した実施の形態と同様、走行複合操作時に走行以外のアクチュエータに対する操作パイロット圧は減圧され、要求流量を制限する制御を行うことができる。一方、手動選択装置81が第2位置に切り換わると、走行の操作装置(特定の操作装置)34a,34bの操作レバー34a−1,34b−1が操作されたときのパイロット一次圧を減圧する機能が無効となり、走行複合操作時であっても、走行以外のアクチュエータに対する操作パイロット圧は減圧されず、流量制御弁26c〜26hの最大ストロークは制限されなくなり、従来の動作が可能となる。
【0099】
このように構成した本実施の形態では、オペレータの好みや作業の種類に応じて本発明の走行以外のアクチュエータに対する要求流量を制限する制御を利用するかどうかを自由に選択することができる。
<その他>
以上の実施の形態は本発明の精神の範囲内で種々の変更が可能である。例えば、上記実施の形態では、特定のアクチュエータが走行モータである場合について説明したが、走行モータ以外でも、開口面積減少方向のストロークエンドで全閉しない圧力補償弁を備えた油圧駆動装置で、負荷圧の差が大きくなる複合操作を行ってサチュレーションが生じた場合に、低負荷圧側のアクチュエータにメインポンプの吐出流量の大部分を奪われて、停止してしまう可能性のあるアクチュエータであれば、本発明を適用して同様の効果が得られる。例えば破砕機等のアタッチメントに備えられ予備のアクチュエータは負荷圧が高くなることが多く、予備のアクチュエータを特定のアクチュエータとして本発明を適用することで、他のアクチュエータ(例えば,ブーム,アーム,バケット等)との複合操作時に他のアクチュエータへの要求流量を制限し、予備のアクチュエータに優先的に圧油を供給することが可能である。
【0100】
また、以上の実施の形態では、建設機械が油圧ショベルである場合について説明したが、油圧ショベル以外建設機械(例えば油圧クレーン、ホイール式ショベル等)に本発明を適用し、同様の効果を得ることができる。