(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の導体パターンが所定の配列ピッチで平面状に並ぶフラット回路体の接続端子部における導体パターンを、前記フラット回路体における導体パターンと同一の配列ピッチで回路基板の表面に装備されている複数の接点パターンに導通接続させるフラット回路体の接続構造であって、
前記接続端子部の前記導体パターンが下面に露出するように、前記フラット回路体を係止する回路体支持枠と、
底面が前記回路基板の表面と対向するように前記回路体支持枠の上部に嵌合されている押さえ部材本体と、前記回路基板に向かって進退可能に前記押さえ部材本体の底部に備えた回路体当接部材と、該回路体当接部材を前記回路体支持枠の下面に向かって付勢する弾発部材と、を備えて、前記回路体支持枠に装着されている前記フラット回路体の前記接続端子部を前記回路体当接部材によって前記回路基板側に押圧する回路体押圧部材と、
前記回路基板の表面に固定されている基板固定部と、該基板固定部に一体形成されて前記回路体支持枠が嵌合可能な支持枠嵌合部と、を備え、前記支持枠嵌合部は、前記回路体当接部材が前記接続端子部を前記回路基板に押圧した状態となるように前記回路体押圧部材を位置決めする押圧部材位置決め部を有する支持枠受け部材と、
を備えて、前記フラット回路体の前記接続端子部の前記導体パターンが前記回路体押圧部材によって前記接点パターンに押圧されている状態にあることで、前記導体パターンと前記接点パターンとが導通接続されていることを特徴とするフラット回路体の接続構造。
【背景技術】
【0002】
図16は、フラット回路体の接続構造の従来例を示したものである。
このフラット回路体の接続構造は、下記特許文献1に開示されたものである。
【0003】
下記特許文献1におけるフラット回路体の接続構造は、フラット回路体100の接続端子部101における導体パターン111を、基板用コネクタ200を介して、回路基板300の表面に装備されている接点パターン311に導通接続させる。
【0004】
特許文献1では、該基板用コネクタ200の樹脂製ハウジング220を、回路基板300に貫通形成されたハウジング位置決め孔320に嵌合させることで、基板用コネクタ200を、回路基板300上の接点パターン311に対応する位置に位置決めする。
【0005】
基板用コネクタ200は、一側面201に、フラット回路体100の接続端子部101を嵌合接続する回路体収容部202が、装備されている。また、基板用コネクタ200の一側面201と反対側の側面には、接点パターン311に半田付けされる基板接続端子211が配列されている。
【0006】
樹脂製ハウジング220内では、回路体収容部202に嵌合接続された接続端子部101の各導体パターン111が、基板接続端子211の端部に導通接続されるように、基板接続端子211の端部形状等が設定されている。
【0007】
また、下記特許文献2には、特許文献1のような基板用コネクタ200を使わずに、フラット回路体上の導体パターンを、回路基板上の接点パターンに押圧接触させることで、導体パターンと接点パターンとを導通接続させるフラット回路体の接続構造が開示されている。
【0008】
特許文献2におけるフラット回路体の接続構造の場合は、フラット回路体を回路体の長手方向に折り返し、折り返し部の外面側の被覆層を除去することで、折り返し部の外面側の導体パターンを露出させている。そして、折り返し部を支持する筐体(特許文献2では、ハウジング27)を回路基板に固定することで、折り返し部に露出している導体パターンを、回路基板上の接点パターンに押圧接触させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところが、特許文献1におけるフラット回路体の接続構造の場合は、回路基板に対して手間のかかる半田付け作業が必要となり、生産性が悪いという問題があった。
【0011】
また、特許文献2におけるフラット回路体の接続構造の場合は、フラット回路体自体の折り返し部の曲げ剛性を利用して、導体パターンを接点パターンに押圧させている。そのため、フラット回路体自体の曲げ剛性が変わると、導体パターンと接点パターンとの接触圧が変化してしまい、安定した導通接続が得られなくなるおそれがあった。
【0012】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解消することに係り、回路基板に対して手間のかかる半田付け作業が不要で、フラット回路体上の複数の導体パターンと回路基板上の複数の接点パターンとの導通接続を簡便にすることができるフラット回路体の接続構造を提供することにある。更に、本発明の目的は、フラット回路体自体の曲げ剛性が変わっても、フラット回路体自体の曲げ剛性の影響を受けずに、フラット回路体上の複数の導体パターンのいずれも安定した接触圧で回路基板上の複数の接点パターンに導通接続させることのできるフラット回路体の接続構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の前述した目的は、下記の構成により達成される。
(1)複数の導体パターンが所定の配列ピッチで平面状に並ぶフラット回路体の接続端子部における導体パターンを、前記フラット回路体における導体パターンと同一の配列ピッチで回路基板の表面に装備されている複数の接点パターンに導通接続させるフラット回路体の接続構造であって、
前記接続端子部の前記導体パターンが下面に露出するように、前記フラット回路体を係止する回路体支持枠と、
底面が前記回路基板の表面と対向するように前記回路体支持枠の上部に嵌合
されている押さえ部材本体と、前記回路基板に向かって進退可能に前記押さえ部材本体の底部に
備えた回路体当接部材と、該回路体当接部材を前記回路体支持枠の下面に向かって付勢する弾発部材と、を備えて、前記回路体支持枠に
装着されている前記フラット回路体の前記接続端子部を前記回路体当接部材によって前記回路基板側に押圧する回路体押圧部材と、
前記回路基板の表面に固定され
ている基板固定部と、該基板固定部に一体形成されて前記回路体支持枠が嵌合可能な支持枠嵌合部と、を備え、前記支持枠嵌合部は、前記回路体当接部材が前記接続端子部を前記回路基板に押圧した状態となるように前記回路体押圧部材を位置決めする押圧部材位置決め部を有する支持枠受け部材と、
を備えて、前記フラット回路体の前記接続端子部の前記導体パターン
が前記回路体押圧部材によって前記接点パターンに押圧
されている状態にあることで、前記導体パターンと前記接点パターン
とが導通接続
されていることを特徴とするフラット回路体の接続構造。
【0014】
(2)前記押さえ部材本体は、前記フラット回路体を前記回路基板の表面に沿って押さえる平坦な底面を備え、
前記回路体当接部材は、前記押さえ部材本体の底面を挿通
している状態で、前記フラット回路体の前記接続端子部を横断する直線の帯状に前記フラット回路体の裏面を押圧
可能に前記フラット回路体の裏面に接していることを特徴とする上記(1)に記載のフラット回路体の接続構造。
【0015】
上記(1)の構成によれば、フラット回路体の接続端子部における導体パターンと、回路基板上の接点パターンとの導通接続は、フラット回路体を係止した回路体支持枠に回路体押圧部材を嵌合装着し、更に、この回路体押圧部材の装着が完了した回路体支持枠を、回路基板に固定された支持枠受け部材に嵌合装着して、フラット回路体の導体パターンを接点パターンに直接に押圧接触させることによって実現する。
【0016】
そのため、回路基板に対して手間のかかる半田付け作業が不要で、フラット回路体上の複数の導体パターンと回路基板上の複数の接点パターンとの導通接続を簡便にすることができる。
【0017】
また、上記(1)の構成によれば、回路基板上の接点パターンに対するフラット回路体の導体パターンの押圧は、フラット回路体自体の曲げ剛性に頼るものではなく、回路体押圧部材に組み込まれた回路体当接部材によってフラット回路体を強制的に回路基板に押し付けることにより行っている。
【0018】
そのため、仕様変更等によってフラット回路体自体の曲げ剛性が変わっても、フラット回路体自体の曲げ剛性の影響を受けずに、フラット回路体上の複数の導体パターンのいずれも安定した接触圧で回路基板上の複数の接点パターンに導通接続させることができる。
【0019】
上記(2)の構成によれば、回路体支持枠に係止されたフラット回路体の接続端子部は、回路体支持枠に装着された押さえ部材本体の底面によって、回路基板の表面に押し付けられるため、接続端子部の全体が回路基板の表面に積層された状態になる。そして、回路基板の表面に積層された接続端子部における導体パターンの一部が、回路体当接部材によって回路基板上の接点パターンに押圧されるが、回路体当接部材が押圧する部位はフラット回路体の接続端子部を横断する直線の帯状で、押圧領域が狭いため、小さな付勢力でも、単位面積当たりでは、充分な押圧力を確保することができる。
【0020】
従って、弾発部材の小型化等により、接続構造の小型化を図ると共に、安定した押圧力の確保によって安定した導通性能を確保することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によるフラット回路体の接続構造によれば、フラット回路体の接続端子部における導体パターンと、回路基板上の接点パターンとの導通接続は、導体パターンを直接に接点パターンに押圧接触させることによって実現する。
【0022】
そのため、回路基板に対して手間のかかる半田付け作業が不要で、フラット回路体上の複数の導体パターンと回路基板上の複数の接点パターンとの導通接続を簡便にすることができる。
【0023】
また、本発明によるフラット回路体の接続構造によれば、回路基板上の接点パターンに対するフラット回路体の導体パターンの押圧は、フラット回路体自体の曲げ剛性に頼るものではなく、回路体押圧部材に組み込まれた回路体当接部材によってフラット回路体を強制的に回路基板に押し付けることにより行っている。
【0024】
そのため、フラット回路体自体の曲げ剛性が変わっても、フラット回路体自体の曲げ剛性の影響を受けずに、フラット回路体上の複数の導体パターンのいずれも安定した接触圧で回路基板上の複数の接点パターンに導通接続させることができる。
【0025】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係るフラット回路体の接続構造の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0028】
図1〜
図15は本発明に係るフラット回路体の接続構造の一実施形態を示したもので、
図1は本発明の一実施形態のフラット回路体の接続構造の外観斜視図、
図2は
図1に示したフラット回路体の接続構造の正面図、
図3は
図2のA−A断面図で、
図4は
図3のB部の拡大図、
図5は
図1に示したフラット回路体の接続構造を実現する構成部品の分解斜視図、
図6は
図5に示した回路体押圧部材の正面図、
図7は
図6のC−C断面図、
図8は
図7のD−D断面図、
図9は
図7のE部の拡大図、
図10は
図6に示した回路体押圧部材の組立工程の説明図、
図11は
図5に示したフラット回路体の矢印F方向からの矢視図、
図12はフラット回路体を係止した一実施形態の回路体支持枠に、回路体押圧部材を嵌合装着する前の状態を示す斜視図、
図13は
図12のG部の拡大図、
図14は
図5に示した回路基板に支持枠受け部材を固定する工程の説明図、
図15は回路基板に固定された一実施形態の支持枠受け部材に、回路体押圧部材が装着されている回路体支持枠を装着する前の状態を示す斜視図である。
【0029】
この一実施形態のフラット回路体の接続構造で使用する回路基板10は、
図5及び
図14に示すように略矩形のプリント回路基板で、片側の表面には、所定の配列ピッチで複数の接点パターン11が配列されている。接点パターン11は、後述するフラット回路体20の接続端子部21の導体パターン22を導通接続する導体部である。
【0030】
また、回路基板10は、多層の回路基板であり、図示はしていないが、中間層に回路パターンや電子回路が形成されている。
【0031】
また、本実施形態における回路基板10は、複数の接点パターン11が配列された領域A1の周囲の4箇所に、後述する回路体支持枠30の回路体支持部を挿通させる逃げ孔12が貫通形成されている。
【0032】
図5に示すように、本実施形態のフラット回路体の接続構造において、回路基板10に接続するフラット回路体20は、複数の導体パターンが所定の配列ピッチで平面状に並ぶFPC又はFFCである。このフラット回路体20は、
図5及び
図11に示すように、長さ方向の一端側で、片側の表面(
図5では下面)20aに、接続端子部21が、設けられている。接続端子部21には、回路基板10上の接点パターン11と同じ配列ピッチで、複数の導体パターン22が配列されている。それぞれの導体パターン22は、前記接点パターン11に導通接続するために、片側の表面20aに露出させた導体部である。
【0033】
また、フラット回路体20の一端側には、後述する回路体支持枠に係止させるための係止孔23が、装備されている。
【0034】
本実施形態の場合、フラット回路体20の一端側は、
図5に示すように、一端側から順に、底面配置領域24aと、側面配置領域24bとを折り曲げ形成される。底面配置領域24aは、後述する回路体支持枠30の底面部に配置される矩形状の領域である。側面配置領域24bは、後述する回路体支持枠30の一側面に沿って配置される矩形状の領域である。
前述の接続端子部21は、底面配置領域24aの下面に設けられている。
【0035】
本実施形態のフラット回路体の接続構造は、フラット回路体20の接続端子部21における導体パターン22を、フラット回路体20における導体パターン22と同一の配列ピッチで回路基板10の表面に装備されている複数の接点パターン11に導通接続させる。
【0036】
本実施形態のフラット回路体の接続構造は、
図1〜
図5に示すように、回路体支持枠30と、回路体押圧部材40と、支持枠受け部材50と、を備えている。
【0037】
回路体支持枠30は、後述する回路体押圧部材40を上方から嵌合装着可能な角筒状で、上面及び下面を開放している。また、回路体支持枠30は、下面の前縁側両端の2箇所に、フラット回路体20の一端側を係止する回路体係止片31を備えている。
【0038】
回路体係止片31は、回路体支持枠30の下面の前縁側両端から下面に沿って延出させた板片31aと、この板片31a上に突設された係止ピン31bと、を備える。
【0039】
係止ピン31bは、折り曲げ片31aの上面に、上方に向けて突設されている。この係止ピン31bは、フラット回路体20の底面配置領域24aに貫通形成されている係止孔23に嵌入するピン(突起)である。
【0040】
本実施形態の回路体支持枠30は、
図12及び
図13に示すように、フラット回路体20の係止孔23を回路体係止片31の係止ピン31bに嵌合させることで、接続端子部21の導体パターン22が当該回路体支持枠30の下面に露出するように、フラット回路体20を係止する。
【0041】
回路体押圧部材40は、
図6〜
図10に示すように、押さえ部材本体41と、回路体当接部材42と、弾発部材43と、を備える。
【0042】
押さえ部材本体41は、その底面41aが回路基板10の表面と対向するように回路体支持枠30の上部に嵌合装着される。この押さえ部材本体41は、
図7に示すように、回路体支持枠30に上方から嵌合装着可能な略直方体状の本体ブロック44と、この本体ブロック44の底面44aに面一に配置される押さえ板45と、を備えている。
【0043】
本体ブロック44は、
図6〜
図8に示すように、当接部材用凹部441と、押さえ板用凹部442と、押さえ板係止孔443と、を備えている。
【0044】
当接部材用凹部441は、回路体当接部材42及び弾発部材43を収容する凹みである。この当接部材用凹部441は、
図7に示す断面で、本体ブロック44の底面44aの幅寸法W1の略中央に、窪んで形成されている。また、当接部材用凹部441は、
図8に示すように、回路基板10の接点パターン11の配列方向(
図14の矢印Y1方向)に沿って延在するように形成されている。更に、
図10(b)に示すように、当接部材用凹部441は、その延在方向の両端部に、凹みを深くしたばね収容部47aを備えている。ばね収容部47aは、弾発部材43を収容する部位である。
【0045】
押さえ板用凹部442は、押さえ板45を収容する凹部であり、当接部材用凹部441よりも本体ブロック44の底面44a側に装備されている。押さえ板用凹部442は、押さえ板45の下面45aが本体ブロック44の底面44aと面一になるように、押さえ板45を収容する。従って、本実施形態の押さえ部材本体41の底面41aは、
図8に示すように、面一に並ぶ底面44aと下面45aとから構成される。底面44aと下面45aとから構成される底面41aは、平坦面で、フラット回路体20を回路基板10の表面に沿って押さえる面となる。
【0046】
言い換えると、押さえ部材本体41は、フラット回路体20を回路基板10の表面に沿って押さえる平坦な底面41aを備える。
【0047】
押さえ板係止孔443は、押さえ板用凹部442に装着された押さえ板45を係止する孔で、
図6及び
図10に示すように、本体ブロック44の下部側の対向する両側部に装備されている。
【0048】
回路体当接部材42は、回路基板10に向かって進退可能に、当接部材用凹部441に収容される。
【0049】
回路体当接部材42は、
図10に示すように、複数の接点パターン11の並ぶ方向に沿って延在する板状部421と、この板状部421の上縁の両端から延出する一対の摺動軸部422と、を備える。
【0050】
板状部421は、
図10(a)に示すように、下縁に、フラット回路体20を回路基板10に押圧する押圧部421aが設けられている。この押圧部421aは、
図10(a)に示すように、接点パターン11の並ぶ方向の長さL1が、上縁側の長さL2よりも小さく設定されている。板状部421は、押圧部421aの長さL1を、上縁側の長さL2よりも小さくしたことで、押圧部421aの両側に、突き当て用の肩部421bを形成している。
【0051】
一対の摺動軸部422は、ばね収容部47aに摺動可能に挿入される。
回路体当接部材42は、一対の摺動軸部422がばね収容部47aに摺動可能に挿入されることで、回路基板10に向かって進退可能になる。
【0052】
弾発部材43は、圧縮コイルばねであり、
図10(b)に示すように摺動軸部422に嵌合させた状態で、摺動軸部422と一緒にばね収容部47aに挿入されることで、ばね収容部47aに収容される。この弾発部材43は、回路体当接部材42を回路体支持枠30の下面側(
図10(c)では、矢印Y2方向)に向かって付勢する。
【0053】
押さえ板45は、押さえ板用凹部442に装着される板材である。この押さえ板45は、当接部材挿通スリット451と、ブロック連結突起452と、を備える。
【0054】
当接部材挿通スリット451は、回路体当接部材42の押圧部421aを挿通させるスリットである。この当接部材挿通スリット451は、押圧部421aは挿通することができるが、回路体当接部材42の肩部421bは挿通できないように、長さが設定されている。押さえ板45は、押さえ板用凹部442に装着されることで、回路体当接部材42の抜け止めを行う。
【0055】
ブロック連結突起452は、押さえ板45を押さえ板用凹部442に装着して、押さえ板45の下面45aが本体ブロック44の底面44aと面一になった時に、本体ブロック44の押さえ板係止孔443と係合する。ブロック連結突起452が押さえ板係止孔443に係合することで、押さえ板45が本体ブロック44に固定され、押さえ部材本体41における平坦な底面41aが形成される。
【0056】
以上に説明した回路体押圧部材40は、
図10(a)に示した状態から、まず、
図10(b)に示したように、回路体当接部材42の一対の摺動軸部422に弾発部材43を装着される。次いで、弾発部材43を装着した回路体当接部材42を
図10(c)に示すように、本体ブロック44の当接部材用凹部441に挿入装着し、その後、本体ブロック44の押さえ板用凹部442に押さえ板45を嵌合装着することで、
図6〜
図9に示した組立完了状態となる。
【0057】
組立が完了した回路体押圧部材40において、回路体当接部材42は、前述したように、押さえ板45により本体ブロック44の当接部材用凹部441から抜け止めされることで、回路基板10に向かって進退可能に、押さえ部材本体41の底部に取り付けられている。また、回路体当接部材42の押圧部421aは、押さえ部材本体41の底面41aを挿通して回路基板10側に突出している。そして、組立が完了した回路体押圧部材40は、
図12に矢印Y3で示すように、フラット回路体20が取り付けられている回路体支持枠30に挿入装着されると、押さえ部材本体41の底面41aから突出している押圧部421aが、フラット回路体20の裏面に押し付けられる。フラット回路体20に当接した押圧部421aは、フラット回路体20の接続端子部21を横断する直線の帯状にフラット回路体20の裏面を回路基板10側に押圧する。
【0058】
支持枠受け部材50は、
図5及び
図14に示すように、回路基板10の表面に固定される基板固定部51と、支持枠嵌合部52と、を備える。
【0059】
本実施形態の場合、基板固定部51は、
図14に示すように、回路基板10をその裏面側から収容保持した下部ケース60に固定され、下部ケース60に固定されることで、回路基板10の表面に固定された状態となる。
【0060】
支持枠嵌合部52は、回路体支持枠30が嵌合可能な角筒状の構造で、基板固定部51に一体形成されている。
【0061】
支持枠嵌合部52は、
図15にも示すように、押圧部材位置決め部521を有する。この押圧部材位置決め部521は、
図15に矢印X2で示すように、回路体押圧部材40を装着した回路体支持枠30が支持枠嵌合部52に挿入された時に、
図1に示すように回路体押圧部材40の上面40bを係止して、回路体押圧部材40を固定する。
【0062】
更に詳しく説明すると、押圧部材位置決め部521は、回路体押圧部材40の上面40bを係止することで、
図3及び
図4に示すように、回路体当接部材42の押圧部421aが接続端子部21を回路基板10に押圧した状態となるように、回路体押圧部材40を位置決めする。
【0063】
なお、
図3及び
図4に示すように、押圧部421aが接続端子部21を回路基板10に押圧した状態となる時には、回路体押圧部材40の底面である底面41aがフラット回路体20に面接触して、フラット回路体20を回路基板10上に積層状態に押さえる。また、この時、回路体支持枠30に装備されている回路体係止片31は、回路基板10に装備されている逃げ孔12に挿通した状態となり、回路体係止片31が底面41aのフラット回路体20への接触を妨げない。
【0064】
本実施形態のフラット回路体の接続構造は、以上に説明したように、回路体支持枠30と回路体押圧部材40と支持枠受け部材50を使用して、フラット回路体20の接続端子部21の導体パターン22を回路体押圧部材40によって接点パターン11に押圧接触させることで、導体パターン22と接点パターン11とを導通接続させる。
【0065】
以上に説明した一実施形態の構成によれば、フラット回路体20の接続端子部21における導体パターン22と、回路基板10上の接点パターン11との導通接続は、フラット回路体20を係止した回路体支持枠30に回路体押圧部材40を嵌合装着し、更に、この回路体押圧部材40の装着が完了した回路体支持枠30を、回路基板10に固定された支持枠受け部材50に嵌合装着して、フラット回路体20の導体パターン22を接点パターン11に直接に押圧接触させることによって実現する。
【0066】
そのため、回路基板10に対して手間のかかる半田付け作業が不要で、フラット回路体20上の複数の導体パターン22と回路基板10上の複数の接点パターン11との導通接続を簡便にすることができる。
【0067】
また、以上に説明した一実施形態の構成によれば、回路基板10上の接点パターン11に対するフラット回路体20の導体パターン22の押圧は、フラット回路体20自体の曲げ剛性に頼るものではなく、回路体押圧部材40に組み込まれた回路体当接部材42によってフラット回路体20を強制的に回路基板10に押し付けることにより行っている。
【0068】
そのため、仕様変更等によってフラット回路体自体の曲げ剛性が変わっても、フラット回路体自体の曲げ剛性の影響を受けずに、フラット回路体20上の複数の導体パターン22のいずれも安定した接触圧で回路基板10上の複数の接点パターン11に導通接続させることができる。
【0069】
更に、以上に説明した一実施形態の構成によれば、回路体支持枠30に係止されたフラット回路体20の接続端子部21は、
図3及び
図4に示すように、回路体支持枠30に装着された押さえ部材本体41の底面41aによって、回路基板10の表面に押し付けられる。そのため、接続端子部21の全体が回路基板10の表面に積層された状態になる。そして、回路基板10の表面に積層された接続端子部21における導体パターン22の一部が、回路体当接部材42によって回路基板10上の接点パターン11に押圧されるが、回路体当接部材42が押圧する部位はフラット回路体20の接続端子部21を横断する直線の帯状で、押圧領域が狭いため、小さな付勢力でも、単位面積当たりでは、充分な押圧力を確保することができる。
【0070】
従って、弾発部材43の小型化等により、接続構造の小型化を図ると共に、安定した押圧力の確保によって安定した導通性能を確保することができる。
【0071】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0072】
例えば、本発明のフラット回路体の接続構造において、回路体当接部材42の押圧部421aが接続端子部21を回路基板10に押圧した状態となるように、支持枠嵌合部52が回路体押圧部材40を位置決めする機構は、一実施形態の構成に限らない。例えば、支持枠嵌合部52に装備した押圧部材位置決め部521が、直接的に回路体押圧部材40を係止する構造ではなく、押圧部材位置決め部521が回路体支持枠30を介して、回路体押圧部材40を位置決めする構成としても良い。その場合には、回路体支持枠30に、回路体押圧部材40を抜け止めする手段が必要になる。
【0073】
また、回路体押圧部材40の押さえ部材本体41を回路基板10側に進退可能に支持する構造も、上記実施形態に限定するものではなく、回路体当接部材42の形状や、使用する弾発部材43の形状等について、適宜な変形、改良等が可能である。