(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記配線基板および前記リッドは長方形状を有し、複数の前記パッケージ及び前記ダミーパッケージは前記長方形状の長辺方向にのみ配列されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項記載の複合電子部品。
【発明を実施するための形態】
【0017】
まず高周波(RF)信号の処理を行うRF回路について説明する。
図1は第1のRF回路110を例示するブロック図である。
【0018】
図1に示すように、第1のRF回路110は、アンテナ10、スイッチ12、IC(Integrated Circuit:集積回路)14、ローパスフィルタ(Low Pass Filter:LPF)16a及び16b、パワーアンプ(Power Amplifier:PA)18a〜18j、分波器20、22、24及び26、並びに複合電子部品(モジュール)102を含む。IC14は、複数のローノイズアンプ(Low Noise Amplifier:LNA)14a〜14iを含む。かかるIC14は、信号の周波数の変換を行うダイレクトコンバータとして機能する。分波器22は送信フィルタ22aと受信フィルタ22bとを含む。そして、複合電子部品102は、複数の分波器30、32、34、36及び38を含む。かかる複合電子部品102内の分波器は、分波器20と同様に送信フィルタ及び受信フィルタを含む。第1のRF回路110の各フィルタは例えばSAWフィルタにより構成される。分波器に含まれるフィルタは例えばバンドパスフィルタである。
【0019】
各部品が対応する帯域の例について説明する。LPF16aはGSM(Global System for Mobile Communication、登録商標、以下同様)1800/1900方式の高周波側送信帯域に対応している。LPF16bはGSM850/900方式の低周波側送信帯域に対応している。分波器20はGSM方式の受信帯域に対応している。分波器22はW−CDMA(Wideband Code Division Multiple Access) Band8方式に対応している。分波器24はGSM900方式に対応している。分波器26はGSM850方式に対応している。分波器30はW−CDMA Band1方式に対応している。分波器32はW−CDMA Band2方式に対応している。分波器34はW−CDMA Band3方式に対応している。分波器36はW−CDMA Band4方式に対応している。分波器38はW−CDMA Band5方式に対応している。
【0020】
パワーアンプ(PA)18aはIC14とLPF16aとの間に接続されている。PA18bはIC14とLPF16bとの間に接続されている。分波器20はLNA14aと接続されている。分波器22の送信フィルタ22aはPA18cと接続され、受信フィルタ22bはLNA14bと接続されている。分波器24はPA18d及びLNA14cと、分波器26はPA18e及びLNA14dと接続されている。分波器30はPA18f及びLNA14eと、分波器32はPA18g及びLNA14fと、分波器34はPA18h及びLNA14gと接続されている。分波器36はPA18i及びLNA14hと、分波器38はPA18j及びLNA14iと接続されている。
【0021】
スイッチ12は、通信方式に応じてLPF16a及び16b、並びに各分波器のうちのいずれかを選択し、アンテナ10と接続する。例えばIC14はベースバンド信号をW−CDMA Band8方式のRF信号にアップコンバートし送信信号を生成する。送信信号はPA18cにより増幅され、分波器22の送信フィルタ22aによりフィルタリングされる。送信信号はアンテナ10を通じて送信される。アンテナ10が受信したW−CDMA Band8方式の受信信号は受信フィルタ22bによりフィルタリングされる。LNA14bは受信信号を増幅し、IC14は受信信号をベースバンド信号にダウンコンバートする。
【0022】
利用する通信方式、或いは通信端末の機能・構成に応じて、回路並びにフィルタ及び分波器の数は変更される。かかるフィルタ及び分波器の数が変更されたRF回路の例として第2のRF回路112を示す。
図2は第2のRF回路112を示すブロック図である。
図2に示すように、複合電子部品104には分波器30、34、36及び38が配設されるものの、第1のRF回路110の複合電子部品102において設けられていた分波器32が配設されていない。他の回路構成は前記第1のRF回路110と同じである。
【0023】
第1のRF回路110における複合電子部品102、並びに第2のRF回路112における複合電子部品104の構成について説明する。
図3(a)は複合電子部品102を例示する上面図である。
図3(b)は
図3(a)の線A−Aに沿った断面図である。
図3(a)においてはリッド42を透視している。
【0024】
図3(a)及び
図3(b)に示すように、複合電子部品102は、平面形状が長方形である配線基板40、リッド42、複数の機能素子パッケージ50、52、54、56及び58を備える。ここで機能素子とは、複数のSAWフィルタ及び/又はFBARフィルタをパッケージに含んで単一のSAWフィルタ又はFBARフィルタでは発揮できない機能を実現するもの、もしくは、複数のSAWフィルタ及び/又はFBARフィルタをパッケージに含んで分波器機能を実現する素子を指す。単一のSAWフィルタ又はFBARフィルタをパッケージに含んでいるものより、必然的に重くなる。
【0025】
各機能素子パッケージ50、52、54、56及び58は、それぞれ分波器を含んでおり、配線基板40の一方の主面上にほぼ一列に表面実装されている。実装された機能素子パッケージの相互間には隙間(gap)44が生じている。各機能素子パッケージの中心は、配線基板40の面方向(この例では長手方向)に沿って並んでいる。各機能素子パッケージは列上に並んでいればよく、各機能素子パッケージの中心が配線基板40の面方向に並ばなくてもよい。
【0026】
一方、リッド42は複数の機能素子パッケージを覆って共通配置される板状部材であって、かつかかる機能素子パッケージの上面に接触している。配線基板40上に搭載された際に、高さが他の機能素子パッケージより小さい機能素子パッケージについては、その上面とリッド42との間を埋めるようにリッド42と接触するスペーサが配設される。配線基板40は例えばエポキシ樹脂又はガラスエポキシ樹脂などの絶縁体を含むプリント配線基板である。リッド42は例えばコバールなどの金属、又は樹脂などの絶縁体から形成されるか、それらの複合体をもって形成される。なお、複合電子部品102の構成にあっては、配線基板40上に機能素子パッケージのほかに、キャパシタなどチップ部品が搭載されることもある。
【0027】
図3(a)に示すように、配線基板40の上面における機能素子パッケージ50、52、54、56及び58それぞれの実装位置を、P1〜P5とする。即ち、この様な機能素子パッケージの配置により、かかる配線基板40上にあって相互に離間して配置された機能素子パッケージ間には隙間が生じており、配線基板40ならびにリッド42をもって隙間44が形成されている。なお、かかる機能素子パッケージ配列の両端に位置する機能素子パッケージ50ならびに機能素子パッケージ58の外側端部には、配線基板40ならびにリッド42が突出して配置されることになる。
【0028】
かかる複合電子部品102の信頼性試験として、例えば落下試験並びに温度サイクル試験が行われる。落下試験として例えばJIS C/IEC 60068−2−32規格に基づく試験を行う。これは、被試験複合電子部品をマザーボードにみたてた板状の治具に実装して1mの高さからコンクリート地上に3回落下させる試験である。これを板状の治具の6面全ての方向に対して落下試験を実施する。
図3(a)及び
図3(b)に示した複合電子部品102においては、複数の機能素子パッケージは、配線基板40上面に配線基板40の長手方向に沿ってほぼ同等の間隔をもって、列状に搭載・配置されている。このため複合電子部品102の重心は、平面上において配線基板40のほぼ中心部に位置する。従って、落下時の衝撃は各機能素子パッケージにほぼ均等に加わる。
【0029】
一方、温度サイクル試験は、複合電子部品に対し、室温から所定の温度までの加熱、並びに所定の温度から室温までの冷却を繰り返す試験である。温度サイクル試験では、複合電子部品102における配線基板40及びリッド42の熱膨張に起因して、機能素子パッケージには横方向、即ち配線基板40及びリッド42の長手方向に沿う引張応力が生ずる。かかる複合電子部品102においては、配線基板40上において機能素子パッケージがほぼ同等の間隔をもって列状に搭載・配置されていることから、各機能素子パッケージには、ほぼ均等に応力が加わる。
【0030】
図3(c)は複合電子部品104を例示する上面図である。
図3(d)は
図3(c)の線A−Aに沿った断面図である。
【0031】
図3(c)及び
図3(d)に示されるように、複合電子部品104においては、配線基板40上に分波器32を収納した機能素子パッケージ52が搭載されていない。かかる構成にあっては、実装位置P2は空席となり、機能素子パッケージ50と機能素子パッケージ54との間に、隙間44より大きな空間(open space)46が生じている。
【0032】
即ち、
図3(c)及び
図3(d)に示した複合電子部品104においては、複数の機能素子パッケージは、配線基板40の長手方向において、相互の間隔がほぼ均等な状態をもって配置されず、配線基板40上における複数の機能素子パッケージの配置は均等から大きく外れる。図中、機能素子パッケージは右側に多く配置されているため、重心は配線基板40の中心部よりも右側に位置することになる。
【0033】
この状態で落下試験を行うと複合電子部品104を載せた板状の治具はいろいろな方向でコンクリート面に当たるが、その衝撃による応力は、各機能素子パッケージに均等に加わらず、機能素子パッケージ50に一番大きな応力が加わる。その理由は、空間46部分の配線基板40とリッド42の自由振動部分が大きくなり、落下時の衝撃で配線基板40とリッド42とが図の上下方向に振動するような応力が発生し、それが
図3(d)左端の配線基板40とリッド42との自由端端部でこれらが振動しようとする応力として機能素子パッケージ50に加わる。一方、機能素子パッケージ54、56及び58は、それぞれ配線基板40とリッド42とに接合されている。このため、落下時の衝撃を受けても
図3(d)右端の配線基板40とリッド42の自由端振動が生じにくく、不良を発生しにくい。以上のように、機能素子パッケージ50は、振動を1つのパッケージで受け止めるため、応力が機能素子パッケージ50に強く加わることになり不良を生じやすい。不良とは、例えば機能素子パッケージ50の端子と配線基板40の端子との間の接続不良である。
【0034】
また空間46が形成されている場合、温度サイクル試験における応力が、前述と同様に自由端方向に集中し、機能素子パッケージ50に応力が強く加わることになり、不良が生じやすくなる。このように、複合電子部品104にあっては、前記複合電子部品102に比して機械的強度が低い。また、複合電子部品104を吸着コレット(図示せず)によりピックアップして所定の位置に移動させる際、当該吸着コレットを高速回転させる場合があるが、複合電子部品104の重心に偏りがあると、当該複合電子部品104が吸着コレットから外れてしまう場合があり、製造歩留りの低下を招いてしまう。
【0035】
かかる配線基板40上における他の機能素子パッケージの実装位置が不搭載部となり、前記複合電子部品104とは異なる場合であっても、同様に機械的強度の低下が生ずる。機能素子パッケージ54の実装位置P3が不搭載部(空間46)となる、前記複合電子部品104とは異なる複合電子部品106について説明する。
図4(a)は複合電子部品106を例示する上面図である。
図4(b)は
図4(a)の線A−Aに沿った断面図である。
【0036】
図4(a)及び
図4(b)に示すように、複合電子部品106においては、配線基板40の長手方向のほぼ中心部に機能素子パッケージ54の不搭載部(空間46)が設定されている。回路的には前記分波器34に対応する機能素子パッケージ54が配設されていない。従って、落下時の衝撃による応力が、前述と同様に配線基板40及びリッド42の上下方向に振動を生じさせ、機能素子パッケージ52及び56に応力が加わり、複合電子部品106の機械的強度は低いものとなる。ただし、2つの機能素子パッケージ52及び56で応力を受け止めるため、複合電子部品106の不良率は複合電子部品104よりは低い。また、空間46においては、リッド42が機能素子パッケージに支持されないため、図中に矢印Sで示す方向に沿ってリッド42に凹みが生じやすい。製造工程において複合電子部品106を搬送するために、吸着コレットを用いる際、リッド42に凹部があると吸着コレットによる吸着が困難になる。
【0037】
機能素子パッケージ50の実装位置P1が不搭載部(空間46)となる、他の複合電子部品108について説明する。
図5(a)は複合電子部品108を例示する上面図である。
図5(b)は
図5(a)の線A−Aに沿った断面図である。
図5(c)は複数の複合電子部品が絡んだ状態を示す図である。
【0038】
図5(a)及び
図5(b)に示すように、複合電子部品108においては、配線基板40の長手方向の一方の端部において機能素子パッケージ50の不搭載部(空間46)が設定されている。回路的には前記分波器30に対応する機能素子パッケージ50が配置されていない。このため、配線基板40の長手方向の一方の端部近傍に、大きな空間46が形成される。即ち、空間46を挟んで対向する配線基板40とリッド42とは、機能素子パッケージにより機械的な支持がなされず、前記
図3(c)及び
図3(d)に示される複合電子部品104と同様に落下試験の衝撃による応力により、複合電子部品108の機械的強度は低下する。この場合、機能素子パッケージ52が最も大きな応力を受けるが、
図3(c)及び
図3(d)の場合より不良率は低い。
【0039】
また、配線基板40の長手方向の端部付近に大きな空間46が生じると、
図5(c)に示すように、1つの複合電子部品108における空間46に、他の複合電子部品108の配線基板40又はリッド42が入り込み、複合電子部品108が互いに絡んでしまうことがある。このような現象は、かかる複合電子部品108を、例えば携帯電話のマザーボード上に配置するためのパーツフィーダーで生じ易い。パーツフィーダーでは一時的に電子部品をランダムな向きでストックする場所があり、その後向きを整えてコレットなどで部品を運ぶが、複合電子部品108をランダムにストックした場合に
図5(c)のような状態が生じやすい。
【0040】
前述の弾性波フィルタ或いは分波器などの機能素子を含む機能素子パッケージは、キャパシタなどのチップ部品に比べて重い。従って、複合電子部品内における機能素子パッケージの搭載形態の相違による重心のずれが大きくなり、落下時の衝撃の不均一性も大きくなる。また複合電子部品内における1つの機能素子パッケージの占有する面積は、チップ部品の占有する面積に比べて大きい。従ってリッド42には比較的大きな凹みが生じやすい。そして、隙間44及び空間46を樹脂などにより充填しない場合、配線基板40及びリッド42の振動が生じ、衝撃による応力の不均一が大きくなり、複合電子部品の機械的強度が大きく低下する。さらに、リッド42の凹み、及び複合電子部品の相互の絡みも発生しやすい。本発明は、この様に、配線基板40上の機能素子パッケージの周りに大きな空間46を生じて搭載される複合電子部品において、その機械的強度の低下を防止することができる構成を提供しようとするものである。以下、本発明を、実施例をもって説明する。
【実施例1】
【0041】
実施例1にあっては、配線基板40における機能素子パッケージの不搭載部(実装位置P2)にダミーパッケージ60を搭載・配設してなる複合電子部品100を開示している。
図6(a)は実施例1に係る複合電子部品100例示する上面図である。
図6(b)は
図6(a)の線A−Aに沿った断面図である。
【0042】
図6(a)に示すように、配線基板40の長手方向に沿って、4個の機能素子パッケージ50,54,56,58と1つのダミーパッケージ60が一列に配列されて搭載されている。配線基板40の中心から外れた実装位置P2にダミーパッケージ60が設けられている。即ち当該ダミーパッケージ60は、機能素子パッケージ50と機能素子パッケージ54との間である実装位置P2に搭載・配設されている。そして、かかる複数の機能素子パッケージと1つのダミーパッケージ60とを共通に覆って、リッド42が配設されている。かかるダミーパッケージ60の配設により、機能素子パッケージ50と機能素子パッケージ54との間には、前述の如き大きな空間46は生じない。なお、ダミーパッケージ60と機能素子パッケージ50との間、ならびにダミーパッケージ60と機能素子パッケージ54との間にはそれぞれ隙間44が存在する。かかる隙間44は他の機能素子パッケージ相互間の隙間44と同様に狭い。これにより、隣り合う機能素子パッケージ間の隙間44、及びダミーパッケージ60と機能素子パッケージとの間の隙間44は、ほぼ同一の大きさとなる。隙間44はできるだけ均等になることが好ましい。
【0043】
実施例1によれば、ダミーパッケージ60の配設により、複合電子部品100の重心が配線基板40の中心部に位置する、又は中心部に近くなる。従って、落下時の衝撃は各機能素子パッケージ及びダミーパッケージ60に対してほぼ均一に加わる。これは、配線基板40とリッド42が図の上下方向に振動することがなくなり、それによる応力がなくなるためである。また、温度サイクル試験において、各機能素子パッケージ及びダミーパッケージ60に加わる応力の均一性が高まる。このように、複合電子部品100の機械的強度が向上する。
【0044】
なお、前記ダミーパッケージ60としては、機能素子パッケージと同等の外形寸法ならびに同等の重さを有することが好ましい。同等の重さとは、例えば同じ重さ、又は同じに極めて近い重さである。即ち、ダミーパッケージ60と機能素子パッケージとを同等の外形寸法並びに同等の重量とすることにより、複合電子部品100における重心位置の設定が容易となる。また、ダミーパッケージ60として、他の工程などにおいて摘出された不良品である機能素子パッケージ、即ち要求仕様を満たさない、または動作しない機能素子パッケージを適用することも、費用効率を高める上で極めて有効である。良品である機能素子パッケージをダミーパッケージ60として適用することもできる。かかる場合には、当該良品である機能素子パッケージについて、その電気的機能をなくして適用するか、配線基板40において当該ダミーパッケージ60(良品である機能素子パッケージ)の電気的機能を阻止する処置をするか、携帯電話のマザーボード上で動作しないようにすればよい。更には、ダミーパッケージ60として、例えば樹脂のような有機材料、セラミックのような無機材料、或いは金属からなる固形物に必要に応じて配線基板40への固着用端子を設けたものを適用することもできる。
【0045】
ここで、複合電子部品100が、機能素子パッケージと共にチップ部品62を含む例について説明する。
図7(a)は複合電子部品100において、各機能素子パッケージ及びダミーパッケージ60を透視した状態を示す上面図である。各パッケージ及びダミーパッケージ60は透視して、破線で図示している。なお、当該
図7(a)においては、配線基板40上に配設された信号端子40a、各機能素子パッケージの接地端子、チップ部品62、半田被覆端子62a、及び配線64については、それぞれの一部に符号を付した。信号端子40aには格子斜線を付した。
図7(b)は機能素子パッケージ50を例示する断面図である。
【0046】
図7(a)に示すように、機能素子パッケージ50、54、56及び58並びにダミーパッケージ60が搭載・配置された配線基板40の上面には、複数のチップ部品62が半田被覆端子62aを用いて実装されている。チップ部品62は、例えばキャパシタ又はインダクタなどの個別受動素子を含む。機能素子パッケージ54と機能素子パッケージ56との間には、SAWフィルタチップ65が実装されている(破線で図示)。配線基板40の上面には、信号端子40a、接地端子40b、及び配線64が、それぞれ複数個設けられている。信号端子40aは、各機能素子パッケージ及びダミーパッケージ60の信号端子(不図示)と接続されている。接地端子40bは、各機能素子パッケージ及びダミーパッケージ60に跨って設けられている。接地端子40bは、点線で図示した、機能素子パッケージ50、54、56及び58におけるそれぞれの接地端子50a、54a、56a及び58a、並びにダミーパッケージ60の接地端子60aと接続されている。なおダミーパッケージ60に接続された信号端子40a及び接地端子40bは、機械的に接続されるに留まり、複合電子部品100全体の電気的動作に関与するものではない。配線64は、チップ部品62と信号端子40aとを接続し、チップ部品62相互間を接続する。
【0047】
図7(b)に示すように、機能素子パッケージ50は、基板70、分波器チップ72、バンプ73及び半田74、封止部76及び粘着剤78を含む。分波器チップ72は、例えばIDT(Interdigital Transducer)を備えるSAWフィルタ、又はFBARフィルタなど弾性波フィルタを含むチップである。分波器チップ72は、バンプ73により基板70にフリップチップ実装されている。封止部76及びリッド42は分波器チップ72を封止している。基板70は例えばセラミックなどの絶縁体により形成されている。バンプ73は例えば金(Au)などの金属により形成されている。半田74は例えば銀錫を含む半田(Sn−Ag系半田)などにより形成されている。封止部76は例えば半田又はエポキシ樹脂などにより形成されている。粘着剤78はリッド42と封止部76とを粘着する。
【0048】
前記配線基板40にあっては、その一方の主面(上面)に前記信号端子40a及び接地端子40bが配設され、配線基板40の他方の主面(下面)にはフットパッド(外部接続端子)40cが設けられている。信号端子40a及び接地端子40bは、フットパット40cと、当該配線基板40を貫通するビア配線40dにより接続されている。図示される状態にあっては、機能素子パッケージ50における3個の半田74のうち、2つは信号端子40aと接続され、1つは接地端子40bと接続されている。なお、機能素子パッケージ54、56及び58、並びにダミーパッケージ60は、例えば機能素子パッケージ50と同様の端子構成を有する。なお、ダミーパッケージ60は、分波器チップ72を含まず、例えば樹脂或いはセラミックなどの固体、又は半田の塊に端子を設けたものでもよい。
【0049】
図7(a)に示したように、ダミーパッケージ60は配線基板40の端子(信号端子40a及び接地端子40b)に機械的に強固に接続されることが好ましい。落下時の衝撃、及び応力をより均一にすることができる。各機能素子パッケージ及びダミーパッケージ60は分波器チップ72を含むとしたが、例えば弾性波フィルタを備えるフィルタチップを含んでもよい。パッケージの数、及びチップ部品62の数は変更可能である。配線基板40は例えば複数の絶縁層を積層してなる多層基板としてもよい。リッド42を、金属、樹脂などの絶縁体、又はこれらの複合体により形成してもよい。リッド42が金属を含むことで、ノイズを遮断するシールドして機能する。リッド42が接地端子62b又は62cと接続することにより、シールドとしての効果が高まる。リッド42が金属を含むことにより、静電気による帯電を抑制することもできる。リッド42が絶縁体を含むことで、例えばリッド42全体を金属で形成する場合より低コスト化及び軽量化が可能となる。
【0050】
複合電子部品100の平面のサイズは例えば10.4mm×3.6mmとされる。各機能素子パッケージ及びダミーパッケージ60それぞれの平面のサイズは例えば2.0mm×1.6mmとされる。チップ部品62の平面のサイズは例えば0.6mm×0.3mmとされる。各部品のサイズは変更可能である。
【実施例2】
【0051】
実施例2にあっては、ダミーパッケージ60を配線基板40の長手方向の中心部に配置した複合電子部品200を開示している。
図8(a)は実施例2に係る複合電子部品200を例示する上面図である。
図8(b)は
図8(a)の線A−Aに沿った断面図である。
【0052】
図8(a)及び
図8(b)に示すように、複合電子部品200にあっては、配線基板40の中心部(実装位置P3)に、即ち機能素子パッケージ52と機能素子パッケージ56との間に、ダミーパッケージ60が搭載・配置されている。他の構成は複合電子部品102と同じである。
【0053】
実施例2における複合電子部品200にあっては、ダミーパッケージ60の存在により、配線基板40の長手方向の中心部である実装位置P3において大きな空間を生ずることなくリッド42が支持されている。従って、リッド42の凹みの発生が防止・抑制されている。これにより、リッド42の平面性が向上し、複合電子部品200の機械的強度が高まると共に、吸着コレットによる吸着が良好に行われる。この結果、製造歩留まりが大きく向上する。
【実施例3】
【0054】
実施例3にあっては、ダミーパッケージ60を配線基板40の周縁部(長手方向の端部)に搭載・配置した複合電子部品300を開示している。
図9(a)は実施例3に係る複合電子部品300を例示する上面図である。
図9(b)は
図9(a)の線A−Aに沿った断面図である。
【0055】
図9(a)及び
図9(b)に示すように、複合電子部品300にあっては、配線基板40の一方の端部(実装位置P1)に、ダミーパッケージ60が搭載・配置されている。即ち、ダミーパッケージ60は機能素子パッケージ52の外側に位置する。これにより配線基板40の周縁部に大きな空間が形成されない。この結果、
図5(c)に示したような複合電子部品同士の絡み合いは抑制される。また実施例1と同様に、衝撃及び応力の均一化が図られ、複合電子部品300は高い機械的強度を有する。
【0056】
実施例2及び3に示す複合電子部品にあっても、前記
図7(a)に示したようなチップ部品62を含む複合電子部品とすることはもちろん可能である。またいずれの実施例においても、1つの複合電子部品における機能素子パッケージとダミーパッケージ60との合計搭載数は、特に限定されず、例えば4個以下、又は6個以上でもよい。1つの配線基板40上において搭載されるダミーパッケージ60の数は複数個でもよく、配線基板40の形状、面積及び機能素子パッケージの配置形態などに対応して、複数の領域にダミーパッケージ60を搭載・配置してもよい。各機能素子パッケージ及びダミーパッケージ60は例えば配線基板40の短手方向に並んでもよい。ダミーパッケージ60は短手方向の端部に設けられてもよい。また、配線基板40上に搭載された複数の機能素子パッケージの間、及び機能素子パッケージとダミーパッケージ60との間には、必要に応じて、リッド42まで達しない程度に樹脂を充填してもよい。これにより、複合電子部品の機械的強度を高めることができる。機能素子パッケージ間の全体に隙間44が形成されている場合、機械的強度が低下しやすい。従って、実施例1〜3を適用することが効果的である。
【0057】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。