(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(A)成分として、下記一般式(1)で表されるエチレン性不飽和二重結合を有する重合性官能基を1つ以上有するジナフトチオフェン系化合物、
【化1】
(一般式(1)中、各Xは、それぞれ独立に、単結合、二価の有機基又は二価の原子であり、各R
1は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、c+dが1〜4の整数であることを条件として、cは0〜4の整数であり、dは0〜4の整数である。Xが二価の有機基である場合、Xとしては、酸素原子、硫黄原子又は窒素原子からなるヘテロ原子を含んでもよいアルキレン基、アラルキレン基、アルケニレン基、エステル結合、アミド結合、イミド結合又はこれらの結合を主鎖に含むアルキレン基、アリーレン基、アラルキレン基、二価の置換芳香族基、二価の置換へテロ芳香族基、二価の置換シリル基である。また、Xが二価の原子である場合、Xとしては、酸素原子、硫黄原子、他の原子と結合を有してもよい錫原子、他の原子と結合を有してもよい燐原子である。なお、Xは、それらが結合するナフタレン環における置換可能な炭素原子のいずれと結合してもよい。(R)a又は(R)bは、それぞれa個又はb個の同一又は異なる置換基を意味し、当該置換基は、それらが結合するナフタレン環における置換可能な炭素原子のいずれに結合してもよく、各Rは、それぞれ独立に、有機基、水酸基、アミノ基、ニトロ基、チオール基、スルホ基、ハロゲン原子、又は置換されてもよいシリル基を表す。また、aは、0〜5の整数であり、bは、0〜5の整数である。)
(B)成分として、1つ以上の芳香環を含有する単官能(メタ)アクリレート、
(C)成分として、光ラジカル重合開始剤、
を含有し、組成物の総量に対して、前記(A)成分の含有割合は15〜50質量部の範囲であり、前記(B)成分の含有割合は50〜85質量部の範囲であることを特徴とする光学部品用接着剤組成物。
前記(B)成分は、ベンジル(メタ)アクリレート及びフェノキシエチル(メタ)アクリレートから選ばれる1つ以上を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の光学部品用接着剤組成物。
前記(A)成分は、6−メタクリロイルオキシメチルジナフトチオフェン、6−メタクリロイルオキシエチルジナフトチオフェン、2,12−ジアリルオキシジナフトチオフェン、及び3,11−ジアリルオキシジナフトチオフェンから選ばれる1つ以上を含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学部品用接着剤組成物。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記の特許文献に記載の主成分である、硫黄含有(メタ)アクリレートや、ジフェニルスルフォン構造を有するウレタン(メタ)アクリレートでは、4,4'−ジメルカプトジフェニルサルファイドジメタクリレートは、ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート等の芳香環を有する化合物よりは高い屈折率を有してはいるものの、光学レンズ等の薄型化に伴う高屈折率の要求を満たすことはできず、また、これら化合物は一般に波長450nm以下の光を吸収するため、黄色く着色し透明性が低下しやすいという課題があった。
【0006】
前記の様な課題に対して高い屈折率と高い透明性を有する化合物として特許文献5にジナフトチオフェン骨格を有する化合物および重合体が開示されている。特許文献5の実施例では、エチレン性不飽和二重結合を有するジナフトチオフェンを用いた光重合性組成物を、酢酸エチル等の溶剤を用いて希釈して作成した光硬化膜が開示されている(段落番号[0143])。しかしながら、光学部品の接着に用いる場合は、残存溶剤の影響で強度の低下や、アウトガス発生の要因となり、良好な信頼性を得ることができなかったり、あるいは長時間保存した場合等に結晶性の成分が組成物中に析出しやすく、屈折率が変動したり、塗布できなくなったりするといった欠点があった。また、光成形、ナノインプリントといった微細成形プロセス等においても寸法精度が確保できないため、溶剤を使用できない場合が多く、溶剤で希釈した組成物を使用することは困難であった。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、高い屈折率と高い透明性を有し且つ溶剤の使用が不要である光学部品用接着剤組成物を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、
(1)(A)成分として、下記一般式(1)で表されるエチレン性不飽和二重結合を有する重合性官能基を1つ以上有するジナフトチオフェン系化合物、
【化1】
(一般式(1)中、各Xは、それぞれ独立に、単結合、二価の有機基又は二価の原子であり、各R
1は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、c+dが1〜4の整数であることを条件として、cは0〜4の整数であり、dは0〜4の整数である。Xが二価の有機基である場合、Xとしては、酸素原子、硫黄原子又は窒素原子からなるヘテロ原子を含んでもよいアルキレン基、アラルキレン基、アルケニレン基、エステル結合、アミド結合、イミド結合又はこれらの結合を主鎖に含むアルキレン基、アリーレン基、アラルキレン基、二価の置換芳香族基、二価の置換へテロ芳香族基、二価の置換シリル基である。また、Xが二価の原子である場合、Xとしては、酸素原子、硫黄原子、他の原子と結合を有してもよい錫原子、他の原子と結合を有してもよい燐原子である。なお、Xは、それらが結合するナフタレン環における置換可能な炭素原子のいずれと結合してもよい。(R)a又は(R)bは、それぞれa個又はb個の同一又は異なる置換基を意味し、当該置換基は、それらが結合するナフタレン環における置換可能な炭素原子のいずれに結合してもよく、各Rは、それぞれ独立に、有機基、水酸基、アミノ基、ニトロ基、チオール基、スルホ基、ハロゲン原子、又は置換されてもよいシリル基を表す。また、aは、0〜5の整数であり、bは、0〜5の整数である。)
(B)成分として、1つ以上の芳香環を含有する単官能(メタ)アクリレート、
(C)成分として、光ラジカル重合開始剤、
を含有し、前記(A)成分の含有割合は15〜50質量部の範囲であり、前記(B)成分の含有割合は50〜85質量部の範囲であることを特徴とする光学部品用接着剤組成物が提供される。
【0009】
本発明者らは、光学部品用接着剤に適した組成物を得るべく鋭意検討を行なっていたところ、上記一般式(1)に示すようなジナフトチオフェン系化合物は、溶媒を用いずに、特許文献5の[0143]に記載のような多官能エポキシアクリレート及び光ラジカル重合開始剤と混合すると、しばらく静置した後に、容易に溶解しない析出物が発生し、接着剤として利用することが難しいことが分かった(比較例2)。そこで、このような問題を解決すべく、さらに検討を進めたところ、多官能エポキシアクリレートの代わりに、1つ以上の芳香環を含有する単官能(メタ)アクリレートを用いた場合には、このような析出物や分離物が発生しないか、発生しても容易に溶解可能であることが分かった。さらに、芳香環を含有する単官能(メタ)アクリレートの代わりに、芳香環を有するが(メタ)アクリレートではない化合物を用いた場合(比較例3)、光照射を行なっても十分に硬化が起こらず、光学部品用接着剤としての利用が困難であることが分かった。さらに、芳香環を有さない単官能(メタ)アクリレートを用いた場合(比較例4)、容易に溶解しない析出物が発生してしまった。 また、重合性官能基を有するジナフトチオフェン系化合物の代わりに、このような官能基を有さないジナフトチオフェン系化合物を用いた場合(比較例5)、容易に溶解しない析出物が発生してしまった。さらに、ジナフトチオフェン系化合物を用いなかった場合(比較例1)、屈折率が低くなってしまった。
以上より、重合性官能基を有するジナフトチオフェン系化合物と、芳香環を含有する単官能(メタ)アクリレートと、光ラジカル重合開始剤との組み合わせによる相乗効果によって、高い屈折率と高い透明性を有し且つ溶剤の使用が不要である光学部品用接着剤組成物が得られることが分かった。
【0010】
好ましくは、前記(B)成分は、1つの芳香環を含有する単官能(メタ)アクリレートである。
好ましくは、前記(B)成分が、ベンジル(メタ)アクリレート及びフェノキシエチル(メタ)アクリレートから選ばれる1つ以上を含む。
好ましくは、前記重合性官能基は、(メタ)アクリロイル基又はアリルエーテル基である。
好ましくは、前記一般式(1)において、a=b=c=0であり、d=1である。
好ましくは、前記(A)成分は、6−メタクリロイルメチルジナフトチオフェン、6−メタクリロイルエチルジナフトチオフェン、2,12−ジアリルエーテルジナフトチオフェン、及び3,11−ジアリルエーテルジナフトチオフェンから選ばれる1つ以上を含む。
好ましくは、前記(C)成分の含有割合は、組成物の総量に対して、0.2〜10質量部である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の接着剤組成物は、重合性官能基を有するジナフトチオフェン系化合物、芳香環を有する単官能(メタ)アクリレート、ラジカル重合開始剤を特定の割合で含有する光学部品用接着剤組成物からなるので、光学部品の接着に求められる高い屈折率と高い透明性を有するという特徴を有している。また、本発明の接着剤組成物は、溶媒を使用する必要がないため、残存溶剤の影響による強度低下や、アウトガス発生の問題を回避することができ、かつ微細成形プロセスにおいても高い寸法精度を確保することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<用語の説明>
本明細書において、接着剤組成物とは、部品と部品等を貼り合わせるための接着剤、特に光学部品の接着に好適に用いられる接着剤を意味する。
【0013】
本実施形態に係る接着剤組成物の成分について説明する。
【0014】
<(A)成分:ジナフトチオフェン系化合物>
本実施形態に係るエネルギー線硬化性樹脂組成物は、(A)成分として、下記一般式(1)で表されるエチレン性不飽和二重結合を有する重合性官能基を1つ以上有するジナフトチオフェン系化合物を有する。
【化2】
(一般式(1)中、各Xは、それぞれ独立に、単結合、二価の有機基又は二価の原子であり、各R
1は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、c+dが1〜4の整数であることを条件として、cは0〜4の整数であり、dは0〜4の整数である。Xが二価の有機基である場合、Xとしては、酸素原子、硫黄原子又は窒素原子からなるヘテロ原子を含んでもよいアルキレン基、アラルキレン基、アルケニレン基、エステル結合、アミド結合、イミド結合又はこれらの結合を主鎖に含むアルキレン基、アリーレン基、アラルキレン基、二価の置換芳香族基、二価の置換へテロ芳香族基、二価の置換シリル基である。また、Xが二価の原子である場合、Xとしては、酸素原子、硫黄原子、他の原子と結合を有してもよい錫原子、他の原子と結合を有してもよい燐原子である。なお、Xは、それらが結合するナフタレン環における置換可能な炭素原子のいずれと結合してもよい。(R)a又は(R)bは、それぞれa個又はb個の同一又は異なる置換基を意味し、当該置換基は、それらが結合するナフタレン環における置換可能な炭素原子のいずれに結合してもよく、各Rは、それぞれ独立に、有機基、水酸基、アミノ基、ニトロ基、チオール基、スルホ基、ハロゲン原子、又は置換されてもよいシリル基を表す。また、aは、0〜5の整数であり、bは、0〜5の整数である。)
【0015】
上記重合性官能基としては、ビニル基、スチリル基、ビニルエーテル基、アリル基、アリルエーテル基、(メタ)アクリロイル基、アクリロニトリル基等が例示できるが、透明性の点で(メタ)アクリロイル基又はアリルエーテル基が好ましく、(メタ)アクリロイル基が特に好ましい。
【0016】
上記ジナフトチオフェン系化合物の具体例としては、6−ビニルジナフトチオフェン、6−(メタ)アクリロイルオキシメチルジナフトチオフェン、6−(メタ)アクリロイルオキシエチルジナフトチオフェン、6−ビニルエーテルジナフトチオフェン、6−アリルジナフトチオフェン、6−アリルオキシジナフトチオフェン、2,12−ジビニルジナフトチオフェン、3,11−ジビニルジナフトチオフェン、5,9−ジビニルジナフトチオフェン、2,12−ジ(メタ)アクリロイルオキシメチルジナフトチオフェン、3,11−ジ(メタ)アクリロイルオキシメチルジナフトチオフェン、2,12−ジアリルオキシメチルジナフトチオフェン、3,11−ジアリルオキシジナフトチオフェン、2,12−ジビニルオキシメチルジナフトチオフェン、3,11−ジビニルオキシジナフトチオフェン等が挙げられるが、透明性の点で、6−メタクリロイルオキシメチルジナフトチオフェン、6−メタクリロイルオキシエチルジナフトチオフェン、2,12−ジアリルオキシジナフトチオフェン、及び3,11−ジアリルオキシジナフトチオフェンが好ましく、6−(メタ)アクリロイルオキシメチルジナフトチオフェンが特に好ましい。
【0017】
(A)成分の含有割合は、接着剤組成物の総量に対して15〜50質量部であることが好ましく、特に屈折率、透明性、(B)成分との相溶性の点で、20〜40質量部がより好ましい。
【0018】
上記ジナフトチオフェン系化合物は、特開2011−178985号公報(上記特許文献5)に例示される製造方法をもって製造することができるが、この方法に限らずいかなる製造方法によって製造されたものでも使用できる。
【0019】
<(B)成分:単官能(メタ)アクリレート>
本発明の接着剤樹脂組成物は(B)成分として、1つ以上の芳香環を有する単官能(メタ)アクリレートを含有する。芳香環の数は、例えば、1,2,3であり、好ましくは、1つである。
【0020】
上記単官能(メタ)アクリレートの具体例としては、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェニル(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ノニルフェニル(メタ)アクリレート、フタル酸変性(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、ビスフェニルフルオレン(メタ)アクリレート、2−(o−フェニルフェノキシ)エチルアクリレート等が例示できるが、(A)成分との相溶性、屈折率、透明性の点から、ベンジル(メタ)アクリレートまたはフェノキシエチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0021】
(B)成分の含有割合は、接着剤組成物の総量に対して50〜85質量部であることが好ましく、特に屈折率、透明性、(A)成分との相溶性の点で、60〜80質量部がより好ましい。
【0022】
本発明の接着剤組成物には、発明の効果を損なわない範囲で、芳香環を有さない単官能(メタ)アクリレート化合物や、多官能の(メタ)アクリレートを含有しても良い。
【0023】
<(C)成分:光ラジカル重合開始剤>
本実施の接着剤樹脂組成物は、(C)光ラジカル重合開始剤を含有する。光ラジカル重合開始剤は、エネルギー線を照射することによりラジカルが発生する化合物であれば、特に制限されない。
【0024】
上記光ラジカル重合開始剤としては、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾイン安息香酸、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン誘導体、ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール等のアルキルアセトフェノン誘導体、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、1−(4−イソプロピルフェニル)2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等のα−ヒドロキシアセトフェノン誘導体、ビスジエチルアミノベンゾフェノン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2-ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン−1等のα−アミノアルキルアセトフェノン誘導体、イソブチリル−メチルフォスフィン酸メチルエステル、イソブチリル−フェニルフォスフィン酸メチルエステル、ピバロイル−フェニルフォスフィン酸メチルエステル、2−エチルヘキサノイル−フェニルフォスフィン酸メチルエステル、ピバロイル−フェニルフォスフィン酸イソプロピルエステル、p−トルイル−フェニルフォスフィン酸メチルエステル、o−トルイル−フェニルフォスフィン酸メチルエステル、2,4−ジメチルベンゾイル−フェニルフォスフィン酸メチルエステル、p−3級ブチルベンゾイル−フェニルフォスフィン酸イソプロピルエステル、ビバロイル−(4−メチルフェニル)−フォスフィン酸メチルエステル、ピバロイル−フェニルフォスフィン酸ビニルエステル、アクリロイル−フェニルフォスフィン酸メチルエステル、イソブチリル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、ピバロイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、1−メチル−1−シクロヘキサノイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、2−エチルヘキサノイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、p−トルイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、o−トルイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、p−3級ブチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、(メタ)アクリロイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、2,2−ジメチル−ヘプタノイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、テレフタロイル−ビス−ジフェニルフォスフィンオキサイド、アジポイル−ビス−ジフェニルフォスフィンオキサイド、2,6−ジメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、2,6−ジメトキシベンゾイル−フェニルフォスフィン酸メチルエステル、2,6−ジメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、2,6−ジメトキシベンゾイル−ジフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−フェニルフォスフィン酸メチルエステル、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、2,3,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−トリフォスフィン酸メチルエステル、2,4,6−トリメトキシベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、2,6−ジクロルベンゾイル−フェニルフォスフィン酸エステル、2,6−ジクロルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、2,3,4,6−テトラメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、2,6−ジブロムベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、2,6−ジメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−フェニルフォスフィン酸メチルエステル、2,6−ジクロルベンゾイル−若しくは2,6−ジメトキシベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド誘導体、1,2−オクタンジオン,1−〔−4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)〕、エタノン1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)等のオキシムエステル化合物が挙げられる。これらの中では、アルキルアセトフェノン誘導体、α−ヒドロキシアセトフェノン類、ホスフィンオキサイド類からなる1種以上が、反応性、透明性に優れる点で、好ましい。これらは1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0025】
(C)成分の含有割合は、接着剤組成物の総量に対して、0.1〜10質量部の割合で含有させることが好ましく、特に0.5〜5質量部がより好ましい。0.1〜10質量部の範囲にあれば硬化性が悪くなることもないし、透明性も低下させることもない。
【0026】
<その他の添加剤>
本実施形態の目的を損なわない範囲で、酸化防止剤、シランカップリング剤、アクリルゴム、ウレタンゴム等の各種エラストマー、光増感剤、光安定剤、溶剤、増量材、充填剤、補強材、可塑剤、増粘剤、染料、顔料、難燃剤及び界面活性剤等の添加剤が含有しても良い。
【0027】
上記構成からなる接着剤組成物は、エネルギー線の照射により硬化体とすることができる。
【0028】
また、上記構成からなる接着剤組成物は、エネルギー線の照射により部品同士を接着することができるため、高透明性、高屈折率など光学特性に優れた貼り合わせレンズ、プリズム、積層ガラス、積層フィルム等の光学部品の接合体を提供することができる。
【0029】
さらに、上記構成からなる接着剤組成物は、高透明性、高屈折率など光学特性に優れるため、高度な光学部品の接着が必要な液晶パネル、有機エレクトロルミネッセンスパネル、タッチパネル、プロジェクター、スマートフォン、携帯電話、デジタルカメラ、デジタルムービーの表示装置や、光ピックアップ、LED、プリンター、コピー機、光照射機等の光源装置や、太陽電池、リチウムイオン電池等エネルギー部材や、CCD、CMOS等の各種センサー部品、フラッシュメモリー、DRAM、半導体レーザー等の半導体素子を提供することができる。
【0030】
本実施形態に係る接着剤組成物の製造方法については、上記の材料を十分に混合できれば特に制限はない。材料の混合方法としては、特に限定されないが、プロペラの回転に伴う撹拌力を利用する撹拌法、自転公転による遊星式撹拌機等の通常の分散機を利用する方法等が挙げられる。これらの混合方法は、低コストで、安定した混合を行えるので好ましい。
【0031】
上記の混合を行った後、下記の光源を用いたエネルギー線の照射により、接着剤組成物の硬化を行うことができる。
【0032】
本実施形態において、接着剤組成物の硬化、接着に用いられる光源としては、特に限定されないが、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、ハイパワーメタルハライドランプ(インジウム等を含有する)、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、キセノンエキシマランプ、キセノンフラッシュランプ、ライトエミッティングダイオード(以下、LEDという)等が挙げられる。これらの光源は、それぞれの光ラジカル重合開始剤の反応波長に対応したエネルギー線の照射を効率よく行える点で、好ましい。
【0033】
上記光源は、各々放射波長、エネルギー分布が異なる。そのため、上記光源は光重合開始剤の反応波長等により適宜選択される。又、自然光(太陽光)も反応開始光源になり得る。
【0034】
上記光源は、直接照射、反射鏡等による集光照射、ファイバー等による集光照射を行ってもよい。低波長カットフィルター、熱線カットフィルター、コールドミラー等も用いることもできる。
【0035】
上記構成からなる接着剤組成物は、高い屈折率と高い透明性を兼ね備えることから光学部品を接着するのに好適な接着剤を提供できる。
【実施例】
【0036】
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0037】
実施例では、以下の化合物を使用した。
【0038】
(A)ジナフトチオフェン化合物
ジナフトチオフェン化合物は、特開2011−178985(上記特許文献5)に記載の合成方法([実施例][0106]〜[0121])にて製造したものを用いた。
(A−1)6−メタクリロイルオキシメチルジナフトチオフェン(略号:DNTMA)
(A−2)6−ビニルジナフトチオフェン(略号:VDNT)
(A−3)6−メタクリロイルオキシエチルジナフトチオフェン(略号:EDNTMA)
(A−4)2,12−ジアリルオキシジナフトチオフェン(略号:DAODNT)
(A−5)3,11−ジアリルオキシジナフトチオフェン(略号:i−DAODNT)
(A−6)ジナフトチオフェン(略号:DNT)
【0039】
(B)芳香環を有する単官能(メタ)アクリレート
(B−1)ベンジルメタクリレート(共栄社化学社製「ライトエステルBZ」)
(B−2)ベンジルアクリレート(大阪有機化学工業社製「ビスコート#160」)
(B−3)フェノキシエチルメタクリレート(共栄社化学社製「ライトエステルPO」)
(B−4)フェノキシエチルアクリレート(共栄社化学社製「ライトアクリレートPO−A」)
(B−5)2−(o−フェニルフェノキシ)エチルアクリレート(新中村化学工業社製「NKエステルA−LEN−10」)
【0040】
(C)光ラジカル重合開始剤
(C−1)ベンジルジメチルケタール(BASF社製「イルガキュアー651」)
(C−2)1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製「イルガキュアー184」)
(C−3)ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(BASF社製「イルガキュアー819」)
【0041】
比較として、下記を用いた。
(D−1)ビスフェノールA型エポキシアクリレート(共栄社化学社製「エポキシエステル3002M」
(D−2)スチレン(和光純薬工業社製「スチレン」)
(D−3)メチルメタクリレート(三菱ガス化学社製「MMA」)
【0042】
(実施例1〜14、比較例1〜5)
表1〜表2に示す種類の原材料を、表1〜表2に示す組成割合(単位は質量部)で混合し、接着剤組成物を調製し、後述の評価を実施した。溶媒は用いなかった。各種評価結果を表1〜表2に示す。特記しない限り、23℃、湿度50%の環境下で実施した。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
〔液安定性評価〕
30mlのバイアル瓶に接着剤組成物10mlを入れ密封したサンプルを準備し、サンプルを温度23℃の雰囲気中に24時間静置し、24時間後の液の状態を目視で確認し、以下の基準で評価した。
○:静置前と変化がなかった
△:析出物や分離物がみられるが50℃加温により再溶解した
×:析出物や分離物がみられ50℃加温でも再溶解しなかった
【0046】
〔屈折率の評価〕
(1)液屈折率
液屈折率の評価は、多波長アッベ屈折率計(アタゴ社製「DR−M2」)を用いて、温度25℃、波長589nmにおける屈折率を測定した。
(2)硬化物屈折率
接着剤組成物を容積15mm×15mm×1.0mmのシリコーンゴム製の型枠に流し込み、超高圧水銀ランプ搭載装置(HOYA社製「UL−750」)にて、365nmの波長の照射強度30mW/cm
2、積算光量30,000mJ/cm
2の条件にて硬化した硬化物試験片を作成し、屈折率を評価した。屈折率の評価は、分光プリズムカプラ屈折率測定装置(メトリコン社製「MODEL 2010 PRISM COUPLER」)を用いて、波長633nmにおける屈折率を測定した。
【0047】
〔分光透過率測定〕
接着剤組成物を耐熱ガラス(商品名「耐熱パイレックス(登録商標)ガラス」、25mm×25mm×2.0mm)上に膜厚30μmで塗布した後に、超高圧水銀ランプ搭載装置(HOYA社製「UL−750」)にて、365nmの波長の照射強度50mW/cm
2、積算光量30,000mJ/cm
2の条件にて硬化した試験片を作成し、紫外−可視分光光度計(島津製作所社製「UV−2550」)、リファレンスを耐熱ガラスとして、450nmの透過率を測定した。
【0048】
<考察>
実施例1〜10では、何れも液安定性・屈折率・分光透過率の点で優れた結果が得られた。但し、実施例1では、ジナフトチオフェン系化合物の配合割合が少ないため、屈折率が若干低かった。実施例6では、ジナフトチオフェン系化合物の配合割合が多いため、液安定性が若干悪化した。また、ビニル基を有するジナフトチオフェン系化合物を用いた実施例10では、(メタ)アクリロイル基又はアリルエーテル基を有するジナフトチオフェン系化合物を用いた実施例1〜9、実施例11〜14に比べて、液安定性及び分光透過率が好ましくなかった。この結果は、(メタ)アクリロイル基又はアリルエーテル基を有するジナフトチオフェン系化合物を用いることの優位性を示している。さらに、実施例3と実施例11〜13を比較すると、実施例3のようにDNTMAを用いた場合、屈折率及び分光透過率が特に高くなることが分かった。さらに、実施例14のように、(B)成分として芳香環を2つ有するアクリレートを用いたところ、液安定性及び分光透過率が悪化した。
【0049】
また、比較例1では、ジナフトチオフェン系化合物を用いなかったため、屈折率が十分でなかった。比較例2では、多官能アクリレート(ビスフェノールA型エポキシアクリレート)を用いたため、液安定性が非常に悪く、屈折率・分光透過率評価のための試験片を作成することができなかった。比較例3では、(B)成分の代わりに、芳香環を有するが(メタ)アクリレートではない化合物(スチレン)を用いたため、光照射を行なっても十分に硬化が起こらなかった。比較例4では、(B)成分の代わりに、芳香環を有さない単官能(メタ)アクリレート(メチルメタクリレート)を用いたため、液安定性が悪く、容易に溶解しない析出物が発生してしまった。比較例5では、官能基を有さないジナフトチオフェン系化合物(ジナフトチオフェン)を用いたため、液安定性が悪く、容易に溶解しない析出物が発生してしまった。