(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
各コネクタ端子をコネクタ端子収容ハウジングに収容して上述したような電線同士の接続をする場合、各コネクタ端子の接点同士の信頼性(確実に導通しているという信頼性)を向上させる必要がある。
【0006】
この必要性のために、コネクタ端子収容ハウジングに収容されたコネクタ端子を所定の方向に付勢し、各コネクタ端子の動きを抑制している(コネクタ端子収容ハウジングに収容されたコネクタ端子の、コネクタ端子収容ハウジングに対するガタツキを無くしている)。
【0007】
詳しく説明すると、
図4や
図5で示すように、コネクタ端子収容ハウジング201の各収容穴203のそれぞれにコネクタ端子(
図4や
図5では図示せず)を挿入したときに、付勢部(バネ部)205によって、コネクタ端子を所定方向に付勢(
図4や
図5の右方向に押し付ける)ことで、上記ガタツキを無くしている。
【0008】
なお、コネクタ端子は、コネクタ端子収容ハウジング201に対し、
図4や
図5の紙面に直交する方向に相対的に移動することで、コネクタ端子収容ハウジング201の収容穴203への収容や収容穴203からの取り出しがなされるようになっている。
【0009】
付勢部205は、収容穴203の一方の側(たとえば、お互いが隣接している収容穴203を区切っている壁部207)に設けられている。
図4や
図5に示す付勢部205は、長方形の1つの角部に面取りを施した五角形の形状になっている。また、付勢部205は、
図4や
図5に示す形状を保ったまま、
図4や
図5の紙面に直交する方向で所定の長さを備えた立体形状になっている。
【0010】
そして、収容穴203にコネクタ端子を挿入してコネクタ端子収容ハウジング201にコネクタ端子を設置したときには、
図5に二点鎖線で示すように付勢部205が弾性変形するようになっている。この弾性変形の反力で、コネクタ端子を
図5の右方向に押し付け、上記ガタツキを無くしている。
【0011】
ところで、付勢部205は、片持ち梁の形態で弾性変形し、収容穴203に収容されているコネクタ端子を付勢するのであるが、形状に無駄な部分が存在しているという問題がある。
【0012】
すなわち、付勢部205は、面取りが形成されている形態になっていることで上方の厚さ寸法(
図5における付勢部205の上方の左右方向の寸法)W5aの値に比べて、下方の厚さ寸法W5bの値が大きくなっている。しかし、
図5で示すような片持ち梁のような弾性変形をするに際し、下方の厚さ寸法W5bの値が大きくなっていることは、全く無意味であり、下方の厚さ寸法W5bの値が大きくなっていることで、材料の無駄が発生しているのである。
【0013】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、コネクタ端子が収容されるコネクタ端子収容ハウジングにおいて、付勢部における無駄を極力無くすことができるコネクタ端子収容ハウジングを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1に記載の発明は、コネクタ端子が収容されるコネクタ端子収容ハウジングにおいて、前記コネクタ端子を収容するための収容穴と、前記収容穴に収容されたコネクタ端子を付勢して前記収容穴に収容されたコネクタ端子のガタツキを無くすために前記収容穴に設けられ、基端以外の部位における厚さが前記基端における厚さと等しいかもしくは前記基端における厚さよりも薄くなっている付勢部とを有
し、前記付勢部は、片持ち梁状に形成されており、前記コネクタ端子を前記収容穴に収容したときに、前記コネクタ端子の収容方向と平行な軸まわりで弾性変形するように構成されているコネクタ端子収容ハウジングである。
【0015】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のコネクタ端子収容ハウジングにおいて、前記収容穴は、複数設けられており、これらの収容穴は、所定の間隔をあけて所定の方向にならんで配置されており、前記付勢部は、お互いが隣接している前記各収容穴の間に存在している所定の厚さの仕切り壁のところに設けられており、前記付勢部の厚さは、前記仕切り壁の厚さと等しいかもしくは僅かに薄くなって
おり、前記付勢部は、前記各仕切り壁それぞれの一方の側でのみ前記各収容穴のそれぞれに突出しているコネクタ端子収容ハウジングである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、コネクタ端子が収容されるコネクタ端子収容ハウジングにおいて、付勢部における無駄を極力無くすことができるコネクタ端子収容ハウジングを提供することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態に係るコネクタ端子収容ハウジング1は、
図1で示すように、たとえば、金属で構成されたコネクタ端子3が挿入されて収容されるものであり、絶縁性の合成樹脂で構成されている。
【0019】
また、コネクタ端子収容ハウジング1は、
図2で示すように、収容穴(コネクタ端子収容穴)5と付勢部(バネ部)7とを備えて構成されている。
【0020】
収容穴5は、コネクタ端子3を収容するためのものであり、たとえば、四角柱状に形成されている。
【0021】
付勢部7は、収容穴5に設けられている。また、付勢部7は、収容穴5に収容されたコネクタ端子3を所定の方向に付勢して、収容穴5に収容されたコネクタ端子3のガタツキ(コネクタ端子収容ハウジング1に対するガタツキ)を無くしている。
【0022】
また、付勢部7は、
図3で示すように、基端9以外の部位(基端以外の任意の部位)における厚さ(肉厚)W1が基端9における厚さW2と等しくなっている。なお、厚さW1が、厚さW2よりも薄くなっていてもよい。
【0023】
コネクタ端子3は、たとえば平板状の金属の素材を所定形状に成形し、この所定形状に成形された素材に曲げ加工を施すことで製造されている。
【0024】
ここで、説明の便宜のために、コネクタ端子3やコネクタ端子収容ハウジング1の収容穴5の長手方向を前後方向とし、前後方向に対して直交する一方向を横方向とし、前後方向と横方向とに対して直交する方向を縦方向とする。
【0025】
図1で示すように、コネクタ端子3の外形形状は、概ね四角柱状になっている。コネクタ端子3の前後方向の前側にコネクタ端子収容ハウジング(コネクタ端子3から離れ所定の適切な位置で所定の適切な姿勢を保っているコネクタ端子収容ハウジング)1が存在している状態から、コネクタ端子3を前方向に移動することで、コネクタ端子3がコネクタ端子収容ハウジング1の収容穴5に挿入されて収容され、コネクタ端子収容ハウジング1に一体的に設置されるようになっている。
【0026】
コネクタ端子3は、本体部11とオス接点部(オス端子部)13とメス接点部(メス端子部)15とスリット(サイドスリット)17とを備えて構成されている。
【0027】
本体部11は、矩形な筒状に形成されている。矩形な筒状の本体部11は、矩形な平板状に形成されている4つの側壁部(第1の側壁部19A、第2の側壁部19B、第3の側壁部19C、第4の側壁部19D)を備えて構成されている。また、本体部11の前端は、コネクタ端子3の剛性を高めるために前壁部20で塞がれている。
【0028】
第1の側壁部19Aは、本体部11における横方向の一方の側に位置している。第2の側壁部19Bは、第1の側壁部19Aと対向しており、本体部11における横方向の他方の側に位置している。第3の側壁部19Cは、本体部11における縦方向の一方の側に位置している。第4の側壁部19Dは、第3の側壁部19Cと対向しており、本体部11における縦方向の他方の側に位置している。
【0029】
オス接点部13は、本体部11の第1の側壁部19Aから横方向の一方の側に突出している。オス接点部13は、たとえば平板状に形成されており、厚さ方向が縦方向になっており、縦方向では、本体部11の中間部に位置しており、前後方向でも、本体部11の中間に位置している。また、オス接点部13の前後方向の寸法は、本体部11の前後方向の寸法よりも小さくなっている。
【0030】
メス接点部15は、本体部11の内部に設けられている。メス接点部15は、当接部21と図示しないバネ部(図示せず)とを備えて構成されている。当接部21は、本体部11における第3の側壁部19Cから内側に突出して形成されている。バネ部は、本体部11における第4の側壁部19Dから内側に突出して形成されている。そして、当接部21は、縦方向の一方の側に位置しており、バネ部は、縦方向の他方の側に位置している。
【0031】
スリット17は、本体部11の第2の側壁部19Bに設けられている。スリット17は、縦方向では、本体部11の中間部に位置しており、前後方向では、本体部11(第2の側壁部19B)を貫通している。スリット17が形成されていることで、第2の側壁部19Bが2つの部位に分割されている。
【0032】
さらに説明すると、スリット17が設けられていることで、本体部11は、厳密には筒状とは言えないが、この明細書では、説明の便宜上、筒状であるものとする。また、スリット17の幅の値(縦方向の寸法)は、前後方向の両端部からこれらの近傍にかけての部位ではテーパ状になって大きくなっている。また、前後方向の中間部におけるスリット17の幅の値は、オス接点部13の厚さの値(縦方向の寸法)よりも大きくなっており、縦方向では、スリット17はオス接点部13と同じところに位置している(縦方向では、縦方向におけるスリットの中心の位置と縦方向におけるオス接点部の中心に位置とがお互いに一致している)。
【0033】
また、コネクタ端子3には、電線接続部23が設けられている。電線接続部23は、本体部11の後側で本体部11から後側に突出している。
【0034】
電線接続部23は、被覆が除去されて剥き出しになった導線(電線の導線)を保持する導線保持部25と、電線の被覆の部分を保持する被覆保持部37とを備えて構成されている。導線保持部25と被覆保持部27とは、これらがカシメられることで、図示しない電線を保持するようになっている(電線の端部に一体的に設置されるようになっている)。
【0035】
コネクタ端子収容ハウジング1の収容穴5には、
図2、
図3で示すように、付勢部形成部29が形成されている。付勢部形成部29は、収容穴5内の面(内面)の一部に設けられた凹部もしくは貫通孔(四角柱状に形成されている収容穴5の体積を広げる形態の凹部もしくは貫通孔)で形成されている。なお、付勢部形成部29は、すでに理解されるように、収容穴5につながっている。付勢部7は、付勢部形成部29の面の一部から突出している(縦方向の一端側の面から縦方向の他端側突出している;
図2や
図3では、上から斜め右下に向かって突出している)。
【0036】
したがって、付勢部7は、この基端9以外の部位は、付勢部形成部29の面から離れている。そして、次に説明する弾性変形をするようになっている。
【0037】
コネクタ端子3が収容穴5に収容されていない状態では、
図2や
図3で示すように、付勢部7の基端側の部位(基端部位)31が付勢部形成部29内に存在している。一方、付勢部7の先端部側の部位(先端部位;基端部位以外の部位)33は、付勢部形成部29から収容穴5内に突出している。
【0038】
コネクタ端子3を収容穴5に収容したときには、
図3に二点鎖線で示すように、付勢部7が付勢部形成部29側(
図3では左側)に弾性変形し、この弾性変形の反力でコネクタ端子3を、付勢部形成部29(付勢部7)とは反対側(
図2や
図3の右側)に付勢するようになっている。
【0039】
なお、
図2や
図3では、コネクタ端子3の表示を省略している。また、付勢部7の厚さとは、前述した付勢部7の弾性変形の方向と概ね一致する方向(横方向に対してわずかに斜めになっている方向)における付勢部7の寸法(
図3のW1,W3参照)である。
【0040】
図1や
図2で示すように、コネクタ端子収容ハウジング1には、複数の収容穴5が設けられている。これらの収容穴5は、所定の間隔をあけて所定の方向(横方向)にならんで配置されている。
【0041】
付勢部形成部29と付勢部7とは、たとえば、お互いが隣接している各収容穴5の間に存在している所定の厚さの仕切り壁35にところに設けられている。付勢部7の厚さW1,W2は、仕切り壁35の厚さL3と等しいかもしくは僅かに薄くなっている。なお、付勢部7の厚さが基端9から先端に向かうにしたがって(
図2や
図3の上から下に向かうにしたがって)次第に薄くなっていてもよい。この場合、基端9での付勢部7の厚さは、仕切り壁35の厚さL3と等しいかもしくは僅かに薄くなっているものとする。
【0042】
複数の収容穴5が設けられていることで、1つのコネクタ端子収容ハウジング1には、複数のコネクタ端子3が、横方向に並べられて同時に設置されるようになっている。これらの設置された各コネクタ端子3は、お互いが係合し合って(お互いが接触して)導通している。さらには、横方向に並んでコネクタ端子収容ハウジング1に設置された各コネクタ端子3は、お互いに隣接しているもの同士が接触して導通している。
【0043】
さらに説明すると、1つのコネクタ端子収容ハウジング1に複数のコネクタ端子3を横方向に並べて同時に設置したときに、お互いが隣接しているコネクタ端子3において、一方のコネクタ端子3のオス接点部13が他方のコネクタ端子3のメス接点部15に係合し、お互いが隣接しているコネクタ端子3同士が導通するようになっている。
【0044】
つまり、一方のコネクタ端子3のオス接点部13が、他方のコネクタ端子3のメス接点部15の当接部21とバネ部とでバネ部による付勢力をもって挟まれることで、一方のコネクタ端子3のオス接点部13が他方のコネクタ端子3のメス接点部15に確実に係合するようになっている。
【0045】
なお、1つのコネクタ端子収容ハウジング1に複数のコネクタ端子3を横方向に並べて同時に設置したときに、横方向の一端に存在している1つのコネクタ端子3のオス接点部13は、隣にコネクタ端子3が存在していないので、メス接点部15に係合していない。
【0046】
1つのコネクタ端子収容ハウジング1に複数のコネクタ端子3を横方向に並べて同時に設置したときに、横方向の他端に存在している1つのコネクタ端子3のメス接点部15部は、隣にコネクタ端子3が存在していないので、オス接点部13に係合していない。
【0047】
また、1つのコネクタ端子収容ハウジング1に複数のコネクタ端子3を横方向に並べて同時に設置すると、コネクタ端子3のオス接点部13は、仕切り壁35に設けられている貫通孔(図示せず)を通り、隣の収容穴5に設置されたコネクタ端子3のメス接点部15に係合するようになっている。
【0048】
コネクタ端子収容ハウジング1によれば、付勢部7の厚さW1,W2が、ほぼ一定になっているので、付勢部7における材料の無駄がほぼ無くなっている。
【0049】
また、付勢部7の厚さW1,W2が、ほぼ一定になっているので、片持ち梁として、収容穴5に収容されたコネクタ端子3を付勢するときに発生する応力が、付勢部7の基端側に集中的に発生することを回避することができる。
【0050】
また、コネクタ端子収容ハウジング1によれば、付勢部7の厚さW1,W2が仕切り壁35の厚さL3と等しいかもしくは僅かに薄い一定の厚さになっているので、収容穴5のピッチ(
図2の横方向におけるピッチ)を小さくすることができ、コネクタ端子収容ハウジング1を小型化することができる。
【0051】
すなわち、従来のように(
図5参照)付勢部205が五角形状に形成されているとすると、壁部207の寸法L5を大きくする必要がある。つまり、壁部207の寸法L5を大きくし、付勢部205が二点鎖線で示しように弾性変形したときに、付勢部205の背面部(収容穴203に収容されているコネクタ端子に接触している側とは反対側の部位)が、
図5の左側の収容穴203A内に突出することを防止する必要がある。
【0052】
これに対して、コネクタ端子収容ハウジング1では、付勢部7の厚さW1,W2が仕切り壁35の厚さL3と等しいかもしくは僅かに薄い一定の厚さになっているので、仕切り壁35の厚さL3を薄くしても(収容穴5のピッチを小さくしても)、
図3で示すように、付勢部7の背面部が、
図3の左側の収容穴5A内に突出することを防止することができる。そして、背面部とコネクタ端子3との干渉を防止することができ、コネクタ端子収容ハウジング1を小型化することができる。
【0053】
また、コネクタ端子収容ハウジング1によれば、各収容穴5のそれぞれに収容されたコネクタ端子3のガタツキ(コネクタ端子収容ハウジング1に対するガタツキ)が無くなるので、各コネクタ端子3の接点同士の信頼性が高くなる。