(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5878834
(24)【登録日】2016年2月5日
(45)【発行日】2016年3月8日
(54)【発明の名称】巻込防止シート及び該巻込防止シートを貼着した刈払機用チップソー
(51)【国際特許分類】
A01D 34/73 20060101AFI20160223BHJP
【FI】
A01D34/73 Z
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2012-138438(P2012-138438)
(22)【出願日】2012年6月20日
(65)【公開番号】特開2014-50(P2014-50A)
(43)【公開日】2014年1月9日
【審査請求日】2015年2月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】505302513
【氏名又は名称】株式会社ハートフル・ジャパン
(72)【発明者】
【氏名】藤原 健二
【審査官】
中澤 真吾
(56)【参考文献】
【文献】
特開平07−276305(JP,A)
【文献】
特開2004−337047(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3103051(JP,U)
【文献】
特開2012−055230(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 34/73
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略円盤状の基板の外周部に複数の刈刃が形成された刈払機用チップソーに装着される巻き込み防止シートであって、
該巻込防止シートは、合成樹脂製でドーナツ状に形成されており、前記基板の刈刃と中心穴を除く円周部に貼着される巻込防止シートの貼着面には接着剤が付着され、該接着剤の上から再剥離紙が貼付されていることを特徴とする巻込防止シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雑草類を刈払うときに草や蔓等の巻付きを防止する巻付き防止シート及び該巻込防止シートを貼着した刈払機用チップソーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、作業者が携行して地面の雑草類を刈り取るために刈払機が使用されている。この刈払機は、エンジン又はモータの動力源からの回転を長尺筒状の操作杆に軸通された回転軸を介してチップソーに伝え、作業者が前記操作杆を左右方向に振り動かしてチップソーで地面の雑草類を刈取るものである。
【0003】
刈払機を用いた刈払作業は手軽で効率的であるが、その反面、騒音、操作性及び雑草等の巻付きなど、様々な問題が生じている。刈払作業で生じる騒音は、エンジン音、回転するチップソーの摩擦音及び切断抵抗音があり、特に騒音レベルが高いのは、チップソーが小石等の硬質異物に衝突するときの金属打撃音である。
【0004】
刈払作業における操作性では、チップソー自体が金属製で重いため、作業者が前記操作杆を左右方向に振り動かして持続的に刈払作業を行なうことは、相当な体力を必要とするものである。また、雑草がチップソー及び操作杆先端部の回転軸へ巻付くことで、チップソーの回転停止や動力源への過負荷が生じ、刈払作業の一時停止を余儀なくされていた。
【0005】
これらの問題を解決するために様々な工夫がなされている。例えば、チップソーの軽量化と騒音低減を目的として合成樹脂製刈刃が開示されている(特許文献1参照。)。また、軽量化が図れ、且つ、耐久性が得られる丸鋸チップソーが開示されている(特許文献2参照。)。さらに、回転軸及びチップソーに草や蔓が巻込むことを抑制する巻付き防止部材が開示されている(特許文献3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公平6−12号公報
【特許文献2】特開平7−276305号公報
【特許文献3】特開2005−118003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の合成樹脂製刈刃は、刈刃全体と刃部とを均一の厚さの合成樹脂製とし、板材を所定の形状にて打ち抜き形成すると共に、各刃部の形状を刈刃の表面部または裏面部に対し直角状に形成し、一側面より研磨して尖状にしないことを特徴としている。したがって、この合成樹脂製刈刃は軽量化は図れるものの、耐久性及び切れ味において劣るという問題点があった。
【0008】
特許文献2の丸鋸チップソーは、鋼板によって形成された円盤状の台金と、この台金の外周部に形成された刃部にロウ付け固定されたチップとを具備する丸鋸チップソーであり、台金の刃部より内側部分に開口部を設け、この開口部に射出成形や高周波の誘導加熱を利用して樹脂を埋め込んだものである。ところが、前記円盤状の台金は薄厚であるため、樹脂を台金と同じ厚さで開口部に充填しても、刈払作業中の振動や石等との衝突により脱落する。そのため、前記台金よりも数倍の肉厚で開口部を包み込むように充填しなければ強度を維持することがでない。そのため、前記丸鋸チップソーの円周表面は交互に形成された凹凸により騒音が増加し、製造工程も複雑なものとなっていた。
【0009】
特許文献3に記載の巻付き防止部材は、丸鋸と上部丸鋸挟持部材との間に挟持するものである。この巻付防止部材には、巻付き防止刃及び立ち刃が巻付防止部材の基板部から外向きに張出して形成されており、基板部の外周縁上に交互に配置されている。また、巻付防止刃は、基板部の外周縁に形成された平面視台形形状の突片の基端部を斜め上方へ折り曲げると共に、該突片の中間部を斜め下方へ折り曲げることにより形成されている。しかしながら、この巻付防止部材を使用しても、丸鋸表面に設けられた貫通穴や巻付防止部材と丸鋸表面で形成される三角状部に草等が詰まるという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明はこれら課題を解決するために成されたものであり、本発明の請求項1にかかる巻込防止シートは、略円盤状の基板の外周部に超硬チップの切刃が全周にわたって設けられた刈払機用チップソーに貼着される巻込防止シートである。該巻込防止シートは、合成樹脂シートを用いてドーナツ状に形成されており、前記基板の刈刃と中心穴を除く円周部に貼着されることを特徴としている。
【0011】
殆どの刈払機用チップソーは、
図3に示すように、軽量化を図るために前記基板の刈刃と中心穴を除く円周部に形状又は口径の異なる多数の貫通穴が設けられている。しかしながら、刈払作業中に刈取られた雑草がこの貫通穴に進入して貫通穴が閉塞するため、刈払作業に支障をきたしていた。
【0012】
刈払機用チップソーに本発明の請求項1にかかる巻込防止シートを貼着することにより、前記貫通穴が前記巻込防止シートで塞がれる。これにより、刈取られた雑草は、前記巻込防止シートの表面を滑走してチップソー表面から遠心力で振り落とされるので、雑草によるチップソー及び回転軸への巻付きを防止することができる。また、前記巻込防止シートは合成樹脂製であるため、軽量化が維持されると共に、石等にチップソー本体が衝突しても、金属音の発生が抑えられるので騒音を低減することができる。
【0013】
本発明の請求項
1にかかる巻込防止シートは、前記巻込防止シートの貼着面に接着剤が設けられていることを特徴としている。この巻込防止シートは、既存のチップソーに作業者等が貼着することをも想定しているため、貼着面に接着剤が設けられている。より具体的には、この接着剤の上に再剥離紙が貼付されており、作業者等がこの再剥離紙を剥がして、チップソー円周面の所定場所に貼着するように形成されている。このような構成とすれば、作業者等は簡単且つ正確に巻込防止シートをチップソーに貼着することができる。
【0014】
本発明の請求項
1にかかる巻込防止シートは、前記巻込防止シートが、前記基板の刈刃と回転軸を挿入するための中心穴を除く円周部に貼着されていることを特徴としている。この構成とすれば、作業者等は、巻付防止シートが貼着されたチップソーを使用すれば、雑草等のチップソーへの巻付や貫通穴の閉塞を防止することができ、効率的な刈取作業をすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の巻込防止シートを用いることにより、刈取られた雑草は、前記巻込防止シートの表面を滑走してチップソー表面から遠心力で振り落とされるので、雑草のチップソー及び回転軸への巻付きを防止することができる。また、前記巻込防止シートは合成樹脂製であるため、軽量化が維持されると共に、石等にチップソー本体が衝接しても、金属音の発生が抑制されて騒音を低減することができる。また、前記巻込防止シートの貼着面には、接着剤の上に再剥離紙が貼着されており、作業者等がこの再剥離紙を剥がして、チップソーの所定場所に貼着するように形成されているので、作業者等は簡単且つ正確に巻込防止シートをチップソーの所定場所に貼着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態の一例を示す巻込防止部材の平面図である。
【
図2】本発明の実施形態の一例を示す巻込防止部材の底面図である。
【
図3】本発明の巻込防止部材をチップソーに貼着した状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の巻込防止シートについて、図面に基づいて詳細に説明する。
図1において、巻込防止シート1はチップソー10を形成する基板の刈刃11と中心穴12を除く円周部に貼着されるものであり、合成樹脂シートでドーナツ状に形成されている。通常、刈払機用チップソーは外径230mmと255mmの2種類があるため、これに適合するように巻込防止シート1の外径及び内径が設定されている。巻込防止シート1の板厚は0.2mmから2.0mmを用いることができるが、望ましくは0.7mmから1.0mmである。板厚が0.2mm以下であると耐衝撃性が弱くなり、2.0mm以上としても耐衝撃性は変わらず、逆に全体重量が増加することになる。
【0018】
合成樹脂シートは、殆どの熱可塑性合成樹脂および熱硬化性合成樹脂脂を使用することができるが、透明性、耐衝撃性、耐熱性及び難燃性に優れたものが望ましく、特にエンジニアリングプラスチックを用いることが望ましい。例えば、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、変性ポフェニレンエーテル、ポリプチレンテレフタレート、ポリエチレンサルファイド、ポリアリレート、ポリアラドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン等が使用できる。なお、チップソー10の円周面に設けられた軽量化のための貫通穴13は装飾性も有しているので、巻込防止シート1に使用する合成樹脂シートは透明性を有することが望ましい。
【0019】
図2に示すように、巻込防止シート1の接着面は接着剤2が設けられており、その上から再剥離紙が貼付されている。再剥離紙3は、チップソーの所定位置に容易且つ正確に貼付できるようにするため、複数片に分割されていることが望ましく、例えば、
図2に示すように、a片、b片、c片に3分割されている。なお、再剥離紙は一体形又は4分割以上とすることも当然可能である。チップソーの円周面に巻込防止シートを貼付する手順は、以下の通りである。
【0020】
巻込防止シート1の接着面全体をチップソー11の所定位置に当接させて、c片の任意位置を接着面の反対面から指等で保持したまま、a片を持上げてa片の再剥離紙3を剥がし、a片の接着面をチップソー10の所定位置に貼着する。次に、b片をa片と同様にチップソー10の所定面に貼着する。次に、c片から指等を離して、c片を持上げてc片の再剥離紙3を剥がし、チップソー10の所定位置に貼付すると、前記巻込防止シート1を簡単且つ正確にチップソー10の所定位置に貼着することができる。
【0021】
図3は、本発明の巻込防止シート1をチップソー10に貼着した状態を示す平面図である。この巻込防止シート1は、市販されている殆どの刈払機用チップソーに貼着することができる。巻込防止シート1のチップソー10への貼付は、巻込防止シート1又はチップソー10に接着剤を塗布して貼着するか、
図2に示す巻込防止シート1をチップソー10に貼着することができる。このように、本発明の巻込防止シート1を貼着したチップソー10を提供することにより、作業者等は効率的な刈払作業を行なうことが可能となる。
【0022】
図4は
図3のB−B断面図であるが、理解を容易とするため厚さを拡大表示している。
図4において、巻込防止シート1はチップソー10の刈刃11と中心穴12を除く円周部に貼着するものであれば、その外径及び内径は任意に定めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明の巻込防止シートは、殆どの既存チップソーに貼着可能であるため、様々な場所で刈払作業を行なうときに用いるチップソーに貼付して使用することが可能である。
【符号の説明】
【0024】
1 巻込防止シート
2 接着剤
3 再剥離紙
10 チップソー
11 貫通穴
12 刈刃
13 中心穴