特許第5878836号(P5878836)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5878836
(24)【登録日】2016年2月5日
(45)【発行日】2016年3月8日
(54)【発明の名称】車両内装部材
(51)【国際特許分類】
   B60R 7/04 20060101AFI20160223BHJP
【FI】
   B60R7/04 C
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-150830(P2012-150830)
(22)【出願日】2012年7月4日
(65)【公開番号】特開2014-12472(P2014-12472A)
(43)【公開日】2014年1月23日
【審査請求日】2015年4月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100076048
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜幾
(74)【代理人】
【識別番号】100141645
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 健司
(72)【発明者】
【氏名】西川 雅樹
(72)【発明者】
【氏名】前田 一康
【審査官】 加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−029369(JP,A)
【文献】 特開2008−080828(JP,A)
【文献】 特開2009−067105(JP,A)
【文献】 特開2010−248716(JP,A)
【文献】 特開2005−161982(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 7/04
E05F 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と、この支持体に配設されたスライドレールと、前記支持体側に開口する凹溝部に収めた前記スライドレールに支持されて、該凹溝部が支持体に重なった第1位置および該凹溝部が支持体の一縁から外方に突き出た第2位置の間で直線的に往復移動する移動体とを有する車両内装部材において、
前記移動体の第2位置側への移動に伴って巻いた状態から伸びる板片によって前記支持体の外方に臨む前記凹溝部を覆うと共に、該移動体を第1位置側へ付勢する保護手段を備えた
ことを特徴とする車両内装部材。
【請求項2】
前記保護手段は、前記板片を巻き取る巻き取り部および該巻き取り部から引き出された該板片における前記移動体への取付部が、前記スライドレールと直列に並べて配置された請求項1記載の車両内装部材。
【請求項3】
前記保護手段として、定荷重ばねが用いられた請求項1または2記載の車両内装部材。
【請求項4】
特定の位置で前記移動体の移動を規制するように負荷をかけて該移動体を停止させる規制手段を備え、
前記規制手段による前記移動体の規制力よりも前記保護手段の付勢力が小さく設定された請求項1〜3の何れか一項に記載の車両内装部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、スライドレールを介して移動体が往復移動可能に支持された車両内装部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車には、乗員室における前部座席間(運転席と助手席との間)のフロアに、身の回りの物品を出入れ可能に収納し得るコンソールボックスを設置したものがある。コンソールボックスは、内部に物品の収納部を画成したボックス本体と、このボックス本体に対して支持機構で支持され、ボックス本体の上面に開口した収納部の開口部を開閉可能な蓋部材とを備えている。コンソールボックスは、フロントシートの側方に位置しているので、蓋部材をクッション性を有するように構成して、該蓋部材の上面部分をアームレストとして使用する形態がある。ここで車両では、フロントシートが車両の前後方向へ位置調整し得るように設置されているため、フロントシートの移動方向に沿って蓋部材をスライド移動可能とするのが望ましい。そこで、蓋部材を、ボックス本体に支持されたベースと、このベースの上側にスライドレールを介してスライド可能に設けられて、該蓋部材の上面をなすカバーとから構成し、カバーを前後位置を調節可能にしたコンソールボックスが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示の蓋部材は、カバーの前端部を使用者がつかんで操作することで、カバーの前後位置を使用者の好みに合わせて調節している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−70132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した蓋部材では、上下の厚みを抑えるためにカバーの左右方向中央部に下方に開口した凹溝部を設け、この凹溝部にスライドレールを収容している。このため、カバーを前側にスライドした際に、ベースの前縁から前側に張り出したカバーの下面に凹溝部が露出してしまう。そして、蓋部材では、カバーの前端部をつかんで操作する際に凹溝部に指がかかることがあり、この状態でカバーを後方へスライドすると、凹部にかかった指をベースとカバーとで挟むおそれがある。また、凹溝部の前後寸法を短くして、カバーを前側にスライドした際に凹溝部が露出しないように構成することも考えられるが、凹溝部を短くするとカバーの前後の移動範囲が小さくなってしまい、カバーの位置調節機能が損なわれる。
【0005】
すなわち本発明は、従来の技術に内在する前記問題に鑑み、これらを好適に解決するべく提案されたものであって、使い勝手がよく、移動体の移動範囲が広い車両内装部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本願の請求項1に係る発明の車両内装部材は、
支持体と、この支持体に配設されたスライドレールと、前記支持体側に開口する凹溝部に収めた前記スライドレールに支持されて、該凹溝部が支持体に重なった第1位置および該凹溝部が支持体の一縁から外方に突き出た第2位置の間で直線的に往復移動する移動体とを有する車両内装部材において、
前記移動体の第2位置側への移動に伴って巻いた状態から伸びる板片によって前記支持体の外方に臨む前記凹溝部を覆うと共に、該移動体を第1位置側へ付勢する保護手段を備えたことを要旨とする。
請求項1に係る発明によれば、移動体の移動に伴い支持体の外方に臨む凹溝部を保護手段の板片で覆うことができるので、板片により移動体をつかんだ際に凹溝部に指が入らないようにすることができる。また、凹溝部に指が入らないので、凹溝部を長くすることが可能になり、凹溝部により移動体と支持体との干渉を回避して、移動体の移動範囲を広くすることができる。
【0007】
請求項2に係る発明では、前記保護手段は、前記板片を巻き取る巻き取り部および該巻き取り部から引き出された該板片における前記移動体への取付部が、前記スライドレールと直列に並べて配置されたことを要旨とする。
請求項2に係る発明によれば、保護手段をスライドレールと直列に配置することで、移動体をバランスよく移動させることができる。
【0008】
請求項3に係る発明では、 前記保護手段として、定荷重ばねが用いられたことを要旨とする。
請求項3に係る発明によれば、保護手段として定荷重ばねを用いることで、移動体の移動に伴う板片の引き出しまたは巻き取りによって付勢力が変化せず、移動体の操作感を一定に保つことができる。
【0009】
請求項4に係る発明では、特定の位置で前記移動体の移動を規制するように負荷をかけて該移動体を停止させる規制手段を備え、
前記規制手段による前記移動体の規制力よりも前記保護手段の付勢力が小さく設定されたことを要旨とする。
請求項4に係る発明によれば、保護手段の付勢力がかかっても規制手段によって特定の位置で移動体を保持することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る車両内装部材によれば、移動体の広い移動範囲を確保しつつ使い勝手を向上し得る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の好適な実施例に係るリッドを備えたコンソールボックスを示す概略斜視図である。
図2】実施例のリッドを分解して斜め上側から見た状態を示す概略斜視図である。
図3】実施例のリッドを分解して斜め下側から見た状態を示す概略斜視図である。
図4図1のA−A線に対応する位置で破断した切断部端面図であり、(a)は移動体が第1位置にある状態を示し、(b)は移動体が第2位置にある状態を示す。
図5図1のB−B線に対応する位置で破断した切断部端面図である。
図6図1のC−C線に対応する位置で破断した切断部端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明に係る車両内装部材につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照して以下に説明する。 実施例では、コンソールボックスのリッドとして、本発明に係る車両内装部材を適用する例を説明する。また、実施例のコンソールボックスにおいて前後とは、車両に設置した際の車両の前後方向を基準として指称し、左右とは、車両の前進方向を基準とする左右方向を指称する。なお、図1では、図中左下側が車両の前側で、図中右上側が車両の後側である。
【実施例】
【0013】
図1に示すように、実施例に係るコンソールボックス10は、車両における乗員室の運転席と助手席との間のフロアに設置され、眼鏡等の身の回りの物品を収納し得る収納部12aが内部画成されたボックス本体12と、収納部12aの上部に配設されたリッド20とを備えている。コンソールボックス10では、リッド20の後部がヒンジ機構14により左右方向の軸周りに回転可能に支持され、略水平に倒伏して収納部12aの上部を塞いだ姿勢(図1参照)と収納部12aの後縁に起立して収納部12aを開放した姿勢との間で、リッド20を姿勢変位し得るようになっている。なお、図2および図3の符号16は、ヒンジ機構14に後部が左右方向の軸周りに回転可能に支持された内トレイであり、内トレイ16は、リッド20を開放した状態で収納部12aに収納した状態から持ち上げて収納部12aから退避させることができる。
【0014】
図2および図3に示すように、リッド20は、ヒンジ機構14に後部が回転可能に支持された支持体22と、この支持体22の上側に配設されたスライドレール32と、このスライドレール32に支持されて、支持体22の上側に配設された移動体42とを備えている。リッド20は、スライドレール32によって移動体42が支持体22に対して前後方向に往復動可能に支持され、上部がアームレストとして構成された移動体42の前後位置を調節し得るよう構成される。なお、図2の符号30は、支持体22の後部に取り付けられ、ヒンジ機構14を覆う後部カバーである。ここで、移動体42は、支持体22および後部カバー30の上方に重なる第1位置(図4(a)および図6の実線参照)と、この第1位置から前方へ変位した第2位置(図4(b)および図6の二点鎖線参照)との間で直線的なスライド移動が許容され、基本的にリッド20の閉成姿勢において移動体42が移動される。また、リッド20は、移動体42が第1位置にある状態で基本的に開閉される。
【0015】
図2および図5に示すように、支持体22は、左右方向の略中央部に形成されて、前後方向に延びる突状部24と、この突状部24を挟む左右に形成され、該突状部24よりも低く形成された一対の内壁部26,26とを有している。また、支持体22の前端部には、リッド20が開放しないように保持するロック機構18が設けられている。スライドレール32は、突状部24の上面に取り付けられる第1レール34と、ボール36を回転自在に保持するボールリテーナ38を介して第1レール34の上方に摺動自在に配設された第2レール40とから構成され、第2レール40に移動体42が取り付けられる(図5参照)。スライドレール32は、ボールリテーナ38に第2レール40が固定され、ボールリテーナ38と共に第2レール40が第1レール34に対して前後方向にスライド移動するようになっている。
【0016】
図2および図3に示すように、移動体42は、スライドレール32に支持される移動体ベース44と、この移動体ベース44の側面を覆い、該移動体42の側面を構成する側面カバー52と、この側面カバー52の上部を塞ぐように配設され、該移動体42の上面を構成する上面カバー54とを有している。移動体ベース44は、支持体22の上方を覆う天面部分44aの左右両側縁から下方に延出する一対の側面部分44b,44bを有し、全体として下方に開口する角樋状に形成されている。また、移動体ベース44には、天面部分44aの左右方向中央部を凹ませて下方に開口する凹溝部46が設けられ、この凹溝部46が移動体42の移動方向である前後方向に延在している。そして、移動体ベース44は、凹溝部46に支持体22の突状部24を収容した状態で、突状部24の上面に配設されたスライドレール32に凹溝部46の天井面が支持され、この際、該移動体ベース44の側面部分44bが内壁部26の外側方に配置される(図5参照)。なお、上面カバー54は、高級感やクッション性等の所要の機能を発現する人工皮革や樹脂成形品等からなる表皮材55で乗員室側が被覆されている。
【0017】
図4(a)に示すように、スライドレール32は、第1レール34が支持体22の前側に偏った位置に配置され、第1位置において、ボールリテーナ38が第1レール34の後側にずれると共に第2レール40が第1レール34の後縁よりも後方へ延出して後部カバー30の上方に延在している。この際、第2レール40の前側に余分に形成された凹溝部46によって、支持体22の突状部24に対する移動体42の干渉が回避されるので、第1位置において移動体42を後部カバー30の上方に位置するよう、後側に配置することが可能となる。また、スライドレール32は、第2位置において、ボールリテーナ38が第1レール34の前側にずれると共に、第2レール40が第1レール34の前縁よりも前方へ延出して、これにより移動体42が支持体22の前縁よりも前方へ張り出すようになっている(図4(b)参照)。この際、第2位置において、移動体42の下面にある凹溝部46の前端部(一端部)が支持体22の前縁(一縁)よりも外側に出るが、第1レール34が移動体42の後部に覆われて外方に露出しないようになっている。
【0018】
前記リッド20は、第1位置および第2位置の夫々において移動体42を移動規制する規制手段28,58を有している(図6参照)。規制手段は、支持体22における内壁部26の内面に、移動体42の移動方向に離間して凹設された複数(実施例は2箇所)の係合凹部28と、移動体ベース44に下方へ延出するよう設けられた係合保持部50に保持され、対応の内壁部26の内面に向けて弾力的に進退する係合部58とから構成される。規制手段は、係合部58と係合凹部28との噛み合いによって、移動体42に対して移動を規制するように負荷をかけ、この負荷を越えて移動方向に力が加わると、係合部58が係合凹部28から抜け出して移動体42の移動が許容されるようになっている。
【0019】
図4に示すように、リッド20は、第1位置から第2位置側にずらした移動体42において支持体22の外側に臨む凹溝部46を塞ぐ保護手段60を備えている。保護手段60は、支持体22において突状部24の前側に配設された巻き取り部62と、この巻き取り部62から引き出されて、凹溝部46の前端部を越えて移動体42の前端部(一端部)に先端が取り付けられた板片64とから構成される。また、保護手段60は、移動体42を第1位置側へ付勢するよう構成される。ここで、保護手段60としては、移動体42の移動に伴い板片64の引き出し長さが変化しても、該移動体42に略一定の付勢力を付与し得る定荷重ばねが用いられている。保護手段60は、可撓性を有する金属簿板からなる板片64が、巻き取り部62で左右方向に延在する軸周りに巻かれており、移動体42が第1位置側に向かうにつれて自身の付勢力により板片64が巻き取り部62に巻き取られて縮むようになっている(図4(a)参照)。また、保護手段60は、移動体42の第2位置側への移動に伴って巻き取り部62から板片64が引き出されて、巻いた状態にある板片64が移動体42における凹溝部46の下側に直線的に伸びるようになっている(図4(b)参照)。ここで、リッド20では、スライドレール32と保護手段60とが、移動体42の移動方向に直列に並ぶように配置される。すなわち、板片64を巻き取る巻き取り部62と、この巻き取り部62から引き出された板片64における移動体42への取付部とが、移動体42の移動方向に沿って直線的に延在する凹溝部46に合わせて直線的に並べて配置される。板片64の先端は、左右方向両側に延出する引っ掛け片65を有する略「T」字状に形成され、この引っ掛け片65を、移動体ベース44の前端部上面に上方へ突出形成された引っ掛け爪45に引っ掛けることで移動体42に接続される。なお、板片64の表面には、ゴムまたは合成樹脂がコーティングしてある。
【0020】
前記保護手段60は、規制手段28,58による移動体42の規制力よりも付勢力が小さくなるよう設定されている。すなわち、移動体42には、第1位置側へ向けて保護手段60の付勢力が常に加わっているが、規制手段の係合凹部28と係合部58とが噛み合っている第1位置および第2位置において、保護手段60の付勢力に抗して移動体が停止される。
【0021】
前記移動体42は、第1位置において、支持体22および後部カバー30の上方に位置しており、このとき後側の係合凹部28に係合部58が嵌まり、前方への移動が規制されている。また、保護手段60は、板片64が巻き取り部62に巻き取られて縮んだ状態にある。移動体42を第1位置から前方に移動すると、支持体22の前縁から移動体42が前方に張り出すと共に凹溝部46の前端部が支持体22の前縁よりも前側に出る。この際、保護手段60の板片64が移動体42の移動につれて巻き取り部62から引き出され、これにより支持体22の前縁から凹溝部46の前縁に亘って板片64によって該凹溝部46の下面が覆われる。そして、移動体42が第2位置に至ると、スライドレール32の図示しないストッパにより移動体42の前方への移動が係止されると共に係合部58が前側の係合凹部28に嵌り、これにより移動体42の前後方向への移動が規制される。移動体42の第2位置において、支持体22の前縁から前側に出た凹溝部46の下面は、板片64によって塞がれている。ここで、保護手段60による移動体42の付勢力は、規制手段28,58による移動体42の規制力よりも弱く設定されているので、保護手段60の付勢によって第2位置から第1位置へ向けて移動体42が戻ることを回避でき、移動体42を第2位置で適切に保持できる。
【0022】
前記移動体42は、第2位置から第1位置に戻すと、板片64が巻き取り部62に巻き取られて縮み、この板片64の巻き取りにかかる付勢力によって、移動体42の第1位置側への移動が補助される。そして、移動体42が第1位置に至ると、スライドレール32の図示しないストッパにより移動体42の後方への移動が係止されると共に係合部58が後側の係合凹部28に嵌り、これにより移動体42の前後方向への移動が規制される。
【0023】
前記リッド20は、移動体42の前端部に把持部分が設けられ、移動体42を移動する際に使用者は移動体42の前端部をつかんで操作を行うようになっている。前述したように、移動体42を第2位置側に移動すると、凹溝部46が支持体22の前縁から前方に出るが、板片64によって支持体22から外方に臨む凹溝部46を覆っているので、使用者が移動体42の前端部をつかんでも、板片64に阻まれて凹溝部46に指が入らない。従って、凹溝部46に指が入ることで、移動体42の移動に際して支持体22と移動体42との間に指を挟むような事態を回避することができ、リッド20の使い勝手を向上させることができる。このように、支持体22の外方に臨む移動体42の凹溝部46を板片64で覆うことができるので、凹溝部46を移動体42の前端部近傍まで広くとることができ、長く設定した凹溝部46によって移動体42の移動に伴う支持体22との干渉を適切に回避でき、移動体42の移動範囲を大きく確保することができる。また、保護手段60は、スライドレール32と直列に並べて配置されているので、保護手段60の付勢力がかかる方向と、スライドレール32による移動体の移動方向とが揃い、保護手段60の付勢力が移動体42にバランスよく加わる。
すなわち、保護手段60を設けることによる移動体42のガタツキはなく、移動体42をスムーズに移動させることができる。しかも、保護手段60として定荷重ばねを用いることで、移動体42の移動に伴う板片64の引き出しまたは巻き取りによって付勢力が変化せず、移動体42の操作感を一定に保つことができる。更に、板ばねである板片64は、ある程度硬いので、使用者が触れた程度で凹溝部46に入り込むように撓むことはなく、板片64により凹溝部46に指が入ることを好適に防止できる。
【0024】
(変更例)
前述した実施例の構成に限定されず、以下のように変更することができる。
(1)実施例では、車両内装部材としてリッドを例に挙げたが、アームレストやその他であってもよい。
(2)実施例の保護手段は、支持体の前縁部(一縁部)に設けられた巻き取り部から引き出された板片の先端を、凹溝部の前端部(一端部)を越えて移動体の前端部(一端部)に取り付けるよう構成したが、保護手段は、巻き取り部を移動体の前端部(一端部)に設け、この巻き取り部から引き出した板片の先端を、支持体の前縁部(一縁部)に取り付ける構成であってもよい。
(3)規制手段は、2箇所でなく、1箇所または3箇所以上で移動規制する構成であってもよい。また、規制手段を省略してもよい。
【符号の説明】
【0025】
22 支持体,28 係合凹部(規制手段),32 スライドレール,42 移動体,
46 凹溝部,58 係合部(規制手段),60 保護手段,62 巻き取り部,
64 板片
図1
図2
図3
図4
図5
図6