【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成23年度、独立行政法人科学技術振興機構 戦略的創造研究推進事業チームにおける研究領域「ディペンダブルVLSIシステムの基盤技術」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記単位抵抗はトランジスタで形成され、前記第1抵抗に含まれる前記各トランジスタのゲート電極は、前記行方向に延在し、前記列方向に等間隔で配置される、請求項10記載の半導体装置。
マルチポートメモリセルが第1行数配置された基本メモリセルアレイを、列方向に所定アレイ数配置したメモリセルアレイ有するメモリマクロを備える半導体装置であって、
前記メモリマクロは、前記メモリセルアレイの前記マルチポートメモリセルと接続された第1ポートのビット線、および第2ポートのビット線と、書込み時に前記第1ポートのビット線に印加する第1負バイアス電圧を生成する第1ポート負バイアス電圧生成回路と、書込み時に前記第2ポートのビット線に印加する第2負バイアス電圧を生成する第2ポート負バイアス電圧生成回路と、第1ポート負バイアス基準電圧生成部と、第2ポート負バイアス基準電圧生成部と、を有し、
前記第1ポート負バイアス基準電圧生成部は、前記アレイ数の単位抵抗からなる第1抵抗と、第2抵抗との抵抗比に基づき、第1ポート負バイアス基準電圧を生成して第1ポート負バイアス基準配線に出力し、前記第2ポート負バイアス基準電圧生成部は、前記アレイ数の前記単位抵抗からなる第3抵抗と、第4抵抗との抵抗比に基づき、第2ポート負バイアス基準電圧を生成して第2ポート負バイアス基準配線に出力し、
前記第1ポート負バイアス電圧生成回路は、一端が前記第1ポート負バイアス基準配線と電気的に接続され、他端が前記第1ポートのビット線と電気的に接続された第1ポート容量素子を有し、
前記第2ポート負バイアス電圧生成回路は、一端が前記第2ポート負バイアス基準配線と電気的に接続され、他端が前記第2ポートのビット線と電気的に接続された第2ポート容量素子を有し
前記第1ポート容量素子の蓄積電荷量は、前記第1ポート負バイアス基準電圧に基づき決定され、前記第2ポート容量素子の蓄積電荷量は、前記第2ポート負バイアス基準電圧に基づき決定される、半導体装置。
前記第1ポートの前記単位抵抗、および前記第2ポートの前記単位抵抗は、前記基本メモリセルアレイに隣接して、前記列方向に前記アレイ数配置される、請求項12記載の半導体装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について説明する。実施の形態の説明において、個数、量などに言及する場合、特に記載ある場合を除き、必ずしもその個数、量などに限定されない。実施の形態の図面において、同一の参照符号や参照番号は、同一部分または相当部分を表わすものとする。また、実施の形態の説明において、同一の参照符号等を付した部分等に対しては、重複する説明は繰り返さない場合がある。
【0013】
<実施の形態1>
図1を参照して、実施の形態1に係る半導体装置LSIの構成を説明する。
【0014】
半導体装置LSIは、中央処理装置CPU1、中央処理装置CPU2、特定機能回路ブロックAPPU、BBU、MEMU、およびI/OユニットIOUを備える。各中央処理装置、および特定機能回路ブロックは、図中に斜線を施した矩形状の1つ若しくは複数のメモリマクロを有する。例えば、特定機能回路ブロックMEMUはメモリマクロMM0を、特定機能回路ブロックBBUはメモリマクロMM1を有する。各メモリマクロのメモリセルには、ネガティブビット線方式によるデータ書込みが行われる。
【0015】
図2を参照して、メモリコンパイラによるメモリマクロの生成方法を説明する。
メモリコンパイラRCPLは、中央処理装置や特定機能回路ブロックで必要とされるメモリマクロの要求構成に基づき、要素パーツ格納部21からメモリマクロを構成する各種回路ブロックを選択し、要求構成を備えたメモリマクロを生成する。例えば、
図1の特定機能回路ブロックMEMUのメモリマクロMM0、および特定機能回路ブロックBBUのメモリマクロMM1の生成方法は、以下の通りである。
【0016】
構成Aは、ワード長1024ビット、IO幅32ビットであるメモリマクロMM0の要求構成を示す。構成Bは、ワード長256ビット、IO幅17ビットであるメモリマクロMM1の要求構成を示す。要素パーツ格納部21は、メモリマクロを生成するのに必要なメモリセルMC、ワード線ドライバWDRV,IO回路IO、および制御部CTLの各回路ブロックを格納する。
【0017】
メモリコンパイラRCPLは、構成A、および構成Bの各要求構成に基づき、要素パーツ格納部21に格納されている各回路ブロックを必要な数だけ組み合わせて、メモリマクロMM0、およびメモリマクロMM1を生成する。従って、メモリマクロMM0、およびメモリマクロMM1において、IO回路IO等の各回路ブロック数は要求構成により異なるが、同じ機能を有する各回路ブロックの構成は同一となる。なお、メモリコンパイラで、要求構成のワード長とIO幅に従ってメモリマクロを生成する場合、列方向(ビット線方向)に配置されるメモリセルMCは、所定の値に設定されるm行を基本単位として、要求ワード長を満たすように、基本単位mの整数倍(1、2、3、・・・)が列方向(ビット線方向)に配置される。
【0018】
構成AのメモリマクロMM0において、IO回路IOは行方向に32個配置され、32ビットのIO幅を有する。各ワード線ドライバWDRVで選択されるメモリセルMCは列方向に512行配置され、各IO回路IOが有する2列のメモリセルMCを含め、ワード長は1024ビットとなる。構成BのメモリマクロMM
1において、IO回路IOは行方向に17個配置され、17ビットのIO幅を有する。各ワード線ドライバWDRVで選択されるメモリセルMCは、列方向に128行配置され、各IO回路IOが有する2列のメモリセルMCを含め、ワード長は256ビットとなる。メモリマクロMM0、およびメモリマクロMM1において、列方向に配置されるメモリセルMCの行数は、各々の要求ワード長を満たすように、基本単位mを必要な整数倍した値に設定される。
【0019】
図3を参照して、実施の形態1に係る半導体装置LSIが備えるメモリマクロの構成を説明する。
【0020】
図3に示すメモリマクロは、メモリコンパイラが生成する基本単位mの行数で複数のメモリセルを配置した構成である。メモリセルアレイARY[0]〜メモリセルアレイARY[N―1]の各メモリセルアレイ(以下、メモリセルアレイARY、と記載する場合がある。)は、各々、m行n列に配置されたメモリセル(図示せず)で構成され、IO幅のNビット分配置される。IO回路IO[0]〜IO回路IO[N−1]の各IO回路(以下、IO回路IO、と記載する場合がある。)は、各々、メモリセルアレイARY[0]〜メモリセルアレイARY[N−1]に対するデータ書込みやデータ読出しを行う。
【0021】
メモリセルアレイARYと隣接して、IO回路IOが有する負バイアス電圧生成回路WASTが配置される。メモリセルアレイARY[0]と隣接して、ワード線選択回路WDが配置される。ワード線選択回路WDは、図示しないアドレス信号に基づき、メモリセルアレイARYが有するm行のワード線から1つのワード線を選択する。IO回路IO[0]と隣接して、制御回路CTRLが配置される。制御回路CTRLは、IO回路やワード線選択回路WD等を制御して、メモリセルアレイARYに対する読出し動作や書込み動作等を制御する。
【0022】
メモリセルアレイARY[0]、およびIO回路IO[0]と、ワード線選択回路WD、および制御回路CTRLとの間には、負バイアス基準電圧生成部VBADJが配置される。負バイアス基準電圧生成部VBADJは、電源電圧VSS(以下、0Vとする。)と電源電圧VDD間の電圧を直列接続したレプリカ抵抗RPR、および基準抵抗RREFで分割し、その値を負バイアス基準電圧RPLVとして、負バイアス電圧生成回路WASTへ出力する。
【0023】
図4を参照して、実施の形態1に係る半導体装置LSIが備えるメモリマクロの回路図を説明する。
【0024】
メモリマクロは、メモリセルアレイMARY、ワード線選択回路WD、IO回路IO[0]〜IO[N−1]、アドレス制御回路ADRCTL、読出し/書込み制御回路RWCTL、および遅延回路TDGを備える。
【0025】
メモリセルアレイMARYは、0〜N−1のIO幅に対応したメモリセルアレイARY[0]〜メモリセルアレイARY[N−1]で構成され、各メモリセルアレイARYは、ワード線WL方向にn個、ビット線BL/ZBL方向にm個、アレイ状に配置された複数のメモリセルMCを有する。即ち、各メモリセルARYは、ワード線WL方向にn個配置された1行のメモリセルを、ビット線方向に基本単位であるm行配置した複数のメモリセルMCを有する。以降、ワード線WL0、WL1等を総称してワード線WLと記載し、ビット線BL0/ZBL0等を総称してビット線BL/ZBLと記載する場合がある。
【0026】
ワード線選択回路WDは、ワード線WL0〜ワード線WLm−1を各々選択するm個のワード線ドライバWDRVと、m個のワード線ドライバWDRVの1つを選択するデコーダ回路(図示せず)を有する。アドレス制御回路ADRCTLは、制御信号TDECに同期して、入力されたアドレス信号A0〜Aiに基づき信号X0〜信号Xj−1、および信号Y0〜信号Yk−1を生成する。ワード線選択回路WDは、信号X0〜信号Xj−1に基づき、1つのワード線ドライバWDRVを選択する。降圧レギュレータVGENは、電源電圧VDDを所定の値に降圧した電源電圧LCVDDを、ワード線選択回路WDへ供給する。
【0027】
IO回路IO[0]は、NビットのIO幅のうち、0ビットのIO回路であり、カラム選択回路YSW、ライトドライバWTD、センスアンプ31、負バイアス電圧生成回路WAST、およびI/Oバッファ30を有する。カラム選択回路YSWは、アドレス制御回路ADRCTLが出力する信号Y0〜Yk−1に基づき、ビット線対BL0/ZBL0〜ビット線対BLn―1/ZBLn−1のいずれか1つを選択する。カラム選択回路YSWで選択されたビット線対BL/ZBLは、ライトドライバWTDの出力、およびセンスアンプ31の入力と接続される。ライトドライバWTD、およびセンスアンプ31は、各々、制御信号WEN、および制御信号SEで、いずれか一方が活性化される。
【0028】
制御信号WTEDに応答して、負バイアス電圧生成回路WASTは、ライトドライバWTD、およびカラム選択回路YSWを介して、負バイアス電圧をビット線対BL/ZBLのいずれか一方に印加する。I/Oバッファ30は入出力バッファであり、I/O端子I/O[0]に印加された書込みデータDIをライトドライバWTDへ出力する入力バッファと、センスアンプ31の出力DOをI/O端子I/O[0]から出力する出力バッファとして機能する。他のIO回路IO[N―1]等の構成も、IO回路IO[0]と同様である。
【0029】
読出し/書込み制御回路RWCTLは、制御信号WEN、クロックCLK、および制御信号CENに基づき、制御信号TDEC、制御信号WTE、および制御信号SEを出力する。遅延回路TDGは、入力された制御信号WTEを所定時間遅延させた制御信号WTEDを出力する。
【0030】
図5を参照して、実施の形態1に係る半導体装置LSIが備えるメモリセルMCの構成を説明する。
【0031】
メモリセルMCは、ソースに電源電圧VDDが印加され、ドレイン、およびゲートが、記憶ノードNd_L、および記憶ノードNd_Rと各々接続されたp型トランジスタPU_Lと、ソースに電源電圧VSSが印加され、ドレイン、およびゲートが、記憶ノードNd_L、および記憶ノードNd_Rと各々接続されたn型トランジスタPD_Lとを有する。さらに、メモリセルMCは、ソースに電源電圧VDDが印加され、ドレイン、およびゲートが、記憶ノードNd_R、および記憶ノードNd_Lと各々接続されたp型トランジスタPU_Rと、ソースに電源電圧VSSが印加され、ドレイン、およびゲートが、記憶ノードNd_R、および記憶ノードNd_Lに各々接続されたn型トランジスタPD_Rとを有する。さらに、メモリセルMCは、記憶ノードNd_Lにソース/ドレインのいずれか一方が接続され、ビット線BLにソース/ドレインのいずれか他方が接続され、ワード線WLがゲートに接続されたn型トランジスタPG_Lと、記憶ノードNd_Rにソース/ドレインのいずれか一方が接続され、ビット線ZBLにソース/ドレインのいずれか他方が接続され、ワード線WLにゲートが接続されたn型トランジスタPG_Rとを、有する。
【0032】
図6を参照して、実施の形態1に係る半導体装置LSIが備えるライトドライバWTDの回路図を説明する。
【0033】
ライトドライバWTDは、ライトドライバ前段部WTD1、およびライトドライバ後段部WTD2を備える。ライドドライバ前段部WTD1は、制御信号WENが一方の入力信号として印加されるNOR回路41、およびNOR回路42を有する。NOR回路41には、他方の入力信号として書込みデータDIが印加され、NOR回路42には、他方の入力信号として書込みデータDIの論理レベルをインバータINV1で反転させた信号が印加される。即ち、制御信号WENがロウレベルに設定されている場合、NOR回路41、およびNOR回路42は、各々、書込みデータDIと逆相の論理レベル、および同相の論理レベルにある信号を出力する。制御信号WENがハイレベルに設定されている場合、NOR回路41、およびNOR回路42は、いずれも、ロウレベルにある信号を出力する。
【0034】
ライトドライバ後段部WTD2は、NOR回路41の出力がゲートに印加されるn型トランジスタMN1、およびNOR回路42の出力がゲートに印加されるn型トランジスタMN2を有する。n型トランジスタMN1、およびn型トランジスタMN2のソースは、ともに、ソースに電源電圧VSSが印加されたn型トランジスタMN0のドレインと接続される。n型トランジスタMN1、およびn型トランジスタMN2のドレインは、ともに、カラム選択回路YSWと接続される。n型トランジスタMN1のゲートと接続される入力端子/DIN[0]には、書込みデータDIの論理レベルを反転させた信号が印加され、n型トランジスタMN2のゲートと接続される入力端子DIN[0]には、書込みデータDIと同じ論理レベルの信号が印加される。n型トランジスタMN0のゲートには、制御信号WTEDの論理レベルをインバータINV0で反転させた信号が印加される。n型トランジスタMN0のドレインは、さらに、負バイアス電圧生成回路WASTへ出力される。
【0035】
図7を参照して、実施の形態1に係る半導体装置LSIが備える負バイアス電圧生成回路WAST、および負バイアス基準電圧生成部VBADJの回路図を説明する。
【0036】
負バイアス電圧生成回路WASTは、p型トランジスタMP1、p型トランジスタMP2、n型トランジスタMN3、および容量素子Cnblを有する。p型トランジスタMP1のソースには電源電圧VDDが印加され、そのドレインは電荷量調整ノードVNBLと接続され、そのゲートには制御信号WTEDが印加される。p型トランジスタMP2のソースは電荷量調整ノードVNBLと接続され、そのドレインには電源電圧VSSが印加され、そのゲートには負バイアス基準電圧生成部VBADJが出力する負バイアス基準電圧RPLV(以下、符号RPLVを、負バイアス基準配線、とも記載する場合がある。)が印加される。n型トランジスタMN3のドレインは電荷量調整ノードVNBLと接続され、そのソースには電源電圧VSSが印加され、そのゲートには制御信号WTEDが印加される。容量素子Cnblの一端は電荷量調整ノードVNBLと接続され、その他端はライトドライバ後段部WTD2が有するn型トランジスタMN0のドレインと接続される。
【0037】
容量素子Cnblは、種々の構造で実現することが可能である。半導体装置LSIがDRAM(Dynamic Random Access Memory)混載プロセスで製造される場合、DRAMのセル容量を形成する工程で容量素子Cnblを形成することが可能である。また、MIM(Metal−Insulator−Metal)構造や、さらには、Fin−FET構造のMOS容量で形成することも考えられる。
【0038】
ライトドライバ後段部WTD2の構成は、
図6に示した通りである。カラム選択回路YSWで選択された1対のビット線対BL/ZBL(例えば、ビット線対BL0/ZBL0)のうち、ビット線BL0はn型トランジスタMN1のドレインと、ビット線ZBL0はn型トランジスタMN2のドレインと、各々接続される。ワード線WL0、およびビット線対BL0/ZBL0で選択されるメモリセルMCにデータを書込む場合、ワード線WL0をハイレベルに、制御信号WEN(
図6参照)をロウレベル(電源電圧VSS)に、制御信号WTEDをロウレベルに、各々設定し、書込みデータDIと論理レベルが反転した信号を入力端子/DIN[0]に、書込みデータDIと論理レベルが同じ信号を入力端子DIN[0]に印加する。
【0039】
書込みデータDIの論理レベルにより、n型トランジスタMN1、およびn型トランジスタMN2のいずれか一方(例えば、n型トランジスタMN2)が導通状態となり、n型トランジスタMN2と接続されているビット線ZBL0の電圧は電源電圧VDDから電源電圧VSSまで低下する。このビット線ZBL0の電圧が電源電圧VSSまで低下すると、メモリセルMCのp型トランジスタPU_L、およびn型トランジスタPD_Lで構成されるインバータの出力はハイレベル(電源電圧VDD)に、p型トランジスタPU_R、およびn型トランジスタPD_Rで構成されるインバータの出力はロウレベル(電源電圧VSS)に、各々遷移を開始する。
【0040】
このメモリセルMCの書込み動作マージンを確保するための負バイアス基準電圧生成部VBADJ、および負バイアス電圧生成回路WASTの構成を以下に説明する。
【0041】
負バイアス基準電圧生成部VBADJは、レプリカ抵抗RPR、および基準抵抗RREFを有する。レプリカ抵抗RPRは、ソースに電源電圧VDDが印加され、ドレインが負バイアス基準配線RPLVと接続されるp型トランジスタMPR1〜p型トランジスタMPRLの計L個を並列接続したp型トランジスタで構成される。各p型トランジスタMPR1〜MPRLのゲートには、制御信号RPLVENが印加される。基準抵抗RREFは、ドレインが負バイアス基準配線RPLVと接続され、ソースに電源電圧VSSが印加され、ゲートに制御信号RPLVEが印加されたn型トランジスタMNREFで構成される。
【0042】
制御信号RPLVENによりp型トランジスタMPR1〜MPRLが導通状態にあり、制御信号RPLVEによりn型トランジスタMNREFが導通状態にある場合、負バイアス基準電圧RPLVは、電源電圧VSSと電源電圧VDD間の電圧を、並列接続されたp型トランジスタMPR1〜MPRLのオン抵抗値とn型トランジスタMNREFのオン抵抗値で分割した式1に示す値に設定される。
RPLV=VDD*Rref/(Rref+Rpr) … 式1
ここで、VDDは電源電圧VDDの値、RPLVは負バイアス基準電圧値、Rrefは基準抵抗RREFのオン抵抗値、Rprはレプリカ抵抗RPRのオン抵抗値、符号”/”は除算、および符号”*”は乗算、を意味する。
【0043】
レプリカ抵抗RPR、および基準抵抗RREFがともに非導通状態にある場合、負バイアス基準配線RPLVの電圧は、制御信号RPLVEで導通状態に制御されたp型トランジスタMP3により、電源電圧VDDまで引き上げられる。
【0044】
負バイアス電圧生成回路WASTにおいて、制御信号WTEDをロウレベルに設定して、p型トランジスタMP1を導通状態に、n型トランジスタMN3を非導通状態とすると、電荷量調整ノードVNBLの電圧は、p型トランジスタMP1のオン抵抗値とp型トランジスタMP2のオン抵抗値により決定される。負バイアス基準電圧RPLVを上昇させると電荷量調整ノードVNBLの電圧は上昇し、負バイアス基準電圧RPLVを下降させると電荷量調整ノードVNBLの電圧は下降する。制御信号WTEDがロウレベルに設定されている期間、容量素子Cnblの一端には、この電荷量調整ノードVNBLの電圧が印加され、容量素子Cnblの他端には、ライトドライバ後段部WTD2のn型トランジスタMN0が出力する電源電圧VSSが印加される。従って、容量素子Cnblに蓄積される電荷量は、レプリカ抵抗RPRと基準抵抗RREFの抵抗比により決定される。
【0045】
図8を参照して、実施の形態1に係る半導体装置LSIが備える負バイアス電圧生成回路WAST、および負バイアス基準電圧生成部VBADJの動作を説明する。
【0046】
図8は、各信号の変化を模式的に示すタイミング図である。符号”VDD”は電源電圧VDDを意味し、符号”VSS”は電源電圧VSSを意味する。各信号の横軸は、時刻と記載されている共通の時間軸を有する。以下、
図7の各回路の動作を
図8を参照して説明する。
【0047】
時刻t1から時刻t2のクロックCLKの1サイクルは読出しサイクルである。制御信号WENはハイレベルに設定され、ライトドライバWTDによる書込み動作は行われない(
図6参照)。制御信号WTEはロウレベルに設定され、負バイアス基準配線RPLVの電圧は、p型トランジスタMP3により電源電圧VDDまで引き上げられる。制御信号WTEDもロウレベルに設定され、電荷量調整ノードVNBLは、p型トランジスタMP1により電源電圧VDDまで引き上げられる。時刻t1から所定時間経過後、選択されたメモリセルMCの保持データに基づき、ビット線BL/ZBLのいずれか一方の電圧は、電源電圧VDDから所定の電圧値まで低下し、その後ビット線対BL/ZBLは電源電圧VDDにプリチャージされる。
【0048】
時刻t2の前に、制御信号WENはハイレベルからロウレベルに設定され、ライトドライバWTDは活性化される。
【0049】
時刻t2にクロックCLKがロウレベルからハイレベルに変化し、時刻t7までのクロックCLKの1サイクルは書込みサイクルである。
【0050】
時刻t3に制御信号WTEがロウレベルからハイレベルに変化すると、負バイアス基準電圧生成部VBADJは活性化され、負バイアス基準配線RPLVの電圧は電源電圧VDDから電圧Vrpに設定される。この電圧Vrpは、レプリカ抵抗RPRと基準抵抗RREFとの比で決定される。負バイアス基準電圧RPLVの電圧変化に伴い、電荷量調整ノードVNBLの電圧は電源電圧VDDから電圧Vnbまで低下し、電源電圧VSSと電荷量調整ノードVNBL間の電圧はバイアス電圧ΔVnblとなる。一方、ビット線対BL0/ZBL0のうち、ビット線/ZBLの電圧は、時刻t3以降、ライトドライバ後段部WTD2のn型トランジスタMN2により電源電圧VSSまで急速に低下する。
【0051】
時刻t4に制御信号WTEDがロウレベルからハイレベルに変化すると、ライトドライバ後段部WTD2のn型トランジスタMN0は非導通状態となり、負バイアス電圧生成回路WASTのn型トランジスタMN3は導通状態となる。その結果、n型トランジスタMN3のドレインと接続されている容量素子Cnblの一端の電圧は、電圧Vnbから電源電圧VSSまで、即ち、バイアス電圧ΔVnblだけ下降する。その結果、時刻t4以前にライトドライバ後段部WTD2のn型トランジスタMN0により電源電圧VSSが印加されていた容量素子Cnblの他端の電圧は、時刻t4以降、電源電圧VSSに対してバイアス電圧ΔVnblだけ下降する。
【0052】
この容量素子Cnblの1端(電荷量調整ノードVNBL)で発生したバイアス電圧ΔVnblは、ライトドライバ後段部WTD2の導通状態にあるn型トランジスタMN2により、電源電圧VSSまで低下しているビット線ZBL0を、さらに、負バイアス電圧ΔVBLだけ低下させる。この結果、ビット線ZBL0の電圧は、電源電圧VSS(0V)から負電圧方向に負バイアス電圧ΔVBL分低下する。この負バイアス電圧ΔVBLの値は、ビット線BL/ZBLの寄生容量の増加とともに減少し、バイアス電圧ΔVnblの増加、即ち、容量素子Cnblにおける蓄積電荷量の増加とともに増大する。負バイアス電圧ΔVBLとバイアス電圧ΔVnblとは以下の式2の関係にある。なお、ライトドライバ後段部WTD2のn型トランジスタMN1は非導通状態にあるため、ビット線BL0には負バイアス電圧ΔVBLは印加されず、ビット線BL0は電源電圧VDDを維持する。
ΔVBL=Cnbl/(Cnbl+Cbl)*ΔVnbl … 式2
ここで、Cblは、ビット線BL、およびビット線ZBLの各負荷容量である。
【0053】
図3に示す基本単位mの行数で構成されるメモリセルアレイARYにおけるビット線BL、またはビット線ZB
Lに印加する負バイアス電圧ΔVBLを所望の値に設定するには、ビット線BL/ZBLの負荷容量Cblに供給する電荷量を容量素子Cnblに蓄積する必要がある。式2は、そのために容量素子Cnblに印加すべきバイアス電圧ΔVnblの値を示す。このバイアス電圧ΔVnblは、式1に示す通り、負バイアス基準電圧生成部VBADJが備える基準抵抗RREFのオン抵抗、およびレプリカ抵抗RPRのオン抵抗により決定される。
【0054】
時刻t5に制御信号WTEがハイレベルからロウレベルに変化すると、所定時間経過後の時刻t6に制御信号WTEDはハイレベルからロウレベルに変化する。この変化に伴い、負バイアス基準配線RPLV、電荷量調整ノードVNBL,およびビット線ZBLの電圧は、電源電圧VDDまで引き上げられる。
【0055】
ビット線ZBL0の電圧が、電源電圧VSSから負電圧方向へ、さらに負バイアス電圧ΔVBL下降すると、
図5に示すメモリセルMCにおいて、n型トランジスタPG_Rのソース(ビット線ZBL0と接続されている)−ゲート(ワード線WLと接続されている)間の電圧はさらに増加し、n型トランジスタPG_Rの駆動能力が増加する。この結果、記憶ノードNd_Rの電圧は、n型トランジスタPG_Rの駆動能力増加により急速に降下し、メモリセルMCの書込みが完了する。
【0056】
図9を参照して、実施の形態1に係る半導体装置LSIが備える負バイアス基準電圧生成部VBADJの配置を説明する。
【0057】
図3に示す通り、負バイアス基準電圧生成部VBADJが有する基準抵抗RREFはIO回路IO[0]と隣接して、レプリカ抵抗RPRはメモリセルアレイARY[0]に隣接して配置される。
図9は、基準抵抗RREFを構成するn型トランジスタMNREFと、レプリカ抵抗RPRを構成するp型トランジスタMPR0〜MPR4の配置例を示す。
【0058】
基準抵抗RREFを構成するn型トランジスタMNREFは、回路図では1つのn型トランジスタで表現されるが、レイアウト上は、複数のn型トランジスタを並列接続した構成とすることが望ましい。一例として、
図9に示す通り、n型トランジスタMNREFは、4個のn型トランジスタを、電源電圧VSSを供給する電源配線と負バイアス基準配線RPLV間に並列接続し、各n型トランジスタのゲートに制御信号RPLVEを印加した構成を有する。ローカルばらつきの影響を抑え、所望のオン抵抗を有するn型トランジスタMNREFを実現するため、そのゲート長は、テクノロジ・ノードで規定されるゲート長より長いゲート長を有するn型トランジスタを並列接続した構成とすることが好ましく、例えば、メモリセルを構成するトランジスタのゲート長よりも長く設定することが好ましい。
【0059】
レプリカ抵抗RPRを構成するp型トランジスタMPR1〜MPRLは、一例として、m行のメモリセルアレイARYに対して、2個のp型トランジスタMPR1、およびMPR2を、電源電圧VDDを供給する電源配線と、負バイアス基準配線RPLVとの間に並列接続し、各p型トランジスタのゲートに制御信号RPLVENを印加した構成を有する。p型トランジスタMPR1、およびMPR2は、ローカルばらつきの影響を抑えるため、テクノロジ・ノードで規定されるゲート長より長いゲート長を有するp型トランジスタとすることが好ましい。
【0060】
レプリカ抵抗RPRが有するp型トランジスタMPR0、およびp型トランジスタMPR4はダミートランジスタであり、負バイアス基準電圧RPLVの生成には直接関与しない。両ダミートランジスタのソース、およびドレインには、ともに電源電圧VDDが印加され、ゲートはフローティング状態にある。このp型トランジスタMPR0、およびMPR4は、行方向に延在し、列方向に規則的に配置されるp型トランジスタMPR1、およびMPR2のゲート電極の形状が、エッジ効果により変化することを防止するために配置される。エッジ効果の悪影響を考慮する必要が無い場合は、ダミートランジスタの配置を省略しても良い。
【0061】
負バイアス電圧生成回路WASTにおけるp型トランジスタMP1、およびp型トランジスタMP2(
図7参照)のゲート長も、ローカルばらつきの影響を抑えるため、テクノロジ・ノードで規定されるゲート長より長いゲート長を有するp型トランジスタとすることが好ましい。
【0062】
図10を参照して、実施の形態1に係る半導体装置LSIが備える他のメモリマクロの構成を説明する。
【0063】
図10に示すメモリマクロは、
図3に示す基本単位mの行数を有するメモリセルアレイを、ビット線方向にp個(pは2以上の整数)繰り返して配置したメモリセルアレイARY[0]〜ARY[N−1]を有する。メモリセルアレイARY[0]に隣接して、レプリカ抵抗RPRが基本単位mの行数を有するp個のメモリセルアレイ毎に配置され、IO回路IO[0]に隣接して基準抵抗RREFが1つ配置される。p個のレプリカ抵抗RPRの一端には電源電圧VDDが印加され、その他端は負バイアス基準配線RPLVと共通に接続される。基準抵抗RREFの一端には電源電圧VSSが印加され、その他端は負バイアス基準配線RPLVと接続される。電源電圧VSSと電源電圧VDD間の電圧は、並列接続されたp個のレプリカ抵抗RPRと1つの基準抵抗RREFとの抵抗比で分割され、負バイアス基準電圧RPLVとして負バイアス電圧生成回路WASTへ出力される。即ち、
図10に示すメモリマクロの場合、単位抵抗となるレプリカ抵抗RPRをp個並列接続した合成抵抗が、負バイアス基準電圧生成部VBADJのレプリカ抵抗として機能する。
【0064】
上述の通り、メモリコンパイラで要求構成のワード長とIO幅に従ってメモリマクロを生成する場合、列方向に配置されるメモリセルMCは、所定の値に設定されるm行を基本単位として、要求ワード長を満たすように、基本単位mの整数倍が配置される。従って、
図10に示すメモリマクロの各ビット線の寄生容量は、ビット線に接続されるメモリセル数の増加やビット線長の増加に伴い、
図3に示すメモリマクロの各ビット線の寄生容量に対してp倍程度増加する。
【0065】
異なる要求構成に基づいて生成された各メモリマクロにおいて、各メモリマクロが備えるメモリセルMCや、ワード線ドライバWDRV、IO回路IO、および制御部CTL等の回路は、要求仕様に応じてその数は変化するが、回路構成は同一である。従って、負バイアス電圧生成回路WASTが有する容量素子Cnblや、負バイアス基準電圧生成部VBADJが有するレプリカ抵抗RPR、および基準抵抗RREFも、
図3に示すメモリマクロが備えるものと同一構成となる。
【0066】
図3に示すメモリマクロにおいて、上述の通り、負バイアス基準電圧RPLVは以下の式1で求められ、ビット線対BL/ZBLのいずれか一方を、電源電圧VSSから負電圧方向へ引き下げる負バイアス電圧ΔVBLは以下の式2で求められた。
RPLV=VDD*Rref/(Rref+Rpr) … 式1
ΔVBL=Cnbl/(Cnbl+Cbl)*ΔVnbl … 式2
図10に示すメモリマクロにおいて、p個のレプリカ抵抗RPRは並列接続となるように配置される。その結果、式1におけるレプリカ抵抗RPRのオン抵抗値Rprは
図3の場合と比較して1/pに減少し、負バイアス基準電圧RPLVの値は増加する。負バイアス基準電圧RPLVの増加に伴い、電荷量調整ノードVNBLの電圧が上昇し(
図7)、バイアス電圧ΔVnbl、即ち、容量素子Cnblの蓄積電荷量が増加する(
図8)。バイアス電圧ΔVnblの増加は、式2におけるビット線の負荷容量Cblのp倍程度の増加による負バイアス電圧ΔVBLの減少を打ち消す。その結果、
図10に示すメモリマクロにおけるビット線に印加される負バイアス電圧ΔVBLは、式2で算出される
図3のメモリマクロにおける負バイアス電圧ΔVBLとほぼ同じ値が維持される。
【0067】
実施の形態1に係る半導体装置LSIが備える負バイアス電圧生成回路WAST、および負バイアス基準電圧生成部VBADJによれば、基本単位mの行数で構成されるメモリセルアレイで所望の負バイアス電圧ΔVBLが生成されるように負バイアス電圧生成回路WAST,および負バイアス基準電圧生成部VBADJを設定することで、その基本単位mの行数で構成されるメモリセルアレイをビット線方向に複数配置したメモリセルアレイにおいても、所望の負バイアス電圧ΔVBLを生成することが可能となる。
【0068】
基本単位mの行数で構成されるメモリセルアレイをビット線方向に複数配置することにより、負バイアス基準電圧生成部VBADJが有するレプリカ抵抗RPRは並列接続され、負バイアス電圧生成回路WASTの電荷量調整ノードVNBLの電圧は、所望の負バイアス電圧ΔVBLを維持するように制御される。この結果、半導体装置LSIに、メモリコンパイラで生成した要求構成の異なる複数のメモリマクロを搭載しても、各メモリマクロのビット線に印加される負電圧の値は、各メモリマクロにおいて同一値に維持される。
【0069】
図11を参照して、実施の形態1に係る半導体装置LSIが備える他のメモリマクロにおける負バイアス基準電圧生成部VBADJの配置を説明する。
【0070】
図11は、
図10に示すメモリマクロが有するp個のレプリカ抵抗RPR(単位抵抗)、および1つの基準抵抗RREFの配置例を示す。
図9に示す配置例とは、基本単位mの行数で構成されるp個のメモリセルアレイ毎にレプリカ抵抗RPRが配置されている点で異なる。p個の各レプリカ抵抗RPRは、2個のp型トランジスタMPR1とMPR2とを、電源電圧VDDを供給する電源配線、および負バイアス基準配線RPLV間に並列接続し、各p型トランジスタのゲートに制御信号RPLVENを印加した構成を有する。レプリカ抵抗RPRが有するp型トランジスタMPR0、およびp型トランジスタMPR4はダミートランジスタであり、エッジ効果の悪影響を考慮する必要が無い場合は省略しても良い。。
【0071】
p個の各レプリカ抵抗RPRは同一の形状を有し、基本単位mの行数で構成されるメモリセルアレイをビット線方向に配置することで、各レプリカ抵抗RPRは並列接続となる位置に配置される。基準抵抗RREFは、4個のn型トランジスタを、電源電圧VSSを供給する電源配線と、負バイアス基準配線RPLVとの間に並列接続し、各n型トランジスタのゲートに制御信号RPLVEが印加されたn型トランジスタNMREFで構成される。
【0072】
図12を参照して、実施の形態1に係る半導体装置LSIが備える他のメモリマクロにおける、レプリカ抵抗RPRのレイアウト図を説明する。
【0073】
図12は、
図11に示すレプリカ抵抗RPRのレイアウト図である。レプリカ抵抗RPRは、p型トランジスタMPR1、p型トランジスタMPR2、p型トランジスタMPR0、およびp型トランジスタMPR4で構成される。
図12は、一例として、2個の基本単位mの行数で構成されるメモリセルアレイARYと、2個のレプリカ抵抗RPRを示す。2個のレプリカ抵抗RPRのうち、一方のレプリカ抵抗RPRを構成する各p型トランジスタは、素子形成領域80に形成される。p型トランジスタMPR1のゲート電極1Gは、行方向に延在して素子形成領域80を跨るように配置される。ゲート電極1Gを挟んで対向する位置に、ソースコンタクト1S、およびドレインコンタクト1Dが形成され、各々、電源電圧VDDを供給する電源配線、および負バイアス基準配線RPLVと接続される。ゲート電極1Gには、制御信号RPLVENが印加される。
【0074】
p型トランジスタMPR2のゲート電極2Gは、行方向に延在して素子形成領域80を跨るように配置される。ゲート電極2Gを挟んで対向する位置に、ソースコンタクト2S、およびドレインコンタクト2Dが形成される。ソースコンタクト2Sは、電源電圧VDDを供給する電源配線と接続される。ドレインコンタクト2Dはドレインコンタクト1Dと兼用され、負バイアス基準配線RPLVと接続される。ゲート電極2Gには、制御信号RPLVENが印加される。
【0075】
ダミートランジスタであるp型トランジスタMPR0、およびp型トランジスタMPR4のゲート電極は、p型トランジスタMPR1、およびMPR2と同様に配置される。ゲート電極MPR0を挟んで、ソースコンタクト2Sと対向する位置に設けられたコンタクトには電源電圧VDDが印加される。ゲート電極MPR4を挟んで、ソースコンタクト1Sと対向する位置に設けられたコンタクトには電源電圧VDDが印加される。
【0076】
2個のレプリカ抵抗RPRのうち、他方のレプリカ抵抗RPRのレイアウト図も、上記に記載した一方のレプリカ抵抗RPRのレイアウト図と同一であり、説明は省略する。各レプリカ抵抗を形成する2つの素子形成領域80の間には、ダミーゲート電極DGが配置される。このダミーゲート電極DGは、隣接して配置される各ダミートランジスタのゲート電極MPR4、およびゲート電極MPR0間に配置され、2個の素子形成領域80の各々に形成されるゲート電極1G、ゲート電極MPR4、ダミーゲート電極DG、ゲート電極MPR0をも含め、同一のピッチとなる位置に配置される。
【0077】
レプリカ抵抗RPRが有するトランジスタのゲート電極、およびダミーゲート電極DGは、行方向に延在し、列方向に同一ピッチで形成される。即ち、基本単位mの行数で構成されるメモリセルアレイARYとともにレプリカ抵抗RPRを行方向に配置しても、レプリカ抵抗RPRのパタン配置連続性は維持され、各レプリカ抵抗RPRの値は、一定値が維持される。その結果、各レプリカ抵抗RPRを並列接続した値と、基準抵抗RREFの値で決定される負バイアス基準電圧RPLVの精度が確保される。
【0078】
図13、
図14、および
図15を参照して、実施の形態1に係る半導体装置LSIの効果を説明する。
【0079】
図13は、実施の形態1に係る半導体装置LSIが備える、メモリコンパイラで生成した構成AのメモリマクロMMAと、構成BのメモリマクロMMBと、を示す。メモリマクロMMAは、基本単位であるm行のメモリセルを有し、IO幅はN2ビット、メモリマクロMMBは、基本単位m行のp倍のメモリセルを有し、IO幅はN1ビットである。
【0080】
図14は、
図13に示すメモリマクロMMA、およびメモリマクロMMBにおける負バイアス電圧生成回路WASTの構成と動作を説明する図である。
【0081】
図14(a)は、
図7に対応した負バイアス電圧生成回路WAST、およびライトドライバ後段部WTD2の回路図と、メモリセルMCを示す。なお、
図14(a)では、カラム選択回路YSWを省略し、ライトドライバ後段部WTD2は、1対のビット線BL/ZBLの電圧を制御する構成としている。構成AのメモリマクロMMAにおいて、1対のビット線BL/ZBLに接続されるメモリセルMCはm行(m個)であり、構成BのメモリマクロMMBにおいて、1対のビット線BL/ZBLに接続されるメモリセルMCはm行のp倍(pは2以上の整数)である。ビット線BL、およびビット線ZBLは、いずれも負荷容量Cblを有する。メモリマクロMMBにおける負荷容量Cblは、メモリマクロMMAにおける負荷容量Cblのp倍となる。
【0082】
一方、ライトドライバ後段部WTD2、および負バイアス電圧生成回路WASTの回路構成は、メモリマクロMMA、およびメモリマクロMMBにおいて、同一の回路構成を有する。従って、負バイアス電圧生成回路WASTの容量素子Cnblの容量値は、ビット線BL/ZBLの負荷容量Cblの値によらず、同一の値に設定される。
【0083】
図14(b)は、メモリマクロMMA、およびメモリマクロMMBにおける、負バイアス電圧生成回路WASTの動作を説明するタイミング図である。
【0084】
時刻t0以前に、メモリマクロMMAにおいて、負バイアス基準電圧RPLVは、電源電圧VDDから電圧Vrpに設定され、電荷量調整ノードVNBLは、電源電圧VDDから電圧Vnbに設定される(
図8参照)。一方、メモリマクロMMBにおいて、負バイアス基準電圧RPLVは、電源電圧VDDに維持される。これは、メモリマクロMMBにおいて、負バイアス基準電圧生成部VBADJが有するp個のレプリカ抵抗RPRが並列接続されるため(
図7参照)、負バイアス基準電圧RPLVが電源電圧VDD近くまで上昇するからである。
【0085】
時刻t0に制御信号WTEDがロウレベルからハイレベルに変化すると、メモリマクロMMAにおいて、電荷量調整ノードVNBLは電圧Vnbからバイアス電圧ΔVnbl降下し、電源電圧VSSに達する。一方、メモリマクロMMBにおいて、電荷量調整ノードVNBLは、電源電圧VDDから電源電圧VSSまで降下する(ΔVnbl=VDD)。容量素子Cnblの1端におけるこの電荷量調整ノードVNBLの電圧降下は、容量素子Cnblの他端における電圧降下として現れる。容量素子Cnblの他端は電源電圧VSSに設定されているため、ライトドライバ後段部WTD2で導通しているn型トランジスタMN2と接続されるビット線ZBLは、電源電圧VSSから負電圧方向へ、負バイアス電圧ΔVBLだけ低下する。
【0086】
バイアス電圧ΔVnblと、負バイアス電圧ΔVBLとは、以下の式2の関係を有していた。
ΔVBL=Cnbl/(Cnbl+Cbl)*ΔVnbl … 式2
容量素子Cnblの蓄積電荷量は、基本単位であるm行のメモリセルを有するメモリマクロMMAで所望の負バイアス電圧ΔVBLが得られるように設定されている。メモリマクロMMBにおけるビット線の負荷容量Cblは、メモリマクロMMAにおける負荷容量Cblのp倍であるが、式2におけるバイアス電圧ΔVnblは電源電圧VDDと等しくなる。このバイアス電圧ΔVnblの増加(容量素子Cnblの蓄積電荷量の増加)により、メモリマクロMMBにおけるビット線も、メモリマクロMMAにおけるビット線と同じ負バイアス電圧ΔVBLが得られる(
図14(b)のBL/ZBLの変化を示すグラフ参照)。
【0087】
一方、
図14(b)のビット線BL/ZBLの変化を示すグラフにおいて、破線は、構成が異なる各メモリマクロにおいて、電荷量調整ノードVNBLの電圧をメモリセルの行数に応じて調整せず、一定値を維持した場合を示す。その場合、メモリマクロMMA、およびメモリマクロMMBにおける電荷量調整ノードVNBLの電圧は、ともに電源電圧VDDから電源電圧VSSまで引き下げられる。その結果、ビット線BL/ZBLの負荷容量が小さいメモリマクロMMAでは、負バイアス電圧ΔVBLは最適値よりも増大し、ビット線BL/ZBLは過剰な負電圧に引き下げられる。また、ビット線BL/ZBLの負荷容量が大きいメモリマクロMMBでは、負バイアス電圧ΔVBLが最適値よりも減少し、ビット線BL/ZBLの負電圧引下げ量は不足する。
【0088】
図14(a)、および
図5を参照して、負バイアス電圧ΔVBLの過不足がメモリセルMCに及ぼす影響を説明する。
図14(a)において、書込みサイクル時に、カラム選択回路YSWで選択されたビット線BL/ZBLと接続されたm個のメモリセルMC(メモリマクロMMA)、またはmのp倍のメモリセル(メモリマクロMMB)のうち、ハイレベルに設定されたワード線WL0と接続されたメモリセルMCが書込み対象であり、ロウレベルに設定されたワード線WLm−1と接続されたメモリセルMCは非書込み対象セルの1つであるとする。
【0089】
図5を参照して、負バイアス電圧ΔVBLが最適値より小さい場合の、書込み対象メモリセルMCの動作を説明する。ビット線ZBLは電源電圧VSSから負バイアス電圧ΔVBLだけ負電圧方向へ引き下げられ、ビット線BLは電源電圧VDDに維持される。n型トランジスタPG_Rのゲートにはハイレベルに設定されたワード線WLの電圧が印加され、そのソースには電源電圧VSSから負バイアス電圧ΔVBL引き下げられた電圧が印加される。負バイアス電圧ΔVBLが適切値の場合、n型トランジスタPG_Rは、そのドレインが接続されている記憶ノードNd_Rを速やかに降下させ、書込み前に記憶ノードNd_Rが保持していたハイレベルのデータをロウレベルへ反転させる。負バイアス電圧ΔVBLが適切値より小さい場合、n型トランジスタPG_Rは、その駆動能力の不足により、記憶ノードNd_Rのレベルを反転することが困難となり、データ書込み不良発生の危険性が増大する。
【0090】
一方、負バイアス電圧ΔVBLが最適値より大きい場合の、非書込み対象メモリセルMCの動作を説明する。この場合も、ビット線ZBLは電源電圧VSSから負バイアス電圧ΔVBLだけ負電圧方向へ引き下げられ、ビット線BLは電源電圧VDDに維持される。n型トランジスタPG_Rのゲートにはロウレベルに設定されたワード線WLの電圧が印加され、そのソースには電源電圧VSSから負バイアス電圧ΔVBL引き下げられた電圧が印加される。負バイアス電圧ΔVBLが最適値の場合、n型トランジスタPG_Rのソース−ドレイン間にはその閾値電圧を超える電圧が印加されることなく、非書込み対象メモリセルMCが保持するデータは保護される。負バイアス電圧ΔVBLが最適値より大きい場合、n型トランジスタPG_Rは導通状態となり、記憶ノードNd_Rの保持データを反転させる誤書き込みが発生する。
【0091】
図15を参照して、実施の形態1に係る半導体装置LSIの効果を説明する。
図15において、横軸は、ビット線BL/ZBLに接続されるメモリセルMCの数を示し、縦軸は、ビット線BL/ZBLに印加される負バイアス電圧を任意単位で示す。グラフL1は、実施の形態1に係る半導体装置LSIにおける負バイアス電圧の変化を示す。メモリセルアレイにおけるメモリセルMCの行数、即ち、ビット線BL/ZBLに接続されるメモリセルMCの個数によらず、ビット線BL/ZBLに印加される負バイアス電圧ΔVBLは、下限電圧値VL〜上限電圧値VHで示される適切な範囲内に設定される。これは、負バイアス基準電圧生成部VBADJ、および負バイアス電圧生成回路WASTにより、ビット線BL/ZBLの負荷容量に応じた蓄積電荷量が容量素子Cnblに設定されるからである。
【0092】
一方、グラフL2、およびグラフL3は、ともに、実施の形態1に係る半導体装置LSIとは異なり、ビット線の負荷容量によらず、一定の蓄積電荷量を容量素子に設定した場合の比較例である。グラフL2は、メモリコンパイラで設定されている最小行数のメモリセルが接続されたビット線に適切な負バイアス電圧を生成する容量素子の蓄積電荷を、行数を増加させたビット線にも供給する場合の例を示す。ビット線に接続されるメモリセル数が増加するに従い、ビット線に印加される負バイアス電圧が不足し(ビット線の電圧が電源電圧VSSに近づく)、その値が上限電圧値VHを超えるとデータ書込み不良発生の危険性が増大する。グラフL3は、メモリコンパイラで設定されている最大行数のメモリセルが接続されたビット線に適切な負バイアス電圧を生成する容量素子の電荷量を、行数を減少させたビット線にも供給する場合の例を示す。ビット線に接続されるメモリセル数が減少するに従い、ビット線には過剰な負バイアス電圧が印加され(電源電圧VSSから負電圧方向に過剰に下がる)、その値が下限電圧値VLより小さくなると、誤書き込みの危険性が増大する。
【0093】
実施の形態1に係る半導体装置LSIによれば、それぞれ行数が異なるメモリマクロを複数有するメモリマクロにおいて、各メモリマクロ毎に最適値に設定された負バイアス電圧ΔVBLによりネガティブビット線方式による書込みを行うことができる。
【0094】
<実施の形態2>
図16を参照して、実施の形態2に係る半導体装置LSIが備えるメモリマクロの構成を説明する。
【0095】
図16は、デュアルポートメモリセルからなる複数のメモリセルアレイDPARY[0]〜DPARY[N−1](以下、各メモリセルアレイを”DPARY”と記載する場合がある。)を有するメモリマクロの構成を示す。メモリマクロは、m行n列のメモリセルアレイをビット線方向にp個配置したメモリセルアレイDPARYを、NビットのIO幅分ワード線方向に配置した構成を有する。各メモリセルアレイDPARYのビット線方向の両端には、負バイアス電圧生成回路WASTを有するAポートIO回路IOAと、負バイアス電圧生成回路WASTを有するBポートIO回路IOBが配置される。各ポートにおける負バイアス電圧生成回路は、メモリセルアレイDPARYと隣接して配置される。
【0096】
負バイアス基準電圧生成部VBADJAは、基準抵抗RREF、および複数のレプリカ抵抗RPRからなるAポートレプリカ抵抗群15Aで構成される。Aポートレプリカ抵抗群15Aは、p個のm行n列のメモリセルアレイ毎に配置されるp個のレプリカ抵抗RPRで構成され、メモリセルアレイDPARY[0]のビット線方向の長さの半分の領域のうち、AポートIO回路IOA側に隣接して配置される。Aポートレプリカ抵抗群15Aのp個のレプリカ抵抗RPRは並列に接続され、その一端には電源電圧VDDが印加され、その他端は基準抵抗RREFの一端と接続される。基準抵抗RREFの他端には電源電圧VSSが印加される。負バイアス基準電圧生成部VBADJAは、電源電圧VSSと電源電圧VDD間の電圧を、直列接続したAポートレプリカ抵抗群15Aと基準抵抗RREFで分割し、その値を負バイアス基準電圧RPLVAとして、負バイアス電圧生成回路WASTへ出力する。
【0097】
負バイアス基準電圧生成部VBADJBは、基準抵抗RREF、および複数のレプリカ抵抗RPRからなるBポートレプリカ抵抗群15Bで構成される。Bポートレプリカ抵抗群15Bは、p個のm行n列のメモリセルアレイ毎に配置されるp個のレプリカ抵抗RPRで構成され、メモリセルアレイDPARY[0]のビット線方向の長さの半分の領域のうち、BポートIO回路IOB側に隣接して配置される。Bポートレプリカ抵抗群15Bのp個のレプリカ抵抗RPRは並列に接続され、その一端には電源電圧VDDが印加され、その他端は基準抵抗RREFの一端と接続される。基準抵抗RREFの他端には電源電圧VSSが印加される。負バイアス基準電圧生成部VBADJBは、電源電圧VSSと電源電圧VDD間の電圧を、直列接続したBポートレプリカ抵抗群15Bと基準抵抗RREFで分割し、その値を負バイアス基準電圧RPLVBとして、負バイアス電圧生成回路WASTへ出力する。
【0098】
Aポートレプリカ抵抗群15A、およびBポートレプリカ抵抗群15Bに隣接して、Aポートワード線選択回路WDAとBポートワード線選択回路WDBとが配置される。Aポート用の基準抵抗RREFに隣接してAポート制御回路CTRLAが配置され、Bポート用の基準抵抗RREFに隣接してBポート制御回路CTRLBが配置される。Aポートの負バイアス電圧生成回路WASTは、負バイアス基準電圧RPLVAに基づき、メモリセルアレイDPARYのAポートビット線に印加する負バイアス電圧ΔVBLを生成する。同様に、Bポートの負バイアス電圧生成回路WASTは、負バイアス基準電圧RPLVBに基づき、メモリセルアレイDPARYのBポートビット線に印加する負バイアス電圧ΔVBLを生成する。
【0099】
メモリセルアレイDPARYが基本単位のm行で構成されるメモリセルアレイをビット線方向にp個配置した構成である場合、各基本単位のメモリセルアレイに対応するレプリカ抵抗RPRを、メモリセルアレイの列方向配置ピッチの半分で列方向に配置することで、Aポート用、およびBポート用のレプリカ抵抗RPRをビット線方向に1列に配置することが可能となる。レプリカ抵抗RPRをこのように1列に配置することで、デュアルポートメモリで構成されるメモリマクロの面積増加を抑制することが可能となる。さらに、Aポート用、およびBポート用のレプリカ抵抗RPRを等間隔に連続して配置することで、各ポートのレプリカ抵抗RPRを構成するトランジスタ特性が均一に保たれ、メモリマクロの構成によらず、所望の値を有する負バイアス電圧ΔVBLの生成が可能となる。
【0100】
メモリマクロに含まれるメモリセルを、3ポート、4ポート等さらに多ポート化した場合であっても、レプリカ抵抗RPRの配置ピッチをポート数に応じて狭めることにより、レプリカ抵抗RPRを1列に配置することが可能となる。配置ピッチの減少に伴い、レプリカ抵抗RPRを構成するトランジスタの並列接続数を削減する場合、トランジスタのゲート幅を適宜増加させてトランジスタのオン抵抗値を下げることにより、レプリカ抵抗RPRの一列配置を維持することが可能となる。
【0101】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。