(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記生成物接触回避構造は、前記吸気口側に形成されたねじ溝凸面から前記排気口側に形成されたねじ溝凸面へ向かう方向に従って、各前記ねじ溝凸面の削り量を段階的に増やして各ねじ溝凸面を削った構造を持つことを特徴とする請求項1に記載の真空ポンプ。
前記生成物接触回避構造は、前記吸気口側から前記排気口側へ向かう方向に従って、前記ねじ溝に対向する対向面の削り量を段階的に増やして前記対向面を削った構造を持つことを特徴とする請求項1から請求項3のうち少なくともいずれか1項に記載の真空ポンプ。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(i)実施形態の概要
本発明の実施形態の真空ポンプは、ねじ溝式真空ポンプ、或いは、ねじ溝式ポンプ部を備えた複合型ターボ分子ポンプであり、当該真空ポンプの、ねじ溝が形成されている回転翼円筒部又は固定部において、ねじ溝における高い部分(山の部分、つまり、溝ではない部分)にあたる凸面(以後、ねじ溝山面として説明する。)を、軸方向に一定の範囲分だけ全周(ねじ溝の周方向)にわたって所望の量を削る。
なお、削る量については後述する。
【0014】
ここで、ねじ溝は、真空ポンプにおける固定部に形成されている場合と、真空ポンプにおける回転翼円筒部に形成されている場合と、が考え得る。
まず、ねじ溝が固定部に形成されている場合は、回転翼円筒部の外周面と、当該外周面に対向(対面)する固定部(ねじ溝スペーサ)が有するねじ溝山面(ねじ溝凸面)により形成される固定部の内周面と、で形成されるクリアランスのうち、下側(即ち、排気口側)を広げる構造にする。
一方、ねじ溝が回転翼円筒部に形成されている場合は、回転翼円筒部が有するねじ溝山面により形成される外周面と、当該外周面に対面する固定部と、で形成されるクリアランスのうち、下側(排気口側)を部分的に広げる構造にする。つまり、本発明の実施形態の真空ポンプでは、ねじ溝全体で見たときに、ねじ溝のねじ溝谷面が一様の深さを有するのに対し、ねじ溝山面は一様に変化する高さを有する構造にする。
【0015】
より詳しくは、ねじ溝が固定部に形成されている場合は、固定部(ねじ溝スペーサ)の下側の内径寸法を大きくするために、固定部のねじ溝山面を所望の量だけ削る。そうすることで、上述したクリアランスのうち下側(排気口側)を大きくすることができる。
一方、ねじ溝が回転部に形成されている場合は、回転部の下側の外径寸法を小さくするために、回転部のねじ溝山面を所望の量だけ削る。そうすることで、上述したクリアランスのうち下側(排気口側)を大きくすることができる。
或いは、ねじ溝が形成されていない側(即ち、ねじ溝が形成されている固定部又は回転部と対面する面)を所望の量だけ削る。そうすることで、上述したクリアランスのうち下側(排気口側)を大きくすることができる。
このように、各々の場合で、ねじ溝山面、又は、ねじ溝に対面する面を所望の量だけ削ることで、ねじ溝部における下側(排気口側)のクリアランスを部分的に大きくすることができる。
なお、下側の範囲については後述する。
【0016】
(ii)実施形態の詳細
以下、本発明の好適な実施の形態について、
図1〜
図14を参照して詳細に説明する。
なお、本実施形態では、真空ポンプの一例として、ターボ分子ポンプ部(第1気体移送機構)とねじ溝式ポンプ部(第2気体移送機構)を備えた、いわゆる複合型のターボ分子ポンプを用いて説明する。
まず、第1実施形態として、ねじ溝が固定部に形成されている場合について
図1〜
図10を参照して説明し、次に、第2実施形態として、ねじ溝が回転翼円筒部に形成されている場合について
図11〜
図14を参照して説明する。
【0017】
(ii−1)第1実施形態
まず、ねじ溝が固定部に形成されるターボ分子ポンプについて、
図1を参照して説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る生成物接触回避構造1000を備えたターボ分子ポンプ1の概略構成例を示した図である。なお、
図1は、ターボ分子ポンプ1の軸線方向の断面図を示している。
ターボ分子ポンプ1の外装体を形成するケーシング2は、略円筒状の形状をしており、ケーシング2の下部(排気口6側)に設けられたベース3と共にターボ分子ポンプ1の筐体を構成している。そして、この筐体の内部には、ターボ分子ポンプ1に排気機能を発揮させる構造物である気体移送機構が収納されている。
この気体移送機構は、大きく分けて、回転自在に軸支された回転部と筐体に対して固定された固定部から構成されている。
【0018】
ケーシング2の端部には、当該ターボ分子ポンプ1へ気体を導入するための吸気口4が形成されている。また、ケーシング2の吸気口4側の端面には、外周側へ張り出したフランジ部5が形成されている。
また、ベース3には、当該ターボ分子ポンプ1から気体を排気するための排気口6が形成されている。
【0019】
回転部は、回転軸であるシャフト7、このシャフト7に配設されたロータ8、ロータ8に設けられた複数枚の回転翼9、排気口6側(ねじ溝式ポンプ部)に設けられた筒型回転部材10などから構成されている。なお、シャフト7及びロータ8によってロータ部が構成されている。
各回転翼9は、シャフト7の軸線に垂直な平面から所定の角度だけ傾斜してシャフト7から放射状に伸びたブレードからなる。
また、筒型回転部材10は、ロータ8の回転軸線と同心の円筒形状をした円筒部材からなる。
【0020】
シャフト7の軸線方向中程には、シャフト7を高速回転させるためのモータ部20が設けられている。
更に、シャフト7のモータ部20に対して吸気口4側、および排気口6側には、シャフト7をラジアル方向(径方向)に非接触で軸支するための径方向磁気軸受装置30、31、シャフト7の下端には、シャフト7を軸線方向(アキシャル方向)に非接触で軸支するための軸方向磁気軸受装置40が設けられている。
【0021】
筐体の内周側には、固定部が形成されている。この固定部は、吸気口4側(ターボ分子ポンプ部)に設けられた複数枚の固定翼50と、ケーシング2の内周面に設けられたねじ溝スペーサ60などから構成されている。
各固定翼50は、シャフト7の軸線に垂直な平面から所定の角度だけ傾斜して筐体の内周面からシャフト7に向かって伸びたブレードから構成されている。
各段の固定翼50は、円筒形状をしたスペーサ70により互いに隔てられて固定されている。
ターボ分子ポンプ部では、固定翼50と、回転翼9とが互い違いに配置され、軸線方向に複数段形成されている。
【0022】
ねじ溝スペーサ60には、筒型回転部材10との対向面にらせん溝が形成されている。
ねじ溝スペーサ60は、所定のクリアランスを隔てて筒型回転部材10の外周面に対面しており、筒型回転部材10が高速回転すると、ターボ分子ポンプ1で圧縮されたガスが筒型回転部材10の回転に伴ってねじ溝(らせん溝)にガイドされながら排気口6側へ送出されるようになっている。即ち、ねじ溝は、ガスを輸送する流路となっている。ねじ溝スペーサ60と筒型回転部材10が所定のクリアランスを隔てて対向することにより、ねじ溝でガスを移送する気体移送機構(第2気体移送機構)を構成している。
なお、ガスが吸気口4側へ逆流する力を低減させるために、このクリアランスは小さければ小さいほど良い。
ねじ溝スペーサ60に形成されたらせん溝の方向は、らせん溝内をロータ8の回転方向にガスが輸送された場合、排気口6に向かう方向である。
また、らせん溝の深さは、排気口6に近づくにつれて浅くなるようになっており、らせん溝を輸送されるガスは排気口6に近づくにつれて圧縮されるようになっている。このように、吸気口4から吸引されたガスは、ターボ分子ポンプ部で圧縮された後、ねじ溝式ポンプ部で更に圧縮されて排気口6から排出される。
【0023】
また、上述したように、ターボ分子ポンプ1が半導体製造用に使用される場合などは、半導体の製造工程で様々なプロセスガスを半導体の基板に作用させる工程が数多くあり、ターボ分子ポンプ1はチャンバ内を真空にするのみならず、これらのプロセスガスをチャンバ内から排気するのにも使用される。
これらのプロセスガスは、排気される際に圧力が高い場合だけではなく、冷却されてある温度になると固体になり、排気系に生成物を析出する場合がある。
そして、この種のプロセスガスがターボ分子ポンプ1内で低温となって固体状になり、ターボ分子ポンプ1内部に付着して堆積すると、この堆積物がポンプ流路を狭め、ターボ分子ポンプ1の性能を低下させる原因になる。
この状態を防ぐために、ベース3にサーミスタなどの温度センサ(図示しない)を埋め込み、この温度センサの信号に基づいてベース3の温度を一定の高い温度(設定温度)に保つように、ヒータ(図示しない)による加熱や水冷管80による冷却の制御(TMS;Temperature Management System)が行われている。
このように構成されたターボ分子ポンプ1により、ターボ分子ポンプ1に配設される真空室(図示しない)内の真空排気処理を行うようになっている。
【0024】
ここで、本発明の第1実施形態に係るターボ分子ポンプ1のねじ溝スペーサ60は、堆積した生成物と、回転部(特に筒型回転部材10)との接触を遅らせるための生成物接触回避構造1000を有する。
本発明の第1実施形態に係る生成物接触回避構造1000は、ねじ溝スペーサ60における圧力が高くなる部分(即ち、排気口6側)に形成される、堆積する生成物を接触回避させるための構造である。この生成物接触回避構造1000により、堆積した生成物と筒型回転部材10とが接触するのを一定期間防ぐことができるので、ターボ分子ポンプ1の性能の低下を防ぎ、且つ、ターボ分子ポンプ1が必要とするオーバーホールの実施周期を長くすることが可能になる。
【0025】
図2は、本発明の第1実施形態に係る生成物接触回避構造1000の一例を示した断面図である。
図2に示したように、本発明の第1実施形態に係る生成物接触回避構造1000を有するねじ溝スペーサ60には、ターボ分子ポンプ1の吸気口4側から排気口6側に向かう方向に、螺旋形状のらせん溝が形成されている。ねじ溝山面61a、62a、63a、64a、65a及びねじ溝谷面61b、62b、63b、64b、65bは、軸線方向断面で現れるねじ溝を示す。
また、ねじ溝山面61aとねじ溝谷面61b、ねじ溝山面62aとねじ溝谷面62b、ねじ溝山面63aとねじ溝谷面63b、ねじ溝山面64aとねじ溝谷面64b、及びねじ溝山面65aとねじ溝谷面65bによって各々構成されるねじ溝の各々の深さは、ターボ分子ポンプ1の排気口6側へ向かうにつれて次第に浅くなるように形成されている。即ち、ねじ溝山面61aとねじ溝谷面61bとで形成されるねじ溝深さは、ねじ溝山面65aとねじ溝谷面65bとで形成されるねじ溝深さよりも深い。
【0026】
ここで、本発明の第1実施形態に係る生成物接触回避構造1000を有するねじ溝スペーサ60では、各ねじ溝山面61a、62a、63a、64a、65aのうち、ねじ溝山面61a、62a、及び63aと対面する筒型回転部材10とのクリアランスはD1であり、ねじ溝山面64a及び65aと筒型回転部材10とのクリアランスは、クリアランスD1よりも寸法d分大きいクリアランスW1になるように形成されている。このクリアランスの差である寸法dは、ねじ溝山面64a及び65aを寸法d分(dと同等の長さ分)削ることで確保することができる。
また、この寸法dは、本第1実施形態では0.35mm程度としたが、諸条件を鑑みて0.1mm〜0.5mmの範囲で設定されることが望ましい。
【0027】
このように、本発明の第1実施形態に係るターボ分子ポンプ1では、この生成物接触回避構造1000を有することにより、ねじ溝スペーサ60の、下側(排気口6側)に形成されるねじ溝山面64a、65aにより構成される内径は、上側(吸気口4側)に形成されるねじ溝山面61a、62a、63aにより構成される内径よりも、寸法d×2の長さ分だけ長くなっている。
この構成により、本発明の第1実施形態に係るターボ分子ポンプ1は、生成物が堆積しやすい部分(即ち、ねじ溝式ポンプ部の下側で、圧力が高く堆積物が溜まりやすい範囲)のクリアランスのみを大きくすることが可能になり、堆積した生成物が筒型回転部材10又はねじ溝スペーサ60に接触するまでの期間を従来よりも延ばすことができる。
また、ねじ溝式ポンプ部の上側(即ち、生成物が堆積しにくい範囲)におけるねじ溝山面と筒型回転部材10とのクリアランスは変更せず、ねじ溝式ポンプ部の下側(即ち、圧力が高く生成物が堆積しやすい範囲)のクリアランスを大きくする構成にしたので、スペーサ60全体で、ねじ溝山面61a、62a、63a、64aと筒型回転部材10とのクリアランスが大きくなり、当該クリアランス部からガスが逆流して、ターボ分子ポンプ1の性能が大幅に低減してしまうことを防止することもできる。
【0028】
上記のように説明した本発明の第1実施形態に係る生成物接触回避構造は、以下のように様々に変形することが可能である。
(第1実施形態の変形例1)
図3は、本発明の第1実施形態に係る生成物接触回避構造1000の変形例1である生成物接触回避構造1001を示した断面図である。
図3に示したように、本発明の第1実施形態の変形例1に係る生成物接触回避構造1001を有するねじ溝スペーサ60には、生成物接触回避構造1000と同様にターボ分子ポンプ1の吸気口4側から排気口6側に向かう方向に、螺旋形状のらせん溝が形成されている。
ここで、本変形例1に係る生成物接触回避構造1001を有するねじ溝スペーサ60では、ねじ溝山面61aと筒型回転部材10とのクリアランスはD1−1であり、ねじ溝山面62aと筒型回転部材10とのクリアランスは当該クリアランス(D1−1)よりも大きなクリアランス(D1−2)であり、ねじ溝山面63aと筒型回転部材10とのクリアランスは当該クリアランス(D1−2)よりも大きなクリアランス(D1−3)であり、ねじ溝山面64aと筒型回転部材10とのクリアランスは当該クリアランス(D1−3)よりも大きなクリアランス(D1−4)であり、ねじ溝山面65aと筒型回転部材10とのクリアランスは当該クリアランス(D1−4)よりも大きなクリアランス(D1−5)であり、このように各クリアランスは全て異なる構成になっている。
つまり、ターボ分子ポンプ1の吸気口4側から排気口6側に向かって、各ねじ溝山面と筒型回転部材10とのクリアランスが段階的に大きくなるように形成されており、各クリアランスの大きさの関係は、(D1−1)<(D1−2)<(D1−3)<(D1−4)<(D1−5)となる。
【0029】
本変形例1に係る生成物接触回避構造1001が有するねじ溝スペーサ60における排気口6側の最下段に形成されるクリアランス(D1−5)は、吸気口4側の最上段に形成されるクリアランス(D1−1)よりも、例えば、0.35mm程度(諸条件を鑑みて0.1mm〜0.5mmの範囲で設定することが望ましい)程度大きくなるようにする。
そのために、各ねじ溝山面61a、62a、63a、64a、65aは、隣接する2つのねじ溝山面(例えば、ねじ溝山面61aとねじ溝山面62a)において、上段(吸気口4側)に位置する方のねじ溝山面(例えば、ねじ溝山面61a)よりも下段(排気口6側)に位置する方のねじ溝山面(例えば、ねじ溝山面62a)を削る量を微増させて段階的に削ることで形成されている。
つまり、本変形例1に係る生成物接触回避構造1001が有するねじ溝スペーサ60のねじ溝山面は、排気口6側に向かうに従って多く削り取られる。
その結果、
図3に示したように、最下段のねじ溝山面65aは最上段のねじ溝山面61aに比べてより多く削り取られた寸法d1(d1と同等の長さ)分、対面する筒型回転部材10とのクリアランスが大きくなる。
【0030】
本変形例1に係る生成物接触回避構造1001では、ねじ溝スペーサ60の、下側(排気口6側)に形成されるねじ溝山面65aにより構成される内径は、上側(吸気口4側)に形成されるねじ溝山面61aにより構成される内径よりも、寸法d1×2の長さ分だけ長くなり、上側から下側にかけて、当該クリアランスは段階的に広がっていく構成になっている。
このように、本変形例1に係る生成物接触回避構造1001を有するターボ分子ポンプ1は、ねじ溝式ポンプ部の上側(即ち、生成物が堆積しにくい範囲)から、ねじ溝式ポンプ部の下側(即ち、圧力が高く生成物が堆積しやすい範囲)にかけて、各ねじ溝山面61a、62a、63a、64a、65aと筒型回転部材10とのクリアランスが段階的に大きくなっているので、熱膨張やクリープ現象等により、特に排気口6側に向かう方向に歪みが顕著に生じる筒型回転部材10と、ねじ溝スペーサ60に堆積した生成物とが接触するまでの期間、又は、ねじ溝スペーサ60と、筒型回転部材10に堆積した生成物とが接触するまでの期間を従来に比べ延ばすことができる。
また、ねじ溝式ポンプ部の上側(即ち、生成物が堆積しにくい範囲)におけるねじ溝山面と筒型回転部材10とのクリアランスは変更せず、ねじ溝式ポンプ部の下側(即ち、圧力が高く生成物が堆積しやすい範囲)に向かうに従ってクリアランスを段階的に大きくする構成にしたので、スペーサ60全体で、ねじ溝山面61a、62a、63a、64aと筒型回転部材10とのクリアランスが大きくなり、当該クリアランス部からガスが逆流して、ターボ分子ポンプ1の性能が大幅に低減してしまうことを防止することもできる。
【0031】
なお、本変形例1では、各ねじ溝山面61a、62a、63a、64a、65aと筒型回転部材10とのクリアランスを段階的に大きくするように構成したが、これに限られることはない。
例えば、ねじ溝スペーサ60における軸方向下側(排気口6側)の内径が上側(吸気口4側)の内径よりも広くなる範囲内であれば、ねじ溝山面を上側半分の群と下側半分の群とに分けて、各ねじ溝山面群同士の段差を2段階にする構成にしても良い。即ち、この場合は、ねじ溝スペーサ60において、各ねじ溝山面群の構成比は軸線方向に1:1になる。
或いは、上側1/3の群と中央1/3の群と下側1/3の群とに分けて、各ねじ溝山面群同士の段差を3段階にする構成にしても良い。即ち、この場合は、ねじ溝スペーサ60において、各ねじ溝山面群の構成比は軸線方向に1:1:1になる。
【0032】
(第1実施形態の変形例2)
図4は、本発明の第1実施形態の変形例2である生成物接触回避構造1002を示した断面図である。
図4に示したように、本発明の第1実施形態の変形例2に係るねじ溝スペーサ60には、ターボ分子ポンプ1の吸気口4側から排気口6側に向かう方向に、螺旋形状のらせん溝が形成されている。
ここで、本変形例2に係る生成物接触回避構造1002では、当該ねじ溝山面61a、62a、63a、64a、65aのうち、吸気口4側に位置するねじ溝山面(例えば、ねじ溝山面61a、62a、及び63a)は、クリアランスD2を隔てて筒型回転部材100の長外径部101と各々対面し、一方、排気口6側に位置するねじ溝山面(例えば、ねじ溝山面64a及び65a)は、クリアランスD2よりも広いクリアランスW2を隔てて筒型回転部材100の短外径部102と各々対面している。
このように、本発明の第1実施形態の変形例2に係る筒型回転部材100の外径は軸方向に一様ではなく、吸気口4側のクリアランス(D2)よりも排気口6側のクリアランス(W2)の方が大きくなるように、吸気口4側の外径と排気口6側の外径とが異なるように形成されている。
【0033】
具体的には、本発明の第1実施形態の変形例2に係る筒型回転部材100は、
図4に示したように、生成物が堆積しにくい吸気口4側(例えば、上側半分の範囲)には、ねじ溝山面61aとクリアランスD2を保って対面する長外径部101を、一方、圧力が高く生成物が堆積しやすい排気口6側(例えば、下側半分の範囲)には当該長外径部101よりも短い外径を有する短外径部102を備えている。
この構成により、本発明の第1実施形態の変形例2に係る生成物接触回避構造1002は、当該長外径部101と短外径部102との半径差である寸法d2(直径では寸法d2×2の差になる)の寸法分、排気口6側のクリアランス(W2)が大きく形成される。
なお、この寸法d2は、本変形例では0.35mm程度としたが、諸条件を鑑みて0.1mm〜0.5mmの範囲で設定することができる。
【0034】
このように、本変形例2に係る生成物接触回避構造1002を有するターボ分子ポンプ1は、筒型回転部材100において長外径部101と短外径部102とを有する生成物接触回避構造1002を備えるので、生成物が堆積しやすい部分(即ち、筒型回転部材100の下側であり、圧力が高い範囲)のクリアランス(W2)のみを大きくすることが可能になり、堆積した生成物が筒型回転部材100又はねじ溝スペーサ60に接触するまでの期間を従来よりも延ばすことができる。
また、ねじ溝スペーサ60の上側(即ち、生成物が堆積しにくい範囲)におけるねじ溝山面と筒型回転部材100とのクリアランスを変更せず、ねじ溝スペーサ60の下側(即ち、圧力が高く生成物が堆積しやすい範囲)のクリアランスを部分的に大きくする構成にしたので、ねじ溝スペーサ60全体で、ねじ溝山面61a、62a、63a、64aと筒型回転部材100とのクリランスが大きくなり、当該クリアランス部からガスが逆流して、ターボ分子ポンプ1の性能が大幅に低減してしまうことを防止することもできる。
【0035】
なお、本変形例2では、筒型回転部材100において、長外径部101を吸気口4側の上側半分の範囲に形成し、短外径部102を排気口6側の下側半分の範囲に形成する2段階の構成にしたが、これに限られることはない。
例えば、筒型回転部材100における軸方向下側(排気口6側)の外径が上側(吸気口4側)の外径よりも小さくなる範囲内であれば、筒型回転部材100は、上側から下側方向に1/3の範囲に長外径部、下側から上側方向に1/3の範囲に短外径部、そして、当該長外径部と短外径部とに挟まれた中央1/3の範囲に外径が当該長外径部よりも小さく当該短外径部よりも大きい中外径部、といった3つの異なる外径を連続して有する(形成する)3段階構成にしても良い。即ち、この場合は、筒型回転部材100の軸線方向に1:1:1の構成比になる。
或いは、上側から下側方向に3/4の範囲に長外径部を、当該長外径部の終了部分から更に下側方向に(即ち、下側から上側方向に1/4の範囲に)短外径部を連続して有する2段階構成にすることもできる。即ち、この場合は、筒型回転部材100の軸線方向に3(上側):1(下側)の構成比になる。
【0036】
(第1実施形態の変形例3)
図5は、本発明の第1実施形態の変形例3である生成物接触回避構造1003を示した断面図である。
図5に示したように、本変形例3に係る生成物接触回避構造1003の筒型回転部材100は、変形例2と同様に、長外径部101と、当該長外径部101と半径差寸法d2を有する短外径部102とが形成されている。なお、この寸法d2は、本変形例3では一例として0.35mm程度としたが、諸条件を鑑みて0.1mm〜0.5mmの範囲で設定することができる。
そして、本変形例3に係る生成物接触回避構造1003では、ねじ溝スペーサ60が有するねじ溝山面61a、62a、63a、64a、65aのうち、筒型回転部材100の短外径部102と対面するねじ溝山面64a及び65aは、短外径部102とのクリアランスが上側(吸気口4側)から下側(排気口6側)に向かって段階的に大きくなるようになっており、最下端であるねじ溝山面65aの削り量d1は、例えば、0.35mm程度(諸条件を鑑みて0.1mm〜0.5mmの範囲で設定可能)になるように形成されている。なお、ねじ溝山面64aの削り量は、寸法d1よりも少なくすることで、ねじ溝山面64aとねじ溝山面65aとにクラランスの差を設けることができる。
【0037】
上述した構成にすることで、本変形例3に係る生成物接触回避構造1003では、
図5に示したように、吸気口4側のねじ溝山面61a、62a、及び63aの各々と長外径部101との間にはクリアランスD3が形成され、一方、排気口6側のねじ溝山面65aと短外径部102との間にはクリアランスW3が形成される。つまり、このクリアランスW3は、長外径部101と短外径部102との差である寸法d2と、長外径部101と吸気口4側(最上位置)のねじ溝山面61aとのクリアランスであるD3と、吸気口4側(最上位置)のねじ溝山面61aと排気口6側(最下位置)のねじ溝山面65aとの差である寸法d1と、を足し合わせた寸法と同等の寸法を有する。
【0038】
このように、本変形例3に係る生成物接触回避構造1003を有するターボ分子ポンプ1は、ねじ溝式ポンプ部の略上側半分(即ち、生成物が堆積しにくい範囲)における筒型回転部材100とねじ溝スペーサ60とのクリアランスは一定に保ち、且つ、ねじ溝式ポンプ部の略下側半分(即ち、圧力が高く堆積物が溜まりやすい範囲)においては、筒型回転部材100とねじ溝スペーサ60とのクリアランスが段階的に大きくなる構成にしたので、圧力が高く堆積物が溜まりやすい範囲のクリアランスを十分に確保することができる。
その結果、熱膨張やクリープ現象等によって、特に排気口6側に向かう方向に歪みが顕著に生じる筒型回転部材100と、ねじ溝式ポンプ部の下側に堆積した生成物とが接触するまでの期間、又はねじ溝スペーサ60と、筒型回転部材100に堆積した生成物とが接触するまでの期間を従来よりも延ばすことができる。
また、ねじ溝式ポンプ部の略上側半分におけるねじ溝スペーサ60と筒型回転部材100とのクリアランスは変更していないので、筒型回転部材100と当該生成物とが接触するまでの期間を延ばしつつ、同時に、ターボ分子ポンプ1の性能が大幅に低減してしまうことを防止することもできる。
【0039】
なお、本変形例3では、各ねじ溝山面64a及び65aの各削り量を、吸気口4側から排気口6側に向かって段階的に微増させることで、ねじ溝スペーサ60の下側のねじ溝を構成したが、これに限られることはない。
例えば、ねじ溝スペーサ60における軸方向下側(排気口6側)の内径が上側(吸気口4側)の内径よりも長くなる範囲内であれば、ねじ溝山面を全体にわたって階段状にする(即ち、各ねじ溝のねじ溝山面が軸線方向で階段状になる)構成にしても良い。
【0040】
(第1実施形態の変形例4)
図6は、本発明の第1実施形態の変形例4に係る生成物接触回避構造1004の一例を示した断面図である。
図6に示したように、本変形例4の生成物接触回避構造1004に係るねじ溝スペーサ60には、ターボ分子ポンプ1の吸気口4側から排気口6側に向かう方向に、螺旋形状のらせん溝が形成されている。
ここで、本変形例4に係る生成物接触回避構造1004では、当該ねじ溝山面61a、62a、63a、64a、65aのうち、吸気口4側に位置するねじ溝山面(例えば、ねじ溝山面61a及び62a)は、クリアランスD4を隔てて筒型回転部材10と各々直線的に対面し、一方、排気口6側に位置するねじ溝山面(例えば、ねじ溝山面63a、64a、65a)は、吸気口4側から排気口6側に向かって末広がりの曲線を描くように筒型回転部材10と各々対面している。
即ち、ねじ溝山面61a及び62aが平面的に形成されているのに対し、ねじ溝山面63a、64a、65aは曲線的に形成されている。
つまり、ねじ溝山面61a及び62aは、筒型回転部材10とクリアランスD4を隔てて平行に対面するのに対し、ねじ溝山面63a、64a、65aは、筒型回転部材10と一定ではないクリアランスを隔てながら(即ち、隔てるクリアランスを徐々に大きくしながら)曲線的に対面するように当該ねじ溝山面63a、64a、65aを所望の量削り取って形成される。
このような構成にすることで、筒型回転部材10と平行に対面するねじ溝山面(例えば、ねじ溝山面62a)の端部T1と、排気口6側に位置する最下端であるねじ溝山面65aの排気口6側の端部T2との間には、寸法差d3が形成される。なお、この寸法差d3は、本変形例4では一例として0.35mm程度としたが、諸条件を鑑みて0.1mm〜0.5mmの範囲で設定することができる。
このようにして、本変形例4に係る生成物接触回避構造1004では、吸気口4側のクリアランス(D4)よりも寸法差d3に相当する大きさ分大きいクリアランス(W4)を排気口6側に形成することができる。
【0041】
上述したように、本変形例4に係る生成物接触回避構造1004を有するターボ分子ポンプ1では、ねじ溝スペーサ60の上側(即ち、生成物が堆積しにくい範囲)におけるねじ溝山面と筒型回転部材10とのクリアランス(D4)は変更せず、ねじ溝スペーサ60の下側(即ち、圧力が高く生成物が堆積しやすい範囲)のクリアランス(W4)を部分的に大きくする構成にしたので、スペーサ60全体で、ねじ溝山面61a、62a、63a、64aと筒型回転部材10とのクリアランスが大きくなり、当該クリアランス部からガスが逆流するなどして、ターボ分子ポンプ1の性能が大幅に低減してしまうことを防止しながら、堆積した生成物が筒型回転部材10又はねじ溝スペーサ60に接触するまでの期間を従来よりも延ばすことができる。
【0042】
(第1実施形態の変形例5)
更に、本変形例4に係る生成物接触回避構造1004のねじ溝スペーサ60に加えて、筒型回転部材の下側(排気口6側)半分の範囲の外径を連続的に漸減させる構造にした筒型回転部材110を更に備える構成にすることもできる。
図7は、本発明の第1実施形態の変形例5に係る生成物接触回避構造1005の一例を示した断面図である。
図7に示したように、本変形例5に係る生成物接触回避構造1005は、漸減外径部113が形成された筒型回転部材110を有する。
具体的には、本変形例5に係る生成物接触回避構造1005では、筒型回転部材110の半分(1/2)より下側(排気口6側)に、当該筒型回転部材110の外径が、吸気口4側から排気口6側に向かって次第に小さくなるように(即ち、漸減するように)形成された漸減外径部113を有している。
このような構成にすることで、筒型回転部材110において一定の外径を有する吸気口4側の外径と、排気口6側における筒型回転部材110の開放口(即ち、漸減外径部113の排気口6側)の外径との間には、
図7に示したように、寸法差d4が形成される。なお、この寸法差d4は、本変形例5では一例として0.35mm程度としたが、諸条件を鑑みて0.1mm〜0.5mmの範囲で設定することができる。
このようにして、本変形例5に係る生成物接触回避構造1005では、吸気口4側のクリアランス(D5)に対し、ねじ溝スペーサ60に形成された寸法差d3及び筒型回転部材110(漸減外径部113)側に形成された寸法差d4の和に相当する大きさであるクリアランス(W5)を、排気口6側に形成することができる。
【0043】
なお、本変形例5に係る生成物接触回避構造1005では、筒型回転部材110に漸減外径部113が形成される領域は、筒型回転部材110の半分(1/2)以下としたが、これに限られることはない。
例えば、筒型回転部材110における軸方向下側(排気口6側)の外径が上側(吸気口4側)の外径よりも小さくなる範囲内であれば、筒型回転部材110は、下側から上側方向に1/3の範囲に漸減外径部113を有する(形成する)構造にしても良い。即ち、この場合は、筒型回転部材110の軸線方向に2(上側):1(下側)の構成比になる。
或いは、下側から上側方向に3/4の範囲に漸減外径部113を有する構造にすることもできる。即ち、この場合は、筒型回転部材110の軸線方向に1(上側):3(下側)の構成比になる。
【0044】
上述したように、本変形例5に係る生成物接触回避構造1005を有するターボ分子ポンプ1では、筒型回転部材110とねじ溝スペーサ60が対面する範囲において、吸気口4側における筒型回転部材110とねじ溝スペーサ60(ねじ溝山面)とのクリアランス(D5)は変更させず、排気口6側のクリアランス(W5)を大きくする構造にしたので、生成物が堆積しにくい範囲である吸気口4側のクリアランスが大きくなることでガスが逆流するなどしてターボ分子ポンプ1の性能が大幅に低減してしまうことは防止しつつ、圧力が高く生成物が堆積しやすい範囲に堆積した生成物が筒型回転部材110(漸減外径部113)又はねじ溝スペーサ60に接触するまでの期間を従来よりも延ばすことができる。
【0045】
(第1実施形態の変形例6)
図8は、本発明の第1実施形態の変形例6に係る生成物接触回避構造1006の一例を示した断面図である。
図8に示したように、本変形例6に係る生成物接触回避構造1006は、外周が、円錐の頂点が排気口6側に位置する円錐形状に形成された円錐型回転部材120と、内周が、当該円錐型回転部材120の外周面と所定のクリアランスを隔てて対向(対面)するねじ溝山面61a、62a、63a、64a、65a、及び、ねじ溝谷面61b、62b、63b、64b、65bを有するねじ溝スペーサ60と、を有している。
【0046】
ここで、
図8に示したように、本変形例6に係る生成物接触回避構造1006を有するねじ溝スペーサ60では、各ねじ溝山面61a、62a、63a、64a、65aのうち、より吸気口4側に形成されたねじ溝山面61a、62a、及び63aと対面する円錐型回転部材120との半径方向のクリアランスはD6であり、より排気口6側に形成されたねじ溝山面64a及び65aと円錐型回転部材120との半径方向のクリアランスは、当該クリアランスD6よりも寸法d5(例えば、0.35mm)分大きいクリアランスW6になるように形成されている。このクリアランスの差である寸法d5は、ねじ溝山面64a及び65aを寸法d5分(d5と同等の長さ分)削ることで確保することができる。
なお、本変形例6では、寸法d5は0.35mmとしたが、諸条件を鑑みて0.1mm〜0.5mmの範囲で設定することができる。
【0047】
このように、本変形例6に係るターボ分子ポンプ1では、この生成物接触回避構造1006を有することにより、ねじ溝スペーサ60の、下側(排気口6側)に形成されるねじ溝スペーサ60と円錐型回転部材120との半径方向のクリアランス(W6)は、上側(吸気口4側)に形成されるねじ溝スペーサ60と円錐型回転部材120との半径方向のクリアランス(D6)よりも、寸法d5の長さ分大きい構成になっている。
このように、本変形例6に係る生成物接触回避構造1006を有するターボ分子ポンプ1では、筒型回転部材120とねじ溝スペーサ60が対面する範囲において、吸気口4側における筒型回転部材120とねじ溝スペーサ60(ねじ溝山面)との半径方向のクリアランス(D6)は変えずに排気口6側の半径方向のクリアランス(W6)を大きくする構造にした。
その結果、生成物が堆積しにくい範囲である吸気口4側のクリアランスが大きくなることでガスが逆流するなどしてターボ分子ポンプ1の性能が大幅に低減してしまうことを防止しつつ、圧力が高く生成物が堆積しやすい範囲に堆積した生成物が筒型回転部材120又はねじ溝スペーサ60に接触するまでの期間を従来よりも延ばすことができる。
【0048】
(第1実施形態の変形例7)
図9は、本発明の第1実施形態の変形例7に係る生成物接触回避構造1007の一例を示した断面図である。
図9に示したように、本変形例7に係る生成物接触回避構造1007では、外周が、円錐の頂点が排気口6側に位置する円錐形状に形成された円錐型回転部材120と、内周が、当該円錐型回転部材120の外周面と所定のクリアランスを隔てて対向するねじ溝山面61a、62a、63a、64a、65a、及び、ねじ溝谷面61b、62b、63b、64b、65bを有するねじ溝スペーサ60と、を有する。
そして、更に、本変形例7に係る円錐型回転部材120は、軸方向に対して垂直な面での断面積は一様ではなく、円錐型回転部材120の下側(排気口6側)の領域の断面積が上側(吸気口4側)の断面積よりも小さくなるように外周が削り取られた小断面積部121が形成されている。
なお、本変形例7では、円錐型回転部材120を削り取る部分の寸法d6は0.35mm程度としたが、諸条件に合わせて0.1mm〜0.5mmの範囲内で調整することが望ましい。
【0049】
このように、本変形例7に係るターボ分子ポンプ1は、小断面積部121が形成された円錐型回転部材120を有する生成物接触回避構造1007を備えるので、小断面積部121を形成するために円錐型回転部材120を削り取る幅であるd6と同等の大きさ分だけ、円錐型回転部材120の下側の半径方向のクリアランス(W7)を大きくすることが可能になる。その結果、圧力が高く生成物が堆積しやすい範囲に堆積した生成物と、円錐型回転部材120又はねじ溝スペーサ60とが接触するまでの期間を延ばすことができる。
また、円錐型回転部材120とねじ溝スペーサ60が対面する吸気口4側に形成される半径方向のクリアランス(D7)は変更せずに、排気口6側の半径方向のクリアランス(W7)を大きくする構造にしたので、生成物が堆積しにくい範囲である吸気口4側のクリアランスが大きくなることで、ガスが逆流するなどしてターボ分子ポンプ1の性能が大幅に低減してしまうことは防止しつつ、圧力が高く生成物が堆積しやすい範囲に堆積した生成物が円錐型回転部材120(小断面積部121)又はねじ溝スペーサ60に接触するまでの期間を延ばすことができる。
【0050】
なお、本変形例7では、小断面積部121は円錐型回転部材120の略下半分(1/2)に形成される構造にしたが、これに限られることはない。
例えば、円錐型回転部材120における軸方向下側(排気口6側)の断面積が上側(吸気口4側)の断面積よりも小さくなる範囲内であれば、円錐型回転部材120は、下側から上側方向に1/3の範囲に小断面積部121を形成する構造にしても良い。即ち、この場合は、円錐型回転部材120の軸線方向に2(上側):1(下側)の構成比になる。
或いは、下側から上側方向に3/4の範囲に小断面積部121を有する構造にすることもできる。即ち、この場合は、円錐型回転部材120の軸線方向に1(上側):3(下側)の構成比になる。
【0051】
(第1実施形態の変形例8)
図10は、本発明の第1実施形態の変形例8に係る生成物接触回避構造1008の一例を示した断面図である。
図10に示したように、本変形例8に係る生成物接触回避構造1008の円錐型回転部材120は、変形例7と同様に小断面積部121が形成されている。
ここで、本変形例8に係る生成物接触回避構造1008では、ねじ溝スペーサ60が有するねじ溝山面61a、62a、63a、64a、65aのうち、円錐型回転部材120の小断面積部121と対面するねじ溝山面64a及び65aは、小断面積部121との半径方向のクリアランスが上側(吸気口4側)から下側(排気口6側)に向かって段階的に大きくなるように削り取られ、最下端であるねじ溝山面65aの削り量d7は、例えば、0.35mm(諸条件を鑑みて0.1mm〜0.5mmの範囲で設定可能)になるように形成されている。なお、ねじ溝山面64aの削り量は、ねじ溝山面65aの削り量d7よりも少なくすることで、ねじ溝山面64aとねじ溝山面65aとに段差を設けることができる。
【0052】
上述した構成にすることで、本変形例8に係る生成物接触回避構造1008では、
図10に示したように、吸気口4側のねじ溝山面61a、62a、及び63aの各々と円錐型回転部材120との間には半径方向のクリアランスD8が形成され、一方、排気口6側のねじ溝山面65aと、円錐型回転部材120に形成された小断面積部121との間には半径方向のクリアランスW8が形成される。
つまり、この半径方向のクリアランスW8は、小断面積部121を形成するために円錐型回転部材120を削り取る幅であるd6と、吸気口4側(最上位置)のねじ溝山面61aと円錐型回転部材120との半径方向のクリアランスであるD8と、排気口6側(最下位置)のねじ溝山面65aを削り取る量であるd7と、を足し合わせた長さと同等の大きさを有する。
【0053】
なお、本変形例8では、各ねじ溝山面64a及び65aの各削り量を、吸気口4側から排気口6側に向かって段階的に微増させることで、ねじ溝スペーサ60の下側のねじ溝を構成したが、これに限られることはない。
例えば、ねじ溝スペーサ60における軸方向下側(排気口6側)の内径が上側(吸気口4側)の内径よりも長くなる範囲内であれば、ねじ溝山面を全体にわたって階段状にする(即ち、各ねじ溝のねじ溝山面が軸線方向で階段状になる)構成にしても良い。
【0054】
このように、本変形例8に係る生成物接触回避構造1008を有するターボ分子ポンプ1は、円錐型回転部材120とねじ溝スペーサ60が対面する範囲において、吸気口4側における円錐型回転部材120とねじ溝スペーサ60(ねじ溝山面)との半径方向のクリアランス(D8)は変更させず、排気口6側の半径方向のクリアランス(W8)を大きくする構造にしたので、生成物が堆積しにくい範囲である吸気口4側の半径方向のクリアランス(D8)が大きくなることでガスが逆流するなどしてターボ分子ポンプ1の性能が大幅に低減してしまうことを防止しつつ、圧力が高く生成物が堆積しやすい範囲に堆積した生成物が円錐型回転部材120(小断面積部121)又はねじ溝スペーサ60に接触するまでの期間を従来よりも延ばすことができる。
【0055】
(ii−2)第2実施形態
次に、
図11〜
図14を参照して、ねじ溝が回転翼円筒部に形成される場合について説明する。
まず、ねじ溝が回転部に形成されるターボ分子ポンプについて、
図11を参照して説明する。
図11は、本発明の第2実施形態に係る生成物接触回避構造1100を備えたターボ分子ポンプ500の概略構成例を示した図であり、軸線方向の断面図を示している。
なお、本発明の第2実施形態に係るターボ分子ポンプ500の生成物接触回避構造1100以外の構成は第1実施形態と同様であるため、同じ符号を付して説明を省略する。
本発明の第2実施形態に係るターボ分子ポンプ500では、第1実施形態の筒型回転部材10、筒型回転部材100、又は円錐型回転部材120に代えて、らせん溝付き筒型回転部材130が配設される。
らせん溝付き筒型回転部材130に形成されたらせん溝の方向は、らせん溝内をロータ8の回転方向にガスが輸送された場合、排気口6に向かう方向である。また、らせん溝の深さは、排気口6に近づくにつれて浅くなるようになっており、らせん溝を輸送されるガスは排気口6に近づくにつれて圧縮されながら排気口6側へ送出されるようになっている。即ち、らせん溝は、ガスを輸送する流路となっている。
そして、らせん溝付き筒型回転部材130と、所定のクリアランスを隔てて対面するスペーサ(固定部)は、ねじ溝が形成されていないスペーサ71が配設される。
このように、スペーサ71とらせん溝付き筒型回転部材130が所定のクリアランスを隔てて対向することにより、ねじ溝でガスを移送する気体移送機構(第2気体移送機構)を構成している。
なお、ガスが吸気口4側へ逆流する力を低減させるために、このクリアランスは小さければ小さいほど良い。
【0056】
図12は、本発明の第2実施形態に係る生成物接触回避構造1100の一例を示した断面図である。
図12に示したように、本発明の第2実施形態に係る生成物接触回避構造1100を有するらせん溝付き筒型回転部材130には、ターボ分子ポンプ500の吸気口4側から排気口6側に向かう方向に、螺旋形状のらせん溝が形成されている。
また、らせん溝付き筒型回転部材130のねじ溝山面131aとねじ溝谷面131b、ねじ溝山面132aとねじ溝谷面132b、ねじ溝山面133aとねじ溝谷面133b、ねじ溝山面134aとねじ溝谷面134b、及びねじ溝山面135aと、ねじ溝谷面135bによって各々構成されるねじ溝の各々の深さは、ターボ分子ポンプ1の排気口6側へ向かうにつれて次第に浅くなるように形成されている。
即ち、らせん溝付き筒型回転部材130のねじ溝山面131aとねじ溝谷面131bとで形成されるねじ溝の深さは、ねじ溝山面135aとねじ溝谷面135bとで形成されるねじ溝の深さよりも深い。
らせん溝の深さが浅くなる構造では、スペーサ71の内径を斜めにした構造ではなく、筒型回転部材130のねじ溝谷部を斜めにする構造でもよい。
【0057】
ここで、本発明の第2実施形態に係る生成物接触回避構造1100を有するらせん溝付き筒型回転部材130では、ねじ溝山面131aとスペーサ71との半径方向のクリアランスはD9−1であり、ねじ溝山面132aとスペーサ71との半径方向のクリアランスは当該クリアランスD9−1よりも大きなクリアランス(D9−2)であり、ねじ溝山面133aとスペーサ71との半径方向のクリアランスは当該クリアランスD9−2よりも大きなクリアランス(D9−3)であり、ねじ溝山面134aとスペーサ71との半径方向のクリアランスは当該クリアランスD9−3よりも大きなクリアランス(D9−4)であり、ねじ溝山面135aとスペーサ71との半径方向のクリアランスは当該クリアランスD9−4よりも大きなクリアランス(D9−5)であって、このように各半径方向のクリアランスは全て異なる構成になっている。
つまり、ターボ分子ポンプ500の吸気口4側から排気口6側に向かって、らせん溝付き筒型回転部材130の各ねじ溝山面131a、132a、133a、134a、135aとスペーサ71との半径方向のクリアランスが段階的に大きくなるように形成されており、各クリアランスの大きさの関係は、(D9−1)<(D9−2)<(D9−3)<(D9−4)<(D9−5)となる。
【0058】
本実施形態2に係る生成物接触回避構造1100の、らせん溝付き筒型回転部材130における排気口6側の最下段に形成される半径方向のクリアランス(D9−5)は、吸気口4側の最上段に形成される半径方向のクリアランス(D9−1)よりも、例えば、0.35mm(諸条件を鑑みて0.1mm〜0.5mmの範囲で設定可能)程度大きくなるように形成される。
そのために、各ねじ溝山面131a、132a、133a、134a、135aは、隣接する2つのねじ溝山面(例えば、ねじ溝山面131aとねじ溝山面132a)において、上段(吸気口4側)に位置する方のねじ溝山面(例えば、ねじ溝山面131a)の削り量よりも、下段(排気口6側)に位置する方のねじ溝山面(例えば、ねじ溝山面132a)の削り量を段階的に微増させて削る。
つまり、本実施形態2に係るらせん溝付き筒型回転部材130の、各ねじ溝山面は、排気口6側に向かうに従って多く削り取られる。
そうすることで、
図12のように、らせん溝付き筒型回転部材130には断面が階段状になるねじ溝が形成され、最下段のねじ溝山面135aは、最上段のねじ溝山面131aに比べてより多く削り取られた寸法d8(らせん溝付き筒型回転部材130が削られる、径方向の長さ)と同等の大きさ分、対面するスペーサ71との半径方向のクリアランス(W9)を大きくすることができる。
【0059】
本実施形態2に係る生成物接触回避構造1100では、らせん溝付き筒型回転部材130の、下側(排気口6側)に形成されるねじ溝山面135aにより構成される外径は、上側(吸気口4側)に形成されるねじ溝山面131aにより構成される外径よりも、寸法d8×2の長さ分小さい(狭い)構成になされ、上側から下側にかけて、当該クリアランスは段階的に大きくなっていく構成になっている。
このように、本実施形態2に係る生成物接触回避構造1100を有するターボ分子ポンプ500は、ねじ溝式ポンプ部の上側(即ち、生成物が堆積しにくい範囲)から、ねじ溝式ポンプ部の下側(即ち、圧力が高く生成物が堆積しやすい範囲)にかけて、らせん溝付き筒型回転部材130の各ねじ溝山面131a、132a、133a、134a、135aとスペーサ71との半径方向のクリアランスが段階的に大きくなっているので、熱膨張やクリープ現象等により、特に排気口6側に向かう方向に歪みが顕著に生じるらせん溝付き筒型回転部材130と、スペーサ71に堆積した生成物とが接触するまでの期間、又は、スペーサ71と、らせん溝付き筒型回転部材130に堆積した生成物とが接触するまでの期間を従来よりも延ばすことができる。
また、ねじ溝式ポンプ部の上側におけるねじ溝山面(例えば、131a)とスペーサ71との半径方向のクリアランス(D9−1)は変更せず、ねじ溝式ポンプ部の下側に向かうに従って半径方向のクリアランスを段階的に大きくする構成にしたので、スペーサ71全体で、ねじ溝山面131a、132a、133a、134aと筒型回転部材130とのクリアランスが大きくなり、当該クリアランス部からガスが逆流して、ターボ分子ポンプ500の性能が大幅に低減してしまうことを防止することもできる。
【0060】
なお、本実施形態2では、らせん溝付き筒型回転部材130の各ねじ溝山面131a、132a、133a、134a、135aの各々の削り量を、吸気口4側から排気口6側に向かって段階的に微増させることで、らせん溝付き筒型回転部材130のねじ溝を構成したが、これに限られることはない。
例えば、らせん溝付き筒型回転部材130における軸方向下側(排気口6側)のねじ溝山面の外径が、上側(吸気口4側)のねじ溝山面の外径よりも短くなる範囲内であれば、ねじ溝山面を上側半分の群と下側半分の群とに分けて、各ねじ溝山面群同士の段差を2段階にする構成にしても良いし、或いは、上側1/3の群と中央1/3の群と下側1/3の群とに分けて、各ねじ溝山面群同士の段差を3段階にする構成にしても良い。即ち、この場合は、らせん溝付き筒型回転部材130の軸線方向に1:1:1の構成比になる。
【0061】
上記のように説明した本発明の第2実施形態に係る生成物接触回避構造は、以下のように様々に変形することが可能である。
(第2実施形態の変形例1)
図13は、本発明の第2実施形態の変形例1に係る生成物接触回避構造1101の一例を示した断面図である。
図13に示したように、本発明の第2実施形態の変形例1に係る生成物接触回避構造1101では、らせん溝付き筒型回転部材130には、ターボ分子ポンプ500の吸気口4側から排気口6側に向かう方向に、螺旋形状のらせん溝が形成されている。そして、スペーサ710には、短内径部711と長内径部712が形成されている。
ここで、本発明の第2実施形態の変形例1に係る生成物接触回避構造1101では、当該ねじ溝山面131a、132a、133a、134a、135aのうち、吸気口4側に位置するねじ溝山面(例えば、ねじ溝山面131a、132a、及び133a)は、半径方向のクリアランスD10を隔ててスペーサ710の短内径部711と各々対面し、一方、排気口6側に位置するねじ溝山面(例えば、ねじ溝山面134a及び135a)は、半径方向のクリアランスD10よりも大きい半径方向のクリアランスW10を隔ててスペーサ710の長内径部712と各々対面している。
このように、本発明の第2実施形態の変形例1に係るスペーサ710の内径は軸方向に一様ではなく、吸気口4側の半径方向のクリアランス(D10)よりも排気口6側の半径方向のクリアランス(W10)の方が大きくなるように、吸気口4側の外径と排気口6側の外径とが異なるように形成されている。
【0062】
具体的には、本発明の第2実施形態の変形例1に係るスペーサ710は、
図13に示したように、生成物が堆積しにくい吸気口4側(例えば、上側半分の範囲)には、ねじ溝山面131aと半径方向のクリアランスD10を保って対面する短内径部711を、一方、圧力が高く生成物が堆積しやすい排気口6側(例えば、下側半分の範囲)には当該短内径部711よりも長い内径を有する長内径部712を備えている。
この構成により、本発明の第2実施形態の変形例1に係る生成物接触回避構造1101は、当該短内径部711と長内径部712との半径差である寸法d9(直径分では寸法d9×2の差になる)の長さ分、排気口6側の半径方向のクリアランス(W10)が大きく形成される。
なお、この寸法d9は、本変形例では0.35mm程度としたが、諸条件を鑑みて0.1mm〜0.5mmの範囲で設定することができる。
【0063】
このように、本発明の第2実施形態の変形例1に係るターボ分子ポンプ500は、スペーサ710において短内径部711と長内径部712とを有する生成物接触回避構造1101を備えるので、生成物が堆積しやすい部分(即ち、スペーサ710の下側であり、圧力が高い範囲)のクリアランスのみを大きくすることが可能になり、堆積した生成物がらせん溝付き筒型回転部材130又はスペーサ710に接触するまでの期間を延ばすことができる。
また、スペーサ710の上側(即ち、生成物が堆積しにくい範囲)におけるらせん溝付き筒型回転部材130のねじ溝山面とスペーサ710(短内径部711)とのクリアランスは変更せず、スペーサ710の下側(即ち、圧力が高く生成物が堆積しやすい範囲)のクリアランスを部分的に大きくする構成にしたので、スペーサ710全体で、ねじ溝山面131a、132a、133a、134aと筒型回転部材130とのクリアランスが大きくなり、当該クリアランス部からガスが逆流して、ターボ分子ポンプ1の性能が大幅に低減してしまうことを防止することもできる。
【0064】
なお、本発明の第2実施形態の変形例1では、スペーサ710において、短内径部711を吸気口4側の上側半分の範囲に形成し、長内径部712を排気口6側の下側半分の範囲に形成する2段階の構成にしたが、これに限られることはない。
例えば、スペーサ710における軸方向下側(排気口6側)の外径が上側(吸気口4側)の内径よりも長くなる範囲内であれば、スペーサ710は、上側から下側方向に1/3の範囲に短内径部、下側から上側方向に1/3の範囲に長内径部、そして、当該短内径部と長内径部とに挟まれた中央1/3の範囲に内径が当該短内径部よりも長く当該長内径部よりも小さい中内径部、といった3つの異なる内径を連続して有する(形成する)3段階構成にしても良い。即ち、この場合は、スペーサ710の軸線方向に1:1:1の構成比になる。
或いは、上側から下側方向に3/4の範囲に短内径部を、当該短内径部の終了部分から更に下側方向に(即ち、下側から上側方向に1/4の範囲に)長内径部を連続して有する2段階構成にすることもできる。即ち、この場合は、スペーサ710の軸線方向に3(上側):1(下側)の構成比になる。
【0065】
(第2実施形態の変形例2)
図14は、本発明の第2実施形態の変形例2に係る生成物接触回避構造1102の一例を示した断面図である。
図14に示したように、本発明の第2実施形態の変形例2に係る生成物接触回避構造1102のスペーサ710は、本発明の第2実施形態の変形例1と同様に、短内径部711と、当該短内径部711と半径差d9を有する長内径部712とが形成されている。なお、このd9は、本発明の第2実施形態の変形例2では一例として0.35mm程度としたが、諸条件を鑑みて0.1mm〜0.5mmの範囲で設定することができる。
そして、本発明の第2実施形態の変形例2に係る生成物接触回避構造1102では、らせん溝付き筒型回転部材130が有するねじ溝山面131a、132a、133a、134a、135aのうち、スペーサ710の長内径部712と対面するねじ溝山面134a及び135aは、長内径部712との半径方向のクリアランスが上側(吸気口4側)から下側(排気口6側)に向かって段階的に大きくなるように削り取られ、最下端であるねじ溝山面135aの削り量d10は、例えば、0.35mm程度(諸条件を鑑みて0.1mm〜0.5mmの範囲で設定可能)になるように形成されている。なお、ねじ溝山面134aの削り量は、d10(ねじ溝山面135aの削り量)よりも少なくすることで、ねじ溝山面134aとねじ溝山面135aとに段差を設けることができる。
【0066】
上述した構造にすることで、本発明の第2実施形態の変形例2に係る生成物接触回避構造1102では、
図14に示したように、吸気口4側のねじ溝山面131a、132a、及び133aの各々と短内径部711との間には半径方向のクリアランスD10が形成され、一方、排気口6側のねじ溝山面135aと長内径部712との間には半径方向のクリアランスW10が形成される。
つまり、この半径方向のクリアランスW10は、短内径部711と長内径部712との差(削り量)であるd9と、短内径部711と吸気口4側(最上位置)のねじ溝山面131aとのクリアランスであるD10と、吸気口4側のねじ溝山面131aと排気口6側(最下位置)のねじ溝山面135aとの削り量の差であるd10と、の3つの半径方向のクリアランスを足し合わせた長さと同等の長さを有する。
【0067】
このように、本発明の第2実施形態の変形例2に係る生成物接触回避構造1102を有するターボ分子ポンプ500は、ねじ溝式ポンプ部の略上側半分(即ち、生成物が堆積しにくい範囲)におけるスペーサ710とらせん溝付き筒型回転部材130とのクリアランスは一定に保ち、且つ、ねじ溝式ポンプ部の略下側半分(即ち、圧力が高く堆積物が溜まりやすい範囲)においては、スペーサ710とらせん溝付き筒型回転部材130とのクリアランスが段階的に広くなる構成にしたので、圧力が高く堆積物が溜まりやすい範囲のクリアランスを十分に確保することができる。
その結果、熱膨張やクリープ現象等によって、特に排気口6側に向かう方向に歪みが顕著に生じるらせん溝付き筒型回転部材130と、ねじ溝式ポンプ部の下側に堆積した生成物とが接触するまでの期間、又はスペーサ710と、らせん溝付き筒型回転部材130に堆積した生成物とが接触するまでの期間を従来よりも延ばすことができる。
また、ねじ溝式ポンプ部の略上側半分におけるスペーサ710とらせん溝付き筒型回転部材130とのクリアランスは変更していないので、らせん溝付き筒型回転部材130と当該生成物とが接触するまでの期間を延ばしつつ、同時に、ターボ分子ポンプ500の性能が大幅に低減してしまうことを防止することもできる。
【0068】
なお、本発明の第2実施形態の変形例2では、各ねじ溝山面134a及び135aの各削り量を、吸気口4側から排気口6側に向かって段階的に微増させることで、らせん溝付き筒型回転部材130の下側のねじ溝を構成したが、これに限られることはない。
例えば、らせん溝付き筒型回転部材130における軸方向下側(排気口6側)の外径が上側(吸気口4側)の外径よりも短くなる範囲内であれば、ねじ溝山面を全体にわたって階段状にする(即ち、各ねじ溝のねじ溝山面が軸線方向で階段状になる)構成にしても良い。
【0069】
なお、本発明の第1実施形態及び第2実施形態では、直径が約100〜300mmのターボ分子ポンプにおける吸気及び排気の性能と、堆積する生成物によるオーバーホール期間との両面を考慮して、吸気口4側よりも排気口6側のスペーサ(一例として、ねじ溝スペーサ60やスペーサ71)と回転部材(一例として、筒型回転部材10、筒型回転部材100、円錐型回転部材120、らせん溝付き筒型回転部材130)とのクリアランスを大きくするための、ねじ溝山面の各削り量(半径方向のクリアランスd1〜d10)を0.35mmにしたが、削り量はこれに限ることはない。
真空ポンプに配設される真空装置の種類によって、当該クリアランスの最適値(最適値の範囲)は異なるので、ガスの量や真空装置のプロセスに必要な圧力の領域等を考慮したうえで決定されることが望ましい。
【0070】
このように、本発明によれば、真空ポンプにおいて、ねじ溝が形成されている回転部又は固定部の、当該ねじ溝部における下部の径寸法のみを変更することで、堆積する生成物と、回転翼円筒部又は固定部とが接触するまでの期間を長くして、オーバーホールを実施する間隔を長くする真空ポンプを提供することができる。