(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
給熱養生を行うには大掛かりな設備が必要となるため、できるだけ保温養生を行いたいのであるが、外気温が著しく低い場合には、やむを得ず給熱養生を行わなければならない。
【0008】
一方、特許文献1、2のコンクリート養生マットに使用されている保湿用マットでは、養生初期に散水しただけで養生の途中で水の供給を行わないと、養生期間の最後までコンクリートの湿潤状態を保つことができない場合があるので、途中で水を供給する手間を省くために、保水性能の向上が望まれる。
【0009】
本発明は以上のような従来の課題を考慮してなされたものであり、従来よりも外気温が低い状況において保温養生を行うことができるコンクリート養生マットを提供することを目的とし、また、従来よりも長くコンクリートの湿潤状態を保つことができるコンクリート養生マットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は以上のような従来の課題を考慮してなされたものであり、本発明に係るコンクリート養生マットは、吸水性繊維と吸湿発熱繊維とを含む湿潤発熱シートと、断熱部材を含む保温シートとを備え、前記湿潤発熱シートと前記保温シートとが積層されていることを特徴とする。
【0011】
またコンクリート養生マットにおいて、前記吸水性繊維は、1cc/g以上の水膨潤度を有し、前記吸湿発熱繊維は、吸湿した時の発熱量(吸湿発熱量)が乾燥繊維1g当たり65cal以上であることが好ましい。
【0012】
またコンクリート養生マットにおいて、前記吸湿発熱繊維は、ヒドラジン系化合物による架橋処理によって導入される窒素含有量の増加が、1.0〜10.0質量%である架橋アクリル系繊維であって、残存ニトリル基の一部が1.0〜10.0meq/gの塩型カルボキシル基に、存在すればその残部が酸型カルボキシル基および/またはアミド基に変換されており、標準状態(20℃,65%RH)において、吸湿した時の発熱量(吸湿発熱量)が乾燥繊維1g当たり130〜800calであることが好ましい。
【0013】
またコンクリート養生マットにおいて、前記吸水性繊維は、アクリロニトリル系重合体からなる繊維に、−COOX(Xはアルカリ金属またはNH
4)で示される塩型カルボキシル基を0.1〜4.0mmol/g含有してなり、少なくとも繊維外層部の一部が親水性架橋重合体からなり、残部がアクリロニトリル系重合体で構成され、且つ2〜300cc/gの水膨潤度を有することが好ましい。
【0014】
またコンクリート養生マットは、さらに、透水性を有する剥離用シートを備え、前記湿潤発熱シートの、前記保温シートが積層された側の反対側に、前記剥離用シートが積層されていることが好ましい。
【0015】
本発明は以上のような従来の課題を考慮してなされたものであり、吸水性繊維を含む湿潤シートと、前記湿潤シートに積層された被覆シートとを備え、前記吸水性繊維は、アクリロニトリル系重合体からなる繊維に、−COOX(X:アルカリ金属またはNH
4)で示される塩型カルボキシル基を0.1〜4.0mmol/g含有してなり、少なくとも繊維外層部の一部が親水性架橋重合体からなり、残部がアクリロニトリル系重合体で構成され、且つ2〜300cc/gの水膨潤度を有する水膨張繊維であることを特徴とする。
【0016】
またコンクリート養生マットにおいて、前記被覆シートは、遮水性を有し、前記湿潤シートの乾燥を抑制することが好ましい。
【0017】
またコンクリート養生マットにおいて、前記被覆シートは、熱反射層を有することが好ましい。
【0018】
またコンクリート養生マットにおいて、前記被覆シートは、断熱部材を含むことが好ましい。
【0019】
またコンクリート養生マットは、さらに、透水性を有する剥離用シートを備え、前記湿潤シートの、前記被覆シートが積層された側の反対側に、前記剥離用シートが積層されていることが好ましい。
【0020】
またコンクリート養生マットにおいて、前記剥離用シートは、レーヨンを30%以上含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係るコンクリート養生マットは、吸水性繊維と吸湿発熱繊維とを含む湿潤発熱シートを備えることにより、養生初期に散水した際に吸湿発熱繊維が水を吸収することで、養生マットの熱伝達率が低減し保温効果を高めるので、従来よりも外気温が低い状況において保温養生を行うことができる。
【0022】
本発明に係るコンクリート養生マットは、アクリロニトリル系重合体からなる繊維に、−COOX(X:アルカリ金属またはNH
4)で示される塩型カルボキシル基を0.1〜4.0mmol/g導入してなり、少なくとも繊維外層部の一部が親水性架橋重合体からなり、残部がアクリロニトリル系重合体で構成され、且つ2〜300cc/gの水膨潤度を有する水膨張繊維である吸水性繊維を含むので、従来よりも長くコンクリートの湿潤状態を保つことができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(実施形態1)
実施形態1に係るコンクリート養生マットは、吸水性繊維と吸湿発熱繊維とを含む湿潤発熱シートと、断熱部材を含む保温シートとを備え、前記湿潤発熱シートと前記保温シートとが積層されていることを特徴とする。該コンクリート養生マットは、吸水性繊維と吸湿発熱繊維とを含む湿潤発熱シートを備えることにより、養生初期に散水した際に吸湿発熱繊維が水を吸収することで、養生マットの熱伝達率が低減し保温効果を高めるので、従来よりも外気温が低い状況において保温養生を行うことができる。
【0025】
図1は、実施形態1に係るコンクリート養生マットの断面図である。
図1に示すようにコンクリート養生マット1は、湿潤発熱シート10と保温シート50とを備え、湿潤発熱シート10と保温シート50とが積層されており、冬季に使用することを想定して作製されたものである。
【0026】
湿潤発熱シート10は、高い吸水性を有する吸水性繊維11(図示せず)と、吸湿発熱性を有する吸湿発熱繊維12(図示せず)とを含み、吸水性と吸湿発熱性とを兼ね備える。
吸水性繊維11は、1cc/g以上の水膨潤度を有する水膨張性繊維であり、1.5cc/g以上の水膨潤度を有することが好ましく、2cc/g以上の水膨潤度を有することがより好ましい。吸水性繊維11は、特に、アクリロニトリル系重合体からなる繊維に、−COOX(Xはアルカリ金属またはNH
4)で示される塩型カルボキシル基を0.1〜4.0mmol/g含有してなり、少なくとも繊維外層部の一部が親水性架橋重合体からなり、残部がアクリロニトリル系重合体で構成され、且つ2〜300cc/gの水膨潤度を有することが望ましい。ここで、「酸型カルボキシル基」とは−COO−が水素イオンと結合したH型であるものとする。「塩型カルボキシル基」とは−COO−が水素イオン以外の陽イオンと結合したものとする。また、「カルボキシル基」とは−COOを含むもの全てとする。
【0027】
このような構成により吸水性繊維11が高い吸水性を有するため、コンクリート養生マット1は、従来よりも長くコンクリートの湿潤状態を保つことができる。なお、吸水性繊維11は、上記範囲となるような塩型カルボキシル基を有し、ヒドロゲル外層とAN系重合体との多層構造を有し、且つ上記範囲となるような水膨潤度を有する繊維であればよい。また吸水性繊維11の水膨潤度は、3〜200cc/gであることがより好ましい。該水膨潤度が推奨範囲の下限未満の場合には吸水性繊維11の吸水性が不足し、上限を超える場合には該繊維をシート状に形成することが難しくなる。また、アクリロニトリル系重合体が、50質量%以上のアクリロニトリルを含有することが好ましい。
【0028】
また吸水性繊維11は、塩型カルボキシル基を0.5〜3.5mmol/g含有することがより好ましく、0.5〜2.0mmol/g含有することがさらに好ましい。該塩型カルボキシル基が推奨範囲の下限未満の場合には吸水性繊維11の水膨張性能が不十分となり、上限を超える場合には柔軟性に乏しくなり脆くなる。また吸水性繊維11は、塩型カルボキシル基として、Li、K、Na等のアルカリ金属や、NH
4を用いることができ、これらを2種以上混合して用いてもよい。
【0029】
また吸水性繊維11は、通常の衣料用繊維と同様の紡績等の加工性の確保、あるいは最終製品の腰、耐へたり性等の諸性能の改善のために、捲縮を有することが好ましい。吸水性繊維11の製造方法等については特開昭55−132754号公報に開示されている。湿潤発熱シート10は吸水性繊維11を20g/m
2以上の割合で含んでいることが好ましい。
【0030】
吸湿発熱繊維12は、吸湿した時の発熱量(吸湿発熱量)が乾燥繊維1g当たり65cal以上であり、100cal以上であることが好ましく、130cal以上であることがより好ましい。吸湿発熱繊維12は、特に、ヒドラジン系化合物による架橋処理によって導入される窒素含有量の増加が、1.0〜10.0質量%である架橋アクリル系繊維であって、残存ニトリル基の一部が1.0〜10.0meq/gの塩型カルボキシル基に、存在すればその残部が酸型カルボキシル基および/またはアミド基に変換されており、標準状態(20℃,65%RH)において、吸湿した時の発熱量(吸湿発熱量)が乾燥繊維1g当たり130〜800calであることが望ましい。
【0031】
このような構成により、吸湿発熱繊維12が、養生初期に散水した際に水を吸収することで、養生マットの熱伝達率が低減し保温効果を高めるので、従来よりも外気温が低い状況において保温養生を行うことができる。
【0032】
吸湿発熱繊維12に使用するヒドラジン系化合物は、窒素含有量が上記範囲となるような化合物であればよい。吸湿発熱繊維12は、ヒドラジン系化合物として、水加ヒドラジン、硫酸ヒドラジン、塩酸ヒドラジン、臭素酸ヒドラジン、ヒドラジンカーボネート、及びエチレンジアミン、硫酸グアニジン、塩酸グアニジン、リン酸グアニジン、メラミン等のアミノ基を複数含有する化合物を用いることができる。吸湿発熱繊維12に使用する塩型カルボキシル基の量は4.8〜10.0meq/gであることが好ましい。なお、吸湿発熱繊維12の製造方法等については特開平9−158040号公報に開示されている。なお、吸水性繊維11と吸湿発熱繊維12とは繊維レベルで混ぜ合わされてシート化されている。
【0033】
保温シート50は断熱部材を含む被覆シートであり、湿潤発熱シート10に吸収された水を、乾燥を抑制しつつ保温する機能を有する。なお、保温シート50は発泡ポリエチレンであることが好ましく、厚さは5〜30mmであることが好ましい。
【0034】
実施形態1に係るコンクリート養生マット1は、吸水性繊維11と吸湿発熱繊維12とを含む湿潤発熱シート10を備えるので、養生初期に散水した際に吸水性繊維11が水を吸収し、吸湿発熱繊維12が水を吸収することで、養生マットの熱伝達率が低減し保温効果を高めることができる。また湿潤発熱シート10に保温シート50を積層するので、湿潤発熱シート10に吸収されている水を、保温シート50により乾燥を抑制しつつ保温することができる。よって、従来よりも外気温が低い状況において保温養生を行うことができる。
【0035】
(実施形態1の変形例)
図2は、実施形態1の変形例(以下「変形例1」)に係るコンクリート養生マットの断面図である。
図2に示すように、変形例1に係るコンクリート養生マット1Aは、コンクリート養生マット1の構成に、さらに透水性を有する剥離用シート13を備える。
【0036】
剥離用シート13は、湿潤発熱シート10の、保温シート50が積層された側の反対側に積層されており、透水性を有しているので湿潤発熱シート10が保持する水分を透過してコンクリートの表面を濡らすことができる。なお、剥離用シート13は、湿潤発熱シート10よりもコンクリートの表面に張り付き難いことが好ましい。また、剥離用シート13に、綿、麻、毛、絹、レーヨン、キュプラ、ポリノジック、アセテート、トリアセテート等の親水性繊維を用いることで透水性を得ることができ、ポリエステル、アクリル、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン等の疎水性繊維であっても生地の目を粗くすることで透水性を得ることもできる。特に剥離用シート13には、レーヨンを30%以上含むことが好ましく、レーヨン・スパンレースを用いることがより好ましい。
【0037】
変形例1に係るコンクリート養生マット1Aは、実施形態1に係るコンクリート養生マット1に、さらに透水性を有する剥離用シート13を備える構成なので、湿潤発熱シート10によるコンクリートの湿度や温度を保つ作用を邪魔することなく、養生後にコンクリート養生マット1をコンクリートから容易に剥がすことができ、吸水性繊維11及び吸湿発熱繊維12がコンクリートに張り付いて残るような事態を防止することができる。
【0038】
(実施形態2)
実施形態2に係るコンクリート養生マットは、吸水性繊維を含む湿潤シートと、前記湿潤シートに積層された被覆シートとを備え、前記吸水性繊維は、アクリロニトリル系重合体からなる繊維に、−COOX(X:アルカリ金属またはNH
4)で示される塩型カルボキシル基を0.1〜4.0mmol/g含有してなり、少なくとも繊維外層部の一部が親水性架橋重合体からなり、残部がアクリロニトリル系重合体で構成され、且つ2〜300cc/gの水膨潤度を有する水膨張繊維であることを特徴とする。
【0039】
図3は、実施形態2に係るコンクリート養生マットの断面図である。
図3に示すようにコンクリート養生マット2は、湿潤シート20と保温シート50とを備え、湿潤シート20と保温シート50とが積層されており、冬季に使用することを想定して作製されたものである。ここで実施形態1のコンクリート養生マット1と同様の構成要素には同一番号を記し、その説明を省略する。
湿潤シート20は、吸水性繊維11(図示せず)を含む。実施形態2では、湿潤シート20は吸水性繊維11を20g/m
2以上の割合で含んでいることが好ましい。
【0040】
実施形態2に係るコンクリート養生マット2は、吸水性繊維11を含む湿潤シート20を備え、吸水性繊維11が1cc/g以上の水膨潤度を有する構成なので、養生初期に散水した際に、吸水性繊維11が水を従来よりも多量に吸収し蓄えることができる。さらに湿潤シート20に保温シート50を積層するので、吸水性繊維11に吸収された水を、保温シート50により乾燥を抑制しつつ保温することができる。よって、実施形態2に係るコンクリート養生マット2は、従来よりも長くコンクリートの湿潤状態を保ちつつ保温することができる。
【0041】
また、実施形態2に係るコンクリート養生マット2は、実施形態1の湿潤発熱シート10のように、湿潤シート20が吸湿発熱繊維12を含まないので、実施形態1のコンクリート養生マット1よりも安価に製造することができ、あるいは吸水性繊維11を含む割合をより多くしてより多くの水を吸収することや、保温シート50を厚くしてより保温性能をより高めることができる。外気温が低い状況においては、養生初期に散水する水を温めておけば、温められた水を湿潤シート20が吸収し、これを保温シート50が乾燥を抑制しつつ保温することができる。このようにすれば、実施形態2に係るコンクリート養生マット2は、実施形態1に係るコンクリート養生マット1よりも安価でありながら、コンクリート養生マット1と同様に、従来よりも外気温が低い状況において保温養生を行うことも可能である。
【0042】
(実施形態2の変形例)
図4は、実施形態2の変形例(以下「変形例2」)に係るコンクリート養生マットの断面図である。
図4に示すように、変形例2に係るコンクリート養生マット2Aは、コンクリート養生マット2の構成に、さらに透水性を有する剥離用シート21を備える。
【0043】
剥離用シート21は、湿潤シート20の、保温シート50が積層された側の反対側に積層されており、透水性を有しているので湿潤シート20が保持する水分を透過してコンクリートの表面を濡らすことができる。なお、剥離用シート21の特徴は、変形例1の剥離用シート13と同様である。
【0044】
変形例2に係るコンクリート養生マット2Aは、実施形態2に係るコンクリート養生マット2に、さらに透水性を有する剥離用シート21を備える構成なので、湿潤シート20によるコンクリートの湿度や温度を保つ作用を邪魔することなく、養生後にコンクリート養生マット2をコンクリートから容易に剥がすことができ、吸水性繊維11がコンクリートに張り付いて残るような事態を防止することができる。
【0045】
(実施形態3)
図5は、実施形態3に係るコンクリート養生マットの断面図である。
図5に示すようにコンクリート養生マット3は、湿潤シート30と被覆シート60とを備え、湿潤シート30と被覆シート60とが積層されており、冬季以外(特に夏季)に使用することを想定して作製されたものである。ここで実施形態1のコンクリート養生マット1、及び実施形態2のコンクリート養生マット2と同様の構成要素には同一番号を記し、その説明を省略する。
【0046】
湿潤シート30は、実施形態2の湿潤シート20と同様に、吸水性繊維11(図示せず)を含む。湿潤シート30は、気温が高い夏季において湿潤状態を長く保持させるために、湿潤シート20よりも吸水性繊維11を多く含み、その他の点については湿潤シート20と同様の構成である。具体的には、実施形態2の湿潤シート20は吸水性繊維11を20g/m
2以上の割合で含んでいることが好ましいが、湿潤シート30は吸水性繊維11を30g/m
2以上の割合で含んでいることが好ましい。
【0047】
被覆シート60は、遮水性を有し、湿潤シート30の乾燥を抑制する機能を有する。なお、被覆シート60はポリエチレンフィルムであることが好ましく、厚さは50〜200μmであることが好ましい。
【0048】
実施形態3に係るコンクリート養生マット3は、吸水性繊維11を含む湿潤シート30を備え、吸水性繊維11が1cc/g以上の水膨潤度を有する構成なので、養生初期に散水した際に、吸水性繊維11が水を従来よりも多量に吸収し蓄えることができる。さらに湿潤シート30に被覆シート60を積層するので、吸水性繊維11に吸収された水を、被覆シート60により乾燥を抑制することができる。よって、実施形態3に係るコンクリート養生マット3は、従来よりも長くコンクリートの湿潤状態を保つことができる。
【0049】
(実施形態3の変形例)
図6は、実施形態3の変形例(以下「変形例3」)に係るコンクリート養生マットの断面図である。
図6に示すように、変形例3に係るコンクリート養生マット3Aは、コンクリート養生マット3の構成に、さらに透水性を有する剥離用シート31を備える。
【0050】
剥離用シート31は、湿潤シート30の、被覆シート60が積層された側の反対側に積層されており、透水性を有しているので湿潤シート30が保持する水分を透過してコンクリートの表面を濡らすことができる。なお、剥離用シート31の特徴は、変形例1の剥離用シート13と同様である。
【0051】
変形例3に係るコンクリート養生マット3Aは、実施形態3に係るコンクリート養生マット3に、さらに透水性を有する剥離用シート31を備える構成なので、湿潤シート30によるコンクリートの湿度や温度を保つ作用を邪魔することなく、養生後にコンクリート養生マット3をコンクリートから容易に剥がすことができ、吸水性繊維11がコンクリートに張り付いて残るような事態を防止することができる。
【0052】
(実施形態4)
図7は、実施形態4に係るコンクリート養生マットの断面図である。
図7に示すように、実施形態4に係るコンクリート養生マット4は、実施形態3のコンクリート養生マット3の構成に、さらに熱反射層40を有する。ここで実施形態1のコンクリート養生マット1、実施形態2のコンクリート養生マット2、及び実施形態3のコンクリート養生マット3と同様の構成要素には同一番号を記し、その説明を省略する。
【0053】
熱反射層40は、被覆シート60の、湿潤シート30が積層された側の反対側に積層されており、赤外線等の熱線や熱を反射するので、輻射熱等による温度上昇を抑制することができる。なお、熱反射層40には、厚み3〜30μm程度のアルミ箔を用いることができる。
【0054】
実施形態4に係るコンクリート養生マット4は、実施形態3に係るコンクリート養生マット3に、さらに熱反射層40を備える構成なので、夏季の日中等において、湿潤シート30が保持する水分が加熱されて蒸発し易くなるような事態を抑制することができる。また、コンクリートの温度が日射によって過度に熱くなることを抑制することができる。
【0055】
(実施形態4の変形例)
図8は、実施形態4の変形例(以下「変形例4」)に係るコンクリート養生マットの断面図である。
図8に示すように、変形例4に係るコンクリート養生マット4Aは、コンクリート養生マット4の構成に、さらに透水性を有する剥離用シート31を備える。ここで実施形態4のコンクリート養生マット4、及び変形例3のコンクリート養生マット3Aと同様の構成要素には同一番号を記し、その説明を省略する。
【0056】
変形例4に係るコンクリート養生マット4Aは、実施形態4のコンクリート養生マット4と変形例3のコンクリート養生マット3Aとを組み合わせた構成であり、これら両方の効果を有する。なお、特に矛盾しない限り、実施形態1〜4、及び変形例1〜4を適宜組み合わせることができる。
【実施例】
【0057】
以下に実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(性能検証試験の概要)
外気の変動の影響を避けるため恒温室内で実施した性能検証試験について記す。
当試験において使用したコンクリート養生マットは、冬季用2種類、夏季用2種類、及び比較用1種類である。ここで冬季用Aは変形例2のコンクリート養生マット2Aに相当し、吸水性繊維11を40g/m
2割合で含み、吸水性能の実測値は2,396g/m
2であり、保温シート50の厚さは10mmである。冬季用Bは変形例1のコンクリート養生マット1Aに相当し、吸水性繊維11を40g/m
2割合で含み、吸水性能の実測値は3,157g/m
2であり、保温シート50の厚さは10mmである。また夏季用Aは変形例3のコンクリート養生マット3Aに相当し、吸水性繊維11を60g/m
2割合で含み、吸水性能の実測値は3,751g/m
2であり、被覆シート60の厚さは100μmである。夏季用Bは変形例4のコンクリート養生マット4Aに相当し、吸水性繊維11を60g/m
2割合で含み、吸水性能の実測値は3,392g/m
2であり、被覆シート60の厚さは100μmである。比較用は、一般的な合成繊維製のコンクリート養生マットであり、アクリルとポリエステルからなり、吸水性能の実測値は1,539g/m
2であり、当試験では冬季用に使用するものを冬季比較用と記し、夏季用に使用するものを夏季比較用と記すものとする。
【0058】
図9(a)、(b)は、当試験に用いたコンクリート試験体を養生製作する際の型枠を示す断面図である。
図9(a)に示す型枠は、質量計測用試験体(縦300mm×横300mm×高さ50mm)を養生製作する際に用いる質量計測用型枠であり、(b)に示す型枠は、温度計測用試験体(縦300mm×横300mm×高さ250mm)を養生製作する際に用いるものである。各型枠は、側面と底面とを合板製とし、その内側に硬質ウレタンフォーム(厚さ100mm程度)を断熱のために設けている。また当試験では、これらの型枠は試験終了時まで取り外さないこととした。また、温度計測用試験体には、上から見て略中央の位置の、表面、表面から10mm、50mm、125mm、200mmの5箇所に温度計測用の熱電対を設置した。
【0059】
コンクリートの配合は、粗骨材最大寸法25mm、目標スランプ8±2.5cm、水セメント比(水/セメント)47.5%、空気量4.5±1.5%、水(W)156kg/m
3、セメント(C:普通ポルトランドセメントを使用)328kg/m
3、細骨材(S)826kg/m
3、粗骨材(G)1,014kg/m
3、混和剤(Ad:AE減水剤を使用)3.85kg/m
3である。
【0060】
(保水性能検証)
上記質量計測用型枠を6つ用意し、室温一定(冬季用5℃、夏季用30℃)、湿度一定(冬季用平均相対湿度49%〔実測値〕、夏季用平均相対湿度43%〔実測値〕)で、各質量計測用型枠に上記コンクリートを打ち込み、冬季用は7時間経過後、夏季用は4時間経過後に、縦300mm×横300mmの各コンクリート養生マット(冬季用A、冬季用B、冬季比較用、夏季用A、夏季用B、夏季比較用の6つ)をそれぞれ、各質量計測用試験体の表面に敷設して、各コンクリート養生マットの吸水性能に見合う量の水を吸収させた。
【0061】
その後、室温及び湿度一定のまま水の補給を行わず、養生期間(冬季用14日、夏季用7日)において、各コンクリート養生マット及び各質量計測用試験体の質量を測定し、各コンクリート養生マットの保水量及び各質量計測用試験体の質量の変化を記録した。
図10は、各コンクリート養生マットの保水量の変化を示すグラフである。
図11は、各質量計測用試験体の質量の変化を示すグラフである。
【0062】
図10を見ると、冬季用A及び冬季用Bでは、養生期間の最後の14日目まで保水しており、冬季比較用では1日目に保水量がほぼ0となっていることがわかる。これにより冬季用A及び冬季用Bを用いた場合に、従来よりも長くコンクリートの湿潤状態を保つことができ、養生期間の最後までコンクリートの湿潤状態を保てることがわかった。
【0063】
同じく
図10を見ると、夏季用A及び夏季用Bでは、3日目に保水量がほぼ0となっており、夏季比較用では1日目に該保水量がほぼ0となっていることがわかる。これにより夏季用A及び夏季用Bを用いた場合に、従来よりも長く質量計測用試験体の湿潤状態を保つことができたが、養生期間の最後まで質量計測用試験体の湿潤状態を保つことはできなかった。しかしながら、当試験は、夏季用室温が30℃、夏季用平均相対湿度が43%の環境で行っており、実際の環境よりも湿度が低い状態であったために乾燥が速かったものと推測され、実際にはもう少し長くコンクリートの湿潤状態を保てるものと思われる。
【0064】
図11を見ると、冬季用A及び冬季用Bでは、養生期間の最後の14日目まで、質量計測用試験体の質量がほとんど変化していないことがわかる。一方冬季比較用、夏季用A、夏季用B、夏季比較用では日を追うごとに質量計測用試験体の質量が減少している。吸水性繊維11は、保水量が残り少なくなると、コンクリートから水分を吸収してしまうのではないかという懸念があったが、コンクリート養生マットの保水量が満水時の1/20程度(
図10の冬季用Bにおいて、0日目約210gに対し、14日目約10g)になっても、ほとんど質量計測用試験体から水分が吸収されることがなかった。これにより冬季用A及び冬季用Bを用いた場合に、養生期間の最後まで、コンクリートの湿潤状態を良好に保てることがわかった。
【0065】
同じく
図11を見ると、夏季用A及び夏季用Bでは、夏季比較用よりも、養生期間の最初から最後まで、質量計測用試験体の質量の絶対量が多いことがわかる。当試験では、3日目に夏季用A及び夏季用Bの保水量がほぼ0となってしまったが、それでも夏季用A及び夏季用Bを用いた場合に、コンクリートの水分量を夏季比較用よりも多く保てることがわかった。
【0066】
(保温性能検証)
上記温度計測用型枠を3つ用意し、室温一定(冬季用5℃)、湿度一定(冬季用平均相対湿度49%〔実測値〕)で、各温度計測用型枠に上記コンクリートを打ち込み、7時間経過後に、縦300mm×横300mmの各コンクリート養生マット(冬季用A、冬季用B、冬季比較用の3つ)をそれぞれ、各温度計測用試験体の表面に敷設して、各コンクリート養生マットの吸水性能に見合う量の水を吸収させた。
【0067】
その後、室温及び湿度一定のまま水の補給を行わず、養生期間(冬季用14日)において、各温度計測用試験体の表面から50mmに設置した熱電対を用いて、各温度計測用試験体の温度の変化を測定した。
図12は、各温度計測用試験体の温度の変化を示すグラフである。
【0068】
図12を見ると、冬季用A及び冬季用Bでは、1日目あたりで最高温度(冬季用Aで約19℃、冬季用Bで約20℃)に到達し、以後緩やかに温度が降下していることがわかる。一方冬季比較用では、最高温度が約15℃と低く、以後緩やかに温度が降下しているが、全体的に温度が低い。これにより冬季用A及び冬季用Bを用いた場合に、従来よりも長くコンクリートの温度を保てることがわかった。
【0069】
(コンクリート養生マットの熱伝達率算定)
上記保温性能検証の後の、冬季用Aを用いて養生した温度計測用試験体A、冬季用Bを用いて養生した温度計測用試験体B、冬季比較用を用いて養生した温度計測用試験体Cについて、各温度計測用試験体の温度がほぼ室温と同じ温度になった状態において室温を変化させ、各温度計測用試験体に設置した熱電対を用いて、各温度計測用試験体の温度の変化を測定した。ここで、室温を変化させる度に、各々新しいコンクリート養生マットに取り替えて、各コンクリート養生マットの吸水性能に見合う量の水を吸収させた。
【0070】
室温の変化は、10℃から5℃に変化させる場合と、5℃から30℃に変化させる場合とについて行い、それぞれ無風時と、送風時(風速5.9m/s)との2パターンの測定を行った。ここで送風時においては、送風機からの風をビニール製のトンネルを介して各温度計測用試験体の前方からあて、各温度計測用試験体の後方において風速を測定した。
【0071】
温度変化の測定結果をもとに温度解析を行い、各コンクリート養生マットの熱伝達率を算出した。また当試験で使用した温度計測用試験体は、実測の結果、熱伝導率約1.73W/(m・℃)、比熱約916J/(kg・K)、密度約2320kg/m
3であった。
各コンクリート養生マットの熱伝達率の算定結果を表1に示す。
【0072】
【表1】
【0073】
ここで算出した熱伝達率は、各温度計測用試験体の表面から50mmにおける温度変化を基準とし、解析結果と実測値とを同定することにより得られたものである。
表1をみると、冬季用A及び冬季用Bは、冬季比較用に比べ熱伝達率がかなり低く、保温性能が高いことがわかる。また表1をみると、冬季用Aの熱伝達率が一番低いことがわかる。これは、冬季用Aは吸湿発熱繊維12を含むことにより、その分だけ質量が増加し吸水量が多くなり、最も熱を逃がし難くなったためであると考えられる。