【文献】
H. Buelow et al.,High Bit-Rate MIMO Transport over Multimode Fiber, 16th Opto-Electronics And Communications Conference, OECC 2011,2011年 7月,p.413-414
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
2つの入力光信号および2つの結合された光信号が、デカルト座標系のx軸およびy軸を形成すると考えられる場合に、1つまたは複数の光カプラは、2つの結合された光信号を作るために回転値θだけ2つの入力光信号の回転を実行するように配置される、請求項2に記載の光学的処理システム。
光学的処理コアの1つもしくは複数のパラメータと呼ばれる、1つもしくは複数の移相器の1つもしくは複数の位相値φおよび/または1つもしくは複数のカプラの1つもしくは複数の回転値θは、調整可能である、請求項4のいずれかに記載の光学的処理システム。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様によれば、光学的処理システム、たとえば、光multiple input multiple output(MIMO)処理システムを説明する。光学的処理システムは、複数の光(空間および/または偏光)モードを搬送するように構成された
マルチモードファイバに関連して使用されてもよい。このために、光学的処理システムは、光学的処理システムの第1の端部の
マルチモードファイバへのインターフェースを含むことができる。さらに、光学的処理システムは、光学的処理システムの第1の端部のM個の第1の単一モード導波路を含むことができ、M>2である(たとえば、M>3または4または5または6または7または8または9)。M個の第1の導波路は、
マルチモードファイバへのインターフェースに結合されてもよい。第1の導波路は、それぞれM個の第1の光信号を搬送するように構成される。さらに、光学的処理システムは、光学的処理システムの第2の端部のN個の第2の単一モード導波路を含み、N>1である(たとえば、N>2または3または4または5または6または7または8または9)。第2の導波路は、それぞれN個の第2の光信号を搬送するように構成され、N個の第2の光信号は、
マルチモードファイバによって搬送されるN個の(空間および/または偏光)モードに関連する。Mは、N以上とすることができる。
【0006】
さらに、光学的処理システムは、第1の光信号を第2の光信号に変換するように構成された光学的処理コアを含む。このために、光学的処理コアは、光学的処理コア内で1つまたは複数の導波路によって搬送される光信号を操作するように構成された複数の光学的処理コンポーネント(光学的処理ユニットとも呼ばれる)を含むことができる。具体的には、光学的処理コアは、N個の第2の光信号の少なくとも1つ(たとえばすべて)がM個の第1の光信号のうちの一部またはすべてからの寄与を含む、たとえばN個の第2の光信号の少なくとも1つまたはすべてがM個の第1の光信号のすべての線形
結合になるように、M個の第1の光信号の一部またはすべて(たとえば、それぞれ)をお互いに結合する複数の光カプラを含むことができる。このために、光カプラは、2つの光導波路によってトラバースされてもよく、光カプラは、2つの光導波路の間の結合の度合を定義する回転値θを使用することができる。光学的処理コアは、伝達行列を実施するのに十分な光カプラを含むことができる。
【0007】
全体的に、光学的処理コアは、たとえば伝達行列Hを使用して、M個の第1の光信号の間の相関と比較して、N個の第2の光信号の間の相関を減らすように構成され、または既に設計されているものとすることができる。相関は、タイムラインに沿った少なくとも2つの光信号の間の相関に関するものとすることができる。M個の第1の光信号およびN個の第2の光信号は、それぞれM個の第1のディジタル信号およびN個の第2のディジタル信号として表現可能であり得る。変換行列Hすなわち光学的処理コアは、N個の第2のディジタル信号のすべての対の間の相関が、M個の第1のディジタル信号のすべての対の間の相関より少なくなることを保証することができる。この文脈では、相関は、所定の時間期間にわたる2つのディジタル信号の乗算されたサンプルの(移動)平均として
決定されてもよい。
【0008】
光学的処理コアは、1つまたは複数の光学的処理ステージを含むことができる。1つまたは複数の光学的処理ステージは、複数の単一モードステージ導波路によってトラバースされる。複数のステージ導波路は、光学的処理ステージの第1の端部でM個の第1の導波路のうちの少なくとも3つに結合される。好ましい実施形態では、複数のステージ導波路は、光学的処理ステージの第1の端部でM個の第1の導波路のすべてに(間接的に)結合される。これは、光学的処理ステージが、M個の第1の光信号のすべてから導出される1つまたは複数の光信号を処理できることを意味する。
【0009】
さらに、複数のステージ導波路は、光学的処理ステージの第2の端部でN個の第2の導波路のうちの少なくとも1つに結合される。これは、光学的処理ステージが、N個の第2の光信号のうちの少なくとも1つに寄与する光信号を提供することを意味する。
【0010】
光学的処理ステージは、移相器および光カプラのうちの1つまたは複数を含むことができる。移相器は、通常、複数のステージ導波路のうちの少なくとも1つに適用され、移相器は、位相値φ(本文書ではΦとも呼ばれる)によって複数のステージ導波路のうちの1つの上の光信号の位相をシフトするように構成される。光カプラは、通常は複数のステージ導波路のうちの2つに適用される。光カプラは、カプラの第2の端部で複数のステージ導波路のうちの2つの上の2つの結合された光信号を提供するために、回転値θを使用してカプラの第1の端部で複数のステージ導波路のうちの2つの上の2つの入力光信号を混合するように構成される。光カプラの機能は、2つの入力光信号および2つの結合された光信号が、デカルト座標系のx軸およびy軸を形成すると考えられる場合に、光カプラは、2つの結合された光信号を作るために回転値θによる2つの入力光信号の回転を実行するように構成されると説明することができる。
【0011】
一実施形態では、処理ステージは、ステージ導波路の1つまたは複数の異なる対(ステージ導波路のそれぞれは、多くとも1つの対に含まれる)を処理する1つまたは複数の光カプラを含む。光学的処理コアは、M個の第1の光信号のすべてがN個の第2の光信号のそれぞれに寄与できることを保証するために、順番の処理ステージのシーケンスを含むことができ、第1の光学的処理ステージの第2の端部の複数のステージ導波路は、入れ換えられた形で第2の光学的処理ステージの第1の端部の複数のステージ導波路に結合される。したがって、ステージ導波路の異なる対が、第1の処理ステージではなく第2の処理ステージ内の光カプラによって処理されてもよい。N>2について、光学的処理コアがN−1個以下の処理ステージを含む場合に、M個の第1の光信号のそれぞれが、N個の第2の光信号のそれぞれに寄与できることを示すことができる。しかし、一般に、N−1個を超えるステージによってこれを実現することもできる。各処理ステージは、M/2個以下のカプラを含むことができる。
【0012】
M個の第1の光信号は、
マルチモードファイバの端面上のM個の異なる空間的位置での光学場分布の対応するM個のサンプルに関連することができる。言い替えると、M個の第1の光信号は、
マルチモードファイバの端面のM個の異なる位置で光学場分布をサンプリングすることによって入手され得る。M個の異なる位置は、通常、サンプリングされるN個の空間モードの対称性に依存して選択される。具体的には、M個の異なる位置は、通常、M個の空間サンプルを使用して
マルチモードファイバのN個の空間モードの間の区別を可能にするように選択される。言い替えると、M個の異なる位置は、N個の異なる空間モードの場の分布がM個の空間サンプルの異なるセットにつながるように選択されなければならない。
【0013】
光学的処理コアの伝達行列Hは、N個の第2の光信号が
マルチモードファイバによって搬送されるN個のモードを表すように設計されてもよい。言い替えると、伝達行列Hは、M個の空間サンプルがN個のモードに変換されるように設計されてもよい。
【0014】
たとえば、これは、M個のサンプルが、
マルチモードファイバによって搬送されるN個の空間モードのうちの単一の1つの光学場分布に関連するという条件の下で、光学的処理コアが、M個の第1の光信号をN個の第2の光信号のうちの単一の1つに組み合わせるように構成されるように光学的処理コアを選択することによって達成され得る。光システムの可逆性を考慮すると、逆の条件も通常はあてはまる、すなわち、M個のサンプルが、
マルチモードファイバによって搬送されるN個の空間モードのうちの単一の1つの光学場分布に関連するという条件の下で、光学的処理コアは、N個の第2の光信号のうちの単一の1つからM個の第1の光信号を生成するように構成される。
【0015】
したがって、光学的処理システムは、
マルチモードファイバのN個のモードのうちの1つのサンプリングされた場のエネルギが、N個の第2の導波路のうちの正確に1つに集中される形で、M個の第1の導波路とN個の第2の導波路とを連結することができる。この条件は、N個のモードのすべておよびN個の第2の導波路のすべてについて満たされてもよい。すなわち、N個の空間モードの各単一の1つについて、光学的処理コアは、M個の第1の光信号をN個の第2の光信号の異なる単一の1つに組み合わせ、かつ/または逆に、N個の第2の光信号の異なる単一の1つからM個の第1の光信号を生成するように構成されてもよい。
【0016】
その結果、光(空間)モードマルチプレクサ/デマルチプレクサについて説明され得る。モードマルチプレクサ/デマルチプレクサは、N個の第2の単一モード導波路からのN個の第2の光信号を
マルチモードファイバのN個の空間モードに、および/またはその逆に結合するように構成され、N>1である。このために、空間モードマルチプレクサ/デマルチプレクサは、たとえば光学的処理システムのインターフェースの形で、M個の第1の単一モード導波路内で搬送されるM個の第1の光信号から
マルチモードファイバの端面のM個の異なる空間的位置で光学場分布のM個のサンプルを(M>2)を生成する(マルチプレクサ)および/またはその逆を生成する(デマルチプレクサ)ように構成された空間サンプラを含むことができる。さらに、モードマルチプレクサ/デマルチプレクサは、本文書で説明される光学的処理システムを含むことができる。光学的処理システムは、N個の第2の光信号からM個の第1の光信号を生成する(マルチプレクサ)および/またはその逆を生成する(デマルチプレクサ)ように構成される。
【0017】
光学的処理コアの1つもしくは複数のパラメータと呼ばれる、1つもしくは複数の移相器の1つもしくは複数の位相値φおよび/または1つもしくは複数のカプラの1つもしくは複数の回転値θは、調整可能とすることができる。この場合に、光学的処理システムは、適応光信号処理(たとえば、チャネル等化)に使用されてもよい。たとえば、光学的処理システムは、光学的処理コアの1つまたは複数のパラメータを
決定するように構成された制御ユニットを含むことができる。1つまたは複数のパラメータは、N個の第2の光信号に基づいて
決定され得る。具体的には、1つまたは複数のパラメータは、N個の第2の光信号の知られているまたは所望の特性(または性質)(たとえば、N個の第2の光信号の間の無相関性)に基づいて
決定されてもよい。たとえば、N個の第2の光信号を、
マルチモードファイバのN個のモードによって提供される通信チャネルを介して送信されるトレーニングシーケンスに関連付けることができる。その場合に、制御ユニットは、トレーニングシーケンスおよびN個の第2の光信号に基づいて1つまたは複数のパラメータを
決定するように構成され得る。
【0018】
したがって、
マルチモードファイバのN個の空間モードを介して送信されたN個の光信号を受信するように構成された光受信器であって、N>1である、光受信器について説明され得る。光受信器は、たとえば、光学的処理システムのインターフェースの形で、
マルチモードファイバからM個の単一モード導波路にM個の第1の光信号を抽出するように構成された
マルチモード光ファイバカプラ(M≧N)を含むことができる。そのような
マルチモードファイバカプラの例は、たとえば、結合された導波路構造である。さらに、光受信器は、本文書で説明される光学的処理システムを含む。光学的処理システムは、N個の第2の光信号を提供するためにM個の第1の光信号を処理するように構成される。この処理は、光学的処理システム内に含まれる1つまたは複数の移相器および/またはカプラの1つまたは複数のパラメータに従って実行される。さらに、光受信器は、N個の第2の光信号をN個の対応する受信された(電気またはディジタル)信号に変換するように構成されたN個の光電変換器を含むことができる。光学的処理システムの1つまたは複数のパラメータは、N個の受信された信号に基づいて
決定され得る。
【0019】
光学的処理システムは、偏波多重化と互換にされてもよく、すなわち、光学的処理システムは、空間モードだけではなく、偏光モードをも扱うことができることに留意されたい。このために、光学的処理システムは、M/2個の偏光多重化された信号からM個の第1の光信号を生成し、かつ/またはその逆を行う(その場合に、Mは通常は対である)ように構成されたM/2個の偏光ビームスプリッタをさらに含むことができる。
【0020】
本文書で概要を示される好ましい実施形態を含む方法およびシステムを、単独でまたは本文書で開示される他の方法およびシステムと組み合わせて使用できることに留意されたい。さらに、本文書で概要を示される方法およびシステムのすべての態様を、任意に組み合わせることができる。具体的には、特許請求の範囲の特徴を、任意の形でお互いと組み合わせることができる。
【0021】
本発明を、下で添付図面を参照して例示的な形で説明する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
導入セクションで概要を示したように、モードスプリッタ(および逆にモードコンバイナ)は、空間分割多重化(SDM)(またはモード分割多重化)に基づくMMF伝送を実現するために重要なコンポーネントである。
【0024】
モードスプリッタ/コンバイナは、MMF伝送ファイバの送信側および受信側に配置され、
マルチモード送信器の異なるピグテールをMMFの異なるMMFモード場(LPモード)に多重化し、あるいは、異なるMMFモード場(LPモード)を受信器の異なるピグテールに多重分離する。
【0025】
現在使用されているモードスプリッタ/コンバイナは、通常、出力のそれぞれにある
マルチモードパワーディバイダおよび異なるモード変換器(位相ホログラム)に基づく。バルク光パワーディバイダおよびモード変換器を含むモードスプリッタ/コンバイナ100の例を、
図1に示す。モードスプリッタ/コンバイナ100は、2つのSMFモード(LP01)を、それぞれMMFモードLP11aおよびLP11bに多重化する。そのようなモードスプリッタ/コンバイナの欠点は、パワーディバイダの使用に起因する比較的多い損失(1/N)および比較的高コストのバルク光実現である。
【0026】
モードスプリッタ/コンバイナ200の代替実現は、断熱変化する屈折率分布を有する結合された導波路構造(たとえば、フォトニック結晶ファイバ)に基づく(
図2を参照されたい)。導波路構造200は、MMFのLP(直線偏光)モードをSMF出力ピグテールの基本モードに変換する4つの結合された単一モード導波路によって形成される。モードスプリッタ/コンバイナ200は、原理的には無損失であるが、複雑な導波路構造の実現は、高コストになる可能性がある。さらに、より大きいモード数(N)へのモードスプリッタ/コンバイナ200のスケーラビリティは、挑戦的課題になる可能性がある。
【0027】
本文書では、光信号処理を利用するモードスプリッタ/モードコンバイナアーキテクチャを説明する。説明されるモードスプリッタ/コンバイナは、フォトニック集積回路(PIC)、たとえばシリコンPICを使用するコスト効率のよい実現を可能にする。さらに、説明されるモードスプリッタ/コンバイナは、相対的に少ない電力消費を示す。さらに、説明されるモードスプリッタ/コンバイナは、モードのより大きいモード数Nまでスケーラブルである。
【0028】
モードスプリッタ(モードコンバイナ)は、MMF場の異なる区域を光学的に空間サンプリングすることによって、すなわち、MMFの端面の異なる区域をサンプリングすることによって、実現されてもよい。MMF場の異なる区域のサンプリングは、複数のパッチP
1,…,P
Mを使用して実施することができ、Mは、パッチの総数である。いわゆるパッチは、1区域内の光学場を収集し、これを単一モード導波路または単一モードファイバの場に変換する。ある区域の光を、単一モード導波路またはその
マルチモード部分の基本モードがファイバの基本モード(
図3の導波路チューブを参照されたい)に断熱変換される導波路テーパーの基本モードに集中させるレンズまたはレンズ系で実現し得る。通常、パッチの個数Mは、MMF内で搬送されるモードの個数Nに基づいて選択される。N個のモードの分離(または結合)を可能にするために、Mは、N以上でなければならない。
図3a、bおよび4に、空間サンプラ300、400の例を示す。
図3aおよびbの空間サンプラ300は、MMF 301の端面の4つの異なる位置または区域で光をサンプリングし、これによってM=4のパッチP
1,…,P
4を提供するM=4のSMF 302を含む。
図4の空間サンプラ400は、垂直格子カプラ402を有するシリコンフォトニック集積回路(PIC)を使用してM=7のパッチを提供する。異なる応用例に関する
図4の技術プラットフォームの実例による説明は、引用により組み込まれているC.R.DoerrおよびT.F.Taunay、「Silicon Photonics Core−,Wavelength−,and Polarization−Diversity Receiver」、IEEE PHOTONICS TECHNOLOGY LETTERS、VOL.23、NO.9、2011年5月1日、597頁に見出すことができる。
【0029】
空間サンプラ300、400は、MMF場のM個のパッチまたはサンプルを提供し、N個のモードを分離するために、M個の空間サンプルにさらなる光学的処理を適用することが提案される。さらなる処理が、伝達関数Hを有するMIMOフィルタを提供する単一モード導波路フィルタ構造で実行されてもよい。
【0030】
受信器での光信号の偏光が、通常、多くの応用例で知られていないので、偏波ダイバーシティ動作でさらなる処理を実行することが有益である可能性がある。この場合に、空間サンプラ300は、
図3bに示されているように、偏光ビームスプリッタ(PBS)303を含むことができる。PBS 303は、m=1,…,M個の空間サンプルのそれぞれについて、2つの空間サンプルP
mxおよびP
myを提供する。その後、別々のMIMOフィルタ(HxおよびHy)が、XおよびYの偏光を個別に処理することができる。
【0031】
したがって、MMF信号の異なる区域の光を、空間サンプラ300、400のM個のパッチ302、402によって取り込むことができる。空間サンプラ300、400は、空間サンプリングされた光を、M個の単一モード導波路(またはファイバ)の基本モードに変換することができる。パッチの光すなわち、M個の単一モード導波路の光は、光MIMOフィルタ(NxM伝達行列Hを提供する)内で処理される。N個のLPモードの、i=01、11a、11bなどである信号A
LPiは、分離され、光MIMOフィルタの出力のN個の単一モード出力導波路に現れる。
【0032】
それぞれXおよびYの偏光に関する光MIMOフィルタ500、520の例を、
図5に示す。M=4の空間サンプル501が、空間サンプラ300、400からそれぞれのM個の単一モード入力導波路505を介して光MIMOフィルタ500、520に入る。光MIMOフィルタ500、520は、M個の単一モード入力導波路505のうちの1つまたは複数の光信号を変更するように構成された複数の光学的処理ユニット503、504を含む。光学的処理ユニット503、504の例は、調整可能な移相器503(位相パラメータφ)および調整可能なカプラ504(回転パラメータθ)である。光MIMOフィルタ500、520の出力では、MMF 301内で搬送されるN個のLPモードの、i=01、11a、11bなどであるN=3個の光信号A
LPiが、N個の単一モード出力導波路506内で供給される。たとえば、パッチ信号501 P1x、P2x、P3x、P4xが、N個の単一モード出力導波路506がMMF 301内で搬送されるN個のLPモードの、i=01、11a、11bなどである光信号A
LPiを搬送するように、光学的に処理される。同様の処理が、Y偏光について実行されてもよい。
【0033】
光学的処理ユニット503、504のパラメータは、MMFによって搬送される空間モードに関する理論的考慮事項に基づいて設計されてもよい。この概要が、下でさらに詳細に示される。その代わりにまたはそれに加えて、光学的処理ユニット503、504のパラメータは、初期トレーニングフェーズの文脈で調整され得る。そのようなトレーニングフェーズ中に、知られている光信号を、光伝送経路全体を介して伝送することができ、光学的処理ユニット503、504のパラメータを、受信器(光MIMOフィルタ500、520の下流)での誤り基準またはひずみ基準が最小にされるように適合させることができる。その代わりにまたはそれに加えて、パラメータを、光伝送経路全体の変化に連続的に適合させる(たとえば、適当な誤り基準またはひずみ基準に関連する定数剰余アルゴリズム(constant modulo algorithm、CMA)を使用して)ことができる。
【0034】
理論的な観点から、諸実施形態では、光MIMOフィルタ500、520と組み合わされた空間サンプラ300、400の使用は、次の態様に頼る。空間サンプラ300、400は、その出力(すなわち、
図3bのPBS 303の入力)で基本(LP01)モードを提供する。増加するパッチ数Mに伴って、結合されたパッチ導波路のM個の固有ベクトルの最小のN個は、MMFのN個の空間モードに収束する。言い替えると、ファイバの各LPモードは、支配的に、結合されたパッチの対応するモードにのみ結合する。さらに、MIMOフィルタH(HxおよびHy)500、520は、M個の入力を有するが出力の(等しいまたは減らされた)個数Nを有するMIMO全域通過である。フィルタH(HxおよびHy)500、520は、その空間的にサンプリングされた光信号がM個のパッチ導波路505内で搬送されるMMFのN個のモードの各モードを出力導波路506のうちの特定の1つに変換するように(「内部的に」)構成される。しかし、MMFのLPモードと同一のモードプロファイルを有するモードだけが、パッチで励起されるので、N個の出力だけが使用される。さらに、内部伝達行列Hは、K個の伝達関数T
i、i=1…L(
図5ではL=3)によって記述されるK個の処理ステージ507のカスケードによって形成されるユニタリ(無損失)回転行列である。L個の伝達ステージ507のそれぞれは、パワーまたは位相を分散させることによって回転を実行する。このために、伝達ステージ507は、1つまたは複数の光学的処理ユニット503、504を含む。上で示したように、光学的処理ユニット503、504は、分数(パワー)結合比(tan(θ))
2を有するカプラ504または位相φの位相シフトを施す移相器503とすることができる。全MIMOフィルタ伝達関数Hは、L個のステージの伝達関数をカスケードすることによって入手される、すなわち、H=T
L T
L−1 T
L−2…T
1である。カスケードされたステージ507の個数Lは、要求されるユニタリ変換を実行するのに十分でなければならず、通常は数値的に
決定され得る。処理ユニットの微調整(たとえば、熱光学移相器を使用する)は、限られた個数のパッチへおよびN個の出力ポート506の間の最大消衰への調節を可能にすることができる。
【0035】
次では、本文書で説明される空間モードマルチプレクサ(または、逆に空間モードデマルチプレクサ)を、さらに詳細に分析する。空間モードマルチプレクサ(SMMux)の基本的な機能性は、その振幅が2N次元複素振幅ベクトル
【0036】
【数1】
にまとめられる2N個の単一偏光入力信号Ch1x,Ch1y,Ch2x,Ch2y,…,ChNx,ChNyのセットを、
マルチモードファイバ(MMF)の2N個のモードのモードセットに結合することである。2N個の単一モードおよび単一偏光信号の振幅ベクトルに類似して、MMFの2N個のモードの振幅を、振幅ベクトル
【0037】
【数2】
によって表すことができる。次では、MMFのモードセットが、弱導波ファイバのLP(直線偏光)モードであると仮定する。この文脈では、各振幅Z
Chの下付きのxおよびyは、N個の空間LPモードのそれぞれ(Z
Ch..)が、それぞれ2つの直交偏光xおよびyに存在することを示す。理想的なSMMuxは、各入力信号を、損失なしで1つのみの専用のモードに結合する。これは、理想的なSMMuxの伝達関数を、サイズ2Nの単位行列I
2Nによって記述できることを意味する。それぞれN個の空間LPモード(X偏光およびY偏光内の)のおよびMMFの2N個のモードの振幅ベクトル
【0041】
以下では、MMFのモードが、MMFの断面(または端面)にまたがるM個の光パッチP
1,…,P
Mによって構成されるフェーズアレイ(phase−array)タイプの空間場シンセサイザ(spatial field synthesizer)によって励起されると仮定する。各パッチは、2つの直交偏光状態(SOP)xおよびyにある2つの入力信号の対(B
1x,B
1y),…,(B
Mx,B
My)を、各パッチの出力ファセットの励振場e
1,…,e
Mに変換する。以下の分析では、e
iの場分布f
i(i=1,…,M)は、パッチ出力のコア直径2rを有するLP
01モードのガウス関数であると仮定する。各パッチは、x偏光およびy偏光の成分e
i=(B
ixf
i,B
iyf
i)(i=1…M)を有するベクトル場e
i=(e
ix,e
iy)を生成する。便宜上、すべてのパッチへの入力信号を、励起振幅ベクトル
【0042】
【数6】
とまとめる。各パッチi=1…Mは、突き合わせ結合積分dZ
ji,pol=∫(e
*i,pol・e
LPj,pol)dAに従ってモードLP
j,polのモード振幅dZ
j,polを励起し、ここで、e
i,polおよびe
LPj,polは、それぞれ、単位パワーを搬送するパッチおよびMMFモードの正規化された複素場であり(i=1…M,j=1…N,およびpol=x,y)、dAは、
マルチモードファイバの端面の面積にわたる積分を示す。すべてのパッチによって形成される全体的な場は、e=Σe
iである。場全体は、振幅Z
j,polでLP
j,polモードを励起し、
【0046】
【数9】
との間の伝達関数は、サイズ
【0047】
【数10】
の結合行列Kによってまとめ得る。理想的なSMMuxの設計について、課題は、入力振幅
【0049】
【数12】
との間の全伝達行列が、低い損失および他のモードへの低い漏話を示すようになる、すなわち、K・HがI
2Nを近似するようになる、2N次元振幅ベクトル
【0050】
【数13】
によって表される送信器信号をパッチ入力信号
【0051】
【数14】
に変換する伝達関数Hを有する受動処理システムに関する解を見つけることである。
【0052】
パッチの個数Mの増加に伴って、全パッチ場は、LPモード場e
LPN,polをよりよく近似することができ、その結果として、結合損失ならびに他のモードへのクロスカップリングを、原理的には0まで減らすことができる。結合行列Kの各列を、MMFの断面にわたるLPモード場のサンプルのベクトルと考えることができるので、パッチの増加する個数Mは、結合行列Kの異なる列ベクトルK
i(i=1,…,2N)が、異なるLPモードを表し、したがって、異なるK
iが、ますます直交になる、すなわち、K
i・(K
j)
*が、Mの増加に伴ってi≠jについて0に収束することを暗示する。
【0053】
上記を考慮すると、適当なSMMuxの設計は、2つの課題に分割される。第1のステップでは、振幅A
Ch1x,A
Ch1y,…,A
ChNx,A
ChNyを有する2N個の信号すなわち2N個のベクトル(A
Ch1x,0,…,0,0)
T,(0,A
Ch1y,…,0,0)
T,(0,0,…,A
ChNx,0)
T,(0,0,…,0,A
ChNy)
Tを、伝達行列Hを使用して理論的には損失なしで2N個の直交ベクトル
【0054】
【数15】
への変換を可能にする導波路構造が存在することが動機を与える。第2のステップでは、パッチ数Mとモード数Nとの間のトレードオフを、パッチの制限された個数Mを有する低漏話励振を可能にするパッチのある幾何学的配置をより詳細に調べることによって議論する。
【0055】
以下では、3つの入力信号502を、それぞれ各入力信号についてfew−mode MMFのN=3個の異なる空間LPモード(LP01,LP11a,LP11b)を励起するフェーズドアレイパッチ刺激の3つの異なるセット
【0056】
【数16】
に変換する、光multiple−input multiple−output(MIMO)導波路フィルタ500、520(伝達関数Hを有する)の例を説明する。しかし、便宜上、以下では、逆問題すなわち、3つのLPモードのM=4個の空間サンプルの3つのセット
【0057】
【数17】
を3つの異なる出力導波路506に変換するデマルチプレクサのMIMOフィルタ設計への解に対処する。受動光システムの相反性に起因して、デマルチプレクサ問題は、マルチプレクサ問題に対応する。
図3aの空間サンプラ300を参照する。
図3aの左側に、3つモード場分布310 e
LP01、e
LP11a、およびe
LP11bが示されている。LP11a場の左右の区域およびLP11b場の上下区域は、それぞれ、正負の場振幅に対応する。粗い空間サンプリングが、4つのコリメータ302によって形成されるM=4個のパッチP1…P4によって実行される。4つのコリメータ302は、MMFのLPモードによって励起されたそのLP01モードを4つの単一モード導波路に変換する。各パッチP
iは、それぞれx偏光およびy偏光に関する複素振幅B
i,xおよびB
i,yの対を提供する。単純さのために、y偏光を省略し、すべてのモードの偏光状態(SOP)が、直線X偏光であると仮定する。したがって、空間サンプルを、M=4個の複素要素を有する列ベクトル
【0058】
【数18】
として書くことができる。
【0059】
図6に示された多重分離フィルタ600の例の設計は、少なくともモード場区域にわたる空間サンプリングの粒度が十分に微細である場合すなわち、Mが十分に大きい場合に、異なる直交LPモードの空間サンプル
【0060】
【数19】
が、やはり直交であるというアイデアにより導かれるものである。言い替えると、LP
01モードの第1の空間ベクトル
【0061】
【数20】
は、LP
11aモードの第2の空間ベクトル
【0062】
【数21】
と直交でなければならず、LP
11bモードの第3の空間ベクトル
【0063】
【数22】
と直交でなければならない。これは、
図6では、3つのモードLP
01、LP
11a、およびLP
11bの3つの空間ベクトル
【0064】
【数23】
(それぞれ、符号601、602、および603)によって示される。理想的なデマルチプレクサについて、LPモードごとに1つのみの出力ポート506(3つの出力信号A
iに対応する)を提供することを目標にする。これは、複素ベクトル
【0065】
【数24】
として記述される3つのモードLP
01、LP
11a、およびLP
11bの出力ベクトル
【0066】
【数25】
が、3つのモードの振幅が単位振幅であると仮定される場合に、直交基底ベクトル、たとえば
【0069】
【数28】
であることを意味する。したがって、空間ベクトル
【0071】
【数30】
と結びつける、すなわち、
【0072】
【数31】
であるMIMOフィルタ600の伝達関数G=H
−1は、空間ベクトルの直交性を維持しながら、空間入力ベクトル
【0073】
【数32】
の複素回転を施すユニタリ行列である。これは、MIMOフィルタG=H
−1を、光学的処理ユニット503、504によって提供される複素回転のシーケンスとして実現できることを意味する。
【0074】
以下では、ユニタリ伝達特性を有するMIMOフィルタ導波路構造600は、
図7a、
図7bに示されているように、角度θによって定義される結合比を有する実数値の2x2カプラ700を使用することによって導出される。
図7aに、実数値のカプラ700を示す。実数値のカプラ700は、伝達関数として実数値の回転行列R(θ)を有し、±π/2の光移相器701と(sinθ)
2/(cosθ)
2=(tanθ)
2のパワー結合比(power coupling ratio)を有する方向性カプラ702とからなるものとすることができる。導波カプラ702は、複素伝達行列
【0075】
【数33】
によって記述され、移相器701およびカプラ702の連結について、実数値の2D回転行列が、
【0076】
【数34】
として得られる。上の式では、θ=π/4は、実数値の1:1−カプラ(3−dbカプラ)を導く。
図7bに、実数値のカプラ700の代替の導波路構造を示す。
図7bの導波路構造700は、実用的実現にとって、より適切であり得る解である。調整可能な結合比702(
図7aを参照されたい)を有する実数値のカプラ700は、2つの固定された1:1カプラ710、+θおよび−θの角度を適用するプッシュプル動作の2つの調整可能な移相器711、固定された移相器712、および導波路交差713のカスケードによって置換される。
【0077】
各カプラは、2つの隣接する入力信号を処理する。4入力の場合には、
図6で使用されている2つのカプラのスタック605によって示されるように、2つのカプラが並列に動作することができる。2つのカプラのスタック605は、2つの位相値θ1およびθ2に依存する、サイズ4x4の伝達行列
【0078】
【数35】
を導き、θ2は、0の2x2部分行列を表す。さらに、置換行列S(i−j)は、導波路iおよびjの対の交差606を記述する。
図6の構造の中央部分で、導波路2および3が、交差され、置換行列S(i−j)につながる。
【0079】
【数36】
使用できるさらなる処理要素または処理ユニットは、M=4個の導波路の一部またはすべてでφ
i(i=1…4)の位相シフトを施す移相器503である。M個の導波路にφ
i(i=1…M)の位相シフトを施す移相器の対応する伝達関数は、
【0081】
一般に、ユニタリMxM行列GにつながるMIMOフィルタ600は、MxM MIMO全域通過フィルタと呼ばれる場合があるが、導波路交差(S(m,n))、移相器(F(φ
i))、およびカプラ(C(θi))の連結によって形成される。この3つの基本的な処理要素の連結は、全伝達関数T=C・F・Sを有する処理セグメントと定義され得る。そのような処理セグメントのM−1個までの連結が、通常、最も外側の導波路(1およびM)が干渉する可能性があることを保証するのに必要である。したがって、Gは、M−1個(または、M=4およびM=9を有する次の例によって実証されるように、M−1個未満)の処理セグメントの左乗法の積になる。
【0082】
【数38】
角度φ、θによって与えられる導波路パラメータおよび置換対(i−j)を
決定するために、LPモードのN個の検出ベクトル
【0083】
【数39】
(
図6の3つの列601、602、および603によって示される)から開始することができる。全域通過フィルタ設計の目標は、各回転ステップの後に、入力信号が、それぞれ、実数値になるか、カプラの一方の出力導波路だけに現れるように、複素平面内または導波路の対の間のいずれかで連続する回転を施すことである。最後に、すべてのセグメントを通過した後に、各LPモードの信号は、異なる出力導波路に現れなければならない。
【0084】
この組織的手順を、
図6に示されているように、N=3個のLPモードの例について示す。
【0085】
・第1の処理セグメントT
1(符号611)への入力で、各モードは、各パッチ内の波を励起する、すなわち、3つのベクトル
【0086】
【数40】
のいずれもが、0要素を有しない。したがって、導波路交差は不要である。すなわち、S
1=I
Nであり、これは、4x4単位行列である。
【0088】
【数41】
のすべての要素が、実数である。したがって、移相器が、実数値に複素平面内の回転を施す必要はない、すなわち、F
1=I
Nである。
【0089】
・左の2つのカプラの上側カプラは、その上側出力ポートにLP01信号を集めなければならず、下側カプラは、その下側出力ポートにLP11b信号を集めなければならない。2つのそれぞれのLPモード信号の2つの入力振幅の比率は、1および−1であり、回転角度はθ1=θ2=π/4となる、すなわち、カプラは、1:1カプラ(実数値の3−dBカプラ)になる。
【0090】
・処理セグメントT
2(符号612)では、サンプルベクトル
【0091】
【数42】
の上半分の信号および下半分の信号が干渉することを可能にすることが望まれる。したがって、上側の2サンプル(左上カプラの下側出力ポートの)から下側部分にLP11b信号をトランスポートし、下半分(左下カプラの上側出力ポートの)から上半分にLP11a信号をトランスポートする置換S
2=S(2−3)が、適用される。
【0092】
・3つすべての入力刺激に関するT
1の出力信号は、実数値で、したがって、位相回転が必要であり、F
2は単位行列I
4である。
【0093】
・処理セグメントT
2の2つのカプラは、
図6のMIMO全域通過フィルタの右側部分に示されているように、並列に動作する。モードLP01が、右上カプラの入力ポートに、同一の振幅を伴い、位相差なしで現れる。θ1=π/4なので、上側出力ポート621でのこれらの入力信号の建設的干渉およびこのカプラの下側出力ポート622では0干渉となる。この角度では、対応する入力振幅がπの位相差を示すので、LP11aモードの信号は、上側カプラの下側出力ポート622に完全に転送される。
【0094】
・右下カプラの仕事は、πの位相差を示すLP11bモードの2つの等しい振幅の信号を転送することである。やはり、このθ2=π/4は、下側出力ポート624で光を集める1:1カプラによって達成される。光は、上側出力ポート623に供給されない。
【0095】
図6のMIMO全域通過導波路構造は、単一の偏光処理についてM=4個のパッチからL=3個のLPモードへの(およびその逆の)変換に合わせて調整される。
図8では、LPモードの両方の偏光xおよびyが伝送チャネルとして活用されるSMMux 800が示されている。これは、単一偏光送信器信号Ch1x…Ch3xが、それぞれx偏光を有するモードLP01x、LP11ax、およびLP11bxを励起しなければならず、送信器信号Ch1y…Ch3yが、パッチの同一のセットによってy偏光を有するモードLP01y、LP11ay、およびLP11byにマッピングされなければならないことを意味する。2つの(同一の)光MIMO全域通過フィルタ801、802は、x偏光およびy偏光のための2つの独立の励起信号を生成する。この2つの全域通過出力信号ベクトル
【0097】
【数44】
は、直交偏光状態を有するM=4個の偏光マルチプレクサ(偏光コンバイナ)303内で重畳され、その後、空間サンプラ300のM=4個のパッチP1…P4に励振される。
【0098】
2つの偏光xおよびyを処理する代替案900を、
図9に示し、ここで、MIMO全域通過フィルタ901は、x偏光およびy偏光について、同一の信号処理を実行する、すなわち、同一の伝達関数Hを示す。これは、偏光マルチプレクサPolM1…PolM4 303によって単一の偏光送信器信号を第1の偏光多重化することと、その後に全域通過フィルタ901を適用することとを可能にする。
【0099】
以下では、5つのLPモードに関する光MIMO全域通過フィルタのさらなる例を説明する。5つのLPモードの場合に、5つの最低次の空間LPモードは、3つの前述のモードLP01、LP11a、およびLP11bと、LP12aおよびLP12bとである。対応するモード場e
LPpqを、
図10の最上部に示す。
図3aの空間サンプラ300のM=4個のパッチによって提供される空間サンプルは、損失なしにLP12aモードおよびLP12bモードを多重分離するのに十分な情報を含まない。したがって、パッチの個数は、
図10の左部分に示された幾何学的配置1030で、M=4からM=9に増やされる。M=9個より少数のパッチは、N=5個のノードの多重分離を可能にしなければならない。しかし、外側の円の8個のパッチ(P2…P9)は、LPモードと同一の方位対称を示す。これが、MIMO全域通過フィルタ構造を単純化する。したがって、空間サンプラの(すなわち、空間サンプラのパッチの)幾何形状が、サンプリングされるモードの空間場の幾何形状に整列されることが有益である可能性がある。5つの空間サンプル列ベクトル
【0100】
【数45】
が、
図10の中央部分に示されている(符号1021、1022、1023、1024、および1025)。この5つのM要素ベクトルは、直交であり、パッチによって提供される空間サンプルであると仮定される。空間ベクトル
【0101】
【数46】
は、N=5個のLPモードのうちの対応する1つによってパッチP1、…、P9で生成される場の振幅を反映する。言い替えると、空間ベクトル
【0102】
【数47】
は、対応するモードnによって生成されるパッチ位置P1、…、P9での振幅を記述する。上で示したように、通常は、パッチ構造、モード場構造、サンプリングベクトル
【0103】
【数48】
の直交性、および空間モードマルチプレクサ(SPMux)または空間モードデマルチプレクサ(SPDeMux)の性能の間に依存性がある。
【0104】
図10の右側部分には、対応するMIMO全域通過フィルタの導波路構造が示されている。このMIMOフィルタ1040は、N=5個の直交サンプルベクトル
【0105】
【数49】
を9個の存在する直交基底ベクトル[1,0,…,0]
Tから[0,…,0,1]
TのN=5に回転する4つの(N−1)処理セグメント1011、1012、1013、および1014を含む。
図6の文脈で詳細に示されたガイドラインに従って、位相行列Fによる複素領域でのバックプレーン回転(back plane rotation)は、すべてのLPモードサンプルB1…B9の実数値(すなわち、F=I
9)に起因し、また、実平面回転を施す実数値のカプラに起因して、不要である。さらに、円形パッチB2…B9のサンプルの方位対称性により、サンプルの多数の対(Bi,Bj)は同一の大きさとなる。やはり、
図6の3LPモードの例についてそうであったように、サンプルが同一の大きさなので、1:1カプラによって実行されるバック回転角度θはatan(Bi/Bj)=atan(1)=π/4となる。したがって、円形パッチP2…P9のサンプルだけを処理する
図10のMIMO全域通過フィルタ1040のすべてのセグメント1011、1012、1013、および1014は、1:1カプラを含む。右最上部のカプラだけは、その下側入力ポートに現れる、パッチP2からP9によって集められたLP01モードパワーおよびその上側入力ポートの中央パッチP1によって集められたパワーの建設的干渉を適用しなければならない。対応する振幅比0.1/0.552は、θ=0.986ラジアンの回転角度を必要とする。この回転は、
図10の最上部のカプラによって、0.31:0.70のパワー分割比で提供される。
【0106】
以下では、MIMO全域通過フィルタ設計およびパッチ最適化に使用されるモード場サンプルに関する態様を説明する。上の例では、無損失光MIMO全域通過フィルタの設計に関して、N個の空間モードのサンプル
【0107】
【数50】
が直交であると仮定した。上で示したように、多数のパッチM>>Nすなわち、空間サンプルB
1…B
Mの微細な粒度を用いると、ベクトル積
【0108】
【数51】
は、異なるモード(i≠j)について0になる2つのモード場のオーバーラップ積分に収束する。その一方で、これは、通常は、制限された個数M個のパッチについては成り立たない。
【0109】
したがって、MIMOフィルタ設計に関して、並列に動作するM個の同一の単一モード導波路を含み、パッチの配置に対応する幾何学的方位を有する結合された導波路構造の、しばしばスーパーモードと呼ばれる、モードの固有ベクトルであるモードサンプルB
1…B
Mを使用することができる。したがって、
図6の配置のサンプルベクトル
【0111】
【数53】
を、最大の固有値(スーパーモードの位相定数)を有する結合されたモード方程式
【0112】
【数54】
の4つの固有ベクトルのうちの3つとすることができる。cおよびkは、それぞれ、2つの最も近い隣接する導波路と対角導波路との間の虚数結合係数である。対角導波路へのより弱い結合に起因して、kの大きさは、cの大きさより小さい。4x4結合された導波路構造のさらなる詳細は、引用により組み込まれているDavid B.Mortimore、「Theory and fabrication of 4 X 4 single−mode fused optical fiber couplers」、Applied Optics、Vol.9、No.3、1990年1月20日、371−374頁に記載されている。
【0113】
M=9個のパッチの場合についてこの手順にしかるべく従うと、
【0115】
【数56】
は、その2つの隣接する隣接物への円形パッチ導波路P2からP9(
図10を参照されたい)の間の強い結合およびP1位置での中央導波路へのより弱い結合を有する、M=9個の同一の導波路の結合されたモード方程式の固有ベクトルである。M=9個のパッチおよびN=5個のモードの場合について、中央パッチの直径および円形パッチの直径は独立に変化するので、送信器信号とMMFモードとの間の結合損失を、中央パッチの直径および円形パッチの直径を適当に選択することによって最小化できることを示す。さらに、パッチ構造の対称性の結果として、異なるモードの間の漏話すなわちノンアドレスドLPモード(non−addressed LP mode)の残留励起は、パッチ直径が大きく変化しても0のままである。
【0116】
図11aおよび
図11bに、異なるタイプの空間サンプラとのMIMO全域通過フィルタの組合せを示す。
図11aでは、MIMO全域通過フィルタ1101が、フィルタ1101から来る光をMMF 301に結合するのに、またはMMF 301から来る光をサンプリングし、サンプリングされた光をフィルタ1101に渡すのに、垂直格子を利用する空間サンプラ1102と組み合わせて図示されている。
図11bは、
図3aの空間サンプラ302と組み合わせてフィルタ1101を示す。
【0117】
光MIMO全域通過フィルタを、MMFに光を結合するかMMFから光を抽出するために、融着ファイバまたは融着導波路(たとえば
図2および
図16に示された)の配置と組み合わせることもできることに留意されたい。結合行列Kが知られている場合には、光MIMO全域通過フィルタの伝達行列Hは、K・HがI
2Nを近似するように決定されてもよい。たとえば、融着ファイバカプラの結合行列Kを、引用により組み込まれているH.Buelow他、「Coherent Multimode−Fiber MIMO Transmission with Spatial Constellation Modulation」、Proceedings of the ECOC、European Conference and Exhibition on Optical Communication(2011年)に記載されているように導出されてもよい。
【0118】
したがって、MMFの1つまたは複数の光モードの複数の空間サンプルの光パワーを、対応する1つまたは複数の単一モード導波路(光モードごとに1つの単一モード導波路)へおよびその逆に集中させるMIMO全域通過フィルタが提供され得る。光MIMO全域通過フィルタは、モードスプリッタ/コンバイナを形成するために空間サンプラに関連して使用されてもよい。モードスプリッタ/コンバイナ(および、特にMIMO全域通過フィルタ)は、PIC集積に適する。さらに、説明されるモードスプリッタ/コンバイナは、
図6および
図10によって示されるように、より多数N個の光モードに簡単にスケーリング可能である。さらに、説明されるモードスプリッタ/コンバイナは、パワー分割損失を示さず、全処理損失を、増加するパッチ数を用いて、すなわち、空間サンプラの増加する分解能を用いて、最小化することができる。MIMO全域通過フィルタによって実行される光信号処理を考慮すると、モードスプリッタ/コンバイナは、電子DSP MIMO処理を使用するモード多重分離に基づく解決策と比較して、より少ない電力消費を示す。
【0119】
上で説明したモードスプリッタ/コンバイナは、空間モードアドドロップマルチプレクサを作るために使用され得る。空間モードアドドロップマルチプレクサ1200の例を、
図12に示す。モードスプリッタ/コンバイナ1201、1202は、異なる空間モードがアドドロップマルチプレクサ(ADM)1200内の単一モード導波路上で提供されるように、ADM 1200の入力/出力で使用される。したがって、個々のモードを、対応する単一モード導波路上で操作する(たとえば、光スイッチ1202を使用してドロップまたは追加する)ことができる。
【0120】
上で説明したモードスプリッタ/コンバイナの文脈では、光MIMO全域通過フィルタは、空間サンプルのパワーを特定の単一モード導波路にまたはその逆に集中させるために、主に、固定されたまたはプリセットされた光学的処理コンポーネントを含んだ。以下では、可変光学的処理パラメータを使用する光MIMOフィルタの例を説明する。そのような適応光MIMOフィルタが、光領域で光
マルチモード伝送システムのモード多重分離および/またはチャネル等化を実行するために使用されてもよい。
【0121】
導入セクションで既に概要を示したように、光ファイバを介して(所与のスペクトル内で)トランスポートされる容量(ビット毎秒)は、
マルチモードファイバ(MMF)を使用することと、MMFの異なる空間モード(および偏光モード)を介して異なるデータチャネルをトランスポートすることとによって高めることができる。無線システムまたは有線システムのMIMO伝送に似て、オリジナルデータチャネルが、すべての受信器信号の合同ディジタル信号処理(DSP)によって、N個のコヒーレントな受信器(たとえば、単一搬送波または光OFDM)によって検出されたすべての信号の混合物から分離され得る(たとえば、引用により組み込まれている、A.Tarighat他、「Fundamentals and Challenges of Optical Multiple−Input Multiple−Output Multimode Fiber Links」、IEEE Commun.Mag.、2007年5月、1−8頁を参照されたい)。上で言及した参考文献に示されたシステムセットアップは、伝送品質すなわち、特定のOSNRを条件としてすべてのチャネルを介してトランスポートできるビットレートが、ファイバの曲げに起因するモードの間の結合と共に、異なる空間MMFモードの位相ドリフトに起因して統計的に変化する可能性があるという短所を示す。受信器側では、送信されたチャネルの安定した多重分離は、通常、ファイバおよび入出力カプラに沿ったモード結合が電子MIMO処理によって取り消される場合に限って可能である。
【0122】
図13に、MMF 302を介して同一波長の複数のデータチャネルを伝送するコヒーレント光伝送システム1300の例を示す。受信器内のMIMO信号処理1301は、ファイバに励振される異なるデータ信号の分離を可能にする。これらの光MMF伝送システム1300は、通常、
図13ではMIMO信号処理ユニット1301として参照されるディジタル信号処理(DSP)ユニット内でのすべてのチャネルの信号サンプルの同時処理に基づく。一般に、より高次元のバタフライFIRフィルタが、DSPユニット内で実現される。これは、DSP内の各ディジタル化された信号サンプルの複雑で電力を消費する処理をもたらす。適度に複雑なシステム(たとえば、few modeファイバすなわちFMF)について、処理労力の削減は、入力カプラおよび出力カプラとしてのモードスプリッタ(たとえば、モードスプリッタ/コンバイナが、
図1および2に記載されている)の使用によって達成され得る。モードスプリッタは、各送信器ピグテールまたは各受信器ピグテールをMMF 301の1つのモードに接続する。上で示したように、
図1のモードスプリッタは、出力のそれぞれの、比較的多い損失を示す
マルチモードパワーディバイダおよびさまざまなモード変換器(たとえば、位相ホログラム)に基づく。その一方で、
図2および16に示された融着ファイバ単一モード−
マルチモードカプラは、少ない損失を示すが、DSP処理を必要とする可能性がある強いモード結合を示す(たとえば、上で言及した参考文献、H.Buelow他、「Coherent Multimode−Fiber MIMO Transmission with Spatial Constellation Modulation」、Proceedings of the ECOC、European Conference and Exhibition on Optical Communication(2011年)で示されるように。
【0123】
MIMO処理DSP内ですべてのコヒーレント受信器サンプルのディジタル処理を適用する(
図13に示されているように)のではなく、MIMO全域通過フィルタ1403を形成する一体化された光導波路構造内で、コヒーレント受信器1404による検出の前に、モードスプリッタまたはモードカプラの出力で光信号を処理することを提案する。これを、
図14の配置1400によって示す。MMF 301出力の空間モードスプリッタ1401および偏光モードスプリッタ1402の出力で、調整可能な移相器503および調整可能なカプラ504のカスケードが、光MIMO全域通過フィルタ1403を形成する。調整可能なカプラ504は、調整可能な移相器および1:1カプラを含むことができる(
図7aおよび
図7bに示されているように)。MIMO全域通過フィルタ1403は、全光入力パワーおよび全光出力パワーが等しくなるように設計される。さらに、MIMO全域通過フィルタ1403の伝達行列Hは、通常はユニタリである。
【0124】
図6および10に示されたプリセットされたMIMO全域通過フィルタの文脈で既に概要を示したように、移相器の調整すなわち一体化された光構造のパラメータφおよびθの調整が、モードスプリッタ1401から来る光の異なる組合せを異なる受信器1404に向けるために使用され得る。具体的には、各送信器信号が、別の受信器1404にトランスポートされてもよい。XおよびYの送信器偏光は、それぞれの出力ポートに多重分離されてもよい。光全域通過フィルタ1403の出力では、受信器バンク1404(Rx)が、モード多重分離され偏光多重分離された信号を検出することができる。
【0125】
全域通過フィルタパラメータ(φおよびθ)の個数は、全域通過フィルタ1403の伝達行列がユニタリなので、通常は最小限である。したがって、電子(または光)MIMOバタフライFIRと比較して、適合させなければいけないパラメタはより少ない。
【0126】
パラメータは、制御ユニット(図示せず)によって実際の伝送経路条件に適合され得る。第1のステップでは、フィルタパラメータのプリセッティングが、トレーニングシーケンスによって達成され得る。変化するチャネル条件へのさらなる適合またはトラッキングが、チャネルの間の相関を最小にすることによって実行され得る。たとえば、誤り基準を定義することができ、誤り基準は、受信器1404でのチャネルの間の相関を示す。たとえば勾配降下法を使用して、フィルタパラメータは、誤り基準を減らすために、すなわち、受信器1404でのチャネルの間の相関を減らすために調整され得る。
【0127】
言い替えると、制御ユニットは、測定されたチャネル伝達行列(たとえば、トレーニングシーケンスに依存する)から開始することができ、チャネル伝達行列の逆行列である(できる限り近い)全域通過伝達行列を数値計算することによって、全域通過伝達行列を調整することができる。微調整およびトラッキングが、オプションで、存在する信号サンプルを使用して計算される相関を最小にすることによって、実行され得る。伝達行列の更新レートは、信号のシンボルーレートよりも(大幅に、たとえば1桁)小さくすることができる。
【0128】
図14の例の全域通過フィルタ1403では、複数の空間モードを含む光学的処理は、通常はMMF 301に沿ったクロスカップリングから損害を受ける空間モードに制限される(たとえば、同一の位相定数を有する縮退モードであるLP11aおよびLP11b)。
図15に、空間モードのすべての可能な組合せの間の光学的処理を可能にする光MIMO全域通過フィルタ1503を示す。言い替えると、光MIMO全域通過フィルタ1503は、N=3個の空間モードのすべての間の相互作用を可能にする光MIMO全域通過フィルタの包括的な例である。
図15の配置例では、融着ファイバカプラ1501が、MMF 301からMIMO全域通過フィルタ1503へ(またはその逆)光を向けるのに使用される。融着ファイバモードスプリッタ1501は、無損失であるが、通常は、非縮退モードの間の結合を導入する。したがって、フィルタ1503での光学的処理は、ファイバのすべてのモードに拡張される。MIMO全域通過フィルタ1503は、N=3個の空間モードを多重分離すると同時にチャネルの間の相関を減らし、これによって、光伝送システムのチャネル伝達行列の逆行列を近似するために使用され得る。これは、適応可能なMIMO全域通過フィルタ1503を、
図6および
図10の文脈で概要を示したモード分割/組合せならびにチャネル等化に使用できることを意味する。
【0129】
図16に、7つのモード用の例の融着ファイバカプラ1600を示す(側面図および正面図)。そのような例の融着ファイバカプラ1600は、引用により組み込まれているNoordegraaf他、Optics Express、Vol.17、Issue 3、1988−1994頁、2009年および上で言及した参考文献、H.Buelow他、「Coherent Multimode−Fiber MIMO Transmission with Spatial Constellation Modulation」、Proceedings of the ECOC、European Conference and Exhibition on Optical Communication(2011年)に記載されている。
【0130】
差動モード遅延、PMD(偏波モード分散、またはGVD(群速度分散)が無視できなくなるか、コヒーレント受信器内で独立に補償することができない場合に、光遅延ステージ(シンボル期間の約半分以下)が必要になる場合があることに留意されたい。その代わりに、より強いひずみについて、光スライスフィルタが、信号を複数のスペクトルスライスに分解することができる。次に、信号のこれらのスライスを、光MIMO全域通過フィルタによって独立に処理することができ、その後、反対方向で動作する第2のスライスフィルタが、独立に処理されたスライスから等化された信号を再構成することを可能にする。
【0131】
図17に、偏光多重分離および/またはチャネル等化用の適応光全域通過フィルタ1702を含む光受信器1700のブロック図の例を示す。MMFは、空間モードデマルチプレクサ/マルチプレクサ1701にリンクされる。そのような空間モードデマルチプレクサ/マルチプレクサ1701は、融着ファイバとして(たとえば、
図16を参照されたい)、たとえば
図1および2に示されたモードスプリッタ/コンバイナとして、またはたとえば
図11aおよび
図11bに示された(固定された)光全域通過フィルタを含むモードスプリッタ/コンバイナとして、実現され得る。空間モードデマルチプレクサ/マルチプレクサ1701は、対応する複数の単一モード導波路上の複数の単一モード光信号を提供する。MMFのN個の空間モードに対応するN個のチャネルの場合に、空間モードデマルチプレクサ/マルチプレクサ1701は、対応するN個の単一モード導波路上にN個の光信号を提供しなければならない。
【0132】
N個の光信号は、最初に送信されたN個の入力信号をN個の光信号から多重分離するために、適応光学フィルタ1702内で処理される。このために、適応光学フィルタ1702は、光
マルチモード伝送システムの伝達関数の逆関数をモデル化しなければならない。これは、光学フィルタ1702のパラメータ(すなわち、移相器およびカプラの角度φおよびθ)が、それに従ってセットされなければならないことを意味する。これは、N個の受信された信号に基づいて光学フィルタ1702の適当なパラメータを
決定する制御ユニット1703によって行われ得る。具体的には、フィルタ1702のN個の出力導波路は、N個の対応する光受信器にリンクされ、これによって、N個の受信された信号(電気領域、おそらくはディジタル領域の)を提供することができる。これらの受信された信号は、光学フィルタ1702の適当なパラメータを
決定するために処理され得る。たとえば、N個の受信された信号は、知られているトレーニングシーケンスに応答して受信された信号に対応することができ、これによって、制御ユニット1703がN個の光信号の間の相関を減らす光学フィルタ1702のパラメータを
決定することを可能にする。その代わりにまたはそれに加えて、パラメータは、N個の受信された信号(電気領域および/またはディジタル領域の)から
決定された誤り基準の連続的なトラッキングに従って連続的に適合され得る。これは、N個の光信号が光領域で処理される(すなわち、多重分離および/またはチャネル等化が光領域で実行される)が、その処理を行うための適当なパラメータは、受信された信号(電気/ディジタル領域の)から
決定されることを意味する。
【0133】
本文書では、MMF上のMDMを可能にするために光学的処理に使用できる光MIMOフィルタを説明した。具体的には、光MIMOフィルタは、効率的な空間モードスプリッタ/コンバイナを実現するために使用され得る。さらに、光MIMOフィルタは、チャネル等化を光領域で直接に実行するために使用され得る。その結果、MIMO処理が、電力効率のよい形で実行され得る。言い替えると、光MIMOフィルタの使用は、電力を消費する電子DSP処理の大幅な削減につながる。さらに、光MIMOフィルタの使用は、DSP処理労力を増やさずに、モードスプリッタの光学経路損を回避することを可能にする。
【0134】
この説明および図面が、単に提案される方法およびシステムの原理を例示するものであることに留意されたい。したがって、当業者が、本明細書で明示的に説明されずまたは図示されないが、本発明の原理を実施し、本発明の趣旨および範囲に含まれるさまざまな配置を考案できることを了解されたい。さらに、本明細書で列挙されたすべての例は、主に、当技術を促進するために本発明人によって貢献される提案される方法およびシステムならびに概念の原理を読者が理解するのを助ける教育的目的のみのためのものであることが特に意図され、そのような具体的に列挙された例および条件への限定を伴わないものとして解釈されなければならない。さらに、本発明の原理、態様、および実施形態ならびに本発明の特定の例を列挙する本明細書のすべての言説は、その同等物を包含することが意図されている。