特許第5879040号(P5879040)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5879040
(24)【登録日】2016年2月5日
(45)【発行日】2016年3月8日
(54)【発明の名称】通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04M 3/42 20060101AFI20160223BHJP
   H04M 3/56 20060101ALI20160223BHJP
   H04M 3/00 20060101ALI20160223BHJP
【FI】
   H04M3/42 Z
   H04M3/56 Z
   H04M3/00 B
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-57638(P2011-57638)
(22)【出願日】2011年3月16日
(65)【公開番号】特開2012-195726(P2012-195726A)
(43)【公開日】2012年10月11日
【審査請求日】2014年2月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(74)【代理人】
【識別番号】100093104
【弁理士】
【氏名又は名称】船津 暢宏
(72)【発明者】
【氏名】若井 洋丈
(72)【発明者】
【氏名】板井 公雄
【審査官】 山岸 登
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−079287(JP,A)
【文献】 特開平07−203043(JP,A)
【文献】 特開2007−006047(JP,A)
【文献】 特開2010−287960(JP,A)
【文献】 特開2010−177826(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 3/00
3/16− 3/20
3/38− 3/58
7/00− 7/16
11/00−11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電話機に対して、音声一斉放送を行う通信システムであって、
統制台から前記複数の電話機に対する音声一斉指令要求としてSIPのINVITEメッセージを受信すると、前記複数の電話機に対して前記INVITEメッセージを送信する電話制御装置を有しており、
前記INVITEメッセージを受信した電話機は、前記電話制御装置へ呼び出し中を示す180Ringingを送信し、さらにオフフックするとオフフックを検出したことを示す200OKを送信し、
前記電話制御装置は、前記INVITEメッセージを受信した電話機から前記180Ringingを受信すると、前記統制台に対する当該180Ringingの送信を抑止し、音声一斉の放送メッセージを電話機に送信するまでの間、放送開始を知らせるトーキ音を、オフフックされ、前記200OKを送信した電話機に出力し、前記複数の電話機のオフフックとオンフックを監視して、前記複数の電話機における受令状態の情報を記憶し、当該受令状態の情報を基に受令失敗の電話機に前記放送メッセージを再送することを特徴とする通信システム。
【請求項2】
複数の電話機に対して、音声一斉放送を行う通信システムであって、
統制台から前記複数の電話機に対する音声一斉指令要求としてSIPのINVITEメッセージを受信すると、前記複数の電話機に対して前記INVITEメッセージを送信する電話制御装置を有しており、
前記INVITEメッセージを受信した電話機は、前記電話制御装置へ呼び出し中を示す180Ringingを送信し、さらにオフフックするとオフフックを検出したことを示す200OKを送信し、
前記電話制御装置は、前記INVITEメッセージを受信した電話機から前記180Ringingを受信すると、前記統制台に対する当該180Ringingの送信を抑止し、前記複数の電話機のオフフックとオンフックを監視して、前記複数の電話機における受令状態の情報を記憶し、当該受令状態の情報を基に受令失敗の電話機に音声一斉の放送メッセージを再送することを特徴とする通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、個別通話が可能な電話機を用いた通信システムに係り、特に、新たなハードウェアを追加することなく、音声一斉の放送を実現する通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
[従来の技術]
一般的に、SIP(Session Initiation Protocol)を用いた電話機の交換技術では、個別通信を前提とし、音声一斉放送を予定したものではない。
従って、音声一斉の放送を行う場合は、専用のハードウェアが必要となっていた。
【0003】
[従来の通信システム:図8
音声一斉放送を行うための従来の通信システムについて図8を参照しながら説明する。図8は、従来の通信システムの構成図である。
従来の通信システムは、図8に示すように、統制台1と、IP(Internet Protocol)網2と、IP電話制御装置(MF)3と、端末局4´−1、4´−2とを備えている。
ここで、端末局はA局とB局を示したが、本来多くの端末局が接続されるものである。
【0004】
統制台1は、音声一斉の放送を行うための通信統制を行う。
IP網2は、各装置を接続するネットワークである。
IP電話制御装置3は、SIPを用いた交換制御を行い、端末局の電話相互間、統制台1の電話機と端末局の電話機との間の通話を実現する。
【0005】
端末局4´は、IP電話機4a´と、スピーカ4b´と、受信確認ボタン4c´とを備えている。
電話機4a´は、IP電話機として機能するものであり、スピーカ4b´は、統制台1からの音声一斉放送を出力し、受信確認ボタン4c´は、放送を聞いた場合に押下して受信確認を返信するものである。
【0006】
[関連技術]
尚、関連する先行技術として、特開2010−103636号公報「防災システム」(株式会社日立国際電気)[特許文献1]、特開2010−177814号公報「IP通信指令交換機」(株式会社日立製作所)[特許文献2]がある。
【0007】
特許文献1には、SIPサーバを用いて一斉指令を行うことが記載されているが、例えば、図2では一斉指令を録音させて、その後に受令を促すことが示されている。
特許文献2には、SIPサーバを用いて一斉指令を行うことが記載されているが、NOTIFYメッセージに応答して回線ボタン情報に基づいて対応する指令ボタンを操作させることが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−103636号公報
【特許文献2】特開2010−177814号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来の通信システムでは、音声一斉放送を正常に受令したかどうかを統制台1が認識するためには、受信確認ボタンのような専用のハードウェアが必要であり、新たなハードウェアを追加することなく、音声一斉放送の受令確認を行うことが難しいという問題点があった。
【0010】
また、特許文献1では、一斉指令を録音した後で受令を促すもので、音声一斉放送完了後に直ちに受令確認ができるものとはなっていないものである。
また、特許文献2では、指令ボタンを操作させるものであり、特殊なボタンを電話機に備える必要があり、新たなハードウェアが必要である。
【0011】
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、個別通話が可能な電話機を用いて、新たなハードウェアを追加することなく、音声一斉の放送を実現する通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、複数の電話機に対して、音声一斉放送を行う通信システムであって、統制台から前記複数の電話機に対する音声一斉指令要求としてSIPのINVITEメッセージを受信すると、前記複数の電話機に対して前記INVITEメッセージを送信する電話制御装置を有しており、前記INVITEメッセージを受信した電話機は、前記電話制御装置へ呼び出し中を示す180Ringingを送信し、さらにオフフックするとオフフックを検出したことを示す200OKを送信し、前記電話制御装置は、前記INVITEメッセージを受信した電話機から前記180Ringingを受信すると、前記統制台に対する当該180Ringingの送信を抑止し、音声一斉の放送メッセージを電話機に送信するまでの間、放送開始を知らせるトーキ音を、オフフックされ、前記200OKを送信した電話機に出力し、前記複数の電話機のオフフックとオンフックを監視して、前記複数の電話機における受令状態の情報を記憶し、当該受令状態の情報を基に受令失敗の電話機に前記放送メッセージを再送することを特徴とする。
【0013】
本発明は、複数の電話機に対して、音声一斉放送を行う通信システムであって、統制台から前記複数の電話機に対する音声一斉指令要求としてSIPのINVITEメッセージを受信すると、前記複数の電話機に対して前記INVITEメッセージを送信する電話制御装置を有しており、前記INVITEメッセージを受信した電話機は、前記電話制御装置へ呼び出し中を示す180Ringingを送信し、さらにオフフックするとオフフックを検出したことを示す200OKを送信し、前記電話制御装置は、前記INVITEメッセージを受信した電話機から前記180Ringingを受信すると、前記統制台に対する当該180Ringingの送信を抑止し、前記複数の電話機のオフフックとオンフックを監視して、前記複数の電話機における受令状態の情報を記憶し、当該受令状態の情報を基に受令失敗の電話機に音声一斉の放送メッセージを再送することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、統制台から前記複数の電話機に対する音声一斉指令要求としてSIPのINVITEメッセージを受信すると、前記複数の電話機に対して前記INVITEメッセージを送信する電話制御装置を有しており、前記INVITEメッセージを受信した電話機が、前記電話制御装置へ呼び出し中を示す180Ringingを送信し、さらにオフフックするとオフフックを検出したことを示す200OKを送信し、前記電話制御装置が、前記INVITEメッセージを受信した電話機から前記180Ringingを受信すると、前記統制台に対する当該180Ringingの送信を抑止し、音声一斉の放送メッセージを電話機に送信するまでの間、放送開始を知らせるトーキ音を、オフフックされ、前記200OKを送信した電話機に出力し、前記複数の電話機のオフフックとオンフックを監視して、前記複数の電話機における受令状態の情報を記憶し、当該受令状態の情報を基に受令失敗の電話機に前記放送メッセージを再送する通信システムとしているので、オフフックした電話機はトーキ音により放送開始を容易に知ることができ、更に受令失敗の電話機を対象に放送メッセージを再送でき、個別通話が可能な電話機のみを用いて、新たなハードウェアを追加することなく、受令確認を確実に行える音声一斉放送を実現する効果がある。
【0015】
本発明によれば、複数の電話機に対して、音声一斉放送を行う通信システムであって、統制台から前記複数の電話機に対する音声一斉指令要求としてSIPのINVITEメッセージを受信すると、前記複数の電話機に対して前記INVITEメッセージを送信する電話制御装置を有しており、前記INVITEメッセージを受信した電話機は、前記電話制御装置へ呼び出し中を示す180Ringingを送信し、さらにオフフックするとオフフックを検出したことを示す200OKを送信し、前記電話制御装置は、前記INVITEメッセージを受信した電話機から前記180Ringingを受信すると、前記統制台に対する当該180Ringingの送信を抑止し、前記複数の電話機のオフフックとオンフックを監視して、前記複数の電話機における受令状態の情報を記憶し、当該受令状態の情報を基に受令失敗の電話機に音声一斉の放送メッセージを再送する通信システムとしているので、受令失敗の電話機を対象に放送メッセージを再送でき、個別通話が可能な電話機のみを用いて、新たなハードウェアを追加することなく、受令確認を確実に行える音声一斉放送を実現する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施の形態に係る通信システムの構成図である。
図2】IP電話制御装置の構成ブロック図である。
図3】音声一斉管理テーブルの概略図である。
図4】IP電話制御装置の処理フローである。
図5】通話のシーケンス1のタイミングチャートである。
図6】音声一斉のシーケンス2−1のタイミングチャートである。
図7】音声一斉のシーケンス2−2のタイミングチャートである。
図8】従来の通信システムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係る通信システムは、IP電話制御装置が統制台から端末局の電話機に対する音声一斉放送の正常受令、受令失敗を電話機におけるオフフック、オンフックに対応する信号で監視して、各電話機の受令状況を音声一斉管理テーブルに記憶して認識し、受令失敗の電話機には放送メッセージを再送するものであり、新たなハードウェアを設けることなく、個別通話の機能に加えて音声一斉放送を容易に実現できるものである。
【0018】
[通信システム:図1
本発明の実施の形態に係る通信システムについて図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る通信システムの構成図である。
本発明の実施の形態に係る通信システム(本システム)は、図1に示すように、統制台1と、IP(Internet Protocol)網2と、IP電話制御装置(MF)3と、端末局4−1、4−2とを備えている。以下、端末局4−1、4−2を区別しない場合には、単に端末局4という。
ここで、端末局4はA局とB局を示したが、本来より多くの端末局が接続されるものである。
【0019】
[本システムの各部]
本システムの各部について具体的に説明する。
統制台1は、音声一斉の放送を行うための通信統制を行い、端末局4の電話機4aと通話を行うことが可能である。
IP網2は、各装置を接続するネットワークである。
IP電話制御装置3は、SIPを用いた交換制御を行い、端末局4−1及び端末局4−2それぞれの電話機4a相互間、統制台1と端末局4の電話機4aとの間の通話を実現するために回線接続の制御を行う。
【0020】
また、IP電話制御装置3は、統制台1からの音声一斉放送のメッセージ(放送メッセージ)に対して電話機4aのオフフックとオンフックに対応する信号を監視しており、放送メッセージに対してオフフックされなかった電話機、放送途中でオンフックされた電話機を認識して、放送メッセージの再送処理を行う。
【0021】
また、IP電話制御装置3は、放送メッセージを一斉送信する場合は、音声一斉指令要求を送信してから一定時間経過後に放送メッセージを配信するものであり、その一定時間経過前にオフフックした電話機4aに対しては放送が開始されるまでの間、もうすぐ放送を開始する旨のトーキ音を出力する。
IP電話制御装置3の構成及び処理は、後述する。
【0022】
端末局4は、IP電話機4aと、スピーカ4bとを備えている。
電話機4aは、IP電話機として機能するものであり、スピーカ4bは、電話機4aに接続して統制台1からの音声一斉放送を出力する。
ここで、スピーカ4bは、電話機4aの外部接続のスピーカとして設けたが、電話機4aが備える内蔵スピーカを用いるようにしてもよい。
【0023】
[IP電話制御装置:図2
次に、IP電話制御装置3の構成について図2を参照しながら説明する。図2は、IP電話制御装置3の構成ブロック図である。
IP電話制御装置3は、図2に示すように、送受信部31と、制御部32と、記憶部33とを備えている。
【0024】
送受信部31は、IP網2から種々の信号を受信し、制御部32の指示によってIP網2に種々の信号を送信する。
制御部32は、送受信部31から信号を入力して交換制御を行い、対応する信号を送受信部31に出力する。
記憶部33は、回線の接続状態を記憶しており、以下に説明する音声一斉管理テーブルを記憶している。
【0025】
IP電話制御装置3の制御部32は、音声一斉放送に対して1回目、2回目、3回目、...と電話機毎に放送メッセージが正常に受令されたか否かを管理しており、正常に受令されなかった電話機に対しては放送メッセージの再送処理を行う。
【0026】
尚、放送メッセージが正常に受令された場合は、放送メッセージの開始前に電話機がオフフックし、放送メッセージの終了後に電話機がオンフックした場合で、電話機からのオフフックとオンフックに対応する信号を監視することで制御部32は把握できる。
IP電話制御装置3の制御部32の処理については後述する。
【0027】
放送メッセージの再送処理について、統制台1は、新たな放送メッセージを音声一斉送信する場合には、IP電話制御装置3に対して再送処理を強制的に終了させる指示を行うことができるようにする。
また、統制台1から新たな放送メッセージを音声一斉送信する要求をIP電話制御装置3が受信すると、IP電話制御装置3が自主的に再送処理を停止するようにしてもよい。
【0028】
[音声一斉管理テーブル:図3
次に、IP電話制御装置3の記憶部33に記憶している音声一斉管理テーブルについて図3を参照しながら説明する。図3は、音声一斉管理テーブルの概略図である。
音声一斉管理テーブルは、図3に示すように、端末局4の電話機4aについて、電話ID(識別子)毎に、例えば、1回目、2回目、3回目の放送メッセージ送信に対する受令の状態を記憶している。「○」は正常受令で、「×」は受令失敗を示している。
また、正常受令があると、その後は放送メッセージを再送する必要がないので、テーブルには再送処理を行わないことを示す情報(ここでは「−」のマーク)が設定される。
【0029】
[IP電話制御装置の処理:図4
次に、IP電話制御装置3の制御部32が行う処理について図4を参照しながら説明する。図4は、IP電話制御装置3の処理の概略を示すフロー図である。IP電話制御装置3の処理の詳細については図6を用いて後述する。
IP電話制御装置3の制御部32が行う処理は、図4に示すように、統制台1から音声一斉指令要求を受信したか否かを判定する(S1)。音声一斉指令要求は、音声一斉放送を開始するための要求信号である。
【0030】
制御部32は、音声一斉指令要求があると(Yesの場合)、電話機4aに対する音声一斉指令要求後にオフフックした電話機4aを認識し、オフフックした電話機に対してトーキ音を出力する(S2)。トーキ音は、例えば、「あと3秒後に放送が開始されます」といった放送の開始を知らせるものである。
判定処理S1で音声一斉指令要求を受信していなければ、処理S1を繰り返す。また、制御部32はオフフックしなかった電話機4aを記憶する。
【0031】
そして、制御部32は、放送終了後に、電話機4aの状態を音声一斉管理テーブルに記憶する(S3)。正常受令の場合と受令失敗をテーブルに記憶することになる。
そして、再送回数が特定回数Nとなったか否か判定する(S4)。
【0032】
再送回数が特定回数Nになっていなければ(Noの場合)、特定時間経過後に放送メッセージの再送処理を行い、再送回数を+1する処理を行う(S5)。そして、処理S2に戻る。
【0033】
また、判定処理S4で、再送回数が特定回数Nになったならば(Yesの場合)、音声一斉管理テーブルの内容を統制台1に対してレポート出力する(S6)。
ここで、レポート出力は、N回の再送処理後にまとめて行ったが、放送メッセージを送信する毎に個別にレポート出力してもよい。具体的には、処理S3後にレポート出力することになる。
【0034】
[通話のシーケンス1:図5
次に、本システムにおける通話のシーケンスについて図5を参照しながら説明する。図5は、通話のシーケンス1のタイミングチャートである。
通話のシーケンスは、図5に示すように、統制台1からIP電話制御装置(MF)3を介して電話機(1)に発呼し、電話機(1)が着呼して通話が確率し、通話可能状態となって、その後、通話が切断されるまでを示している。
図5は、以下の説明する図6,7のシーケンスとの比較のために示したものである。
【0035】
[音声一斉のシーケンス2:図6図7
次に、本システムにおける音声一斉のシーケンスについて図6図7を参照しながら説明する。図6は、音声一斉のシーケンス2−1のタイミングチャートであり、図7は、音声一斉のシーケンス2−2のタイミングチャートである。尚、図6図7は、一連のチャートであるが紙面の関係で2図に分割している。具体的には、図6の(A)(B)(C)(D)(E)の各々は、図7の(A)(B)(C)(D)(E)の各々に接続するものである。
【0036】
音声一斉のシーケンスは、図6に示すように、統制台1から音声一斉リクエスト(INVITE)をMF3に送信すると(S10)、MF3では100Tryingの暫定応答を統制台1に送信し(S11)、指令対象局分INVITEメッセージをコピーしてそれぞれの電話機(1)〜(3)に対して送信する(S12〜S14)。
【0037】
このとき、MF3は、音声一斉リクエスト(INVITE)を受けたことをトリガに、統制台1に一斉指令の開始可能を示す200OKを送信するまでの予め設定された所定時間(例えば、10秒程度)のカウントを開始する。
なお、MF3による所定時間のカウント開始のトリガは、統制台1に100Tryingの暫定応答を送信したことであってもよいし、指令対象局にINVITEメッセージを送信したことであってもよい。
【0038】
INVITEを受信した電話機(1)〜(3)は、100Tryingの暫定応答を送信した(S15〜S17)後に、180RingingをMF3に対して送信し(S18〜S20)、自電話機の呼び出し音を鳴らす。
180Ringingを受けたMF3は、通常であれば統制台1に対して180Ringingを送信し(図5の(6)参照)、統制台1でRBT(RingBackTone)を鳴らすが、音声一斉の場合は複数の電話機から180Ringingが来るためMF3で終端する。
つまり、MF3は通常の統制台1と電話機との通話では180Ringingを電話機から受けると、統制台1に対して180Ringingを送信するが、統制台1からの音声一斉の場合には、統制台1に対する180Ringingの送信を抑止する。
【0039】
次に、電話機でオフフックを行うと電話機(1)、(2)から200OKがMF3に対し送信される(S21,S22)。このメッセージに対しても統制台1には通知せずMF3で終端する。図5に示すように、通常の通話であれば、電話機から200OKを受けたMF3は、統制台1に対して200OKを送信し(図5の(8)参照)、統制台1からのACK(図5の(9)参照)を電話機(1)に送信した後(図5の(10)参照)、統制台1と電話機(1)とを通話可能状態とする。
【0040】
しかし、統制台1からの音声一斉放送の場合には、MF3は、電話機から200OKを受信しても統制台1への200OKの送信は抑止し、ACKをトリガとせず、上記S10から所定時間経過後に、統制台1と電話機とを通話可能状態に制御すべく、統制台1に200OKを送信する(S25)。
【0041】
なお、図6に示す例では、MF3が統制台1に200OK(S25)を送信するまでの間に、電話機(3)は受話器をあげられずオフフックされない。したがって、MF3は、電話機(3)は一斉放送の呼び出しに対してオフフック応答しなかったこと(200OKが返ってこなかったこと)を例えば記憶部33に記憶する。さらに、この場合、MF3は、図3に示した音声一斉管理テーブルの電話機(3)に対応する電話IDの1回目に受令失敗の「×」を記憶する。
【0042】
また、MF3は、電話機(1)、(2)のオフフックを検出した(200OKが返ってきた)ことを例えば記憶部33に保存しておく。
さらに、MF3は、電話機(1)、(2)から200OKを受信すると、これら電話機(1)、(2)に対して、これから放送を開始することを知らせるトーキ音のデータを読み出して出力する(S23、S24)。
【0043】
統制台1では、MF3から200OKを受信すると(S25)、MF3にACKを送信する(S26)。統制台1からACKを受信したMF3は、応答があった電話機(1)、(2)に対してACKを送信する(S27,S28)。
そして、図7に示すように、統制台1と電話機(1)、(2)の回線を通話可能状態にする(S29)。そして、統制台1は音声一斉放送を開始する(S30)。
【0044】
ここで、統制台1からの音声一斉放送が終了する前(終了メッセージが出る前)に電話機(2)がオンフックを行うと(S31)、電話機(2)からMF3にBYEが送信される(S32)。この場合、MF3は、200OKを電話機(2)に送信するとともに(S33)、電話機(2)が放送受信途中でオンフックしたこと(放送途中でのオンフック検出)を例えば記憶部33に保存しておく。さらに、この場合、MF3は、図3に示した音声一斉管理テーブルの電話機(2)に対応する電話IDの1回目に受令失敗の「×」を記憶する。
【0045】
なお、図5に示すように、通常の通話であれば、電話機(3)からBYEを受けたMF3は(図5の(17)参照)、統制台1に対してBYEを送信し(図5の(18)参照)、その後、電話機(3)に対して200OKを送信する(図5の(19)参照)。
しかし、統制台1からの音声一斉放送中の場合には、MF3は、電話機からBYEを受信しても統制台1へBYEの送信を抑止し、電話機からBYEを受信したこと、すなわち、一斉放送中に受話機が置かれオフフックされ当該電話機は一斉放送の受令に失敗したことを記憶する。
【0046】
その後、統制台1による音声一斉が終了すると(S34)、統制台1は音声一斉終了メッセージ(BYE)をMF3に対し送信し(S35)、MF3ではオフフック状態である電話機(1)に対して音声一斉終了メッセージ(BYE)を送信する(S36)。
そして、BYEを受けた電話機(1)はMF3に200OKを送信する(S37)。その後、MF3は受信結果内容、ここでは、電話機(1)は正常受信、電話機(2)は受信途中でオンフック検出(受令失敗)、電話機(3)は未受信(受令失敗)であることを統制台1に通知し(S38)、統制台1はACK をMF3に返信して(S39)、最初の音声一斉送信処理が完了する。
【0047】
これら図6図7に示す一連の動作を行うことにより、MF3は、音声一斉を正常に受令した場合、音声一斉中にオンフックした場合、オフフックされず音声一斉を受信していない場合、という3つの状態で電話機(1)〜(3)を管理することが可能である。
【0048】
MF3の制御部32では音声一斉内容(放送メッセージ)を録音する機能を有し、上記(2)、(3)の状態にある電話機に対しては上記図4に示したように、一定時間後に、または、統制台1からの再送指令により再度同じ音声一斉内容を送信する。なお、MF3による再送処理では、MF3が放送内容を記憶して自律的に実施するので、図6図7におけるMF3と統制台1との間のやり取りは省略することができる。
【0049】
従来の通信システムでは音声一斉用専用のハードウェア、音声一斉を正常に受信したことを知らせるボタン等のハードウェア、インタフェースが必要であった。しかし、本システムでは、MF3が音声一斉処理中の電話機(1)〜(3)の受令状態を監視して記憶保持するため、それら従来必要であった構成が不要になり、通常個別通信中用に用意しておいた電話機を用いて、統制台1による音声一斉放送を実現することができる。これにより、価格的にも機能的にもシンプルな構成で交換系システムを構成することが可能となる。
また、IP電話等の汎用のハードウェアで電話機(1)〜(3)及び統制台1を実現することが可能なため、他システムへの応用が容易になるというメリットもある。
【0050】
[実施の形態の効果]
本システムによれば、IP電話制御装置3が統制台1から電話機4aに対する音声一斉放送の正常受令、受令失敗を電話機4aのオフフック、オンフックに対応する信号で監視して、各電話機の受令状況を音声一斉管理テーブルに記憶して認識し、受令失敗の電話機には放送メッセージを再送するようにしているので、新たなハードウェアを設けることなく、個別通話の機能に加えて音声一斉放送を容易に実現できる効果がある。
【0051】
また、本システムは、IP電話制御装置3が放送メッセージを送信する前に、オフフックした電話機に対して放送開始を知らせるトーキ音を出力するようにしているので、電話機をオフフックした者が容易に放送開始を知ることができる効果がある。
【0052】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、種々変形して実施することができる。
例えば、上述した実施形態では、IP電話制御装置3が音声一斉管理テーブルに基づいて音声一斉放送の再送処理を実行する場合を例にあげて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、上記図6図7で示したそれぞれの受信状態(例えば、呼出に対してオフフックしなかった、放送中にオンフックした)そのものに基づいて、再送処理を実施してもよい。
【0053】
また、上述した実施形態では、IP電話制御装置3が統制台1から音声一斉要求を受信してから音声一斉を開始するまでの所定時間の経過を管理するように構成した。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、統制台1が音声一斉要求を送信してからの所定時間の経過を監視し、所定時間経過すると、例えば、ACK等をIP電話制御装置3に送信して(S26)、IP電話制御装置3が統制台1と電話機4aを通話可能状態にするようにIP電話制御装置3を制御しても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、個別通話が可能な電話機を用いて、新たなハードウェアを追加することなく、音声一斉の放送を実現する通信システムに好適である。
【符号の説明】
【0055】
1...統制台、 2...IP(Internet Protocol)網、 3...IP電話制御装置(MF)、 4...端末局、 4a...電話機、 4b...スピーカ、 4c...受信確認ボタン、 31...送受信部、 32...制御部、 33...記憶部
図1
図2
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図6
図7
図8