特許第5879056号(P5879056)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5879056
(24)【登録日】2016年2月5日
(45)【発行日】2016年3月8日
(54)【発明の名称】車体構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 35/02 20060101AFI20160223BHJP
   B62D 25/20 20060101ALI20160223BHJP
【FI】
   B62D35/02
   B62D25/20 N
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-146483(P2011-146483)
(22)【出願日】2011年6月30日
(65)【公開番号】特開2013-14165(P2013-14165A)
(43)【公開日】2013年1月24日
【審査請求日】2014年5月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】富士重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】特許業務法人 エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 巧
(72)【発明者】
【氏名】北山 真司
(72)【発明者】
【氏名】藤生 優史
【審査官】 鈴木 敏史
(56)【参考文献】
【文献】 独国特許出願公開第03410296(DE,A1)
【文献】 仏国特許出願公開第02863244(FR,A1)
【文献】 独国特許出願公開第102008039495(DE,A1)
【文献】 実開昭63−139182(JP,U)
【文献】 国際公開第2009/105631(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 35/02
B62D 25/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の一部に形成され、タイヤを収納するタイヤ収納部と、
前記車体の下面の前記タイヤ収納部に対して前記車体の幅方向の内側近傍位置に、他の部分よりも流速が早い領域を作成可能な流速加速手段と、を有し、
前記流速加速手段は、
前記タイヤ収納部に対して前記車体の幅方向の内側位置に形成され、前記車体の下方側に突出し、かつ、前記車体の前後方向に延在する第1の縦壁と、
前記第1の縦壁と左右方向に離間して並ぶように対向する位置に形成され、前記車体の下方側に突出し、かつ、前記車体の前後方向に延在する第2の縦壁と、
前記第1の縦壁に対して前記車体の前後方向の前方側、及び、前記車体の幅方向の外側位置、並びに、前記タイヤ収納部に対して前記車体の前後方向の前方側位置に形成され、前記車体の下方側に突出し、かつ、前記車体の幅方向に延在するフラップと、
前記フラップと前記第1の縦壁とを滑らかに接続する第1の接続部と、
前記第2の縦壁に対して前記車体の前後方向の前方側、かつ、前記車体の幅方向の内側位置に形成され、前記車体の前後方向において前記フラップと略同一の位置において前記車体の下方側に突出し、かつ、前記車体の幅方向に延在する整流板と、
前記整流板と前記第2の縦壁とを滑らかに接続する第2の接続部と、
を備える、
車体構造。
【請求項2】
前記第1の縦壁及び前記第2の縦壁の少なくとも一方は、前記車体の前後方向における後端部が、前記タイヤ収納部の前記車体の前後方向の後端部と、前記前後方向に略同じ位置か、又は、後方になるように形成される
請求項に記載の車体構造。
【請求項3】
前記第1の縦壁と前記第2の縦壁との前記車体の幅方向の離間距離が、前記車体の前方から後方に向かって小さくなる
請求項1または2に記載の車体構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体下部における気流を調整するための車体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両走行時に、車体下部に前方から後方に向かう気流である走行風が発生する。
特許文献1には、タイヤ収納部(ホイールハウス)内に流入する走行風の流れを制限するデフレクタ部材が設けられている車両のデフレクタ構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010―167934号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の車両のデフレクタ構造においては、走行風の一部がタイヤ収納部内に流入するように走行風の流れを制限している。整流された走行風がタイヤ収納部内に流入すると、タイヤ収納部内に乱流が発生する。その結果、タイヤ収納部内での空気抵抗が増大するという不利益がある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的の一例は、タイヤ収納部内に流入する走行風量を低減可能な車体構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車体構造は、車体の一部に形成され、タイヤを収納するタイヤ収納部と、前記車体の下面の前記タイヤ収納部に対して前記車体の幅方向の内側近傍位置に、他の部分よりも流速が早い領域を作成可能な流速加速手段と、を有する。そして、前記流速加速手段は、前記タイヤ収納部に対して前記車体の幅方向の内側位置に形成され、前記車体の下方側に突出し、かつ、前記車体の前後方向に延在する第1の縦壁と、前記第1の縦壁と左右方向に離間して並ぶように対向する位置に形成され、前記車体の下方側に突出し、かつ、前記車体の前後方向に延在する第2の縦壁と、前記第1の縦壁に対して前記車体の前後方向の前方側、及び、前記車体の幅方向の外側位置、並びに、前記タイヤ収納部に対して前記車体の前後方向の前方側位置に形成され、前記車体の下方側に突出し、かつ、前記車体の幅方向に延在するフラップと、前記フラップと前記第1の縦壁とを滑らかに接続する第1の接続部と、前記第2の縦壁に対して前記車体の前後方向の前方側、かつ、前記車体の幅方向の内側位置に形成され、前記車体の前後方向において前記フラップと略同一の位置において前記車体の下方側に突出し、かつ、前記車体の幅方向に延在する整流板と、前記整流板と前記第2の縦壁とを滑らかに接続する第2の接続部と、を備える。
【0012】
さらにまた、前記第1の縦壁及び前記第2の縦壁の少なくとも一方は、前記車体の前後方向における後端部が、前記タイヤ収納部の前記車体の前後方向の後端部と、前記前後方向に略同じ位置か、又は、後方になるように形成されることが好ましい。
【0013】
さらにまた、前記第1の縦壁と前記第2の縦壁との前記車体の幅方向の離間距離が、前記車体の前方から後方に向かって小さくなることが好ましい。
【0015】
さらにまた、前記フラップと前記整流板とは、前記車体の前後方向における略同一の位置に形成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明における車体構造によって、タイヤ収納部内に流入する走行風量を低減可能な車体構造を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る車両を示す側面図である。
図2】本発明に係る車両を示す下面図である。
図3】本発明に係るフラップの断面構造を示す断面図である。
図4】本発明に係る整流板の断面構造を示す断面図である。
図5】本発明に係る第1の縦壁及び第2の縦壁の断面構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態である車体構造を備える車両について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る車体構造を備える車両10の側面図である。図2は、図1に示す車両10の下面に形成された車体構造16を示す下面図である。
【0019】
図1に示すように、車両10は、車体の前方と後方のそれぞれ1対ずつのタイヤ12と、タイヤ12を収納するために車体に形成されたタイヤ収納部14とを備える。
【0020】
タイヤ収納部14は、車体の一部に設けられた略半円筒形状の凹部である。タイヤ収納部14は、タイヤ12を収納するのに十分な空間を提供する。すなわち、タイヤ12とタイヤ収納部14との間には空間が形成されている。
【0021】
特に、操舵輪である前輪のタイヤ12を収納するために形成されたタイヤ収納部14は、転舵代を見込んで、車体の幅方向に十分な空間を提供するように形成されている。すなわち、車体の前後方向に延在してタイヤ収納部14を形成する壁部と、タイヤ12の車体の幅方向の内側部との間には、転舵代を十分に確保するための空間が形成されている。
【0022】
図2に示すように、本実施形態の車体構造16は、フラップ18と、整流板20と、第1の縦壁22と、第2の縦壁24と、第1の接続部26と、第2の接続部28とを備える。なお、図2において、左前方のタイヤ12及びタイヤ収納部14の周囲に形成された車体構造16のみを図示している。以下、代表してその説明を行うが、右前方のタイヤ12及びタイヤ収納部14の周囲にも同様の車体構造16が設けてあることは言うまでもない。
【0023】
フラップ18は、タイヤ収納部14に対して車体の前後方向(以下、単に前後方向という)の前方側の近傍位置に形成されている。また、フラップ18は、車体の下方側に突出し、かつ、車体の幅方向(以下、単に幅方向ともいう)に延在する部材である。
【0024】
図3は、図2に示すIII−III線で切断した、フラップ18の前後方向の断面を示す断面図である。図3に示すように、フラップ18は、前後方向に前方から後方に向かって車体下部から遠ざかる傾斜面18aを備える。すなわち、フラップ18は、前後方向に前方から後方に向かって、その高さが増大する傾斜形状を有する。
【0025】
このように構成されたフラップ18は、前方からの走行風を整流することで良好な空力特性を得るとともに、走行風を幅方向へと整流する。
【0026】
なお、本発明において、フラップ18は、少なくとも、車体の下方側に突出し、かつ、幅方向に延在する部材であり、走行風を幅方向へと整流することができれば、上述の形状に限定されない。例えば、フラップ18は、車体の下方側に突出する板状の部材でもよいし、半円筒状の部材でもよいし、三角柱状の部材でもよい。
【0027】
整流板20は、フラップ18に対して幅方向の内側位置に離間して形成されている。また、整流板20は、フラップ18と前後方向における略同一の位置に形成されている。また、整流板20は、タイヤ収納部14よりも幅方向の内側位置に形成されている。
【0028】
図4は、図2に示すIV−IV線で切断した、整流板20の前後方向の断面を示す断面図である。図4に示すように整流板20は、車体の下方側に突出し、かつ、幅方向に延在する板状の部材である。
【0029】
このように構成された整流板20は、前方からの走行風を幅方向へと整流する。
【0030】
なお、本発明において、フラップ18は、少なくとも、下方側に突出し、かつ、幅方向に延在する部材であり、走行風を幅方向へと整流することができれば、上述の形状に限定されない。例えば、整流板20は、フラップ18と同様の傾斜面18aを有する形状でもよいし、半円筒状の部材でもよいし、三角柱状の部材でもよい。
【0031】
第1の縦壁22は、フラップ18に対して前後方向の後方側、かつ、タイヤ収納部14に対して幅方向の内側位置に形成されている。また、本実施形態では、第1の縦壁22は、フラップ18よりも幅方向の内側位置に形成されている。
【0032】
図5は、図2に示すV−V線で切断した、第1の縦壁22及び第2の縦壁24の幅方向の断面を示す断面図である。図5に示すように、第1の縦壁22は、車体の下方側に突出し、かつ、前後方向に延在する板状の部材である。さらに、第1の縦壁22は、その前後方向における後端部が、タイヤ収納部14の前後方向における後端部よりも後方に位置するように形成されている。
【0033】
第2の縦壁24は、整流板20に対して前後方向の後方側位置に、第1の縦壁22に対向して形成されている。また、本実施形態では、第2の縦壁24は、整流板よりも車体の幅方向の外側位置に形成されている。
【0034】
この第2の縦壁24は、図5に示すように、車体の下方側に突出し、かつ、前後方向に延在する板状の部材である。さらに、第2の縦壁24は、その前後方向における後端部が、タイヤ収納部14の前後方向における後端部よりも後方に位置するように形成されている。
【0035】
第1の縦壁22と第2の縦壁24とは対向して、略平行となるように配置されており、前方から後方へと流れる気流の流路を形成している。
【0036】
なお、第1の縦壁22及び第2の縦壁24は、それぞれ、車体の下方側に突出し、対向して配置されており、気流の流路を形成することができれば、その形状を特に制限されない。例えば、第1の縦壁22及び第2の縦壁24は、半円筒状の部材でもよいし、三角柱状の部材でもよい。
【0037】
なお、フラップ18と第1の縦壁22とは、第1の接続部26によって接続されている。第1の接続部26は、車体の下方側に突出した板状の部材である。また、第1の接続部26は、幅方向の内側に向かって凸の湾曲形状を有し、フラップ18と第1の縦壁22とを滑らかに接続している。
【0038】
また、整流板20と第2の縦壁24とは、第2の接続部28によって接続されている。第2の接続部28は、車体の下方側に突出した板状の部材である。また、第2の接続部28は、幅方向の外側に向かって凸の湾曲形状を有し、整流板20と第2の縦壁24とを滑らかに接続している。
【0039】
第1の接続部26と第2の接続部28とは、前方から後方へと向かって、その幅方向の離間距離が徐々に小さくなるように対向して配置されている。このように配置された第1の接続部26及び第2の接続部28は、前後方向にフラップ18から第1の縦壁22(整流板20から第2の縦壁24の)間で、気流の流路を形成している。この、第1の接続部26と第2の接続部28とによって形成された流路は、前方から後方に向かって徐々に幅が小さくなっている。
【0040】
上述のフラップ18と、整流板20と、第1の縦壁22と、第2の縦壁24と、第1の接続部26と、第2の接続部28とは、車体下部を形成するアンダーカバーと別部材であってもよいし、アンダーカバーと一体に形成されていてもよい。
【0041】
このように構成された車体構造16において、フラップ18及び整流板20によって幅方向に整流された走行風は、離間して配置されたフラップ18と整流板20との間の空間に流れ込む。この空間に流れ込んだ走行風は、広い空間から狭い空間へと流れ込むことになるので、後方に向かって加速される。すなわち、フラップ18及び整流板20は、その間に後方に向かう気流を発生させるとともに、この気流を後方に向かって加速させることができる。さらに、フラップ18及び整流板20は、前方からの走行風を整流して、その間を後方に向かう気流に変えることにより、タイヤ収納部14の内部に流入する走行風を低減することができる。
【0042】
そして、加速された気流は、第1の接続部26と第2の接続部28とによって形成された流路に流れ込む。この流路は、前方から後方に向かって徐々に幅が小さくなっている。したがって、この流路に流れ込んだ気流は、前方から後方に向かうにつれてさらに加速される。すなわち、第1の接続部26及び第2の接続部28は、その間を流れる気流を後方に向かってさらに加速させることができる。
【0043】
このように、走行風は、フラップ18及び整流板20によって整流されて、フラップ18及び整流板20の間を通過する気流となる。この気流は、フラップ18及び整流板20の間を通過したのち、第1の接続部26と第2の接続部28とによって形成された流路を通過することにより、後方に向かって加速される。
【0044】
さらに、加速された気流は、第1の縦壁22と第2の縦壁24とによって形成された流路を、その流れを維持したまま通過する。すなわち、第1の縦壁22及び第2の縦壁24は、後方に向かって流れる気流を、その流れを維持させたまま、タイヤ収納部14に沿って後方に向って確実に流すことができる。
【0045】
さらに、形成された気流は、周囲の空気を吸引しながら後方に向かって流れる。特に、タイヤ収納部14の周囲の空気を吸引しながら後方に向かって流れる。より具体的には、フラップ18の後方、かつ、第1の接続部26の幅方向の外側位置周辺の空気を吸引することにより、タイヤ収納部14の前方位置から気流の流路に向かう、新たな気流を形成することができる。これにより、タイヤ収納部14の内部に流入する走行風をより一層低減することができるのである。
【0046】
また、本実施形態の車体構造16によれば、上述のようにタイヤ収納部14に流入する走行風の量を低減することができるので、タイヤ収納部14内部において乱気流の発生を抑制して、空気抵抗を低減し、空力性能を改善することができる。さらに、この空力性能の改善によって、更なる燃費の向上を図ることができる。
【0047】
以上、本実施形態の車体構造16について詳細に説明した。本発明は以上の実施形態に限定されるものではなく、様々な変化した構造、構成を採用してもよい。
【0048】
例えば、上記実施形態では、車体構造16は、前方のタイヤ12及びタイヤ収納部14の周辺に設けられているとしたが、本発明はこれに限定されず、後方のタイヤ12及びタイヤ収納部14の周辺に設けられてもよい。これにより、後方のタイヤ12及びタイヤ収納部14の周囲においても、空力性能を改善することができる。さらに、この空力性能の改善によって、更なる燃費の改善を図ることができる。
【0049】
また、上記実施形態では、第1の縦壁22と第2の縦壁24とが略平行となるように配置されているとしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1の縦壁と第2の縦壁との離間距離が、後方に向かうにつれて徐々に小さくなるようにしてもよい。すなわち、第1の縦壁22と第2の縦壁24とによって形成される流路が、後方に向かうにつれて徐々に狭くなるように構成されてもよい。これにより、この流路を流れる気流を、後方に向かうにつれて更に加速させることができる。また、さらに加速させることにより、タイヤ収納部14に流入する走行風の量をより一層低減することができ、空力性能を改善することができ、より一層の燃費の改善を図ることができる。
【0050】
また、上記実施形態では、第1の縦壁22及び第2の縦壁24の両方の後端部が、タイヤ収納部14の後端部よりも後方になるように形成されているとしたが本発明はこれに限定されない。第1の縦壁22及び第2の縦壁24の少なくとも一方の後端部が、タイヤ収納部14の後端部と、前後方向に略同じ位置か、又は、後方になるように形成されていてもよい。このように構成されている場合であっても、発生させた気流をタイヤ収納部14よりも後方に確実に流すことができる。これにより、気流がタイヤ収納部14に流入することを防止することができる。
【0051】
<実施形態の構成及び効果>
以上の実施形態によれば、タイヤ12を収納するタイヤ収納部14と、車体の下面のタイヤ収納部14に対して幅方向の内側近傍位置に、他の部分よりも流速が早い領域を作成可能な流速加速手段と、を有する。
このような構成によって、前方からの走行風の一部をタイヤ収納部14の近傍位置において加速させて、他の部分よりも流速が早い領域を作成できる。さらに、加速された気流は、周囲の空気を吸引しながら後方に向かって流れる。タイヤ収納部14の周辺から内側位置に向かう気流を形成することができる。これにより、タイヤ収納部14の内部に流入する走行風を低減することができる。
また、タイヤ収納部14に流入する走行風の量を低減することができるので、タイヤ収納部14内部において乱気流の発生を抑制して、空気抵抗を低減し、空力性能を改善することができる。さらに、この空力性能の改善によって、更なる燃費の改善を図ることができる。
【0052】
さらに、以上の実施形態によれば、流速加速手段は、タイヤ収納部14に対して幅方向の内側位置に形成され、車体の下方側に突出し、かつ、前後方向に延在する第1の縦壁22と、第1の縦壁22に対向する位置に形成され、車体の下方側に突出し、かつ、前後方向に延在する第2の縦壁24と、を備える。
このような構成によって、前方からの走行風の一部をタイヤ収納部14の近傍位置において加速させて、他の部分よりも流速が早い領域を作成できる。さらに、加速された気流は、周囲の空気を吸引しながら後方に向かって流れる。タイヤ収納部14の周辺から内側位置に向かう気流を形成することができる。これにより、タイヤ収納部14の内部に流入する走行風を低減することができる。また、後方に向かって流れる気流を、その流れを維持させたまま、タイヤ収納部14に沿って後方に向って確実に流すことができる。
【0053】
さらに、以上の実施形態によれば、流速加速手段は、第1の縦壁22に対して前後方向の前方側、及び、幅方向の外側位置、並びに、タイヤ収納部14に対して前後方向の前方側位置に形成され、車体の下方側に突出し、かつ、車体の幅方向に延在するフラップ18を備える。
このような構成によって、前方からの走行風を幅方向に整流することができ、第1の縦壁と第2の縦壁との間に流れ込む気流を発生させることができる。また、前方からの走行風を幅方向に整流することができ、タイヤ収納部14に流入する走行風を一層低減させることができる。
【0054】
さらに、以上の実施形態によれば、流速加速手段は、フラップ18と第1の縦壁22とを滑らかに接続する第1の接続部26を備える。
このような構成によって、フラップ18から第1の縦壁22に向かって気流を確実に流すことができる。
【0055】
さらに、以上の実施形態によれば、流速加速手段は、第2の縦壁24に対して前後方向の前方側、かつ、幅方向の内側位置に形成され、車体の下方側に突出し、かつ、幅方向に延在する整流板20を備える。
このような構成によって、前方からの走行風を幅方向に整流することができ、第1の縦壁と第2の縦壁との間に流れ込む気流を発生させることができる。
特に、フラップ18と整流板20とを備える場合、その間に後方に向かう気流を発生させるとともに、この気流を後方に向かって加速させることができる。さらに、形成された気流は、周囲の空気を吸引しながら後方に向かって流れる。特に、フラップ18の後方の空気を吸引することにより、タイヤ収納部14の前方位置から内側位置に向かう気流を形成することができる。これにより、タイヤ収納部14の内部に流入する走行風をより一層低減することができる。
【0056】
さらに、以上の実施形態によれば、流速加速手段は、整流板20と第2の縦壁24とを滑らかに接続する第2の接続部28を備える。
このような構成によって、整流板20から第2の縦壁24に向かって気流を確実に流すことができる。
特に、第1の接続部26と第2の接続部28とを備えることにより、第1の接続部26及び第2の接続部28の間を流れる走向風を後方に向かってさらに加速させることができる。
【0057】
なお、以上の実施形態によれば、第1の縦壁22は、フラップ18に対して幅方向の内側位置に形成され、第2の縦壁24は、整流板20に対して車体の幅方向の外側位置に形成される。
このような構成によって、フラップ18及び整流板20によって形成された気流を、さらに絞ることにより減速させることなく、後方に向かって流すことができる。
【0058】
さらに、以上の実施形態によれば、第1の縦壁22及び第2の縦壁24の少なくとも一方は、前後方向における後端部が、タイヤ収納部14の前後方向の後端部と、前後方向に略同じ位置か、又は、後方になるように形成される。
このような構成によって、発生させた気流をタイヤ収納部14よりも後方に確実に流すことができる。これにより、気流がタイヤ収納部14に流入することを防止することができる。
【0059】
さらに、以上の実施形態によれば、第1の縦壁22と第2の縦壁24との幅方向の離間距離が、前方から後方に向かって小さくなる。
このような構成により、第1の縦壁22と第2の縦壁24とによって形成される流路が、後方に向かうにつれて徐々に狭くなる。これにより、この流路を流れる気流を、後方に向かうにつれて更に加速させることができる。また、さらに加速させることにより、タイヤ収納部14に流入する走行風の量をより一層低減させることができ、空力性能を改善することができ、より一層の燃費の改善を図ることができる。
【0060】
また、以上の実施形態によれば、タイヤ12を収納するタイヤ収納部14と、タイヤ収納部14に対して前後方向の前方側位置に形成され、車両10の下方側に突出し、かつ、幅方向に延在するフラップ18と、タイヤ収納部14よりも幅方向の内側位置に、フラップ18に対して幅方向の内側位置に離間して形成され、車両10の下方側に突出し、かつ、幅方向に延在する整流板20と、を有する。
【0061】
このような構成によって、前方からの走行風を幅方向に整流することができ、タイヤ収納部14に流入する走行風を低減させることができる。
また、離間して配置されたフラップ18と整流板20により、その間に後方に向かう気流を発生させるとともに、この気流を後方に向かって加速させることができる。
さらに、形成された気流は、周囲の空気を吸引しながら後方に向かって流れる。特に、フラップ18の後方の空気を吸引することにより、タイヤ収納部14の前方位置から内側位置に向かう気流を形成することができる。これにより、タイヤ収納部14の内部に流入する走行風をより一層低減することができる。
また、タイヤ収納部14に流入する走行風の量を低減することができるので、タイヤ収納部14内部において乱気流の発生を抑制して、空気抵抗を低減し、空力性能を改善することができる。さらに、この空力性能の改善によって、更なる燃費の改善を図ることができる。
【0062】
さらに、以上の実施形態によれば、フラップ18と整流板20とは、前後方向における略同一の位置に形成される。
このような構成によって、その間に後方に向かう気流をより好適に発生させるとともに、この気流を後方に向かってより好適に加速させることができる。
【0063】
<定義>
流速加速手段の一例が、第1の壁、第2の壁、フラップ、整流板、第1の接続部、第2の接続部である。なお、流速加速手段は、以上の全ての部材を有しなくてもよいことはいうまでもない。
【符号の説明】
【0064】
10 車両
12 タイヤ
14 タイヤ収納部
16 車体構造
18 フラップ
20 整流板
22 第1の縦壁
24 第2の縦壁
26 第1の接続部
28 第2の接続部
図1
図2
図3
図4
図5