(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本発明において、「什器」とは、金属板製、木製などの材料の如何に拘らず、ロッカー、キャビネットなどをいう
。「ラッチ手段」とは、什器の本体の開口部
に設けた係止部に係脱して
扉を本体の開口部から開
放したり、開口部を閉止した状
態に保持するための手段をいう。
「暗証情報」とは、暗証情報(数字(番号),文字,記号,符号を含むもので、本発明では、押釦の前面に刻印または印刷などにより付されたものをいう。「暗証」とは、一般に秘密保持者にのみ開示されうる暗証情報、例えば4桁の数字の組合せなどを言い、パスワードまたは暗証番号ともいう。「暗証」が一致すれば、本発明では解錠可能となる。「解錠すべき暗証」とはユーザー(使用者)または管理者が予め設定した暗証をいう。
【0022】
(1).第1実施形態の概略
次に、
図1〜
図9を参照
しながら、本発明の
第1実施形態について説明する。
図1(A)
は什器としてのキャビネット1を示し、その本体2の開口部2aは
、開閉部材としての2枚の扉3が観音開き式に設けられている。一方の扉2には
、引手(指掛け体)10と押釦錠装置11とが
、ユニットケース12に収納され
た状態で配置されている。
【0023】
ユニットケース12は、
図2〜6等に示されているように、扉3の裏面に取付けられるケース本体13と、このケース本体13に着脱可能に取付けられる裏カバー体14とからなり、合成樹脂の射出成形品等である。ケース本体13には
、押釦錠装置11の取付け部16や
、引手10の回動軸15
が嵌まる軸受部17
、並びにラッチ手段の作動軸18の挿通部19や引手孔20が形成されている。
回動軸15及び作動軸18は、上下長手に延びている。
【0024】
扉3には
、押釦錠装置11の押釦31等の前面や引手孔20が臨むように、ケース本体13の前面が露出する孔が穿設されている
。引手10の回動軸15には、連動体21が
引手10と一体的に回転するように取付けられている。連動体21に取付けられる作動軸18は回動軸15と平行であり、扉3の裏面近傍に配置される。作動軸18に
は、これと一体に回動するラッチ作動体22が取付けられており、ラッチ作動体22
が連動体21に押されて回動する構成である(
図4、
図5(C)、
図6(C)参照)。
ラッチ作動体22は非常解錠用
でもあり、その動きについては後述する。
【0025】
このように、ユニットケース12に、押釦錠装置11や
引手10、回動軸15、連動体21、
ラッチ作動体22等の部材を予め収容したものを
、扉3に着脱可能に装着できる構成であると、複数の部品の取付け作業が簡単になるし、部品相互間の取付け寸法誤差も少なくできるという効果を奏する。
【0026】
ラッチ手段の第1実施例では、
図1(B)、
図2、及び
図3に示すように、扉3の裏面においてその上下端部の軸受部23に
、断面矩形状など作動軸18が回動可能に軸支されている。作動軸18の上下端部にラッチ爪24が一体的に回動するように取付けられ、両ラッチ爪24は
、本体2の開口部2aに設けられた係止部25に係脱できる構成である。ラッチ爪24が係止部25に係止して
扉3を開けない状態がロック状態であり、ラッチ爪24が係止部25から外れた状態
がロック解除状態である。
【0027】
(2).押釦錠装置の構
成
本発明に適用する押釦錠装置11は、特許文献1及び2に開示されている構成のものや、特許文献3や特許文献4に開示されている構成を有するものなど
、いずれにも適用できる。
【0028】
一般に、押釦錠装置11は、暗証情報が表面に刻印または印刷などにより付された複数個の押釦31が、ハウジング32の表面に一部突出されて複数行、複数列のマトリクス状に配置されている。押釦31の下端には扁平板状または丸軸状などの軸体33が設けられ、ハウジング32の背面カバー32aに一部突出するようになっている。
本実施形態では、数字の0〜9及び♯の11個の暗証情報が表面に刻設された暗証用釦と、ローマ文字C
が付いた設定キャンセル用釦を有する。解錠すべき暗証は
、1〜5桁などの任意の桁数とすることができる。本実施例では、複数回の解錠及び再施錠にわたって同一の暗証(暗証番号)を使用するための、予め解錠すべき暗証を決め、その釦を任意の順で押し込んでセットすることができる。
【0029】
各軸体33の長手方向(押釦31を押下する軸線方向)の中途部に
、解錠切欠き部(不図示)が形成され、ハウジング32内には
、軸体33や解錠切欠き部が通過しうる通孔を有するガイドプレート(不図示)、開閉プレート36、リセットプレート35が軸体33の軸線と直交する平面で多層状に移動可能に配置されている。
本発明において、部品の配置関係を示す「前面(側)」とは、押釦錠装置11の押釦31が扉3等に突出している側を言い、「背面(側)」とは押釦31の押し込み下流側(扉3の裏面から遠い側)をいう。また、上下、左右とは
図7(A)、
図8(A)及び
図7(B)における上下、左右を言う。
図7(A)、
図8(A)及び
図7(B)はハウジング32の背面カバー32aを外して見た内部構造であり、リセットプレート35が最も背面側に配置され、その前面側に開閉プレート36が配置されている。リセットプレート35と開閉プレート36とは
図7(A)、
図8(A)及び
図7(B)においてそれぞれ独立的に上下動する。開閉プレート36には各軸体33の端部が挿通可能で、解錠可能時に軸体33の端部が係止しうる係止孔34が穿設されている。なお、
図8(A)では係止孔34を図示省略している。
【0030】
(3).引手10と押釦錠装置11との連動機
構
施錠状態(
図7(A)及び
図8(A)参照)では、全ての押釦31が突出状態に保持されている。また、施錠状態では、開閉プレート36が、ハウジング32の移動可能空間37内で、下位置に保持されて、移動可能空間37の上部と開閉プレート36の上端との間に寸法H1の隙間が形成されている。
【0031】
本実施形態では、押釦錠装置11に設けられた解錠作動体は施錠時には作動不能で、解錠可能時には解錠方向に作動可能に構成され、
引手10と解錠作動体とは連動機構及び付勢手段により、施錠方向に姿勢保持されている。解錠すべき暗証と一致する押釦31を
全て押下した(但し、押下の順序は問わない)状態で
引手10を解錠方向に操作したときのみ、
引手10を介して解錠作動体
(詳細後述)が解錠方向に作動するとともに、ラッチ手段に
ロック解除方向の作動力が伝達されて
、扉3を開口部2a
から開くことができる。本実施形態では、解錠作動体
は、下記の回動主軸39と第1作動杆40とを含む。
【0032】
図7(A)及び
図8(A)において
、移動可能空間37の下方にキャリア38が上下動可能に配置されている。キャリア38の下方には、ハウジング32内で
作動軸18の軸線と直交した左右方向に往復直線移動可能な第1作動杆40と
、前後方向に延びる軸心回りに往復回動可能な回動主軸39とが配置されている。回動主軸39の外周に設けられた円周の一部のみの扇状歯車41と
、第1作動杆40の一側面(下面)に形成されたラック部42とが噛み合って、第1作動杆40の往復直線移動と回動主軸39の往復回動とが連動する。
【0033】
図示実施例では、第1作動杆40とユニットケース12の一側の支持部12aとの間には、請求項にいう付勢手段の一例としての圧縮ばね44が配置されて
いて、第1作動杆40を
、常時
、図7(A)、
図8(A)の左方向(施錠方向)に姿勢付勢している。
キャリア38の下面の下向き凸部43は第1作動杆40の上面に摺動可能に当接され、且つ
、キャリア38と開閉プレート36とに装架された連結バネ(圧縮バネ)45により、キャリア38と開閉プレート36とが上下方向に突っ張り合うように構成されている。
また、キャリア38の下面の下向き凸部43が
、第1作動杆40の上面に設けられた凹部46に嵌まっている
とき(施錠状態
のとき)、移動可能空間37の上部と開閉プレート36の上端との間に寸法H1の隙間が形成されるように、不図示のストッパ機構により、開閉プレート36が下位置に保持され
ている。なお、リセットプレート35とキャリア38とも
、別の連結バネ(圧縮バネ)47にて連結されている(
図7(A)及び
図7(B)にのみ示す)。
【0034】
扇状歯車41を有する円筒体48の背面側端面には、円弧型段付き状の係止部49が形成されている(
図7(A)、
図7(B)、
図8(A)、
図8(B)参照)。この係止部49は、
図7(A)、
図8(A)及び
図8(B)において、左側が高く、右側が低い円弧である。
【0035】
リセットプレート35の背面側には、ストッパ杆50が
、開閉プレート36と係止部49との間に橋渡しされている。ストッパ杆50の上端の鉤部51は
、開閉プレート36に穿設された係合孔52に係合され、ストッパ杆50の中途部は
、案内片53に沿って上下方向に摺動可能である(
図8(B)参照)。案内片53は
、押釦錠装置11の裏カバー11aに支持されることが好ましい。ストッパ杆50の下端は、施錠時は係止部49に係止されて
、回動主軸39が解錠方向(
図7(A)、
図8(A)において時計回り方向)に可動するのを阻止している。
【0036】
そして、
引手10に設けられたコロ状または傾斜面を有するカムフォロア54と
、第1
作動杆40の先端に連結または形成された傾斜面を有するカム部55(
図3、
図5(A)、
図6(A)、
図9(A)等参照)とが
、付勢手段である圧縮ばね44の付勢力によりほぼ常時接触されている。カム部55が押釦錠装置11の側面から突出する施錠状態(ロック時)では
、引手10の全体が引手孔20内に位置する等、
引手10に扉開きのためのユーザーの力が作用していない姿勢(
非開き操作姿勢という)に保持される。
引手10と解錠作動体(回動主軸39と第1作動杆40とを含む)との「連動機構」は、
本実施形態においては
、上記カムフォロア54とカム部55を含む構成である。
既述のとおり、「付勢手段」とは、
本実施形態では圧縮ばね44である。圧縮ばね44に代えて、回動主軸39を施錠方向に付勢する捩じりばね
を使用しても良い。
本実施形態では、回動主軸39には
、回動式の第2作動杆(回動プレート)60が設けられ、この
第2作動杆60の先端部(回動半径外周側)にはストッパブロック61が固着されている(
図5(B)、
図5(C)、
図6(C)など参照)。
【0037】
上記の構成により、圧縮ばね44により施錠方向(ロック方向)に付勢された第1作動杆40のカム部55及びカムフォロア54を介して、
引手10は
非開き操作姿勢に保持される(
図6(A)、
図6(C)参照)。
引手10と一体的な連動体21はユニットケース12内にて扉3の裏面側に離間した姿勢であり、この連動体21により押圧される
ラッチ作動体22は
、扉3の裏面と略平行状態に保持される(
図6(B)、
図6(C)参照)。
ラッチ作動体22
が取付
いた作動軸18に固着されたラッチ爪24は
、本体2における開口部2aの係止部25に嵌まり込み、扉3は閉止状態を保持する。
そして、
図6(B)に示すように、
ラッチ作動体22とケース本体13の内面との間に蹴り込み用バネ30を装架することで、ラッチ爪24が係止部25に蹴り込み逃げ回動した後、係止部25に
係合保持されるように付勢している。この場合、
ラッチ作動体22は連動体21から離れるので、連動体21及び
引手10は引手非操作姿勢に保持される。蹴り込み用バネとして、作動軸18またはラッチ爪24に捩じりばねを設けても良い。なお
、引手10の姿勢保持のため、圧縮ばね44に加え、
引手10にさらに補助的な付勢手段を設けてもよい。
【0038】
(4).施錠時(ロック時、施錠状態、ロック状態ともいう)の各部材の動作の説
明
上記の構成において、施錠時には、全ての押釦31が突出状態となり、扉3の表面からは、解錠すべき暗証となる押釦31がいずれであるか判別できないようになっている。そして、ユーザーが扉3を開口部2aに対して閉止するように押すと、ラッチ爪24の斜面部が係止部25の一側縁に当たり、これによりラッチ爪24が係止部25から一旦逃げ回動(
図6(C)で反時計回り方向に可動)したのち
、ラッチ爪24が係止部25に嵌まる。この場合、ラッチ爪24と一体的に回動する作動軸18を介して
ラッチ作動体22だけが連動体21から離れて
、図6(C)で反時計回り方向に可動する
(従って、引手10は回動しない。)。
【0039】
他方、押釦錠装置11内では、不図示のストッパ機構により下位置に保持された開閉プレート36に従い
、ストッパ杆50も下位置にあるので、
図7(A)及び
図8(A)に示すように、段付き状の係止部49にストッパ杆50の下端側面が当接しているから、回動主軸39は
、ロック解除方向(解錠可能方向、
図7(A)及び
図8(A)において時計回り方向)に回動できないし、第1作動
杆40も(解錠可能方向、
図7(A)及び
図8(A)において右方向)に可動できない。従って、ユーザーが
引手10に指を掛け
て開き方向(
図5(A)
)のよう
に前方向へ引き回そうとして、カムフォロア54及びカム部55を介して第1作動
杆40を解錠方向(
図7(A)及び
図8(A)の右方向)に押
すことはできず、ロックされた状態が保持できるのである。
【0040】
(5).ロック解除時の各部材の動作の説明
扉3を開くには、予め設定された暗証と一致する押釦31を
全て押下する(但し、押下する順序は問わない)。これにより、不図示のストッパ機構の作動により
、開閉プレート36は
図7(B)に示すように上昇し、ストッパ杆50も上昇する。これにより、ストッパ杆50の下端側面が段付き状の係止部49よりも半径外側に位置し、回動主軸39はロック解除方向(解錠可能方向、
図7(A)及び
図8(A)において時計回り方向)に回動可能
になり、第1作動
杆40も(解錠可能方向、
図7(A)及び
図8(A)において右方向)に
移動できる状態となる。
【0041】
この状態で、ユーザーが
引手10に指を掛け
て解錠方向(
図5(A)のように扉3の前方向
)へ引き回すと、カムフォロア54及びカム部55を介して第1作動
杆40
が解錠方向(
図7(B)の状態))に押
される。
【0042】
この
とき同時に、
引手10の
開き操作回動につれて、連動体21も
図5(B)のように同方向に回動し、
ラッチ作動体22を同じ方向に回動させるから、作動軸18を介してラッチ爪24
が係止部25から外れるように回動
する。これにて、扉3を開くことができる。このように、本
実施形態では、解錠すべき暗証の押釦を押下した後は、
引手10の
動作だけで、ロック
を解除して扉を簡単に開くことができる
。
【0043】
なお、
引手10から手を離すと、圧縮ばね44の付勢力により
、第1作動杆40は施錠方向(ロック方向)に移動し、カムフォロア54及びカム部55を介して、
引手10は
非開き操作姿勢に戻される(
図6(A)、
図6(C)参照)。
【0044】
他方、
図7(A)のように、第1作動
杆40の左移動につれて、その凹部46へ凸部43が嵌まり、キャリア38が下降し、開閉プレート36が下降するので、全ての押釦31が突出
する。これにより、押釦錠装置11としては施錠状態となり、解錠すべき暗証が何であったか、扉3の外からはわからない
。
【0045】
(6).非常解錠操
作
ユーザーが解錠すべき暗証を忘れたために扉3を開くことができない事態であっても、ロッカーや、キャビネットなどを緊急に開かなければならない非常解錠操作時について説明する。この場合、管理者は押釦錠装置11における回動主軸39の前面側に設けられ、扉3の前面にキー差し込み口が露出しているシリンダ錠62をマスターキーで回動する。これにより、シリンダ錠62の内筒62aが解錠方向に回動する。すると、内筒62aに固定された
第2作動杆60も一体的に回動する。
この
第2作動杆60の先端に固定されたストッパブロック61は、
図5(B)、
図5(C)に示すように、
ラッチ作動体22をロック解錠方向に回動させるから、作動軸18を介してラッチ爪24を係止部25から外れるように回動させることができる。なお、この場合、回動主軸39は非回転であり、
引手10も非開き操作姿勢に保持されたま
まである。この非常解錠操作時には
、引手10を開き操作する必要がないので、
引手10の故障時の扉開きにも役立つ。
【0046】
(7).暗証情報(暗証番号)の変更操作用機
構
暗証情報(暗証番号)を変更するには、一旦扉3を開き、且つ
、押釦錠装置11を解錠状態に保持して実行する必要がある。
本実施形態においては、回動主軸39や第1作動
杆40がロック方向に付勢されており、この付勢力が連動機構を介して
引手10を扉3の表面から引いた状態に対して反対向きの力として作用するから、
引手10を解錠所定位置に保持することは、作業性が悪くなる。
【0047】
そこで、
引手10を
非開き操作姿勢に保持したまま、押釦錠装置11を解錠可能状態に保持するため、ユニットケース12における裏カバー体14に上下長手の案内溝58を設け、この案内溝58に沿って上下移動可能なスイッチ棒59の先端側をユニットケース12内に臨ませる。他方、回動主軸39には
、第2作動杆60を固着する。
第2作動杆60の先端に
、ストッパブロック61を取り付ける。
【0048】
この構成により、
引手10を引いた状態のまま扉3を開くと、回動主軸39が解錠方向に回動することで、
第2作動杆60の先端のストッパブロック61は
、傾き回動した
ラッチ作動体22の当接部22aに近接または当接する。この状態のとき、ユニットケース12の裏カバー体14の案内溝58に沿ってスイッチ棒59を移動させて、該スイッチ棒59と当接部22aとでストッパブロック61を挟み付け状態に保持する(
図9(B)及び
図9(C)参照)。
これにより、ストッパブロック61、
第2作動杆60ひいては回動主軸39が施錠状態に戻らないので、作業者は、扉3の裏面のユニットケース12における裏カバー体14に設けられた窓57を介して、押釦錠装置11の背面に設けられた切換スイッチ56(
図2、
図9(C)に示す)を一旦「固定位置」から「自由位置」へ回動した状態で、暗証情報(暗証番号)の変更作業を実行し、その後、切換スイッチ56を「固定位置」に戻すことで完了する。
【0049】
このようにして、
引手10から手を離した状態で、押釦錠装置11の暗証情報(暗証番号)の変更作業を迅速に、且つ
、1人
でできるのである。この構成は、押釦錠装置11や
引手10等の交換作業においても利用できる。
【0050】
(8).変形例
図10は第1
実施形態の変形例を示す概略図であり、この
変形例では、押釦錠装置11に設けられた解錠作動体としての回動主軸39は施錠時には作動不能で、解錠可能時には解錠方向に作動可能に構成され、回動主軸39と
引手10とは、連動機構と及び付勢手段により、施錠方向(ロック方向)に姿勢保持され、解錠すべき暗証の押釦31を押下した状態で
引手10を
開き操作すると、引手10を介してラッチ手段に
ロック解除方向の作動力が伝達されて
、扉3を開口部2aから開放可能に構成されている。
この
変形例における連動機構は
、作動軸18と
、回動主軸39から作動軸18に平行な回動軸65と
、この回動軸65に作動力を方向変換して伝達する傘歯車対66と
、回動軸65と作動軸18とを連結するリンク機構67とからなる。
引手10を解錠方向に引き回すとき、回動主軸39も解錠方向に回動する構成であれば良い。付勢手段は
、回動主軸39、リンク機構67、回動軸65等に設けられた引きバネ、捩じりバネなどで、最終的に
引手10を
非開き操作姿勢に保持
し、回動主軸39を施錠方向(ロック方向)に付勢するものであれば良い。
【0051】
図11〜
図14は、ラッチ手段の別例である。
図11の
実施形態では、扉3に回動可能に支持された作動軸18の両端に
、ラッチ爪24が一体的に回動するように取付けられている。
図11において、ラッチ爪24が開口部2aの係止部25に係止する方向(ロック方向)は反時計回りであり、係止解除の方向
(ロック解除方向)は時計回りとする。
他方、作動軸18の中途部において、
引手10の基部10aに隣接して作動軸18と一体的に回動可能に被嵌するボス体70には、アーム71が半径外方向に突設される。アーム71と扉3の裏面との間に、作動軸18をロック方向に付勢する復帰バネ72が設けられている。
引手10を
開き操作したときのみ、基部10aに設けられた突起73がボス体70に設けられた当接部74をロック解除方向に押して、復帰バネ72の付勢力に抗して
、作動軸18及びラッチ爪24をロック解除方向に回すことができる構成である。この構成によれば、扉3の閉止回動時には、
引手10を操作することなく、扉3を本体2の開口部2aに当接するように閉じ回動するだけで、ラッチ爪24が係止部25に対して蹴り込まれた後ロックすることができる。
【0052】
図12(A)、
図12(B)に示す
実施形態は、ラッチ爪24に対する開口部2aの係止部75に蹴り込み機構を設けたものである。即ち、係止部取付け枠76の内側に
、開口部2aと平行に移動可能に設けられた係止体77を
、付勢バネ78に
より、ラッチ爪24に接近する方向に付勢
している。係止体77の先端部には
、ラッチ爪24の先端外側の蹴り込み案内用の傾斜面と対面する傾斜面77aが形成されている。ラッチ爪24は
、作動軸18と一体的に回動するように取付けられている。
図12(A)
では、図示しない
引手を操作することなく、扉3を本体2の開口部2aに当接するように閉じ回動し、ラッチ爪24が係止体77に対して蹴り込まれた後のロック状態を示す。
図12(B)は
、図示しない
引手をロック
解除方向に回して、ラッチ爪24が係止体77から外れた状態(ロック解除状態)を示す。
【0053】
図13(A)〜
図13(C)及び
図14は、開口部2aにおける傾斜面を有する係止部25に対する
、同じく蹴り込み案内用の傾斜面を有するラッチ爪24の蹴り込み機構の他の
例を示す。図示するように、ロック解除作動体80のボス部80aに作動軸18が嵌め入れられて、両者が一体的に回動可能に構成されている。ボス部80aの外周にラッチ爪24の基部24aが被嵌して、作動軸18に対してラッチ爪24が相対的に回動可能となっている。ラッチ爪24の基部24aには、付勢バネ81の受け部82と、ロック解除作動体80の突起部83に当接可能な当接部84とが設けられている。受け部82と当接部84とは基部24aの回動軸線(中心線)を挟んで互いに逆側に設けられている。付勢バネ81は、扉3の裏面とラッチ爪24の受け部82との間に装架される。
【0054】
図13(A)は、係止部25に対するラッチ爪24のロック状態を示し、
図13(C)は、図示しない
引手を操作することなく、扉3を本体2の開口部2aに当接するように閉じ回動し、ラッチ爪24が係止部25に対して蹴り込まれた状態を示す。他方、
図13(B)は、不図示の
引手をロック解除方向に回動させることで、ロック解除作動体80の突起部83にて当接部84を押し、付勢バネ81に抗してラッチ爪24を係止部25から外した状態を示す。これらのいずれの蹴り込み機構でも、扉3を本体2の開口部2aに対して閉止させるときに、
引手を操作する必要がない。
【0055】
(9).第2実施形態
図15〜
図18に示す第2
実施形態では
、片開き式の扉86に押釦錠装置11を
設けている。押釦錠装置11の基本的構成は上記第1実施例と同じであるので、詳細な説明は省略する。
【0056】
扉86には、開口部2aに
係合可能なラッチ手段87と、このラッチ手段87を
係合解除する引手10とを設けている。
【0057】
第2
実施形態における解錠作動体は、回動主軸39と
、この回動主軸39に連動連結されて直線往復動可能な第1作動杆40と
、回動主軸39に取付けられて一体的に回動可能な第2作動杆としての
第2作動杆ト60とからなる。
【0058】
第2作動杆60の先端部に設けられるラッチ手段87は、先端のみ開放された矩形筐状のガイドケース88と
、これに対して進退同可能なラッチ爪89
とを備える。ガイドケース88の一対の側面に
、ラッチ爪89の進退方向に長いガイド孔90が穿設され、ラッチ爪89を貫通する軸91がガイド孔90に嵌まり、ガイド孔90に沿って移動可能となるように構成されている。そして、ガイドケース88内には
、ラッチ爪89を突出方向に付勢するバネ92が内装されている。なお、ラッチ爪89における蹴り込み案内用の傾斜面89aは、扉86の閉止動時に開口部2aにおける係止部93と対面する側に設けられている(
図18(B)参照)。また、
第2作動杆60は、扉86の閉止動時において、開口部2aを含む本体2の前面と平行な平面に沿って回動するものである(
図17参照)。
【0059】
引手10の回動軸94は扉86の回動軸線と平行であり、
回動軸94は、押釦錠装置11を収納するユニットケース12の本体ケース13に設けられた軸受95に回動可能に支持され
ている(
図16参照)。
引手10には、第1
実施形態と同じく、カムフォロア54が設けられている。このカムフォロア54は
、直線往復移動する第1作動
杆40の先端のカム部55に当接している。
引手10
には、非開き操作姿勢方向に付勢する付勢バネ(不図示)が設けられている。従って、カムフォロア54は
、カム部55を常時押していることになる。
【0060】
他方、押釦錠装置11においては、第1
実施形態と同じく、回動主軸39、第1作動杆40及び第2作動杆である
第2作動杆60の少なくとも1つが
、付勢手段によりラッチ手段をロックする方向に付勢されている。
【0061】
押釦錠装置11は、暗証情報をそれぞれ有する複数の押釦31のうち選択された組合せの押釦31を
全て押下することにより、解錠すべき暗証が予め設定されるように構成され、押釦錠装置11に設けられた解錠作動体は施錠時には作動不能で、解錠可能時には解錠方向に作動可能に構成されて
おり、この点は第1実施例と同じである。
【0062】
上記の構成により、扉86が開いた状態から閉止する際には、押釦錠装置11における
第2作動杆60はロック方向に位置するため、ラッチ手段87は扉86の回動半径外方向に突出していることになる(
図17の実線状態参照)。この状態で扉86を閉め方向に回動すると、
図18(B)のように、ラッチ爪89の蹴り込み案内用の傾斜面89aが係止部93に当たると、バネ92の付勢力に抗して後退した後、係止部93を越えてからラッチ爪89が突出し、ロック状態となる。
【0063】
(10). 解錠操
作
解錠すべき暗証の押釦31を押下した状態で
引手10を
開き操作したとき、少なくとも
引手10を介して
第2作動杆60に解錠方向の作動力が伝達されて
、扉86を開口部から開放可能に構成されている。
【0064】
より詳しく説明すると、第1実施例と同様に、扉86を解錠するには、予め設定された暗証と一致する押釦31を
全て押下する(但し、押下する順序は問わない)。これにより、不図示のストッパ機構の作動により
、開閉プレート36は
図7(B)に示すように上昇
し、すると、ストッパ杆50も上昇する。これにより、ストッパ杆50の下端側面が段付き状の係止部49よりも半径外側に位置し、回動主軸39は
、ロック解除方向(解錠可能方向、
図7(A)及び
図8(A)において時計回り方向)に回動可能であり、第1作動
杆40も(解錠可能方向、
図7(A)及び
図8(A)において右方向)に可動できる状態となる。
【0065】
この状態で、ユーザーが
引手10に指を掛けて、
引手10を
開き操作すると、カムフォロア54及びカム部55を介して第1作動
杆40を解錠方向に押すことができる。この
とき同時に、第2作動体である
第2作動杆60が、
図17の二点鎖線で示すように
、ロック解除方向に回動してラッチ爪88が係止部89から外れるのである。この実施例においても、解錠用の押釦31の操作の後は、
引手10の扉開き動作だけで扉86を簡単に開くことができるという効果を奏する。なお、
図15に示す扉86の前面に露出するレバー96は
、シリンダ錠を備えた非常解錠用のものまたは暗証情報の変更のためのものである。
【0066】
(11).第2実施形態の変形例
図19(A)、
図19(B)は第2
実施形態の変形例であり、
この変形例では、引手10の扉開き動作と回動主軸39との連動機構は、押釦錠装置11に設けられた解錠作動体としての回動主軸39は施錠時には回動不能で、解錠可能時には解錠方向に作動可能に構成され、回動主軸39と
引手10とは、連動機構と及び付勢手段により、施錠方向に姿勢保持され、解錠すべき暗証の押釦を押下した状態で
引手10を解錠方向に操作したとき、この
引手10を介してラッチ手段に解錠方向の作動力が伝達されて
、扉3を開口部2aから開放可能に構成されている。
この実施例における連動機構は
、引手10の回動軸94と
、回動主軸39から回動軸94に平行な回動軸65と
、この回動軸65に作動力を方向変換して伝達する傘歯車対66と
、回動軸65と回動軸94とを連結するリンク機構67とからなる。
引手10を
開き操作すると回動主軸39も解錠方向に回動する構成であれば良い。ラッチ手段87は第2実施例と同じであるので、詳細な説明は省略する。また、作用効果も第2実施例と同じである。付勢手段は回動主軸39、リンク機構67、回動軸65等に設けられた引きバネ、捩じりバネなどで、最終的に
引手10を
非開き操作姿勢に付勢
し、回動主軸39をロック方向に付勢するものであれば良い。