【実施例】
【0020】
[実施例1]
図1、
図2は、本実施例のベルトコンベアの全体構成を示すもので、
図1はその平面図、
図2は側面図である。
ステンレスや繊維強化型の合成樹脂等で形成されるエンドレスのベルト1は、左右両端のプーリーローラ2、3、ベルトコンベアの基台4の底面両端に取り付けられたガイドローラ5、6及び基台4の底面中央に設けられた駆動プーリーローラ7に掛け渡されており、この駆動プーリーローラ7を、基台4に取り付けられた減速機付きモータ8により駆動することにより、ベルト1は、プーリーローラ2、3、ガイドローラ5、6に案内されて、ベルト1上の物品を搬送する。なお、駆動プーリーローラ7は、図示しないハンドルなどにより、上下に移動できるようになっており、ベルトテンションを調節することができる。
【0021】
この駆動プーリーローラ7の左右上方には、ベルト1を駆動プーリーローラ7に確実に係合させるための補助プーリーローラ8、9が設けられ、これらの補助プーリーローラ8、9は、
図3に示されるように、球面滑りによりその中央部をシャフトに揺動自在に支持させた、前記特許文献4、5に示されているような自動調芯型のものを採用することが好ましい。
なお、搬送物品は、プーリーローラ2、3間のベルト1上面で搬送されるが、物品がエンドレスベルト1の左右にずれて載置されたり、また、物品をエンドレスベルト1から両サイドに振り分ける際に、ベルト1の上面に作用する物品の荷重が幅方向に大きく変化するので、これがベルト1を蛇行させる大きな要因となるが、基台4の下側ではこうした搬送物品の荷重変化の影響が少ないので、上述したプーリーローラ内部の球面滑りを用いた自動調芯装置により十分に惰行を防止できる。
【0022】
このプーリーローラ2、3の両端には、ベルトの離脱を防止するための接触部として、フランジ10が設けられており、このフランジ10から突出する回転軸11(
図1参照)は、左右のアーム12、13の端部に回転自在に支持されており、これらのアーム12、13の他端は、揺動アーム14にボルト等により固着されており、この実施例では、左右のアーム12、13と揺動アーム14とからなるコの字状のプーリーローラ支持装置15を構成している。
【0023】
このプーリーローラ支持装置15は、
図4に示されるように、プーリーローラ2、3の回転軸11の中心線CL1上において、その長さ方向の中心点Oを基準点としてこれを不動にした上で、この中心点Oから、中心線CL1の回転軸11両端部間の線分に対する直角2等分線CL2を中心軸として、プーリーローラ2、3を、中心点Oを含む垂直面内においてA−B方向に揺動可能にするとともに、中心点Oを含む水平面内において、プーリーローラ2、3を、中心点Oを通る垂直中心線CL3を中心として、C−D方向に揺動可能に支持する。
【0024】
すなわち、揺動アーム14の中央部には、前述の直角2等分線CL2を中心とする円形の開口が内周側壁(プーリーローラ2側)及び外周側壁(反プーリーローラ2側)の双方に形成されている。
一方、基盤16に立設されたフランジ17間にも、直角2等分線CL2を中心軸とし、揺動アーム14の中央部に形成された開口とほぼ同一の径を有する支軸18が設けられており、揺動アーム13を両フランジ17間に配置し、支軸18を一方のフランジ17の開口から、揺動アーム14の中央部の両開口を通し、他方のフランジ17の開口に挿通することにより、これを軸受部として、揺動アーム13は、直角2等分線CL2を中心軸として、
図4のA−B方向に、アーム12、13が基台4のいずれかの箇所に接触する角度範囲内で揺動できるようになっている。なお、支軸18は、ボールベアリング等の回転軸受を介して、揺動アーム14の中央部に形成された開口に支持され、コの字型のプーリーローラ支持装置15がスムースに揺動できるようになっている。
【0025】
基盤16は、プーリーローラ2の中心点Oを中心として、内側に小径の円弧に沿う内周側面161と外側に大径の円弧に沿う外周側面162を備えており(
図1参照)、
図4に示されるように、内周側161面寄りに中心点Oを中心とする半径R1の溝163、164、そして外周側面162寄りに中心点Oを中心とする半径R2の溝165、166が表裏両面に形成されている。
一方基台4には、基盤16をスライド可能に支持するスライダーブラケットベース19が取り付けられており、基盤16の内周側面161に対向するよう、わずかに径の小さい円弧状の対向周面を備えたブラケットスペーサ20を介して、スライダー圧力座金21が基盤16の内周側上面を覆うように取り付けられている。
【0026】
スライダーブラケットベース19の上面及びスライダー圧力座金21の下面には、基盤16の内周側面161寄りに表裏に形成された半径R1の溝163、164のそれぞれに対向するよう、半径R1の溝191、211が形成され、対向する溝163−191間及び溝164−211間のそれぞれに、半径R1の曲率を有するスチールボールスペーサ22が、スライダーブラケットベース19の上面側及びスライダー圧力座金21の下面に固定されている。
【0027】
基盤16の外周側面162側も同様の構造をしており、スライダーブラケットベース19には、基盤16の外周側面162に対向するよう、わずかに径の大きい円弧状の対向周面を備えたブラケットスペーサ23を介して、スライダー圧力座金24が基盤16の外周側上面を覆うように取り付けられている。
【0028】
スライダーブラケットベース19の上面及びスライダー圧力座金24の下面には、基盤16の外周側面162(
図1参照)寄りに表裏両面に形成された、半径R2の溝165、166のそれぞれに対向するよう、半径R2の溝192、241が形成され、対向する溝165−192間及び溝166−241間のそれぞれに、半径R2の曲率を有するスチールボールスペーサ22が、スライダーブラケットベース19の上面側及びスライダー圧力座金24の下面に固定されている。
【0029】
なお、ブラケットスペーサ20、23の基盤16の内周側面161、外周側面162に対向する周面は、プーリーローラ2、3の中心点Oを中心とした円弧とするが、基盤16が、中心点Oを中心として、がたつくことなく、しかもスチールボールスペーサ22によりスムースに円弧軌跡を描いてスライドできるよう、前述のように、ブラケットスペーサ20の周面は、基盤16の内周側面161の半径よりわずかに小さく、また、また、ブラケットスペーサ23の周面は、基盤16の外周側面162の半径よりわずかに大きくして、最小限の遊びを設けている。
【0030】
この実施例では、スチールボールスペーサ22を使用したが、
図5に示されるようなニードルスラストベアリングを使用してもよい、このときは、基盤16の表裏面、スライダーブラケットベース19の上面、スライダー圧力座金21、24の下面に形成される溝形状を、ニードルスラストベアリングに合わせてコの字状の溝とすればよい。
なお、基盤16、スライダーブラケットベース19、ブラケットスペーサ20、23、スライダー圧力座金21、24の加工精度を高めれば、スチールボールスペーサ22やニードルスラストベアリングを使用しなくても、潤滑油を介在させるだけで、基盤16の円滑なスライドを実現できる。
【0031】
さらに、この実施例では、スライダーブラケットベース19、ブラケットスペーサ20、23、スライダー圧力座金21、24やスチールボールスペーサ22等を介して、基盤16を、プーリーローラ2、3の軸方向に延びる中心軸の長さ方向中心点Oを中心とした円弧軌跡上にスライド可能としたが、
図6、
図7にみられるように、基盤16の下面に設けた、V溝を有するホイール25、26(
図6では図示省略)、27、28と、基台4に設けた、円弧状のV型レール29(内周側)、30(外周側)を有するレール盤31により、プーリーローラ2、3の軸方向に延びる中心軸の長さ方向中心点Oを中心とした円弧上をスライドできるようにしてもよい。
【0032】
すなわち、基盤16の下面には、内周側に中心点Oから半径R3の箇所にホイール25、26が、そして、外周側に、中心点Oから半径R4の箇所に2個のホイール27、28が設けられており、各ホイール25ないし28は、中央にV溝(この実施例では直角溝)を備えている。
一方、基台4の上面には、内周側及び外周側に、中心点Oを中心とする大小の円弧を描くV型レール29、30を備えたレール盤31が固着されており、V型レール29、30のそれぞれに、ホイール25、26及びホイール27、28が、
図7に示されるように互いに嵌合し、基盤16の中心点Oを中心とする円弧状のスライドを可能にしている。
【0033】
[実施例2]
実施例1では、ベルト1が蛇行しようとすると、ベルト1の端部がプーリーローラ2、3の両端に設けられたフランジ10に接触することにより当接圧が作用し、この当接圧を解消する方向に基盤16がスライドし、また、揺動アーム14を揺動させる。すわなち、フランジ10との接触により、ベルト1に作用する当接圧が、ベルト1を中心方向に復帰させて調芯を行う復元力として作用し、上述のように効果的な自動調芯を実現できる。
【0034】
ところで、ベルト1として合成樹脂製のものを使用する場合、こうした樹脂ベルトには、様々な仕様があり、例えば、ガラス繊維で強化したポリウレタン樹脂、フッ素樹脂の心体裏面にポリウレタン含浸導電帆布を積層したもの等が使用されている。
樹脂ベルトの材質、厚さに応じて、使用し得るプーリーローラ径の最小半径が定められており、例えば、ガラス繊維で強化したポリウレタン樹脂の裏面に、ポリウレタン含浸導電帆布を積層した樹脂のベルトの場合、厚さ0.5mmの心体を2層使用した強化型のものでは最小半径50mm、厚さ0.5mmの心体を1層使用した薄型のものでは、最小半径が20mmと定められている。
【0035】
したがって、ベルト1として強化型ベルトを使用した場合、プーリーローラ2、3のドラム径は半径50mm以上とすることになるが、この半径であれば、ベルト1が蛇行した際、その端部とフランジ10との接触範囲を十分に確保することができ、ベルト1を中心方向に引き戻して調芯を行うのに十分な復元力を発生させることができる。
しかし、より小さな搬送物品のコンベアベルト間の円滑な乗り移りを実現するため、ベルト1として薄型ベルトを使用することにより、プーリーローラ2、3のドラム径を20mm程度まで小さくして、実験を行ったところ、運転をしばらく継続させると、ベルト1の端部がフランジ10に乗り上げてしまい、最終的にはベルト1が脱輪してしまうトラブルが頻繁に発生した。
これは、プーリーローラ2、3のドラム径が20mm程度まで小径化したため、ベルト1とフランジ部10の接触範囲(接触長さ及び接触面積)が非常に小さくなり、さらに、ベルト1の端部の1点が、フランジ部10に接触してから離れるまでの時間が非常に短くなるため、ベルト1の蛇行により、プーリーローラ2、3上で、スラスト方向に移動しようとする力に対し、調芯を行うための十分な復元力を発生させることができないことに起因する。
【0036】
そこで、実施例2では、プーリーローラ2、3のドラム径をさらに小径化するため、薄型ベルトを使用した場合でも、ベルト調芯を行うための十分な復元力を発生させるための接触部として、フランジ10に換え、
図8に示されるように、両端にナイロン樹脂等の自己潤滑性のある樹脂で形成された案内ブロック32を採用した。以下、実施例2について詳述する。
【0037】
この実施例では、ベルト1として、現在市販されている樹脂製ベルトのうち、許容し得るプーリーローラ半径が最小の5mmである薄型ベルトを使用し、これに伴い、プーリーローラ2、3として、ドラム直径が13mm、両端に突出する回転軸11の直径が5mmのものを使用した。プーリーローラ2、3は、同一の構造であるため、以下、プーリーローラ2側の構造について説明する。
図9に示されるように、回転軸11は、プーリーローラ2の両端から突出し、ナイロン樹脂製案内ブロック32の内側面32−1に設けられた軸受孔に回転自在に支持されている。したがって、プーリーローラ2の長さは、実施例1のものと比較して、両端のナイロン樹脂製案内ブロック32の軸方向長さ分だけ短くなっている。
【0038】
案内ブロック32の内側面32−1は、プーリーローラ2の回転軸11に対し略垂直で、プーリーローラ2の外端面に対し微少間隙を介して対向している。
案内ブロック32を軸方向からみたとき、
図10にみられるように、角部が円弧状の3角形状をしており、ベルト1の搬送面、すなわち揺動アーム14に対し略平行な面32−2と、基台4の底面に設けられたガイドローラ5、6に向かうベルト1の面に対し略平行な面32−3と、揺動アーム14に略垂直に対向する面32−4と、面32−2と32−3間を接続する円弧状の面32−5を備えている。なお、面32−2と面32−3とを接続する円弧状の面32−5は、プーリーローラ2の軸方向でみたとき、プーリーローラ2と同一の中心点を有しており、その直径もドラム径とほぼ同一に設定されている。
したがって、ベルト1の両端部は、搬送面と平行な面32−2からプーリーローラ2の上端に案内され、このベルト1が、プーリーローラ2の外周に巻き掛けられて屈曲する際、プーリーローラ2の軸方向からみて、面32−2と面32−3とを接続する円弧状の面32−5が、プーリーローラ2の外表面のうち、ベルト1が巻き掛けられて接触する外表面と均一な表面を形成するようになっている。
【0039】
案内ブロック32は、面32−2が揺動アーム14のアーム12に対し略平行となるよう、その外側面に形成されたネジ孔あるいは埋め込みナットにより、アーム12の端部外方に形成された開口部から挿通される2本のボルト33により取り付けられている。
【0040】
案内ブロック32の外縁部には、
図9に示されるように、面32−2、32−5、32−3に対し、ベルト1の厚さより若干高い段差部32−6が形成されている。段差部32−6の内端面は、ベルト1の進行方向(
図9下方向)に対し、若干先細状に形成されており、本実施例では、段差部32−6の厚さを、上流端側で9mm、下流端側で10mmとしている。
なお、回転軸11を通る垂直断面でみたとき、段差部32−6の内端面は、各面32−2、32−5、32−3に対し略直角をなしており、その上流端は、垂直方向に半径2mm程度の円弧状に形成され、進行してくるベルト1をスムースに案内できるようになっている。
【0041】
案内ブロック32の面32−2、32−3の軸方向略中央部から内側端には、
図10に示されるように、面32−2のベルト進行方向の略中央部から、それぞれ面32−4に至るまで、凹部32−7、32−8が形成されており、両凹部に、
図9に示されるように、例えば、ステンレス等からなるブリッジシャーシ34の両端を嵌入し、案内ブロック32の面32−4の背面をそれぞれボルト35で固定することにより、両案内ブロック32間に掛け渡される。
このようにして、左右一方の案内ブロック32の段差部32−6の内端から他方の案内ブロック32の段差部32−6の内端に至るまで、両端側が案内ブロック32の表面、その間がブリッジシャーシ34の表面よりなる、均一な面が形成されるようになっている。
すなわち、ステンレス製のブリッジシャーシ34の厚さは、凹部32−7、32−8の深さとほぼ等しくなるよう選定されており、両案内ブロック32の面のうち、揺動アーム14に対し略平行な面32−2に形成された凹部32−7に嵌入された部分から、揺動アーム14に略垂直に対向する面32−4を経て、ガイドローラ5、6に向かうベルト1の面に対し略平行な面32−3に形成された凹部32−8の端部に到る。
【0042】
このため、ステンレス製のブリッジシャーシ34の表面は、案内ブロック32のうち、凹部32−7に嵌入された部分は、この面32−2の両端側とともに均一の面を形成し、ベルト1をプーリーローラ2の外周に向けて案内する案内面を形成している。
同様に、ブリッジシャーシ34のうち、凹部32−8に嵌入された部分は、この面33−3の両端側とともに均一の面を形成し、プーリーローラ2の外周により屈曲した後のベルト1を基台4の底面に設けられたガイドローラ5(
図2参照)に向けて案内する案内面を形成している。
【0043】
このように、ベルト1の両端部は、案内ブロック32の段差部32−6により案内されながら、面32−2を摺動し、ベルト1の端部間がステンレス製のブリッジシャーシ34の表面に沿って摺動した後、プーリーローラ2に案内される。
そして、ベルト1は、端部を案内ブロック32の段差部32−6のうち、面32−2と面32−3とを接続する円弧状の面32−5に形成された段差部により案内されながら、回転するプーリーローラ2により屈曲される。
その後、ベルト1は、再び、端部が段差部32−6により案内されながら、ナイロン樹脂製案内ブロック32の面32−3を摺動し、端部間がステンレス製のブリッジシャーシ34の下方表面を摺動して、ガイドローラ5に向けて案内される。
なお、両端側の案内ブロック32には自己潤滑性があるため、ベルト1の端部を損傷することはなく、また、ブリッジシャーシ34としては、ステンレス等の金属板表面を研磨したものを使用しているので、この部分での摺動によりベルト1の寿命が劣化することもない。
【0044】
次に実施例2の作用を説明する。
ベルト1が蛇行し、スラスト方向に移動すると、ベルト1の端面が、案内ブロック32の段差部32−6の内側面に乗り上げるようとする。しかし、段差部32−6が面32−2、32−5、32−3に沿って形成されているため、プーリーローラ2との接触部と比較して、ベルト1の端面との接触範囲及び接触時間をはるかに長く確保することができ、調芯を行うのに十分な復元力を長時間にわたって発生させることができる。これにより、ベルト1が、段差部32−6の上方に乗り上げるのを確実に防止することができる。
【0045】
なお、段差部32−6を、前述のように、ベルト1の進行方向に対し、若干先細状に形成すると、搬送面に沿って走行するベルト1は、面32−1の下流端でのスラスト方向の移動が最小限に抑制され、さらにベルト1が蛇行してスラスト方向に移動すると、ベルト1の端面が、段差部32−6の内側面に順次接して、徐々に復元力が増加してゆくので、ベルト1の蛇行をより低減し、しかも、ベルト1の端面の損傷を低減することができる。
また、段差部32−6を、回転軸11を通る垂直断面でみたとき、その内側面が底面に対し、上方に向けて拡開するよう傾斜させると、ベルト1が蛇行してスラスト方向に移動する際、復元力を連続的に増加させることができ、調芯作用をより円滑化するとともに、ベルト1の端面の損傷をさらに防止することができる。
【0046】
[実施例3]
前述のように、食品機械に使用する搬送ベルトやコピー機の転写ベルトでは、張力を付加する弾性繊維を含まず、非常に薄いテフロン(登録商標)ベルト等を採用している。
このようなベルトではそもそも面剛性がきわめて小さいため、実施例2の案内ブロック32を使用しても、蛇行して乗り上げ、最終的に脱輪を引き起こす可能性がある。
そこで、この実施例では、
図11に示すように、プーリーローラ2の回転軸11の両端に圧入スリーブ式の端末キャップ36を嵌着し、この端末キャップ36に、プーリーローラ2のドラム表面との間できわめてベルト両端上部を覆うようなL型のカバーリング36−1を設けた。
【0047】
端末キャップ36は、プーリーローラ2の回転軸11の中空部内に挿入され、しかもその回転を阻害しないよう、中空部内に形成された凹部と嵌合する爪部を備えた圧入部36−2を備えた端末キャップ36を押し込むことにより、回転軸11の回転を確保しながら強固に連結される。なお、
図12は、端末キャップ36の全体図を示している。
また、カバーリング36−1は、
図11、及びそのA−A’断面を矢印方向からみた
図13に示されるように、回転軸11の上方中心近傍から、ベルト1の進行方向にプーリーローラ2のドラム表面とベルト1の厚み+0.1mm〜0.2mmの一定の間隙を形成し、回転軸11の下方中心近傍に到るまで形成されている。これにより、プーリーローラ2の略半周にわたり、ドラム表面との間で、カバーリング36−1の下面がベルト1の両端部を覆うようになっている。ベルト1の両端部を覆う範囲は、プーリーローラ2の周方向に可能な限り広範囲とすることが好ましいが、ベルト1の材質や厚みに応じて、半周に到らないものでも有効である。
なお、この実施例では、ベルト1の両端部を覆う範囲がほぼ半周にわたっているため、ベルト1はほぼ水平にプーリーローラ2の下方中心近傍から送られることになるが、その直上流に案内プーリーを設け、基台4の下方に設けられたガイドローラ5、6に向けて案内するようにすればよい。
【0048】
なお、ベルト1の進行に伴い、回転軸11の内周面が圧入部36−2の外周面に接触したとき、端末キャップ36を同方向に回転させる力が作用するが、
図13に示されるように、端末キャップ36のベルト進行方向上流側の端部と基台4との間に、基盤16のスライド、揺動アーム14の揺動を阻害しない程度の小さなバネ定数を有するスプリングやゴム等の弾性部材37が連結されている。これにより、端末キャップ36の回転方向の位置をほぼ一定に維持しつつ、回転軸11のスムースな回転が可能になる。
なお、端末キャップ36は、案内ブロック32と同様、ナイロン等の自己潤滑性の高い樹脂で一体成型するのが好ましいが、他の樹脂や金属素材の表面を、テフロン(登録商標)でコーティングしたものでもよい。これは、案内ブロック32についても同様である。
【0049】
以上の実施例では、基盤16の下面に、内周側及び外周側にそれぞれ2個のホイールを設けたが、ホイールの数は、それぞれ1個でもよいし、2個以上設けてもよい。
また、上記実施例では、プーリーローラを水平面内及び垂直面内での揺動を可能にしているが、コンベアベルトの形式や配置に応じて、揺動面を適宜傾斜させることも可能である。
【0050】
さらに、基台4の底面中央に設けられた駆動プーリーローラ7についても、本実施例と同様の構造とし、例えば、左右のアーム12、13のそれぞれに、小型モータを使用した減速機付きモータを取り付け、ベルト等を介して駆動プーリーローラ7の両端に駆動力を伝達するようにしてもよい。ただし、その際は、揺動アーム13が、支軸18に対して平行を維持するよう、左右のバランスを確保することが必要である。
【0051】
そのほか、基盤16のスムースな揺動を実現するため、空気圧や磁気により浮上させるなど、さまざまな変形が可能である。