特許第5879113号(P5879113)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5879113遠隔始動装置、および、遠隔始動システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5879113
(24)【登録日】2016年2月5日
(45)【発行日】2016年3月8日
(54)【発明の名称】遠隔始動装置、および、遠隔始動システム
(51)【国際特許分類】
   H04Q 9/00 20060101AFI20160223BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20160223BHJP
   F02D 29/02 20060101ALI20160223BHJP
   F02N 11/08 20060101ALI20160223BHJP
【FI】
   H04Q9/00 301B
   H04M11/00 301
   F02D29/02 321B
   F02N11/08 U
【請求項の数】6
【全頁数】40
(21)【出願番号】特願2011-270068(P2011-270068)
(22)【出願日】2011年12月9日
(65)【公開番号】特開2013-123095(P2013-123095A)
(43)【公開日】2013年6月20日
【審査請求日】2014年10月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】富士通テン株式会社
(72)【発明者】
【氏名】春本 哲
(72)【発明者】
【氏名】太田 充
(72)【発明者】
【氏名】石田 淳子
【審査官】 松原 徳久
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−008431(JP,A)
【文献】 特開2006−231964(JP,A)
【文献】 特開2009−199498(JP,A)
【文献】 特開2002−193075(JP,A)
【文献】 特開2008−123272(JP,A)
【文献】 特開2004−138562(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R25/00−99/00
E05B1/00−85/28
F02D29/00−29/06
F02N1/00−99/00
H03J9/00−9/06
H04M3/00
3/16−3/20
3/38−3/58
7/00−7/16
11/00−11/10
H04Q9/00−9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、該車両の外部に設けられた情報処理装置において駐車開始時の車両位置情報に基づき送信される始動要求に基づいて車両の原動機の始動制御を行う遠隔始動装置であって、
前記情報処理装置と情報の送受信を行う通信手段と、
自車両の位置情報を定期的に取得する位置情報取得手段と、
自車両の駐車開始情報を取得する車両情報取得手段とを備え、
前記駐車開始時に前記位置情報取得手段が自車両の位置情報を取得した場合には、
前記通信手段は、前記駐車開始時の位置情報を情報処理装置に送信するとともに、
前記遠隔始動装置は、
自車両の走行距離を計測する距離計測手段と、
前記走行距離に基づいて位置情報の送信可否を判断する判断手段とをさらに備え、
前記駐車開始時に前記位置情報取得手段が自車両の位置情報を取得できない場合には、
前記距離計測手段は、前記位置情報取得手段が自車両の位置情報を取得できないと判断した時点から、前記車両情報取得手段が車両の駐車開始情報を取得した時点までの走行距離を計測し、
前記判断手段は、前記走行距離が所定距離以下である場合に、取得できなくなった直前に取得した位置情報である直前位置情報を前記駐車開始時の位置情報として送信すると判断し、
前記通信手段は、前記判断手段の判断に基づいて前記直前位置情報を前記駐車開始時の位置情報として情報処理装置に送信することを特徴とする遠隔始動装置。
【請求項2】
車両に搭載され、該車両の外部に設けられた情報処理装置において駐車開始時の車両位置情報に基づき送信される始動要求に基づいて車両の原動機の始動制御を行う遠隔始動装置であって、
前記情報処理装置と情報の送受信を行う通信手段と、
自車両の位置情報を定期的に取得する位置情報取得手段と、
自車両の駐車開始情報を取得する車両情報取得手段とを備え、
前記駐車開始時に前記位置情報取得手段が自車両の位置情報を取得した場合には、
前記通信手段は、前記駐車開始時の位置情報を情報処理装置に送信するとともに、
前記遠隔始動装置は、
自車両の走行時間を計測する時間計測手段と、
前記走行時間に基づいて位置情報の送信可否を判断する判断手段とをさらに備え、
前記駐車開始時に前記位置情報取得手段が自車両の位置情報を取得できない場合には、
前記時間計測手段は、前記位置情報取得手段が自車両の位置情報を取得できないと判断した時点から、前記車両情報取得手段が車両の駐車開始情報を取得した時点までの走行時間を計測し、
前記判断手段は、前記走行時間が所定時間以内である場合に、取得できなくなった直前に取得した位置情報である直前位置情報を前記駐車開始時の位置情報として送信すると判断し、
前記通信手段は、前記判断手段の判断に基づいて前記直前位置情報を前記駐車開始時の位置情報として情報処理装置に送信することを特徴とする遠隔始動装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の遠隔始動装置において、
前記通信手段は、前記位置情報取得手段による自車両の位置情報を取得できない旨の判断時にも、前記直前位置情報を送信することを特徴とする遠隔始動装置。
【請求項4】
請求項またはに記載の遠隔始動装置において、
前記位置情報取得手段は、自車両の位置情報を取得できない場合には、位置情報が取得できない旨の情報である未確定情報を取得し、
前記判断手段が直前位置情報を送信しないと判断した場合には、
前記通信手段は、前記未確定情報を送信することを特徴とする遠隔始動装置。
【請求項5】
請求項1ないしのいずれか1項に記載の遠隔始動装置において、
前記駐車開始情報は、車両のイグニッションがオンからオフに切り替わった情報であることを特徴とする遠隔始動装置。
【請求項6】
請求項1ないしのいずれか1項に記載の遠隔始動装置と、
情報処理装置に対して車両の原動機の始動要求を送信する携帯端末と、
携帯端末及び車両に搭載された遠隔始動装置と通信可能に構成され、前記携帯端末から受信した車両の始動要求に基づいて前記遠隔始動装置に対して車両の始動要求を送信する情報処理装置と、
を備えていることを特徴とする遠隔始動システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末を用いて車両を遠隔始動制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、携帯端末を用いて自車両のエンジンやモータといった原動機の始動を制御するリモートスタータが知られている。この技術を使用することにより、ユーザは、自車両と離れた位置からであっても、自車両の原動機を始動することができる。このため、例えば、ユーザが自車両に乗車するまでにエアコンを起動させて車内の温度を適切な温度となるように調節することができる。また、近年では、携帯端末として携帯電話を使用し、センターを介して自車両の車載装置を操作するリモート操作システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-352460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リモートスタータを使用する際、ユーザは自車両から離れた位置に居ることが通常であるが、ユーザと自車両の位置が離れすぎていると、ユーザが直ぐには車両に乗り込むことができない場合がある。このような場合、仮に原動機を遠隔始動して車内の温度を調節しておいたとしても無駄になってしまうことがある。これを防止するためには、始動要求があったときに、ユーザと自車両との距離を算出して始動の可否を判断することが考えられる。
【0005】
しかしながら、ユーザと自車両との距離を算出する際には、自車両の駐車位置を把握しておく必要があるものの、例えば、自車位置をGPSで取得する車両を地下駐車場に駐車した場合などにおいては、駐車位置を取得することができない場合がある。このような場合には、ユーザと自車両との距離の算出ができず、始動の可否を判断することができない可能性がある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、車両が自車両の位置情報を取得できない状況になった場合であっても、それに代わる位置情報を取得することができる車両遠隔始動制御に関する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、車両に搭載され、該車両の外部に設けられた情報処理装置において駐車開始時の車両位置情報に基づき送信される始動要求に基づいて車両の原動機の始動制御を行う遠隔始動装置であって、前記情報処理装置と情報の送受信を行う通信手段と、自車両の位置情報を定期的に取得する位置情報取得手段と、自車両の駐車開始情報を取得する車両情報取得手段とを備え、前記駐車開始時に前記位置情報取得手段が自車両の位置情報を取得した場合には、前記通信手段は、前記駐車開始時の位置情報を情報処理装置に送信するとともに、前記遠隔始動装置は、自車両の走行距離を計測する距離計測手段と、前記走行距離に基づいて位置情報の送信可否を判断する判断手段とをさらに備え、前記駐車開始時に前記位置情報取得手段が自車両の位置情報を取得できない場合には、前記距離計測手段は、前記位置情報取得手段が自車両の位置情報を取得できないと判断した時点から、前記車両情報取得手段が車両の駐車開始情報を取得した時点までの走行距離を計測し、前記通信手段は、前記判断手段の判断に基づいて前記直前位置情報を前記駐車開始時の位置情報として情報処理装置に送信する。また、請求項2の発明は、車両に搭載され、該車両の外部に設けられた情報処理装置において駐車開始時の車両位置情報に基づき送信される始動要求に基づいて車両の原動機の始動制御を行う遠隔始動装置であって、前記情報処理装置と情報の送受信を行う通信手段と、自車両の位置情報を定期的に取得する位置情報取得手段と、自車両の駐車開始情報を取得する車両情報取得手段とを備え、前記駐車開始時に前記位置情報取得手段が自車両の位置情報を取得した場合には、前記通信手段は、前記駐車開始時の位置情報を情報処理装置に送信するとともに、前記遠隔始動装置は、自車両の走行時間を計測する時間計測手段と、前記走行時間に基づいて位置情報の送信可否を判断する判断手段とをさらに備え、前記駐車開始時に前記位置情報取得手段が自車両の位置情報を取得できない場合には、前記時間計測手段は、前記位置情報取得手段が自車両の位置情報を取得できないと判断した時点から、前記車両情報取得手段が車両の駐車開始情報を取得した時点までの走行時間を計測し、前記駐車開始時に前記位置情報取得手段が自車両の位置情報を取得できない場合には、前記判断手段は、前記走行時間が所定時間以内である場合に、取得できなくなった直前に取得した位置情報である直前位置情報を前記駐車開始時の位置情報として送信すると判断し、前記通信手段は、前記判断手段の判断に基づいて前記直前位置情報を前記駐車開始時の位置情報として情報処理装置に送信する。
【0008】
また、請求項の発明は、請求項1または2に記載の遠隔始動装置において、前記通信手段は、前記位置情報取得手段による自車両の位置情報を取得できない旨の判断時にも、前記直前位置情報を送信する。
【0011】
また、請求項の発明は、請求項またはに記載の遠隔始動装置において、前記位置情報取得手段は、自車両の位置情報を取得できない場合には、該位置情報が取得できない旨の情報である未確定情報を取得し、前記判断手段が直前位置情報を送信しないと判断した場合には、前記通信手段は、前記未確定情報を送信する。
【0012】
また、請求項の発明は、請求項1ないしのいずれか1項に記載の遠隔始動装置において、前記駐車開始情報は、車両のイグニッションがオンからオフに切り替わった情報である。
【0013】
また、請求項の発明は、遠隔始動システムであって、請求項1ないしのいずれか1項に記載の遠隔始動装置と、情報処理装置に対して車両の原動機の始動要求を送信する携帯端末と、携帯端末及び車両に搭載された遠隔始動装置と通信可能に構成され、前記携帯端末から受信した車両の始動要求に基づいて前記遠隔始動装置に対して車両の始動要求を送信する情報処理装置と、を備えている。
【発明の効果】
【0014】
請求項1ないしの発明によれば、遠隔始動装置は、定期的に自車両の位置情報を取得して記憶しているため、自車両の位置情報が取得できなくなったとしても、取得できた最新の位置情報は記憶されている。このため、駐車開始時の位置情報が取得できた場合には、その取得した位置情報を情報処理装置に送信することで、情報処理装置は、正確な駐車開始位置の情報を取得することができる。また、駐車開始時の位置情報が取得できなかった場合であっても、取得できなくなった直前に取得できた位置情報である直前位置情報を駐車開始時の位置情報として情報処理装置に送信することで、情報処理装置は、おおよその駐車開始位置の情報を取得することができる。また、特に請求項1の発明によれば、距離計測手段は、自車両の位置情報が取得できない位置から駐車開始位置までに走行した距離を計測する。また、判断手段は、走行距離が所定距離以下である場合に、直前位置情報を送信する旨を判断するため、直前位置情報を実際の駐車開始位置として扱えるときにのみ送信し、自車両の位置情報が取得できなくなった位置と実際の駐車開始位置とが離れすぎていると考えられる場合に送信することを回避できる。また、特に請求項2の発明によれば、時間計測手段は、自車両の位置情報が取得できない位置から駐車開始位置までに走行した時間を計測する。また、判断手段は、走行時間が処理時間以内である場合に、直前位置情報を送信する旨を判断するため、直前位置情報を実際の駐車開始位置として扱えるときにのみ送信し、自車両の位置情報が取得できなくなった位置と実際の駐車開始位置とが離れすぎていると考えられる場合に送信することを回避できる。
【0015】
また、特に請求項の発明によれば、自車両の位置情報を取得できない旨の判断時にも
、直前位置情報を送信することで、駐車開始時に遠隔始動装置が情報処理装置と通信でき
ない場合であっても、情報処理装置は、おおよその駐車開始位置の情報を取得することが
できる。
【0018】
また、特に請求項の発明によれば、自車両の位置情報が取得できなくなった位置と実
際の駐車開始位置とが離れすぎていると考えられる場合に、情報処理装置はその旨の情報
を取得することができる。
【0019】
また、特に請求項の発明によれば、自車両が駐車を開始したことを検出することがで
きる。
【0020】
また、特に請求項の発明によれば、遠隔始動装置は、駐車開始時に自車両の位置情報
を取得できない場合には、直前位置情報を駐車開始時の位置情報として情報処理装置に送
信するため、情報処理装置は、おおよその駐車開始位置を取得することが可能となる。こ
のため、情報処理装置は、遠隔始動装置が自車両の位置情報を取得できない場合において
も始動要求処理を実行することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、車両制御システムの概要を示す図である。
図2図2は、第1の実施の形態の遠隔始動装置の構成を示すブロック図である。
図3図3は、携帯端末の構成を示すブロック図である。
図4図4は、センターの構成を示すブロック図である。
図5図5は、遠隔始動装置の処理の流れを示すフローチャートである。
図6図6は、第1の実施の形態の遠隔始動装置の処理の流れを示すフローチャートである。
図7図7は、第1の実施の形態の遠隔始動装置の処理の流れを示すフローチャートである。
図8図8は、第1の実施の形態の遠隔始動装置の処理の流れを示すフローチャートである。
図9図9は、第1の実施の形態の遠隔始動装置の処理の流れを示すフローチャートである。
図10図10は、携帯端末の処理の流れを示すフローチャートである。
図11図11は、携帯端末の処理の流れを示すフローチャートである。
図12図12は、センターの処理の流れを示すフローチャートである。
図13図13は、センターの処理の流れを示すフローチャートである。
図14図14は、センターの処理の流れを示すフローチャートである。
図15図15は、センターの処理の流れを示すフローチャートである。
図16図16は、センターの処理の流れを示すフローチャートである。
図17図17は、第2の実施の形態の遠隔始動装置の構成を示すブロック図である。
図18図18は、第2の実施の形態の遠隔始動装置の処理の流れを示すフローチャートである。
図19図19は、第2の実施の形態の遠隔始動装置の処理の流れを示すフローチャートである。
図20図20は、第2の実施の形態の遠隔始動装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
【0023】
<1.第1の実施の形態>
<1−1.システムの概要>
図1は、第1の実施の形態に係る遠隔始動システム100の概要を示す図である。遠隔始動システム100は、遠隔始動装置10と、携帯端末20と、センター30とを備えている。
【0024】
遠隔始動装置10は、車両に備えられており、センター30から送信された制御情報に応じて車両の制御を行うものである。遠隔始動装置10は、センター30と通信可能に接続されており、所定のタイミングで位置情報を含む車両情報をセンター30に送信すると共に、センター30を介して携帯端末20からの始動要求等の制御情報を受信する。遠隔始動装置10は、センター30から始動要求を受信すると車両の原動機や各種装置の始動制御を行う。
【0025】
なお、原動機とはエンジンやモータであり、本発明はいずれの場合にも適用可能である。ただし、説明の便宜上、エンジンを用いた場合を例に挙げて説明する場合がある。また、各種装置とは例えばエアコンやドアである。すなわち、遠隔始動制御とは、エンジンやモータの始動/停止、エアコンのオン/オフ、ドアの開閉等の制御である。以下では、遠隔始動を行う対象を単に「原動機」と記載し、始動や停止、オン/オフ等を含めて単に「始動」と記載する場合がある。
【0026】
携帯端末20は、ユーザが所持する可搬型の電子機器であり、例えば、スマートフォン、タブレット、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)等である。携帯端末20には、車両の原動機を遠隔で始動するためのアプリケーション(以下、「アプリ」という)が格納されている。ユーザが、携帯端末20に格納されたアプリを操作して実行することにより、遠隔での始動要求や各種設定を行うことができる。また、携帯端末20は、センター30と通信可能に構成されており、始動要求や各種設定に関する情報、携帯端末20の位置情報等がセンター30に送信される。
【0027】
センター30は、遠隔始動システム100全体を制御する情報処理装置である。センター30は、遠隔始動装置10及び携帯端末20と通信可能に構成されており、始動要求や車両情報等を互いに送受信することで原動機の始動等の制御を行う。具体的には、センター30は、例えば、車両から位置情報を含む車両情報を受信し、携帯端末20から始動要求や位置情報を受信する。センター30は、携帯端末から始動要求を受信すると、携帯端末20の位置情報と車両の位置情報とに基づいて始動の可否に関する判断や指示といった制御を行う。
【0028】
このように、本実施の形態に係る遠隔始動システム100は、センター30が、所定のタイミングで取得した車両の位置情報と携帯端末の位置情報とに基づいて原動機の始動の制御をすることにより、通信費用及び通信時間を抑制しつつ、無駄な始動を回避することができる車両遠隔始動制御を可能にするシステムである。以下、遠隔始動システム100の構成及び処理について詳細に説明する。
【0029】
<1−2.遠隔始動装置の構成>
まず、遠隔始動装置10の構成について説明する。図2は、遠隔始動装置10の概要を示すブロック図である。図2に示すように、遠隔始動装置10は、制御部11と、位置情報取得部12と、通信部13と、記憶部14とを備えている。
【0030】
制御部11は、車両情報取得部11aと、情報判別部11bと、始動制御部11cと、時間計測部11dと、位置判断部11eとを備えており、また、図示しないCPU、RAM、及びROMを備えるコンピュータである。制御部11は、遠隔始動装置10が備える通信部13や記憶部14等と接続され、記憶部14に記憶されたプログラム14aに基づいて情報の送受信を行い、遠隔始動装置10の全体を制御する。記憶部14に記憶されたプログラムにしたがってCPUが演算処理を実行することにより、情報判別部11bや始動制御部11c等の制御部11の機能が実現される。
【0031】
また、制御部11は、CAN(Controller Area Network)等の車載LAN(Local Area Network)を介して車両内の他の各種センサやECU(Electronic Control Unit)と通信可能に接続されており、種々の情報の送受信を行っている。なお、制御部11は、遠隔始動装置10が行う処理全般を制御するものであるため、上述した、車両情報取得部11aや、情報判別部11b、始動制御部11c、時間計測部11dが実行する処理以外の処理についても制御する。
【0032】
車両情報取得部11aは、車両の走行状態や他のECUの状態を示す情報としての車両情報を取得する。車両には、例えば、車速センサや舵角センサ等の車両の走行状態を検出するセンサや、燃料噴射用ECUやドアロック/アンロック用ECUといったエンジン制御系やボディ制御系のECUが設けられている。車両情報取得部11aは、CANを介してこれらセンサやECUの出力を車両情報として取得する。
【0033】
情報判別部11bは、車両内の他のセンサやECUから取得した車両情報の内容を判別したり、センター30から受信した情報の内容を判別する。車両情報としては、上述したものの他にも例えば、イグニッションのオン/オフの情報が挙げられる。また、センター30から受信した情報としては、例えば、原動機の始動要求に関するコマンドが挙げられる。
【0034】
始動制御部11cは、車両が備える原動機や各種装置の始動又は停止を制御する。すなわち、始動制御部11cは、センター30から始動要求のコマンドを受信した際に、制御対象のECUに対して該当する指令を送信する。例えば、センター30から原動機の始動要求のコマンドを受信した場合には、始動制御部11cは、CANを介して原動機の駆動制御を行うECUに対して始動指令を送信する。また、エアコンの始動要求のコマンドを受信した場合には、始動制御部11cは、CANを介してエアコンの駆動制御を行うECUに対して始動指令を送信する。
【0035】
時間計測部11dは、時間の経過を計測するものである。例えば、遠隔始動にて原動機を駆動する時間を予め決めていた場合には、時間計測部11dは、始動からの経過時間を計測し、所定の時間に到達したか否かを判断する。また、時間計測部11dは、時刻を計測することも可能になっており、例えば、始動した時刻を計測しておくこともできる。
【0036】
位置判断部11eは、車両情報取得部11aがイグニッションのオフの情報(すなわち、駐車開始情報)を取得すると、車両の駐車位置が制限区域内にあるか否かを判断する。制限区域とは、アイドル放置禁止区域や特定地域である。アイドル放置禁止区域とは、車両をアイドル状態のまま放置しておくことを禁止している区域のことである。また、特定地域とは、遠隔始動により車両のアイドリングを行う可能性の少ない地域のことである。すなわち、特定地域とは、車両を降車してから直ぐに戻ってくる可能性の高い場所を含む地域のことであり、例えば、高速道路のサービスエリアやパーキングエリア、コンビニエンスストアの駐車場等が挙げられる。これらの区域は、記憶部14に記憶されている地図情報14eに含まれている。
【0037】
位置判断部11eは、車両の駐車開始位置と地図情報14eとを比較することで、車両の駐車位置がアイドル放置禁止区域内にあるか否かを判断する。位置判断部11eは、車両の駐車位置がアイドル放置禁止区域内にあると判断した場合には、車両位置情報の送信処理を実行しない。
【0038】
また、位置判断部11eは、記憶部14に記憶されている地図情報14eの道路情報や施設情報に基づいて特定地域か否かを判断し、車両位置情報に基づいて車両の駐車位置が特定地域内にあるか否かを判断する。なお、ユーザが予め特定地域を地図情報14eに設定しておいてもよい。位置判断部11eは、車両の駐車開始位置と特定地域とを比較することで、車両の駐車位置が特定地域内にあるか否かを判断する。位置判断部11eは、車両の駐車位置が特定地域内にあると判断した場合には車両位置情報の送信処理を禁止し、特定地域内にはないと判断した場合には車両位置情報の送信処理を実行する。
【0039】
なお、駐車位置がアイドル放置禁止区域内または特定地域内にあるときに車両位置情報の送信処理を禁止するか許可するかをユーザが切替設定してもよい。例えば、車両位置情報の送信処理を制限する制限モードを設け、ユーザが制限モードをオンに設定すると、駐車位置が制限区域にある場合は車両位置情報の送信を禁止し、オフに設定すると駐車位置がどこであろうと無条件で車両位置情報を送信する。制限モードは携帯端末20によりセンター30を介してオン、オフを設定することができる。
【0040】
位置情報取得部12は、遠隔始動装置10の現在位置を示す情報としての位置情報を取得する。位置情報取得部12としては、例えば、GPS(Global positioning system:全地球測位システム)を用いることができる。位置情報は、緯度情報及び経度情報を含んでいる。すなわち、位置情報取得部12は、GPSを用いて現在位置の緯度情報及び経度情報を取得することとなる。
【0041】
なお、遠隔始動装置10が設置されている環境によっては、GPSにて位置情報を取得できない場合がある。この場合、位置情報取得部12は、位置情報を取得できない旨を判断すると共に、位置情報を取得できない旨を示す情報として、位置情報が未確定であるとする情報(以下、「未確定情報」と記載する)を取得する。
【0042】
また、取得した位置情報は、遠隔始動装置10の位置情報であるものの、遠隔始動装置10は車両に搭載されているため、車両の位置を示す情報でもある。このため、以下においては、位置情報取得部12にて取得した位置情報を「車両位置情報」と記載する。すなわち、車両位置情報は、GPSで取得した緯度情報及び経度情報を含む位置情報と、GPSで取得できなかった場合の未確定情報とを含む情報である。なお、この車両位置情報14bは、記憶部14に記憶される。
【0043】
通信部13は、センター30と通信可能に接続され、センター30との間で情報の送受信を行う。通信部13は、例えば、センター30に対して車両位置情報や車両情報を送信し、センター30から通信接続要求や始動要求等のコマンド、すなわち制御情報を受信する。遠隔始動装置10とセンター30との通信は、いわゆる携帯電話網を通じて行われる。したがって、通信部13は、センターとの通信が可能な「圏内」であるか、不可能な「圏外」であるかの判断も行う。センター30から送信されたコマンド等のデータ14dは、記憶部14に記憶される。
【0044】
記憶部14は、プログラム14aと、車両位置情報14bと、車両情報14cと、データ14dと、地図情報14eとを記憶している。本実施の形態における記憶部14は、電気的にデータの読み書きが可能であって、電源を遮断されてもデータが消去されない不揮発性の半導体メモリである。記憶部14としては、例えば、EEPROM(Electrical Erasable Programmable Read-Only memory)やフラッシュメモリを用いることができる。ただし、他の記憶媒体を用いてもよく、磁気ディスクを備えたハードディスクドライブで構成することもできる。プログラムは、制御部11により読み出され、制御部11が遠隔始動装置10を制御するために実行される、いわゆるシステムソフトウェアである。また、地図情報14eは、全国又は一定の広域の道路情報や施設情報が含まれた情報である。
【0045】
なお、車両位置情報14bとしては、位置情報取得部12が定期的に取得した複数の車両位置情報が時間情報と共に記憶されているか、または、車両位置情報が上書きされて未確定情報とは別に記憶されている。すなわち、記憶部14には、取得できた最新の車両位置情報が必ず記憶されている。換言すれば、走行中に車両位置情報を取得できなくなった場合は、その直前の車両位置情報が記憶されている。
【0046】
また、本実施の形態では、遠隔始動装置10が記憶部14に地図情報14eを記憶しておき、位置判断部11eが、車両の駐車位置が制限区域内にあるか否かを判断しているがこれに限定されるものではない。例えば、車両がナビゲーション装置を備えている場合には、ナビゲーション装置の記憶部に記憶されている地図情報に制限区域の情報を含ませておいてもよい。この場合、位置判断部11eがナビゲーション装置から制限区域の情報を取得して、車両の駐車位置が制限区域内にあるか否かを判断する構成となる。
【0047】
また、本実施の形態では、特定地域の設定を遠隔始動装置10で行なっているが、センター30で特定地域を設定し、設定した特定地域情報を遠隔始動装置10に送信することで設定してもよい。
【0048】
<1−3.携帯端末の構成>
次に携帯端末20の構成について説明する。図3は、携帯端末20の概要を示すブロック図である。図3に示すように、携帯端末20は、制御部21と、位置情報取得部22と、通信部23と、記憶部24と、表示部25と、操作部26とを備えている。
【0049】
制御部21は、情報判別部21aと、表示制御部21bと、制限機能設定部21cとを備えており、また、図示しないCPU、RAM、及びROMを備えるコンピュータである。制御部21は、携帯端末20が備える通信部23や記憶部24等と接続され、記憶部24に記憶されたプログラム24aに基づいて情報の送受信を行い、携帯端末20の全体を制御する。記憶部24に記憶されたプログラムにしたがってCPUが演算処理を実行することにより、情報判別部21aや表示制御部21b等の制御部21の機能が実現される。なお、制御部21は、携帯端末20が行う処理全般を制御するものであるため、遠隔始動に関するアプリの機能を実行させる処理を含め、情報判別部21aや、表示制御部21b、制限機能設定部21c以外の処理についても制御する。
【0050】
情報判別部21aは、取得した情報の内容を判別する。情報判別部21aは、例えば、センター30から受信した情報の内容を判別したり、携帯端末20の操作部26を介して入力されたコマンドの内容を判別する。センター30から受信した情報としては、例えば、車両情報や始動の可否に関する問い合わせが挙げられ、携帯端末20の操作部26を介して入力されたコマンドとしては、原動機の始動要求や停止要求のコマンドが挙げられる。
【0051】
表示制御部21bは、携帯端末20の表示部25に画像を表示させる制御を行う。具体的には、表示制御部21bは、原動機の始動の指示を行うための操作用画面や、センター30から受信した確認用画面を表示部25に表示させる制御を行う。
【0052】
制限機能設定部21cは、所定の条件を満たす場合に車両の原動機の遠隔始動処理を制限する機能(以下、「制限機能」と記載する)のオン又はオフを設定する。所定の条件とは、車両の原動機の遠隔始動を実行するか否かを決める条件(以下、「制限条件」という)である。制限機能設定部21cは、制限条件を変更する機能も有している。制限条件としては、例えば、始動要求時の携帯端末と駐車開始時の車両との距離に関する条件が挙げられ、この条件に基づく制限機能を「距離制限機能」と記載する。また、制限条件としては、例えば、車両の駐車開始時の位置と始動要求時の位置との異同に関する条件も挙げられ、この条件に基づく制限機能を「位置制限機能」と記載する。また、制限条件としては、車両のドアがロック状態であるか否かといった条件や、ギアがパーキングの位置にあるか否かといった条件も挙げられる。
【0053】
制限機能のオン又はオフを示す情報及び制限条件(以下、これらを「設定情報」と記載する)は、記憶部24に記憶されている。ユーザが携帯端末を操作して設定モードを選択すると、設定情報24cが記憶部24から読み出されて表示部25に表示される。ユーザは、表示された設定情報に対して、制限機能のオン又はオフを設定したり、変更画面にしたがって条件を変更することで新たな設定情報を設定することができる。新たな設定情報は、記憶部24に記憶されると共にセンター30に送信される。なお、設定情報24cは、携帯端末20の記憶部24には記憶せずにセンター30の記憶部33にのみ記憶されていてもよい。この場合、制限機能設定部21cは、設定情報をセンター30の記憶部33から読み出すことになる。
【0054】
位置情報取得部22は、携帯端末20の現在位置を示す情報としての位置情報(以下、「携帯位置情報」と記載する)を取得する。位置情報取得部22としては、例えば、GPSを用いることができる。携帯位置情報は、緯度情報及び経度情報を含んでいる。すなわち、位置情報取得部22は、GPSを用いて現在位置の緯度情報及び経度情報を取得することとなる。取得した携帯位置情報24bは、記憶部24に記憶される。
【0055】
通信部23は、センター30と通信可能に接続され、センター30との間で情報の送受信を行う。通信部23は、例えば、センター30に対して始動要求のコマンドや携帯位置情報を送信し、センター30から通信接続要求のコマンドや始動の可否に関する問い合わせ等を受信する。携帯端末20とセンター30との通信は、いわゆる携帯電話網を通じて行われる。したがって、通信部23は、センター30との通信が可能な「圏内」であるか、不可能な「圏外」であるかの判断も行う。
【0056】
記憶部24は、プログラム24aと、携帯位置情報24bと、設定情報24cと、アプリ24dとを記憶している。本実施の形態における記憶部24は、電気的にデータの読み書きが可能であって、電源を遮断されてもデータが消去されない不揮発性の半導体メモリである。記憶部24としては、例えば、EEPROMやフラッシュメモリを用いることができる。ただし、他の記憶媒体を用いてもよく、磁気ディスクを備えたハードディスクドライブで構成することもできる。プログラム24aは、制御部21により読み出され、制御部21が携帯端末20を制御するために実行される、いわゆるシステムソフトウェアである。また、アプリ24dとは、遠隔始動用の制御プログラムである。
【0057】
表示部25は、遠隔始動の制御を行うアプリの操作用画面や、センター30から送信された車両情報を確認する確認用画面等を表示する表示装置である。表示部25としては、例えば、液晶ディスプレイや、有機ELディスプレイ等を用いることができる。
【0058】
操作部26は、機械式のボタンやタッチパネルを備えた情報の入力装置である。ユーザは、操作部26を操作することによって、遠隔始動の制御に関する各種操作や、設定情報の設定や変更操作等を行うことができる。なお、操作部26は、表示部25と一体として構成してもよい。
【0059】
<1−4.センターの構成>
次にセンター30の構成について説明する。図4は、センター30の概要を示すブロック図である。図4に示すように、センター30は、制御部31と、通信部32と、記憶部33とを備えている。
【0060】
制御部31は、情報判別部31aと、始動制限部31bと、位置判断部31cと、始動指示部31dとを備えており、また、図示しないCPU、RAM、及びROMを備えるコンピュータである。制御部31は、センター30が備える通信部32や記憶部33等と接続され、記憶部33に記憶されたプログラムに基づいて情報の送受信を行い、センター30の全体を制御する。記憶部33に記憶されたプログラム33aにしたがってCPUが演算処理を実行することにより、情報判別部31aや始動制限部31b等の制御部31の機能が実現される。なお、制御部31は、センター30が行う処理全般を制御するものであるため、情報判別部31aや、始動制限部31b、位置判断部31c、始動指示部31dが実行する処理以外の処理についても制御する。
【0061】
情報判別部31aは、遠隔始動装置10又は携帯端末20から受信した情報やコマンドの内容を判別する。具体的には、情報判別部31aは、遠隔始動装置10から受信した情報が、車両位置情報であるか、原動機を始動した旨の情報であるか、イグニッションオン/オフの情報であるか等を判別する。また、情報判別部31aは、携帯端末20から受信した情報が、携帯位置情報であるか、原動機の始動要求又は停止要求のコマンドであるか、設定情報の変更情報であるか等を判別する。
【0062】
始動制限部31bは、携帯端末20から始動要求のコマンドを受信した場合に、設定情報に基づいて原動機の始動を制限するか否かを判断する。具体的には、始動制限部31bは、携帯端末20から始動要求のコマンドを受信したと判断した場合に、車両位置情報や携帯位置情報と設定情報とに基づいて始動の可否を判断する。
【0063】
例えば、距離制限機能がオンに設定されていて、制限条件が車両の駐車開始位置と携帯端末の始動要求時の位置との距離に基づいて設定されている場合には、始動制限部31bは、車両位置情報及び携帯位置情報に基づいて車両の駐車開始時の位置と携帯端末の始動要求時の位置との距離を導出し、この距離と制限条件とを比較することによって原動機の始動を制限するか否かを判断する。
【0064】
より具体的に説明すると、始動制限部31bは、記憶部33から読み出したイグニッションオフ時の車両位置情報33b(すなわち、駐車開始時の車両位置情報)と、携帯端末20から受信した携帯位置情報33c(すなわち、始動要求時の携帯位置情報)とを比較することで互いの距離を算出する。そして、始動制限部31bは、記憶部33から設定情報33dに含まれている制限距離を読み出し、算出した距離が制限距離以上であるか否かを判断する。なお、制限距離とは、始動を制限する距離を示す制限条件である。
【0065】
始動制限部31bは、算出した距離が制限距離より小さい場合には原動機の始動処理を継続し、算出した距離が制限距離以上の場合には始動処理を制限する。なお、始動処理の制限には、始動処理の禁止も含まれる。すなわち、始動処理を制限する処理とは、例えば、始動処理を禁止する場合には始動処理を中止し、始動処理を制限する場合には始動処理の継続の可否をユーザに確認する等の処理である。
【0066】
また、位置制限機能がオンに設定されていて、制限条件が駐車開始時と始動要求時とにおける車両の位置の異同に基づいて設定されている場合には、始動制限部31bは、駐車開始時の車両位置情報と、始動要求時の車両位置情報とに基づいて原動機の始動を制限するか否かを判断する。
【0067】
具体的には、始動制限部31bは、記憶部33から読み出したイグニッションオフ時の車両位置情報33b(すなわち、駐車開始時の車両位置情報)と、携帯端末20から始動要求のコマンドを受信した際に遠隔始動装置10から取得した車両位置情報33b(すなわち、始動要求時の車両位置情報)とを比較することで互いの位置の異同を判断する。そして、始動制限部31bは、記憶部33から設定情報33dに含まれている制限条件を読み出して、判断した異同の結果と比較する。制限条件としては、各車両位置情報が異なる場合には始動を制限する旨の条件が挙げられる。
【0068】
この条件の場合に、各車両位置情報が異なると判断されると、始動制限部31bは始動処理を制限する。すなわち、各車両位置情報が異なるということは、始動要求があった際に、車両が駐車開始時の位置から移動していることを示している。移動している要因としては、盗難にあっていることや、レッカー移動されていることが考えられる。このため、始動制限部31bは、各車両位置情報が異なる場合には始動を禁止したり、始動処理の継続の可否をユーザに確認するといった始動の制限を行う。
【0069】
位置判断部31cは、携帯端末20から始動要求のコマンドを受信した場合に、車両の駐車位置がアイドル放置禁止区域内にあるか否かを判断する。アイドル放置禁止区域とは、上記と同様に車両をアイドル状態のまま放置しておくことを禁止している区域のことである。これらの区域は、記憶部33に記憶されている地図情報33eに含まれており、位置判断部31cは、記憶部33から読み出した車両の駐車開始位置と地図情報33eとを比較することで、車両の駐車位置がアイドル放置禁止区域内にあるか否かを判断する。位置判断部31cは、車両の駐車位置がアイドル放置禁止区域内にあると判断した場合には始動処理を実行しない。
【0070】
なお、遠隔始動装置10において、車両の駐車位置がアイドル放置禁止区域内にある場合に、車両の駐車位置情報をセンター30に送信することを禁止するのであれば、この処理は本来不要であるが、本実施形態では送信を禁止する設定と許可する設定を切替可能としているため、この処理が必要となる。
【0071】
また、位置判断部31cは、車両の駐車位置が特定地域内にあるか否かも判断する。特定地域とは、遠隔始動により車両のアイドリングを行う可能性の少ない地域のことである。すなわち、特定地域も、上記と同様に車両を降車してから直ぐに戻ってくる可能性の高い場所を含む地域のことであり、例えば、高速道路のサービスエリアやパーキングエリア、コンビニエンスストアの駐車場等が挙げられる。
【0072】
位置判断部31cは、記憶部33に記憶されている地図情報33eの道路情報や施設情報に基づいて特定地域か否かを判断し、車両位置情報に基づいて車両の駐車位置が特定地域内にあるか否かを判断する。なお、ユーザが予め特定地域を地図情報33eに設定しておいてもよい。位置判断部31cは、記憶部33から読み出した車両の駐車開始位置と特定地域とを比較することで、車両の駐車位置が特定地域内になるか否かを判断する。位置判断部31cは、車両の駐車位置が特定地域内にあると判断した場合には始動処理を制限し、特定地域内にはないと判断した場合には始動処理を継続する。
【0073】
なお、遠隔始動装置10において、車両の駐車位置が特定地域内にある場合に、車両の駐車位置情報をセンター30に送信することを禁止するのであれば、この処理は本来不要であるが、本実施形態では送信を禁止する設定と許可する設定を切替可能としているため、この処理が必要となる。
【0074】
始動指示部31dは、始動制限部31b及び位置判断部31cの判断結果に基づいて、最終的な遠隔始動の可否を決定し、遠隔始動装置10に対して始動要求のコマンドの送信処理を行う。具体的には、携帯端末20から始動要求のコマンドを受信すると、始動制限部31b及び位置判断部31cが共に始動処理を継続するか否かを判断し、いずれも継続すると判断した場合に、始動指示部31dは、最終的に遠隔始動を実行すると判断し、遠隔始動装置10に対して通信部32を介して始動要求のコマンドを送信する。
【0075】
通信部32は、遠隔始動装置10及び携帯端末20と通信可能に構成され、各々との間で情報の送受信を行う。通信部32は、例えば、遠隔始動装置10に対して始動要求のコマンドを送信し、携帯端末20に対して始動処理の継続の可否を確認する情報を送信する。また、通信部32は、例えば、遠隔始動装置10から車両位置情報や車両情報を受信し、携帯端末20から携帯位置情報や始動要求のコマンドを受信する。遠隔始動装置10及び携帯端末20との通信は、いわゆる携帯電話網を通じて行われる。
【0076】
記憶部33は、プログラム33aと、車両位置情報33bと、携帯位置情報33cと、設定情報33dと、地図情報33eと、コマンド33gとを記憶している。なお、これら車両位置情報33bと、携帯位置情報33cと、設定情報33dと、コマンド33gとを合わせて受信データ33fと記載する場合がある。また、コマンド33gは、記憶部33に記憶しておいてコマンド実行時に読み出す構成としてもよいし、記憶部33に記憶せずに受信時にコマンド実行する構成としてもよい。
【0077】
本実施の形態における記憶部33は、電気的にデータの読み書きが可能であって、電源を遮断されてもデータが消去されない不揮発性の半導体メモリである。記憶部33としては、例えば、EEPROMやフラッシュメモリを用いることができる。ただし、他の記憶媒体を用いてもよく、磁気ディスクを備えたハードディスクドライブで構成することもできる。プログラム33aは、制御部31により読み出され、制御部31がセンター30を制御するために実行される、いわゆるシステムソフトウェアである。また、地図情報33eは、全国又は一定の広域の道路情報や施設情報が含まれた情報である。
【0078】
<1−5.遠隔始動装置の処理>
次に、遠隔始動装置10の処理について説明する。図5図9は、遠隔始動装置10の処理を示すフローチャートである。
【0079】
遠隔始動装置10は、車両のイグニッションがオンしている間は、定期的に車両位置情報を取得している。このため、遠隔始動装置10が車両位置情報を取得する処理について説明する。図5は、遠隔始動装置10が車両位置情報を取得する処理を示すフローチャートである。
【0080】
まず、位置情報取得部12が、例えば50ms又は100ms毎に車両位置情報を取得する処理を実行する(ステップS501)。位置情報取得部12は、車両位置情報の取得処理を実行した後には、実際に車両位置情報を取得できたか否かを判断する(ステップS502)。車両位置情報は、経度情報及び緯度情報を含む情報であるため、位置情報取得部12は、例えば、これら経度情報や緯度情報が適切に取得できた場合に車両位置情報が取得できたと判断し、適切に取得できなかった場合には車両位置情報が取得できなかったと判断することができる。
【0081】
位置情報取得部12は、車両位置情報を取得できたと判断した場合には(ステップS502でYes)、取得した車両位置情報を記憶部14に記憶して(ステップS503)、処理を終了し、次の取得タイミングで再度ステップS501から始まる処理を実行する。
【0082】
一方、位置情報取得部12が車両位置情報を取得できなかったと判断した場合には(ステップS502でNo)、制御部11は、取得できなくなった直前に取得した車両位置情報(以下、「直前位置情報」と記載する)をセンター30に送信する処理を実行する。具体的には、まず、制御部11はセンター30との通信を確立させる(ステップS504)。すなわち、制御部11が、通信部13を介してセンター30に対して通信の接続を要求するコマンドを送信する。センター30は、接続要求のコマンドを受信した際に、通信の接続が可能である場合には接続を許可して通信が確立する。なお、ステップS502での処理については、所定時間連続して車両位置情報を取得できなかった場合に車両位置情報を取得できなかったと判断することが望ましい。
【0083】
そして、通信が確立すると、制御部11は、直前位置情報を記憶部14から読み出して、通信部13を介してセンター30に送信する(ステップS505)。なお、位置情報取得部12は、定期的に車両位置情報を取得しており、記憶部14には、取得された車両位置情報が記憶されている。つまり、位置情報取得部12が車両位置情報を取得できなくなった後においても、記憶部14には、その前に取得できた車両位置情報が記憶されている構成となっており、直前位置情報が記憶されている。この直前位置情報とは、上述のように位置情報取得部12が車両位置情報を取得できなくなった直前に取得した車両位置情報のことであるが、換言すると、位置情報取得部12が取得できなかったタイミングの直前のタイミングで取得した車両位置情報であり、取得できなくなる直前の車両位置情報でもある。
【0084】
また、この際に、車両情報を併せて送信する。この場合の車両情報には、例えば、走行中である旨の情報や、送信した車両位置情報が直前位置情報であることを示す情報が含まれる。また、位置情報取得部12は、車両位置情報が取得できなかった際に未確定情報を取得して記憶部14に記憶しておいてもよい。この場合、未確定情報は、取得できた最新の車両位置情報とは別に記憶しておくことが好ましい。
【0085】
このように、走行中に位置情報取得部12が車両位置情報を取得できなかったと判断した時点(車両位置情報が取得できなかった直後)で、直前位置情報をセンター30に送信しておくことで、後述するように車両が駐車を開始した時点で車両位置情報をセンター30に送信する際に電話回線がつながらず自車位置をセンター30に送信できない場合においても、センター30でおおよその車両の駐車位置を把握することが可能となる。そして、遠隔始動装置10は、以降の車両位置情報を取得するタイミングにおいても同様の処理を実行し、これを定期的に繰り返す。
【0086】
また、イグニッションを手動でオン又はオフに切り替えた場合、遠隔始動装置10は、車両の駐車位置が制限区域内にない場合には、車両位置情報と車両情報とをセンター30に送信する処理を実行する。そこで、遠隔始動装置10が、車両位置情報と車両情報とを送信する処理について説明する。図6および図7は、遠隔始動装置10が、車両位置情報と車両情報とをセンター30に送信する処理を示すフローチャートである。なお、図面中ではイグニッションを「IG」と記載する。
【0087】
まず、車両情報取得部11aが、手動にてイグニッションがオンの状態からオフの状態に切り替わったか否かを検出する(ステップS601)。具体的には、イグニッションがオンの状態のときに、車両情報取得部11aが、電源ECUからCANを介してイグニッションがオフである旨の信号を受信することによりオンからオフに切り替わったことを検出する。
【0088】
車両情報取得部11aは、イグニッションがオンからオフに切り替わったことを検出しなかった場合には(ステップS601でNo)、後述するイグニッションがオフからオンに切り替わったか否かを検出する処理に進む(図6のA)。
【0089】
一方、車両情報取得部11aが、イグニッションがオンからオフに切り替わったことを検出すると(ステップS601でYes)、駐車が開始されると判断して、位置情報取得部12は、駐車開始時の車両位置情報を取得しているか否かを判断する(ステップS602)。すなわち、位置情報取得部12は、車両の駐車開始が検出されると、駐車開始位置の情報が取得できているか否かを判断する。この判断も上述したステップS502と同様にして行うことができる。
【0090】
位置情報取得部12が、駐車開始時の車両位置情報を取得していないと判断した場合には(ステップS602でNo)、制御部11は、センター30との通信を確立させる(ステップS603)。通信を確立させる処理は、上述したステップS504と同様にして実行することができる。
【0091】
なお、通信不能な場所に駐車した場合は、ステップS603による通信を確立することができない。そのため、通信部13は、センター30との通信が可能な通信圏内にあるか否かを判断する(ステップS604)。すなわち、ステップS603による通信が確立できたときは、通信圏内にあると判断し、通信が確立できなかったときは通信圏外であると判断する。
【0092】
通信部13が通信圏内にあると判断した場合には(ステップS604でYes)、制御部11は、直前位置情報を記憶部14から読み出して、駐車開始位置としてセンター30に送信する(ステップS605)。また、この際には、車両情報も併せて送信する。更にこの場合は、直前位置情報であることを示す情報、すなわち車両位置情報が実際の駐車開始位置ではないことを示す情報も併せて送信しておく。その後、次の処理に進む(図6のA)。
【0093】
一方、通信部13は、通信圏内にないと判断した場合には(ステップS604でNo)、再度通信圏内にあるか否かを判断する。周囲構造物や天候の悪化等により一時的に通信状況が悪化し、その後通信状況が良好になる可能性があるためである。また、通信圏内にない場合には、センター30に対して直前位置情報等を送信することができないため、制御部11は、送信すべき情報を記憶部14に記憶しておき、通信状況が良好になって通信圏内にあると判断された後に、記憶部14から読み出した直前位置情報及び車両情報を通信部13を介してセンター30に送信する処理を行う。
【0094】
ステップS602の処理において、位置情報取得部12が、駐車開始時の車両位置情報を取得していると判断した場合には(ステップS602でYes)、制御部11は、車両位置情報と制限区域情報とを取得する(ステップS606)。具体的には、制御部11は、駐車開始時における車両位置情報を位置情報取得部12から取得すると共に、記憶部14の地図情報14eから制限区域情報を取得する。なお、制限区域情報とは、アイドル放置禁止区域および特定地域を示す情報である。
【0095】
そして、制御部11は、車両位置情報の送信処理を制限するモードである制限モードがオンであるか否かを判断する(ステップS607)。制限モードがオンでない場合には(ステップS607でNo)、車両位置情報を送信する処理に進む(図6のB)。
【0096】
一方、制限モードがオンである場合には(ステップS607でYes)、位置判断部11eは、車両がアイドル放置禁止区域内に存在しているか否かを判断する(ステップS608)。すなわち、位置判断部11eは、ステップS606で取得した車両位置情報と制限区域情報に含まれるアイドル放置禁止区域とを比較し、車両の駐車開始位置がアイドル放置禁止区域内にあるか否かを判断する。車両の駐車開始位置がアイドル放置禁止区域内にあると判断された場合には(ステップS608でYes)、遠隔始動を行ってアイドル状態を保つことはないため、車両位置情報の送信処理を禁止し(ステップS610)、その後の処理に進む(図6のA)。
【0097】
一方、車両の駐車開始位置がアイドル放置禁止区域内にないと判断された場合には(ステップS608でNo)、位置判断部11eは、車両の駐車開始位置が特定地域にあるか否かを判断する(ステップS609)。具体的には、位置判断部11eは、ステップS606で取得した車両位置情報と制限区域情報に含まれる特定地域とを比較し、車両の駐車開始位置が特定地域内にあるか否かを判断する。
【0098】
車両の駐車開始位置が特定地域内にあると判断された場合には(ステップS609でYes)、遠隔始動を行う可能性は少ないため、車両位置情報の送信処理を禁止し(ステップS610)、その後の処理に進む(図6のA)。一方、車両の駐車開始位置が特定地域内にないと判断された場合には(ステップS609でNo)、制御部11は、車両位置情報を送信する処理に進む(図6のB)。
【0099】
次に、制御部11は、センター30との通信を確立させる(ステップS701)。通信を確立させる処理や、通信圏内にあるか否かの判断処理は、上述したステップS603と同様にして実行することができる。
【0100】
その後、通信部13は、センター30との通信が可能な通信圏内にあるか否かを判断する(ステップS702)。すなわち、ステップS701による通信が確立できたときは、通信圏内にあると判断し、通信が確立できなかったときは通信圏外であると判断する。
【0101】
通信部13が通信圏内にあると判断した場合には(ステップS702でYes)、制御部11は、取得した車両位置情報と車両情報とをセンター30に送信する(ステップS703)。送信する車両位置情報は、イグニッションをオフに切り替えた際に、位置情報取得部12が取得した位置情報、すなわち駐車開始位置の情報である。また、送信する車両情報は、イグニッションをオフに切り替えた際に、車両情報取得部11aが取得した車両情報であり、イグニッションがオフである旨の情報が含まれている。また、イグニッションのオフ情報に加えて、記憶部14に記憶されている未送信の車両情報が含まれていてもよい。
【0102】
一方、通信部13は、通信圏内にないと判断した場合には(ステップS702でNo)、再度通信圏内にあるか否かを判断する。この判断処理も、上述したステップS604と同様にして実行することができる。なお、通信圏内にない状態から通信圏内にある状態に変化した場合に、新たに車両位置情報を取得し、記憶部14に記憶しておいたイグニッションオフ時の車両位置情報と比較を行い、両者が一致した場合に新たに取得した車両位置情報をセンター30に送信するようにしてもよい。
【0103】
このような処理をすることで、センター30は、駐車開始時の車両位置情報が取得できた場合には、正確な駐車開始位置を取得することができ、駐車開始時の車両位置情報が取得できなかった場合には、おおよその駐車開始位置を取得することができる。また、車両位置情報が取得できなくなった時点で、一度、車両位置情報をセンター30に送信しておけば、駐車開始時に遠隔始動装置10とセンター30との通信ができない状況であったとしても、センター30はおおよその駐車開始位置を把握することができる。
【0104】
これにより、駐車開始時点で車両位置情報が取得できない場合に、一律に未確定情報をセンター30に送信すると、原動機の始動要求があった際に、センター30は距離制限機能を実行することができずユーザに始動可否を確認する処理が必要となるが、本実施の形態のように、正確でない位置だとしても駐車開始位置として扱えるおおよその位置をセンター30に送信しておくことで、センター30は距離制限機能を実行することができ、ユーザへの確認処理をすることなく自動で遠隔始動処理を実行することが可能となる。
【0105】
次に、車両情報取得部11aが、手動にてイグニッションがオフの状態からオンの状態に切り替わったか否かを検出する(ステップS704)。具体的には、イグニッションがオフの状態のときに、車両情報取得部11aが、電源ECUからCANを介してイグニッションがオンである旨の信号を受信することによりオフからオンに切り替わったことを検出する。
【0106】
車両情報取得部11aは、イグニッションがオフからオンに切り替わったことを検出しなかった場合には(ステップS704でNo)、何も処理を行わずに終了する。
【0107】
一方、車両情報取得部11aが、イグニッションがオフからオンに切り替わったことを検出すると(ステップS704でYes)、駐車が終了されると判断して、制御部11はセンター30との通信を確立させる(ステップS705)。具体的には、制御部11が、通信部13を介してセンター30に対して通信の接続を要求するコマンドを送信する。センター30は、接続要求のコマンドを受信した際に、通信の接続が可能である場合には接続を許可して通信が確立する。なお、既にセンター30との通信が確立している状態にある場合には、この処理は省略することができる。
【0108】
通信が確立すると、通信部13は、センター30との通信が可能な通信圏内であるか否かを定期的に判断する(ステップS706)。すなわち、上記と同様に、センター30との通信確立時における通信状況の悪化を監視することにより、通信が可能な状況であるか否かを判断する。
【0109】
通信部13は、通信圏内にあると判断した場合には(ステップS706でYes)、車両位置情報と車両情報をセンター30に送信する(ステップS707)。送信する車両位置情報は、イグニッションをオンに切り替えた際に、位置情報取得部12が取得した位置情報、すなわち駐車終了時の位置情報である。また、送信する車両情報は、イグニッションをオンに切り替えた際に、車両情報取得部11aが取得した車両情報であり、イグニッションがオンである旨の情報が含まれている。また、イグニッションのオン情報に加えて、記憶部14に記憶されている未送信の車両情報が含まれていてもよい。
【0110】
一方、通信部13は、通信圏内にないと判断した場合には(ステップS706でNo)、再度通信圏内にあるか否かを判断する。また、通信圏内にない場合には、センター30に対して車両位置情報等を送信することができないため、制御部11は、送信すべき情報を記憶部14に記憶しておき、通信圏内にあると判断された後に、記憶部14から読み出した車両位置情報及び車両情報を通信部13を介してセンター30に送信する処理を行う。
【0111】
このように、遠隔始動装置10は、手動にてイグニッションがオフにされた際に、車両位置情報が取得でき、かつ車両の駐車位置が制限区域内に存在しない場合には、イグニッションのオフ情報と共に、オフにされた時点で取得した車両位置情報をセンター30に送信する処理を行う。また、イグニッションオフ時に車両位置情報が取得できなかった場合には、取得できなくなる直前の車両位置情報をセンター30に送信する処理を行う。また、遠隔始動装置10は、図6および図7に示した処理を定期的に実行するようになっており、例えば、50ms又は100ms毎に行う。
【0112】
次に、遠隔始動装置10が、原動機を始動する際の処理について説明する。図8および図9は、遠隔始動装置10の始動処理を示すフローチャートである。
【0113】
まず、制御部11は、センター30から接続要求があるか否かを判断する(ステップS801)。この判断は、制御部11が、通信部13を介してセンター30から通信の接続要求のコマンドを受信したか否かを判断することにより行うことができる。制御部11は、接続要求がないと判断した場合には(ステップS801でNo)、データ受信の有無を判断する処理に進む(ステップS804)。一方、制御部11は、接続要求があると判断した場合には(ステップS801でYes)、通信の接続が可能である場合には接続を許可して通信が確立する(ステップS802)。
【0114】
通信が確立すると、制御部11は、位置情報取得部12を立ち上げて現在の車両位置情報を取得すると共に、車両情報取得部11aから現在の車両情報を取得し、通信部13を介して現在の車両位置情報と現在の車両情報とをセンターに送信する(ステップS803)。この場合の車両位置情報とは、センター30から通信の接続要求のコマンドを受信した際に位置情報取得部12が取得した位置情報である。また、車両情報とは、通信の接続要求のコマンドを受信した際に車両情報取得部11aが取得した車両情報や、記憶部14に記憶されている未送信の車両情報である。なお、本処理においては、車両位置情報のみを送信し、車両情報は送信しない処理としてもよい。
【0115】
次に、制御部11は、センター30からデータを受信したか否かを判断する(ステップS804)。制御部11は、データを受信していないと判断した場合には(ステップS804でNo)、後述の所定時間が経過したか否かを判断する処理(ステップS903)に進む(図8のC)。
【0116】
一方、制御部11は、データを受信したと判断した場合には(ステップS804でYes)、受信したデータ14dを記憶部14に記憶する(ステップS805)。なお、記憶部14にデータ14dを記憶する際には、情報判別部11bにて、データの内容を判別した後に記憶してもよく、判別することなく記憶してもよい。受信するデータは、種々のコマンドであり、例えば、原動機や各種装置の始動要求のコマンドの他、車両位置情報や車両情報の送信を要求するコマンド等が挙げられる。
【0117】
次に、情報判別部11bは、センター30から受信したデータに原動機の始動要求のコマンドが含まれているか否かを判断する(ステップS806)。この判断は、情報判別部11bが、受信したデータの内容を判別することにより行われる。なお、受信したデータを記憶部14に記憶する際に情報の内容を判別している場合には、始動要求のコマンドが記憶部14に記憶されているかを判別する処理としてもよい。
【0118】
受信データに原動機の始動要求のコマンドが含まれている場合には(ステップS806でYes)、始動制御部11cは、原動機の始動処理を実行する(ステップS807)。具体的には、始動要求のコマンドを受信すると、始動制御部11cが、電源ECUに対してCANを介して始動信号を送信する。電源ECUは、ACCリレーと、イグニッションリレーと、スタータリレーとをオン状態にし、ACC信号と、イグニッション信号と、スタータ信号をエンジンECUに送信する。エンジンECUは、これらの信号を受信すると、エンジンを始動させるためにセルモータを起動させる。これにより、遠隔にてエンジンを始動させることが可能となる。なお、車両にいわゆるイモビライザが装着されている場合には、始動制御部11cは、イモビライザを制御するECUとの間で認証処理を実行する。
【0119】
始動要求のコマンドに基づいて原動機の始動処理を実行すると、制御部11は、通信部13を介して始動処理を実行した旨の情報をセンター30に送信して(ステップS808)、次の処理に進む(図8のD)。
【0120】
一方、センター30から受信したデータに原動機の始動要求のコマンドが含まれているか否かの判断処理において、始動要求のコマンドは含まれていないと判断した場合には(ステップS806でNo)、始動制御部11cは、始動処理を行わず次の処理へ進む(図8のD)。
【0121】
次に、情報判別部11bは、センター30から受信したデータに原動機の停止要求のコマンドが含まれているか否かを判断する(ステップS901)。この判断においても、情報判別部11bが、受信したデータの内容を判別することにより行われる。受信データに原動機の停止要求のコマンドが含まれている場合には(ステップS901でYes)、始動制御部11cは、原動機の停止処理を実行する(ステップS904)。この停止処理については後述する。
【0122】
一方、情報判別部11bは、センター30から受信したデータに原動機の停止要求のコマンドが含まれていないと判別した場合には(ステップS901でNo)、始動制御部11cは、この時点では停止処理を実行せずに、その他要求に対する処理を実行する(ステップS902)。その他要求に対する処理とは、受信したデータに原動機の始動要求及び停止要求以外のコマンド(以下、「その他のコマンド」と記載する)が含まれている場合に、受信したその他のコマンドに対応する処理のことである。
【0123】
すなわち、情報判別部11bが、受信したデータにその他のコマンドが含まれているか否かを判別し、含まれている場合には、始動制御部11cがそのコマンドに対応する処理を実行する。例えば、受信データにドアロックのコマンドが含まれている場合には、始動制御部11cがドアのロック処理を行い、ドアのアンロックのコマンドが含まれている場合には、始動制御部11cがドアのアンロック処理を行う。また、受信データに車両情報の送信要求コマンドが含まれている場合には、始動制御部11cが通信部13を介して要求のあった車両情報をセンター30に送信する処理を実行する。なお、情報判別部11bが、受信したデータにその他のコマンドが含まれていないと判別した場合には、本ステップでは何も処理を行わない。
【0124】
次に、時間計測部11dは、原動機の駆動が始動から所定時間経過したか否かを判断する(ステップS903)。時間計測部11dは、原動機の始動から時間の計測を開始し、予め設定されている所定時間に到達したか否かを判断する。なお、所定時間とは、例えば、原動機を始動してから一定の経過時間のことであり、予め設定されたいわゆる暖機時間である。暖機時間は、例えば10分と設定することができ、複数回に分けて暖機運転をする場合には累積時間で最大で20分と設定することもできる。ただし、所定時間はこれに限定されるものではなく適宜設定可能である。
【0125】
時間計測部11dが、始動から所定時間を経過したと判断した場合には(ステップS903でYes)、始動制御部11cが原動機の停止処理を実行する(ステップS904)。停止処理は、例えば、始動制御部11cが、電源ECUに対してCANを介して停止信号を送信し、電源ECUが、ACCリレーと、イグニッションリレーと、スタータリレーとをオフ状態にすることでエンジンの駆動を停止させる処理である。これにより、遠隔にてエンジンを停止させることが可能となる。
【0126】
そして、制御部11は、原動機の停止処理を実行すると、通信部13を介して停止処理を実行した旨の情報をセンター30に送信して(ステップS905)、遠隔始動処理を終了する。
【0127】
一方、時間計測部11dは、所定時間が経過していないと判断した場合には(ステップS903でNo)、停止処理は行わず、遠隔始動処理を終了する。
【0128】
なお、センター30と通信を確立した後、通信を切断する処理はセンター30が行なう。センター30での切断処理については後述する。
【0129】
<1−6.携帯端末の処理>
次に、携帯端末20の処理について説明する。図10および図11は、携帯端末20の処理を示すフローチャートである。まず、携帯端末20を用いて遠隔始動を行う処理について説明する。図10は、携帯端末20の遠隔始動処理を示すフローチャートである。
【0130】
携帯端末20による遠隔始動処理は、携帯端末20に格納されている遠隔始動用のアプリ24dの起動により開始される。携帯端末20のアプリ24dが起動されると、表示部25に遠隔始動操作を行うためのメイン操作画面が表示される(ステップS1001)。表示制御部21bがアプリ24dに格納されている操作画面を読み出して、表示部25を制御して操作画面を表示する。
【0131】
次に、制御部21は、操作画面表示時に、ユーザの操作によってセンター30に対して要求を行うコマンドが入力されたか否かを判断する(ステップS1002)。要求コマンドが入力されたと判断された場合には、情報判別部21aが、入力されたコマンドの内容を判別する。入力されるコマンドとは、例えば、原動機の始動又は停止を要求するコマンドである。
【0132】
制御部21は、要求コマンドが入力されたと判断した場合には(ステップS1002でYes)、センター30との通信を確立させる(ステップS1003)。具体的には、制御部21が、通信部23を介してセンター30に対して通信の接続を要求するコマンドを送信する。センター30は、接続要求のコマンドを受信した際に、通信の接続が可能である場合には接続を許可して通信が確立する。
【0133】
次いで、制御部21は、通信部23を介して入力された要求コマンドをセンター30に送信する(ステップS1004)。また、制御部21は、要求コマンドを送信する際には、位置情報取得部22にて携帯端末20の位置情報を取得して、要求コマンドと併せて携帯位置情報を送信する。一方、制御部21は、要求コマンドが入力されていないと判断した場合には(ステップS1002でNo)、要求コマンド等の送信処理は行わずに次の処理へ進む。
【0134】
次に、制御部21は、センター30からメッセージを受信しているか否かを判断する(ステップS1005)。この判断は、制御部21がセンター30からデータを受信したか否かの判断と、受信したデータがメッセージであるか否かの判別を含む。メッセージであるか否かの判別は、情報判別部21aよって行われる。センター30から受信するメッセージとは、例えば、遠隔始動処理の継続に関する確認のメッセージや、ユーザがセンターに対して要求した情報に対する応答メッセージ等である。具合的には、制限機能の制限条件を満たさない場合に、始動の継続を確認するメッセージや、ユーザがセンターに問い合わせた車両情報の内容を通知するメッセージである。
【0135】
制御部21は、メッセージを受信していないと判断した場合には(ステップS1005でNo)、その後の処理は行わずに、遠隔始動処理を終了する。一方。制御部21は、メッセージを受信していると判断した場合には(ステップS1005でYes)、表示部25に当該メッセージを表示する(ステップS1006)。
【0136】
また、情報判別部21aは、受信したメッセージがユーザの応答を要求するメッセージであるか否かを判別する(ステップS1007)。応答を要求するメッセージとは、上述の例でいうと、始動の継続を確認するメッセージであり、応答を要求しないメッセージとは、車両情報の内容を通知するメッセージである。
【0137】
情報判別部21aが受信したメッセージが応答を要求するメッセージであると判別した場合には(ステップS1007でYes)、制御部21は、ユーザによる応答の入力があったか否かを監視する(ステップS1008)。応答の入力は、ユーザが操作画面を操作することによって行われる。この応答入力の有無の監視は、入力があったと判断されるまで繰り返し行われる(ステップS1008でNo)。
【0138】
一方、制御部21は、応答入力があったと判断した場合には(ステップS1008でYes)、通信部23を介してその応答内容をセンターに送信する(ステップS1009)。そして、制御部21は、再び操作画面を表示部に表示する(ステップS1010)。
【0139】
なお、応答要求の有無を判別するステップにおいて、情報判別部21aは、受信したメッセージがユーザの応答を要求するメッセージでないと判別した場合には(ステップS1007でNo)、制御部21は、表示したメッセージをユーザが確認したか否かを監視する(ステップS1011)。応答を要求しないメッセージとは、単にユーザにその内容を提示するメッセージであるため、制御部21は、ユーザがそれを確認したか否かを監視することとしている。ただし、監視が必要ない場合には、本ステップは省略してもよい。
【0140】
制御部21は、ユーザがメッセージを確認したと判断するまで監視を繰り返して行う(ステップS1011でNo)。一方、制御部21は、ユーザがメッセージを確認したと判断した場合には(ステップS1011でYes)、再び操作画面を表示部に表示する(ステップS1010)。確認の入力は、例えば、ユーザが操作画面の確認ボタンを押すことによって行われる。この場合、制御部21は、確認ボタンが押されたか否かを判断することによって確認の有無を判断する。
【0141】
その後、ユーザが、再び遠隔始動処理を行う場合には、最初から同様の処理を行えばよい。また、ユーザが遠隔操作用のアプリ24dを停止すれば遠隔始動処理は終了する。
【0142】
なお、センター30との通信の切断については、遠隔操作用のアプリ24dを停止したときはもちろんのこと、センター30との間で必要なデータの送受信が完了した場合に自動的に行なわれる。即ち、制御部21がステップS1003で通信を確立した後、ステップS1004にて送信した要求コマンドに対してセンターからの一連の応答が完了したと判断した場合に通信を自動的に切断する。センター30からの応答が完了した場合とは、始動時の時間情報を受信した場合や応答要求のないメッセージを受信した場合等である。
【0143】
次に、携帯端末20を用いて制限機能を設定する処理及び制限条件を変更する処理について説明する。図11は、制限機能として距離制限機能を用いた場合における、制限機能の設定処理及び制限条件の変更処理を示すフローチャートである。
【0144】
制限機能の設定や制限条件の変更に関する処理は、ユーザが携帯端末の設定モードを選択することで開始する。設定モードが選択されると、制限機能設定部21cは、携帯端末20の距離制限機能がオンに設定されたか否かを判断する(ステップS1101)。距離制限機能がオンに設定された場合には(ステップS1101でYes)、制限機能設定部21cは、距離制限機能がオンである旨のフラグを設定する(ステップS1102)。一方、距離制限機能がオンに設定されていない場合には(ステップS1101でNo)、フラグは設定しない。
【0145】
次に、制限機能設定部21cは、距離制限機能がオフに設定されたか否かを判断する(ステップS1103)。距離制限機能がオフに設定された場合には(ステップS1103でYes)、制限機能設定部21cは、距離制限機能をオンにするためのフラグを消去する(ステップS1104)。一方、距離制限機能がオフに設定されていない場合には(ステップS1103でNo)、フラグの消去は行わない。
【0146】
次に、制限機能設定部21cは、制限条件としての制限距離が変更されたか否かを判断する(ステップS1105)。制限距離が変更された場合には(ステップS1105でYes)、制限機能設定部21cは変更後の制限距離を記憶部24に記憶する(ステップS1106)。制限距離が変更されていない場合には(ステップS1105でNo)、制限条件の変更に関する処理は行わない。
【0147】
次に、制限機能設定部21cは、その他の設定処理を行う(ステップS1107)。その他の設定処理とは、制限距離以外の制限条件の設定又は変更の処理である。制限距離以外の制限条件としては、例えば、位置制限機能に関する制限条件が挙げられる。制限距離以外の制限条件の設定又は変更の処理が行われた場合には、制限機能設定部21cは、変更後の設定又は制限条件を記憶部24に記憶する。設定又は変更の処理が行われていない場合には、本ステップは省略することができる。
【0148】
次に、制限機能設定部21cは、設定モードが終了したか否かを判断する(ステップS1108)。設定モードが終了したと判断した場合には(ステップS1108でYes)、制御部21は、センター30と通信を確立する(ステップS1109)。通信の確立方法は、上述と同様にして行うことができる。また、既にセンター30との通信が確立されている場合には、本ステップは省略してもよい。
【0149】
そして、制御部21は、設定処理が終了した後の設定情報24cを記憶部24から読み出し、通信部23を介してセンター30に送信して(ステップS1110)、制限機能の設定処理及び制限条件の変更処理を終了する。一方、設定モードが終了していないと判断した場合には(ステップS1108でNo)、制限機能設定部21cは、再度、距離制限機能がオンに設定されたか否かの判断処理(ステップS1101)から同様の処理を実行する。
【0150】
<1−7.センターの処理>
次に、センター30の処理について説明する。図12図16は、センター30の処理を示すフローチャートである。まず、センター30が、遠隔始動装置10や携帯端末20と情報の送受信を行って遠隔始動を実行する処理について説明する。図12及び図13は、センター30の遠隔始動処理を示すフローチャートである。
【0151】
センター30は、遠隔始動装置10から接続要求があるか否かを判断する(ステップS1201)。この判断は、制御部31が、遠隔始動装置10から通信の接続要求のコマンドを受信したか否かを判断することにより行われる。制御部31は、遠隔始動装置10から接続要求があると判断した場合には(ステップS1201でYes)、接続可能な状態であれば接続を許可して遠隔始動装置10との通信を確立させる(ステップS1202)。一方、制御部31は、遠隔始動装置10から接続要求がないと判断した場合には(ステップS1201でNo)、通信確立に対応する処理は行わずに次の処理に進む。
【0152】
次に、制御部31は、遠隔始動装置10からデータを受信したか否かを判断する(ステップS1203)。具体的には、制御部31が、通信部32を介して受信したデータの有無や、送信元が遠隔始動装置10であるか否か等を判断する。
【0153】
制御部31は、遠隔始動装置10からデータを受信したと判断した場合には(ステップS1203でYes)、受信したデータを記憶部33に記憶する(ステップS1204)。そして、情報判別部31aは、受信データ33fに、イグニッションがオフに切り替わった際に取得した車両位置情報33b、即ち駐車開始時の車両位置情報が含まれているか否かを判断する(ステップS1205)。
【0154】
情報判別部31aが受信データ33fにイグニッションオフ時の車両位置情報33bが含まれていると判断した場合には(ステップS1205でYes)、制御部31は、その車両位置情報33bを、「イグニッションオフ時の車両位置情報33b」、すなわち駐車開始位置として記憶部33に記憶する(ステップS1206)。その際、情報判別部31aは車両位置情報が実際の駐車開始位置ではないことを示す情報が受信データに付加されているか確認し、付加されていればその情報を車両位置情報33bと併せて記憶する。なお、受信データ33fが未確定情報である場合には、その未確定情報を「イグニッションオフ時の車両位置情報33b」として記憶部33に記憶する。
【0155】
次に、情報判別部31aは、受信データ33fに、イグニッションがオンに切り替わった際に取得した車両位置情報33bが含まれているか否かを判断する(ステップS1207)。情報判別部31aが受信データ33fにイグニッションオン時の車両位置情報33bが含まれていると判断した場合には(ステップS1207でYes)、制御部31は、記憶部33に記憶していた「イグニッションオフ時の車両位置情報33b」を消去する(ステップS1208)。そして、制御部31は、次の処理へと進む(図12のE)。
【0156】
なお、制御部31は、遠隔始動装置10からデータを受信していないと判断すると(ステップS1203でNo)、これに対応する処理は行わずに次の処理へと進む(図12のE)。また、情報判別部31aが、受信データ33fにイグニッションオフ時の車両位置情報33bが含まれていないと判断した場合や(ステップS1205でNo)、受信データ33fにイグニッションオン時の車両位置情報33bが含まれていないと判断した場合(ステップS1207でN0)においても、これに対応する処理は行わず次の処理へと進む(図12のE)。
【0157】
次に、センター30は、携帯端末20から接続要求があるか否かを判断する(ステップS1301)。この判断は、制御部31が、携帯端末20から通信の接続要求のコマンドを受信したか否かを判断することにより行われる。制御部31は、携帯端末20から接続要求があると判断した場合には(ステップS1301でYes)、接続可能な状態であれば接続を許可して携帯端末20との通信を確立させる(ステップS1302)。一方、制御部31は、携帯端末20から接続要求がないと判断した場合には(ステップS1301でNo)、通信確立に対応する処理は行わずに次の処理に進む。
【0158】
次に、制御部31は、携帯端末20からデータを受信したか否かを判断する(ステップS1303)。具体的には、制御部31が、通信部32を介して受信したデータの有無や、送信元が携帯端末20であるか否か等を判断することにより行われる。
【0159】
制御部31は、携帯端末20からデータを受信したと判断した場合には(ステップS1303でYes)、受信したデータを記憶部33に記憶する(ステップS1304)。受信したデータには、携帯位置情報が含まれている。一方、制御部31は、携帯端末20からデータを受信していないと判断した場合には(ステップS1303でNo)、これに対応する処理は行わず遠隔始動処理を終了する。
【0160】
携帯端末20から受信したデータを記憶した後には、情報判別部31aは、受信データ33fに始動要求のコマンド33gが含まれているか否かを判断する(ステップS1305)。始動要求のコマンド33gが含まれていると判断した場合には(ステップS1305でYes)、制御部31は、始動処理を実行する(ステップS1306)。なお、始動処理の詳細については後述する。一方、情報判別部31aは、受信データ33fに始動要求のコマンド33gが含まれていないと判断した場合には(ステップS1305でNo)、始動に関する処理は行わずに次の処理に進む。
【0161】
次に、情報判別部31aは、受信データ33fに設定情報33dを変更する旨のデータが含まれているか否かを判断する(ステップS1307)。設定情報33dを変更する旨のデータが含まれていると判断した場合には(ステップS1307でYes)、制御部31は、受信したデータに基づいて設定情報33dを変更し、記憶部33に記憶する(ステップS1308)。すなわち、制御部31は、記憶部33に記憶されている設定情報33dを変更後の設定情報33dに書き換える処理を実行する。一方、情報判別部31aは、設定情報33dを変更する旨のデータが含まれていないと判断した場合には(ステップS1307でNo)、設定変更に関する処理は行わずに次の処理に進む。
【0162】
次に、制御部31は、その他機能の制御を実行する(ステップS1309)。具体的には、まず、情報判別部31aが、受信データ33fに、その他のコマンド33gが含まれているか否かを判断する。そして、情報判別部31aが、その他のコマンド33gが含まれていると判断した場合には、制御部31は、当該コマンド33gに対応する処理を実行する。これに対して、情報判別部31aが、その他のコマンド33gが含まれていないと判断した場合には、制御部31は処理を実行しない。そして、センター30は遠隔始動処理を終了する。
【0163】
次に、制御部31が実行する始動処理(ステップS1306)について説明する。図14図16は、制御部31の始動処理を示すフローチャートである。
【0164】
制御部31は、始動処理を開始すると、まず、車両位置情報を取得しているか否かを判断する(ステップS1401)。本実施の形態においては、遠隔始動装置10において制限モードがオンに設定されている状態で、車両の駐車位置が制限区域内に存在する場合には、車両位置情報の送信処理を禁止しているため、センター30は車両位置情報を取得していない可能性がある。したがって、制御部31は、ステップS1401にて遠隔始動装置10から駐車開始時の車両位置情報の取得の有無を判断している。
【0165】
制御部31は、車両位置情報を取得していると判断した場合には(ステップS1401でYes)、遠隔始動装置10との通信処理は行わず、その後の始動処理に進む。一方、制御部31は、車両位置情報を取得していないと判断した場合には(ステップS1401でNo)、始動処理を進めるために車両位置情報を取得する処理を実行する。まず、制御部31は、通信部32を介して遠隔始動装置10に対して通信の接続要求のコマンドを送信し、遠隔始動装置10との通信を確立する(ステップS1402)。
【0166】
そして、通信が確立されると、制御部31は、通信部32を介して遠隔始動装置10から送信された車両位置情報と車両情報とを取得する(ステップS1403)。この場合に受信した車両位置情報は、図8のステップS803で送信される車両位置情報であり、遠隔始動要求時の駐車位置である。すなわち、遠隔始動装置10は、イグニッションがオフの間は待機状態となっており、通信部13のみが起動している。そして、センター30と通信が確立すると、制御部11や位置情報取得部12を起動させて車両位置情報を取得し、センター30に送信するようになっている。取得した車両位置情報は記憶部33に車両位置情報33b(すなわち、駐車開始位置)として記憶される。
【0167】
このように、本実施の形態では、制限モードがオンに設定されている状態で車両の駐車位置が制限区域内である場合には、遠隔始動装置10は車両位置情報をセンター30に送信する処理を禁止する構成となっているが、ユーザが始動要求をした場合には、センター30は始動要求の送信可否を判断する必要があるため、この場合には遠隔始動装置10に対して通信を行い、車両情報の送信を要求する構成となっている。
【0168】
なお、センター30が携帯端末20から始動要求を受けたときに駐車開始位置を取得できていないということは、駐車位置が制限区域内にあるか、あるいは遠隔始動装置10が通信圏外にあって車両位置情報を送信できない場合であると考えられる。いずれの場合もセンター30から遠隔始動装置10に対して始動要求を送信することは望ましくないため、駐車開始位置を取得できていない場合は、遠隔始動装置10と通信を確立して車両情報の送信を要求することなく始動要求の送信を禁止するようにしてもよい。その場合、ステップS1402、S1403の代わりに遠隔始動を中止する旨を携帯端末20に通知することが望ましい。これにより、遠隔始動装置10とセンター30間の通信費用を更に抑えることができる。
【0169】
車両位置情報を取得すると、始動制限部31bは、距離制限機能がオンであるか否かを判断する(ステップS1404)。センター30の記憶部33には、設定情報33dとして距離制限機能がオンに初期設定されているが、携帯端末20側で距離制限機能をオン又はオフにして、その情報が設定情報としてセンター30に送信されている場合には、設定情報33dがその設定情報に書き換えられる。始動制限部31bは、記憶されている設定情報33dを参照することで距離制限機能のオン又はオフの状態を判断することができる。
【0170】
距離制限機能がオンでないと判断された場合には(ステップS1404でNo)、制御部31は次の始動処理に進む(図14のF)。これに対して、距離制限機能がオンであると判断された場合には(ステップS1404でYes)、始動制限部31bは、携帯端末20と車両との距離が制限距離以下であるか否かを判断する(ステップS1405)。具体的には、始動制限部31bは、記憶部33に記憶されている始動要求時の携帯位置情報33cと、イグニッションオフ時(駐車開始時)の車両位置情報33bとを比較して、携帯端末20と車両との距離を算出する。そして、始動制限部31bは、記憶部33に記憶されている設定情報33dから制限距離を読み出して、算出した距離と制限距離とを比較する。
【0171】
始動制限部31bは、比較の結果、算出した距離が制限距離以下であると判断した場合には(ステップS1405でYes)、次の始動処理に進む(図14のF)。一方、算出した距離が制限距離以下でないと判断した場合には(ステップS1405でNo)、制御部31は、始動処理を継続するか否かを確認する処理に進む(ステップS1406)。具体的には、制御部31は、始動要求時の携帯端末20と駐車開始時の車両との距離が制限距離を越えている旨の情報と、始動処理を継続するか否かを確認するための問い合わせ情報とを、通信部32を介して携帯端末20に送信する。
【0172】
そして、制御部31は、携帯端末20から問い合わせに対する回答を受信したか否かを監視する(ステップS1407)。制御部31は、携帯端末20から回答を受信していないと判断した場合には(ステップS1407でNo)、回答を受信するまで監視を繰り返す。一方、制御部31は、携帯端末20から回答を受信したと判断した場合には(ステップS1407でYes)、回答内容が始動処理の継続を許可するものであるか否かを判断する(ステップS1408)。
【0173】
制御部31は、携帯端末20からの回答が、始動処理の継続を許可する旨の内容であると判断した場合には(ステップS1408でYes)、次の始動処理に進む(図14のF)。一方、制御部31は、携帯端末20からの回答が、始動処理の継続を許可しない旨の内容であると判断した場合には(ステップS1408でNo)、始動処理を中止してその旨を携帯端末20に送信し(ステップS1409)、遠隔始動処理を終了する(図14のG)。
【0174】
なお、制御部31は、算出した距離が制限距離以下でないと判断した場合に、始動処理の継続可否の確認を行うことなく始動処理を中止してもよい。この場合においても、制御部31は、始動処理を中止した旨を携帯端末20に送信する処理を行う。すなわち、処理ステップS1405でNoの場合に、次に処理ステップS1409の処理を実行することとなる。
【0175】
次に、位置判断部31cは、車両がアイドル放置禁止区域内に存在しているか否かを判断する(ステップS1501)。上述のように、アイドル放置禁止区域は、記憶部33に記憶されている地図情報33eに含まれている。位置判断部31cは、記憶部33から車両位置情報33b(すなわち、駐車開始位置)と、地図情報33eに含まれているアイドル放置禁止区域とを読み出して、これら車両位置情報33bとアイドル放置禁止区域とを比較し、車両の駐車開始位置がアイドル放置禁止区域内にあるか否かを判断する。車両の駐車開始位置がアイドル放置禁止区域内にあると判断された場合(ステップS1501でYes)、遠隔始動を行ってアイドル状態を保つことは禁止されているため、制御部31は、始動可否を携帯端末20に確認することなく始動処理を中止してその旨を携帯端末20に送信し(ステップS1502)、遠隔始動処理を終了する(図15のG)。
【0176】
一方、車両の駐車開始位置がアイドル放置禁止区域内にないと判断された場合(ステップS1501でNo)、位置判断部31cは、車両の駐車開始位置が特定地域内にあるか否かを判断する(ステップS1503)。具体的には、位置判断部31cは、記憶部33から車両位置情報33b(すなわち、駐車開始位置)と、地図情報33eに含まれている特定地域とを読み出して、これら車両位置情報33bと特定地域とを比較し、車両の駐車開始位置が特定地域内にあるか否かを判断する。
【0177】
車両の駐車開始位置が特定地域内にないと判断された場合には(ステップS1503でNo)、制御部31は、次の始動処理に進む(図15のH)。一方、車両の駐車開始位置が特定地域内にあると判断された場合には(ステップS1503でYes)、制御部31は、始動処理を継続するか否かを確認する処理に進む(ステップS1504)。具体的には、制御部31は、車両の駐車開始位置が特定地域内にある旨の情報と、始動処理を継続するか否かを確認するための問い合わせ情報とを、通信部32を介して携帯端末20に送信する。
【0178】
そして、制御部31は、携帯端末20から問い合わせに対する回答を受信したか否かを監視する(ステップS1505)。制御部31は、携帯端末20から回答を受信していないと判断した場合には(ステップS1505でNo)、回答を受信するまで監視を繰り返す。一方、制御部31は、携帯端末20から回答を受信したと判断した場合には(ステップS1505でYes)、回答内容が始動処理の継続を許可するものであるか否かを判断する(ステップS1506)。
【0179】
制御部31は、携帯端末20からの回答が、始動処理の継続を許可する旨の内容であると判断した場合には(ステップS1506でYes)、次の始動処理に進む(図15のH)。一方、制御部31は、携帯端末20からの回答が、始動処理の継続を許可しない旨の内容であると判断した場合には(ステップS1506でNo)、始動処理を中止してその旨を携帯端末20に送信し(ステップS1507)、遠隔始動処理を終了する(図15のG)。
【0180】
なお、制御部31は、車両の駐車開始位置が特定地域内にあると判断された場合に、始動処理の継続可否の確認を行うことなく始動処理を中止してもよい。この場合においても、制御部31は、始動処理を中止した旨を携帯端末20に送信する処理を行う。すなわち、処理ステップS1503でYesの場合に、次に処理ステップS1507の処理を実行することとなる。
【0181】
次に、制御部31は、通信部32を介して遠隔始動装置10に対して通信の接続要求のコマンドを送信し、遠隔始動装置10との通信を確立する(ステップS1601)。通信が確立されると、制御部31は、通信部32を介して遠隔始動装置10から送信された車両位置情報と車両情報とを受信する(ステップS1602)。この場合に受信した車両位置情報は、図8のステップS803で送信される車両位置情報であり、遠隔始動要求時の駐車位置である。すなわち、遠隔始動装置10は、イグニッションがオフの間は待機状態となっており、通信部13のみが起動している。そして、センター30と通信が確立すると、制御部11や位置情報取得部12を起動させて車両位置情報を取得し、センター30に送信するようになっている。
【0182】
なお、ステップS1401にて車両位置情報を取得していないと判断した場合には、遠隔始動装置10と通信を確立して車両位置情報を取得する処理を実行している。すなわち、ステップS1401がNoの場合には、ステップS1402およびS1403を実行していることから、ステップS1601の時点では、遠隔始動装置10と通信が確立された状態であり、車両位置情報も取得済みである。したがって、ステップS1401がYesの場合には、ステップS1601およびS1602の処理を実行する必要があるが、ステップS1401がNoの場合には、ステップS1601の処理は実行する必要はなく、ステップS1602の処理は実行してもよいし、しなくてもよい。
【0183】
次に、始動制限部31bは、位置制御機能がオンであるか否かを判断する(ステップS1603)。センター30の記憶部33には設定情報33dとして位置制限機能がオンに初期設定されているが、携帯端末20側で位置制限機能をオン又はオフにして、その情報が設定情報としてセンター30に送信されている場合には、設定情報33dがその設定情報に書き換えられる。始動制限部31bは、記憶されている設定情報33dを参照することで位置制限機能のオン又はオフの状態を判断することができる。
【0184】
位置制限機能がオンでないと判断された場合には(ステップS1603でNo)、始動指示部31dが始動要求のコマンドを遠隔始動装置10に送信し(ステップS1609)、遠隔始動処理を終了する。これに対して、位置制限機能がオンであると判断された場合には(ステップS1603でYes)、始動制限部31bは、駐車開始時の車両の位置(駐車開始位置)とステップS1602で受信した遠隔始動要求時の駐車位置とが同じであるか否かを判断する(ステップS1604)。具体的には、始動制限部31bは、記憶部33に記憶されているイグニッションオフ時の車両位置情報33b(すなわち、駐車開始位置)と、ステップS1502で受信した車両位置情報33b(すなわち、始動要求時の駐車位置)とを比較して、互いの位置の異同を判断する。
【0185】
始動制限部31bは、駐車開始時の車両位置情報と始動要求時の車両位置情報とが同じである場合には、互いの位置は同じであると判断する。また、駐車開始時の車両位置情報と始動要求時の車両位置情報とが異なる場合、あるいは両者のいずれかが未確定情報である場合には、互いの位置は異なると判断する。さらに、駐車開始時の車両位置情報と始動要求時の車両位置情報との双方が未確定情報である場合には、互いの位置は同じであると判断する。
【0186】
そして、始動制限部31bは、記憶部33に記憶されている設定情報33dに含まれている制限条件を読み出して、互いの位置の異同と制限条件とを比較する。本実施の形態においては、制限条件として、互いの位置が同じ場合には始動を許可し、異なる場合には始動処理の継続可否を確認する旨の条件とする。
【0187】
比較の結果、互いの位置が同じであると判断された場合には(ステップS1604でYes)、始動指示部31dが始動要求のコマンドを遠隔始動装置10に送信し(ステップS1609)、遠隔始動処理を終了する。互いの位置が同じであるということは、車両が駐車を開始した位置と現在の車両の位置とが同じであることを示しており、ユーザの意思に反して車両が移動していることはないと判断できるためである。
【0188】
一方、互いの位置が異なると判断された場合には(ステップS1604でNo)、制御部31は、始動処理を継続するか否かを確認する処理に進む(ステップS1605)。具体的には、制御部31は、駐車開始時の車両の位置と始動要求時の車両の位置とが異なる旨の情報と、始動処理を継続するか否かを確認するための問い合わせ情報とを、通信部32を介して携帯端末20に送信する。互いの位置が異なるということは、車両が駐車を開始した位置と現在の車両の位置とが異なることを示しており、例えば、盗難やレッカー移動等のユーザの意思に反して車両が移動している可能性が考えられるためである。
【0189】
そして、制御部31は、携帯端末20から問い合わせに対する回答を受信したか否かを監視する(ステップS1606)。制御部31は、携帯端末20から回答を受信していないと判断した場合には(ステップS1606でNo)、回答を受信するまで監視を繰り返す。一方、制御部31は、携帯端末20から回答を受信したと判断した場合には(ステップS1606でYes)、回答内容が始動処理の継続を許可するものであるか否かを判断する(ステップS1607)。
【0190】
携帯端末20からの回答が、始動処理の継続を許可する旨の内容であると判断された場合には(ステップS1607でYes)、始動指示部31dが始動要求のコマンドを遠隔始動装置10に送信し(ステップS1609)、遠隔始動処理を終了する。一方、携帯端末20からの回答が、始動処理の継続を許可しない旨の内容であると判断された場合には(ステップS1607でNo)、制御部31は、始動処理を中止してその旨を携帯端末20に送信し(ステップS1608)、遠隔始動処理を終了する(図16のG)。
【0191】
なお、制御部31は、互いの位置が異なると判断した場合に、始動処理の継続の確認を行うことなく始動処理を中止してもよい。この場合においても、制御部31は、始動処理を中止した旨を携帯端末20に送信する処理を行う。すなわち、処理ステップS1604でNoの場合に、次に処理ステップS1608の処理を実行することとなる。
【0192】
なお、遠隔始動装置10との通信の切断については、センター30と遠隔始動装置10との間で必要なデータの送受信が完了した場合にセンター30が自動的に通信を切断する。例えば、遠隔始動装置10から接続要求があった場合(ステップS1201)は、遠隔始動装置10からデータを受信すれば制御部31が遠隔始動装置10との通信を切断する。また、センター30から遠隔始動装置10に対して通信を確立する場合は、制御部31が始動要求コマンドの送信(ステップS1609)等、コマンド送信に対して遠隔始動装置10からの一連の応答が完了したと判断した場合に通信を自動的に切断する。遠隔始動装置10からの一連の応答が完了した場合とは、始動完了情報や始動時の時間情報を受信した場合等である。
【0193】
以上のセンター30での遠隔始動処理によれば、距離制限機能(ステップS1401〜S1409)、アイドル放置禁止区域や特定地域での制限機能(ステップS1501〜S1507)については、イグニッションオフ時に受信した車両位置情報を用いて遠隔始動の可否を判断し、可の場合にのみ遠隔始動装置10と通信を確立して始動要求のコマンドを送信しているため、携帯端末20から遠隔始動要求を受けるたびに遠隔始動装置10と通信を確立する必要がなく、通信料を削減することができる。
【0194】
また、位置制限機能(ステップS1603〜S1608)については、駐車開始時および始動要求時の車両の位置が異なる場合、すなわち始動することが適切でない場合には始動を制限するため、無駄な始動を回避することができる。
【0195】
また、遠隔始動装置10で制限モードがオンに設定されているときは、駐車位置がアイドル放置禁止区域や特定地域内にある場合に駐車開始時の車両位置情報の送信が禁止されるため、より一層通信料を削減することができる。
【0196】
なお、上記の実施の形態では、遠隔始動装置10に駐車開始時の車両位置情報の送信を制限する制限モード(図6ステップS607)を設け、制限モードがオンの場合に駐車位置が制限区域内にあるか否かに応じて車両位置情報の送信を制限する例を示したが、制限モードはなくてもよい。この場合、駐車位置が制限区域内にあれば遠隔始動装置10からセンター30への車両位置情報の送信が完全に禁止される。
【0197】
また、上記実施の形態では、センター30が実行する遠隔始動処理として、距離制限機能に基づく始動処理と、アイドル放置禁止区域及び特定地域の判断に基づく始動処理と、位置制限機能に基づく始動処理とを説明したが、これら全てを実行する必要はなく、1つ以上の始動処理を単独又は適宜組み合わせて実行すればよい。
【0198】
また、車両の駐車開始位置が実際の駐車開始位置ではないことを示す情報が付加されている場合は、制限機能に制限をかけてもよい。例えば、ステップS1503での駐車開始位置が特定地域であるか否かの判断については、特定地域が高速道路のサービスエリアやパーキングエリア、コンビニエンスストアの駐車場等の比較的狭い範囲を対象としているため、駐車開始位置として記憶されている車両位置情報33bが実際の駐車開始位置と異なっているのであれば、実際の駐車開始位置が特定地域にない可能性がある。そのため、車両の駐車開始位置が実際の駐車開始位置ではないことを示す情報が付加されている場合は、ステップS1503〜S1507の特定地域制限機能を無効としてもよい。他の制限機能についても同様である。
【0199】
また、上記実施の形態では、駐車開始情報をイグニッションのオフ情報とし、イグニッションのオフ時に駐車開始と判断して車両位置情報をセンターに送信するようにしたが、駐車開始の判断はこれに限定されるものではなく、駐車開始を判断できる情報であれば他の車両情報を用いてもよい。例えば、原動機がエンジンの場合、エンジン回転数によりエンジンが停止したことをもって駐車開始と判断してもよく、またキーレスエントリー装置を備える場合、キーレスエントリー装置によりドアがロックされたことをもって駐車開始と判断してもよい。要は、駐車開始を判断して車両位置情報を送信すればよい。
【0200】
<2.第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態について説明する。第1の実施の形態では、車両の駐車開始時に車両位置情報を取得できない場合には、取得できた最新の車両位置情報を駐車開始位置としてセンター30に送信する構成としていた。ただし、車両位置情報が取得できない状態で車両が走行し続けている場合には、実際の駐車開始位置と、センター30に送信した駐車開始位置とが離れすぎてしまう可能性もある。
【0201】
このため、第2の実施の形態では、車両位置情報が取得できなくなってから車両が走行した時間や距離などに基づいて、取得できた最新の車両位置情報を送信するか否かを判断する構成としている。以下、第1の実施の形態と相違する点を中心に説明する。
【0202】
<2−1.システムの概要>
第2の実施の形態に係る遠隔始動システム100は、図1に示す遠隔始動システムの概要と同様の構成である。また、第2の実施の形態に係る携帯端末20、および、センター30の構成と処理についても第1の実施の形態と同様である。第2の実施の形態では、遠隔始動装置の構成および処理の一部が第1の実施の形態と異なる。このため、以下では、遠隔始動装置の構成および処理について第1の実施の形態と相違する点を中心に説明する。
【0203】
<2−2.遠隔始動装置の構成>
まず、第2の実施の形態に係る遠隔始動装置15の構成について説明する。図17は、遠隔始動装置15の概要を示すブロック図である。図17に示すように、遠隔始動装置15は、制御部11と、位置情報取得部12と、通信部13と、記憶部14とを備えている。
【0204】
制御部11は、車両情報取得部11aと、情報判別部11bと、始動制御部11cと、時間計測部11dと、距離計測部11eと、通信制限部11fとを備えている。時間計測部11d、距離計測部11eおよび通信制限部11f以外の各構成は、第1の実施の形態と同様の構成である。このため、以下では、時間計測部11dと、距離計測部11eと、通信制限部11fとの構成について説明し、他の構成の説明は省略する。
【0205】
時間計測部11dは、時間の経過を計測する。例えば、遠隔始動にて原動機を駆動する時間を予め決めていた場合には、時間計測部11dは、始動からの経過時間を計測し、所定の時間に到達したか否かを判断する。また、時間計測部11dは、時刻を計測することも可能になっており、例えば、始動した時刻を計測しておくこともできる。また、時間計測部11dは、車両の走行時間を計測する処理も実行する。時間計測部11dが計測した走行時間は、走行時間の情報14eとして記憶部14に記憶される。
【0206】
距離計測部11eは、車両の走行距離を計測する。距離計測部11eは、車両情報取得部11aが取得した車速センサや舵角センサといった車両情報に基づいて、車両が走行した距離を計測する。距離計測部11eが計測した走行距離は、走行距離の情報14eとして記憶部14に記憶される。
【0207】
通信制限部11fは、センター30への情報の送信を制限する。具体的には、通信制限部11fは、センター30に対して情報を送信する際に、種々の条件に基づいて送信の可否を判断し、送信しないと判断した場合には送信を制限するものである。例えば、車両の走行距離や走行時間に基づいた車両位置情報の送信可否の判断を行う。
【0208】
位置情報取得部12および通信部13は、第1の実施の形態と同様の構成である。
【0209】
記憶部14は、プログラム14aと、車両位置情報14bと、車両情報14cと、データ14dと、距離・時間情報14eとを記憶している。本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様の記憶媒体を記憶部14として用いることができる。また、プログラム14aおよび車両位置情報14bも第1の実施の形態と同様である。
【0210】
なお、本実施の形態では、車両情報14cとして、車両の走行時間や走行距離の情報が含まれている。また、距離・時間情報14eには、上述した走行距離や走行時間の情報と、通信制限部11fが走行距離や走行時間に基づいて通信を制限する際に用いる所定距離や所定時間の情報とが含まれる。
【0211】
<2−3.遠隔始動装置の処理>
次に、遠隔始動装置15の処理について説明する。図18図20は、遠隔始動装置15の処理を示すフローチャートである。第2の実施の形態においても、遠隔始動装置15は、車両のイグニッションがオンしている間は、定期的に車両位置情報を取得している。このため、遠隔始動装置15が車両位置情報を取得する処理について説明する。図18は、遠隔始動装置15が車両位置情報を取得する処理を示すフローチャートである。
【0212】
まず、位置情報取得部12が、車両位置情報を取得する処理を実行する(ステップS1801)。そして、位置情報取得部12は、車両位置情報の取得処理を実行した後に、実際に車両位置情報を取得できたか否かを判断する(ステップS1802)。これら各処理は、上述のステップS501およびステップS502と同様の処理である。
【0213】
次に、位置情報取得部12は、車両位置情報を取得できたと判断した場合には(ステップS1802でYes)、取得した車両情報を記憶部14に記憶する(ステップS1803)。次いで、位置情報取得部12は、記憶部14に走行距離や走行時間の情報14eが記憶されている場合には、これらの情報を消去する(ステップS1804)。この処理は、後述するように、車両位置情報が取得できない場合には走行距離や走行時間の情報14eを記憶するようになっており、その後に車両位置情報が取得できた場合にはこれらの情報は不要となるため、記憶されている走行距離や走行時間の情報14eを消去する処理である。そして、車両位置情報を取得する処理を終了し、次に車両位置情報を取得するタイミングでステップS1801の処理から実行する。
【0214】
一方、位置情報取得部12が、車両位置情報を取得できないと判断した場合には(ステップS1802でNo)、距離計測部11eが、車両の走行距離を計測する処理を実行する(ステップS1805)。具体的には、車両情報取得部11aが、車速センサや舵角センサ等の車両情報を取得し、距離計測部11eは、これら各車両情報に基づいて車両が走行した距離を計測する。
【0215】
特に、本実施の形態では、距離計測部11eは、位置情報取得部12が車両位置情報を取得できないと判断した時点から、車両情報取得部11aが車両の駐車開始を判断した時点までに、車両が走行した距離を計測するようになっている。つまり、距離計測部11eは、車両の走行中に位置情報が取得できなくなると、その時点から車両を駐車するまでの走行距離を計測している。そして、距離計測部11eは、計測した走行距離の情報14eを記憶部14に記憶する(ステップS1806)。
【0216】
次に、時間計測部11dが、車両の走行時間を計測する(ステップS1807)。本実施の形態では、時間計測部11dは、位置情報取得部12が車両位置情報を取得できないと判断した時点から、車両情報取得部11aが車両の駐車開始を判断した時点までの時間を計測するようになっている。つまり、走行時間の計測処理においても、車両の走行中に位置情報が取得できなくなると、その時点から車両を駐車するまでの走行時間を計測している。そして、時間計測部11dは、計測した走行時間の情報を記憶部14に記憶して(ステップS1808)、処理を終了する。
【0217】
そして、遠隔始動装置15は、以降の車両位置情報を取得するタイミングにおいても同様の処理を実行し、これを定期的に繰り返す。したがって、走行中に車両位置情報が取得できない状態が続くと、記憶部14に記憶されている車両位置情報は、取得できなくなる直前の車両位置情報(直前位置情報)を示すことになる。なお、走行距離を計測する処理(ステップS1805、S1806)と、走行時間を計測する処理(ステップS1807、S1808)は逆の順序で実行してもよく、同時に実行してもよい。
【0218】
また、本実施の形態においても、イグニッションを手動でオンまたはオフに切り替えた場合、遠隔始動装置15は、その切り替えに連動して車両位置情報と車両情報とをセンター30に送信する処理を実行する。そこで、遠隔始動装置15が、車両位置情報と車両情報とを送信する処理について説明する。図19および図20は、遠隔始動装置15が、車両位置情報と車両情報とをセンター30に送信する処理を示すフローチャートである。
【0219】
まず、車両情報取得部11aが、手動にてイグニッションがオンの状態からオフの状態に切り替わったか否かを検出する(ステップS1901)。この処理は、上述したステップS601と同様の処理である。車両情報取得部11aは、イグニッションがオンからオフに切り替わったことを検出しなかった場合には(ステップS1901でNo)、次の処理に進む(図19のI)。
【0220】
一方、車両情報取得部11aが、イグニッションがオンからオフに切り替わったことを検出すると(ステップS1901でYes)、すなわち、車両の駐車開始が検出されると、位置情報取得部12は、駐車開始時の車両位置情報が取得できているか否かを判断する。この判断は上述したステップS602と同様にして行うことができる。
【0221】
次に、位置情報取得部12が駐車開始時の車両位置情報を取得していると判断した場合には(ステップS1902でYes)、制御部11はセンター30との通信を確立させる(ステップS1903)。そして、通信部13は、センター30との通信が可能な通信圏内にあるか否かを判断する(ステップS1904)。通信部13は、通信圏内にあると判断した場合には(ステップS1904でYes)、駐車開始時の車両位置情報と車両情報とをセンター30に送信して(ステップS1905)、次の処理に進む(図19のI)。一方、通信部13は、通信圏内にないと判断した場合には(ステップS1904でNo)、再度通信圏内にあるか否かを判断する。これらステップS1903〜S1905の処理は、上述したステップS701〜S703と同様の処理である。
【0222】
一方、位置情報取得部12が駐車開始時の車両位置情報を取得していないと判断した場合には(ステップS1902でNo)、通信制限部11fが、直前位置情報を送信するか否かを判定する処理を実行する。
【0223】
具体的には、通信制限部11fは、走行距離が所定距離以下であるか否かを判断する(ステップS1906)。すなわち、通信制限部11fは、記憶部14に記憶されている走行距離の情報14eと、予め定められた所定距離の情報14eとを読み出して、これらを比較することによって、走行距離が所定距離以下であるか否かを判断する。所定距離とは、直前位置情報を駐車開始位置の情報として扱うことができる範囲の距離であり、本実施の形態では500mとしている。ただし、これに限定されるものではなく適宜設定可能である。
【0224】
通信制限部11fは、走行距離が所定距離(500m)を超えていると判断した場合には(ステップS1906でNo)、走行距離の条件を満たさず、直前位置情報の送信は不可であると判断する。
【0225】
次に、通信制限部11fは、走行時間が所定時間以内であるか否かを判断する(ステップS1907)。すなわち、通信制限部11fは、記憶部14に記憶されている走行時間の情報14eと、予め定められた所定時間の情報14eとを読み出して、これらを比較することによって、走行時間が所定時間以内であるか否かを判断する。所定時間とは、直前位置情報を駐車開始位置の情報として扱うことができる範囲の時間であり、本実施の形態では5分としている。ただし、この場合もこれに限定されるものではなく適宜設定可能である。
【0226】
通信制限部11fは、走行時間が所定時間(5分)を超えていると判断した場合には(ステップS1907でNo)、走行時間の条件を満たさず、直前位置情報の送信は不可であると判断する。
【0227】
次いで、制御部11は、センター30との通信を確立させる(ステップS1908)。そして、位置情報取得部12が取得した未確定情報を、通信部13を介してセンター30に送信して(ステップS1909)、次の処理に進む(図19のI)。このように、走行距離と走行時間とが長い場合には、直前位置情報を駐車開始位置の情報として扱うことはできないため、駐車開始時の車両位置情報が取得できないことを示す未確定情報を送信することとしている。なお、センター30との通信の確立の方法は上述と同様にして行うことができる。また、通信を確立した後には、ステップS1904と同様に通信圏内であるか否かの判断処理を実行してもよい。
【0228】
一方、通信制限部11fは、走行距離が所定距離(500m)以下であると判断した場合には(ステップS1906でYes)、走行距離の条件を満たすため、直前位置情報の送信は可能と判断する。そして、制御部11は、センター30との通信を確立させる(ステップS1910)。その後、制御部11は、直前位置情報を記憶部14から読み出して、駐車開始時の車両位置情報としてセンター30に送信して(ステップS1911)、次の処理に進む(図19のI)。センター30への送信処理の際は、車両位置情報が実際の駐車開始位置ではないことを示す情報も付加して送信する。また、他の車両情報を付加して送信してもよい。
【0229】
また、通信制限部11fは、走行時間が所定距離(5分)以内であると判断した場合においても(ステップS1907でYes)、走行時間の条件を満たすため、直前位置情報の送信は可能と判断する。そして、制御部11は、センター30との通信を確立させ(ステップS1910)、直前位置情報を記憶部14から読み出して、駐車開始時の車両位置情報としてセンター30に送信して(ステップS1911)、次の処理に進む(図19のI)。なお、この送信処理においても、車両位置情報が実際の駐車開始位置ではないことを示す情報を付加して送信する。また、他の車両情報を付加して送信してもよい。
【0230】
すなわち、遠隔始動装置15は、走行距離または走行時間のいずれか一方が、所定の値よりも小さい場合には、直前位置情報を駐車開始位置の情報として扱い、センター30に送信する。
【0231】
このような処理をすることで、第1の実施の形態と同様に、センター30は、駐車開始時の車両位置情報が取得できた場合には、正確な駐車開始位置を取得することができ、駐車開始時の車両位置情報が取得できなかった場合には、おおよその駐車開始位置を取得することができる。また、第1の実施の形態で得られる効果に加えて、本実施の形態では、おおよその駐車開始位置が、実際の駐車開始位置から一定の範囲内にある場合にのみ車両位置情報を送信するため、駐車開始時の車両位置情報が取得できない場合であってもより近い位置情報を取得することが可能となる。
【0232】
なお、ステップS1908およびS1910におけるセンター30との通信の確立の方法も上述と同様にして行うことができる。また、通信を確立した後に、ステップS1904と同様に通信圏内にあるか否かの判断処理を実行してもよい。また、走行距離に基づいて送信可否を判断する処理(ステップS1906)と、走行時間に基づいて送信可否を判断する処理(ステップS1907)は逆の順序で実行してもよく、同時に実行してもよい。
【0233】
次に、車両情報取得部11aが手動にてイグニッションがオフの状態からオンの状態に切り替わったか否かを検出する(ステップS2001)。車両情報取得部11aは、イグニッションがオフからオンに切り替わったことを検出しなかった場合には(ステップS2001でNo)、何も処理を行わずに終了する。一方、車両情報取得部11aが、イグニッションがオフからオンに切り替わったことを検出すると(ステップS2001でYes)、駐車が終了されると判断して、制御部11はセンター30との通信を確立させる(ステップS2002)。
【0234】
通信が確立すると、通信部13は、センター30との通信が可能な通信圏内であるか否かを定期的に判断する(ステップS2003)。通信部13は、通信圏内にないと判断した場合には(ステップS2003でNo)、再度通信圏内にあるか否かを判断する。一方、通信部13は、通信圏内にあると判断した場合には(ステップS2003でYes)、車両位置情報と車両情報をセンター30に送信して(ステップS2004)、処理を終了する。これらステップS2001〜S2004の処理は、上述したステップS704〜S707と同様の処理である。
【0235】
また、上記各実施の形態では、プログラムに従ったCPUの演算処理によってソフトウェア的に各種の機能が実現されると説明したが、これら機能のうちの一部は電気的なハードウェア回路により実現されてもよい。また逆に、ハードウェア回路によって実現されるとした機能のうちの一部は、ソフトウェア的に実現されてもよい。また、上記実施の形態で説明した各処理は適宜に組み合わせ可能である。
【符号の説明】
【0236】
10・15 遠隔始動装置
11・21・31 制御部
12・22 位置情報取得部
13・23・32 通信部
14・24・33 記憶部
20 携帯端末
30 センター
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