特許第5879114号(P5879114)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5879114
(24)【登録日】2016年2月5日
(45)【発行日】2016年3月8日
(54)【発明の名称】車軸及び車軸の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B60G 9/04 20060101AFI20160223BHJP
【FI】
   B60G9/04
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-272406(P2011-272406)
(22)【出願日】2011年12月13日
(65)【公開番号】特開2013-123944(P2013-123944A)
(43)【公開日】2013年6月24日
【審査請求日】2014年9月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003908
【氏名又は名称】UDトラックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075513
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 政喜
(74)【代理人】
【識別番号】100114236
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 正弘
(74)【代理人】
【識別番号】100120260
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅昭
(74)【代理人】
【識別番号】100137604
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 淳
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 純一
(72)【発明者】
【氏名】原島 崇昭
(72)【発明者】
【氏名】西村 州平
(72)【発明者】
【氏名】加藤 恵美子
【審査官】 平野 貴也
(56)【参考文献】
【文献】 実開平05−032240(JP,U)
【文献】 特開2008−162507(JP,A)
【文献】 特開2011−133033(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60G 1/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フレームに懸架され、駆動源からの回転力を車輪に伝達する車軸であって、
前記車軸の外形を成す車軸ケースと、
前記車軸ケースに接合され、前記車体フレームから延設されるトルクロッドが連結されるブラケットと、
前記車軸ケースと前記ブラケットとを接合する溶接部と、
を備え、
前記車軸ケースには、前記車軸ケースの外面側に接合され、外側に突設して設けられる円柱部が備えられ、
前記ブラケットには、前記円柱部が挿入される挿入穴が形成され、
前記ブラケットは、前記挿入穴に前記円柱部が挿入されていることを特徴とする車軸。
【請求項2】
前記車軸ケースには、前記車軸ケースの軸方向の中間部で外側に膨出され、差動ギアが収装される膨出部が形成され、
前記円柱部は、前記膨出部から突設して設けられることを特徴とする請求項1に記載の車軸。
【請求項3】
前記円柱部は、前記車軸ケースに穿設された円柱部穴に挿通されて固定されることを特徴とする請求項1又は2に記載の車軸。
【請求項4】
前記車軸ケースには、前記円柱部が複数備えられ
前記ブラケットには、複数の前記円柱部が挿入される挿入穴が複数形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の車軸。
【請求項5】
車体フレームに懸架され、駆動源からの回転力を車輪に伝達する車軸の製造方法であって、
前記車軸は、前記車軸の外形を成す車軸ケースと、前記車軸ケースに接合され、前記車体フレームから延設されるトルクロッドが連結されるブラケットと、前記車軸ケースと前記ブラケットとを接合する溶接部と、を備え、
前記車軸の製造方法は、
前記ブラケットに形成された挿入穴に、前記車軸ケースの外面側に接合されて外側に突設して設けられる円柱部を挿入する工程と、
前記挿入穴に前記円柱部が挿入された状態で、前記溶接部において前記ブラケットを溶接によって前記車軸ケースに接合する工程と、
を含むことを特徴とする車軸の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体フレームに懸架される車軸に関する。
【背景技術】
【0002】
大型トラック等の車両において、駆動力を車輪に伝達する車軸は、バネ部品と共にいくつかのアームやロッドを介して車体フレームに懸架される。
【0003】
大型トラック等の車軸において、車体フレームとの位置決め及び揺動の抑制のため、車体フレームの左右側からそれぞれ延びるトルクロッド(Vロッド)を、車軸中央付近に形成される作動ギアを収装する膨出部の上部に設けたブラケットに連結する構造が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平5−32240号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ブラケットは車軸のケースに溶接等によって接合されるが、トルクロッドにより大きな荷重を受けるため、荷重に対応する強度が必要となる。大きな荷重に対応するためには、高い強度が要求される。強度を高くするためには、ブラケットと車軸ケースとの溶接面積を大きくする必要があった。
【0006】
しかし、接合面積を大きくするとブラケット自体が大型化する。また、ブラケットが大型化するとブラケットの重量が増加し、車軸全体の重量が増加するという問題がある。また、車体フレーム及び周辺部品とのレイアウトの制約によって、ブラケットの大きさが制約され、必要な強度を得ることが難しくなるという問題点があった。
【0007】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、ブラケットを大型化することなくブラケットとの強度を保つことができる車軸を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、車体フレームに懸架され、駆動源からの回転力を車輪に伝達する車軸であって、車軸の外形を成す車軸ケースと、車軸ケースに接合され、車体フレームから延設されるトルクロッドが連結されるブラケットと、車軸ケースと前記ブラケットとを接合する溶接部と、を備え、車軸ケースには、車軸ケースの外面側に接合され、外側に突設して設けられる円柱部が備えられ、ブラケットには、円柱部が挿入される挿入穴が形成され、ブラケットは、挿入穴に円柱部が挿入されていることを特徴とする。
また、本発明は、車体フレームに懸架され、駆動源からの回転力を車輪に伝達する車軸の製造方法であって、車軸は、車軸の外形を成す車軸ケースと、車軸ケースに接合され、車体フレームから延設されるトルクロッドが連結されるブラケットと、車軸ケースとブラケットとを接合する溶接部と、を備え、車軸の製造方法は、ブラケットに形成された挿入穴に、車軸ケースの外面側に接合されて外側に突設して設けられる円柱部を挿入する工程と、挿入穴に円柱部が挿入された状態で、溶接部においてブラケットを溶接によって車軸ケースに接合する工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ブラケットは、挿入穴に円柱部が挿入された状態で、溶接によって車軸ケースに接合されるので、溶接部分だけでなく円柱部によって荷重を受けることができる。このような構成によって、ブラケットの強度を低下させることなくブラケットを小型化できて、車軸を小型、軽量化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態の車軸を中心とした車体フレームの説明図である。
図2】本発明の実施形態の車軸の説明図である。
図3】本発明の実施形態のブラケットの説明図である。
図4】本発明の実施形態の変形例のブラケットの説明図である。
図5】本発明の実施形態の変形例のブラケットの説明図である。
図6】本発明の実施形態の変形例のブラケットの説明図である。
図7】本発明の実施形態の変形例のブラケットの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態の車軸1を中心とした車体フレーム2の説明図である。なお、図1において、図の上方が車両の進行方向前方を示す。
【0013】
車軸1には、左右の車輪41、42が備えられる。車軸1は、図示しないエンジン及び変速機によって、これら左右の車輪41、42を駆動することによって、車両を走行する。
【0014】
車軸1は、車軸ケース11により構成され、その内部に差動ギア及び駆動軸を備える。車軸1の中央部には外側に膨出された膨出部12が形成されており、この膨出部12の内部に差動ギアが収容される。車軸1には、膨出部12から左右側に延びる左車軸13及び右車軸14が連接されており、これら左車軸13及び右車軸14内には、それぞれ駆動軸が収装されている。駆動軸は車輪41、42に連結される。車軸ケース11は、膨出部12、左車軸13及び右車軸14を含んで、車軸1の外形を成す。
【0015】
車体フレーム2は、左サイドフレーム3及び右サイドフレーム4が連結部5によって連結されて構成されている。車軸1は、車体フレーム2の進行方向に対して直交する方向に設けられている。
【0016】
車軸1は、複数の空気バネ21を介して車体フレーム2に懸架される。空気バネ21は、その上方が左サイドフレーム3及び右サイドフレーム4に連結され、その下方には、車軸1の下方から前後方向に延びるアーム22、23が連結されている。
【0017】
また、車軸1は、車体フレーム2にV字状のトルクロッド25を介しても懸架される。左サイドフレーム3及び右サイドフレーム4には、それぞれロッド連結部31及びロッド連結部32が連結されている。また、車軸1の膨出部12の上方には、ブラケット26が設けられている。これらロッド連結部31、32からブラケット26へとV字形状を成すトルクロッド25が差し渡されている。
【0018】
トルクロッド25は、車軸1を車体フレーム2に対して位置決めをし、また、車軸1の車体フレーム2に対するする揺動、振動を抑制する。このような構造により、トルクロッド25は、車軸1と車体フレーム2との間に加わる荷重(トルク)を受ける。
【0019】
次に、車軸1のブラケット26について説明する。
【0020】
図2は、本実施形態の車軸1の説明図であり、図2(A)が車軸1の上面図を、図2(B)が車軸1の側面図を、それぞれ示す。
【0021】
車軸1には、その上方にトルクロッド25が連結されるブラケット26が備えられる。ブラケット26は、上側ブラケット28と下側ブラケット29とによって構成される。
【0022】
下側ブラケット29は、車軸1の膨出部12の上側に溶接によって接合される。上側ブラケット28は、下側ブラケットの上側にボルトによって連結される。上側ブラケット28には、トルクロッド25が連結される連結部51が形成されている。
【0023】
上側ブラケット28の連結部51には、トルクロッドの車軸側連結部25aが嵌合される溝部51aと、この溝部51aに嵌合された車軸側連結部25aを連結部に共締めするためのロッドが挿通されるロッド穴51bと、上側ブラケット28と下側ブラケット29とを連結するための四つのボルト穴28aが設けられている。
【0024】
下側ブラケット29は、その下側は膨出部12の上側の曲面に対応する形状に形成されている。下側ブラケット29には、上側ブラケット28と連結するための四ヶ所のボルト穴29aが形成されている。
【0025】
次に、下側ブラケット29の取付け構造について説明する。
【0026】
下側ブラケット29は、車軸1の膨出部12に溶接される。この溶接は、下側ブラケット29と膨出部12とが接する部分の外周部に施される。
【0027】
下側ブラケット29は、上側ブラケット28とともにトルクロッド25から加わる荷重を受ける。従って、この荷重が大きい場合は、下側ブラケット29と膨出部12との間の接合面積、すなわち溶接部分となる下側ブラケット29の周囲を大きくする必要がある。しかし、下側ブラケット29を大きくした場合は、ブラケット26のサイズ及び重量が増加する。車軸1は車体フレーム2に懸架されるためにレイアウト上の制約が発生するので、従来は、ブラケット26のサイズを大きくすることに限界があるという問題があった。
【0028】
本発明の実施形態の車軸1は、次のような特徴的な構成によって、ブラケット26のサイズを大きくすることなく、トルクロッドの荷重を受けることができるように構成した。
【0029】
図3は、本発明の実施形態のブラケット26の説明図であり、図2におけるA−A断面図を示す。
【0030】
本発明の実施形態の車軸ケース11には、膨出部12の所定位置(頂部)から突出するように設けられた円柱状のピン60が、下側ブラケット29に形成されるピン挿入穴66に挿入される構成となっている。以下、その詳細を説明する。
【0031】
図3に示すように、車軸ケース11の膨出部12にはピン穴65が穿設されている。このピン穴65には、ピン60が挿入される。ピン60は車軸ケース11の外側に突設する円柱部を構成する。
【0032】
ピン60は略円柱形状を有し、車軸ケース11に穿設されているピン穴65に圧入されて固定される。ピン60の突出方向の先端側はテーパー加工がされている。また、ピン60の下方側にはピン60の外周側に張り出すようにフランジ部60aが形成されている。フランジ部60aは、ピン60が車軸ケース11に圧入されるときに、車軸ケース11の内周側に突き当たり、ピン60の位置決めを構成している。
【0033】
また、下側ブラケット29には、膨出部12から突設するピン60に対向する位置に、ピン挿入穴66が形成されている。下側ブラケット29を車軸ケース11に取付けるときに、ピン60がピン挿入穴66に挿入される。ピン60が下側ブラケット29のピン挿入穴66に挿入された状態で、下側ブラケット29の下端部を膨出部12の外周面に接触させて、下側ブラケット29と車軸ケース11との接触部分の外周を溶接する。
【0034】
このようにして、車軸ケース11に下側ブラケット29が接合される。
【0035】
以上のように構成された車軸1は、次のような作用及び効果を奏する。
【0036】
車軸1とトルクロッド25との間に加わる加重は、車軸1において、ブラケット26と車軸ケース11との間に加わる。このとき、下側ブラケット29と車軸ケース11との間はピン60と溶接部分とによって接合されているので、これらピン60と溶接部分とがそれぞれ荷重を受けることができる。従って、下側ブラケット29と車軸ケース11とを溶接のみによって接合した場合よりも、ピン60の断面積だけ大きな加重を受けることができる。
【0037】
特に、ピン60は、車軸ケース11に嵌装され、下側ブラケット29と車軸ケース11との間の剪断方向の荷重を受けることができる。従って、下側ブラケット29と車軸ケース11との間にピン60を介装することによって、ピン60の分だけ溶接部分を増加したのと同じ荷重を受けることができる。
【0038】
次に、本発明の実施形態の他の変形例について説明する。
【0039】
図4は、本発明の実施形態の変形例のブラケット26の説明図であり、図2におけるA−A断面図を示す。この図4に示す例では、ピン60を膨出部12に固定する構造が、前述の図3で説明した構成とは異なる。
【0040】
図4(A)に示す例は、車軸ケース11の膨出部12の外周側に、ピン60を溶接によって接合する構成を示す。
【0041】
前述の図3で説明した例では、ピン60は、膨出部12に穿設されたピン穴65に圧入される構成を示した。一方で、図4(A)に示す例では、膨出部12の外周側の所定位置(頂部)に、ピン60を溶接により接合する。
【0042】
また、下側ブラケット29において、ピン60が嵌装されるピン挿入穴66には、ピン60の溶接部分に干渉することを避けるために、ピン挿入穴66の径が広げられた拡径部66aが形成されている。
【0043】
下側ブラケット29を膨出部12に接合するときは、ピン60を下側ブラケット29のピン挿入穴66に挿入して、下側ブラケット29の下端部が膨出部12の外周面に接触した状態で、下側ブラケット29と車軸ケース11との接触部分の外周を溶接する。
【0044】
このように、図4(A)に示す例では、膨出部12にピン穴65を穿設する必要がなくなるので、車軸1の加工コストを抑制することができる。
【0045】
図4(B)に示す例は、車軸ケース11の膨出部12に穿設されたピン穴65に膨出部12の外側からピン60を圧入して固定する構成を示す。
【0046】
前述の図3で説明した例では、ピン60は、膨出部12に穿設されたピン穴65の内側から圧入される構成を示した。一方で、図4(B)に示す例では、膨出部12の外側からピン60を圧入して固定するように構成した。
【0047】
ピン60は、その軸方向の中間部分に外周側に張り出すようにフランジ部60aが形成されている。このピン60を、膨出部12の外側からピン穴65圧入する。なお、下側ブラケット29において、ピン60が嵌装されるピン挿入穴66には、ピン60のフランジ部60aに干渉することを避けるために、ピン挿入穴66の径が広げられた拡径部66aが形成されている。
【0048】
このように、図4(B)に示す例では、膨出部12の外側からピン60を圧入するので、車軸1の車軸ケース11を組み立てた後にピン60を固定することができる。これにより、車軸ケース11の組み立て工程の一部にピンを圧入する工程を差し入れる必要がなく、別の工程でピン60を固定するので、車軸1の加工コストを抑制することができる。
【0049】
図4(C)に示す例は、車軸ケース11の膨出部12に穿設されたピン穴65に膨出部12の内側からピン60を固定する構成を示す。図4(C)の構成は前述の図3の構成と略同一であるが、ピン60をピン穴65に挿入した後、ピン60のフランジ部60aを膨出部12の内側に溶接によって接合する例を示す。
【0050】
このように構成することによって、ピン60を確実に膨出部12のピン穴65に固定することができる。
【0051】
次に、本発明の実施形態のピン60の構成の変形例を説明する。
【0052】
図5から図7は、本発明の実施形態の変形例のブラケット26の説明図であり、ブラケット26とピン60との関係を説明する図である。
【0053】
図5に示す例は、複数のピン60を車軸ケース11の膨出部12から突設させるように構成した例を示す。
【0054】
図5(A)は、二つのピン60を車軸ケース11の膨出部12から突設させた例を示す。図5(B)は、三つのピン60を車軸ケース11の膨出部12から突設させた例を示す。図5(C)は、四つのピン60を車軸ケース11の膨出部12から突設させた例を示す。なお、それぞれの構成例において、ブラケット26の下側ブラケット29には、ピン60の位置に対応して、複数のピン挿入穴66が形成されている。
【0055】
このように、車軸ケース11の膨出部12とブラケット26との間に複数のピン60を介装することによって、ピン60の断面積に対応して、ブラケット26の強度を大きくすることが可能となる。
【0056】
図6に示す例は、ピン60を、円筒形状ではなく、さらに別の形状に構成した例を示す。
【0057】
図6(A)は、ピン60を、車体フレーム2の前後方向に延長して縦長の楕円形状に形成した例を示す。図6(B)は、ピン60を、車軸1の軸方向に延長して横長の楕円に形成した例を示す。図6(C)は、ピン60を、車軸1の軸方向と車体フレーム2の前後方向とにそれぞれ延設させ、断面を十字形状に形成した例を示す。図6(D)は、ピン60の断面を十字形状に形成し、その取付け方向を車体フレーム2の前後方向に対して図6(C)とは45度傾けて配置した例を示す。
【0058】
なお、それぞれの構成例において、ブラケット26の下側ブラケット29には、ピン60の形状に対応した形状に形成されたピン挿入穴66が形成されている。
【0059】
このように、ピン60の形状を変形することによって、トルクロッドから受ける荷重の向きに対応した方向の強度をより強くすることができる。例えば、図6(A)に示す例では、ピン60が前後方向に延長されており、前後方向の強度を大きくすることができる。また、図6(D)の例では、ブラケット26に対して斜め方向の強度を大きくすることができる。
【0060】
図7に示す例は、ピン60を楕円形状として、さらに複数のピン60を備えるように構成した例を示す。
【0061】
図7(A)は、ピン60を車体フレーム2の前後方向に延長して縦長の楕円形状に形成し、このピン60を車体フレーム2の前後方向に並列に二つ設けた例を示す。図7(B)は、ピン60を車軸1の軸方向に延長して横長の楕円形状に形成し、このピン60を車軸1の軸方向に並列に二つ設けた例を示す。
【0062】
なお、それぞれの構成例において、ブラケット26の下側ブラケット29には、ピン60の形状及び数に対応したピン挿入穴66が形成されている。
【0063】
このように、このように、ピン60の形状を変形し、さらに、複数のピン60を備えることによって、ブラケット26の強度を大きくすることが可能となる。
【0064】
以上のように、本発明の実施形態の車軸1は、車軸1の外形を成す車軸ケース11と、車軸ケース11に接合され、車体フレーム2から延設されるトルクロッド25が連結されるブラケット26と、を備え、車軸ケース11には、外側に突設して設けられる柱状部としてのピン60が備えられ、ブラケット26には、ピン60が挿入されるピン挿入穴66が形成され、ブラケット26は、ピン挿入穴66にピン60が挿入された状態で、溶接によって車軸ケース11に接合されることを特徴とする。
【0065】
このように構成することによって、これらピン60と溶接部分とがそれぞれ荷重を受けることができるので、下側ブラケット29と車軸ケース11とを溶接のみによって接合した場合よりも大きな加重を受けることができ、ブラケット26のサイズを大型化することなく、トルクロッド25と車軸との間に加わる荷重を受け止めることができる。
【0066】
なお、以上説明した本発明の実施形態では、車軸ケース11に接合されるブラケット26は、上側ブラケット28と下側ブラケット29とによって構成される例を示したが、ブラケット26が一体に形成されていてもよい。
【0067】
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内でなしうるさまざまな変更、改良が含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0068】
1 車軸
2 車体フレーム
11 車軸ケース
12 膨出部
25 トルクロッド
26 ブラケット
28 上側ブラケット
29 下側ブラケット
60 ピン
66 ピン挿入穴
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7