特許第5879138号(P5879138)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5879138
(24)【登録日】2016年2月5日
(45)【発行日】2016年3月8日
(54)【発明の名称】電源装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/10 20060101AFI20160223BHJP
   H01M 2/20 20060101ALI20160223BHJP
【FI】
   H01M2/10 E
   H01M2/10 M
   H01M2/20 A
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-15342(P2012-15342)
(22)【出願日】2012年1月27日
(65)【公開番号】特開2013-157129(P2013-157129A)
(43)【公開日】2013年8月15日
【審査請求日】2014年12月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 茂之
(72)【発明者】
【氏名】柳原 真一
(72)【発明者】
【氏名】太田 宙生
【審査官】 小森 重樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−170884(JP,A)
【文献】 特開2011−067012(JP,A)
【文献】 特開2011−238544(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極をそれぞれ有する複数の電池が同一方向に重ね合わされることで集合体になっている電池集合体と、
前記電池集合体の前記電極側に配置され、端子が固定されている複数の分割固定部が撓み変形部を介して連結されたケース本体を有する電池連結ブロック体とを備えた電源装置であって、
前記撓み変形部は、隣り合う前記各分割固定部に一端側が固定された一対の起立直線部と、前記各起立直線部の他端側より互いに近接する方向に曲がる一対の湾曲部と、一対の前記湾曲部間を連結する直線部とを有することを特徴とする電源装置。
【請求項2】
請求項1記載の電源装置であって、
前記撓み変形部は、前記各直線部と前記各分割固定部との連結箇所の両端側に補強リブを有することを特徴とする電源装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の電源装置であって、
前記分割固定部は、端子を固定する端子固定部であることを特徴とする電源装置。
【請求項4】
請求項1又は請求項2記載の電源装置であって、
前記分割固定部は、電線を収容する電線収容部であることを特徴とする電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の電池の各電極が連結接続された電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ハイブリッド自動車や電気自動車には、電動モータの駆動源として電源装置が搭載される(特許文献1参照)。この種の従来の電源装置が図4図6に示されている。
【0003】
図4及び図5において、電源装置100は、電池集合体101と、この電池集合体101の電極突出側に配置された電池連結ブロック体110とを備えている。
【0004】
電池集合体101は、複数の電池102が同一方向に重ね合わされている。各電池102には、上面に一対の電極(プラス電極、マイナス電極)103が突設されている。各電極103は、ボルト形状である。
【0005】
電池連結ブロック体110は、絶縁樹脂製のケース本体111と、このケース本体111に固定される複数の連結端子121、一対の出力端子120及び複数の電圧検出用端子123とを備えている。
【0006】
ケース本体111は、幅方向Wの端部側で長手方向Lに沿って配置される一対の端子固定領域S1と、一対の端子固定領域S1よりも外側に位置し、全周を囲むように配置される電線配策領域S2とを備えている。
【0007】
各端子固定領域S1には、複数の分割固定部である端子固定部112,113が一列に配置されている。隣り合う端子固定部112,113同士は、撓み変形部であるヒンジ部114を介して連結されている。一方の列の両端に配置される一対の端子固定部112は、総出力用である。総出力用の各端子固定部112には、出力端子120と電圧検出用端子123が固定されている。出力端子120と電圧検出用端子123は、電池集合体101の両端の電極103にナット124で締結されている。各端子固定部113には、連結端子121と電圧検出用端子123が固定されている。連結端子121は、隣り合う電池102の各電極103に各ナット124でそれぞれ締結されている。電圧検出用端子123は、共締めされている。
【0008】
電線配策領域S2には、複数の分割固定部である電線収容部115が連続して配置されている。隣り合う電線収容部115同士は、撓み変形部であるヒンジ部116を介して連結されている。電線収容部115には、各電圧検出用端子123に接続された電圧検出用電線(図示せず)が配策されている。
【0009】
次に、上記したヒンジ部114の構成を説明する。図6(a)〜(c)に示すように、ヒンジ部114は、隣り合う各端子固定部112,113に一端側が固定された一対の起立直線部140と、一対の起立直線部140の他端側を連結する湾曲部141とから構成されている。ヒンジ部116も同様に構成されている。
【0010】
上記構成において、電池102の組み付け公差等によって電池集合体101の長手方向Lの寸法が異なっても、端子固定部112,113間のヒンジ部114及び電線収容部115間のヒンジ部116が撓み変形することによって寸法公差を吸収する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2011−238544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、前記従来の電源装置100では、例えばヒンジ部114に引っ張り力が作用すると、図6(b)の仮想線、図6(c)の実線で示すように、主に湾曲部141が撓み変形するため、湾曲部141の1箇所に応力が集中する。そのため、材料の許容応力を容易に超えてヒンジ部114,116が破断し易いという問題があった。
【0013】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、分割固定部が撓み変形部を介して連結されたものにあって、撓み変形部が破損し難い電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、電極をそれぞれ有する複数の電池が同一方向に重ね合わされることで集合体になっている電池集合体と、前記電池集合体の前記電極側に配置され、端子が固定されている複数の分割固定部が撓み変形部を介して連結されたケース本体を有する電池連結ブロック体とを備えた電源装置であって、前記撓み変形部は、隣り合う前記各分割固定部に一端側が固定された一対の起立直線部と、前記各起立直線部の他端側より互いに近接する方向に曲がる一対の湾曲部と、一対の前記湾曲部間を連結する直線部とを有することを特徴とする電源装置である。
【0015】
前記撓み変形部は、前記各直線部と前記各分割固定部との連結箇所の両端側に補強リブを有することが好ましい。
【0016】
前記分割固定部は、端子を固定する端子固定部であるものを含む。
【0017】
前記分割固定部は、電線を収容する電線収容部であるものを含む。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、撓み変形部が撓み変形すると、2つの湾曲部にそれぞれ応力集中が発生し、応力集中箇所が分散するため、材料の許容応力を容易に超えることがなくヒンジ部が破損し難い。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態を示し、電源装置の全体平面図である。
図2】本発明の一実施形態を示し、(a)は図1のA部拡大図、(b)は図2(a)のB−B線断面図である。
図3】本発明の一実施形態を示し、(a)はケース本体の要部平面図、(b)は(a)のC矢視拡大図、(c)は、ヒンジ部の撓み変形状態を示す斜視図である。
図4】従来例を示し、電源装置の全体斜視図である。
図5】従来例を示し、図4のD部拡大図である。
図6】従来例を示し、(a)はケース本体の要部平面図、(b)は(a)のE矢視拡大図、(c)は、ヒンジ部の撓み変形状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
図1図3は本発明の一実施形態を示す。電源装置1は、図1及び図2に示すように、電池集合体2と、この電池集合体2の電極突出側に配置された電池連結ブロック体10とを備えている。
【0022】
電池集合体2は、複数の電池3が同一方向に重ね合わされている。各電池3には、上面に一対の電極(プラス電極、マイナス電極)4が突設されている。各電極4は、ボルト形状である。
【0023】
電池連結ブロック体10は、絶縁樹脂製のケース本体11と、このケース本体11に固定される複数の連結端子30と、ケース本体11に固定される一対の出力端子32と、ケース本体11に固定される複数の電圧検出用端子33とを備えている。
【0024】
ケース本体11は、幅方向Wの端部側で長手方向Lに沿って配置された一対の端子固定領域S1と、一対の端子固定領域S1よりも外側で、且つ、コ字状に配置された電線配策領域S2とを備えている。
【0025】
各端子固定領域S1には、複数の分割固定部である端子固定部12,13が一列に配置されている。隣り合う端子固定部12,13同士は、撓み変形部であるヒンジ部14を介して連結されている。一方の列の両端に配置される一対の端子固定部12は、総出力用である。総出力用の各端子固定部12には、出力端子32と電圧検出用端子33が固定されている。出力端子32と電圧検出用端子33は、電池集合体2の両端の電極4にナット34で締結されている。各端子固定部13には、連結端子30と電圧検出用端子33が固定されている。連結端子30の一端側は、隣り合う一方の電池3の電極4にナット34で締結され、連結端子30の他端側及び電圧検出用端子33は、隣り合う他方の電池3の電極4にナット34で締結されている。連結端子30によって隣り合う電池3の電極4間が連結されている。
【0026】
ヒンジ部14は、撓み変形によって隣り合う端子固定部12,13間の間隔を可変できる。ヒンジ部14の詳しい構成は、下記する。各列のほぼ対応位置に配置された端子固定部12,13同士は、一部を除いて連結アーム部18を介して連結されている。
【0027】
電線配策領域S2には、複数の分割固定部である電線収容部15が一列に配置されている。隣り合う電線収容部15同士は、撓み変形部であるヒンジ部16を介して連結されている。電線収容部15は、収容ベース部15aとヒンジ部15bを介して連結された蓋15cとから構成されている。電圧検出用端子33に接続された電圧検出用電線W1は、近くの電線収容部15に導かれ、連続する他の電線収容部15を利用して配策されている。
【0028】
次に、ヒンジ部14の構成を説明する。図3(a)〜(c)に示すように、ヒンジ部14は、隣り合う各端子固定部12,13に一端側が固定された一対の起立直線部40と、各起立直線部40の他端側より互いに近接する方向に曲がる一対の湾曲部41と、一対の湾曲部41間を連結する直線部42とを有する。各起立直線部40と各端子固定部12,13との連結箇所の両端側には、一対の補強リブ43がそれぞれ付設されている。
【0029】
ヒンジ部16は、ヒンジ部14と同様の構成である。
【0030】
上記構成において、電池3の組み付け公差等によって電池集合体2の長手方向Lの寸法が異なっても、端子固定部12,13間のヒンジ部14及び電線収容部15間のヒンジ部16が撓み変形することによって寸法変化を吸収する。
【0031】
ここで、ヒンジ部14の撓み変形に際しては、図3(b)の仮想線、図3(c)の実線で示すように、2つの湾曲部41にそれぞれ応力集中が発生し、応力集中箇所が分散するため、材料の許容応力を容易に超えることがなくヒンジ部14が破損し難い。ヒンジ部16についても、同様の理由によりヒンジ部16が破損し難い。
【0032】
ヒンジ部14は、各起立直線部40と各端子固定部12,13,15との連結箇所の両端側に補強リブ43を有する。従って、補強リブ43によってヒンジ部14,16のねじり変形を極力阻止でき、ケース本体11の強度を向上させることができる。ヒンジ部16についても同様の理由によりねじり力に強く、ケース本体11の強度向上になる。
【符号の説明】
【0033】
1 電源装置
2 電池集合体
3 電池
4 電極
10 電池連結ブロック体
11 ケース本体
12,13 端子固定部(分割固定部)
14,16 ヒンジ部(撓み変形部)
15 電線収容部(分割固定部)
40 起立直線部
41 湾曲部
42 直線部
43 補強リブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6