特許第5879571号(P5879571)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5879571
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月8日
(54)【発明の名称】符号化装置及び復号化装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 19/426 20140101AFI20160223BHJP
   H04N 19/46 20140101ALI20160223BHJP
【FI】
   H04N19/426
   H04N19/46
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-17599(P2014-17599)
(22)【出願日】2014年1月31日
(65)【公開番号】特開2015-146473(P2015-146473A)
(43)【公開日】2015年8月13日
【審査請求日】2015年3月31日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】398034168
【氏名又は名称】株式会社アクセル
(74)【代理人】
【識別番号】100106426
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 賢二
(72)【発明者】
【氏名】客野 一樹
【審査官】 岩井 健二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−058954(JP,A)
【文献】 特開2010−098352(JP,A)
【文献】 特開2009−260977(JP,A)
【文献】 特開2009−130931(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/017945(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/095487(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/005106(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/148622(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/138912(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0245391(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 19/00 − 19/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
符号化装置であって、
時間的に連続する複数のフレームで構成された動画像情報のひとつ又は同時並行処理される複数の動画像情報を入力して予測符号化処理を行う符号化処理部と、
前記符号化処理部で生成される復号化画像データを入力し、前記符号化装置内に設けられたメモリに予測参照用の画像データを圧縮して格納する際の所定の圧縮処理と同一の圧縮処理を行い、前記フレーム単位で圧縮率を算出して出力する圧縮処理部と、
前記圧縮処理部から出力される、一動画を構成する各フレームに係る各圧縮率から最悪の圧縮率を求める圧縮率更新部と、
を備え、圧縮符号化後の画像データと共に前記最悪の圧縮率を出力することを特徴とする符号化装置。
【請求項2】
時間的に連続する複数のフレームで構成された動画像情報に対してフレーム間の予測符号化を行うために予測参照用の画像データを格納しておくためのメモリと、
そのメモリに前記画像データを格納するために前記画像データに対して所定の圧縮処理を行う圧縮処理部と、
前記メモリから圧縮画像データを入力して前記圧縮処理に対応した伸長処理を行う伸長処理部と、
を備え、一動画又は同時並行処理される複数の動画を入力して予測符号化処理を行う符号化装置であって、
前記圧縮処理部において、前記フレーム単位で、前記所定の圧縮処理に基づく圧縮率が算出されて出力され、一動画を構成する各フレームに係る各圧縮率から最悪の圧縮率を求める圧縮率更新部を更に備え、圧縮符号化後の画像データと共に前記最悪の圧縮率を出力することを特徴とする符号化装置。
【請求項3】
前記最悪の圧縮率は、出力される符号化画像データが所定に配置される出力フォーマットにおけるオプションヘッダ内に格納されることを特徴とする請求項1又は2に記載の符号化装置。
【請求項4】
前記圧縮処理部における圧縮処理は、可逆圧縮処理であることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の符号化装置。
【請求項5】
前記圧縮処理部における圧縮処理は、非可逆圧縮処理であることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の符号化装置。
【請求項6】
請求項1又は請求項2に記載の符号化装置から出力された符号化画像データを入力して、前記符号化装置における予測符号化処理に対応した復号化処理を行う復号化装置であって、
前記符号化装置から出力された前記最悪の圧縮率を入力し、前記符号化装置における前記圧縮処理に対応した圧縮処理部から、前記符号化装置における前記メモリに対応したメモリに圧縮処理後の画像データを格納するに際して、前記最悪の圧縮率に基づいてメモリ管理を行うメモリ管理部を備えたことを特徴とする復号化装置。
【請求項7】
前記メモリ管理部は、前記最悪の圧縮率に基づいて、前記メモリ内に格納領域を確保することを特徴とする請求項に記載の復号化装置。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の前記圧縮処理部及び請求項6に記載の前記対応した圧縮処理部における圧縮処理は、可逆圧縮処理であることを特徴とする請求項6及び7のいずれかに記載の復号化装置。
【請求項9】
請求項1又は2に記載の前記圧縮処理部及び請求項6に記載の前記対応した圧縮処理部における圧縮処理は、非可逆圧縮処理であることを特徴とする請求項6及び7のいずれかに記載の復号化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、符号化装置及び復号化装置に関し、特に、予測符号化を採用して動画像情報を符号化及び復号化するに際して、予測参照用の画像情報を格納しておくメモリに対して、その画像情報を圧縮処理して格納するような符号化装置及び復号化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
時間的に連続する複数のフレームで構成された動画像情報の符号化処理においては、時間的に近い画像の類似性という特性を利用して符号化効率を上げるべく、動き補償を含めた予測符号化を行うことが極めて常識になっている。かかるフレーム間の予測符号化を実現するためには、既に符号化したフレームの情報を別のフレームの符号化に利用できるようにすべく、既に符号化したフレームの符号化情報を復号化により戻して一時的に記憶しておくメモリ(記憶手段)が必要となる。これは、復号化装置側においても同様であり、既に復号化したフレームの情報を別のフレームの復号化に利用できるようにすべく、既に復号化したフレームの復号化情報をメモリに一旦記憶しておく。
【0003】
ところで、最近は、例えば“4K”と言われるように、動画像も極めて精細になってきており、1フレームを構成する情報量は極めて多くなってきている。従って、それに応じて上述のようなメモリの容量も大きくせざるを得ない状況となっている。
【0004】
一方、特にパチンコ機等の遊技機における動画像の表示においては、一画面又は複数の画面に複数の動画像のストリームが重ねられて、又は隣接させて、同時並行的に表示されるという処理が行われることも多い。かかる場合でも、上述した符号化装置(符号化処理)及び復号化装置においては、それぞれの動画像ごとに、同時並列的に必要なフレームの情報を記憶しておく必要がある。従って、このような観点からも、予測符号化のためのメモリのその限られた容量の使用の仕方には工夫が必要となる。特に、高速実時間処理を行うべくハードウェアで構成されることが典型的な復号化装置においては必要性が高い。
【0005】
上述のような状況から、近年では、予測符号化に必要なフレームの情報を格納するメモリに、その情報を圧縮して格納しておき、使用する際には、読み出して伸長してから使用するというような手法も採用されている。必要な処理又は回路が増加するが、メモリの容量の削減又は限られたメモリ帯域の有効活用という観点からは、こちらの方が有意義である。このような、予測符号化に必要なフレームの情報を圧縮してメモリに格納しておく技術は、例えば特許文献1に開示されている。当該文献は、復号化装置を開示しており、例えばその図1に示されているように、予測符号化に使用されるフレームの情報を格納するためのフレームメモリ102には、符号化回路101により圧縮符号化された情報が格納され、予測画像作成回路26において予測に使用する際には、第二のデータ伸長回路105bにより伸長されて供給されるように構成されている。図13及び図16に示された特定の工夫を実現する回路においても、そのベースとして同様である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−261635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1においては、予測符号化に必要なフレームの情報をメモリに格納するための圧縮技法として、非可逆圧縮が採用されている(図2等の直交変換回路201及び量子化器202)。この非可逆圧縮を採用する欠点としては、フレーム間で予測を累積的に行った場合に、それに応じて画像の歪も累積的に増加してしまうということである。従って、ある程度の画質を優先したい場合には、当該圧縮技法として、可逆圧縮を採用することも可能である。但し、限られたメモリ容量に効率よく情報を格納するという観点からは劣る。
【0008】
ここで、予測符号化に必要なフレームの情報をメモリに格納するための圧縮技法として、非可逆圧縮及び可逆圧縮のいずれを採用しても、基本的には、メモリ容量の破綻(特に復号化装置側)を来さないように予め設計しておく必要がある。特に、可逆圧縮の場合、圧縮後の圧縮率は入力画像によって異なるため、圧縮が効かない素材が入力された場合を考慮し、無圧縮のサイズでメモリを確保しておく必要がある。一定の画質を保障した非可逆圧縮を行う場合も同様である。
【0009】
このようにメモリ容量を確保しておくことを前提とした上で、更に、各動画ストリームの復号化処理において、復号化装置が、各動画ストリームが予測情報用のメモリを最大どの程度占めるか、すなわち各動画ストリームの最大のメモリを占めるフレームはどの程度占めるか、という情報や、更に各動画ストリームの各フレームがそれぞれどの程度メモリを占めるかという情報が、復号化前に予め分かっていれば、そのサイズで予めメモリを確保すればよいことになってメモリ管理が容易となり、かつ、同じメモリ容量でより多くの動画を同時に再生できることとなる。
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の第一の符号化装置は、符号化装置であって、時間的に連続する複数のフレームで構成された動画像情報のひとつ又は同時並行処理される複数の動画像情報を入力して予測符号化処理を行う符号化処理部と、前記符号化処理部で生成される復号化画像データを入力し、前記符号化装置内に設けられたメモリに予測参照用の画像データを圧縮して格納する際の所定の圧縮処理と同一の圧縮処理を行い、前記フレーム単位で圧縮率を算出して出力する圧縮処理部と、前記圧縮処理部から出力される、一動画を構成する各フレームに係る各圧縮率から最悪の圧縮率を求める圧縮率更新部と、を備え、圧縮符号化後の画像データと共に前記最悪の圧縮率を出力することを要旨とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の第一の符号化装置は、時間的に連続する複数のフレームで構成された動画像情報のひとつ又は同時並行処理される複数の動画像情報を入力して予測符号化処理を行う符号化処理部と、前記符号化処理部で生成される復号化画像データを入力し、前記符号化装置内に設けられたメモリに予測参照用の画像データを圧縮して格納する際の所定の圧縮処理と同一の圧縮処理を行い、前記フレーム単位で圧縮率を算出して出力する圧縮処理部と、前記圧縮処理部から出力される、一動画を構成する各フレームに係る各圧縮率から最悪の圧縮率を求める圧縮率更新部と、を備え、圧縮符号化後の画像データと共に前記最悪の圧縮率を出力することを要旨とする。
【0012】
また、上記目的を達成するため、本発明の第二の符号化装置は、時間的に連続する複数のフレームで構成された動画像情報に対してフレーム間の予測符号化を行うために予測参照用の画像データを格納しておくためのメモリと、そのメモリに前記画像データを格納するために前記画像データに対して所定の圧縮処理を行う圧縮処理部と、前記メモリから圧縮画像データを入力して前記圧縮処理に対応した伸長処理を行う伸長処理部と、を備え、一動画又は同時並行処理される複数の動画を入力して予測符号化処理を符号化装置であって、前記圧縮処理部において、前記フレーム単位で、前記所定の圧縮処理に基づく圧縮率が算出されて出力され、一動画を構成する各フレームに係る各圧縮率から最悪の圧縮率を求める圧縮率更新部を更に備え、圧縮符号化後の画像データと共に前記最悪の圧縮率を出力することを要旨とする。
【0013】
ここで、前記最悪の圧縮率は、出力される符号化画像データが所定に配置される出力フォーマットにおけるオプションヘッダ内に格納されることが好適である。
【0017】
また、上記第一及び第二の符号化装置のいずれにおいても、前記圧縮処理部における圧縮処理を可逆圧縮処理とすることができる。
【0018】
また、上記第一及び第二の符号化装置のいずれにおいても、前記圧縮処理部における圧縮処理を非可逆圧縮処理とすることができる。
【0019】
また、上記目的を達成するため、本発明の第一の復号化装置は、上記第一又は第二の符号化装置から出力された符号化画像データを入力して、前記符号化装置における予測符号化処理に対応した復号化処理を行う復号化装置であって、前記符号化装置から出力された前記最悪の圧縮率を入力し、前記符号化装置における前記圧縮処理に対応した圧縮処理部から、前記符号化装置における前記メモリに対応したメモリに圧縮処理後の画像データを格納するに際して、前記最悪の圧縮率に基づいてメモリ管理を行うメモリ管理部を備えたことを要旨とする。ここで、例えば、前記メモリ管理部は、前記最悪の圧縮率に基づいて、前記メモリ内に格納領域を確保する。
【0021】
また、上記第一又は第二の符号化装置及び上記第一の復号化装置において、前記圧縮処理部における圧縮処理を可逆圧縮処理とすることができる。
【0022】
また、上記第一又は第二の符号化装置及び上記第一の復号化装置において、前記圧縮処理部における圧縮処理を非可逆圧縮処理とすることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の符号化装置及び復号化装置によれば、復号化装置の予測情報用のメモリのメモリ管理を容易にすると共に、その最適化により、同じ容量で、より多くの動画を同時に再生できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】第1実施形態における符号化装置の一例の構成を示す図である。
図2】第1実施形態における符号化装置の他の例の構成を示す図である。
図3】第1実施形態における復号化装置の一例の構成を示す図である。
図4】第2実施形態における符号化装置の一例の構成を示す図である。
図5】第2実施形態における符号化装置の他の例の構成を示す図である。
図6】第2実施形態における非可逆圧縮処理部23及び対応伸長処理部24の詳細構成を示す図である。
図7】第2実施形態における復号化装置の一例の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1図3は、本発明の符号化装置及び復号化装置の第1実施形態を説明するため図である。この第1実施形態は、予測用の画像(ピクチャ)を格納するためのメモリ(ピクチャメモリ)への当該画像の格納に際して、可逆圧縮処理を採用する場合である。
【0026】
図1は、第1実施形態における符号化装置の一例の構成を示す図である。同図に示す符号化装置1Aは、減算部11と、圧縮処理部12と、第1可変長符号化部13と、伸長処理部14と、加算部15と、可逆圧縮処理部16と、ピクチャメモリ17と、対応伸長処理部18と、動き補償予測部19と、圧縮率更新部20と、第2可変長符号化部21と、多重化部22とを備えている。なお、同図に示す符号化装置1Aは、時間的に連続する複数のフレームで構成された動画像情報をブロック単位で入力して、例えばH.264(MPEG(Moving Picture Experts Group)−4 AVC)のような規格に準拠した動画像符号化処理を行うものである。
【0027】
減算部11は、符号化対象フレームとしてのピクチャの符号化対象マクロブロックから、動き補償予測部19から送られてきたマクロブロックのピクチャ情報を減算し、残差予測信号として、圧縮処理部12に供給する。なお、MPEGの場合のIピクチャに係る符号化対象マクロブロックについては、減算部11を経ずにそのまま圧縮処理部12に送られる。
【0028】
圧縮処理部12は、減算部11から送られてきた対象マクロブロックの残差予測信号に対して、非可逆圧縮処理を行う。ここで、この非可逆圧縮処理としては、静止画におけるJPEG(Joint Photographic Experts Group)のように直交変換処理及び量子化処理を行うアルゴリズムがある。なお、直交変換処理としては、離散コサイン変換(DCT:Discrete Cosine Transform)や、アダマール変換(Hadamard Transform)がある。
【0029】
第1可変長符号化部13は、圧縮処理部12から出力された圧縮画像データに対してブロックごとにハフマン符号化や算術符号化等の可変長符号化による可逆圧縮を行う。
【0030】
また、伸長処理部14は、圧縮処理部12から出力されたマクロブロック単位の圧縮画像データに対して、圧縮処理部12における非可逆圧縮処理に対応する非可逆伸長処理を行い、伸長により得られたマクロブロックを加算部15に送る。加算部15は、動き補償予測部61から出力された先行の最も相関の高いマクロブロックに係る情報に、伸長処理部14から出力されたマクロブロックに係る情報を加算することにより、後続の予測に供されるマクロブロックを復元する。なお、前述と同様に、MPEGの場合のIピクチャに係るマクロブロックについては、加算部15を経ない。
【0031】
可逆圧縮処理部16は、加算部15から出力された、又は加算部15を経ない画像情報に対して所定の可逆圧縮処理を行い、得られた圧縮画像データを、後続との比較処理のためにピクチャメモリ17に格納する。なお、このときの可逆圧縮処理アルゴリズムについては、その処理すべき画像の特性等に応じて、任意に選定すればよい。例えば、GIF(Graphics Interchange Format)、PNG(Portable Network Graphics)がある。
【0032】
加えて、可逆圧縮処理部16は、自身の圧縮処理による圧縮率CRをフレーム単位で算出して圧縮率更新部20に供給する。圧縮率更新部20は、入力される圧縮率CRと、それ以前のフレームに係る圧縮率CRを比較し、今回のフレームに係る圧縮率CRの方が低ければ、それに更新して記憶する。圧縮率更新部20は、かかる処理を、一動画を構成する各フレームに渡って行う。従って、一動画分処理を終えると、圧縮率更新部20は、圧縮率が最悪に低いフレームに係る当該圧縮率(以下、「最悪圧縮率WCR」と称す)を保持することとなる。圧縮率更新部20は、動画単位で、この最悪圧縮率WCRを第2可変長符号化部21に対して出力する。第2可変長符号化部21は、圧縮率更新部20から出力された最悪圧縮率WCRの情報に対してハフマン符号化や算術符号化等の可変長符号化による可逆圧縮を行う。
【0033】
一方、動き補償予測部19は、符号化対象フレームとしてのピクチャを構成する各マクロブロックを順次入力し、ピクチャメモリ17に記憶された予測用のフレームに係るピクチャのマクロブロックから最も相関の高いマクロブロックを検索する。可逆圧縮処理部16の処理に対応した対応伸長処理部18は、動き補償予測部19により検索されたマクロブロックに係るデータに対して、可逆圧縮処理部16における可逆圧縮処理に対応した伸長処理を行い、結果を動き補償予測部19に供給する。動き補償予測部19は、このようにして得られた、最も相関の高いマクロブロックに係る情報を、前述のように、減算部11及び加算部15に供給する。なお、図示していないが、動き補償予測部19は、比較に係る2つのマクロブロックの間で、ある固定領域として一体的に移動する部分がある場合に、その移動量を動きベクトルとして出力する。出力された動きベクトルは、同様に可変長符号化が行われ、多重化部22に供給される。
【0034】
多重化部22は、第1可変長符号化部13からの符号化画像データと、第2可変長符号化部21からの最悪圧縮率WCRの情報と、動きベクトル等のその他の情報を、多重化して出力する。このとき、最悪圧縮率WCRの情報を符号化画像データと共に出力する手法としては、いくつか考えられるが、好適には、例えばH.264規格に基づく符号データを格納できるMP4等のファイルフォーマットのSEI(Supplemental Enhancement Information)など、オプションヘッダ部分に組み込むことが可能である。また、無論、画像データファイルとは別個の独立ファイルとしても出力可能である。
【0035】
図1に示した符号化装置によれば、予測用のピクチャメモリ17に所定の可逆圧縮手法で圧縮して画像データを格納する当該装置において、設計された各動画の各々について、最悪の圧縮率を復号化装置側に供給できることとなる。各動画は、後述する復号化装置において、復号化処理を通して、そのピクチャメモリに格納可能なように設計されているが、後述のように、各画像が最悪どの程度ピクチャメモリを占めるかという情報が予め分かっていれば有効である。なお、復号化装置は、符号化装置1Aにおける可逆圧縮処理部16及び対応伸長処理部18と同じ各処理部を有していることが前提となる。
【0036】
図2は、第1実施形態における符号化装置の他の例の構成を示す図である。なお、図1に示した例と異なる部分についてのみ説明する。同図に示した符号化装置1Bにおいては、各動画の各フレームの圧縮率の情報をすべて復号化装置側に供給する。すなわち、圧縮率更新部20を設けず、可逆圧縮処理部16から出力された各フレームに係る圧縮率の情報をすべて第2可変長符号化部21に供給する。この例では、多重化部22において、フレームごとの圧縮率の情報を、符号化画像データのファイルフォーマットのフレームごとのオプションヘッダに格納すればよい。無論、別ファイルとしても出力可能である。
【0037】
次に、復号化装置側について説明する。図3は、第1実施形態における復号化装置の一例の構成を示す図である。同図に示す復号化装置3Aは、分離化部31と、第1可変長復号化部32と、伸長処理部33と、加算部34と、可逆圧縮処理部35と、ピクチャメモリ36と、対応伸長処理部37と、動き補償予測部38と、第2可変長復号化部39と、メモリ管理部40とを備えている。
【0038】
分離化部31は、送られてくる符号化データを、符号化画像データと、圧縮率に係る符号化情報と、動きベクトル等に分離する。符号化画像データを入力した第1可変長復号化部32は、マクロブロック単位で、図1及び図2に示した第1可変長符号化部13による可変長符号化処理に対応した可変長復号化処理を行う。従って、例えばハフマン復号化や算術復号化である。同様に、第2可変長復号化部39は、圧縮率に係る符号化情報に対して可変長復号化処理を施して最悪圧縮率WCR又は各圧縮率CRを再現する。また、図示しない動きベクトルも可変長復号化処理が施されて動き補償予測部38に供給される。
【0039】
第1可変長復号化部32からの画像データを入力した伸長処理部33は、図1及び図2に示した符号化装置1A,1Bの圧縮処理部12における非可逆圧縮処理に対応した非可逆伸長処理を行う。かかる処理により得られた残差予測信号は、加算部34及び動き補償予測部38に送られる。
【0040】
動き補償予測部38は、伸長処理部33からの残差予測信号と、動きベクトルを用いて、ピクチャメモリ36に格納された先行する画像データのマクロブロックのデータを処理し、加算部34に送る。加算部34は、伸長処理部33からの残差予測信号と、動き補償予測部38からのマクロブロックデータとを加算し、復号化されたマクロブロック単位の画像データを出力する。
【0041】
加算部34から出力された画像情報は、外部に出力されるのと並行して、図1及び図2に示した可逆圧縮処理部16と同構成の可逆圧縮処理部35により可逆圧縮処理が行われ、得られた圧縮画像データが、後続との比較処理のためにピクチャメモリ36に格納される。一方、ピクチャメモリ36に対する情報の格納を管理するために設けられたメモリ管理部40は、第2可変長復号化部39から入力した最悪圧縮率WCR又は各圧縮率CRに基づき、可逆圧縮処理部35により得られた圧縮画像データのピクチャメモリ36に対する格納を制御する。具体的には、最悪圧縮率WCR又は各圧縮率CRに基づき、ピクチャメモリ36内に予め連続した領域を確保する。これにより、ピクチャメモリ36のメモリ管理が容易になると共に、その最適化により、同じ容量で、より多くの動画を同時に再生できるようになる。
【0042】
動き補償予測部38は、伸長処理部33による伸長処理により得られた各マクロブロックを順次入力し、ピクチャメモリ36に記憶された予測用のフレームに係るピクチャのマクロブロックから最も相関の高いマクロブロックを検索する。図1及び図2に示した対応伸長処理部18と同構成の対応伸長処理部37は、動き補償予測部38により検索されたマクロブロックに係るデータに対して、可逆圧縮処理部35における可逆圧縮処理に対応した伸長処理を行い、結果を動き補償予測部19に供給する。
【0043】
なお、図1及び図2においては、符号化装置1A,1B内の画像データに対する予測符号化処理の過程において圧縮率を求めるように構成しているが、他の例として、符号化装置は従来と同様の構成、すなわち、圧縮率更新部20を設けず、また可逆圧縮処理部は圧縮率CRを出力しない構成とし、当該符号化装置の後段に設けた専用のソフトウェア又は装置が、符号化装置(処理部)から出力された符号化画像データに基づいて、符号化装置1A,1B内の可逆圧縮処理部16により各フレームがどの程度圧縮されるかを求めて、最悪圧縮率WCR又は各圧縮率CRとして復号化装置3A側に供給してもよい。
【0044】
具体的には、圧縮率更新部20を設けず、また圧縮率CRを出力しない可逆圧縮処理部を有した符号化装置(処理部)で生成される復号化画像データを入力し、前記符号化装置内に設けられたピクチャメモリ17に予測参照用の画像データを圧縮して格納する際の所定の圧縮処理と同一の圧縮処理を行い、フレーム単位で圧縮率を算出して出力する圧縮処理部と、その圧縮処理部から出力される、一動画を構成する各フレームに係る各圧縮率から最悪の圧縮率を求める圧縮率更新部と、を備え、圧縮符号化後の画像データと共に前記最悪の圧縮率を出力すればよい。あるいは、圧縮率更新部を設けず、圧縮符号化後の画像データと共に一動画を構成する各フレームに係る各圧縮率を出力すればよい。
【0045】
<第2実施形態>
図4図7は、本発明の符号化装置及び復号化装置の第2実施形態を説明するため図である。第1実施形態においては、ピクチャメモリに格納する際の圧縮方式として可逆圧縮処理を採用しているが、この第2実施形態においては、非可逆圧縮処理を採用する。このように非可逆圧縮を採用した場合には、フレーム間で予測を累積的に行ったときに、それに応じて画像の歪も累積的に増加してしまうという欠点があるが、無論、可逆圧縮を採用したときよりも圧縮率は高くなるので、可逆圧縮と比較してピクチャメモリの容量を効率的に活用することができることとなる。更に、圧縮方式として非可逆圧縮方式を採用する場合には、フレームごとに圧縮パラメータ(量子化係数)を変更することが可能となるので、その場合には、最悪圧縮率や各圧縮率の情報を送るということが無意味となってしまう。従って、ここでは、一動画に渡って一定の画質を保つことを前提条件とし、一動画に渡って圧縮パラメータは一定とする。これにより、この場合でも、同時並行的に処理される各動画の容量、採用する非可逆圧縮の技法、ピクチャメモリの容量等に基づいて、ピクチャメモリの容量に破綻を来さないように、予め各動画を設計しておく必要がある。
【0046】
図4は、第2実施形態における符号化装置の一例の構成を示す図であり、図1に示した第1実施形態における符号化装置に対応する装置である。図1と同一部分については同符号を付して説明を省略する。そこで、図4に示した符号化装置1Cにおいては、図1に示した符号化装置1Aにおける可逆圧縮処理部16及び対応伸長処理部18の代わりに、非可逆圧縮処理部23及び対応伸長処理部24を設けている。
【0047】
図6(a)及び図6(b)は、それぞれ、非可逆圧縮処理部23及び対応伸長処理部24の詳細構成を示す図である。同図(a)に示した非可逆圧縮処理部23は、加算部15から入力される画像データに対して所定の直交変換処理を行う直交変換部231と、直交変換後のデータに対して、量子化テーブル234から適切な量子化係数を選定して量子化処理を行う量子化部232と、量子化後のデータに対して、ハフマン符号化や算術符号化等の可変長符号化処理を行う可変長符号化部233とを有している。
【0048】
また、同図(b)に示した対応伸長処理部24は、ピクチャメモリ17から読み出された圧縮画像データに対して、可変長符号化部233における可変長符号化に対応した可変長復号化処理を行う可変長復号化部241と、量子化テーブル244に基づき、量子化部232における量子化に対応した逆量子化処理を行う逆量子化部242と、直交変換部231における直交変換に対応した逆直交変換処理を行う逆直交変換部243とを有している。
【0049】
図5は、第2実施形態における符号化装置の他の例の構成を示す図であり、図2に示した第1実施形態における符号化装置に対応する装置である。図2と同一部分については同符号を付して説明を省略する。そこで、図5に示した符号化装置1Dにおいては、図2に示した符号化装置1Bにおける可逆圧縮処理部16及び対応伸長処理部18の代わりに、非可逆圧縮処理部23及び対応伸長処理部24を設けている。
【0050】
図7は、第2実施形態における復号化装置の一例の構成を示す図であり、図3に示した第1実施形態における復号化装置に対応する装置である。図3と同一部分については同符号を付して説明を省略する。そこで、図7に示した復号化装置3Bにおいては、図3に示した復号化装置3Aにおける可逆圧縮処理部35及び対応伸長処理部37の代わりに、非可逆圧縮処理部41及び対応伸長処理部42を設けている。
【0051】
以上のようにピクチャメモリに格納する際の圧縮方式として非可逆圧縮処理を採用した第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明の符号化装置及び復号化装置は、パチンコ機やゲーム機等の遊技機に表示される動画像の処理に利用できる。
【符号の説明】
【0053】
1A、1B,1C,1D 符号化装置
11 減算部
12 圧縮処理部
13 第1可変長符号化部
14 伸長処理部
15 加算部
16 可逆圧縮処理部
17 ピクチャメモリ
18 対応伸長処理部
19 動き補償予測部
20 圧縮率更新部
21 第2可変長符号化部
22 多重化部
23 非可逆圧縮処理部
24 対応伸長処理部
3A,3B 復号化装置
31 分離化部
32 第1可変長復号化部
33 伸長処理部
34 加算部
35 可逆圧縮処理部
36 ピクチャメモリ
37 対応伸長処理部
38 動き補償予測部
39 第2可変長復号化部
40 メモリ管理部
41 非可逆圧縮処理部
42 対応伸長処理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7