特許第5879596号(P5879596)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5879596海生生物の付着防止方法およびそれに用いる付着防止剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5879596
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月8日
(54)【発明の名称】海生生物の付着防止方法およびそれに用いる付着防止剤
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/50 20060101AFI20160223BHJP
   C02F 1/76 20060101ALI20160223BHJP
   C02F 1/72 20060101ALI20160223BHJP
   C01B 11/02 20060101ALI20160223BHJP
【FI】
   C02F1/50 531M
   C02F1/50 510C
   C02F1/50 510E
   C02F1/50 520F
   C02F1/50 531Q
   C02F1/50 540A
   C02F1/50 540B
   C02F1/50 532D
   C02F1/50 532J
   C02F1/50 532B
   C02F1/50 550C
   C02F1/76 A
   C02F1/72 Z
   C02F1/50 550D
   C01B11/02 F
   C01B11/02 B
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-154203(P2015-154203)
(22)【出願日】2015年8月4日
【審査請求日】2015年8月21日
(31)【優先権主張番号】特願2015-83325(P2015-83325)
(32)【優先日】2015年4月15日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004466
【氏名又は名称】三菱瓦斯化学株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000154727
【氏名又は名称】株式会社片山化学工業研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】505112048
【氏名又は名称】ナルコジャパン合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100065248
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【弁理士】
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 潔
(72)【発明者】
【氏名】太田 文清
(72)【発明者】
【氏名】池上 祐馬
【審査官】 富永 正史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−329389(JP,A)
【文献】 特公昭61−002439(JP,B1)
【文献】 特開平08−024870(JP,A)
【文献】 特開2004−224788(JP,A)
【文献】 特開2005−254223(JP,A)
【文献】 特開平09−202706(JP,A)
【文献】 特開2012−115720(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/50
C01B 11/02
C02F 1/72
C02F 1/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
海水冷却水系の海水中に、二酸化塩素と過酸化水素とをこの順もしくは逆順でまたは同時に添加して、前記二酸化塩素と過酸化水素とを海水中に共存させることにより海水冷却水系への海生生物の付着を防止することを特徴とする海生生物の付着防止方法。
【請求項2】
前記二酸化塩素および過酸化水素が、前記海水に対してそれぞれ0.01〜0.5mg/Lおよび0.1〜2.0mg/Lの濃度で海水中に共存する請求項1に記載の海生生物の付着防止方法。
【請求項3】
前記二酸化塩素と過酸化水素とが1日14〜24時間添加される請求項1または2に記載の海生生物の付着防止方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載の方法に使用される海生生物の付着防止剤であって、
前記付着防止剤が、
過酸化水素発生源としての
(a)過酸化水素水溶液、または
(b)過酸化水素供給化合物の水溶液と、
二酸化塩素発生源としての
(1)次亜塩素酸ナトリウムと塩酸と亜塩素酸ナトリウムとの組み合わせ
(2)亜塩素酸ナトリウムと塩酸との組み合わせ、または
(3)塩素酸ナトリウム、過酸化水素および硫酸との組み合わせ
とを含むことを特徴とする海生生物の付着防止剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海生生物の付着防止方法およびそれに用いる付着防止剤に関する。さらに詳しくは、本発明は、低濃度の薬剤添加でその効果を長期間持続し、しかも広範な海生生物種の付着を防止し得る海生生物の付着防止方法およびそれに用いる付着防止剤に関する。
【背景技術】
【0002】
海水は、工業用の冷却水として、特に火力発電所や原子力発電所の復水器の冷却水として多量に使用されている。そのため、海水取水路壁や配管内および熱交換器内には、ムラサキイガイなどのイガイ類やフジツボ類やコケムシ類などの海生生物種が多量に付着して、様々な障害を惹き起こす。これらの中でも足糸で着生するムラサキイガイなどの二枚貝類は、成長が速く、成貝になると熱交換器チューブの一部を閉塞させて海水の通水を阻害し、また乱流を生じさせ、エロージョン腐食などの障害を惹き起こす。
【0003】
これら海生生物種の密集着生(付着)を防止するために、従来から次亜塩素酸ナトリウム、電解塩素もしくは塩素ガスなどの塩素発生剤(「塩素剤」ともいう)、過酸化水素もしくは過酸化水素発生剤(「過酸化水素剤」ともいう)の添加が行われている。
塩素剤は、海生生物の付着防止効果に優れるものの、トリハロメタンのような有害な有機塩素化合物を形成して環境への影響(負荷)が大きいという問題がある。
【0004】
一方、二酸化塩素は、殺菌力が強く、有害な有機塩素化合物を形成しないため、環境への影響が小さいという利点がある。
例えば、特開平1−275504号公報(特許文献1)には、二酸化塩素または二酸化塩素発生剤を有効成分とする水中付着生物防除剤に関する技術が、特開平6−153759号公報(特許文献2)には、淡水または海水を使用する施設に設置された淡水または海水を通す水路に、二酸化塩素水溶液を連続的もしくは比較的高濃度の二酸化塩素水溶液を間欠的に注入することからなる、水路に付着する生物の付着防止または防除方法に関する技術が開示されている。
しかしながら、二酸化塩素は化学物質として極めて不安定であり、海生生物の付着防止効果の持続性に問題がある。
【0005】
また、過酸化水素は、最終的に酸素と水に分解するため、環境への影響が最も少ないのでそれを用いた薬剤は近年、多用されている。しかし、過酸化水素を用いた薬剤は、安全性が高い半面、その添加量が少なくなると、付着生物に対する選択性が現れ、広範な海生生物種の付着を防止もしくは抑制することが困難になる。さらに過酸化水素の分解酵素を多く保有し、過酸化水素に対する抵抗性が強い生物が付着する場合には、多量の過酸化水素を添加しないと処理できないという課題がある。
【0006】
本出願人は、海生生物種に対する選択性、つまり付着防止もしくは抑制の対象とする海生生物種が異なる過酸化水素剤と塩素剤との特徴を活かし、時間的間隔を空けて交互かつ別時に同一箇所に両者を添加する方法(「間欠添加方法」ともいう)や、過酸化水素と塩素剤とを併用する海生生物の付着抑制方法(「併用添加方法」ともいう)を提案した(特許文献3)。しかし、併用添加方法では、過酸化水素剤と塩素剤との酸化還元反応により、両薬剤が消費され安定に共存させることができず、両薬剤の特徴が十分に活かされていなかった。
【0007】
そこで、本出願人は、工業用海水冷却水系に予め過酸化水素剤を加え、特定の過酸化水素濃度となるように分散された海水冷却水に、特定濃度で塩素剤を添加する処理方法(特許文献4)や、間欠添加方法の改良発明(特許文献5)、さらに、海水冷却水系の海水に濃度0.1〜0.5mg/Lのアンモニウムイオンと、アンモニウムイオン1モルに対して有効塩素または臭素に換算して0.7〜1.2モルの塩素剤または臭素剤との共存下に、海生生物の付着防止有効量の過酸化水素あるいは過酸化水素供給化合物を添加する方法(特許文献6)や結合ハロゲンと過酸化水素との併用による処理方法(特許文献7)を提案した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平1−275504号公報
【特許文献2】特開平6−153759号公報
【特許文献3】特開昭54−161592号公報
【特許文献4】特開平8−24870号公報
【特許文献5】特開2002−248479号公報
【特許文献6】特開2003−329389号公報
【特許文献7】特開2015−058405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、広範な海生生物種の付着防止への対応と環境への影響とを考慮した場合、二酸化塩素と過酸化水素との組み合わせが提案されるはずであるが、この組み合わせからなる海生生物の付着防止に関する技術はこれまでに報告されていない。
本発明の発明者らの調査によれば、上記の特許文献1が二酸化塩素を水中付着生物防除剤に応用する初出の技術であるが、以降、二酸化塩素の発生装置や二酸化塩素と物理的手段との組み合わせによる海生生物の付着防止技術はあっても、二酸化塩素と過酸化水素とを併用する技術は提案されていない。唯一、特開2003−155720号公報には、水生生物付着防止装置に用いる薬剤として二酸化塩素と過酸化水素とが併記されているが、一行記載に過ぎず、両化合物の併用については一切記載されていない。
一方、上記のように過酸化水素は水中付着生物防除剤として多用されているが、二酸化塩素との併用に関する技術は提案されていない。
【0010】
これは、二酸化塩素の化合物としての不安定性に加えて、二酸化塩素と過酸化水素との併用は、塩素剤と過酸化水素との併用と同様に酸化還元反応により両薬剤が消費され、水系において安定に共存できないという技術常識が存在していたためと考えられる。
実際に本発明者らが試験したところによると、海水に二酸化塩素を濃度0.05mg/L、0.1mg/L、次亜塩素酸ナトリウムを濃度0.05mg/L、0.1mg/Lで存在させたときの海水の酸化還元電位は、それぞれ525mV、630mV、392mV、470mVであった。これらの数値は、後述する試験例4の比較例2(二酸化塩素0.05mg/L)、比較例3(二酸化塩素0.1mg/L)、比較例6(次亜塩素酸ナトリウム0.05mg/L)および比較例7(次亜塩素酸ナトリウム0.1mg/L)において、テストチューブから排出された海水の酸化還元電位を、マルチ水質チェッカ(株式会社堀場製作所社製、型式:U−52G)を用いて測定した結果である。
これらの結果からも、当業者であれば、次亜塩素酸ナトリウムより酸化還元電位が高い二酸化塩素は過酸化水素と安定に共存できるはずがないと考えるのが自然である。
したがって、二酸化塩素と過酸化水素との併用に関する技術が提案されていないのは、上記理由によりこれらの技術を結合させることが試みられることがなかったためであると考えられる。
【0011】
本発明は、低濃度の薬剤添加でその効果を長期間持続し、しかも広範な海生生物種やスライムの付着を防止し得る海生生物の付着防止方法およびそれに用いる付着防止剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の発明者らは、海水中で過酸化水素剤と共存して、過酸化水素剤と共に海生生物の付着防止効果を発揮し得る、従来技術の塩素剤に代わる薬剤について鋭意研究を重ねた。その結果、これまで共存が不可能と考えられてきた二酸化塩素が海水中で過酸化水素剤と準安定的に共存できることを意外にも見出し(後述する試験例1参照)、さらにそれらの併用により、ムラサキイガイなどのイガイ類を含む広範な海生生物種の付着を長期間持続して有効に防止し得ること、さらには従来技術の過酸化水素剤と塩素剤との併用添加法と比較して、薬剤、特に過酸化水素剤の添加量を低減させても海生生物やスライム等の有効な付着防止効果が得られることを見い出し(後述する試験例2〜5参照)本発明を完成するに到った。
【0013】
かくして、本発明によれば、海水冷却水系の海水中に、二酸化塩素と過酸化水素とをこの順もしくは逆順でまたは同時に添加して、前記二酸化塩素と過酸化水素とを海水中に共存させることにより海水冷却水系への海生生物の付着を防止することを特徴とする海生生物の付着防止方法が提供される。
【0014】
また、本発明によれば、上記の方法に使用される海生生物の付着防止剤であって、
前記付着防止剤が、
過酸化水素発生源としての
(a)過酸化水素水溶液、または
(b)過酸化水素供給化合物の水溶液と、
二酸化塩素発生源としての
(1)次亜塩素酸ナトリウムと塩酸と亜塩素酸ナトリウムとの組み合わせ
(2)亜塩素酸ナトリウムと塩酸との組み合わせ、または
(3)塩素酸ナトリウム、過酸化水素および硫酸との組み合わせ
とを含むことを特徴とする海生生物の付着防止剤が提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、低濃度の薬剤添加でその効果を長期間持続し、しかも広範な海生生物種やスライムの付着を防止し得る海生生物の付着防止方法を提供することができる。
すなわち、本発明の海生生物の付着防止方法では、二酸化塩素と過酸化水素とが海水中に一定時間共存するために、両者の海生生物の付着防止効果が一定時間持続して発揮されるものと考えられる。
本発明の海生生物の付着防止方法は、広範な海生生物種、例えば、ムラサキイガイなどのイガイ類やフジツボ類、コケムシ類などの海生生物やスライムの付着防止に有効である。
【0016】
また、本発明の海生生物の付着防止方法は、次のいずれか1つの要件:
(1)二酸化塩素および過酸化水素が、海水に対してそれぞれ0.01〜0.5mg/Lおよび0.1〜2.0mg/Lの濃度で海水中に共存する、および
(2)二酸化塩素と過酸化水素とが1日14〜24時間添加される
を満足する場合に、上記の効果をさらに発揮する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の海生生物の付着防止方法は、海水冷却水系の海水中に、二酸化塩素と過酸化水素とをこの順もしくは逆順でまたは同時に添加して、前記二酸化塩素と過酸化水素とを海水中に共存させることにより海水冷却水系への海生生物の付着を防止することを特徴とする。
【0018】
本発明において「二酸化塩素と過酸化水素とを海水中に共存させる」とは、二酸化塩素と過酸化水素とを海水冷却水系の海水中に存在させることを意味する。二酸化塩素と過酸化水素の添加順序は特に限定されず、同時であってもよい。
【0019】
(二酸化塩素)
本発明において用いられる二酸化塩素は、極めて不安定な化学物質であるため、その貯蔵や輸送は非常に困難である。したがって、その場で公知の方法により二酸化塩素を製造(生成)し、添加濃度に調整して用いるのが好ましい。
例えば、次のような反応により二酸化塩素を製造することができ、市販の二酸化塩素発生器(装置)を用いることもできる。
(1)次亜塩素酸ナトリウムと塩酸と亜塩素酸ナトリウムとの反応
NaOCl+2HCl+2NaClO2 → 2ClO2+3NaCl+H2
(2)亜塩素酸ナトリウムと塩酸との反応
5NaClO2+4HCl → 4ClO2+5NaCl+2H2
(3)塩素酸ナトリウム、過酸化水素および硫酸との反応
2NaClO3+H22+H2SO4 → 2ClO2+Na2SO4+O2+2H2
【0020】
二酸化塩素の濃度は、併用する過酸化水素の濃度、添加する海水の状態などにより適宜設定すればよいが、通常、海水に対して0.01〜0.5mg/Lであるのが好ましい。
二酸化塩素の濃度が0.01mg/L未満では、二酸化塩素による海生生物の付着防止効果が十分に得られないことがある。一方、二酸化塩素の濃度が0.5mg/Lを超えると、二酸化塩素の添加量が増大し、それ以上の効果が期待できず、経済的な面から好ましくない。
より好ましい二酸化塩素の濃度は、0.01〜0.2mg/L、さらに好ましくは0.01〜0.1mg/Lである。
【0021】
二酸化塩素の添加時間は、併用する過酸化水素の添加濃度、添加する海水の状態などにより適宜設定すればよいが、通常、1日当たり14〜24時間である。
二酸化塩素の添加時間が1日当たり14時間未満では、二酸化塩素による海生生物の付着防止効果が十分に得られないことがある。
より好ましい二酸化塩素の添加時間は、1日当たり16〜22時間である。
【0022】
(過酸化水素)
本発明において用いられる過酸化水素としては、主に工業用として市販されている濃度3〜60%の過酸化水素水溶液が挙げられる。
また、過酸化水素供給化合物(「過酸化水素発生剤」ともいう)から発生させた過酸化水素や、用水またはアルカリ溶液の電気分解などで発生させた過酸化水素を用いることもできる。
過酸化水素供給化合物としては、過酸化水素を水中で放出し得る過炭酸、過ホウ酸、ペルオキシ硫酸などの無機過酸、過酢酸のような有機過酸およびこれらの塩類が挙げられる。これら塩類としては、過炭酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウムなどが挙げられる。
上記の過酸化水素および過酸化水素供給化合物は、添加に際して所望の過酸化水素濃度になるように海水や淡水で希釈または溶解して用いてもよい。
【0023】
過酸化水素の濃度は、併用する二酸化塩素の濃度、添加する海水の状態などにより適宜設定すればよいが、通常、海水に対して0.1〜2.0mg/Lであるのが好ましい。
過酸化水素の濃度が0.1mg/L未満では、過酸化水素による海生生物の付着防止効果が十分に得られないことがある。一方、過酸化水素の濃度が2.0mg/Lを超えると、過酸化水素の添加量が増大し、それ以上の効果が期待できず、経済的な面から好ましくない。
より好ましい過酸化水素の濃度は、0.15〜1.05mg/Lである。
上記の過酸化水素濃度は、従来の海生生物(特にムラサキイガイ等の2枚貝類)の付着防止方法における濃度の1/3から1/5と低濃度である。
【0024】
過酸化水素の添加時間は、併用する二酸化塩素の添加濃度、添加する海水の状態などにより適宜設定すればよいが、通常、1日当たり14〜24時間である。
過酸化水素の添加時間が1日当たり14時間未満では、過酸化水素による海生生物の付着防止効果が十分に得られないことがある。
より好ましい過酸化水素の添加時間は、1日当たり16〜22時間である。
【0025】
(二酸化塩素と過酸化水素との海水中での共存)
以上のことから、二酸化塩素および過酸化水素が、前記海水に対してそれぞれ0.01〜0.5mg/Lおよび0.1〜2.0mg/Lの濃度で海水中に共存するのが好ましい。
海水中における二酸化塩素および過酸化水素の濃度は、海水中での各化合物の経時的な濃度低下があることから、厳密には各化合物の添加濃度と等価ではない。
したがって、本発明の実施に当たっては、海水やそこに生息する海生生物の状況などに応じて、海水中での二酸化塩素および過酸化水素の濃度が上記の範囲になるように、それらの濃度低下を見越して、添加濃度および添加時間などを適宜設定すればよい。
【0026】
(他の添加剤)
本発明の海生生物の付着防止方法では、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、当該技術分野で公知の他の添加剤を併用してもよい。
例えば、ジアルキルジチオカルバミン酸塩、カチオン系界面活性剤等の海生生物付着防止剤、鉄系金属腐食防止剤、消泡剤などが挙げられる。
【0027】
(添加場所)
海水冷却水系は、例えば、取水系設備、復水器やその他機器などの冷却対象となる設備および放水系設備などからなる。取水系設備は、導水路、海水中の異物を除去するスクリーン、循環水ポンプ(取水ポンプ)および循環水管(取水管)などからなる。
【0028】
本発明における各薬剤の添加場所は、取水路、熱交換器または復水器に付帯する配管中や導水路、熱交換器の入口または復水器の入口のいずれであってもよいが、海生生物の付着による障害防止効果の点で、取水ポンプの取水口近傍、熱交換器または復水器の入口が好ましい。
【0029】
(添加方法)
各薬剤の添加方法としては、注入ポンプや散気管、噴霧器などを用いた方法が挙げられる。本発明において微量の薬剤を海水冷却水系中に、迅速にかつ実質的に均一に拡散させるためには、従来の物理的手段を用いることができる。具体的には、該水系中への拡散器、攪拌装置や邪魔板などの設置が挙げられる。また、これらに該当する設備は海水冷却水系に付設されているので、これを転用してもよい。
【0030】
(海生生物の付着防止剤)
本発明の海生生物の付着防止剤は、上記の方法に使用される海生生物の付着防止剤であって、
前記付着防止剤が、
過酸化水素発生源としての
(a)過酸化水素水溶液、または
(b)過酸化水素供給化合物の水溶液と、
二酸化塩素発生源としての
(1)次亜塩素酸ナトリウムと塩酸と亜塩素酸ナトリウムとの組み合わせ
(2)亜塩素酸ナトリウムと塩酸との組み合わせ、または
(3)塩素酸ナトリウム、過酸化水素および硫酸との組み合わせ
とを含むことを特徴とする。
【実施例】
【0031】
本発明を以下の試験例により具体的に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
【0032】
[試験例1]
海水中での二酸化塩素と過酸化水素との共存状態を確認した。
試験には和歌山県某所で採水した自然海水をカートリッジフィルター(目合い5μm)を用いて濾過した濾過海水を使用した。
濾過海水200mLに、下記のように調製した添加薬剤(二酸化塩素、過酸化水素および次亜塩素酸ナトリウム)を表1に示す濃度になるように、かつ上段および下段の薬剤の順でそれぞれ添加し、水温20℃で15分間撹拌した。
実施例1〜6では二酸化塩素と過酸化水素とを併用し、比較例1および2では次亜塩素酸ナトリウムと過酸化水素とを併用した。
そして、薬剤添加直後、薬剤添加から5分後および15分後の各添加薬剤の残留濃度を下記のように測定した。
また、薬剤の添加濃度を100%として、各添加薬剤の残留濃度からそれぞれの残留率を算出した。
得られた結果を、各添加薬剤およびそれらの濃度と共に表1に示す。
【0033】
(添加薬剤)
二酸化塩素は、亜塩素酸ナトリウムおよび塩酸をそれぞれ適宜純水で希釈して混合し、発生した二酸化塩素を適宜純水で希釈することで濾過海水に添加する薬剤濃度に調整した。例えば、18000ppmの亜塩素酸ナトリウム溶液と24000ppmの塩酸溶液をローラーポンプで吸液し、ローラーポンプ直後にY字ジョイントを設置することによりチューブ内で両溶液を混合し、混合後にチューブ内で1時間の反応時間を持つようにチューブの長さを設定することで濃度約2000mg/Lの二酸化塩素溶液を調製した。なお、この溶液に亜塩素酸ナトリウムの残留はなかった。
過酸化水素は、35%過酸化水素溶液を適宜純水で希釈することで濾過海水に添加する薬剤濃度に調整した。
次亜塩素酸ナトリウムは、有効塩素濃度12%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を適宜純水で希釈することで濾過海水に添加する薬剤濃度に調整した。
【0034】
(残留濃度の測定)
二酸化塩素濃度(mg/L)は、ポータブル吸光光度計(ハック社製、型式:DR2700)を用いて、グリシンDPD試薬発色による吸光光度法により測定した。
過酸化水素濃度(mg/L)は、多項目水質計(株式会社共立理化学研究所製、型式:ラムダ−9000)を用いて、酵素法により測定した。
次亜塩素酸ナトリウムの塩素濃度(mg/L)は、DPD法残留塩素計(笠原理化工業株式会社製、型式:DP−3F)を用いて、DPD試薬発色による吸光光度法により全残留塩素濃度として測定した。
【0035】
【表1】
【0036】
表1の結果から、濾過海水に次亜塩素酸ナトリウムと過酸化水素とを添加した場合(比較例1および2)には、経時的に残留塩素濃度が低下し両者が共存できないことがわかる。一方、濾過海水に二酸化塩素と過酸化水素とを添加した場合(実施例1〜6)には、二酸化塩素の残留時間が次亜塩素酸ナトリウムとの併用の場合に比べて長くなり、二酸化塩素と過酸化水素とが一定時間共存できることがわかる。また、二酸化塩素と過酸化水素との添加順序を入れ替えても(実施例3と4、実施例5と6)両者が一定時間共存できることがわかる。
【0037】
さらに、実施例3と実施例5の撹拌15分後の二酸化塩素の残留率の比較から、過酸化水素濃度は低濃度にするほうが海水中の二酸化塩素がより長時間残留することがわかる。
また、実施例1と実施例2の撹拌15分後の二酸化塩素の残留率の比較から、二酸化塩素濃度は低濃度にするほうが海水中の二酸化塩素がより長時間残留することがわかる。
具体的には、実施例1で攪拌15分後での二酸化塩素の残留率が50%以上であることから、二酸化塩素濃度は0.1mg/L以下、過酸化水素濃度は1.05mg/L以下であることが好ましい。
【0038】
[試験例2]
二酸化塩素と過酸化水素との併用によるムラサキイガイ受精卵の発生阻害効果を確認した。
大阪湾の某所において2月初旬に採取したムラサキイガイに電気刺激を与えて卵と精子を放出させ、それらを混合することで受精卵を得た。得られた受精卵を直ちに濾過海水20mLに約100個/mLになるように分散させた。濾過海水としては、予めムラサキイガイと共に採取した海水を孔径0.45μmのメンブレンフィルターで濾過した海水を用いた。
受精(卵と精子の混合)から1時間経過後に、下記のように調製した添加薬剤(二酸化塩素および過酸化水素)を表2に示す濃度になるように添加した。その後、設定温度20℃の恒温器内に3日間静置し、下記のように卵発生の状態を観察した。
実施例1〜15では二酸化塩素と過酸化水素とを併用し、比較例1〜4では過酸化水素を単独で、比較例5〜9では二酸化塩素を単独で用いた。
なお、ブランクとして薬剤無添加についても試験した。
得られた結果を、各添加薬剤およびそれらの濃度と共に表2に示す。
【0039】
(添加薬剤)
二酸化塩素は、塩素酸ナトリウム、過酸化水素および硫酸をそれぞれ適宜純水で希釈して混合し、発生した二酸化塩素(濃度2000mg/L)を適宜純水で希釈することで濾過海水に添加する薬剤濃度に調整した。例えば、37%塩素酸ナトリムト溶液20mLと8%過酸化水素溶液20mLを混合した溶液を容量500mLの三口フラスコ内に入れ、滴下ロートを用いて80%硫酸を20g滴下することで二酸化塩素ガスを発生させ、ゴム管を通して別途準備した水500mLを入れたメスシリンダーに通気し、二酸化塩素ガスを溶解させることで濃度2000mg/Lの二酸化塩素溶液を調製した。
過酸化水素は、45%過酸化水素溶液を適宜純水で希釈することで濾過海水に添加する薬剤濃度に調整した。
【0040】
(卵発生の状態観察)
試験後、濾過海水に25%グルタルアルデヒドを100μL添加し、受精卵を固定した後、マイクロピペットを用いて濾過海水を0.3mL採取し、プランクトン計数板に載置した。次いで、光学顕微鏡(40倍)で観察し、発生卵のうち、D型幼生まで発生しているものを正常発生(個数N)、それ以外のものを異常発生(個数E)として計数した。計数は各試験で2回行い、その平均を取った。
得られた計数結果から次式により正常発生率NP(%)を算出した。
正常発生率NP(%)=N/(N+E)×100
同様にして、ブランク(薬剤無添加)の正常発生率BNP(%)を算出し、次式により卵発生阻害率EP(%)を算出した。
卵発生阻害率EP(%)=[(BNP−NP)/BNP]×100
【0041】
【表2】
【0042】
表2の結果から、二酸化塩素または過酸化水素の単剤では殆どムラサキイガイ受精卵の発生阻害効果が発揮されない濃度でも、二酸化塩素と過酸化水素とを併用した場合にはムラサキイガイ受精卵の発生阻害率が上昇することがわかる。一方、二酸化塩素または過酸化水素の単剤でムラサキイガイ受精卵の発生阻害効果が少しでも発揮される濃度では、二酸化塩素と過酸化水素とを併用した場合にはムラサキイガイ受精卵の発生阻害率が上昇するか、変化がなく、少なくとも減少することはないことがわかる。
以上のことから、二酸化塩素と過酸化水素とが共存する場合には、両者が共存して両者の効果、相乗効果に相当する効果が発揮されるものと考えられる。
【0043】
[試験例3]
二酸化塩素と過酸化水素との併用による海生生物の付着防止効果を確認した。
瀬戸内海に面した某所に水路試験装置を設け、試験を行った。
水中ポンプを用いて揚水した海水を6系統に分岐させた水路に、各水路に流量1.0m3/hで57日間、一過式に通水し、各水路に下記のように調製した添加薬剤(二酸化塩素および過酸化水素)を表3に示す濃度になるように同時に連続添加した。
また、各水路内には、付着防止効果確認用にアクリル製カラム(内径64mm×長さ300mm×厚さ2mm、表面積602.88cm2)を挿入し、通水終了後にカラムに付着したヘドロ量および付着生物量を測定し、付着防止効果を評価した。
実施例1および2では二酸化塩素と過酸化水素とを併用し、比較例1では過酸化水素を単独で、比較例2および3では二酸化塩素を単独で用いた。
なお、ブランクとして薬剤無添加についても試験した。
得られた結果を、各添加薬剤およびそれらの濃度と共に表3に示す。
【0044】
(添加薬剤)
二酸化塩素は、表3に示す二酸化塩素濃度が得られるように、亜塩素酸ナトリウムおよび塩酸をそれぞれ適宜純水で希釈した水溶液を、薬剤添加ポイント前のチューブ内で混合し、1時間の滞留時間を持たせることで発生した二酸化塩素水溶液を付着防止効果確認用アクリル製カラムの手前から添加した。
過酸化水素は、35%過酸化水素溶液を適宜純水で希釈することで海水に添加する薬剤濃度に調整し、付着防止効果確認用アクリル製カラムの手前から定量ポンプを用いて添加した。
【0045】
(付着防止効果の確認)
試験後、水路から取り外したカラムの質量W1(g)を測定し、次いでカラムを海水中で軽く洗い流した後、カラムの質量W2(g)を測定した。予め試験前に測定しておいた乾燥時のカラムの質量W0と共に、次式によりヘドロ量(g)および付着生物量(g)を算出した。
ヘドロ量(g)=W2−W1
付着生物量(g)=W2−W0
付着生物は、主としてムラサキイガイなどのイガイ類やフジツボ類、コケムシ類などの海生付着生物に由来し、ヘドロは、主として付着生物やスライムの排泄物や死骸、細胞外分泌物などに海水中に含まれる粘度粒子や浮遊物が付着した、有機質を多く含む泥に由来する。
【0046】
【表3】
【0047】
表3の結果から、二酸化塩素と過酸化水素とを併用した場合には、二酸化塩素または過酸化水素を単剤で用いた場合よりもヘドロ量および付着生物量が共に減少することがわかる。このような効果は、試験例1の結果からわかるように、二酸化塩素と過酸化水素とが海水中に一定時間共存し、両者の効果が発揮されて得られるものと考えられる。
また発明者らの経験では、ヘドロ量が多くなる試験条件では過酸化水素の効果が発揮されにくい傾向がある。よって本試験例は過酸化水素の効果が出にくい条件であったと考えられるが二酸化塩素と併用することで効果を補うことが出来ている。一方、二酸化塩素の効果が出にくい傾向があるフジツボ類等の付着が多い条件では、過酸化水素がその点を補うことが推察される。これらの効果により海水冷却系で障害の発生を抑制することができる。
【0048】
[試験例4]
二酸化塩素と過酸化水素との併用による実施例および次亜塩素酸ナトリウムと過酸化水素との併用による比較例ついて、スライムを主体とする汚れ防止効果を確認した。
太平洋に面した和歌山県沿岸の某所に水路試験装置を設け、試験を行った。
水中ポンプを用いて揚水した海水(pH8)を12系統に分岐させた水路に、ポンプを用いて未濾過海水を流量1m3/h(流速65cm/秒)で63日間、一過式に通水し、各水路に下記のように調製した添加薬剤(二酸化塩素と過酸化水素、または次亜塩素酸ナトリウムと過酸化水素)を表4に示す濃度になるように同時に連続添加した。
また、各水路内には、スライム汚れ防止効果確認用にチタン管からなるテストチューブ(内径23.4mm、長さ1000mm、肉厚1.0mm)を設置し、通水終了後にテストチューブの内面に形成されたスライムを主体とする汚れ量を測定し、汚れ防止効果を評価した。
なお、ブランクとして薬剤無添加についても試験した。
得られた結果を、各添加薬剤およびそれらの濃度と共に表4に示す。
【0049】
(添加薬剤)
二酸化塩素は、表4に示す二酸化塩素濃度が得られるように、亜塩素酸ナトリウムおよび塩酸をそれぞれ適宜純水で希釈した水溶液を、薬剤添加ポイント前のチューブ内で混合し、1時間の滞留時間を持たせることで発生した二酸化塩素水溶液をチタン管からなるテストチューブの手前から添加した。
過酸化水素は、35%過酸化水素溶液を適宜純水で希釈することで海水に添加する薬剤濃度に調整し、同様にチタン管からなるテストチューブ手前から定量ポンプを用いて添加した。
次亜塩素酸ナトリウムは、有効塩素として12%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を適宜純水で希釈することで海水に添加する薬剤濃度に調整し、同様にチタン管からなるテストチューブ手前から定量ポンプを用いて添加した。
【0050】
(汚れ防止効果の確認)
試験後、水路から取り外したテストチューブの内面に形成されたスライムを主体とする汚れを掻き取り、10〜100mLのメスシリンダーに回収し、4時間静置後の湿体積を計量した。
【0051】
【表4】
【0052】
表4の結果から、二酸化塩素と過酸化水素とを併用添加した場合、それぞれ単独で添加した場合と比較して、薬剤、特に過酸化水素の添加量を低減しても長期間にわたりスライムを主体とする汚れの付着を防止できることがわかる(実施例1〜4、比較例1〜3)。
また、二酸化塩素と過酸化水素とを併用添加した場合の効果は、同じ濃度の次亜塩素酸ナトリウムと過酸化水素とを併用添加した場合の効果と比較して、顕著に優れていることがわかる(実施例1および3、比較例4および5)。
【0053】
[試験例5]
二酸化塩素と過酸化水素との併用による実施例および次亜塩素酸ナトリウムと過酸化水素との併用による比較例ついて、海生生物の付着防止効果を確認した。
太平洋に面した和歌山県沿岸の某所に水路試験装置を設け、試験を行った。
水中ポンプを用いて揚水した海水を7系統に分岐させた水路に、各水路に流量1.0m3/hで69日間、一過式に通水し、各水路に下記のように調製した添加薬剤(過酸化水素と二酸化塩素または次亜塩素酸ナトリウム)を表5に示す濃度になるように同時に連続添加した。
また、各水路内には、付着防止効果確認用にアクリル製カラム(内径64mm×長さ300mm×厚さ2mm、表面積602.88cm2)を挿入し、通水終了後にカラムに付着した付着生物量を測定し、付着防止効果を評価した。
なお、ブランクとして薬剤無添加についても試験した。
得られた結果を、各添加薬剤およびそれらの濃度と共に表5に示す。
【0054】
(添加薬剤)
二酸化塩素、過酸化水素および次亜塩素酸ナトリウムは、それぞれ表5に示す濃度が得られるように調整し、付着防止効果確認用アクリル製カラムの手前から添加すること以外は、試験例4と同様にして添加した。
【0055】
(付着防止効果の確認)
試験後、水路から取り外したカラムを海水中で軽く洗い流した後、カラムの質量W2(g)を測定した。予め試験前に測定しておいた乾燥時のカラムの質量W0と共に、次式により付着生物量(g)を算出した。
付着生物量(g)=W2−W0
薬剤無添加の場合、主として、ムラサキイガイ、フジツボ類、カンザシゴカイ類、オベリア類およびコケムシ類などの海生付着生物が付着した。
【0056】
【表5】
【0057】
表5の結果から、二酸化塩素と過酸化水素とを併用添加した場合には、ムラサキイガイなどのイガイ類を含む広範な海生生物種の付着を長期間持続して有効に防止できること、従来技術の次亜塩素酸ナトリウムと過酸化水素とを併用添加した場合と比較して顕著な効果が発揮されていることがわかる(実施例1〜4、比較例1および2)。
【要約】
【課題】低濃度の薬剤添加でその効果を長期間持続し、しかも広範な海生生物種やスライムの付着を防止し得る海生生物の付着防止方法およびそれに用いる付着防止剤を提供することを課題とする。
【解決手段】海水冷却水系の海水中に、二酸化塩素と過酸化水素とをこの順もしくは逆順でまたは同時に添加して、前記二酸化塩素と過酸化水素とを海水中に共存させることにより海水冷却水系への海生生物の付着を防止することを特徴とする海生生物の付着防止方法により、上記の課題を解決する。
【選択図】なし