(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば仕事や家事を行う場合において、前かがみの状態から立ち上がる際の動きを滑らかで、楽に行いたいという要望がある。一般的な立ち上がり方の場合、背中が丸まり腰だけが前に動くため、負荷が一箇所に集中しやすくなる傾向があるため、改善が求められている。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するために成されたものであり、前かがみの状態から起き上がる際に、着用者の滑らかな動きを促すことで、着用者に作用する負荷を分散させることが可能な上半身衣類を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、着用者の上半身を覆う本体生地を備えた上半身衣類において、着用者の背面を覆う本体生地には、当該本体生地より緊締力が強い複数の緊締部が形成され、緊締部は、着用者の脊柱起立筋に対応する位置に沿うように配置され、着用者の高さ方向において第7胸椎に相当する位置から第12胸椎に相当する位置まで延在し、着用者の脊柱の後ろ中心を挟んで一対の第1の帯状部
と、一対の第1の帯状部の下端部に連結し、着用者の左右方向に延在して、左右両側の脇線よりも正面側まで連続する第2の帯状部と、を備え、第7胸椎に対応する高さ位置において、第1の帯状部の内側端部を通る垂線が、第12胸椎に対応する高さ位置において、前記第1の帯状部の外側端部より内側を通るように、前記一対の第1の帯状部が配置され
、第2の帯状部の端部同士が、着用者の正面側において、左右方向に離間している上半身衣類を提供する。
【0007】
この構成の上半身衣類では、本体生地より緊締力が強い複数の緊締部として、一対の第1の帯状部が脊柱の後ろ中心を挟んで配置されている。この一対の帯状部は、着用者の脊柱起立筋に沿うように背面側に配置され、第7胸椎に相当する位置から第12胸椎に相当する位置まで延在している。これにより、着用者が前かがみになったとき、一旦伸長した一対の第1の帯状部が長手方向に収縮して本体生地が収縮し、これに連動して、着用者に対して、背中を起こすように後ろ向きの力を作用させることが可能となる。このとき、脊柱起立筋に相当する位置に沿うように、一対の帯状部が配置されているため、着用者の背中の筋肉の働きをサポートしながら、背中を起こすような力をかけることができる。そのため、着用者の滑らかな動きを促すことで、着用者に作用する負荷を分散させて、負荷が一箇所に集中することが防止される。
【0008】
ここで、本発明は、第12胸椎に対応する高さ位置の着用者の左右方向において、本体生地の左側の端部と左側の第1の帯状部との間隔をP1とし、左右の第1の帯状部同士の間隔をP2とし、右側の第1の帯状部と本体生地の右側の端部との間隔をP3とした場合に、 P1:P2:P3=1〜2:1:1〜2…(1)を満たしている構成でもよい。
【0009】
この構成によれば、一対の第1の帯状部が、上記式(1)を満たすような間隔で配置されているので、上半身衣類は、第1の帯状部によって作用する力を、脊柱起立筋に沿う方向に働かせることができる。
【0010】
緊締部は、一対の第1の帯状部の下端部に連結し、着用者の左右方向に延在して、左右両側の脇線
よりも正面側まで連続する第2の帯状部
を備え、当該第2の帯状部の端部同士が、着用者の正面側において、左右方向に離間して
いる。
【0011】
これにより、着用者が前かがみになったとき、第1の帯状部が収縮し第2の帯状部が引っ張られて本体生地が収縮し、これに連動して、着用者に対して、背中全体を脇から持ち上げるような上方への力を作用させることができる。また、第2の帯状部の端部が、着用者の正面側で離間し、第2の帯状部が正面側で連結していない構成であるため、着用者が立ち上がる際の胸の動きを阻害しないようにすることができる。これらにより、着用者の動きを一層滑らかなものとすることができ、前かがみから起き上がるときに、背中、腰を自然な流れで動かすことができる。また、第2の帯状部が正面側で連結していない構成であると、着用者の胃を圧迫することが防止され、着用感の低下を回避することができる。
【0012】
また、第2の帯状部は、左右両側の脇線よりも正面側まで連続し、着用者の側部に対応する位置において、正面側が上方へ傾斜するように配置されている構成としてもよい。これにより、第1の帯状部が収縮し、第2の帯状部が引っ張られた際に、背中全体を脇から持ち上げるような上方への力を、脇線よりも正面側から抱え込むように作用させることができる。第2の帯状部が上方へ傾斜して配置されているため、第2の帯状部によって生じる上方への力を効率良く作用させることができる。
【0013】
また、高さ方向において、第2の帯状部と離間して下方に配置され、着用者の仙腸関節に相当する位置を覆うように配置された下側緊締部を更に備えている構成としてもよい。これのように、第2の帯状部と連結しておらず、仙腸関節に相当する位置を背面側から覆うように形成された下側緊締部を備えていると、この下側緊締部によって、背中の動きの支点になる「胸椎と腰椎の境目に相当する部分」を後ろから前へ押し出すことができる。また、前かがみの状態から起き上がる際に、負荷が集中しやすい「脊柱と骨盤の境目に相当する部分」を後ろから前へ押し出すことができる。これらにより、第1の帯状部及び第2の帯状部によって着用者に作用する力を効果的に強化することができる。その結果、前かがみから起き上がるときに、背中と腰を順に、自然な流れで動かすことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の上半身衣類によれば、前かがみの状態から立ち上がる際に、着用者の滑らかな動きを促すことができ、着用者に作用する負荷を分散させることが可能であるため、着用者が楽に動けると実感させやすくなる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明による上半身衣類の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において同一または相当要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図1〜
図3は、本発明の第1実施形態に係る上半身衣類1を示す図である。
【0017】
上半身衣類1は、着用者の上半身を覆う肌着本体2を有する。この肌着本体2は、着用者の上半身の正面側を覆う前身頃3と、上半身の背面側を覆う後身頃4とを備えている。上半身衣類としては、編立肌着(経編み肌着、丸編み肌着)、カットソー肌着、キャミソール、スレンダージャケットなどが挙げられる。
【0018】
肌着本体2の上部中央には、着用者の頭部を露出させる開口部である首ぐり部2aが形成されている。肌着本体2の左右両側の上部には、着用者の左右両腕を露出させる開口部である袖ぐり部2bが形成されている。前身頃3及び後身頃4は、首ぐり部2a及び袖ぐり部2bが形成されていない上端部及び側端部が各々縫合されて、肌着本体2を構成している。肌着本体2の素材としては、経編みツーウェイラッセル素材を使用することができる。
【0019】
上半身衣類1を背面側から見た場合、後身頃4は、首ぐり部2a及び袖ぐり部2bを形成する端部が、内側へ湾曲している。
【0020】
ここで、本実施形態の上半身衣類1は、後身頃4の本体生地に、当該本体生地より緊締力の強い複数の緊締部6が形成されている。この緊締部6は、一対の第1帯状部7と、第2帯状部8とを有する。
【0021】
一対の第1帯状部7は、着用者の脊柱101(
図5参照)の後ろ中心を挟んで上下方向に配置されている。一対の第1帯状部7は、着用者の脊柱起立筋102(
図5参照)に対応する位置に沿うように配置され、着用者の高さ方向において後身頃4の上端(2a)からから第2腰椎(101L2、
図5参照)に相当する位置まで延在している。なお、第1帯状部7は、少なくとも着用者の高さ方向において第7胸椎(101T7、
図5参照)に相当する位置から第12胸椎(101T12)に相当する位置まで延在していればよい。
【0022】
図4は、第1帯状部の配置を示す概略図である。
図4(a)に示すように、一対の第1帯状部7は、第7胸椎に対応する高さ位置において、第1帯状部7の内側端部7aを通る垂線L1が、第12胸椎に対応する高さ位置において、第1帯状部7の外側端部7bより内側を通るように、配置されている。内側端部7aとは、後中心側の端部である。垂線L1は、上半身衣類1の下端の左右両端を結ぶ線直交する線(通常の着用状態において上下方向に延在する線)である。
【0023】
図4(b)では、第7胸椎に対応する高さ位置において、帯状部7Uの内側端部7aを通る垂線L2が、第12胸椎に対応する高さ位置において、帯状部7Uの外側端部7bより外側を通るように、帯状部7が配置されている。このような帯状部7は、本発明の第1帯状部7に含まれるものではない。垂線L2は、上半身衣類1の下端の左右両端を結ぶ線直交する線(通常の着用状態において上下方向に延在する線)である。
【0024】
図5は、脊柱起立筋102の配置を示す図である。脊柱起立筋102は、脊柱101の左右方向の両側で、上下方向に配置されている。脊柱起立筋102は、腸肋筋103、最長筋104、及び棘筋105から成る。
【0025】
図5(a)は、腸肋筋103の配置を示す図である。腸肋筋103は、脊柱起立筋102の外側部(脊柱101とは反対側)に配置されている。腸肋筋103は、上から順に、頚腸肋筋103F5、胸腸肋筋103F6、及び腰腸肋筋103F7を有する。
図5(a)では、背面側から見て、左側の腸肋筋103のみを図示している。
【0026】
図5(b)は、最長筋104の配置を示す図である。最長筋104は、腸肋筋103より脊柱101側に配置されている。最長筋104は、上から順に、頭最長筋104F8、頚最長筋104F9、及び胸最長筋104F10を有する。
【0027】
図5(c)は、棘筋105の配置を示す図である。棘筋105は、脊柱起立筋102の内側部(脊柱101側)に配置されている。棘筋105は、上から順に、頚棘筋105F12、及び胸棘筋105F13を有する。
【0028】
一対の第1帯状部7は、第12胸椎に対応する高さ位置の着用者の左右方向において、次式(1)を満たす間隔P1,P2、P3で配置されている(
図15(a)参照)。間隔P1は、後身頃4の左側の脇線(端部)5と左側の第1帯状部7との間隔である。間隔P2は、左右の第1帯状部7同士の間隔である。間隔P2は、右側の第1帯状部7と本体生地の右側の脇線(端部)5との間隔である。
P1:P2:P3=1〜2:1:1〜2…(1)
【0029】
一対の第1帯状部7は、
図1に示すように、その下端部が互いに後中心側へ湾曲して、連結されていてもよい。一対の第1帯状部7の下端部7cは、連結されて例えば、U字状になっている。
【0030】
第2帯状部8は、一対の第1帯状部7の下端部7cに連結し、着用者の左右方向に延在している。第2帯状部8は、
図2及び
図3に示すように、脇線5を越えて、正面側まで延びている。第2帯状部8の長手方向の端部8a同士は、着用者の正面側において、左右方向に離間している。第2帯状部8の端部8aは、前身頃3において、左右方向に離間し、連結されていない。
【0031】
第2帯状部8の上辺81は、第1帯状部7と交差する位置から斜め下方へ傾斜するように配置されていてもよい。
【0032】
第2帯状部8は、左右両側の脇線5よりも正面側まで連続し、着用者の側部に対応する位置において、正面側が上方へ傾斜するように配置されている。第2帯状部8は、例えば
第12肋骨(109N12)に対応する位置に沿って配置されている。
【0033】
第2帯状部8の幅W
8(上辺と下辺との間隔)は、脇線5近傍において、5cm以上であることが好ましい。第2帯状部8の幅W
8が細すぎると、着用者が起き上がる際に作用する力が弱くなる。
【0034】
また、上半身衣類1は、後身頃4の下部側の本体生地に、当該本体生地より緊締力が強い下側緊締部9が形成されている。この下側緊締部9は、第2帯状部8と離間して下方に配置されている。下側緊締部9は、着用者の仙腸関節106(
図6参照)に相当する位置を覆うように配置されている。
【0035】
下側緊締部9は、背面側から見て、三角形を成すように形成されている。下側緊締部9の頂点91は、例えば第5腰椎に対応する位置に配置されている。下側緊締部9の斜辺92(上縁)は、頂点91から下方へ傾斜して配置され、肌着本体2の下端2cで脇線5に到達するように形成されている。なお、下側緊締部9の斜辺92は、脇線5を越えて正面側まで配置されていてもよく、後身頃4内で収まるように配置されていてもよい。
【0036】
図6は、仙腸関節106の位置を示す図である。仙腸関節106は、仙骨107と腸骨108を接続する部位である。下側緊締部9は、上述したように仙腸関節106に対応する位置に配置されている。下側緊締部9は、仙腸関節106に対応する位置を背面側から覆うように形成されている。
【0037】
第1帯状部7、第2帯状部8、及び下側緊締部9と、本体生地との伸長回復性比率は、例えば1.2〜3.0:1程度であることが好ましい。第1帯状部7、第2帯状部8、及び下側緊締部9のパワー(復元力)を弱くし過ぎると、背中を起こし上げる力F1(
図7参照)が弱くなる。第1帯状部7、第2帯状部8、及び下側緊締部9のパワーを強くし過ぎると、前へかがむ動作が制限されるおそれがある。
【0038】
第1帯状部7、第2帯状部8、及び下側緊締部9は、例えば、編地の伸度を変更することで形成することができる。これにより、本体生地より緊締力が強い緊締部(第1帯状部7、第2帯状部8、及び下側緊締部9)を形成することができる。
【0039】
次に、上半身衣類1を着用した場合の作用について説明する。
図7は、上半身衣類1の着用者100に作用する力の向きを示す側面図であり、着用者100が前かがみの状態を示している。本実施形態の上半身衣類1を着用した場合には、着用者100の上半身が前かがみの状態から、上半身を起こすときに、肌着本体2の本体生地が縮む力を利用して、着用者100の背中100a全体を脇から持ち上げると共に、着用者100の腰100bを前方へ適度に押し出すように、力が作用する。
【0040】
具体的には、(1)一対の第1帯状部7が一度伸ばされた後に縮む力を利用することで、着用者100の背中100aを起こすように力F1が作用する。次に、(2)第1帯状部7が縮む力に連動して、第2帯状部8が第1帯状部7に引っ張られ、着用者100に対して脇から持ち上げるように上方への力F2が作用する。そして、(3)これらの力F1,F2に連動して、第2帯状部8及び下側緊締部9の協働により、着用者100の腰100bを後ろから押し出すように力F3が作用する。
【0041】
また、上半身衣類1では、
図3に示すように、正面側において、第2帯状部8の端部8aが離間し連結していないため、着用者の胸部の動きが阻害されないように構成されている。
【0042】
次に、
図8を参照して、前かがみの状態から立ち上がる際において、従来の上半身衣類1Uを着用した場合と、本実施形態の上半身衣類1を着用した場合との違いについて説明する。
【0043】
図8(c),(d)は、従来の上半身衣類1Uの着用者が前かがみの状態から立ち上がる際の動きを側方から示す図である。従来の上半身衣類1Uは、第1帯状部7、第2帯状部8、及び下側緊締部9が形成されていない以外は、上半身衣類1と同じ構成である。
【0044】
従来の上半身衣類1Uを着用した場合には、前かがみの状態から立ち上がるときに、着用者100の背中100aが丸まってしまい、腰100bだけが前に動く傾向になる。そのため、着用者100にかかる負担が一箇所に集中することになり、動きがぎこちなく、不自然で格好が悪くなる。
【0045】
図8(a),(b)は、本実施形態の上半身衣類1の着用者100が前かがみの状態から立ち上がる際の動きを側方から示す図である。上半身衣類1を着用した場合には、背中100aが伸び、背中100aが上向き動いた後に(矢印a)、腰100bが前に押し出される(矢印b)。上半身衣類1を着用した場合には、前かがみの状態から立ち上がるときに、着用者100にかかる負担が分散されるので、楽に動くことができる。上半身衣類1を着用した場合には、胸を張った姿勢を維持するのではなく、前かがみの状態から起き上がるときに、背中100a、腰100bを順に自然な流れで動かすことができる。これにより、上半身衣類1では、美しく楽な立ち上がり方を容易に行うことができる。
【0046】
次に、
図9を参照して、上半身衣類1の着用者が前かがみの状態から立ち上がる際の脊柱起立筋の筋活動評価について説明する。
図9は、着用者の脊柱起立筋の筋活動評価結果を示すグラフである。本願発明者は、上半身衣類1を着用して前かがみの状態から起き上がる際に、脊柱起立筋102の筋活動に対する効果を調べるために実験を行った。
【0047】
図1に示す上半身衣類1を6名の被験者に着用してもらい、筋電計を用いて、前かがみの状態から立ち上がる際の脊柱起立筋102の筋電位の積算値Eを測定した。また、比較対象として、第1緊締部7、第2帯状部8、及び下側緊締部9が形成されていない上半身衣類1Uを6名の被験者に着用してもらい、同様に、前かがみの状態から立ち上がる際の脊柱起立筋の筋電位の積算値E
Sを測定した。
【0048】
図9では、上半身衣類1の場合の筋電位の積算値Eの上半身衣類1Uの場合の筋電位の積算値E
Sに対する割合R(=E/E
S)を、各被験者について示している。
図9に示す割合Rが1未満の場合には、上半身衣類1を着用したときの方が、上半身衣類1Uを着用したときより、脊柱起立筋の筋電位の積算値が低いことを示している。すなわち、脊柱起立筋の活動が低く、脊柱起立筋にかかる負荷が減っていることを示している。
図9に示すように、5名の被験者(S1〜S4、S6)については、脊柱起立筋102にかかる負荷が減っていることが判った。1名の被験者(S5)については、効果が認められなかった。例えば、被験者(S4)では、上半身衣類1を着用した方が、約14%程度の負荷の減少が認められた。
【0049】
このように、本実施形態に係る上半身衣類1によれば、一対の第1帯状部7が脊柱起立筋102に沿って、第7胸椎に相当する位置から第2腰椎に相当する位置まで配置されているため、第1帯状部7が縮む力を利用して力F1を作用させて背中を起こし易くなるように力F1を作用させることができる。これらにより、上半身衣類1は、前かがみの状態から起き上がる際に、着用者の滑らかな動きを促すことができ、着用者に作用する負荷を分散させることができる。
【0050】
上半身衣類1では、一対の第1帯状部7の下端に連結する第2帯状部8が、左右方向に延在し、脇部を超えて正面側まで配置されているため、着用者の背中全体を脇から持ち上げるように上方の力F2を作用させることができる。これにより、着用者の動きを一層滑らかなものとすることができ、前かがみから起き上がるときに、背中、腰を自然な流れで動かすことができる。また、第2帯状部8が正面側で連結していない構成であるため、着用者の胃を圧迫することが防止され、着用感の低下を回避することができるとともに着用者の胸部の動きが阻害されず、前かがみから起き上がるときに、自然な流れで動くことができる。
【0051】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態では、上半身衣類1を経編み肌着として説明しているが、上半身衣類1は、その他の上半身衣類でもよい。以下、
図10〜
図13を参照して、本発明の実施形態である他の上半身衣類1B,1C,1D,1Eについて説明する。なお、上記実施形態と同様の説明は省略する。
【0052】
(カットソー肌着)
図10は、本発明の一実施例に係る上半身衣類であるカットソー肌着1Bを示す図である。
図10(a)は背面図、
図10(b)は側面図、
図10(c)は正面図である。カットソー肌着1Bは、第1帯状部7、第2帯状部8、及び下側緊締部9を備えている。本発明の上半身衣類は、カットソー肌着1Bに適用してもよい。カットソー肌着1Bの本体生地2の素材としては、例えば綿ベア天竺(綿95%、ポリウレタン5%)を使用することができる。第1帯状部7及び第2帯状部8の素材としては、例えば210dパワーネット(8580PN)を使用することができる。
【0053】
(丸編み肌着)
図11は、本発明の一実施例に係る上半身衣類である丸編み肌着1Cを示す図である。
図11(a)は背面図、
図11(b)は正面図である。丸編み肌着1Cは、第1帯状部7及び第2帯状部8を備えている。第1帯状部7は、例えばV字状に配置されている。丸編み肌着1Cの本体生地2の素材としては、丸編み素材を使用することができる。
【0054】
(キャミソール)
図12は、本発明の一実施例に係る上半身衣類であるキャミソール1Dを示す図である。
図12(a)は背面図、
図12(b)は正面図である。キャミソール1Dは、第1帯状部7、第2帯状部8、及び下側緊締部9を備えている。第1帯状部7は、肩ストラップ2dから連続するように、肩ストラップ2dの付け根から下方へ延在している。第1帯状部7は、第7胸椎に対応する位置から下方へ延在している。第2帯状部8は、後ろ中心から脇線側へ斜め上方に傾斜して配置されている。キャミソール1Dの本体生地2の素材としては、経編素材を使用することができる。
【0055】
(スレンダージャケット)
図13は、本発明の一実施例に係るスレンダージャケット1Eを示す図である。
図13(a)は背面図、
図13(b)は正面図である。スレンダージャケット1Eは、第1帯状部7、第2帯状部8、及び下側緊締部9を備えている。第1帯状部7は、後身頃4の上端から下方へ延在している。第1帯状部7は、途中で屈曲されていてもよく、直線的配置されていてもよい。下側緊締部9の斜辺92(上縁)は、頂点91から下方へ傾斜して配置され、途中で屈曲されて脇側へ連続している。下側緊締部9の下辺93(下縁)は、左右方向に延在し、例えば直線的に形成されている。下辺93は、後身頃4の下端4aから上方へ離間した位置に形成されている。
【0056】
次に、
図14〜
図17を参照して、上半身衣類の実施例及び比較例について説明する。本発明の実施例1〜3、及び比較例1に係る上半身衣類を着用して、上半身が前かがみの状態から起き上がる場合の着用感についての評価試験を行った。実施例1〜3及び比較例1の上半身衣類は、第1帯状部7、第2帯状部8、及び下側緊締部9の配置の有無が異なるが、その点(緊締部の位置、緊締部の素材、本体生地の素材など)は同一である。上記の実施形態と同一の説明は省略する。
図14〜
図17において、図(a)は背面図、図(b)は正面図である。
【0057】
図14に示す比較例1に係る上半身衣類1Vは、第2帯状部8を備えているが、第1帯状部7及び下側緊締部9を備えていないものである。着用感についての評価試験の結果、比較例1の上半身衣類1Vについては、「胸や脇周りに締め付けがあるだけ。」、「上体が待ち上がるような感覚はない。」との感想が着用者から得られた。
【0058】
図15に示す実施例1に係る上半身衣類1Fは、第1帯状部7を備えているが、第2帯状部8及び下側緊締部9を備えていないものである。着用感についての評価試験の結果、実施例1の上半身衣類1Fについては、「前に屈んだとき背中へのサポートを感じた。」、「起き上がる感覚は小さい。」との感想が着用者から得られた。
【0059】
図16に示す実施例2に係る上半身衣類1Gは、第1帯状部7及び第2帯状部8を備えているが、下側緊締部9を備えていないものである。着用感についての評価試験の結果、実施例2の上半身衣類1Gについては、「前に屈んだときに上体が起き上がるような力を感じた。」、「前屈みなるときの背中の動きが楽だった。」、「上半身衣類の上側の部分のみに、締め付け感があるので、バランスが悪い。」、「上半身衣類が上方へずれ上ってくる感覚がある。」との感想が着用者から得られた。
【0060】
図17に示す実施例3に係る上半身衣類1Hは、第1帯状部7、第2帯状部8、及び下側緊締部9を備えている。第2帯状部8の上辺81は、第12胸椎に対応する高さ位置に配置され、第2帯状部8の下辺82は、第2腰椎に対応する高さ位置に配置されている。着用感についての評価試験の結果、実施例3の上半身衣類1Hについては、「前に屈んだときに上体が起き上がるような力を感じた。」、「前に屈んだときに腰が支えられているような感覚があった。」、「前屈みになるときの背中と腰の動きが楽だった。」、「全体的にサポートされていてバランスがよいと感じることができた。」、「上半身衣類が上方へずれ上ってくる感覚はなかった。」との感想が着用者から得られた。
【0061】
上記の着用感についての評価試験では、実施例1、実施例2、実施例3の順に、効果が高いとの結果が得られた。比較例1では、殆ど効果がなかった。
【0062】
図18は、本発明の実施例3に係る上半身衣類の変形例を示す図である。
図18(a)は平面図、
図18(b)は正面図である。
図18に示す変形例の上半身衣類1Iが
図17に示す実施例3の上半身衣類1Hと違う点は、第1帯状部7の下端が、第3腰椎に対応する高さ位置に配置されている点、第2帯状部8の上辺81が第3腰椎に対応する高さ位置に配置されている点、及び第2帯状部8の下辺82が第5腰椎に対応する高さ位置に配置されている点である。このような構成の上半身衣類1Iにおいても、実施例3の上半身衣類1Hと同様な作用、効果を奏する。
【0063】
以上、本発明のその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態では、緊締部(第1帯状部7、第2帯状部8、及び下側緊締部9)を編地の伸度を部分的に切り替えることで形成しているが、例えば、当て布によって緊締部を形成してもよい。また、本体生地にオパール(抜蝕)加工を施すことで、緊締部を形成してもよく、例えば、ドット状の樹脂を本体生地に接触させることで緊締部を形成してもよく、その他の構成により、緊締部を形成してもよい。
【0064】
また、第1帯状部7は、第7胸椎に対応する位置から第12胸椎に対応する位置まで延在していればよく、第7胸椎に相当する位置よりも上方から形成されていてもよく、第12胸椎に相当する位置より下方まで形成されていてもよい。例えば、第1帯状部7は、第5腰椎に対応する位置まで形成されていてもよい。
【0065】
第1帯状部7は、第12胸椎に対応する高さ位置の着用者の左右方向において、次式(1)を満たす間隔P1〜P3で配置されていないものでもよい。
P1:P2:P3=1〜2:1:1〜2…(1)