【実施例1】
【0015】
本発明の実施例1に係る装置について
図1を用いて説明する。本装置は、運転者監視部1、体調診断部2、情報記憶部3、地図情報部4、現在位置算出部5、設定部6、判断部7及び情報提供部8を備える。また、体調診断部2、情報記憶部3、地図情報部4、現在位置算出部5、設定部6及び判断部7は、ECU(Electronic Controlled Unit:電子制御装置)9内に設けられている。
【0016】
上述の運転者監視部1は、例えば特開平9‐123790号公報、特許文献1及び特許文献2のように、CCDカメラ、操舵角センサ及び生体センサにより、運転者の目の開閉、運転操作、脈拍及び体温を測定することで、運転者の身体情報を継続して検出する。検出した身体情報は体調診断部2及び情報記憶部3へ出力する。
【0017】
上述の体調診断部2は、運転者監視部1で検出した身体情報を基に、運転者の体調を継続して診断し、その体調診断結果Bを情報記憶部3及び判断部7へ出力する。体調診断結果Bは体調を数値化したものであり、体調が良好である程高い数値に、体調が悪い程低い数値になる。
【0018】
上述の情報記憶部3は、事前に運転者監視部1で検出または運転者自身により入力した、運転者の平常時の身体情報を記憶しておき、当該情報を設定部6へ出力する。また、運転者監視部1で検出した身体情報及び体調診断部2で診断した体調診断結果を都度記憶し、判断部7へ出力する。
【0019】
上述の地図情報部4は、周辺道路情報を保管し、現在位置算出部5へ出力する。
【0020】
上述の現在位置算出部5は、GPS信号及び地図情報部4で保管された道路情報を基に、自車両の現在位置及び当該位置から休憩可能場所までの距離を継続して算出し、設定部6へ出力する。
【0021】
上述の設定部6は、運転者の平常時の身体情報を基に、運転者に休憩を推奨するしきい値である休憩推奨案内しきい値A及びXを設定し、現在位置算出部5で算出した情報を基に、休憩推奨案内しきい値をAまたはXに変化させ、判断部7へ出力する。
【0022】
休憩推奨案内しきい値とは、体調診断部2において診断された運転者の体調診断結果Bが当該しきい値以下になったとき、運転者に対し休憩を推奨するために設定されるものである。休憩推奨案内しきい値Aが体調悪化を未然に防ぐための最も適切な値であり、休憩推奨案内しきい値Xは休憩推奨案内しきい値Aよりもさらに高い値に設定される。このように、状況に応じて休憩推奨案内しきい値AとXを切り替えることで、体調悪化時に近辺に休憩可能場所が無いという状況を回避することが可能となる。
【0023】
高速道路走行中においては、自車両と次回のパーキングエリアPAまたはサービスエリアSAとの距離がYkm以下の間の休憩推奨案内しきい値はX、それ以外の場合の休憩推奨案内しきい値はAとなる。ちなみに、上述の「次回の」とは「自車両前方の中で最も近い」という意味である。
【0024】
図2(a)は、高速道路走行中における自車両の位置と休憩推奨案内しきい値の変化との関係を表している。上段では、自車両と次回のパーキングエリアPAまたはサービスエリアSAとの距離がYkm以上であるため、休憩推奨案内しきい値はAとなる。中段では、自車両と次回のパーキングエリアPAまたはサービスエリアSAとの距離がYkm未満であるため、休憩推奨案内しきい値はXとなる。下段では、自車両と次回のパーキングエリアPAまたはサービスエリアSAとの距離がYkm以上であるため、休憩推奨案内しきい値はAとなる。
【0025】
さらに、
図3は高速道路走行中における体調診断結果B、休憩推奨案内しきい値A及びXの関係が時系列で示されている。これらを見ればわかるように、自車両がパーキングエリアPAまたはサービスエリアSAに接近すると運転者に対し休憩を推奨しやすくなっている。
【0026】
一般道路走行中においては、自車両と次々回の休憩可能場所との距離がZkm以上の間における休憩推奨案内しきい値はX、それ以外の場合の休憩推奨案内しきい値はAとなる。ちなみに、上述の「次々回の」とは「自車両前方の中で2番目に近い」という意味である。
【0027】
図2(b)は、一般道路走行中における自車両の位置と休憩推奨案内しきい値の変化との関係を表している。グラフ内のP1,P2,P3は休憩可能場所である。上段では、自車両と次々回の休憩可能場所であるP2との距離がZkm以上であるため、休憩推奨案内しきい値はXとなる。これにより、次々回の休憩可能場所P2が自車両から離れた位置にある場合、運転者に対し次回の休憩可能場所P1での休憩を推奨しやすくなる。下段では、P2が次回の休憩可能場所、P3が次々回の休憩可能場所となるため、休憩推奨案内しきい値はP3の位置によって変化することになる。
【0028】
上述の判断部7は、
図4のように、体調診断部2で診断した体調診断結果B及び設定部6で設定した休憩推奨案内しきい値A及びXを基に、体調診断結果Bが休憩推奨案内しきい値AまたはX以下か否かを判断し、当該判断結果は情報提供部8へ出力する。
【0029】
上述の情報提供部8は、判断部7において体調診断結果Bが休憩推奨案内しきい値AまたはX以下と判断された場合、運転者に休憩を促すよう案内を行う。
【0030】
上述のECU9は、車両の各制御を行う機能全般が設けられているが、本発明に関する機能としては、体調診断部2、情報記憶部3、地図情報部4、現在位置算出部5、設定部6及び判断部7を設ける。
【0031】
以下、本装置の動作を
図3のフローチャートを用いて説明する。
【0032】
ステップS1では、ドライバモニタをONとしたか否かを判断する。ONである場合はステップS2へ移行し、OFFである場合には本装置は起動しない。
【0033】
ステップS2では、地図情報部4で保管された地図情報及び現在位置算出部5で得られた現在位置により、高速道路走行中か否かを判断する。高速道路走行中であればステップS3へ、一般道路走行中であればステップS4へ移行する。
【0034】
ステップS3では、地図情報部4で保管された地図情報及び現在位置算出部5で得られた現在位置により、次回のパーキングエリアPAまたはサービスエリアSAまでの距離がYkm以下か否かを判断する。Ykm以下ならステップS5へ移行し、Ykmよりも長ければステップS6へ移行する。
【0035】
ステップS4では、地図情報部4で保管された地図情報及び現在位置算出部5で得られた現在位置により、次々回の休憩可能場所までの距離がZkm以上か否かを判断する。Zkm以上ならステップS5へ、Zkm未満ならステップS6へ移行する。
【0036】
ステップS5では、設定部6において、休憩推奨案内しきい値をAからXへ変更する。
【0037】
ステップS6では、運転者監視部1により運転者の身体情報を検出し、当該身体情報に基づき、体調診断部2により体調を診断する。
【0038】
ステップS7では、情報記憶部3により、運転者の身体情報及び体調診断結果を記憶及び更新する。
【0039】
ステップS8では、判断部7により、体調診断結果が休憩推奨案内しきい値以下か否か判断する。しきい値以下であればステップS9へ、しきい値よりも大きければステップS1へ移行する。
【0040】
ステップS9では、情報提供部8により、警報を発して休憩を推奨する。
【0041】
ステップS10では、現在位置算出部5により、パーキングエリアPA、サービスエリアSAまたは休憩可能場所を通過したか否かを判断する。通過した場合はステップS11へ、通過していない場合はステップS1へ移行する。
【0042】
ステップS11では、設定部6において、休憩推奨案内しきい値をXからAに復帰する。
【0043】
このように本装置では、休憩推奨案内しきい値を設定し、高速道路走行中においては、自車両と次回のパーキングエリアまたはサービスエリアとの距離が規定値以下の場合は休憩推奨案内しきい値を上げ、一般道路走行中においては、自車両と次々回の休憩可能場所との距離が規定値以上の場合は休憩推奨案内しきい値を上げ、運転者の体調診断結果が休憩推奨案内しきい値以下になったとき、運転者に対し休憩を推奨することで、運転者の体調悪化を未然に防止することができる。